(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115773
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】ガラス微粒子堆積体の製造装置およびガラス微粒子堆積体の製造方法
(51)【国際特許分類】
C03B 8/04 20060101AFI20240820BHJP
【FI】
C03B8/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021602
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智哉
【テーマコード(参考)】
4G014
【Fターム(参考)】
4G014AH12
4G014AH15
(57)【要約】
【課題】製造設備全体の稼働率を向上させたガラス微粒子堆積体の製造方法およびガラス微粒子堆積体の製造装置を提供する。
【解決手段】
本開示ガラス微粒子堆積体の製造装置は、内部に回転するターゲットが配置され、前記ターゲットにガラス微粒子を堆積させてガラス微粒子堆積体を製造する反応容器と、噴出口から燃焼ガスを含むガスを噴出することで、前記反応容器内部で前記ターゲットに前記ガラス微粒子を堆積させる第1バーナおよび第2バーナと、前記第1バーナに点火するための第1点火装置と、前記第1バーナが点火したことを検知する火炎検出器と、前記火炎検出器によって前記第1バーナの点火が確認されることに伴い、前記第2バーナへの燃焼ガスの供給を開始する流量制御器と、を備え、前記第2バーナの噴出口は、前記第1バーナの噴出口の上方に配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に回転するターゲットが配置され、前記ターゲットにガラス微粒子を堆積させてガラス微粒子堆積体を製造する反応容器と、
噴出口から燃焼ガスを含むガスを噴出することで、前記反応容器内部で前記ターゲットに前記ガラス微粒子を堆積させる第1バーナおよび第2バーナと、
前記第1バーナに点火するための第1点火装置と、
前記第1バーナが点火したことを検知する火炎検出器と、
前記火炎検出器によって前記第1バーナの点火が確認されることに伴い、前記第2バーナへの燃焼ガスの供給を開始する流量制御器と、を備え、
前記第2バーナの噴出口は、前記第1バーナの噴出口の上方に配置される、
ガラス微粒子堆積体の製造装置。
【請求項2】
さらに、前記反応容器内部の燃焼ガスを検知する燃焼ガス検出器を備えている、請求項1に記載のガラス微粒子堆積体の製造装置。
【請求項3】
さらに、前記ターゲットを第一領域と第二領域とに移動させることが可能なターゲット運搬部を備え、
前記第一領域は、前記第1バーナおよび前記第2バーナによって前記ガラス微粒子を前記ターゲットに堆積することが可能な領域であり、
前記第二領域は、前記ガラス微粒子を前記ターゲットに堆積することが不可能な領域であり、
前記ターゲット運搬部は、すべての前記第1バーナおよび前記第2バーナにおいて点火が完了するまでは、前記ターゲットを前記第二領域で保持する、
請求項1に記載のガラス微粒子堆積体の製造装置。
【請求項4】
前記第1バーナおよび前記第2バーナを含み、前記第1バーナから第n(nは3以上の自然数)バーナまで順次上方に連なって配列されたn本のバーナを備え、
前記火炎検出器は、前記第1バーナから第n-1バーナのそれぞれが点火したことを確認可能とするために少なくともn-1個設けられており、
前記流量制御器は、前記第1バーナから第p(pは2以上n-1以下の自然数)バーナまでの順次の点火が確認されると、第p+1バーナへの燃焼ガスの供給を開始する、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のガラス微粒子堆積体の製造装置。
【請求項5】
前記第2バーナの上方に配置される第3バーナと、前記第3バーナの上方に連なって配置される第4バーナと、前記第3バーナに点火するための第2点火装置と、を備え、
前記火炎検出器は、さらに前記第3バーナが点火したことを確認可能に構成されており、
前記流量制御器は、前記第3バーナの点火が確認されると、前記第4バーナへの燃焼ガスの供給を開始する、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のガラス微粒子堆積体の製造装置。
【請求項6】
さらに、前記第nバーナの上方に順次連なって配置される第n+1バーナから第n+mバーナ(mは3以上の自然数)のm本のバーナと、前記第n+1バーナに点火するための第2点火装置と、を備え、
前記火炎検出器は、さらに、前記第n+1バーナから第n+m-1バーナのそれぞれが点火したことを確認可能に構成するため少なくともm-1個設けられており、
前記流量制御器は、第n+1バーナから第n+qバーナ(qは2以上m-1以下の自然数)までの順次の点火が確認されると、第n+q+1バーナへの燃焼ガスの供給を開始する、
