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特開2024-115736運行計画作成装置、運行計画作成方法及び運行計画作成プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115736
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】運行計画作成装置、運行計画作成方法及び運行計画作成プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/40 20240101AFI20240820BHJP
【FI】
G06Q50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021551
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 豪仁
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC42
5L050CC42
(57)【要約】
【課題】一般電気事業者からの供給電力によって運用が可能な電気自動車の運行計画を作成する。
【解決手段】運行計画作成装置は、内燃機関車両である車両の走行履歴を示す動態管理データに基づいて、前記車両を電気自動車に置き換えた場合における単位時間毎の消費電力量を示す消費電力量データを生成する生成部と、生成された前記消費電力量データにおいて示される前記単位時間毎の前記消費電力量に基づいて、前記電気自動車の充電電力量を含む前記単位時間毎の需要電力量を算出する算出部と、算出された前記単位時間毎の前記需要電力量が、電気事業者によって供給される前記単位時間毎の供給電力量の上限値を超えるか否かを判定する判定部と、前記単位時間毎の前記需要電力量が、前記単位時間毎の前記供給電力量の上限値を超えないと判定された場合に、前記車両の運行計画を作成する作成部と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関車両である車両の走行履歴を示す動態管理データに基づいて、前記車両を電気自動車に置き換えた場合における単位時間毎の消費電力量を示す消費電力量データを生成する生成部と、
前記生成部によって生成された前記消費電力量データにおいて示される前記単位時間毎の前記消費電力量に基づいて、前記電気自動車の充電電力量を含む前記単位時間毎の需要電力量を算出する算出部と、
前記算出部によって算出された前記単位時間毎の前記需要電力量が、電気事業者によって供給される前記単位時間毎の供給電力量の上限値を超えるか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって、前記単位時間毎の前記需要電力量が、前記単位時間毎の前記供給電力量の上限値を超えないと判定された場合に、前記車両の運行計画を作成する作成部と、
を備える、
運行計画作成装置。
【請求項2】
前記算出部は、前記消費電力量データにおいて、出発地点から、充電設備が配置された充電地点まで前記車両が走行する期間における消費電力量を、前記車両の前記充電池点における滞在期間に移し、前記滞在期間における前記単位時間毎の前記需要電力量を算出する、
請求項1に記載の運行計画作成装置。
【請求項3】
前記判定部によって、前記単位時間毎の前記需要電力量が、前記単位時間毎の前記供給電力量の上限値を超えると判定された場合、前記生成部は、前記車両の移動先の地点である移動位置の制限を除いたときの単位時間毎の消費電力量を示す第1変更消費電力量データを生成し、
前記算出部は、前記生成部によって生成された前記第1変更消費電力量データにおいて示される前記単位時間毎の前記消費電力量に基づいて、前記単位時間毎の需要電力量を示す第1変更需要電力量を算出し、
前記判定部は、前記算出部によって算出された前記単位時間毎の前記第1変更需要電力量が、前記単位時間毎の前記供給電力量の上限値を超えるか否かを判定する、
請求項1又は請求項2に記載の運行計画作成装置。
【請求項4】
前記判定部によって、前記単位時間毎の前記需要電力量が、前記単位時間毎の前記供給電力量の上限値を超えると判定された場合、前記生成部は、前記車両の移動時間の制限を除いたときの単位時間毎の消費電力量を示す第2変更消費電力量データを生成し、
前記算出部は、前記生成部によって生成された前記第2変更消費電力量データにおいて示される前記単位時間毎の前記消費電力量に基づいて、前記単位時間毎の需要電力量を示す第2変更需要電力量を算出し、
前記判定部は、前記算出部によって算出された前記単位時間毎の前記第2変更需要電力量が、前記単位時間毎の前記供給電力量の上限値を超えるか否かを判定する、
請求項1又は請求項2に記載の運行計画作成装置。
【請求項5】
前記判定部によって、前記単位時間毎の前記需要電力量が、前記単位時間毎の前記供給電力量の上限値を超えると判定された場合、前記生成部は、前記車両と置き換える前記電気自動車の特性を変更したときの単位時間毎の消費電力量を示す第3変更消費電力量データを生成し、
前記算出部は、前記生成部によって生成された前記第3変更消費電力量データにおいて示される前記単位時間毎の前記消費電力量に基づいて、前記単位時間毎の需要電力量を示す第3変更需要電力量を算出し、
前記判定部は、前記算出部によって算出された前記単位時間毎の前記第3変更需要電力量が、前記単位時間毎の前記供給電力量の上限値を超えるか否かを判定する、
請求項1又は請求項2に記載の運行計画作成装置。
【請求項6】
前記特性は、電費又はバッテリ容量である、
請求項5に記載の運行計画作成装置。
【請求項7】
内燃機関車両である車両の走行履歴を示す動態管理データに基づいて、前記車両を電気自動車に置き換えた場合における単位時間毎の消費電力量を示す消費電力量データを生成するステップと、
生成された前記消費電力量データにおいて示される前記単位時間毎の前記消費電力量に基づいて、前記電気自動車の充電電力量を含む前記単位時間毎の需要電力量を算出するステップと、
算出された前記単位時間毎の前記需要電力量が、電気事業者によって供給される前記単位時間毎の供給電力量の上限値を超えるか否かを判定するステップと、
前記単位時間毎の前記需要電力量が、前記単位時間毎の前記供給電力量の上限値を超えないと判定された場合に、前記車両の運行計画を作成するステップと、
を含む、
運行計画作成方法。
【請求項8】
内燃機関車両である車両の運行計画を作成するための運行計画作成プログラムであって、
コンピュータに、
前記車両の走行履歴を示す動態管理データに基づいて、前記車両を電気自動車に置き換えた場合における単位時間毎の消費電力量を示す消費電力量データを生成するステップと、
生成された前記消費電力量データにおいて示される前記単位時間毎の前記消費電力量に基づいて、前記電気自動車の充電電力量を含む前記単位時間毎の需要電力量を算出するステップと、
算出された前記単位時間毎の前記需要電力量が、電気事業者によって供給される前記単位時間毎の供給電力量の上限値を超えるか否かを判定するステップと、
前記単位時間毎の前記需要電力量が、前記単位時間毎の前記供給電力量の上限値を超えないと判定された場合に、前記車両の運行計画を作成するステップと、
を実行させるための、
運行計画作成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、運行計画作成装置、運行計画作成方法及び運行計画作成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の車両を所有する事業者のために、車両の運行計画を作成し、運行計画を用いた車両の運行管理を支援するためのサービスが提供されている(例えば、非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】“車両運行管理システム(Eagle Sight)”,[online],[2023年1月27日検索],インターネット<URL: https://sumitomoelectric.com/jp/products/eagle-sight>(「Eagle Sight」は登録商標)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
BEV(Battery Electric Vehicle)及びHEV(Hybrid Electric Vehicle)等のバッテリを備える電気自動車(以下、単に「電気自動車」という)を含む車両の運行計画を作成するためには、電気自動車の充電を考慮する必要がある。電気自動車の充電電力量が、一般電気事業者との契約によって定められた供給電力量(以下「契約電力」という)を超えるような運行計画は実行することができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る運行計画作成装置は、内燃機関車両である車両の走行履歴を示す動態管理データに基づいて、前記車両を電気自動車に置き換えた場合における単位時間毎の消費電力量を示す消費電力量データを生成する生成部と、前記生成部によって生成された前記消費電力量データにおいて示される前記単位時間毎の前記消費電力量に基づいて、前記電気自動車の充電電力量を含む前記単位時間毎の需要電力量を算出する算出部と、前記算出部によって算出された前記単位時間毎の前記需要電力量が、電気事業者によって供給される前記単位時間毎の供給電力量の上限値を超えるか否かを判定する判定部と、前記判定部によって、前記単位時間毎の前記需要電力量が、前記単位時間毎の前記供給電力量の上限値を超えないと判定された場合に、前記車両の運行計画を作成する作成部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、一般電気事業者からの供給電力によって運用が可能な電気自動車の運行計画を作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る運行計画作成システムの構成の一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る車載システムの構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態に係る情報生成装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、実施形態に係る情報生成装置の機能の一例を示す機能ブロック図である。
