(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115738
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】巻取ドラム仕切り設置具、および仕切り付き巻取ドラム
(51)【国際特許分類】
B65H 75/14 20060101AFI20240820BHJP
【FI】
B65H75/14
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021554
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000238049
【氏名又は名称】冨士電線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三沢 満
(72)【発明者】
【氏名】丸尾 久雄
【テーマコード(参考)】
3F058
【Fターム(参考)】
3F058AB03
3F058AC06
3F058AC14
3F058BB11
3F058BB12
3F058BB13
3F058DA05
3F058DB09
3F058JA01
(57)【要約】
【課題】巻取ドラムに仕切りを設置することができる巻取ドラム仕切り設置具を提供すること。
【解決手段】巻取ドラム(200)の巻胴(210)に巻きつけられるための帯状体(310)と、前記帯状体(310)上に、前記帯状体(310)の長手方向に沿って配置された複数の仕切り部(320)と、を有することを特徴とする、巻取ドラム仕切り設置具(300)。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻取ドラムの巻胴に巻きつけられるための帯状体と、
前記帯状体上に、前記帯状体の長手方向に沿って配置された複数の仕切り部と、
を有することを特徴とする、巻取ドラム仕切り設置具。
【請求項2】
請求項1に記載の巻取ドラム仕切り設置具において、
前記複数の仕切り部の間隔は、少なくとも1つの間隔が他の間隔より広いことを特徴とする、巻取ドラム仕切り設置具。
【請求項3】
請求項1に記載の巻取ドラム仕切り設置具において、
前記複数の仕切り部は、前記帯状体の短手方向において前記帯状体の一端から突出するように配置されていることを特徴とする、巻取ドラム仕切り設置具。
【請求項4】
請求項1に記載の巻取ドラム仕切り設置具において、
前記巻胴に対して着脱可能であることを特徴とする、巻取ドラム仕切り設置具。
【請求項5】
請求項1に記載の巻取ドラム仕切り設置具において、
前記帯状体は、金属板または樹脂板であり、
前記複数の仕切り部は、木材を含み、タッピングネジにより前記帯状体に固定されていることを特徴とする、巻取ドラム仕切り設置具。
【請求項6】
巻取ドラムと、
前記巻取ドラムの前記巻胴に取り付けられた請求項1~5のいずれかに記載の巻取ドラム仕切り設置具と、
を有することを特徴とする、仕切り付き巻取ドラム。
【請求項7】
請求項6に記載の仕切り付き巻取ドラムにおいて、
前記帯状体上に配置され、前記巻取ドラムに巻き取られる線状体と前記帯状体との接触を防ぐための保護シートをさらに有することを特徴とする、仕切り付き巻取ドラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻取ドラム仕切り設置具、および仕切り付き巻取ドラムに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば光ファイバなどの線状体を巻き取る巻取ドラムが知られている。また、このような巻取ドラムにおいて、線状体を巻き取る部分である巻胴に仕切りを設けることも知られている。このような仕切り付き巻取ドラムは、巻胴が、仮巻き部と、本巻き部とに仕切られている。たとえば、特許文献1は、このような仕切り付き巻取ドラムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような仕切り付き巻取ドラムに線状体を巻き取る場合、最初に線状体の一端を仮巻き部に少し巻き、次に、線状体の残りの大部分を本巻き部に巻いていく。このようにすると、線状体の一端は仮巻き部の表面に露出し、他端は本巻き部の表面に露出し、巻き取り後であっても線状体の両端にアクセスしやすくなる。このような、線状体が例えば光ファイバである場合、光ファイバの両端が表面に露出しているため、例えば、両端に対して光コネクタを取り付けるなどの操作がしやすくなる。
【0005】
上記の様な仕切り付き巻取ドラムは受注生産品であるため納期に時間がかかることがあり、突発的な受注増には対応しにくいことがある。
【0006】
本発明の目的は、巻取ドラムに仕切りを設置することができる巻取ドラム仕切り設置具、および当該巻取ドラム仕切り設置具を有する仕切り付き巻取ドラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明の一態様によれば、
巻取ドラムの巻胴に巻きつけられるための帯状体と、
前記帯状体上に、前記帯状体の長手方向に沿って配置された複数の仕切り部と、
を有することを特徴とする、巻取ドラム仕切り設置具が提供される。
【0008】
上記課題を解決するため本発明の一態様によれば、
巻取ドラムと、
前記巻取ドラムの巻胴に取り付けられた上記の巻取ドラム仕切り設置具と、
