(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011575
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】歯科治療廃液の分離器の有価金属回収構造
(51)【国際特許分類】
A61G 12/00 20060101AFI20240118BHJP
B24B 55/12 20060101ALI20240118BHJP
B23Q 11/00 20060101ALI20240118BHJP
B01D 21/02 20060101ALI20240118BHJP
B01D 21/24 20060101ALI20240118BHJP
B01D 21/30 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
A61G12/00 W
B24B55/12
B23Q11/00 U
B01D21/02 N
B01D21/24 D
B01D21/24 S
B01D21/30 F
B01D21/30 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113673
(22)【出願日】2022-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】520169225
【氏名又は名称】有限会社パラテック
(74)【代理人】
【識別番号】100092163
【弁理士】
【氏名又は名称】穴見 健策
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 悌一郎
【テーマコード(参考)】
3C011
3C047
4C341
【Fターム(参考)】
3C011BB31
3C047FF09
3C047FF17
3C047GG17
3C047GG18
4C341LL12
(57)【要約】
【課題】 歯科治療用配管システムの分離器での処理中に廃液内の有価金属を簡単な作業で短時間に回収できる歯科治療廃液の分離器の有価金属等回収構造を提供する。
【解決手段】分離器14は、歯科治療用配管12に接続され歯科治療で排出された排出物と水を含む廃液を内部に吸引導入する中空容器141と、中空容器の底壁146に設けられた排出孔150と、排出孔の近傍に設けられた排出孔の開閉弁160と、中空容器内に導入された廃液の液面高さに応動して排出孔の開閉弁を開閉する連動装置180と、を含む。分離器14の中空容器141の底壁146であって、排出孔150の孔縁全周にわたり底壁上面から堰筒30が立上り形成される。底壁上面のドーナツ状有底筒空隙に有価金属が滞留する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁に排出孔を有する中空容器を含み、歯科治療用配管に接続され歯科治療で排出された排出物と水を含む廃液を内部に吸引導入し、空気と排出物及び水とを分離する分離器であって、
排出孔の孔縁全周にわたり中空容器の底壁上面から立上り形成された堰筒を含むことを特徴とする歯科治療廃液の分離器の有価金属回収構造。
【請求項2】
堰筒は、排出孔を穿孔した中空容器の底壁上面に別体で固定され、排出孔に連通する孔筒部を含む鍔部付き円筒短管を含むことを特徴とする請求項1記載の歯科治療廃液の分離器の有価金属回収構造。
【請求項3】
分離器の中空容器は、排出孔の近傍に設けられた排出孔の開閉弁と、中空容器内に導入された廃液の液面高さに応動して排出孔の開閉弁を開閉する連動装置と、を含み、
連動装置は、中空容器内の液面変化に対応して案内機構を介して上下動する支柱付きフロートと、
支柱付きフロートの支柱に取り付けられた押し板と、
押し板の当接を検出し電気信号を排出孔の開閉弁に供給する検出器と、を含むことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の歯科治療廃液の分離器の有価金属回収構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科治療時に発生する切削粉塵や口腔内に噴霧される水分との混合体を空気とそれ以外のものに分離する歯科用分離器の有価金属回収構造に関する。
【背景技術】
【0002】