図5図5は、実施形態に係るサーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図6図6は、実施形態に係るサーバの機能の一例を示す機能ブロック図である。
図7図7は、動態管理データの一例を示す図である。
図8図8は、走行状態管理データの一例を示す図である。
図9A図9Aは、トリップデータに分割される前の動態管理データの一例を模式的に示す図である。
図9B図9Bは、動態管理データから分割された後のトリップデータの一例を模式的に示す図である。
図10図10は、トリップデータの一例を示す図である。
図11図11は、消費電力量データの一例を示す図である。
図12図12は、図11における消費電力量データの一部を示す図である。
図13図13は、消費電力量を車両の充電地点における滞在期間に移した後の消費電力量データの一部を示す図である。
図14図14は、需要電力量の算出を説明するための図である。
図15図15は、運行計画の一例を示す図である。
図16図16は、第1変更消費電力量データの生成の一例を説明するための図である。
図17図17は、第2変更消費電力量データの生成の一例を説明するための図である。
図18図18は、第3変更消費電力量データの生成の一例を説明するための図である。
図19図19は、実施形態に係るサーバによる動態管理データ作成処理の一例を示すフローチャートである。
図20図20は、実施形態に係るサーバによるトリップデータ作成処理の一例を示すフローチャートである。
図21図21は、実施形態に係るサーバによる消費電力量データ作成処理の一例を示すフローチャートである。
図22図22は、実施形態に係るサーバによる運行計画作成処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<本開示の実施形態の概要>
以下、本開示の実施形態の概要を列記して説明する。
【0009】
(1) 本実施形態に係る運行計画作成装置は、内燃機関車両である車両の走行履歴を示す動態管理データに基づいて、前記車両を電気自動車に置き換えた場合における単位時間毎の消費電力量を示す消費電力量データを生成する生成部と、前記生成部によって生成された前記消費電力量データにおいて示される前記単位時間毎の前記消費電力量に基づいて、前記電気自動車の充電電力量を含む前記単位時間毎の需要電力量を算出する算出部と、前記算出部によって算出された前記単位時間毎の前記需要電力量が、電気事業者によって供給される前記単位時間毎の供給電力量の上限値を超えるか否かを判定する判定部と、前記判定部によって、前記単位時間毎の前記需要電力量が、前記単位時間毎の前記供給電力量の上限値を超えないと判定された場合に、前記車両の運行計画を作成する作成部と、を備える。これにより、一般電気事業者からの供給電力によって運用が可能な電気自動車の運行計画を作成することができる。
【0010】
(2) 上記(1)において、前記算出部は、前記消費電力量データにおいて、出発地点から、充電設備が配置された充電地点まで前記車両が走行する期間における消費電力量を、前記車両の前記充電池点における滞在期間に移し、前記滞在期間における前記単位時間毎の前記需要電力量を算出してもよい。これにより、充電地点に車両が滞在している期間において、車両の充電電力を含む需要電力量が契約電力を超えるか否かを判定することができる。
【0011】
(3) 上記(1)又は(2)において、前記判定部によって、前記単位時間毎の前記需要電力量が、前記単位時間毎の前記供給電力量の上限値を超えると判定された場合、前記生成部は、前記車両の移動先の地点である移動位置の制限を除いたときの単位時間毎の消費電力量を示す第1変更消費電力量データを生成し、前記算出部は、前記生成部によって生成された前記第1変更消費電力量データにおいて示される前記単位時間毎の前記消費電力量に基づいて、前記単位時間毎の第1変更需要電力量を算出し、前記判定部は、前記算出部によって算出された前記単位時間毎の需要電力量を示す前記第1変更需要電力量が、前記単位時間毎の前記供給電力量の上限値を超えるか否かを判定してもよい。これにより、車両の移動位置の制限を除いたときの車両の消費電力を再計算し、変更された需要電力量が契約電力を超えるか否かを判定することができる。
【0012】
(4) 上記(1)から(3)のいずれか1つにおいて、前記判定部によって、前記単位時間毎の前記需要電力量が、前記単位時間毎の前記供給電力量の上限値を超えると判定された場合、前記生成部は、前記車両の移動時間の制限を除いたときの単位時間毎の消費電力量を示す第2変更消費電力量データを生成し、前記算出部は、前記生成部によって生成された前記第2変更消費電力量データにおいて示される前記単位時間毎の前記消費電力量に基づいて、前記単位時間毎の需要電力量を示す第2変更需要電力量を算出し、前記判定部は、前記算出部によって算出された前記単位時間毎の前記第2変更需要電力量が、前記単位時間毎の前記供給電力量の上限値を超えるか否かを判定してもよい。これにより、車両の移動時間の制限を除いたときの車両の消費電力を再計算し、変更された需要電力量が契約電力を超えるか否かを判定することができる。
【0013】
(5) 上記(1)から(4)のいずれか1つにおいて、前記判定部によって、前記単位時間毎の前記需要電力量が、前記単位時間毎の前記供給電力量の上限値を超えると判定された場合、前記生成部は、前記車両と置き換える前記電気自動車の特性を変更したときの単位時間毎の消費電力量を示す第3変更消費電力量データを生成し、前記算出部は、前記生成部によって生成された前記第3変更消費電力量データにおいて示される前記単位時間毎の前記消費電力量に基づいて、前記単位時間毎の需要電力量を示す第3変更需要電力量を算出し、前記判定部は、前記算出部によって算出された前記単位時間毎の前記第3変更需要電力量が、前記単位時間毎の前記供給電力量の上限値を超えるか否かを判定してもよい。これにより、車両を置き換える電気自動車の特性を変更したときの消費電力量を再計算し、変更された需要電力量が契約電力を超えるか否かを判定することができる。
【0014】
(6) 上記(5)において、前記特性は、電費又はバッテリ容量であってもよい。これにより、車両を置き換える電気自動車の電費又はバッテリ容量を変更したときの消費電力を再計算し、変更された需要電力量が契約電力を超えるか否かを判定することができる。
【0015】
(7) 本実施形態に係る運行計画作成方法は、内燃機関車両である車両の走行履歴を示す動態管理データに基づいて、前記車両を電気自動車に置き換えた場合における単位時間毎の消費電力量を示す消費電力量データを生成するステップと、生成された前記消費電力量データにおいて示される前記単位時間毎の前記消費電力量に基づいて、前記電気自動車の充電電力量を含む前記単位時間毎の需要電力量を算出するステップと、算出された前記単位時間毎の前記需要電力量が、電気事業者によって供給される前記単位時間毎の供給電力量の上限値を超えるか否かを判定するステップと、前記単位時間毎の前記需要電力量が、前記単位時間毎の前記供給電力量の上限値を超えないと判定された場合に、前記車両の運行計画を作成するステップと、を含む。これにより、一般電気事業者からの供給電力によって運用が可能な電気自動車の運行計画を作成することができる。
【0016】
(8) 本実施形態に係る運行計画作成プログラムは、内燃機関車両である車両の運行計画を作成するための運行計画作成プログラムであって、コンピュータに、前記車両の走行履歴を示す動態管理データに基づいて、前記車両を電気自動車に置き換えた場合における単位時間毎の消費電力量を示す消費電力量データを生成するステップと、生成された前記消費電力量データにおいて示される前記単位時間毎の前記消費電力量に基づいて、前記電気自動車の充電電力量を含む前記単位時間毎の需要電力量を算出するステップと、算出された前記単位時間毎の前記需要電力量が、電気事業者によって供給される前記単位時間毎の供給電力量の上限値を超えるか否かを判定するステップと、前記単位時間毎の前記需要電力量が、前記単位時間毎の前記供給電力量の上限値を超えないと判定された場合に、前記車両の運行計画を作成するステップと、を実行させる。これにより、一般電気事業者からの供給電力によって運用が可能な電気自動車の運行計画を作成することができる。
【0017】
本開示は、上記のような特徴的な構成を備える運行計画作成装置、上記のような特徴的な処理をステップとする運行計画作成方法、特徴的な処理をコンピュータに実行させるための運行計画作成プログラムとして実現することができるだけでなく、運行計画作成装置を含む運行管理システムとして実現したり、運行計画作成装置の一部又は全部を実現する半導体集積回路として実現したりすることができる。
【0018】
<本開示の実施形態の詳細>
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態の詳細を説明する。なお、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0019】
[1.運行計画作成システム]
図1は、実施形態に係る運行計画作成システムの構成の一例を示す図である。
【0020】
運行計画作成システム10は、複数の車両20の運行計画を作成するためのシステムである。運行計画作成システム10は、車両20と、サーバ100と、端末300とを含む。
【0021】
車両20は、ガソリン車、ディーゼル車等の内燃機関によって動作する内燃機関車両である。車両20は、後述するような車載システム21を搭載している。
【0022】
車両20は、無線通信によって車両の外部の装置と通信することが可能である。車両20は、例えば第5世代移動通信システム(5G)、又は第4世代移動通信システム(4G)に準拠した無線通信端末を備え、基地局40との間で無線通信することができる。基地局40は、インターネット30に接続されている。サーバ100もインターネット30に接続されている。このような構成により、車両20とサーバ100は相互に通信することができる。
