(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115775
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】UPSシステム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/14 20060101AFI20240820BHJP
H02J 9/06 20060101ALI20240820BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20240820BHJP
H02J 7/34 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
H02J3/14
H02J9/06 120
H02J3/32
H02J7/34 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021605
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000180025
【氏名又は名称】山洋電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】降幡 賢
(72)【発明者】
【氏名】水口 清志
(72)【発明者】
【氏名】原 有希
【テーマコード(参考)】
5G015
5G066
5G503
【Fターム(参考)】
5G015GA07
5G015GA09
5G015HA16
5G015JA53
5G015JA55
5G015JA56
5G066HB09
5G066JA01
5G066JB03
5G503AA01
5G503BA04
5G503BB01
5G503GB03
5G503GB06
(57)【要約】
【課題】上位装置を不要とした簡素な構成で、商用電力のピークカットが可能なUPSシステムを提供する。
【解決手段】UPSシステム1は、各々が共通のまたは独立した負荷に接続された複数のUPS11~15を備え、複数のUPS11~15の各々は、電力制御部11C~15Cと、バッテリ11B~15Bと、を有し、電力制御部11C~15Cは、通常動作時に商用電源100から入力される電力を前記負荷21~25に供給し、非常時に前記バッテリ11B~15Bから電力を負荷21~25に供給し、通常動作時に商用電源100から複数のUPS11~15の各々に入力される電力の合算値が所定の閾値を超える場合、複数のUPS11~15のうち少なくとも1つの電力制御部は、合算値が所定の閾値以下となるまで、当該UPSの前記バッテリからの放電電力を上げる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が共通のまたは独立した負荷に接続された複数のUPSを備え、
前記複数のUPSの各々は、電力制御部と、バッテリと、を有し、
前記電力制御部は、通常動作時に商用電源から入力される電力を前記負荷に供給し、非常時に前記バッテリから電力を前記負荷に供給し、
通常動作時に前記商用電源から前記複数のUPSの各々に入力される電力の合算値が所定の閾値を超える場合、前記複数のUPSのうち少なくとも1つの前記電力制御部は、前記合算値が前記所定の閾値以下となるまで、当該UPSの前記バッテリからの放電電力を上げる、UPSシステム。
【請求項2】
前記UPSシステムは、前記電力の合算値を取得する電力メータをさらに備え、
前記複数のUPSの各々の前記電力制御部は、前記電力メータと通信可能に接続されている、請求項1に記載のUPSシステム。
【請求項3】
前記複数のUPSの各々の前記電力制御部は、当該UPSに入力される電力の電力値を算出する電力演算部を有し、
前記複数のUPSの各々は、互いに通信可能に接続されていて、前記電力演算部で算出された前記電力値を送受信する、請求項1に記載のUPSシステム。
【請求項4】
前記複数のUPSのうち少なくとも2つの前記電力制御部は、前記所定の閾値となるまで、当該UPSの前記バッテリからの前記放電電力を上げて、
前記放電電力を上げる割合は、前記複数のUPSにおいて共通である、請求項1に記載のUPSシステム。
【請求項5】
前記複数のUPSのうち少なくとも2つの前記電力制御部は、前記所定の閾値となるまで、当該UPSの前記バッテリからの前記放電電力を上げて、
前記放電電力を上げる割合は、前記複数のUPSにおいて互いに異なる、請求項1に記載のUPSシステム。
【請求項6】
前記放電電力を上げる割合は、当該UPSの前記バッテリのバッテリ残容量、バッテリ充電率、バックアップ可能時間、当該UPSに接続されている前記負荷の負荷電力、または前記負荷の負荷容量に基づいて設定される、請求項5に記載のUPSシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、UPSシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