を有することを特徴とする、仕切り付き巻取ドラムが提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、巻取ドラムに仕切りを設置することができる巻取りドラム仕切り設置具、および当該巻取ドラム仕切り設置具を有する仕切り付き巻取ドラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1Aは、本発明の実施の形態に係る仕切り付き巻取ドラムの斜視図であり、
図1Bは、本発明の実施の形態に係る仕切り付き巻取ドラムに線状体が巻き付けられた状態を示す図である。
【
図2】
図2Aは、巻取ドラムの斜視図であり、
図2Bは、巻取ドラム仕切り設置具の表側から見た斜視図である。
【
図3】
図3Aは、巻取ドラム仕切り設置具の裏側から見た斜視図であり、
図3B、Cは、巻取ドラム仕切り設置具の部分拡大図である。
【
図4】
図4は、線状体が仮巻き部から本巻き部に進入する態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施の形態に係る、仕切り付き巻取ドラムについて説明する。
【0012】
図1Aは、仕切り付き巻取ドラム100の斜視図を示す。
図1Aに示されるように、仕切り付き巻取ドラム100は、巻取ドラム200と、巻取ドラム仕切り設置具300とを有する。
【0013】
仕切り付き巻取ドラム100は、巻取ドラム200に、巻取ドラム仕切り設置具300を取り付けることで得ることができる。具体的には、仕切り付き巻取ドラム100は、巻取ドラム200の巻胴210に、巻取ドラム仕切り設置具300を、巻きつけるようにして取り付けることで得ることができる。
得られた仕切り付き巻取ドラム100においては、巻取ドラム200の巻胴210が、仮巻き部110aと、本巻き部110bとに仕切られている。
【0014】
図1Bは、上記のような仕切り付き巻取りドラム100に、線状体10(本実施の形態においては光ファイバ)が巻き付けられた状態を示す。
【0015】
図1Bに示されるように、仕切り付き巻取ドラム100の仮巻き部110aでは、線状体10の一端が表面に露出する程度に少し巻き付けられている。これにより、線状体10の一端が仮巻き部110aにおいて露出し、アクセスしやすくなる。なお、本実施の形態においては、露出した線状体10(光ファイバ)の一端に光コネクタ20が取り付けられている。
図1Bにおいて、線状体10の一端および光コネクタ20は、太い保護ホース30で保護されている。
【0016】
一方、仕切り付き巻取ドラム100の本巻き部110bでは、線状体10の残りの大部分が巻き付けられて、線状体10の他端が本巻き部110bの表面に露出し、アクセスしやすくなる。本実施の形態においては、露出した他端にも光コネクタ20が取り付けられている。なお、本巻き部110bにおいても、線状体10の他端および光コネクタ20は、太い保護ホース30で保護されている。また、線状体10は線状のものであれば特に制限されない。線状体10の例には、光ファイバ、電線などが含まれる。
【0017】
以下、仕切り付き巻取ドラム100の構成要素である、巻取ドラム200、および、巻取ドラム仕切り設置具300についてそれぞれ説明する。
【0018】
(巻取ドラム)
図2Aは、巻取ドラム200の斜視図を示す。
図2Aに示されるように、巻取ドラム200は、巻胴210と、鍔部220a、220bとを有する。
【0019】
巻胴210は線状体10および巻取ドラム仕切り設置具300が巻き付けられる部分である。巻胴210は略円柱状または略円筒状であり、その両端に鍔部220a、220bが取り付けられている。巻胴210の周方向の長さ、および、周方向に垂直な幅方向の長さは特に制限されず、巻かれる線状体10の太さや長さ等に応じて適宜設定されればよい。巻胴210の材質は特に制限されない。本実施の形態において、巻胴210の材質は木材である。巻胴210の材質は樹脂や金属であってもよい。
【0020】
鍔部220a、220bは、巻胴210の両端に取り付けられ、巻胴210に巻き付けられた線状体10を支持する。鍔部220a、220bの形状は円盤状であり、鍔部220a、220bの直径は、巻き付けられる線状体10を支持できるように線状体10の太さや長さ等に応じて適宜設定されればよい。鍔部220a、220bの材質は特に制限されない。本実施の形態において、鍔部220a、220bの材質は木材である。鍔部220a、220bの材質は樹脂や金属であってもよい。
【0021】
(巻取ドラム仕切り設置具)
図2Bは、巻取ドラム仕切り設置具300の表側から見た斜視図を示す。
図2Bに示されるように、巻取ドラム仕切り設置具300は、帯状体310と、複数の仕切り部320とを有する。
【0022】
帯状体310は、巻取ドラム200の巻胴210に巻き付けられて、複数の仕切り部320を巻胴210上に設置する。帯状体310の長さは、巻胴210の太さに応じて適宜設定されればよい。帯状体310の幅は、巻胴210の幅以下であれば特に制限されない。本実施の形態において、帯状体310の幅は、帯状体310の幅方向の端が鍔部220aに接触するように帯状体310を巻胴210に巻き付けたときに、仮巻き部110aの幅とほぼ同じとなるように設定されている。すなわち、本実施の形態において、帯状体310の幅は、仮巻き部110aの幅を決めるためのスペーサーとして機能する。なお、帯状体310の幅は、本巻き部110bの幅となるように設定されていてもよい。また、帯状体310は、スペーサーとしての機能を有さず、巻胴210の任意の位置に巻き付けられてもよい。巻胴210の任意の位置に巻き付けることで、仮巻き部110aの幅と、本巻き部110bの幅とを任意に設定することができる。