【0023】
車載システム21は、車両20の位置、時刻及び速度等の車両20の移動又は停止に関する情報である動態情報を生成し、生成した動態情報を、インターネット30を介してサーバ100へ送信する。
【0024】
サーバ100は、各車両20から送信された動態情報を受信し、車両20が電気自動車である場合の運行計画を作成する。サーバ100は、「運行計画作成装置」の一例である。
【0025】
端末300は、ユーザによって使用される。端末300は、キーボード、マウス、又はタッチパッド等の入力装置及び液晶パネル又はOEL(有機エレクトロルミネッセンス)パネル等の表示装置を含む。端末300は、ユーザから情報の入力を受け付け、ユーザのための情報を表示することができる。端末300は、例えば、パーソナルコンピュータ又はスマートフォン、タブレット等の携帯情報端末である。
【0026】
端末300は、インターネット30に接続可能であり、インターネット30を介してサーバ100と通信することができる。端末300は、例えば有線通信によってインターネット30に接続される。他の例では、端末300は、5G又は4Gに準拠した無線通信機を備え、基地局40との間で無線通信することができる。
【0027】
サーバ100は、作成した運行計画を端末300へ送信することができる。端末300は、運行計画を受信し、受信した運行計画を表示することができる。
【0028】
[2.車載システムの構成]
図2は、実施形態に係る車載システムの構成の一例を示すブロック図である。
【0029】
実施形態に係る車載システム21は、互いに通信可能な複数の車載装置を含む。具体的な一例では、車載システム21は、情報生成装置200と、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機22と、速度センサ23と、通信装置24とを含む。情報生成装置200と、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機22と、速度センサ23と、通信装置24とは、通信線25によって接続されている。通信線25は、例えばCAN(Controller Area Network)に準拠した通信バスである。
【0030】
GNSS受信機22は、複数の測位衛星から測位信号を受信し、測位信号に基づいて自車両20の位置を計算する。GNSS受信機22は、計算によって得られた位置情報を出力する。
【0031】
速度センサ23は、車両20の走行速度を検出する。速度センサ23は、例えば、車速に対応する車輪の回転速度を検出し、検出した速度を示す速度情報を出力する。
【0032】
通信装置24は、例えばTCU(Telematics Control Unit)であり、車外の装置、例えばサーバ100と通信することができる。通信装置24は、5G又は4G等の移動通信システム用の無線通信インタフェースを備える。通信装置24は、例えば、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)のパケットを送受信することができる。通信装置24は、移動通信ネットワークの基地局40に接続し、インターネット30に接続された装置と、基地局40を介して通信することができる。
【0033】
情報生成装置200は、GNSS受信機22及び速度センサ23から送信された位置情報及び速度情報を受信し、受信した位置情報及び速度情報に基づいて動態情報を生成する。情報生成装置200は、生成した動態情報を通信装置24へ送信し、通信装置24は、受信した動態情報をサーバ100へ送信する。
【0034】
[3.情報生成装置のハードウェア構成]
図3は、実施形態に係る情報生成装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。情報生成装置200は、プロセッサ201と、不揮発性メモリ202と、揮発性メモリ203と、通信インタフェース204とを含む。
【0035】
揮発性メモリ203は、例えばSRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体メモリである。不揮発性メモリ202は、例えばフラッシュメモリ、ハードディスク、ROM(Read Only Memory)等である。不揮発性メモリ202には、コンピュータプログラムである情報生成プログラム210及び情報生成プログラム210の実行に使用されるデータが格納される。情報生成装置200の各機能は、情報生成プログラム210がプロセッサ201によって実行されることで発揮される。情報生成プログラム210は、フラッシュメモリ、ROM、CD?ROMなどの記録媒体に記憶させることができる。プロセッサ201は、情報生成プログラム210によって、車両20の動態情報を生成することができる。
【0036】
プロセッサ201は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。ただし、プロセッサ201は、CPUに限られない。プロセッサ201は、GPU(Graphics Processing Unit)であってもよい。プロセッサ201は、例えば、マルチコアプロセッサである。プロセッサ201は、シングルコアプロセッサであってもよい。プロセッサ201は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)であってもよいし、ゲートアレイ、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスであってもよい。この場合、ASIC又はプログラマブルロジックデバイスは、情報生成プログラム210と同一の処理を実行可能に構成される。
【0037】
通信インタフェース204は、例えばCANインタフェースである。通信インタフェース204は、通信線25を介してGNSS受信機22、速度センサ23及び通信装置24のそれぞれに接続されている。情報生成装置200は、通信インタフェース204によって、GNSS受信機22及び速度センサ23のそれぞれから位置情報及び速度情報を受信し、通信装置24へ動態情報を送信することができる。
【0038】
[4.情報生成装置の機能]
図4は、実施形態に係る情報生成装置の機能の一例を示す機能ブロック図である。
【0039】
プロセッサ201が情報生成プログラム210を実行することにより、情報生成装置200は、入力部221と、動態情報生成部222と、走行状態確認部223と、出力部224との各機能を実行する。
【0040】
入力部221は、GNSS受信機22から出力された位置情報及び速度センサ23から出力された速度情報を受け付ける。例えば、入力部221は、GNSS受信機22及び速度センサ23から、所定の第1周期(例えば、3秒周期)で位置情報及び速度情報を取得する。
【0041】
GNSS受信機22は、時刻情報を出力してもよい。例えば、GNSS受信機22は、第1周期で時刻情報を出力することができる。入力部221は、位置情報とともに時刻情報を受け付けることができる。
【0042】
動態情報生成部222は、位置情報、速度情報、及び時刻情報を含む動態情報を生成する。すなわち、動態情報は、時刻毎に車両20の位置及び速度を示す情報である。
【0043】
動態情報生成部222は、第1周期毎にクロックから時刻情報を取得してもよい。動態情報生成部222は、速度情報を生成してもよい。例えば、動態情報生成部222は、位置情報及び時刻情報から車両20の速度を算出してもよい。
【0044】
例えば、動態情報は、車両20の方向(向き)を示す方向情報を含んでもよい。例えば、GNSS受信機22は、方向情報を出力してもよい。例えば、GNSS受信機22は、第1周期で方向情報を出力することができる。入力部221は、位置情報とともに方向情報を受け付けることができる。動態情報生成部222は、入力部221が受信した方向情報を動態情報に含めることができる。
【0045】
例えば、動態情報は、車両20の加速度情報を含んでもよい。例えば、車載システム21は、加速度センサを含み、加速度センサは、検出した加速度を情報生成装置200へ送信してもよい。動態情報生成部222は、入力部221が受信した加速度情報を動態情報に含めることができる。
【0046】
動態情報は、車両20の進行方向の加速度の情報だけでなく、ハンドル操作に伴う車体の横方向の加速度の情報を含んでもよい。
【0047】
例えば、動態情報は、車両20のギアポジションを示すギアポジション情報を含んでもよい。例えば、車載システム21は、ギアポジション情報を出力する車載装置を含み、この車載装置は、ギアポジション情報を情報生成装置200へ送信してもよい。動態情報生成部222は、入力部221が受信したギアポジション情報を動態情報に含めることができる。
【0048】
動態情報は、車両20を識別するための車両IDを含む。動態情報生成部222は、車両IDを含む動態情報を生成することができる。
【0049】
走行状態確認部223は、所定の第2周期(例えば、3分周期)で車両20の走行状態を確認する。走行状態は、車両20が走行可能な状態か、車両20が走行不可能な状態かを示す。具体的な一例では、走行状態は、車両20のエンジンが稼働している状態が走行可能状態であり、エンジンが停止している状態は走行不可能状態である。ただし、走行可能状態の定義はこれに限定されるものではない。例えば、ACC(アクセサリー)電源またはIG(イグニッション)電源がONになった状態を走行可能状態としてもよい。なお、第1周期と第2周期は同じであってもよい。
【0050】
走行状態確認部223は、車両20の走行状態を示す走行状態情報に車両20の車両IDおよび時刻情報を付加する。走行状態情報がONの場合には、車両20が走行可能状態であることを示し、走行状態情報がOFFの場合には、車両20が走行不可能状態であることを示す。走行状態確認部223は、クロックから時刻情報を取得してもよいし、GNSS受信機22から出力された時刻情報を取得してもよい。
【0051】