商用電源系統から電力が供給される無停電電源装置(UPS)システムにおいて、各UPSに接続される負荷に対して内部バッテリから電力供給し、商用電源系統からの電力供給を制限することで、商用電力のピークカットを行う技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1のUPSシステムは、電力管理システム(EMS)コントローラや電力管理サーバ等の上位装置を備え、各UPSは充放電アルゴリズムに基づいた上位装置からの指示に応じて、負荷に対して各UPSの内部バッテリから電力を供給し、商用電源からの電力供給を制限する。これにより、商用電力の最大デマンド値を低減して電力コストを削減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されているUPSシステムでは、上位装置から各UPSに対して充放電アルゴリズムに基づいたバッテリ充放電の指示を送信する必要があり、特にシステム内のUPSの台数が増えた場合に、バッテリ制御を含めたシステム構成が煩雑になる。そのため、システム構築やシステムメンテナンスの際の設計者、管理者の負担が大きくなってしまう。
【0006】
そこで、本発明は、上位装置を不要とした簡素な構成で、商用電力のピークカットが可能なUPSシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態に係る一側面に係るUPSシステムは、
各々が共通のまたは独立した負荷に接続された複数のUPSを備え、
前記複数のUPSの各々は、電力制御部と、バッテリと、を有し、
前記電力制御部は、通常動作時に商用電源から入力される電力を前記負荷に供給し、非常時に前記バッテリから電力を前記負荷に供給し、
通常動作時に前記商用電源から前記複数のUPSの各々に入力される電力の合算値が所定の閾値を超える場合、前記複数のUPSのうち少なくとも1つの前記電力制御部は、前記合算値が前記所定の閾値以下となるまで、当該UPSの前記バッテリからの放電電力を上げる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、上位装置を不要とした簡素な構成で、商用電力のピークカットが可能なUPSシステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るUPSシステムのブロック図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係るUPSの内部ブロック図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係るコンバータ制御部の回路構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の第1実施形態の変形例に係るコンバータ制御部の回路構成を示すブロック図である。
【
図5】補正パラメータとバッテリ残量割合の関係を説明するグラフである。
【
図6】
図3に示すコンバータ制御部内の直流電圧指令値およびコンバータ基準波形の波形データを示すグラフである。
【
図7】本発明の第1実施形態に係るインバータ制御部の回路構成を示すブロック図である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係るUPSシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、実施形態の説明において既に説明された部材と同一の参照番号を有する部材については、説明の便宜上、その説明は省略する。また、本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0011】
図1は、本実施形態に係るUPSシステムのブロック図である。
図1に示すように、UPSシステム1は、複数のUPS11~15と、各UPS11~15に接続されている負荷21~25と、商用電源100から各UPS11~15に入力される交流の電力の合算値を計測する電力メータ200と、を備える。商用電源100と、複数のUPS11~15と、電力メータ200は、電源ライン1000で接続されている。各UPS11~15と、電力メータ200は、通信I/F2000で通信可能に接続されている。
なお、通信I/F2000は、LAN、WAN等のネットワークI/Fであってもよく、CAN、Modbus、RS-485等のシリアル通信であってもよい。また、
図1の例示では、各UPS11~15に独立した負荷21~25が接続されているが、UPS11~15に共通の負荷が接続されていてもよい。
【0012】
各UPS11~15は、電力制御部11C~15Cとバッテリ11B~15Bを有する。各UPS11~15は、通常動作モードでは、商用電源100から入力される交流を電力変換し、接続されている負荷21~25に電力供給する。また、バッテリモードでは、各UPS11~15に内蔵されているバッテリ11B~15Bから放電される直流を電力変換し、接続されている負荷21~25に電力供給する。