請求項4に記載のガラス微粒子堆積体の製造装置。
【請求項7】
第1バーナおよび第2バーナを用いてターゲットにガラス微粒子を堆積させてガラス微粒子堆積体を製造する方法であって、
前記第2バーナの噴出口は、前記第1バーナの噴出口の上方に配置され、
前記第1バーナに燃焼ガスを供給して、第1点火装置により前記第1バーナに点火する工程と、
火炎検出器により前記第1バーナが点火したことを検知する工程と、
前記火炎検出器によって前記第1バーナの点火が確認されることに伴い、前記第2バーナへの燃焼ガスの供給を開始する工程と、を備える、
ガラス微粒子堆積体の製造方法。
【請求項8】
前記第1バーナおよび前記第2バーナを含むn(nは3以上の自然数)本のバーナの噴出口が前記第1バーナから第nバーナまで順次上方に連なって配置され、
前記火炎検出器によって第p(pは1以上n-1以下の自然数)バーナが点火したことを確認する工程と、
前記第pバーナの点火が確認されると、第p+1バーナへの燃焼ガスの供給を開始する工程と、
をp=1からp=n-1まで順に行う、
請求項7に記載のガラス微粒子堆積体の製造方法。
【請求項9】
前記ターゲットと前記第1バーナと前記第2バーナとを収容する反応容器の扉を締め切ったままの状態で、すべてのバーナに点火する、請求項7または請求項8に記載のガラス微粒子堆積体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガラス微粒子堆積体の製造装置およびガラス微粒子堆積体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ガラス微粒子堆積体の製造装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された製造装置は、鉛直方向に複数配置されたバーナを備えている。この製造装置においては、上方に配置されるバーナから順次点火される。
【0005】
このような点火作業を人が行う場合、1つ1つのバーナへの点火と点火完了の確認を何度も繰り返す必要があり、点火作業の完了までに時間と手間がかかった。
【0006】
また、特許文献1のように、それぞれのバーナに点火する点火装置を昇降させることによって、点火作業を行う場合もある。1つ1つのバーナまで点火装置が移動してから、バーナに点火するので、点火作業時間の短縮のために改善の余地があった。また、反応容器内に点火装置を昇降させる昇降装置を設けるので、設備が大掛かりとなり、設営に大きなコストを要した。
【0007】
本開示は、バーナへの点火作業の作業性を向上させたガラス微粒子堆積体の製造装置及びガラス微粒子堆積体の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係るガラス微粒子堆積体の製造装置は、
内部に回転するターゲットが配置され、前記ターゲットにガラス微粒子を堆積させてガラス微粒子堆積体を製造する反応容器と、
噴出口から燃焼ガスを含むガスを噴出することで、前記反応容器内部で前記ターゲットに前記ガラス微粒子を堆積させる第1バーナおよび第2バーナと、
前記第1バーナに点火するための第1点火装置と、
前記第1バーナが点火したことを検知する火炎検出器と、
前記火炎検出器によって前記第1バーナの点火が確認されることに伴い、前記第2バーナへの燃焼ガスの供給を開始する流量制御器と、を備え、
前記第2バーナの噴出口は、前記第1バーナの噴出口の上方に配置される。
【0009】
本開示の一態様に係るガラス微粒子堆積体の製造方法は、
第1バーナおよび第2バーナを用いてターゲットにガラス微粒子を堆積させてガラス微粒子堆積体を製造する方法であって、
前記第2バーナの噴出口は、前記第1バーナの噴出口の上方に配置され、
前記第1バーナに燃焼ガスを供給して、第1点火装置により前記第1バーナに点火する工程と、
火炎検出器により前記第1バーナが点火したことを検知する工程と、
前記火炎検出器によって前記第1バーナの点火が確認されることに伴い、前記第2バーナへの燃焼ガスの供給を開始する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、バーナへの点火作業の作業性を向上させたガラス微粒子堆積体の製造装置及びガラス微粒子堆積体の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、第一実施形態に係るガラス微粒子堆積体の製造装置を示す図である。
【
図3】
図3は、第一実施形態に係る第1バーナの点火の様子を示す図である。
【
図4】
図4は、第一実施形態に係る第1バーナの点火から第2バーナの点火に至るまでの様子を示す図である。
【
図5】
図5は、第一実施形態に係る第2バーナの点火から第3バーナの点火に至るまでの様子を示す図である。
【
図6】
図6は、第二実施形態に係る第1バーナおよび第4バーナの点火の様子を示す図である。
【
図7】
