(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115776
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】洗車場システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240820BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021606
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000103138
【氏名又は名称】エムケー精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】天野 義樹
(72)【発明者】
【氏名】青木 徹夫
(72)【発明者】
【氏名】竹内 祐介
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】利用客へ容易に返金することができる洗車場システムを提供する。
【解決手段】洗車場システムは、サーバと、洗車場を備え、前記サーバは、金額情報を有する返金指令を生成する返金指令生成手段を備え、前記洗車場は、返金手段を備え、前記返金手段は、前記返金指令を受信し、前記返金指令が有する前記金額情報に基づいた額を出金する。返金指令の金額情報には、例えばウェブ上で入力された額が用いられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバと、洗車場を備え、
前記サーバは、金額情報を有する返金指令を生成する返金指令生成手段を備え、
前記洗車場は、返金手段を備え、
前記返金手段は、前記返金指令を受信し、前記返金指令が有する前記金額情報に基づいた額を出金することを特徴とする洗車場システム。
【請求項2】
前記サーバは金額入力を受け付ける金額入力手段を備え、前記返金指令生成手段は前記金額入力手段に入力された金額を前記金額情報として前記返金指令を生成することを特徴とする請求項1に記載の洗車場システム。
【請求項3】
前記洗車場は、車両処理装置を備え、
前記サーバは、前記車両処理装置から車両処理の実行履歴を取得する履歴取得手段と、取得した前記実行履歴を記憶する記憶手段と、任意の前記実行履歴の選択を受け付ける履歴選択手段を備え、
前記実行履歴は金額情報を有し、
前記返金指令生成手段は、選択された前記実行履歴の前記金額情報を有する返金指令を生成することを特徴とする請求項1に記載の洗車場システム。
【請求項4】
前記サーバは、前記返金指令生成手段が生成した前記返金指令を記憶する記憶部を備え、記憶した各前記返金指令に基づき返金がなされたかを確認可能な画面を出力することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の洗車場システム。
【請求項5】
前記サーバは、所定の条件を満たしたとき、前記返金手段が前記返金指令に基づき出金したかを前記返金手段に問い合わせて、前記返金指令を更新することを特徴とする請求項4に記載の洗車場システム。
【請求項6】
前記返金手段は、前記返金指令に基づき出金したら前記サーバに返金完了信号を送信し、前記サーバは、前記返金完了信号を受信したら前記返金指令を更新することを特徴とする請求項4に記載の洗車場システム。
【請求項7】
前記サーバは、前記返金指令生成手段が生成した前記返金指令を記憶する記憶部を備え、前記返金手段は所定の操作を受け付けたとき前記サーバと通信し、前記記憶部に記憶された前記返金指令を取得することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の洗車場システム。
【請求項8】
前記返金指令は認証用情報を有し、前記返金手段は表示部と認証手段を有し、前記返金手段は前記返金指令を受信したら前記認証手段を表示し、前記認証手段に前記認証用情報と対応する情報が入力された場合に前記返金指令が有する前記金額情報に基づいた額を出金することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の洗車場システム。
【請求項9】
前記サーバは、前記返金手段から前記返金手段の返金可否情報を受信し、受信した前記返金可否情報を確認可能な画面を出力することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の洗車場システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗車場システムに関する。
【背景技術】
【0002】
洗車場を無人営業可能とするシステムが知られている。例えば特開2001-351168(以下、「特許文献1」とする)には、ウェブページを提供可能なWWWサーバを備えた洗車場広域運営システムが記載されている。特許文献1のシステムにおいて、利用客(車の洗浄を希望し、洗車場を利用するもの)はウェブページにアクセスすることで洗車サービスに対する支払いをしたり、洗車機の利用方法を知ったりすることができる。そのため、利用客は、例え洗車場が無人であっても快適に洗車サービスを受けることができる。このようなシステムにより、洗車場の管理者は、無人でも洗車場を営業可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、こうした従来の洗車場システムは、洗車関連機器の異常発生時などの返金対応に改良の余地がある。返金対応とは、例えば代金を先払いした利用客がサービスを受けることができなかった場合に、利用客の申し出により代金を返還する際の対応や処理のことを指す。返金にあたり、従来の無人洗車場では、例えば洗車場内に貯金箱を用意しておき、利用客から要望があった際にはその貯金箱から代金に等しい金額を取り出させるといった対応や、管理者が都度洗車場に赴くといった対応がとられていた。前者の対応は貯金箱の盗難や利用客による不正等が生じるおそれがあり、後者の対応は管理者にとって不便であった。