歯科治療では歯そのものを切削、研磨等する他、歯に被嵌させた金属等を切削、研磨する場合がある。この場合、同時に水を口腔内に供給し患者はこれらを口から排出するが、これらの排出物を含む廃液はバキューム配管を通じて収集され分離器において排出物を含む水分と空気とに分離される。さらに他の工程において排出物を含む液体から有害成分除去処理等を行い固形物質等を除去した後に下水等へ排出される。一方、歯科治療の際には、金、銀、白金、パラジウム、チタンなどの有価金属の切削粉等が含まれており、口腔内排出物のバキューム収集工程でこれらの有価金属を効率的に回収する装置の出現が待望されている。出願人は、歯科用配管から金属等有価物を回収する方法を特許文献1において提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以下、特許文献1について説明するが、これに用いた特許文献1の部材の符合はこの段落番号でのみ適用されるものとする。特許文献1の装置は、歯科医療施設100に設置された歯科用配管内102に出し入れ自在に洗浄用ホース16を挿入させ、該洗浄用ホース16の吐出部18から洗浄水Wtを高圧噴射して歯科用配管102内に付着・堆積した有価物を含む汚泥Mdを落とし、落とした有価物を含む汚泥と洗浄水とを吸引装置14により負圧吸引し回収するものである。特許文献1の有価物の回収装置は、歯科用配管内に付着、堆積した貴金属等の有価物を、簡単かつスムーズに回収して、資源の有効活用等を図る上で有効な装置である。一方、特許文献1の装置では、歯科用ユニットから排出される廃液等を歯科用配管に導入し 収集された配管の末端部から水を圧送する高圧洗浄装置や高圧水で落とした付着金属粉等を吸引する吸引装置が必要であり、装置コストが高い上に、回収の作業の都度、装置の設置撤去作業を伴い回収作業時間や作業労力がかかる、という問題があった。
【0005】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その一つの目的は、歯科治療用配管システムの早い段階である分離器での処理中に廃液内の有価金属を簡単な作業で短時間に回収することができる歯科治療廃液の分離器の有価金属等回収構造を提供することにある。また、本発明の他の目的は、高圧洗浄装置や吸引装置等の有価金属回収専用の特段の装置を必要とすることなく低コストで廃液内の有価金属を効率的に回収することができる歯科治療廃液の分離器の有価金属回収構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、底壁146に排出孔150を有する中空容器141を含み、歯科治療用配管12に接続され歯科治療で排出された排出物と水を含む廃液を内部に吸引導入し、空気と排出物及び水とを分離する分離器14であって、排出孔150の孔縁全周にわたり中空容器141の底壁上面146aから立上り形成された堰筒30を含む歯科治療廃液の分離器の有価金属回収構造1から構成される。
【0007】
その際、堰筒30は、排出孔150を穿孔した中空容器141の底壁上面146aに別体で固定され、排出孔150に連通する孔筒部190を含む鍔192付き円筒短管193を含むとよい。
【0008】
また、分離器14の中空容器141は、排出孔150の近傍に設けられた排出孔150の開閉弁160と、中空容器141内に導入された廃液の液面高さに応動して排出孔150の開閉弁160を開閉する連動装置180と、を含み、連動装置180は、中空容器141内の液面変化に対応して案内機構(185)を介して上下動する支柱186付きフロート181と、支柱付きフロート181の支柱186に取り付けられた押し板182と、押し板182の当接を検出し電気信号を排出孔150の開閉弁160に供給する検出器183と、を含むとよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の歯科治療廃液の分離器の有価金属等回収構造によれば、分離器の底壁に排出孔の孔縁全周にわたり底壁上面から立上り形成される堰筒を設けることにより堰筒の高さにより有価金属の堆積を生じて滞留するから分離器内の有価金属を簡単な作業で短時間に回収することができる。また、高圧洗浄装置や吸引装置等の有価金属回収専用の特段の装置を必要とすることなく低コストで廃液内の有価金属を効率的に回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係る分離器と歯科治療用配管等との接続構成を示す説明図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る歯科治療廃液の分離器の有価金属回収構造を示す
図2の分離器の縦断面説明図である。
【
図4】本発明の第2実施形態に係る 歯科治療廃液の分離器の有価金属回収構造を示す分離器の縦断面説明図である。る。