出力部224は、動態情報生成部222によって生成された動態情報及び走行状態確認部223によって生成された走行状態情報を出力する。例えば、出力部224は、動態情報及び走行状態情報を、通信装置24へ送信する。通信装置24は、受信した動態情報及び走行状態情報を、サーバ100へ送信する。
【0052】
[5.サーバのハードウェア構成]
図5は、実施形態に係るサーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。サーバ100は、プロセッサ101と、不揮発性メモリ102と、揮発性メモリ103と、通信インタフェース104とを含む。
【0053】
揮発性メモリ103は、例えばSRAM、DRAM等の半導体メモリである。不揮発性メモリ202は、例えばフラッシュメモリ、ハードディスク、ROM等である。不揮発性メモリ202には、コンピュータプログラムである運行計画作成プログラム110及び運行計画作成プログラム110の実行に使用されるデータが格納される。サーバ100の各機能は、運行計画作成プログラム110がプロセッサ101によって実行されることで発揮される。運行計画作成プログラム110は、フラッシュメモリ、ROM、CD?ROMなどの記録媒体に記憶させることができる。プロセッサ101は、運行計画作成プログラム110によって、車両20が電気自動車である場合の運行計画を作成することができる。
【0054】
プロセッサ101は、例えばCPUである。ただし、プロセッサ101は、CPUに限られない。プロセッサ101は、GPUであってもよい。プロセッサ101は、例えば、マルチコアプロセッサである。プロセッサ101は、シングルコアプロセッサであってもよい。プロセッサ101は、例えば、ASICであってもよいし、ゲートアレイ、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスであってもよい。この場合、ASIC又はプログラマブルロジックデバイスは、運行計画作成プログラム110と同一の処理を実行可能に構成される。
【0055】
通信インタフェース104は、例えばイーサネットインタフェース(「Ethernet」は登録商標)である。通信インタフェース104は、インターネット30に接続されている。通信インタフェース104は、例えば、TCP/IPのパケットを送受信することができる。
【0056】
不揮発性メモリ102は、動態管理データ111、走行状態管理データ112、トリップデータ113、及び消費電力量データ114を記憶する。動態管理データ111、走行状態管理データ112、トリップデータ113、及び消費電力量データ114については後述する。
【0057】
不揮発性メモリ102は、運行計画作成プログラム110によって使用されるデータベースを含む。具体的な一例では、不揮発性メモリ102は、地点データベース(以下、「地点DB」という)115と、車両データベース(以下、「車両DB」という)116とを含む。
【0058】
不揮発性メモリ102は、第1変更消費電力量データ117、第2変更消費電力量データ118、及び第3変更消費電力量データ119を記憶することができる。ただし、第1変更消費電力量データ117、第2変更消費電力量データ118、及び第3変更消費電力量データ119は、不揮発性メモリ102に記憶されないこともある。第1変更消費電力量データ117、第2変更消費電力量データ118、及び第3変更消費電力量データ119については後述する。
【0059】
不揮発性メモリ102は、さらに、運行計画120を記憶する。運行計画120については後述する。
【0060】
地点DB115には、車両20が訪問する地点の情報が登録されている。車両20が訪問する地点には、車両20が通常時において駐車している拠点、及び、車両20の拠点からの移動先である地点(例えば、事業所、取引先等)が含まれる。地点DB115には、例えば、地点毎に、地点の識別情報である地点IDと、地点の位置情報(例えば、緯度、軽度、標高)とを含む地点情報が登録されている。さらに、地点情報には、充電設備が備えられている地点(以下、「充電地点」ともいう)であるか否かを示す充電設備情報が含まれる。
【0061】
車両DB116には、事業者が所有する車両20の情報が登録されている。車両DB116には、例えば、車両20毎に、車両IDと、車両20の拠点である地点の地点IDとを含む車両情報が登録されている。
【0062】
なお、地点DB115及び車両DB116は、サーバ100とは別の装置に設けられていてもよい。例えば、地点DB115及び車両DB116のそれぞれがインターネット30に接続されており、サーバ100は地点DB115及び車両DB116にアクセスして、地点DB115及び車両DB116に登録されている情報を取得してもよい。
【0063】
[6.サーバの機能]
図6は、実施形態に係るサーバの機能の一例を示す機能ブロック図である。
【0064】
プロセッサ101が運行計画作成プログラム110を実行することにより、サーバ100は、入力部121と、動態管理データ取得部122と、トリップデータ作成部123と、生成部124と、算出部125と、判定部126と、作成部127と、出力部128との各機能を実行する。
【0065】
入力部121は、各車両20から送信された動態情報及び走行状態情報を受け付ける。
【0066】
動態管理データ取得部122は、入力部121が受け付けた動態情報を車両20毎に集約した動態管理データ111を作成する。動態管理データ111は、内燃機関車両である車両20の走行履歴を示すデータである。
【0067】
例えば、動態管理データ取得部122は、車両20が第1周期で取得した動態情報を、入力部121が受け付けたか否かを判定する。入力部121が動態情報を受け付けていれば、動態管理データ取得部122は、動態管理データ111に新たなレコードを追加し、追加したレコードに動態情報を書き込むことにより、動態管理データ111を更新する。このように、動態管理データ取得部122は、動態情報を順次蓄積することにより、動態管理データ111を作成する。動態管理データ取得部122は、作成した動態管理データ111を不揮発性メモリ102に格納する。
【0068】
図7は、動態管理データの一例を示す図である。動態管理データ111は、車両ID、時刻、位置、及び速度を含む。
【0069】
例えば、動態管理データ111の1つ目のレコードは、ある時刻(時刻「t01」)において車載システム21が取得した動態情報を示している。当該レコードにおいて、車両20の車両IDが「V001」であり、時刻が「t01」であり、車両20の位置(緯度,経度,標高)が「(N01,E01,H01)」であり、車両20の速度が「s01」である。動態管理データ111の2つ目のレコードは、時刻「t01」より後の時刻「t02」)において車載システム21が取得した動態情報を示している。当該レコードにおいて、車両20の車両IDが「V001」であり、時刻が「t02」であり、車両20の位置(緯度,経度,標高)が「(N02,E02,H02)」であり、車両20の速度が「s02」である。
【0070】
図6に戻り、動態管理データ取得部122は、入力部121が受け付けた走行状態情報を車両20毎に集約した走行状態管理データ112を作成する。
【0071】
例えば、動態管理データ取得部122は、車両20が第2周期で取得した走行状態情報を、入力部121が受け付けたか否かを判定する。入力部121が走行状態情報を受け付けていれば、動態管理データ取得部122は、走行状態管理データ112に新たなレコードを追加し、追加したレコードに走行状態情報を書き込むことにより、走行状態管理データ112を更新する。このように、動態管理データ取得部122は、走行状態情報を順次蓄積することにより、走行状態管理データ112を作成する。動態管理データ取得部122は、作成した走行状態管理データ112を不揮発性メモリ102に格納する。
【0072】
図8は、走行状態管理データの一例を示す図である。走行状態管理データ112は、車両ID、時刻、位置、及び走行状態情報を含む。
【0073】
例えば、走行状態管理データ112の1つ目のレコードは、ある時刻(時刻「t01」)において車載システム21が取得した走行状態情報を示している。当該レコードにおいて、車両20の車両IDが「V001」であり、時刻が「t01」であり、時刻「t01」における走行状態情報が「ON」である。
【0074】
図6に戻り、トリップデータ作成部123は、動態管理データ111及び走行状態管理データ112に基づいて、トリップデータ113を作成する。具体的な一例では、トリップデータ作成部123は、走行状態管理データ112により示される車両20の停止時間に基づいて、動態管理データ111を複数のトリップデータ113に分割する。
【0075】
トリップデータ作成部123は、走行状態管理データ112に基づいて、車両20の停止時間を算出する。具体的には、トリップデータ作成部123は、走行状態管理データ112において、走行状態情報が「OFF」の継続時間を停止時間として算出する。例えば、時刻「ts1」から時刻「te1」までの間、走行状態情報が「OFF」のレコードが連続している場合には、トリップデータ作成部123は、走行状態情報が「OFF」の継続時間である(te1-ts1)を車両20の停止時間として算出する。トリップデータ作成部123は、走行状態管理データ112において走行状態情報が「OFF」の連続するレコードの組毎に停止時間を算出する。
【0076】
トリップデータ作成部123は、各停止時間が予め定められた最大値以上であるかを判定する。トリップデータ作成部123は、最大値以上の停止時間の前後において、動態管理データ111を分割し、トリップデータ113を作成する。例えば、トリップデータ作成部123は、停止時間の間(上述の時刻ts1から時刻te1の間)における動態管理データ111のレコードを前のトリップデータ113に含め、当該停止時間の後における動態管理データ111のレコードを後のトリップデータ113に含めるように、動態管理データ111を分割する。これにより、車両20の出発地から到着地までの動態と、到着地における停止中の動態とが1つのトリップデータ113に含められる。
【0077】