【0005】
本発明の一目的は、利用客へ容易に返金することができる洗車場システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一解決手段に係る洗車場システムは、サーバと、洗車場を備え、前記サーバは、金額情報を有する返金指令を生成する返金指令生成手段を備え、前記洗車場は、返金手段を備え、前記返金手段は、前記返金指令を受信し、前記返金指令が有する前記金額情報に基づいた額を出金することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一解決手段に係る洗車場システムによれば、利用客へ容易に返金することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】洗車場システム10のシステム構成図である。
【
図2】ウェブサイト24内におけるウェブページの一例である。
【
図3】ウェブサイト24内における他のウェブページの一例である。
【
図7】洗浄処理中断からの返金対応の流れを示すフロー図である。
【
図8】ウェブサイト24内における他のウェブページの一例である。
【
図9】洗車場システム10Aのシステム構成図である。
【
図10】ウェブサイト24A内におけるウェブページの一例である。
【
図11】洗車場システム10Bのシステム構成図である。
【
図12】ウェブサイト24B内におけるウェブページの一例である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下の本発明における実施形態では、必要な場合に複数のセクションなどに分けて説明するが、原則、それらは互いに無関係ではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細などの関係にある。このため、全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、構成要素の数(個数、数値、量、範囲などを含む)については、特に明示した場合や原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。また、構成要素などの形状に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合などを除き、実質的にその形状などに近似または類似するものなどを含むものとする。
【0010】
(第一実施形態)
図面をもとに本発明の実施形態について説明する。
図1は洗車場システム10のシステム構成図である。洗車場システム10は、サーバ20と、管理者端末80と、洗車場30を備えている。サーバ20と、管理者端末80と、洗車場30が備える受付装置60は、ネットワーク11を介して通信することができる。
【0011】
(サーバ)
洗車場システム10はサーバ20を備えている。サーバ20は例えばパーソナルコンピュータなどの情報処理装置であり、制御部21と、通信部22と、記憶部23を備えている。
【0012】
制御部21は、例えばCPU(Computer Processing Unit)などで構成され、サーバ20を統括的に制御することができる。制御部21は、任意の通信路を介して通信部22および記憶部23と通信可能に接続されている。通信部22は、例えばNIC(Network Interface Controller)などで構成され、後述する受付装置60とサーバ20の間の通信や、管理者端末80とサーバ20の間の通信を確立することができる。記憶部23はRAM(Read Only Memory)、ROM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)、外部メモリなどのストレージ手段である。
【0013】
制御部21は、受付装置60と通信し、受付装置60の情報を取得することができる。制御部21が取得した受付装置60の情報は、記憶部23に保存される。制御部21は、例えば受付装置60が通信可能な状態であるかどうか、受付装置60が使用中かどうか、受付装置60が保管する現金の額といった情報を受付装置60から取得してもよい。
【0014】
記憶部23には、ウェブサイト24を構成する各種ファイル(HTМL(Hyper Text Markup Language)ファイル、画像、テキスト、プログラムなど)が保存される。サーバ20はネットワーク11に接続されており、外部からのアクセス(例えば管理者端末80からのアクセス)に応じてウェブサイト24を構成するウェブページや各種の手段を出力することができる。
図2はウェブサイト24内におけるウェブページの一例である。サーバ20は、受付装置60と通信して受付装置60の情報を取得し、ウェブサイト24内を介して受付装置60の情報を提供することができる。