【
図5】
図4の鍔部付き円筒短管の斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下添付図面を参照しつつ本発明の歯科治療廃液の分離器の有価金属回収構造の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る歯科治療廃液の分離器の有価金属回収構造を適用した分離器を含む歯科配管システムを模式的に示した説明図であり、図において、歯科治療用の歯科研磨ツールや患者用のうがい台を含む歯科ユニット10に廃液収集用の配管12が接続されて治療用建物の床下などに設置されている。歯科ユニットは分岐管により適宜複数個が廃液収集用の配管に接続されている。さらに、配管12に分離器14が接続され、分離器14には歯科治療廃液が導入されて分離器14で水及び研磨屑等の排出物と、空気とが分離されて空気を分離した分離廃液が排出管44から排出される。なお、分離器14には吸引装置18が空気管路20を介して接続されており、分離器内を負圧化することで配管12内を負圧吸引して金属の研磨屑等を含む廃液を分離器14内に負圧導入させる。
【0012】
歯科治療により患者の口腔からうがい台等に吐瀉される廃液には金、銀、白金、パラジウム、チタン等の有価金属の切削粉等が含まれており、これらが洗浄水や口腔から排出される液体と共に歯科用配管内に収集されて案内排出される。
【0013】
分離器14は、配管12に収集され分離器の中空容器内に導入された歯科治療廃液について、水と空気を分離して、満水になると検出スイッチが作動して自動的にサクションとの運転を止めて排水する装置である。実施形態において、中空容器内が満水になるとフロートスイッチが働いて吸引装置の運転を停止し排水するフロートによる水位検出装置が知られているが、分離器14の水位検出方法や具体的な装置構成は本実施形態の構成に限定されるものではない。
【0014】
実施形態において、
図2に示すように、分離器14は縦方向を軸とする内部が中空の円筒管体からなる中空容器141を含む。中空容器141は、脚142により床面より高い位置にその底壁が位置するように支持されている。そして、後述するように中空容器141の底壁の排出孔の排出口に排出管161が接続されて分離後の廃液を案内導出している。
【0015】
中空容器141は上面を開口した円筒中空管からなる本体143と、上面開口を覆う蓋144とを含む。そして、蓋144の中央部に吸引装置18との接続筒部145が上方に向けて突設されている。また、後述するように中空容器の底壁の排出孔に接続される排出管161には開閉弁160が介設されている。
【0016】
図3は、分離器14の縦断面説明図であり、分離器14の機能の本体を成す中空容器141は、本体143と、蓋144とで構成されている。分離器14は、排出孔150と、開閉弁160と、連動装置180と、を含む。
【0017】
中空容器141は、例えば合成樹脂プラスチックを中空円筒形に成型して構成されており、平面からなる底壁146と側壁147とで内部に中空部148を形成している。側壁147の上部位置に設けた配管接続部149が設けられており、配管接続部149に廃液収集用配管12の一端側が連通接続され、有価金属切削粉等と水を含む廃液Lを中空部148内に吸引導入させる。
【0018】
中空容器141の蓋144に設けられた接続筒部145には空気管路20を介して空気ブロアや送風機等の吸引装置18が接続され中空容器141内の空気を負圧化しつつ配管12内で負圧吸引力を生起させる。吸引装置18を駆動すると負圧接続された中空容器141内が負圧化され廃液収集用配管12内の廃液Lを負圧吸引して中空容器141内に廃液を導入させる。中空容器141内で空気と廃液が分離される。
【0019】
さらに、分離器14には連動装置180が設けられている。連動装置180は、中空容器141内に導入される廃液の液面高さに応じて、中空容器141の底壁146の排出孔150から排出管161側への廃液の通過、制止を行う手段である。本実施形態において連動装置180は、フロート181と、フロートの上下動に同期して位置を上下に変化させる押し板182と、検出器183と、を含む。
【0020】
図3において、中空容器141の中空部148の略中央上部位置に蓋144に連結されて円筒状の支持枠184が取り付けられている。支持枠184は外支持枠184aと、内支持枠184bを含み、それぞれ下端を開口した円筒形状で構成され、内支持枠184bの側壁には図示しない開口が設けられその内外を連通させている。さらに、内支持枠184bの内側で内支持枠184bの縦軸心の上下部分に案内筒部185が固定されている。支持枠184の縦軸心の上下部分に設けられた案内筒部185は案内機構を構成する。