帯状体310の材質は特に制限されないが、帯状体310に固定されている仕切り部320が自立できる程度の強度を有することが好ましい。本実施の形態において、帯状体310は薄い金属板であり、より具体的には溶融55%アルミニウム-亜鉛合金めっき鋼板である。帯状体310は樹脂板であってもよい。これにより、本実施の形態において、帯状体310に固定されている複数の仕切り部320は自立している。
【0023】
複数の仕切り部320は、帯状体310の長手方向に沿って配置されている。複数の仕切り部320は、巻取ドラム200の巻胴210を仮巻き部110aと、本巻き部110bとに仕切る(
図1A、B参照)。本実施の形態において、複数の仕切り部320は、4つであり、帯状体310の短手方向の一端(長辺)に平行になるように、配置されている。仕切り部320の形状は、仕切りとして機能できれば特に制限されない。本実施の形態において、仕切り部320の形状は、ほぼ矩形(巻胴210側は円弧状)であり、板状である。仕切り部320の大きさは、本巻き部110bに巻き付けられる線状体10の太さや長さ等に応じて適宜設定されればよい。
【0024】
図3Aは、複数の仕切り部320が帯状体310に固定されている態様を示す、巻取ドラム仕切り設置具300の裏側から見た斜視図である。本実施の形態において、仕切り部320は、3本のネジ部材31を用いて帯状体310に固定されている。このように、複数の仕切り部320が帯状体310に予め固定されていると、巻取ドラム200への複数の仕切り部320の取り付けを容易にすることができる。仕切り部320が木材を含む場合、木材の反りを抑制する観点から、これらのネジ部材31は、仕切り部320(木材)内の深くまでねじ込まれうる長さを有することが好ましい。
【0025】
図3Bに示されるように、複数の仕切り部320には、L金具32がネジ部材31を用いて固定されていることが好ましい。このL金具32は、巻取ドラム200の巻胴210に巻取ドラム仕切り設置具300を固定するのに使われる。本実施の形態において、L金具32は、ネジ部材31を用いることで、巻取ドラム200の巻胴210に固定される(
図1A参照)。また、本実施の形態では、帯状体310の長手方向の両端に設けられた複数の貫通孔(
図3A参照)も、巻胴210に巻取ドラム仕切り設置具300をネジ部材31を用いて固定するのに使われる。
【0026】
このようにネジ部材31を用いることで、巻取ドラム仕切り設置具300を巻胴210に対して着脱可能にすることができる。また、仕切り部320も帯状体310に対して着脱可能にすることもできる。
着脱可能にすれば、仕切り付き巻取ドラム100を使用後に、巻取ドラム仕切り設置具300を取り外すこと、および、仕切り部320を取り外すことができ、リユース、リサイクルが可能である。また、巻取ドラム仕切り設置具300が取り外された通常の巻取ドラム200は、専門回収業者による回収が容易になる。なお、本実施の形態において、ネジ部材31は、具体的にはタッピングネジである。
【0027】
上記では、着脱可能に構成する例として、L金具32およびネジ部材31を用いる例を説明したが、着脱可能に構成する態様はこれに限定されず、公知の着脱可能にする構成(公知の締結具など)を適宜採用することができる。
【0028】
図3Bに示されるように、複数の仕切り部320は帯状体310の短手方向において帯状体310の一端から突出するように配置されていることが好ましい。このように仕切り部320が配置されることで、金属板などであり、鋭利であることがある帯状体310の端によって、巻き付けられる線状体10が傷つくことが抑制される(
図1A、B参照)。
【0029】
また、
図3Cに示されるように、巻取ドラム仕切り設置具300(仕切り付き巻取ドラム100)においては、帯状体310上に保護シート330が配置されていてもよい。保護シート330は、巻胴210に巻き取られる線状体10と帯状体310との接触を防ぐことができ、巻き付けられる線状体10が帯状体310やL金具32などによって傷つくことが抑制される。
【0030】
複数の仕切り部320の間隔は、等間隔であってもよいが、少なくとも1つの間隔が他の間隔より広いことが好ましい。
図4に示されるように、複数の仕切り部320の間の隙間は、仮巻き部110aから、本巻き部110bに線状体10を進入させるときの通り道となる。したがって、間隔が広いと、小さい進入角度で、線状体10が進入することができる。これにより、仮巻き部110aから本巻き部110bへの移行に伴う線状体10の屈曲によるダメージの増加を防止することができる。
【0031】
(効果)
本実施の形態に係る巻取ドラム仕切り設置具300によれば、巻取ドラム200に容易に仕切りを設置することができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明に係る巻取ドラム仕切り設置具は、巻取ドラムに仕切りを設置することに有用である。
【符号の説明】
【0033】
10 線状体
20 光コネクタ
30 保護ホース
31 ネジ部材
32 L金具
100 仕切り付き巻取ドラム
110a 仮巻き部
110b 本巻き部
200 巻取ドラム
210 巻胴
220a、220b 鍔部
300 巻取ドラム仕切り設置具
310 帯状体
320 仕切り部
330 保護シート