ただし、トリップデータ113の作成方法はこれに限定されるものではない。例えば、トリップデータ作成部123は、動態管理データ111のうち、停止時間よりも前のレコードを前のトリップデータ113に含め、当該停止時間よりも後のレコードを後のトリップデータ113に含め、当該停止時間の間のレコードをトリップデータ113に含めないようにしてもよい。トリップデータ作成部123は、作成したトリップデータ113を不不揮発性メモリ102に格納する。
【0078】
図9A及び図9Bは、トリップデータ作成部123による動態管理データ111のトリップデータ113への分割を模式的に示した図である。図9Aは、トリップデータ113に分割される前の動態管理データ111を示しており、図9Bは、動態管理データ111から分割された後のトリップデータ113を示している。
【0079】
図9Aは、拠点、地点A、地点B、地点C、拠点の順に巡回する車両20の動態管理データ400を模式的に示す。例えば、地点Aはコンビニであり、地点Bは事業所であり、地点Cは取引先である。ここで、車両20は地点Aで3分間停止し、地点Bで60分間停止し、地点Cで30分間停止したことが走行状態管理データ112から分かったとする。停止時間の最大値は5分であるとする。この場合、地点B及び地点Cにおいて車両20の停止時間が最大値以上となるため、地点B及び地点Cの各停止時間の前後で動態管理データ600が分割される。地点Aの停止時間は最大値未満であるため、地点Aの停止時間の前後では動態管理データ600は分割されない。
【0080】
これにより、図9Bに示すような3つのトリップデータ401,402,403が作成される。トリップデータ401は、車両20が拠点を出発し、地点Aを経由して地点Bに到着し、地点Bを出発するまでの動態を示す。トリップデータ402は、車両20が地点Bを出発し、地点Cに到着し、地点Cを出発するまでの動態を示す。トリップデータ403は、車両20が地点Cを出発し、拠点に到着し、拠点を出発するまで、または動態管理データ111が終了するまでの動態を示す。
【0081】
図6に戻り、生成部124は、動態管理データ111に基づいて、消費電力量データ114を生成する。消費電力量データ114は、車両20を電気自動車に置き換えた場合における単位時間毎の消費電力量を示すデータである。
【0082】
具体的な一例では、生成部124は、動態管理データ111を分割したトリップデータ113に基づいて、消費電力量データ114を生成する。生成部124は、生成した消費電力量データ114を不揮発性メモリ102に格納する。
【0083】
生成部124は、トリップデータ113における速度情報に基づいて、車両20が移動状態であるか停止状態であるかを判定する。この判定は、トリップデータ113に含まれる各レコード(時刻)において行われる。生成部124は、速度が0km/hである場合、車両20が停止状態であると判定する。例えば、生成部124は、速度が、移動状態と判定するための閾値以上である場合、車両20が移動状態であると判定する。例えば、生成部124は、速度が閾値未満である場合、車両20が停止しているとみなす。閾値は、例えば2km/hである。
【0084】
図10は、トリップデータ113の一例を示す図である。トリップデータ113では、時刻t01から時刻t20のレコードの速度はすべて0である。時刻t21のレコードの速度は3km/hであり、停止とみなす速度2km/h以上である。つまり、車両20は時刻t21において動き出したと判断できる。
【0085】
時刻t_n1のレコードでは速度が4km/hであり、時刻t_n2のレコードでは速度が0km/hである。時刻t_n1のレコードの速度は4km/hであり、停止とみなす速度2km/h以上である。したがって、車両20は、時刻t_n2において停止したと判断できる。
【0086】
図6に戻り、生成部124は、トリップデータ113に基づいて、車両20の単位時間毎の移動距離を算出する。例えば、生成部124は、車両20が移動状態であると判定されたレコードの速度と、隣り合うレコード間の時間間隔とに基づいて、各レコードにおける移動距離を算出する。
【0087】
例えば、生成部124は、算出された各レコードの移動距離を単位時間毎に加算して、単位時間毎の移動距離を算出する。単位時間は、例えば30分である。つまり、生成部124は、トリップデータ113のレコードを単位時間毎にグループ化し、各グループのレコードにおける移動距離の和を、単位時間における移動距離として算出することができる。例えば、グループ化された残りのレコードが単位時間に満たない場合、生成部124は、残りのレコードをグループ化し、グループ化された残りのレコードの移動距離の和を、当該グループの単位時間における移動距離とすることができる。
【0088】
生成部124は、算出した単位時間毎の移動距離に基づいて、車両20を電気自動車に置き換えた場合における単位時間毎の消費電力量を算出する。例えば、生成部124は、予め設定された電気自動車の特性に基づいて、単位時間毎の移動距離から単位時間毎の消費電力量を算出することができる。電気自動車の特性には、電費及びバッテリ容量が含まれる。
【0089】
生成部124は、消費電力量データ114に新たなレコードを追加し、追加したレコードに移動距離及び消費電力量を書き込むことにより、消費電力量データ114を更新する。
【0090】
図11は、消費電力量データ114の一例を示す図である。図11では、ある1日における車両ID「V001」及び「V002」の各車両20についての消費電力量データを示している。図11に示すように、消費電力量データ114は、車両20(車両ID)毎のカラム(列)を含む。
【0091】
図11の例では、車両ID「V001」の8:00(8:00~8:30の30分間)における移動距離が「30km」であり、消費電力量が「4.5kWh」である。車両ID「V001」の8:30における移動距離が「50km」であり、消費電力量が「7.5kWh」である。車両ID「V001」の9:00における移動距離が「20km」であり、消費電力量が「3kWh」である。車両ID「V002」の10:00における移動距離が「35km」であり、消費電力量が「5.25kWh」である。車両ID「V002」の10:30における移動距離が「45km」であり、消費電力量が「6.75kWh」である。車両ID「V002」の11:00における移動距離が「40km」であり、消費電力量が「6kWh」である。
【0092】
生成部124は、トリップデータ113における車両20の位置情報に基づいて、停止状態である車両20が停止している地点を特定する。具体的な一例では、生成部124は、地点DB115(図5参照)を参照し、トリップデータ113における車両20の位置情報と、地点DB115に登録されている位置情報とを比較する。生成部124は、トリップデータ113における車両20の位置情報と、地点DB115に登録されている位置情報とが予め定められた誤差範囲内で一致している場合には、車両20の位置が、地点DB115に登録されている地点であると判定する。
【0093】
生成部124は、例えば、車両DB116(図5参照)を参照し、特定された地点が車両20の拠点であるか否かを判定する。具体的な一例では、生成部124は、車両20が停止している地点が拠点である場合には、移動距離及び消費電力量を「NULL」に設定する。図11では、「NULL」を「-」で示している。図11の例において、車両ID「V001」の7:00及び7:30における移動距離及び消費電力量が「NULL」である。すなわち、車両ID「V001」の車両20は、7:00及び7:30において拠点に停止している。車両ID「V002」の7:00~9:30における移動距離及び消費電力量が「NULL」である。すなわち、車両ID「V001」の車両20は、7:00~9:30において拠点に停止している。
【0094】
図6に戻り、算出部125は、生成部124によって生成された消費電力量データ114において示される単位時間毎の消費電力量に基づいて、単位時間毎の需要電力量を算出する。需要電力量は、電気自動車の充電電力量を含む。
【0095】
具体的な一例では、算出部125は、消費電力量データ114において、出発地点から、充電設備が配置された充電地点まで車両20が走行する期間における消費電力量を、車両20の充電池点における滞在期間に移し、滞在期間における単位時間毎の需要電力量を算出する。
【0096】
出発地点は、例えば前回の充電地点である。すなわち、消費電力量は、前回充電してからの消費電力量である。例えば、拠点は充電地点である。ただし、拠点以外の地点が充電地点であってもよい。車両20が滞在する地点が充電地点であるか否かは、地点DB115における充電設備情報を用いて特定される。
【0097】
図12は、図11における消費電力量データ114の一部を示す図である。図12の例では、図11における車両ID「V001」のデータを示している。図12において、車両ID「V001」の車両20は、8:00迄は拠点に滞在しており、8:00~9:30は移動状態であり、9:30~13:00は地点Dに滞在しており、13:00~14:30は移動状態であり、14:30~16:00は拠点に滞在している。この例において、地点Dは充電地点ではない非充電地点であり、拠点は充電地点である。
【0098】
図12において、車両20は、前回の充電地点である拠点を出発し、地点Aを経由して次回の充電地点である拠点へ移動する。車両20が移動状態である8:00~9:30及び13:00~14:30のそれぞれの期間は、出発地点である拠点から、充電地点である拠点まで車両20が走行する期間の例である。図12において、車両20が拠点に滞在する14:30~16:00の期間は、車両20の充電池点における滞在期間の例である。図12の例では、算出部125は、8:00~9:30及び13:00~14:30の各期間における消費電力量を、14:30~16:00の期間に移す。
【0099】
図13は、消費電力量を車両20の充電地点における滞在期間に移した後の消費電力量データの一部を示す図である。電気自動車が前回の充電を完了してから、次回の充電を開始するまでに消費した電力量を、次回の充電における充電電力量とする。図13の例では、前回拠点を出発した時刻(8:00)から次回拠点に到着した時刻(14:30)迄の期間における消費電力量の総和が、充電電力量である。この充電電力量は、8:00~9:30及び13:00~14:30の各期間における消費電力量に一致する。