【0021】
フロート181は、中空容器141内に導入された廃液上に浮遊する浮力部材であり、実施形態において合成樹脂プラスチックで形成された中空円錐体で構成されている。フロート181の三角錐の頂部に一端を連結し他端を鉛直上方に延設して支柱186が固定されている。フロート181が廃液面の上下変動変化に応じて高さ位置を変化させると支柱186も縦方向に上下動しその上端の高さ位置を変化させる。フロート181は廃液Lの液面高さの変化に伴って廃液に浮力支持されて高さ位置を上下に変化させる浮体であればよく、具体的な形状、構造は任意に設定することができる。
【0022】
支柱186の上端には板面を上下にする押し板182が固定されている。実施形態において、押し板182は薄板状円板で形成されている。これによって、フロート181並びに支柱186の上下動の変化に応じて押し板182の高さも上下に変化する。
【0023】
図3において、蓋144の接続筒部145の近傍において蓋144に穿孔された孔を縦に挿通してピン187が上下動自在に設けられている。ピン187の下端部は押し板182の上向き移動時に上面に接触して持ち上げられるように設定されている。
【0024】
さらに、蓋144の外面側で接続筒部145近傍にマイクロスイッチ等の検出器183が取り付けられており、検出器183のアクチュエータ188がピン187の上方移動範囲に位置されてピン187の当接を検出して電気信号を開閉弁160のバルブアクチュエータ部に供給して廃液の開閉操作を行う。
【0025】
本発明において、特徴的なことは、中空容器141の底壁146であって、排出孔150から立上り形成された堰筒30を含むことである。堰筒30は、底壁上面146aから有価金属がそのまま排出孔150に流入し流下して排出されないように止めて堰として機能させる。本実施形態において底壁146は全体が平面で形成されているが、中央部分に平面部を有し外周に向けて次第に上方に断面円弧状に湾曲させた形態としてもよく、また、平面部を有さずに排出孔の縁から次第に上方に向けて湾曲した形態であってもよい。
【0026】
実施形態において、底壁146の中心部に設けられた排出孔150は円形でありその孔の縁部において孔縁全周にわたり底壁上面146aから直角状に堰筒30が立上り形成されている。堰筒30は円筒管形状であり、本実施形態では堰筒30の内孔は排出孔150と同じ直径サイズで底壁146に一体に設けられている。そして、底壁の上面と堰筒30の側壁外面とは直角ないし直角状に形成されている。堰筒30の底壁上面からの立上り部32の立上り高さは例えば30ミリメートル程度でよい。しかし、高さは30ミリメートルに限定されることはなく、任意の高さに設定してもよい。堰筒30の側壁高さと中空容器141の側壁内面と低壁上面とにより堰筒部分を除く上面開放のドーナツ状有底筒空隙Vが形成され、この部分に有価金属等が滞留される。
【0027】
さらに、中空容器141の底壁146の排出孔150に接続される排出管161には開閉弁160が取付けられている。中空容器141内の廃液の液面高さを検出した検出器183からの電気信号を受けて開閉弁160のバルブアクチュエータが駆動し、開閉弁160を開弁させ廃液を排出管161から排出させる。
【0028】
次に、本発明の作用について説明すると、
図1において吸引装置18が駆動されると負圧吸引力により廃液収集用配管12を介して例えば複数の歯科ユニット側から有価金属、水、空気等を含む廃液が負圧収集される。中空容器141内に廃液が収容されていない状態から廃液を収容させるときは排出孔150近傍の開閉弁160を閉弁し、吸引装置18を介して液体等を中空容器141の中空部148内に吸引し、滞留させる。廃液は中空容器141の配管接続部149の基部の廃液導入口151を介して中空容器内部に負圧導入される。この際、例えば中空容器の側壁で廃液の導入口に対応した高さ位置に振り分け板を固定し導入口151から導入される廃液を左右に分割させて導入させるようにしてもよい。中空容器141内で廃液の液面高さがしだいに高くなるとフロート181も浮力により同期して上昇する。このとき、円錐体のフロート頂部に下端が固定された支柱186も同時に上昇移動する。