【0015】
図3はウェブサイト24内における他のウェブページの一例である。ウェブサイト24は、返金額を入力可能な入力フォーム25と、金額決定ボタン26を備えている。入力フォーム25に金額が入力され、金額決定ボタン26が操作されると、返金指令生成手段27が返金指令を生成する。返金指令は少なくとも入力された金額を情報として有している。生成された返金指令は記憶部23に保存される。なお、入力フォーム25と金額決定ボタン26はポップアップなどで
図2のウェブページ上に表示してもよい。
【0016】
(洗車場)
洗車場システム10は洗車場30を備えている。洗車場30は車両に洗浄や清掃等の処理をする車両処理装置を備えている。本実施形態において、洗車場30は車両処理装置として門型の洗車装置40を備えるものとして説明する。
図4は洗車装置40の模式的な正面図、
図5は洗車装置40の模式的な側面図である。本説明においては、
図5の右方を洗車装置40の前方、
図5の左方を洗車装置40の後方とする。
【0017】
(洗車装置)
洗車装置40は、地面Gに起立して設けられた本体部41を備えている。本体部41は、車両Cに対して洗浄などの処理を行うことができる。本体部41は、処理対象となる車両Cを跨ぐ門型状のフレーム(筐体)で構成されている。このため、本体部41は、地面Gから起立する一対の脚フレーム41aと、この一対の脚フレーム41aにかかる梁フレーム41bを有する。
【0018】
また、洗車装置40は、一対のレール42と、車輪43と、車輪44を備えている。一対のレール42は、互いが平行となるように地面Gに敷設されている。車輪43および車輪44は、一対の脚フレーム41aそれぞれの底部に設けられている。本体部41は、レール42間に車両Cが停車した状態で、レール42上を車輪43および車輪44を介して前後に移動(往復走行)可能である。なお、本体部41は、非洗車時にはレール42の後端(
図5の左方)で洗車受付を待機する。
【0019】
洗車装置40は、走行用モータ45と走行用エンコーダ46を備えている。走行用モータ45は、地面Gに対して車輪43よりも高い位置から車輪43と接続されるように、一対の脚フレーム41aそれぞれに設けられている。走行用エンコーダ46は脚フレーム41aの一方に設けられており、その一方側の走行用モータ45の出力軸に連結されている。走行用エンコーダ46は、走行用モータ45の回転方向(すなわち車輪43の回転方向)を検出しながら単位角度回転ごとにパルス信号を出力する。
【0020】
洗車装置40は、トップブラシ47および一対のサイドブラシ48を備えている。トップブラシ47は本体部41に設けられており、受付待機時には梁フレーム41bに収容されている。トップブラシ47は本体部41の移動に伴って回転しながら上下に昇降し、主に車両Cの上面をブラッシングすることができる。一対のサイドブラシ48は、トップブラシ47と同様に本体部41に設けられており、受付待機時にはそれぞれ脚フレーム41aに収容されている。一対のサイドブラシ48は本体部41の移動に伴って回転しながら開閉動作(互いが近づいたり離れたりする動作)し、主に車両Cの前面、側面、および後面をブラッシングすることができる。
【0021】
洗車装置40は、トップスプレー49および一対のサイドスプレー50を備えている。トップスプレー49は梁フレーム41bに設けられている。トップスプレー49は、本体部41の移動に伴って噴射ノズル(不図示)から水や洗剤などの洗浄液を噴射し、主に車両Cの上面を洗浄することができる。一対のサイドスプレー50は、脚フレーム41aに設けられている。サイドスプレー50は、本体部41の移動に伴って噴射ノズル(不図示)から水や洗剤などの洗浄液を噴射し、主に車両Cの側面を洗浄することができる。トップスプレー49およびサイドスプレー50は、トップブラシ47およびサイドブラシ48によるブラッシング前に車両Cに付着する汚れなどを洗い流せるよう、各ブラシよりも本体部41の前側に設けられている。
【0022】
洗車装置40は、トップノズル51(ブロワノズル)および一対のサイドノズル52(ブロワノズル)を備えている。トップノズル51は本体部41に設けられており、受付待機時には梁フレーム41bに収容されている。トップノズル51は本体部41の移動に伴って送風しながら車両Cと接触せずに上下に昇降し、主に車両Cの上面を乾燥することができる。一対のサイドノズル52は、トップノズル51と同様に本体部41に設けられており、受付待機時にはそれぞれ脚フレーム41aに収容されている。サイドノズル52は本体部41の移動に伴って送風し、主に車両Cの側面を乾燥することができる。
【0023】
洗車装置40は、車両Cの形状を検出する車両検出部53を備えている。車両検出部53は本体部41の前側に設けられており、例えば光電センサを用いた公知の手法により車両Cの形状を検出することができる。より具体的には、本体部41の移動に伴い、車両Cの側方からの形状(シルエット)を読み取ることができる。
【0024】
洗車装置40は、車両検出部53の検出結果をもとに洗浄ブラシやブロワノズルを駆動する。洗車装置40は、車両検出部53で取得した車両Cの形状に沿って洗浄ブラシやブロワノズルを駆動することにより、例えばブラッシング時にトップブラシ47が車両Cに強く押し当てられることを防止したり、乾燥時にトップノズル51が車両Cと接触することを防止したりすることができる。