【0013】
電力メータ200は、商用電源100から各UPS11~15に入力される交流の電力の合算値Pを常時計測する。各UPS11~15の電力制御部11C~15Cは、通信I/F2000を介して、定期的に電力メータ200から電力の合算値Pを取得する。電力の合算値Pが所定の閾値Pthを超えた場合、複数のUPS11~15のうち少なくとも1つの電力制御部(例えば、電力制御部11C)は、ピークカット動作を行う。具体的には、電力の合算値Pが所定の閾値Pth以下となるまで、バッテリ11Bから放電し、放電電力を所定の割合で上げる。電力の合算値Pが所定の閾値Pth以下となったら、ピークカット動作を終了し、各UPS11~15は通常動作モードで負荷21~25に電力供給する。
なお、例えば複数のUPS11~15がピークカット動作を行う場合、上記所定の割合は、UPS11~15の電力制御部11C~15Cで共通の値であってもよいし、互いに異なった値でもよい。
【0014】
このように、電力の合算値Pが所定の閾値Pthまで低減するように、各UPSはバッテリからの放電電力を上げるため、充放電アルゴリズムを備えた上位装置を不要とした簡素な構成で、商用電源100からの電力のピークカットが可能となる。
【0015】
図2は、本実施形態に係るUPSの内部ブロック図である。各UPS11~15の内部構成は同じであるため、代表してUPS11の内部ブロック図を
図2に示す。UPS11は、コンバータ回路Cと、平滑回路Sと、インバータ回路Iと、バッテリ11Bと、電力制御部11Cと、を備える。電力制御部11Cは、コンバータ制御部110と、インバータ制御部120を有する。
【0016】
コンバータ回路Cは、例えばブリッジ接続された複数の半導体スイッチング素子を有し、商用電源100から入力される交流を直流へと変換する。
【0017】
平滑回路Sは、コンバータ回路Cに直列に接続され、例えば電解コンデンサを有し、コンバータ回路Cから出力される直流を平滑化する。
【0018】
インバータ回路Iは、例えばブリッジ接続された複数の半導体スイッチング素子を有し、平滑回路Sからの直流(コンバータ回路Cが出力する直流)、または、バッテリ11Bからの直流を交流に変換する。
【0019】
バッテリ11Bは、平滑回路Sと並列に接続され、停電や瞬断などの非常時に、バッテリモードとして負荷21への電力供給を継続する。具体的には、UPS11の通常動作モードでは、平滑回路Sからの直流がインバータ回路Iに入力される。UPS11のバッテリモードでは、バッテリ11Bからの直流がインバータ回路Iに入力される。また、本実施形態では、電力メータ200から取得する入力電力の合算値Pが所定の閾値Pthを超えた場合は、平滑回路Sからの直流およびバッテリ11Bからの直流がインバータ回路Iに入力される。
なお、バッテリ11Bとインバータ回路Iの間にDCDCコンバータが設けられていてもよい。DCDCコンバータは、バッテリ11Bからの入力電圧を所定の出力電圧に電圧変換して、インバータ回路Iに出力する。
【0020】
コンバータ制御部110とインバータ制御部120は、それぞれ、UPS11の動作モードに応じて、コンバータ回路Cとインバータ回路Iを制御する。具体的には、UPS11が通常動作モードの場合、コンバータ回路Cとインバータ回路Iの半導体スイッチング素子をスイッチング制御して平滑回路Sからの直流(コンバータ回路Cが出力する直流)がインバータ回路Iに入力されるようにする。また、UPS11がバッテリモードの場合、コンバータ回路Cの半導体スイッチング素子をオフ状態として、インバータ回路Iの半導体スイッチング素子のみスイッチング制御して、バッテリ11Bからの直流がインバータ回路Iに入力されるようにする。
【0021】
図3は、本発明の第1実施形態に係るコンバータ制御部110の回路構成を示す図である。コンバータ制御部110は、直流電圧制御部111と、電力比較部112と、ローパスフィルタ113と、補正パラメータ算出部114と、PLL115と、コンバータ指令生成部116と、コンバータPWM信号制御部117と、を有し、
図2に示したコンバータ回路Cの半導体スイッチング素子を所望の状態にPWMスイッチング制御する。直流電圧制御部111は、直流電圧指令値補正部111Aを有する。なお、ローパスフィルタ113は急激な変動を抑制する目的であり、例えば移動平均をとってもよい。また、コンバータ制御部110は、ローパスフィルタ113を有さない構成でもよい。
【0022】
電力比較部112は、電力メータ200から取得する電力の合算値Pと所定の閾値Pthが入力される。電力比較部112は、合算値Pから所定の閾値Pthを引いた差分ΔVtを算出して出力する。出力された差分ΔVtは、ローパスフィルタ113を通して補正パラメータ算出部114に入力される。補正パラメータ算出部114は、ローパスフィルタ113の出力から補正パラメータKを算出する。補正パラメータKはローパスフィルタ113の出力に一定の増幅量を与えた値となる。また、ローパスフィルタ113の出力が0以下の場合、補正パラメータKは例えば0のように所定値となる。