【0100】
算出部125は、8:00~14:30の期間の消費電力量の総和「30kWh」を、車両20が拠点に滞在する14:30~16:00の期間に移す。この消費電力量「30kWh」が、14:30~16:00の滞在期間における充電電力量である。算出部125は、滞在期間における充電電力量「30kWh」を単位時間(30分)で平均し、単位時間毎の充電電力量「10kWh」を算出する。算出部125は、算出した単位時間毎の充電電力量「10kWh」を、滞在期間の各レコードに割り当てる。
【0101】
算出部125は、例えば、算出した各車両20の充電電力量に、家屋における消費電力量である家屋電力量を単位時間毎に加算して、単位時間毎の需要電力量を算出する。
【0102】
図14は、需要電力量の算出を説明するための図である。図14の例では、車両ID「V100」及び「V200」の単位時間毎の充電電力量を示している。車両ID「V0001」については、14:30迄の各単位時間における充電電力量は「0kWh」であり、14:30~16:00の各単位時間における充電電力量は「10kWh」であり、16:00以降の各単位時間における充電電力量は「0kWh」である。車両ID「V0002」については、13:30迄の各単位時間における充電電力量は「0kWh」であり、13:30~15:30の各単位時間における充電電力量は「8.75kWh」であり、15:30以降の各単位時間における充電電力量は「0kWh」である。
【0103】
家屋電力量は、例えば、事業者における過去の1日の消費電力量の実績データ、又は、特定の期間における過去の単位時間毎の消費電力量の平均データである。
【0104】
算出部125は、単位時間毎に、車両20の充電電力量及び家屋電力量の和を、需要電力量として算出する。
【0105】
図6に戻り、判定部126は、算出部125によって算出された単位時間毎の需要電力量が、電気事業者によって供給される単位時間毎の供給電力量の上限値を超えるか否かを判定する。以下、電気事業者によって供給される単位時間毎の供給電力量の上限値を「契約電力量」という。
【0106】
図14を参照する。図14の例において、単位時間毎の契約電力量を「170kWh」とする。図14の例では、全ての時刻における需要電力量が契約電力量以下である。すなわち、この場合、判定部126は、単位時間毎の需要電力量が、単位時間毎の契約電力量を超えないと判定する。
【0107】
図6に戻り、作成部127は、判定部126によって、単位時間毎の需要電力量が、単位時間毎の契約電力量を超えないと判定された場合に、車両20の運行計画120を作成する。この場合、作成部127は、単位時間毎に、車両20の移動期間と、車両20の地点における滞在期間及びその地点とを規定した運行計画120を作成することができる。運行計画120は、車両20が電気自動車である場合における充電計画を含んでもよい。
【0108】
作成部127は、生成部124によって生成された消費電力量データ114に基づいて、運行計画120を作成することができる。例えば、作成部127は、車両20が停止状態である期間を、その期間において車両20が滞在する地点における滞在期間とし、車両20が移動状態である期間を移動期間として、運行計画120を作成することができる。例えば、作成部127は、車両20が充電地点に滞在する期間を、算出部125によって算出された充電電力を充電するための充電期間として、充電期間を運行計画120に含めてもよい。
【0109】
図15は、運行計画の一例を示す図である。図15の例における運行計画500では、車両ID「V001」について、8:00迄が拠点における滞在期間であり、8:00~9:30が車両20が100km移動するための移動期間であり、9:30~13:00が地点Dにおける滞在期間であり、13:00~14:30が車両20が100km移動するための移動期間であり、14:30~16:00が拠点における滞在期間である。14:30~16:00は、充電電力30kWhの充電期間でもある。車両ID「V002」について、10:00迄が拠点における滞在期間であり、10:00~11:30が車両20が120km移動するための移動期間であり、11:30~12:00が地点Eにおける滞在期間であり、12:00~13:30が車両20が120km移動するための移動期間であり、13:30~15:30が拠点における滞在期間である。13:30~15:30は、充電電力36kWhの充電期間でもある。
【0110】
図14を参照する。図14の例において、単位時間毎の契約電力量を「150kWh」とする。図14の例では、時刻「15:30」(15:30~16:00の期間)における需要電力量が「160kWh」であり、契約電力量「150kWh」を超える。この場合、作成部127は、運行計画を作成しない。
【0111】
図6に戻る。判定部126によって、単位時間毎の需要電力量が、単位時間毎の契約電力量を超えると判定された場合、生成部124は、車両20の移動位置の制限を除いたときの電気自動車の単位時間毎の消費電力量を示す第1変更消費電力量データを生成することができる。以下、車両20の移動位置の制限を解除することを、「第1制限解除」ともいう。
【0112】
例えば、生成部124は、消費電力量データ114における車両20の滞在地点を、当該滞在地点とは異なる地点に変更し、変更した地点に基づいて第1変更消費電力量データ117を生成することができる。例えば、生成部124は、滞在地点を、車両20が出発地点から滞在地点へ移動するための移動距離よりも出発地点からの移動距離が短い地点に変更することができる。
【0113】
図16は、第1変更消費電力量データの生成の一例を説明するための図である。図16の例では、消費電力量データ114において、車両ID「V001」の車両20が、拠点から地点Dに移動し、その移動距離は100kmである。例えば、生成部124は、地点DB115を参照し、拠点からの距離が地点Dよりも短い地点D1を選択する。生成部124は、選択した地点D1に滞在地点を変更し、拠点から地点D1までの移動距離及び消費電力量を算出することができる。図16の例では、滞在地点の変更によって、8:00における消費電力量が4.5kWhから1.5kWhに変更され、8:30における消費電力量が7.5kWhから2.5kWhに変更され、9:00における消費電力量が3kWhから1kWhに変更され、13:00における消費電力量が1.5kWhから0.5kWhに変更され、13:30における消費電力量が9kWhから3kWhに変更され、14:00における消費電力量が4.5kWhから1.5kWhに変更されている。
【0114】
図6に戻り、算出部125は、生成部124によって生成された第1変更消費電力量データ117において示される単位時間毎の消費電力量に基づいて、単位時間毎の第1変更需要電力量を算出する。すなわち、算出部125は、図14によって説明した需要電力量の算出と同様にして、第1変更消費電力量データ117から算出した各車両20の充電電力量に、家屋電力量を単位時間毎に加算して、単位時間毎の需要電力量を算出する。算出部125は、算出した単位時間毎の需要電力量を第1変更需要電力量とする。
【0115】
判定部126は、算出部125によって算出された単位時間毎の第1変更需要電力量が、単位時間毎の契約電力量を超えるか否かを判定する。
【0116】
作成部127は、判定部126によって、単位時間毎の第1変更需要電力量が、単位時間毎の契約電力量を超えないと判定された場合に、第1変更消費電力量データ117に基づいて、車両20の運行計画を作成する。第1変更消費電力量データ117に基づく運行計画の作成は、消費電力量データ114に基づく運行計画120の作成と同様であるので、説明を省略する。
【0117】
判定部126によって、単位時間毎の需要電力量が、単位時間毎の契約電力量を超えると判定された場合、又は、単位時間毎の第1変更需要電力量が、単位時間毎の契約電力量を超えると判定された場合、生成部124は、車両20の移動時間の制限を除いたときの電気自動車の単位時間毎の消費電力量を示す第2変更消費電力量データを生成することができる。以下、車両20の移動時間の制限を解除することを、「第2制限解除」ともいう。
【0118】
例えば、生成部124は、消費電力量データ114における車両20の移動期間を、当該移動期間とは異なる期間に変更し、変更した移動期間に基づいて第2変更消費電力量データ118を生成することができる。例えば、生成部124は、複数の車両20の同じ拠点における滞在期間の重複を抑制するように、車両20の移動期間を変更することができる。
【0119】
図17は、第2変更消費電力量データの生成の一例を説明するための図である。図17の例では、消費電力量データ114において、拠点から地点Dへの車両ID「V001」の車両20の移動期間が8:00~9:30であり、地点Dから拠点への移動期間が13:00~14:30である。図11の例では、車両ID「V001」の車両20の拠点における滞在期間と、車両ID「V002」の車両20の拠点における滞在期間とが、14:30~15:30において重複している。例えば、生成部124は、車両ID「V001」の車両20の拠点における滞在期間が、14:30~16:00から15:30~17:00へ変更されるように、車両20の移動期間を変更する。具体的には、生成部124は、車両ID「V001」の車両20の移動期間を8:00~9:30から9:00~10:30へ変更し、地点Dから拠点への移動期間を13:00~14:30から14:00~15:30へ変更する。
【0120】
図6に戻り、算出部125は、生成部124によって生成された第2変更消費電力量データ118において示される単位時間毎の消費電力量に基づいて、単位時間毎の第2変更需要電力量を算出する。すなわち、算出部125は、図14によって説明した需要電力量の算出と同様にして、第2変更消費電力量データ118から算出した各車両20の充電電力量に、家屋電力量を単位時間毎に加算して、単位時間毎の需要電力量を算出する。算出部125は、算出した単位時間毎の需要電力量を第2変更需要電力量とする。