【0025】
洗車装置40は、制御部54と、通信部55と、記憶部56を備えている。制御部54は、例えばCPUなどで構成され、洗車装置40を統括的に制御することができる。制御部54は、任意の通信路を介して本体部41の走行や車両の洗浄処理に係る各部と通信可能に接続されている。通信部55は、例えばNICなどで構成され、洗車装置40と受付装置60の間の通信を確立することができる。記憶部56はRAM、ROM、HDD、SSD、外部メモリなどのストレージ手段である。記憶部56には、本体部41の走行や、車両検出処理や、各種ブラシやブロワノズルなどを用いた洗浄処理などを行うためのコンピュータプログラムが保存される。
【0026】
(受付装置)
洗車場30は受付装置60を備えている。受付装置60は、制御部61と、通信部62と、記憶部63と、表示部64を備えている。
【0027】
制御部61は、例えばCPUなどで構成され、受付装置60を統括的に制御することができる。制御部61は、任意の通信路を介して通信部62、記憶部63、表示部64、その他決済に係る各部と通信可能に接続されている。通信部62は、例えばNICなどで構成され、サーバ20と受付装置60の間の通信や、洗車装置40と受付装置60の間の通信を確立することができる。記憶部63はRAM、ROM、HDD、SSD、外部メモリなどで構成されるストレージ手段である。記憶部63には各種のデータベース、テーブル、ファイル、各種処理を行うためのコンピュータプログラムなどが保存される。
【0028】
制御部61は、問い合わせ手段71と返金実行手段72を備えている。問い合わせ手段71は所定の条件が満たされたとき、サーバ20に返金指令の有無を問い合わせることができる。本実施形態においては、問い合わせ手段71は投入金返却レバー69の操作を契機としてサーバ20に返金指令の有無を問い合わせる。返金実行手段72は、受信した返金指令の金額情報に基づきコインメカニズム66とビルバリデータ67を制御し出金する。
【0029】
表示部64は、例えば液晶ディスプレイまたは有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイから構成され、静電容量方式、抵抗膜方式などのタッチ検出機能を備えている。洗車場30の利用客は、表示部64を見ることで洗車装置40に関する情報を得たり、表示部64をタッチ操作することで洗車装置40に指示したりすることができる。
【0030】
図6は受付装置60の模式的な正面図である。受付装置60は、現金投入口65と、コインメカニズム66と、ビルバリデータ67と、現金返却口68と、投入金返却レバー69と、現金保管部70を備えている。利用客は表示部64を操作して所望の洗車メニューを選択した後、当該洗車メニューに係る料金ぶんの現金(硬貨や紙幣)を現金投入口65に投入することで、洗車装置40による洗車サービスを受けることができる。投入された現金のうち、硬貨はコインメカニズム66、貨幣はビルバリデータ67でそれぞれ識別される。料金を超過した金額が投入された場合、超過ぶんは釣銭として現金返却口68から排出される。また、利用客が支払いの途中で投入金返却レバー69を操作した場合にも、利用客が投入したぶんの現金は現金返却口68から排出される。支払い完了後、受付装置60が受け取った現金は現金保管部70内に収納される。
【0031】
受付装置60に二次元コードリーダを設け、現金以外の方法で洗車サービスの決済を可能としてもよい。現金以外の決済方法としては、例えばプリペイドカード決済やクレジットカード決済、各種キャッシュレス決済などが含まれる。
【0032】
(管理者端末)
洗車場システム10は管理者端末80を備えている。管理者端末80は、例えば携帯電話、スマートフォン、タブレット端末などの携帯端末や、パーソナルコンピュータなどの情報処理装置であり、洗車場30の管理者により操作される。管理者端末80は、制御部81と、通信部82と、記憶部83と、表示部84を備えている。
【0033】
制御部81は、例えばCPUなどで構成され、管理者端末80を統括的に制御することができる。制御部81は、任意の通信路を介して通信部82、記憶部83、および表示部84と通信可能に接続されている。通信部82は、例えばモバイル通信回路などで構成され、管理者端末80とサーバ20の間の通信を確立することができる。記憶部83はRAM、ROM、HDD、SSD、外部メモリなどのストレージ手段である。記憶部83には各種のデータベース、テーブル、ファイル、ウェブブラウザなどのコンピュータプログラムなどが保存される。表示部84は、例えば液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイから構成され、静電容量方式、抵抗膜方式などのタッチ検出機能を備えている。
【0034】
(処理フロー)
このように構成される洗車場システム10の処理について説明する。まず、利用客が洗車場30に来場し、洗車サービスを受け終える場合の流れについて説明する。
【0035】
利用客は洗車場30に来場したら、洗浄処理を施したい車両Cを受付装置60付近に移動させる。その後、利用客は表示部64に表示される案内に従い、所望の洗車コースを選択する。表示部64の表示内容は、利用客のタッチ操作等に基づき制御部61が制御する。
【0036】