【0023】
ここで、補正パラメータ算出部114は、一定の増幅量以外に、バッテリ11Bの残容量、充電率、停電時のバックアップ可能時間、UPS11に接続されている負荷21の負荷電力、負荷容量等に基づいて、補正パラメータKを算出してもよい。例えば、
図5に示すように、補正パラメータKをバッテリ11Bの残容量の割合に比例する値としてもよい。
なお、停電時のバックアップ可能時間とは、バッテリモードにおいて
図1に示すバッテリ11Bから負荷21に電力供給できる時間であり、負荷21の負荷電力やUPS11の電力変換効率等から算出される値である。
【0024】
図3の説明に戻る。直流電圧制御部111は、
図2に示す平滑回路Sの直流電圧Vdcが入力され、直流電圧基準値Vdstdと直流電圧Vdcとの差分に基づいて、直流電圧指令値IVdcを算出する。
直流電圧指令値補正部111Aには、算出された直流電圧指令値IVdcと、補正パラメータ算出部114からの補正パラメータKとが入力される。直流電圧指令値補正部111Aは、補正パラメータKに基づいて、直流電圧指令値IVdcを補正する。具体的には、補正パラメータKの大きさに応じて、直流電圧指令値IVdcを小さくするように補正する。
【0025】
PLL115は、商用電源100から交流Vinが入力され、交流Vinと同期した正弦波リファレンス信号を生成して出力する。補正後の直流電圧指令値I’Vdcに正弦波リファレンス信号を積算することで、コンバータ基準波形が生成される。コンバータ基準波形は、補正後の直流電圧指令値I’Vdcを振幅として正弦波リファレンス信号に同期した正弦波となる。
なお、コンバータ制御部110はPLL115を有さない構成であってもよい。その場合、商用電源100から入力される交流Vinがそのまま正弦波リファレンス信号となる。
【0026】
コンバータ指令生成部116は、コンバータ基準波形が入力され、例えば三相制御の場合は、三相交流正弦波からなるコンバータ指令信号Vr、Vs、Vtを生成し、コンバータPWM信号制御部117へ出力する。
【0027】
コンバータPWM信号制御部117は、コンパレータ117aとキャリア信号生成部117bと、を有する。コンパレータ117aには、コンバータ指令信号Vr、Vs、Vtと、キャリア信号生成部117bで生成される三角波等のキャリア信号Vcが入力され、両者を比較して、PWM駆動信号Vgr、Vgs、Vgtを出力する。PWM駆動信号Vgrとその反転信号/Vgr、PWM駆動信号Vgsとその反転信号/Vgs、PWM駆動信号Vgtとその反転信号/Vgtは、それぞれコンバータ回路Cの半導体スイッチング素子のゲートに入力される。
【0028】
図4は、本発明の第1実施形態の変形例に係るコンバータ制御部110’の回路構成を示す図である。コンバータ制御部110’は、
図3に示すコンバータ制御部110のローパスフィルタ113が選択回路118と遅延回路119に置き換わった構成である。
図4の例示では、電力比較部112は、合算値Pと所定の閾値Pthを比較して、合算値Pが所定の閾値Pthより大きい場合は1を、合算値Pが所定の閾値Pthより小さい場合は0を出力する。選択回路118は、電力比較部112から1が入力された場合、ピークカットの電力を増加するパラメータA
t(A
tは正の一定値)を選択し、電力比較部112から0が入力された場合、ピークカットの電力を減少するパラメータ-B
t(B
tは正の一定値)を選択する。選択回路118でパラメータA
tが選択された場合、所定時刻前でパラメータA
t-1が選択されていれば、パラメータA
tに遅延回路119からの所定時刻前のパラメータA
t-1が加算され、所定時刻前でパラメータB
t-1が選択されていれば、パラメータA
tに遅延回路119からの所定時刻前のパラメータB
t-1が加算される。選択回路118でパラメータ-B
tが選択された場合についても同様である。
上記で加算されたパラメータの合計値S
tは、補正パラメータ算出部114に入力される。補正パラメータ算出部114は、パラメータの合計値S
tに基づいて補正パラメータKを算出する。
なお、
図4に示す直流電圧制御部111と、電力比較部112と、補正パラメータ算出部114と、PLL115と、コンバータ指令生成部116と、コンバータPWM信号制御部117については、
図3に示すコンバータ制御部110と同じ構成であるため、説明を省略する。
【0029】
図6は、
図3に示すコンバータ制御部内の直流電圧指令値およびコンバータ基準波形の波形データを示すグラフである。
図6に示すように、ピークカット動作時の補正後の直流電圧指令値I’Vdcは、通常動作時の補正後の直流電圧指令値I’Vdcよりも小さい値となる。その結果、ピークカット動作時のコンバータ基準波形の振幅は、通常動作時のコンバータ基準波形の振幅よりも小さくなる。したがって、商用電源100から入力される電力を低減するように、コンバータ回路Cの半導体スイッチング素子をPWMスイッチング制御することができる。商用電源100から入力される電力の低減分は、バッテリ11Bからインバータ回路Iへ出力される。