図7は、第二実施形態に係る第1バーナおよび第4バーナの点火からそれぞれ第2バーナおよび第4バーナの点火に至るまでの様子を示す図である。
【
図8】
図8は、第二実施形態に係る第2バーナおよび第5バーナの点火からそれぞれ第3バーナおよび第6バーナの点火に至るまでの様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(本開示の実施形態の説明)
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の一態様に係るガラス微粒子堆積体の製造装置は、
(1)内部に回転するターゲットが配置され、前記ターゲットにガラス微粒子を堆積させてガラス微粒子堆積体を製造する反応容器と、噴出口から燃焼ガスを含むガスを噴出することで、前記反応容器内部で前記ターゲットに前記ガラス微粒子を堆積させる第1バーナおよび第2バーナと、前記第1バーナに点火するための第1点火装置と、前記第1バーナが点火したことを検知する火炎検出器と、前記火炎検出器によって前記第1バーナの点火が確認されることに伴い、前記第2バーナへの燃焼ガスの供給を開始する流量制御器と、を備え、前記第2バーナの噴出口は、前記第1バーナの噴出口の上方に配置される。
上記構成によれば、第1バーナへの点火により発生した火炎は上方に立ち昇る。第2バーナの噴出口は、第1バーナの噴出口の上方に配置されるので、第2バーナに燃焼ガスの供給を開始すると、第1バーナの火炎から引火することで、第2バーナへの点火が完了する。第1点火装置による点火は第1バーナに対して行うだけでよいので、第1点火装置を移動させながら1つ1つのバーナに点火する場合と比べて、点火作業に係る時間と手間が削減される。これにより、バーナへの点火作業の作業性を向上させたガラス微粒子堆積体の製造装置を提供できる。
【0013】
(2)上記(1)に係るガラス微粒子堆積体の製造装置は、さらに、前記反応容器内部の燃焼ガスを検知する燃焼ガス検出器を備えていてもよい。
上記構成によれば、バーナへの点火が失敗した場合であっても、反応容器内部において点火されずに残った燃焼ガスを燃焼ガス検出器によって検出することができる。これによって、第1バーナへの点火をより正確かつ素早く確認することができる。また、例えば、燃焼ガス検出器によって反応容器内部において点火されずに残った燃焼ガスを検知した場合には、第1バーナおよび第2バーナへの燃焼ガスの供給を停止させることができる。
【0014】
(3)上記(1)または(2)に係るガラス微粒子堆積体の製造装置は、さらに、前記ターゲットを第一領域と第二領域とに移動させることが可能なターゲット運搬部を備え、前記第一領域は、前記第1バーナおよび前記第2バーナによって前記ガラス微粒子を前記ターゲットに堆積することが可能な領域であり、前記第二領域は、前記ガラス微粒子を前記ターゲットに堆積することが不可能な領域であり、前記ターゲット運搬部は、すべての前記第1バーナおよび前記第2バーナにおいて点火が完了するまでは、前記ターゲットを前記第二領域で保持してもよい。
上記構成によれば、第1バーナおよび第2バーナの点火が完了するまでは、ターゲットはガラス微粒子を堆積することが不可能な第二領域で保持されるので、第1バーナおよび第2バーナの点火時に第1バーナおよび第2バーナから噴出される異物がターゲットに付着することを抑制できる。
【0015】
(4)上記(1)から(3)のいずれかに係るガラス微粒子堆積体の製造装置は、前記第1バーナおよび前記第2バーナを含み、前記第1バーナから第n(nは3以上の自然数)バーナまで順次上方に連なって配列されたn本のバーナを備え、前記火炎検出器は、前記第1バーナから第n-1バーナのそれぞれが点火したことを確認可能とするために少なくともn-1個設けられており、前記流量制御器は、前記第1バーナから第p(pは2以上n-1以下の自然数)バーナまでの順次の点火が確認されると、第p+1バーナへの燃焼ガスの供給を開始してもよい。
上記構成によれば、第pバーナの点火が確認されると、第p+1バーナへの燃焼ガスの供給を開始するので、第pバーナの火炎からの引火により、第p+1バーナへの点火を行うことができる。この装置よりすべてのバーナに順次点火することができる。
【0016】
(5)上記(1)から(3)のいずれかに係るガラス微粒子堆積体の製造装置は、前記第2バーナの上方に配置される第3バーナと、前記第3バーナの上方に連なって配置される第4バーナと、前記第3バーナに点火するための第2点火装置と、を備え、前記火炎検出器は、さらに前記第3バーナが点火したことを確認可能に構成されており、前記流量制御器は、前記第3バーナの点火が確認されると、前記第4バーナへの燃焼ガスの供給を開始する。
上記構成によれば、2つの点火装置によって2つのバーナに点火することができるので、すべてのバーナに点火するまでにかかる時間が短縮される。
【0017】