所望の洗車コースが選択されると、制御部61は、その洗車コースに対応する料金を表示部64に表示する。料金が表示部64に表示されたら、利用客は、その料金を現金や電子マネー等で支払う。選択された洗車コースの料金が700円であれば、利用客は例えば700円ぶんの現金を現金投入口65に投入する。投入された現金はコインメカニズム66やビルバリデータ67により識別される。コインメカニズム66とビルバリデータ67は制御部61と通信可能であり、投入された金額に関する情報は制御部61に送信される。
【0037】
制御部61は料金に対応する金額が投入されたことを確認したら、その旨を表示部64に表示し、さらに車両Cをレール42間の所定位置まで進めるよう画面表示で利用客に案内する。なお、こうした利用客への案内には画面表示に限らず音声など種々の報知手段を用いることができる。利用客は案内に従い、車両Cをレール42間の所定位置へ進行させる。洗車装置40は、図示しない光電センサなどにより車両Cが所定位置に停止したことを検出したら、利用客が選択した洗車コースに基づく洗浄処理を開始する。
【0038】
例えば本体部41がレール42上を1.5往復して洗浄を行うコース(1.5往復洗車コース)が受付装置60で選択されている場合、洗車装置40は、第1往工程として本体部41を前方に移動(往行走行)させながら車両検出部53により車両Cの形状を検出しつつ、トップスプレー49およびサイドスプレー50から洗浄水と洗浄剤を散布する。さらに車両検出部53で求められた車両Cの形状に合わせ、トップブラシ47やサイドブラシ48を用いて車両Cの表面をブラッシング洗浄する。
【0039】
次いで、洗車装置40は、復工程として本体部41を後方に移動(復行走行)させながらトップスプレー49およびサイドスプレー50から車両Cに洗浄水を散布し、汚れや洗浄剤を流し落とす。
【0040】
最後に、洗車装置40は、第2往工程として、本体部41を前方に移動(往行走行)させながらトップノズル51およびサイドノズル52を用いて車両Cに送風し、水滴を除去して乾燥を図る。その後、音声などにより利用客に車両Cを退出させるよう案内し、洗浄処理終了とする。
【0041】
車両Cを退出させるよう案内を受けた利用客は、車両Cを前進等させてレール42間から退出させる。退出の案内から所定時間経過したら、洗車装置40は待機位置へ移動する。利用客は以上の流れで洗車サービスを受けることができる。
【0042】
(返金対応フロー)
次に、洗浄処理が中断され、利用客が返金を求める場合の処理の流れについて説明する。
【0043】
利用客は洗車場30に来場したら、洗浄処理を施したい車両Cを受付装置60付近に移動させる。その後、利用客は表示部64に表示される案内に従い、所望の洗車コースを選択する。
【0044】
所望の洗車コースが選択されると、制御部61は、その洗車コースに対応する料金を表示部64に表示する。料金が表示部64に表示されたら、利用客は、その料金を現金や電子マネー等で支払う。制御部61は料金に対応する金額が投入されたことを確認したら、その旨を表示部64に表示し、さらに車両Cをレール42間の所定位置まで進めるよう表示で利用客に案内する。
【0045】
利用客は案内に従い、車両Cをレール42間の所定位置へ進行させる。洗車装置40は、図示しない光電センサなどにより車両Cが所定位置に停止したことを検出したら、利用客が選択した洗車コースに基づく洗浄処理を開始する。
【0046】
例えば本体部41がレール42上を1.5往復して洗浄を行うコース(1.5往復洗車コース)が受付装置60で選択されている場合、洗車装置40は、第1往工程として本体部41を前方に移動(往行走行)させながら車両検出部53により車両Cを検出しつつ、トップスプレー49およびサイドスプレー50から洗浄水と洗浄剤を散布する。
【0047】
こうした洗浄処理の途中で車両Cや洗車装置40のいずれかの箇所に何らかの異常が認められた場合や、本体部41の図示しない非常停止ボタンが押された場合など、洗車装置40は洗浄処理を中断する。例えば車両検出部53が検出した車両Cの高さが洗浄可能な高さを超えていた場合、制御部61は洗浄処理に係る各部に異常停止信号を送り、本体部41の走行を止め、散水やブラッシングなどの洗浄処理を中断する。
【0048】
図7は洗浄処理中断からの返金対応の流れを示すフロー図である。洗浄処理が中断されたら[1]、洗車装置40は利用客に報知し、管理者端末80を操作可能な洗車場30の管理者に連絡するよう促す[2]。この報知には音声案内や画面表示など、種々の方法を用いることができる。本実施形態においては、「返金等を希望する場合、洗車機本体に掲示されている番号に電話してください」という音声案内で報知する場合を想定して説明する。
【0049】
音声案内を受けた利用客は、洗車機本体に掲示されている番号に電話する。この際、利用客は、洗車場30の管理者に対して返金希望の申し出をすることができる[3]。
【0050】
洗車場30の管理者は、返金を希望された場合、管理者端末80からサーバ20のウェブサイト24にアクセスして、ウェブ上で返金に係る手続きを行う。
図7のフロー図に示す通り、本実施形態における返金処理には利用客が受付装置60を操作する段階がある。そこで、例えば
図2に示すように、管理者が受付装置60の状態をウェブサイト24上で確認できるとよい。受付装置60が返金可能な状態であれば[4]、管理者は利用客を受付装置60へ誘導する[5]。
【0051】
その後、管理者は
図2のウェブページ上で「返金する」ボタンを押し、返金に係る手続きを進める。