【0121】
判定部126は、算出部125によって算出された単位時間毎の第2変更需要電力量が、単位時間毎の契約電力量を超えるか否かを判定する。
【0122】
作成部127は、判定部126によって、単位時間毎の第2変更需要電力量が、単位時間毎の契約電力量を超えないと判定された場合に、第2変更消費電力量データ118に基づいて、車両20の運行計画を作成する。第2変更消費電力量データ118に基づく運行計画の作成は、消費電力量データ114に基づく運行計画120の作成と同様であるので、説明を省略する。
【0123】
判定部126によって、単位時間毎の需要電力量が、単位時間毎の契約電力量を超えると判定された場合、単位時間毎の第1変更需要電力量が、単位時間毎の契約電力量を超えると判定された場合、又は、単位時間毎の第2変更需要電力量が、単位時間毎の契約電力量を超えると判定された場合、生成部124は、車両20を置き換える電気自動車の特性を変更したときの単位時間毎の消費電力量を示す第3変更消費電力量データを生成することができる。以下、車両20を置き換える電気自動車の特性の制限を解除することを、「第3制限解除」ともいう。
【0124】
例えば、生成部124は、消費電力量データ114において車両20が置き換えられる電気自動車の特性として、電費又はバッテリ容量を変更することができる。電費を変更した場合は、移動距離に対する消費電力量が変化する。バッテリ容量を変更した場合には、車両20の航続距離が変化し、充電期間を変更することができる。例えば、変更前のバッテリ容量では、車両20が充電地点へ立ち寄って充電を行った後に、目的の地点に移動する必要がある場合に、バッテリ容量を増加することで、車両20が充電地点に立ち寄らずに目的の地点に移動することができる。
【0125】
例えば、生成部124は、消費電力量データ114において車両20が置き換えられる車両の種類を、電気自動車から内燃機関車両に変更することができる。この場合、例えば、車両の特性としての電費が無限大となり、消費電力量が「0」となる。
【0126】
図18は、第3変更消費電力量データの生成の一例を説明するための図である。図18の例では、車両20が置き換えられる車両の種類を、内燃機関車両としたときの消費電力量の変化を示している。図18の例では、全ての時刻における消費電力量が「0」に変更される。
【0127】
図6に戻り、算出部125は、生成部124によって生成された第3変更消費電力量データ119において示される単位時間毎の消費電力量に基づいて、単位時間毎の第3変更需要電力量を算出する。すなわち、算出部125は、図14によって説明した需要電力量の算出と同様にして、第3変更消費電力量データ119から算出した各車両20の充電電力量に、家屋電力量を単位時間毎に加算して、単位時間毎の需要電力量を算出する。算出部125は、算出した単位時間毎の需要電力量を第3変更需要電力量とする。
【0128】
判定部126は、算出部125によって算出された単位時間毎の第3変更需要電力量が、単位時間毎の契約電力量を超えるか否かを判定する。
【0129】
作成部127は、判定部126によって、単位時間毎の第3変更需要電力量が、単位時間毎の契約電力量を超えないと判定された場合に、第3変更消費電力量データ119に基づいて、車両20の運行計画を作成する。第3変更消費電力量データ119に基づく運行計画の作成は、消費電力量データ114に基づく運行計画120の作成と同様であるので、説明を省略する。
【0130】
出力部128は、作成部127によって作成された運行計画120を出力する。例えば、出力部128は、端末300へ運行計画120の表示用のデータを送信することができる。端末300は、受信したデータに基づいて、運行計画120を表示することができる。出力部128は、例えば、サーバ100に設けられた図示しない表示装置に、運行計画120を表示させてもよい。
【0131】
[7.運行計画作成システムの動作]
以下、実施形態に係る運行計画作成システム10の動作を説明する。
【0132】
情報生成装置200のプロセッサ201は、情報生成プログラム210を実行する。GNSS受信機22は、位置情報及び時刻情報を第1周期で情報生成装置200へ送信する。速度センサ23は、速度情報を第1周期で情報生成装置200へ送信する。情報生成装置200は、GNSS受信機22から送信された位置情報及び時刻情報、並びに速度センサ23から送信された速度情報を受信し、受信した位置情報、時刻情報、速度情報に基づいて動態情報を生成する。情報生成装置200は、生成した動態情報を通信装置24を介してサーバ100へ送信する。
【0133】
情報生成装置200は、車両20の走行状態を示す走行状態情報を第2周期毎に生成する。情報生成装置200は、生成した走行状態情報を通信装置24を介してサーバ100へ送信する。
【0134】
サーバ100のプロセッサ101は、運行計画作成プログラム110を実行することにより、動態管理データ作成処理、トリップデータ作成処理、消費電力量データ作成処理、及び運行計画作成処理を実行する。
【0135】
図19は、実施形態に係るサーバによる動態管理データ作成処理の一例を示すフローチャートである。
【0136】
プロセッサ101は、車両20が第1周期(例えば、3秒周期)で取得した動態情報を受信しているか否かを判定する(ステップS101)。
【0137】
動態情報を受信している場合には(ステップS101においてYES)、プロセッサ101は、動態管理データ111にレコードを追加し、追加したレコードに動態情報を書き込むことにより、動態管理データ111を更新する(ステップS102)。なお、プロセッサ101は、複数の動態情報を纏めて受信した場合には、動態情報の数だけ動態管理データ111にレコードを追加する。動態管理データ111を更新すると、プロセッサ101は、ステップS103へ移る。
【0138】
サーバ100が動態情報を受信していない場合には(ステップS101においてNO)、プロセッサ101は、ステップS103へ移る。
【0139】
プロセッサ101は、車両20が第2周期(例えば、3分周期)で取得した走行状態情報を、サーバ100が受信しているか否かを判定する(ステップS103)。
【0140】
走行状態情報を受信している場合には(ステップS103においてYES)、プロセッサ101は、走行状態管理データ112にレコードを追加し、追加したレコードに走行状態情報を書き込むことにより、走行状態管理データ112を更新する(ステップS104)。プロセッサ101は、複数の走行状態情報を纏めて受信した場合には、走行状態情報の数だけ走行状態管理データ112にレコードを追加する。走行状態管理データ112を更新すると、プロセッサ101は、動態管理データ作成処理を終了する。
【0141】
サーバ100が走行状態情報を受信していない場合には(ステップS103においてNO)、プロセッサ101は、動態管理データ作成処理を終了する。
【0142】
図20は、実施形態に係るサーバによるトリップデータ作成処理の一例を示すフローチャートである。
【0143】
プロセッサ101は、走行状態管理データ112に基づいて、車両20の停止時間を算出する。つまり、プロセッサ101は、走行状態管理データ112において、走行状態情報が「OFF」の継続時間を停止時間として算出する(ステップS201)。
【0144】
プロセッサ101は、算出した最初の停止時間を選択する(ステップS202)。
【0145】
プロセッサ101は、選択している停止時間(停止時間の時間長)があらかじめ定められた最大値以上であるか否かを判定する(ステップS203)。
【0146】
停止時間が最大値以上の場合には(ステップS203においてYES)、プロセッサ101は、動態管理データ111を、選択した停止時間の前後でトリップデータ113に分割する(ステップS204)。動態管理データ111からトリップデータ113を分割すると、プロセッサ101は、ステップS205へ移る。
【0147】
選択した停止時間が最大値未満である場合には(ステップS203においてNO)、プロセッサ101は、車両20の出発地から到着地への移動中の一時的な停車と判断し、ステップS205へ移る。
【0148】
プロセッサ101は、選択した停止時間が、動態管理データ111における最後の停止時間であるか否かを判定する(ステップS205)。選択した停止時間が最後の停止時間ではない場合(ステップS205においてNO)、プロセッサ101は、ステップS202に戻り、次の停止時間を選択する。
【0149】
選択した停止時間が最後の停止時間である場合(ステップS205においてNO)、プロセッサ101は、トリップデータ作成処理を終了する。
【0150】
図21は、実施形態に係るサーバによる消費電力量データ作成処理の一例を示すフローチャートである。
【0151】
プロセッサ101は、例えば車両DB116を参照し、車両IDを1つ選択する(ステップS301)。プロセッサ101は、選択した車両IDの最初のトリップデータ113を不揮発性メモリ102から読み出す(ステップS302)。
【0152】
プロセッサ101は、読み出したトリップデータ113における最初の単位時間分(30分)のレコードを選択する(ステップS303)。
【0153】
プロセッサ101は、選択したレコードにおいて、車両20が停止状態であるか否かを判定する(ステップS304)。車両20が停止状態である場合(ステップS304においてYES)、プロセッサ101は、地点DB115を参照し、選択したレコードにおける車両位置が拠点であるか否かを判定する(ステップS305)。
【0154】
車両位置が拠点である場合(ステップS305においてYES)、プロセッサ101は、移動距離及び消費電力量のそれぞれを「NULL」に決定する(ステップS306)。
車両位置が拠点ではない場合(ステップS305においてNO)、プロセッサ101は、移動距離及び消費電力量のそれぞれを「0」に決定する(ステップS307)。
【0155】
選択したレコードにおいて、車両20が停止状態ではない、すなわち車両20が移動状態である場合には(ステップS304においてNO)、プロセッサ101は、各レコードにおける速度と、レコード間の時間間隔とに基づいて、車両20の移動距離を算出する(ステップS308)。プロセッサ101は、算出した移動距離に基づいて、車両20を電気自動車に置き換えた場合における消費電力量を算出する(ステップS309)。