(6)上記(4)に係るガラス微粒子堆積体の製造装置は、さらに、前記第nバーナの上方に順次連なって配置される第n+1バーナから第n+mバーナ(mは3以上の自然数)のm本のバーナと、前記第n+1バーナに点火するための第2点火装置と、を備え、前記火炎検出器は、さらに、前記第n+1バーナから第n+m-1バーナのそれぞれが点火したことを確認可能に構成するため少なくともm-1個設けられており、前記流量制御器は、第n+1バーナから第n+qバーナ(qは2以上m-1以下の自然数)までの順次の点火が確認されると、第n+q+1バーナへの燃焼ガスの供給を開始してもよい。
上記構成によれば、2つの点火装置によって2つのバーナに点火することができるので、すべてのバーナに点火するまでにかかる時間が短縮される。
【0018】
本開示の一態様に係るガラス微粒子堆積体の製造方法は、
(7)第1バーナおよび第2バーナを用いてターゲットにガラス微粒子を堆積させてガラス微粒子堆積体を製造する方法であって、前記第2バーナの噴出口は、前記第1バーナの噴出口の上方に配置され、前記第1バーナに燃焼ガスを供給して、第1点火装置により前記第1バーナに点火する工程と、火炎検出器により前記第1バーナが点火したことを検知する工程と、前記火炎検出器によって前記第1バーナの点火が確認されることに伴い、前記第2バーナへの燃焼ガスの供給を開始する工程と、を備える。
上記の方法によれば、第1バーナへの点火により発生した火炎は上方に立ち昇る。第2バーナの噴出口は、第1バーナの噴出口の上方に配置されるので、第2バーナに燃焼ガスの供給を開始すると、第1バーナの火炎から引火することで、第2バーナへの点火が完了する。第1点火装置による点火は第1バーナに対して行うだけでよいので、第1点火装置を移動させながら1つ1つのバーナに点火する場合と比べて、点火作業に係る時間と手間が削減される。これにより、バーナへの点火作業の作業性を向上させたガラス微粒子堆積体の製造方法を提供できる。
【0019】
(8)上記(7)に係るガラス微粒子堆積体の製造方法は、前記第1バーナおよび前記第2バーナを含むn(nは3以上の自然数)本のバーナの噴出口が前記第1バーナから第nバーナまで順次上方に連なって配置され、
前記火炎検出器によって第p(pは1以上n-1以下の自然数)バーナが点火したことを確認する工程と、
前記第pバーナの点火が確認されると、第p+1バーナへの燃焼ガスの供給を開始する工程と、
をp=1からp=n-1まで順に行ってもよい。
上記の方法によれば、第kバーナの点火が確認されると、第k+1バーナへの燃焼ガスの供給を開始するので、第kバーナの火炎からの引火により、第k+1バーナへの点火を行うことができる。この方法よりすべてのバーナを点火できる。
【0020】
(9)上記(7)または(8)に係るガラス微粒子堆積体の製造方法は、前記ターゲットと前記第1バーナと前記第2バーナとを収容する反応容器の扉を締め切ったままの状態で、すべてのバーナに点火してもよい。
上記の方法によれば、反応容器の扉を締め切ったまま作業を行えるので、反応容器の内部のクリーン度を保つことができる。また、反応容器内部の燃焼ガスを検知する燃焼ガス検出器が設けられている場合、反応容器の扉を締め切ったまま作業を行うので、より正確に反応容器内部の燃焼ガスを検知できる。
【0021】
(本開示の実施形態の詳細)
本開示の実施形態に係るガラス微粒子堆積体の製造方法およびガラス微粒子堆積体の製造装置の具体例を、以下に図面を参照して説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0022】
また、本実施形態の説明では、説明の便宜上、「上下方向」「左右方向」「前後方向」について適宜言及する。ここで、「上下方向」は、「上方向」及び「下方向」を含む方向である。「左右方向」とは、「左方向」及び「右方向」を含む方向である。「前後方向」とは、「前方向」及び「後方向」を含む方向である。以降に説明する図中に示した符号Uは上方向を示す。符号Dは下方向を示す。符号Lは左方向を示す。符号Rは右方向を示す。符号Fは前方向を示す。符号Bは後方向を示す。
【0023】
(第一実施形態)
図1は、第一実施形態に係るガラス微粒子堆積体の製造装置1を示す図である。
図2は、反応容器10の模式平面図である。
図1に示すように、ガラス微粒子堆積体の製造装置1は、ターゲットTが延びる方向に沿ってターゲットTに対して相対的に複数のバーナ11が往復することによりガラス微粒子を堆積させるOVD法によって、ガラス微粒子堆積体を製造する。ガラス微粒子堆積体の製造装置1は、反応容器10と、流量制御器20と、制御部30と、ターゲット運搬部40とを備える。ガラス微粒子堆積体の製造装置1は、反応容器10内部のターゲットTにバーナ11の火炎による加水分解反応で生成されるガラス微粒子を堆積させることによって、ガラス微粒子堆積体を製造する。
【0024】