図3の画面において、管理者は、利用客に返金する額を入力し、金額決定ボタン26を操作する[6]。金額決定ボタン26が操作されると、返金指令生成手段27が返金指令を生成する。返金指令は、少なくとも入力フォーム25に入力された金額を情報として有している。生成された返金指令は記憶部23に保存される。
【0052】
その後、管理者は利用客に対して投入金返却レバー69を操作するよう指示する[7]。投入金返却レバー69が操作されると、制御部61は返金指令の有無をサーバ20に問い合わせる。この問い合わせにより受付装置60が返金指令を受信した場合、返金実行手段72はその指令の金額に基づき返金を実行する。現金は現金返却口68から返却される。利用客は現金返却口68から現金を回収することができる[8]。以上で利用客の返金対応終了となる。
【0053】
このようにして、洗車場システム10は、洗車装置40が洗浄処理を中断した場合にも利用客に容易に返金することができる。利用客の返金の申し出に対し、管理者は管理者端末80の操作で返金対応が済むので、例えば都度洗車場に向かうといった手間を省くことができる。利用客も指定された連絡先に電話をし、指示通りに受付装置60を操作するだけで返金対応が済むので、例えば管理者が洗車場に到着するのを待つといった無駄な時間を省くことができる。
【0054】
本実施形態においては洗車装置40の利用料金を返金する場合について説明したが、洗車場システム10は洗車場30内のあらゆる商品やサービスの利用料金について返金対応が可能である。例えば利用客が車内掃除機を利用するため料金を支払ったが、掃除機が詰まっており掃除できなかったとする。このような場合においても、管理者が利用客から事情を聞き、返金すべき金額をウェブサイト24で入力すればよい。利用客は受付装置60の投入金返却レバー69を操作して返金を受け取ることができる。このようにして、洗車場システム10は、洗車場30内のあらゆる商品やサービスについて容易に返金することができる。返金対応可能なサービスや商品のさらなる例としては、高圧洗浄機や車内脱臭機の提供のほか、飲料自動販売機の商品なども挙げられる。
【0055】
管理者が洗車場システム10を用いてオンラインで返金対応をするには、洗車場30内において少なくとも受付装置60がサーバ20と接続され、通信可能であればよい。概して洗車場内には多様な車両処理装置があり、その多くをIоT(Internet of Things)機器とするのはコストがかかり、現実的でない。洗車場システム10は洗車場30内においてサーバ20と通信する機器を受付装置60のみとした構成で、あらゆる商品やサービスについてオンラインで容易に返金処理をすることができる。
【0056】
こうした特徴から、洗車場システム10は既存の多くの洗車場に適用可能である。既存の洗車場に洗車場システム10を導入する場合、その洗車場に受付装置60を設置すればよい。その洗車場に受付装置60と通信させる洗車装置がない場合、受付装置60を返金機としてのみ扱えるよう表示部64などの構成要素や機能を省いてもよい。
【0057】
これまで説明したように、受付装置60は、利用客自身の操作を契機にサーバ20に返金指令の有無を問い合わせるようにするとよい。このように構成することで、返金対象でない客に料金が返却されてしまう事態を減らすことができる。また、サーバ20と受付装置60間で定期的に通信しないことにより、サーバ20と受付装置60間の通信トラフィックを軽減することができる。これにより、特に後述する他の実施形態のようにサーバ20を複数の洗車場と通信させる場合に、サーバ20の負荷を軽減することができる。
【0058】
(後日返金対応)
図7の段階[4]において、受付装置60がその時点では返金不可能な場合がある。受付装置60が返金不可能な場合としては、例えば他の利用客が既に車両を受付装置60の前に止めており、返金を求める利用客が受付装置60を操作できない場合や、利用客が電子マネー等現金でない手段で決済を行っていたために、現金保管部70に返金用の現金が入っていない場合などが挙げられる。こうした場合には、利用客の氏名等を聞いておき、その利用客が後に洗車場30に再び来場した際に連絡してもらい、返金対応を金額入力からやりなおすとよい。
【0059】
返金指令にパスワードなど認証用の情報を含め、利用客の再来場時に受付装置60で照合させるようにしてもよい。この場合、返金指令は利用客の再来場時まで(または所定の期間)記憶部23に保存し続けることができる。それゆえ、管理者は利用客の再来場時に返金対応を金額入力からやりなおす必要がなく、また利用客も再び電話をかける手間がないため、効率的である。利用客へのパスワード通知はショートメッセージサービス(SMS)などを用いるとよい。
【0060】
なお、後日対応の返金指令のみでなく、すべての返金指令に認証用の情報を含めてもよい。受付装置60が返金指令を受信したとき、パスワード入力フォームなどの認証手段が表示部64に表示されるようにするとよい。表示部64に認証手段呼び出しボタンなどを設けてもよい。
【0061】
(返金確認)
サーバ20が返金指令を記憶部23に保存した後、その指令に基づき実際に受付装置60で返金がなされたかどうかをサーバ20で確認可能としてもよい。これにより、例えばウェブサイト24に各返金案件が完了したかどうかを表示することが可能となる。
【0062】