【0156】
プロセッサ101は、消費電力量データ114における新しいレコードに移動距離及び消費電力量を書き込み、消費電力量データ114を更新する(ステップS310)。
【0157】
プロセッサ101は、読み出したトリップデータ113における最後の単位時間分のレコードを既に選択したか否かを判定する(ステップS311)。読み出したトリップデータ113における最後の単位時間分のレコードをまだ選択していない場合(ステップS311においてNO)、プロセッサ101は、読み出したトリップデータ113における次の単位時間分のレコードを選択し(ステップS312)、ステップS304に戻る。
【0158】
読み出したトリップデータ113における最後の単位時間分のレコードを既に読み出している場合(ステップS311においてYES)、プロセッサ101は、選択した車両IDの最後のトリップデータ113を既に読み出したか否かを判定する(ステップS313)。選択した車両IDの最後のトリップデータ113をまだ読み出していない場合(ステップS313においてNO)、プロセッサ101はステップS302に戻り、選択した車両IDの次のトリップデータ113を読み出す。
【0159】
選択した車両IDの最後のトリップデータ113を既に読み出している場合(ステップS313においてYES)、プロセッサ101は、全ての車両IDを既に選択済みであるか否かを判定する(ステップS314)。まだ選択していない車両IDが残っている場合(ステップS314においてNO)、プロセッサ101はステップS301に戻り、未選択の車両IDのなかの1つを選択する。
【0160】
全ての車両IDを既に選択済みである場合(ステップS314においてYES)、プロセッサ101は消費電力量データ作成処理を終了する。
【0161】
図22は、実施形態に係るサーバによる運行計画作成処理の一例を示すフローチャートである。
【0162】
プロセッサ101は、消費電力量データ114を不揮発性メモリ102から読み出す(ステップS401)。
【0163】
プロセッサ101は、車両ID毎に、移動期間における消費電力量を、当該移動期間の後の充電地点における滞在期間に移す(ステップS402)。このとき、プロセッサ101は、消費電力量を単位時間で平均して単位時間毎の充電電力を算出し、充電電力を滞在期間の各レコードに均等に振り分ける。
【0164】
プロセッサ101は、消費電力量データ114の最初のレコードを選択する(ステップS403)。プロセッサ101は、選択したレコードにおける全ての車両IDの充電電力量と、家屋電力量とを加算し、需要電力量を算出する(ステップS404)。
【0165】
プロセッサ101は、消費電力量データ114の最後のレコードを既に選択済みであるか否かを判定する(ステップS405)。最後のレコードをまだ選択していない場合(ステップS405においてNO)、プロセッサ101は、消費電力量データ114の次のレコードを選択し(ステップS406)、ステップS404に戻る。
【0166】
消費電力量データ114の最後のレコードを既に選択済みである場合(ステップS405においてYES)、プロセッサ101は、算出した全ての需要電力量が契約電力量以下であるか否かを判定する(ステップS407)。
【0167】
全ての需要電力量が契約電力量以下である場合(ステップS406においてYES)、プロセッサ101は、消費電力量データ114に基づいて、運行計画120を作成する(ステップS408)。
【0168】
例えば、ユーザは、端末300を操作して、サーバ100に運行計画120の送信を要求することができる。サーバ100のプロセッサ101は、例えば端末300からの要求に応じて、端末300へ運行計画120を表示するためのデータを送信する。端末300は、サーバ100から受信したデータを用いて、運行計画120を表示する(ステップS409)。以上で、運行計画作成処理が終了する。
【0169】
一部の需要電力量が契約電力量を超える場合(ステップS406においてNO)、プロセッサ101は、第1制限解除(車両20の移動位置の制限解除)、第2制限解除(車両20の移動時間の制限解除)、及び第3制限解除(車両20を置き換える電気自動車の特性の制限解除)のうちの1つを選択する(ステップS410)。例えば、ユーザは端末300を操作して、第1制限解除、第2制限解除、及び第3制限解除のうちの1つを指定することができる。サーバ100のプロセッサ101は、ステップS410において、第1制限解除、第2制限解除、及び第3制限解除のうち、ユーザから指定された1つを選択することができる。他の例では、プロセッサ101は、第1制限解除、第2制限解除、及び第3制限解除を順番に選択してもよい。
【0170】
第1制限解除が選択された場合(ステップS410において「第1制限解除」)、プロセッサ101は、消費電力量データ114における車両20の滞在地点を、当該滞在地点とは異なる地点に変更し、変更した地点に基づいて第1変更消費電力量データ117を生成する(ステップS411)。プロセッサ101は、ステップS402に戻り、生成した第1変更消費電力量データを用いて、ステップS402~S407の処理を実行する。これにより、プロセッサ101は、単位時間毎の第1変更需要電力量を算出し、ステップS407において、全ての第1変更需要電力量が契約電力量以下であるか否かを判定する。
【0171】
全ての第1変更需要電力量が契約電力量以下である場合、プロセッサ101は、第1変更消費電力量データ117に基づいて、運行計画120を作成する(ステップS408)。
【0172】
第2制限解除が選択された場合(ステップS410において「第2制限解除」)、プロセッサ101は、消費電力量データ114における車両20の移動期間を、当該移動期間とは異なる期間に変更し、変更した移動期間に基づいて第2変更消費電力量データ118を生成する(ステップS412)。プロセッサ101は、ステップS402に戻り、生成した第2変更消費電力量データを用いて、ステップS402~S407の処理を実行する。これにより、プロセッサ101は、単位時間毎の第2変更需要電力量を算出し、ステップS407において、全ての第2変更需要電力量が契約電力量以下であるか否かを判定する。
【0173】
全ての第2変更需要電力量が契約電力量以下である場合、プロセッサ101は、第2変更消費電力量データ118に基づいて、運行計画120を作成する(ステップS408)。
【0174】
第3制限解除が選択された場合(ステップS410において「第3制限解除」)、プロセッサ101は、車両20が置き換えられる電気自動車の特性を変更し、第3変更消費電力量データ119を生成する(ステップS413)。プロセッサ101は、ステップS402に戻り、生成した第2変更消費電力量データを用いて、ステップS402~S407の処理を実行する。これにより、プロセッサ101は、単位時間毎の第3変更需要電力量を算出し、ステップS407において、全ての第3変更需要電力量が契約電力量以下であるか否かを判定する。
【0175】
全ての第3変更需要電力量が契約電力量以下である場合、プロセッサ101は、第3変更消費電力量データ119に基づいて、運行計画120を作成する(ステップS408)。
【0176】
以上のような運行計画作成システム10によれば、内燃機関車両である車両20を電気自動車に置き換えたときの需要電力量が契約電力量を超えるか否かを評価することができる。したがって、事業者は、この評価結果を用いて、電気自動車の導入を検討することができる。さらに、作成した運行計画120を用いて、内燃機関車両である車両20を電気自動車に置き換えたときの電気料金をシミュレーションすることもできる。
【0177】
[8.変形例]
上述した実施形態では、車両20の車載システム21における情報生成装置200が、動態情報及び走行状態情報を取得し、取得した動態情報及び走行状態情報をサーバ100へ送信したが、これに限定されない。例えば、GNSS受信機及び加速度センサを内蔵するスマートフォン等の携帯情報端末を車両20の運転者が所持し、この携帯情報端末によって動態情報及び走行状態情報を取得し、携帯情報端末が動態情報及び走行状態情報をサーバ100へ送信してもよい。
【0178】
[9.補記]
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的ではない。本発明の権利範囲は、上述の実施形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及びその範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0179】
10 運行計画作成システム
20 車両
21 車載システム
22 GNSS受信機
23 速度センサ
24 通信装置
25 通信線
40 基地局
30 インターネット
100 サーバ(運行計画作成装置)
101 プロセッサ
102 不揮発性メモリ
103 揮発性メモリ
104 通信インタフェース
110 運行計画作成プログラム
111 動態管理データ
112 走行状態管理データ
113 トリップデータ
114 消費電力量データ
115 地点データベース(地点DB)
116 車両データベース(車両DB)
117 第1変更消費電力量データ
118 第2変更消費電力量データ
119 第3変更消費電力量データ
120 運行計画
121 入力部
122 動態管理データ取得部
123 トリップデータ作成部
124 生成部
125 算出部
126 判定部
127 作成部
128 出力部
200 情報生成装置
201 プロセッサ
202 不揮発性メモリ
203 揮発性メモリ
204 通信インタフェース
210 情報生成プログラム
221 入力部
222 動態情報生成部
223 走行状態確認部
224 出力部
300 端末
400 動態管理データ
401,402,403 トリップデータ
500 運行計画
600 動態管理データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22