反応容器10は、複数のバーナ11と、第一点火装置12と、火炎検出器14と、燃焼ガス検出器15と、を備える。バーナ11は反応容器10の内部に噴射口が向くように、反応容器10の一側面の下部から上方に連なって配置されている。バーナ11は、反応容器10内に向けられた噴出口が多層構造となっており、原料ガス、不活性ガス、燃焼ガス、助燃ガス等を噴出可能に構成されている。本実施形態においては、燃焼ガスとして水素が、助燃ガスとして酸素が、用いられている。水素および酸素がバーナ11から噴出されている状態で、第一点火装置12により点火作業が行われることで、バーナ11は火炎を生成する。バーナ11が火炎を生成している状態で、原料ガスおよび不活性ガスを適宜噴出することにより、ガラス微粒子が生成される。
本実施形態において、下から順に第1バーナ11Aから第7バーナ11Gまでの7本のバーナ11が設けられているが、反応容器10に設けられるバーナ11の本数は本実施形態の例示に限られない。
【0025】
第一点火装置12は、バーナ11に点火するための装置である。本実施形態において、第一点火装置12は棒状の装置であり、昇降することでバーナ11の噴出口に近づいたり離れたりできる。本実施形態においては、第一点火装置12は第1バーナ11Aに対して点火できる。点火装置として、点火プラグ、ライター等が用いられうる。点火プラグは、隙間を挟んで設けられた電極間に電圧をかけることで火花放電を起こして、バーナ11に点火することができる。
【0026】
火炎検出器14は、ターゲットTを挟んでバーナ11に対向する位置に設けられている。火炎検出器14は、対向するバーナ11に点火したことを検出する。火炎検出器14には、例えば、カメラ、赤外線センサー、温度センサー等の装置が用いられうる。例えば、火炎検出器14によってバーナ11への点火が確認されると、火炎検出器14から後述する制御部30に点火情報が送られる。
本実施形態においては、火炎検出器14は、第1バーナ11Aから第7バーナ11Gのそれぞれに対向するように、バーナ11と同数の検出器によって構成されている。したがって、火炎検出器14は、下方から上方に連なるように配置されている。以降の説明において、もっとも下の火炎検出器14から順に第1火炎検出器14Aから第7火炎検出器14Gと呼ぶことがある。
【0027】
燃焼ガス検出器15は、バーナ11から噴出された燃焼ガスを検出する装置である。燃焼ガス検出器15は、複数のバーナ11の上方に設けられることが望ましい。例えば、燃焼ガス検出器15によって燃焼ガスが規準値よりも多く観測されると、燃焼ガス検出器15から後述する制御部30にガス情報が送られる。
【0028】
流量制御器20は、各バーナ11に原料ガス、不活性ガス、燃焼ガス、助燃ガス等を供給する配管に設けられて、それぞれの配管における各ガスの流量を調節する装置である。流量制御器20による各ガスの流量の調節は、後述する制御部30からの制御情報に基づいて行われる。本実施形態においては、第1バーナ11Aから第7バーナ11Gに各ガスを供給する配管のそれぞれに流量制御器20が設けられている。なお、説明の便宜上、図面では第4バーナ11Dから第7バーナ11Gにそれぞれ各ガスを供給する配管とその配管に設けられる流量制御器20の図示を省略している。
【0029】
制御部30は、火炎検出器14、燃焼ガス検出器15、および、流量制御器20と接続されている。制御部30は、火炎検出器14からの点火情報および燃焼ガス検出器15からのガス情報を受信して、それに基づいて流量制御器20にそれぞれ制御情報を送信する。
【0030】
ターゲット運搬部40は、ターゲットTを保持して移動させることが可能な装置である。
図1および
図2に示すように、ターゲット運搬部40は、上下方向または前後方向にターゲットを移動させることができる。
【0031】
図2に示すように、反応容器10の内部には、バーナ11と排気口Eとの間の領域である堆積領域10A(第一領域の一例)と、堆積領域10Aから外れた退避領域10B(第二領域の一例)とがある。ターゲット運搬部40は、ターゲットTを保持したまま堆積領域10Aと堆積領域10Aとの間を行き来することができる。ターゲットTが退避領域10Bにあるとき、バーナ11が点火していたとしてもターゲットTにガラス微粒子は堆積しない。ターゲットTが堆積領域10Aにあるとき、バーナ11が点火していれば、ターゲットTにガラス微粒子が堆積させることができ、ガラス微粒子を製造することができる。
ターゲット運搬部40は、すべてのバーナ11への点火が終わるまでは退避領域10Bで保持し、すべてのバーナ11への点火が終わると、堆積領域10AにターゲットTを移動させることが望ましい。
【0032】
また、
図2に示すように、反応容器10の側面には、扉16が設けられている。反応容器10において、作業員の入退室や荷物搬入搬出等は扉16を通して行われる。例えば、ガラス微粒子をターゲットTに堆積させるときは、扉16を閉めておいてもよい。また、反応容器10の清掃のときには、扉16を開けておいてもよい。
【0033】
次に、
図3から
図5を用いて本実施形態に係るガラス微粒子堆積体の製造装置1における、バーナ11の点火の様子を説明する。