同時に支柱186上端側に固定された押し板182が上昇しピン187下端を上方に押し上げ、これによってピン187の上端が検出器183のアクチュエータを押し上げて電気回路を導通させ電気信号を排出孔150の開閉弁160のバルブアクチュエータに供給して開閉弁160を開弁させる。廃液が排出孔150から排出され水位減少が堰筒30の上端高さで停止すると、堰筒30と中空容器141側壁と底壁上面により形成されるドーナツ状有底筒空隙Vに有価金属が沈殿して滞留する。滞留した有価金属は、例えば蓋144を取り外せば、支持枠184やフロート181を含む連動装置180が蓋144に固定あるいは接続されているからこれらも共に取り外され、これによって中空容器141の内底部に滞留した有価金属Mをへら、吸引器、その他の器具を用いて簡単かつ短時間に回収することができる。
【0029】
次に本発明の第2実施形態に係る歯科治療廃液の分離器の有価金属回収構造について説明する。この実施形態の回収構造では、堰筒30は、排出孔150を穿孔した中空容器141の底壁146上面に別体で固定されている点が第1実施形態と異なる。
【0030】
図4において、堰筒30は、排出孔150を穿孔した中空容器141の底壁146上面146aに別体で固定されている。この第2実施形態の堰筒30は、排出孔150に連通する孔筒部190を含む鍔192付き円筒短管193で構成されている。この場合、中空容器141の底壁146に排出孔150が穿孔され、それに排出管161が接続されて排出される既設の分離器について本発明の有価金属回収構造を構成する際に有効に適用される。本実施形態では、鍔192の複数個所にビス穴193が予め設けられており、例えば止水パッキン等を鍔と底壁上面間に介設してビス止めにより固定している。なお、固定方法は、これに限らず、鍔部下面を底壁上面に接着してもよい。
【0031】
以上説明したように、本発明は底壁に排出孔を有する中空容器を含み、歯科治療用配管に接続され歯科治療で排出された排出物と水を含む廃液を内部に吸引導入し、空気と排出物及び水とを分離する分離器であって、排出孔の孔縁全周にわたり中空容器の底壁上面から立上り形成された堰筒を含むことを特徴とする歯科治療廃液の分離器の有価金属回収構造から構成することにより、歯科治療廃液排出の比較的前部の工程において、簡単な作業で短時間に廃液内の有価金属を回収することが可能である。また、有価金属回収のための専用の高圧洗浄装置や吸引回収装置等を必要とせず、低コストで回収作業を行うことが可能である。
【0032】
その際、堰筒は、排出孔を穿孔した中空容器の底壁上面に別体で固定され、排出孔に連通する孔筒部を含む鍔付き円筒短管を含む構成とすることにより、堰筒を有さずに単に底壁中心部分に排出孔を穿孔させた既設の分離器についても鍔部を介して簡単に堰筒を構成することができる。
【0033】
また、分離器の中空容器は、排出孔の近傍に設けられた排出孔の開閉弁と、中空容器内に導入された廃液の液面高さに応動して排出孔の開閉弁を開閉する連動装置と、を含み、連動装置は、中空容器内の液面変化に対応して案内機構を介して上下動する支柱付きフロートと、支柱付きフロートの支柱に取り付けられた押し板と、押し板の当接を検出し電気信号を排出孔の開閉弁に供給する検出器と、を含むようにしてもよく、この場合、連動機構を簡単に構成することができると共に、中空容器の底壁上面に滞留した有価金属の回収時に蓋を取外すだけでよく、回収作業段取りを簡単な作業でかつ短時間で実現させることができる。
【0034】
以上説明した本発明の歯科治療廃液の分離器の有価金属回収構造は、上記した実施形態のみの構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の本質を逸脱しない範囲において、任意の改変を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の歯科治療廃液の分離器の有価金属回収構造は、例えば、歯科医院、総合病院の歯科、歯科技工所などの歯科医療施設に設置した廃液収集用配管に接続される分離器からの有価金属の回収に適用して有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 歯科治療廃液の分離器の有価金属回収構造
10 歯科ユニット
12 廃液収集用配管
14 分離器
18 吸引装置
30 堰筒
141 中空容器
143 容器本体
144 蓋
146 底壁
146a 底壁上面
150 排出孔
160 開閉弁
180 連動装置
181 フロート
182 押し板
183 検出器
186 支柱
190 孔筒部
192 鍔部
V ドーナツ状有底筒空隙