【0030】
このように、直流電圧指令値補正部111Aにおいて、直流電圧指令値IVdcを補正パラメータKに基づいて補正することで、商用電源100から入力される電力のピークカットが可能となる。
【0031】
図7は、本実施形態に係るインバータ制御部120の回路構成を示す図である。インバータ制御部120は、交流電圧制御部121と、理想正弦波生成部122と、インバータ指令生成部123と、インバータPWM信号制御部124と、を有し、
図2に示したインバータ回路Iの半導体スイッチング素子を所望の状態にPWMスイッチング制御する。
【0032】
交流電圧制御部121は、三相交流Voutが入力され、交流電圧基準値Vastdと三相交流Voutとの差分に基づいて、交流電圧指令値IVacを算出する。
【0033】
理想正弦波生成部122は、正弦波リファレンス信号を生成して出力する。交流電圧指令値IVacに正弦波リファレンス信号を積算することで、インバータ基準波形が生成される。
【0034】
インバータ指令生成部123は、インバータ基準波形が入力され、三相交流正弦波からなるコンバータ指令信号Vu,Vv,Vwを生成し、インバータPWM信号制御部124へ出力する。
【0035】
インバータPWM信号制御部124の構成は、
図3に示すコンバータ制御部110のコンバータPWM信号制御部117と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0036】
以上のように、商用電源100からの電力の合算値Pが所定の閾値Pthまで低減するように、各UPSはバッテリからの放電電力を上げるため、充放電アルゴリズムを備えた上位装置を不要とした簡素な構成で、商用電源100からの電力のピークカットが可能となる。
【0037】
図8は、本発明の第2実施形態に係るUPSシステムのブロック図である。第2実施形態に係るUPSシステム1’は、
図2に示す第1実施形態に係るUPSシステム1の電力メータ200が各UPS11~15内の電圧電流計測器11M~15Mに置き換わった構成である。また、第2実施形態に係るUPSシステムの各UPS11~15の電力制御部11C~15Cは、電力演算部11CA~15CAを有する。
【0038】
各電圧電流計測器11M~15Mは、商用電源100から各UPS11~15に入力される電力の電圧値と電流値を常時計測する。UPS11の電力演算部11CAは、電圧電流計測器11Mで計測された電圧値と電流値から、UPS11に入力される電力値P1を算出する。同様に、各UPS12~15の電力演算部12CA~15CAも、UPS12~15に入力される電力値P2~P5を算出する。また、UPS11の電力制御部11Cは、通信I/F2000を介して、定期的に他のUPS12~15の電力制御部12C~15Cから電力P2~P5を取得して、各UPS11~15に入力される電力の合算値P(P1~P5の合算値)を算出する。同様に、各UPS12~15の電力制御部12C~15Cも、各UPS11~15に入力される電力の合算値Pを算出する。
なお、各UPS12~15の電力制御部12C~15Cは、電力の合算値Pを算出せずに、UPS11の電力演算部11CAで算出された電力の合算値Pを通信I/F2000を介して取得してもよい。
【0039】
電力の合算値Pが所定の閾値Pthを超えた場合、複数のUPS11~15のうち少なくとも1つの電力制御部(例えば、電力制御部11C)は、ピークカット動作を行う。具体的には、電力の合算値Pが所定の閾値Pth以下となるまで、バッテリ11Bから放電し、放電電力を所定の割合で上げる。
【0040】
以上、本実施形態について説明をしたが、本実施形態に係る技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本実施形態に係る技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【0041】
例えば、本発明の第2実施形態において、電力の合算値P(P1~P5の合算値)が所定の閾値Pthを超えた場合に、複数のUPS11~15のうち少なくとも1つの電力制御部がピークカット動作を行う構成としていたが、各UPS11~15に入力される電力値P1~5のいずれか(例えば電力P1)が所定の閾値Pth’を超えた場合に、複数のUPS11~15のうち少なくとも1つの電力制御部がピークカット動作を行う構成としてもよい。この場合、UPSシステム1’は5台のUPS11~15を備えているため、所定の閾値Pth’を所定の閾値Pthの1/5の値に設定してもよい。
【符号の説明】
【0042】
1、1’:UPSシステム
11~15:UPS
11C~15C:内部制御部
11M~15M:電圧電流計測器
11B~15B:バッテリ
21~25:負荷
100:商用電源
200:電力メータ
1000:電源ライン
2000:通信I/F
C:コンバータ回路
I:インバータ回路
S:平滑回路
コンバータ制御部110
インバータ制御部120