【0034】
図3は、第一実施形態に係る第1バーナ11Aの点火の様子を示す図である。まず、制御部30は、最も下方に位置する第1バーナ11Aに助燃ガス、不活性ガス等と共に燃焼ガスを供給するように流量制御器20を制御する。点火工程において、点火が行われたばかりのバーナ11に供給される各ガスの流量は、ガラス微粒子堆積体の製造時よりも少ないことが望ましい。第1バーナ11Aに燃焼ガス等が供給されている状態で、第一点火装置12は第1バーナ11Aのガスポートに近づき、第1バーナ11Aへの点火を行う。
【0035】
第一点火装置12による第1バーナ11Aへの点火動作が終了すると、第1バーナ11Aへの点火が正しく行われたかどうかを検出する。第1バーナ11Aの点火は、第1バーナ11Aと対向して設けられる第1火炎検出器14Aによって検出される。もし、第1火炎検出器14Aによって第1バーナ11Aの火炎が検出できなかったり、燃焼ガス検出器15によって燃焼ガスが検出されたりした場合は、制御部30は第1バーナ11Aの点火に失敗したと判断して、第1バーナ11Aへの各ガスの供給を停止するように流量制御器20を制御する。
【0036】
図4は、第一実施形態に係る第1バーナ11Aの点火から第2バーナ11Bの点火に至るまでの様子を示す図である。第1バーナ11Aの点火を検知する工程が完了すると、第一点火装置12は第1バーナ11Aから離れるように下降する。制御部30は第2バーナ11Bに燃焼ガスを供給するように流量制御器20を制御する。ここで、第1バーナ11Aにおいて、上方に立ち昇るように火炎があがっている状態である。この状態で、第2バーナ11Bへの燃焼ガスの供給が開始されると、第2バーナ11Bの噴出口から噴出した燃焼ガスに引火することで、第2バーナ11Bへ点火できる。
【0037】
図5は、第一実施形態に係る第2バーナ11Bの点火から第3バーナ11Cの点火に至るまでの様子を示す図である。第2バーナ11Bの点火は、第2バーナ11Bと対向して設けられる第2火炎検出器14Bによって検出される。もし、第2火炎検出器14Bによって第2バーナ11Bの火炎が検出できなかったり、燃焼ガス検出器15によって燃焼ガスが検出されたりした場合は、制御部30は第2バーナ11Bの点火に失敗したと判断して、第2バーナ11Bへの燃焼ガスの供給を停止するように流量制御器20を制御する。
【0038】
第2バーナ11Bの点火を検知する工程が完了すると、制御部30は第3バーナ11Cに燃焼ガスを供給するように流量制御器20を制御する。ここで、第2バーナ11Bにおいて、上方に立ち昇るように火炎があがっている状態である。この状態で、第3バーナ11Cへの燃焼ガスの供給が開始されると、第3バーナ11Cの噴出口から噴出した燃焼ガスに引火することで、第3バーナ11Cへ点火できる。
【0039】
以降、下から順次、点火の検知、一つ上のバーナ11への燃焼ガスの供給、一つ上のバーナ11への引火、を繰り返すことにより、すべてのバーナ11への点火が完了する。
【0040】
本実施形態と異なり、手動によりすべてのバーナに点火する場合は、最も上方にあるバーナから1つ1つ点火装置を用いて点火することが一般的である。この場合、すべてのバーナに点火する点火作業とそれぞれのバーナへの点火を確認する作業に多くの時間と手間を要する。
【0041】
特許文献1のように、点火装置を昇降させる昇降装置を用いて、すべてのバーナに点火を行うガラス微粒子堆積体の製造装置が知られている。しかしながら、1つ1つのバーナに点火するたびに、昇降装置により点火装置を昇降させる必要があり、点火作業時間の短縮には改善の余地があった。また、ガラス微粒子堆積体の製造装置に昇降装置を設けるために、設備を大がかりにする必要があるので、製造装置の設営に大きなコストを要した。
【0042】
本実施形態のガラス微粒子堆積体の製造装置1および製造方法によれば、第1バーナ11Aの点火が確認されると、第1バーナ11Aの噴射口の上方に噴射口が配置される第2バーナ11Bへの燃焼ガスの供給を開始する。これにより、第一点火装置12によるバーナへの点火作業は第1バーナ11Aのみに行い、第2バーナ11Bへの点火は第1バーナ11Aの火炎を引火することにより行われる。このため、点火装置を移動させながら1つ1つのバーナ11に点火する場合と比べて、点火作業に係る時間と手間が削減されるので、バーナ11への点火作業の作業性を向上させたガラス微粒子堆積体の製造装置1および製造方法を提供できる。
【0043】
本実施形態のガラス微粒子堆積体の製造装置1は、さらに燃焼ガス検出器15を備えている。これにより、バーナ11への点火が失敗した場合であっても、反応容器10内部において点火されずに残った燃焼ガスを検出できる。第1バーナ11Aへの点火をより正確に確認できるだけでなく、例えば、燃焼ガス検出器15によって反応容器10内部において点火されずに残った燃焼ガスを検知した場合には、第1バーナ11Aおよび第2バーナ11Bへの燃焼ガスの供給を停止させることができる。