受付装置60の制御部61は、例えば返金指令に基づき出金するごとに返金完了信号を生成するとよい。そして、生成した返金完了信号を記憶部63に記憶するとよい。サーバ20の制御部21は、返金指令を記憶部23に保存した後、所定の期間ごとに受付装置60に返金完了信号の有無を問い合わせるとよい。サーバ20の制御部21は、各返金指令につき対応する返金完了信号を受信したら、記憶部23に保存されたその返金指令の支払いフラグを「返金済み」に更新するとよい。
【0063】
各返金指令につき支払いフラグが「返金済み」となったかどうかは、ウェブサイト24で確認できるようにするとよい。
図8はそのような確認が可能なウェブページの一例である。返金案件テーブルでは、記憶部23に保存された返金指令ごとに生成の日時や金額がわかるとよい。
【0064】
所定の期間を過ぎても返金済みにならない返金指令がある場合、例えばウェブサイト24を介して管理者に通知をするとよい。
【0065】
出金するごとに受付装置60からサーバ20へ返金完了信号を送信するよう構成してもよい。このように構成することで、サーバ20の問い合わせ頻度を減らすことができる。
【0066】
(第二実施形態)
複数の洗車場で返金対応が可能な洗車場システム10Aについて説明する。
図9は洗車場システム10Aのシステム構成図である。
【0067】
洗車場システム10Aはサーバ20Aを備えている。サーバ20Aは例えばパーソナルコンピュータなどの情報処理装置であり、ウェブサイト24Aを構成する各種ファイル(HTМL(Hyper Text Markup Language)ファイル、画像、テキストなど)が保存される。
【0068】
洗車場システム10Aは、異なる敷地に洗車場30A-1、30A-2、30A-3を備えている。各洗車場30Aは受付装置60Aと、任意の車両処理装置を備えている。
【0069】
また、洗車場システム10Aは、管理者端末80Aを備えている。本実施形態において、管理者端末80Aは、洗車場30Aの管理者が管理を委託したコールセンター110のオペレーターにより操作される。いずれかの洗車場30Aの利用客から返金の申し出を受けたオペレーターは、各自に割り当てられた管理者端末80Aからウェブサイト24Aにアクセスし、返金に係る処理を行う。
【0070】
本実施形態においては複数の洗車場が管理対象であるため、ウェブサイト24Aではどの洗車場において返金対応を行うか選択できるとよい。
図10はそのような選択が可能なウェブページの一例である。利用客から返金の申し出を受けたオペレーターは、利用客がどの洗車場にいるかを確認した後、ウェブページ上でその洗車場を選択することで、その洗車場の受付装置60Aに向けた返金指令を生成することができる。返金指令生成手段27Aは、返金先の洗車場に関する情報(例えば各洗車場30Aを一意に識別するID等)を含む返金指令を生成するとよい。
【0071】
返金対応における処理の流れは第一実施形態と同様のため割愛する。本実施形態においても受付装置60Aは利用客による操作を契機にサーバ20Aへ返金指令の問い合わせをするが、この際受付装置60Aは自身の洗車場に向けられた返金指令のみを受信し、現金の返却を実行するとよい。こうした処理を行うことにより、他の洗車場にいる利用客に返金がなされるといった事態を防ぐことができる。
【0072】
利用客が返金を希望した洗車場とは異なる洗車場で返金処理をするといった対応も可能である。例えばある利用客が旅行先の洗車場30A-1で洗浄処理の中断に遭遇し返金対応を希望したが、洗車場30A-1の受付装置60Aが返金不可能であった場合などが想定される。このような場合、オペレーターは利用客の家の最寄りの洗車場を電話等で尋ね、その洗車場の受付装置60Aに向けた返金指令を生成すればよい。例えば利用客の家の最寄りの洗車場が洗車場30A-3であれば、オペレーターはウェブサイト24上で洗車場30A-Cを指定して対応すればよい。このようにして、洗車場システム10Aは、容易に返金が可能なだけでなく、他の洗車場にいる利用客に返金がなされるといった事態を防ぎつつ、利用客の置かれている状況に則した柔軟な返金対応をとることができる。
【0073】
なお、洗車場が複数ある場合も、返金指令にパスワードなど認証用の情報を含め、利用客に受付装置60で照合させる方式は効果的である。この場合、どの洗車場の受付装置60Aでも返金指令を処理可能にするとよい。利用客はどの洗車場でもパスワードを入力することで返金を受け取り可能となる。このようにして、洗車場システム10Aは、管理対象の洗車場が複数あっても、利用者の置かれている状況に則した柔軟な返金対応をとることができる。
【0074】
(第三実施形態)
洗車場内の車両処理装置をサーバと通信可能に構成し、ウェブサイト上で洗浄装置のステータス情報を確認可能としたり、受付装置ではなく車両処理装置に返金指令の処理を行わせたりしてもよい。洗車場30B内の洗車装置40Bをサーバ20Bと通信可能に構成した洗車場システム10Bについて説明する。
【0075】
図11は洗車場システム10Bのシステム構成図である。洗車場システム10Bは、サーバ20Bと、洗車場30Bを備えている。各洗車場30Bは受付装置60Bと、洗車装置40Bを備えている。
【0076】
サーバ20Bは例えばパーソナルコンピュータなどの情報処理装置であり、制御部21Bと、通信部22Bと、記憶部23Bを備えている。制御部21Bは、例えばCPUなどで構成され、サーバ20Bを統括的に制御することができる。制御部21Bは、任意の通信路を介して通信部22Bおよび記憶部23Bと通信可能に接続されている。通信部22Bは、例えばNICなどで構成され、洗車装置40Bとサーバ20Bの間の通信や、管理者端末80とサーバ20Bの間の通信を確立することができる。