【0044】
本実施形態のガラス微粒子堆積体の製造装置1は、さらにターゲットTを堆積領域10Aと退避領域10Bとに移動させることが可能なターゲット運搬部40を備えている。ターゲット運搬部40は、すべてのバーナ11において点火が完了するまでは、前記ターゲットを前記第二領域で保持する。バーナ11に点火した直後においては、バーナ11の内部に残った異物が噴出口から噴出されることがある。このため、点火が終わるまでは退避領域10BにおいてターゲットTを保持することで、点火時にバーナ11から噴出される異物がターゲットに付着することを抑制できる。
【0045】
本実施形態のガラス微粒子堆積体の製造装置1および製造方法は、第1バーナ11Aから第2バーナ11Bまでの順次の点火が確認されると、第3バーナ11Cへの燃焼ガスの供給を開始する。これを順次繰り返すことで、すべてのバーナ11への点火を行うことができる。
【0046】
作業員が1つ1つのバーナに点火する場合、反応容器の扉を幾度か開け閉めしながら、バーナへの点火作業と点火確認を行う。しかしながら、本実施形態のガラス微粒子堆積体の製造方法において、作業員はバーナ11への点火作業と点火確認を反応容器10の内部に入って行う必要がない。つまり、反応容器10の扉16を締め切ったまま作業を行えるので、反応容器10の内部のクリーン度を保つことができる。さらに、バーナ11の火炎に作業員が近付くことや、高い位置に配置されたバーナ11に点火するための踏み台等の昇降が不要になるため、より安全な点火作業を実現できる。また、反応容器10内部の燃焼ガスを検知する燃焼ガス検出器15が設けられている場合、反応容器10の扉16を締め切ったまま作業を行うので、より正確に反応容器10内部の燃焼ガスを検知できる。
【0047】
(第二実施形態)
続いて、第二実施形態に係るガラス微粒子堆積体の製造方法について説明する。第二実施形態以降では、第一実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図6は、第二実施形態に係る第1バーナ11Aおよび第4バーナ11Dの点火の様子を示す図である。
【0048】
図6に示すように、第二実施形態に係るガラス微粒子堆積体の製造装置1は、第1バーナ11Aに点火する第一点火装置12だけでなく、第4バーナ11Dに点火する第二点火装置13を備えている。第二点火装置13は、第一点火装置12と同等の点火装置であっても異なる点火装置であってもよい。また、第二点火装置13によって点火されるバーナは、第4バーナ11D以外のバーナであってもよい。本実施形態においては、第二点火装置13は左右方向に移動するが、第二点火装置13が移動する方向は本実施形態の例示に限られない。例えば、第二点火装置13が前後方向(
図6における紙面の手前及び奥行の方向)に移動するなどのように、第二点火装置13が点火するバーナに対して近づいたり離れたりするように移動できればよい。
【0049】
換言すれば、第二実施形態のガラス微粒子堆積体の製造装置1は、第一点火装置12によって間接的に点火される第3バーナの上方に順次連なって配置される4本のバーナ第4バーナから第7バーナを備えており、第二点火装置13は、第4バーナに対して点火する。
【0050】
次に、第二実施形態に係るガラス微粒子堆積体の製造装置1におけるバーナの点火の様子を説明する。
【0051】
図6に示すように、制御部30は、第1バーナ11Aと第4バーナ11Dとに対して燃焼ガスを供給するように流量制御器20を制御する。第1バーナ11Aおよび第4バーナ11Dに供給される燃焼ガスの流量は、ガラス微粒子堆積体の製造時よりも少ないことが望ましい。第1バーナ11Aに燃焼ガス等が供給されている状態で、第一点火装置12は第1バーナ11Aのガスポートに近づき、第1バーナ11Aへの点火を行う。
第一点火装置12による第1バーナ11Aへの点火動作が終わると、第1バーナ11Aの点火を検出する。第1バーナ11Aの点火は、第1バーナ11Aと対向して設けられる第1火炎検出器14Aによって検出される。第1バーナ11Aの点火が検出されると、第一点火装置12は第1バーナ11Aから離れるように下降する。
【0052】
さらに、第4バーナ11Dに燃焼ガス等が供給されている状態で、第二点火装置13は第4バーナ11Dのガスポートに近づき、第4バーナ11Dへの点火を行う。
第二点火装置13による第4バーナ11Dへの点火動作が終わると、第4バーナ11Dの点火を検出する。第4バーナ11Dの点火は、第4バーナ11Dと対向して設けられる第4火炎検出器14Dによって検出される。第4バーナ11Dの点火が検出されると、第二点火装置13は第4バーナ11Dから離れるように移動する。
なお、第1火炎検出器14Aおよび第4火炎検出器14Dによる燃焼ガスの検出とそれに伴う制御部30による制御は第一実施形態の通りであるので、詳細な説明を省略する。また、第1バーナ11Aへの点火と第4バーナ11Dへの点火は同時に行っても良いし、それぞれの点火に若干のタイムラグがあってもよい。
【0053】
図7は、第二実施形態に係る第1バーナ11Aおよび第4バーナ11Dの点火からそれぞれ第2バーナ11Bおよび第4バーナ11Dの点火に至るまでの様子を示す図である。第1バーナ11Aおよび第4バーナ11Dの点火を検知する工程が完了すると、制御部30は第2バーナ11Bおよび第5バーナ11Eに燃焼ガスを供給するように流量制御器20を制御する。第2バーナ11Bおよび第5バーナ11Eに供給される燃焼ガスの流量は、ガラス微粒子堆積体の製造時よりも少ないことが望ましい。ここで、第1バーナ11Aにおいて、上方に立ち昇るように火炎があがっている状態である。この状態で、第2バーナ11Bへの燃焼ガスの供給が開始されると、第2バーナ11Bの噴出口から噴出した燃焼ガスに引火することで、第2バーナ11Bへ点火できる。また、第4バーナ11Dにおいて、上方に立ち昇るように火炎があがっている状態である。この状態で、第5バーナ11Eへの燃焼ガスの供給が開始されると、第5バーナ11Eの噴出口から噴出した燃焼ガスに引火することで、第5バーナ11Eへ点火できる。
【0054】
図8は、第二実施形態に係る第2バーナ11Bおよび第5バーナ11Eの点火からそれぞれ第3バーナ11Cおよび第6バーナ11Fの点火に至るまでの様子を示す図である。第2バーナ11Bの点火は、第2バーナ11Bと対向して設けられる第2火炎検出器14Bによって検出される。第5バーナ11Eの点火は、第5バーナ11Eと対向して設けられる第5火炎検出器14Eによって検出される。
【0055】
第2バーナ11Bおよび第5バーナ11Eの点火を検知する工程が完了すると、制御部30は第3バーナ11Cおよび第6バーナ11Fに燃焼ガスを供給するように流量制御器20を制御する。第3バーナ11Cおよび第6バーナ11Fに供給される燃焼ガスの流量は、ガラス微粒子堆積体の製造時よりも少ないことが望ましい。ここで、第2バーナ11Bにおいて、上方に立ち昇るように火炎があがっている状態である。この状態で、第3バーナ11Cへの燃焼ガスの供給が開始されると、第3バーナ11Cの噴出口から噴出した燃焼ガスに引火することで、第3バーナ11Cへ点火できる。また、第5バーナ11Eにおいて、上方に立ち昇るように火炎があがっている状態である。この状態で、第6バーナ11Fへの燃焼ガスの供給が開始されると、第6バーナ11Fの噴出口から噴出した燃焼ガスに引火することで、第6バーナ11Fへ点火できる。
【0056】
以降、第6バーナ11Fの点火確認および第7バーナ11Gへの燃焼ガスの供給を行うことにより、第7バーナ11Gへ点火することができる。さらに上方に位置していて点火が完了していないバーナ11がある場合は、順次、点火の検知、一つ上のバーナ11への燃焼ガスの供給、一つ上のバーナ11への引火、を繰り返すことにより、すべてのバーナ11への点火が完了する。
【0057】
本実施形態のガラス微粒子堆積体の製造装置1は、2つの点火装置によって2つのバーナ11に点火することができる。これにより、引火による点火を同時に2本ずつのバーナ11に対して行うことができるので、すべてのバーナ11に点火するまでにかかる時間が短縮される。
【0058】
以上、本開示を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本開示の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。また、上記説明した構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本開示を実施する上で好適な数、位置、形状等に変更することができる。
【0059】
たとえば、本開示で説明した2つの実施形態においては、点火装置が1つまたは2つ設けられたガラス微粒子堆積体の製造装置を説明したが、点火装置を設ける個数は本実施形態の例示に限定されない。例えば、3つ以上の点火装置を備えたガラス微粒子堆積体の製造装置が採用されてもよい。すなわち、本開示においては多数のバーナに対して順次点火する作業を複数並行して行うことができる。
【0060】
また、第1バーナへの点火を確認した後に、第2バーナへ燃焼ガスの供給を開始するタイミングについては特に限定されない。例えば、第1バーナへの点火を確認後、すぐに第2バーナへ燃焼ガスを供給しても、多少の間をおいて第2バーナへ燃焼ガスを供給してもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 製造装置
10 反応容器
10A 堆積領域
10B 退避領域
11 バーナ
11A 第1バーナ
11B 第2バーナ
11C 第3バーナ
11D 第4バーナ
11E 第5バーナ
11F 第6バーナ
11G 第7バーナ
12 第一点火装置
13 第二点火装置
14 火炎検出器
15 燃焼ガス検出器
16 扉
20 流量制御器
30 制御部
40 ターゲット運搬部
E 排気口
T ターゲット