【0077】
制御部21Bは定期的に洗車装置40Bと通信し、洗車装置40Bや受付装置60Bの利用可否情報や、洗車装置40Bの実行履歴(例えば選択されたコースや売上金額、正常に動作したかなどの情報)を取得する。制御部21Bが取得した洗車装置40Bに関する情報は記憶部23Bに保存され、ウェブサイト24Bで確認可能となる。
【0078】
洗車装置40Bは、制御部54Bと、通信部55Bと、記憶部56Bを備えている。制御部54Bは、例えばCPUなどで構成され、洗車装置40Bを統括的に制御することができる。制御部54Bは、任意の通信路を介して本体部41の走行や車両洗浄処理に係る各部と通信可能に接続されている。通信部55Bは、例えばNICなどで構成され、洗車装置40Bと受付装置60Bおよびサーバ20Bの間の通信を確立することができる。記憶部56BはRAM、ROM、HDD、SSD、外部メモリなどのストレージ手段である。
【0079】
制御部54Bは、問い合わせ手段71Bと返金指令手段210を備えている。問い合わせ手段71Bは所定の条件が満たされたとき、サーバ20Bに返金指令の有無を問い合わせることができる。返金指令手段210は、受付装置60Bに返金指令を送信することができる。
【0080】
受付装置60Bは、制御部61Bと、通信部62B、返金実行手段72Bを備えている。制御部61Bは、例えばCPUなどで構成され、受付装置60Bを統括的に制御することができる。制御部61Bは、任意の通信路を介して通信部62B、記憶部63、表示部64、その他決済に係る各部と通信可能に接続されている。通信部62Bは、例えばNICなどで構成され、洗車装置40Bと受付装置60Bの間の通信を確立することができる。返金実行手段72Bは、洗車装置40Bから受信した返金指令の金額に基づきコインメカニズム66とビルバリデータ67を制御し現金を返却する。
【0081】
このように構成される洗車場システム10Cの返金対応時の処理について説明する。利用客は洗車場30Bに来場したら、洗浄処理を施したい車両Cを受付装置60B付近に移動させる。その後、利用客は表示部64に表示される案内に従い、所望の洗車コースを選択する。
【0082】
所望の洗車コースが選択されると、制御部61Bは、その洗車コースに対応する料金を表示部64に表示する。料金が表示部64に表示されたら、利用客は、その料金を現金や電子マネー等で支払う。制御部61Bは料金に対応する金額が投入されたことを確認したら、その旨を表示部64に表示し、さらに車両Cをレール42間の所定位置まで進めるよう表示で利用客に案内する。
【0083】
利用客は案内に従い、車両Cをレール42間の所定位置へ進行させる。洗車装置40Bは、図示しない光電センサなどにより車両Cが所定位置に停止したことを検出したら、利用客が選択した洗車コースに基づく洗浄処理を開始する。
【0084】
洗浄処理の途中で車両Cや洗車装置40のいずれかの箇所に何らかの異常が認められた場合や、本体部41の図示しない非常停止ボタンが押された場合など、洗車装置40Bは洗浄処理を中断する。
【0085】
洗浄処理が中断されたら、洗車装置40Bは利用客に報知し、洗車場30Bの管理者に連絡するよう促す。本実施形態においては、「返金等を希望する場合、洗車機本体に掲示されている番号に電話してください」という音声案内で報知する場合を想定して説明する。
【0086】
音声案内を受けた利用客は、洗車機本体に掲示されている番号に電話する。この際、利用客は、洗車場30Bの管理者に対して返金希望の申し出をすることができる。
【0087】
洗車場30Bの管理者は、返金を希望された場合、管理者端末80からサーバ20Bのウェブサイト24にアクセスして、ウェブ上で返金に係る手続きを行う。受付装置60が返金可能な状態であれば、管理者は利用客を受付装置60へ誘導する。
【0088】
その後、管理者は
図12のウェブページ上で洗車装置40Bの実行履歴を選択し、返金決定ボタン211を操作する。返金決定ボタン211が操作されると、返金指令生成手段27が返金指令を生成する。返金指令は、少なくとも選択された履歴の料金を情報として有している。生成された返金指令は記憶部23Bに保存される。
【0089】
その後、管理者は利用客に対して投入金返却レバー69を操作するよう指示する。投入金返却レバー69が操作されると、洗車装置40Bの問い合わせ手段71Bは返金指令の有無をサーバ20Bに問い合わせる。この問い合わせにより洗車装置40Bが返金指令を受信した場合、返金指令手段210は受付装置60Bに返金指令を送信する。受付装置60Bが返金指令を受信したら、返金実行手段72Bはその指令の金額に基づき返金を実行する。現金は現金返却口68から返却される。利用客は現金返却口68から現金を回収することができる。以上で利用客の返金対応終了となる。
【0090】
このようにして、洗車場システム10Bは、洗車装置40Bが洗浄処理を中断した場合に、実行履歴を参照して利用客に返金することができる。実行履歴を参照および指定して返金対応するため、利用客に返金額を確認する手間がかからず、管理者にとって効率的である。また、利用客の不正な申し出に基づき誤った金額を返却するおそれもない。
【0091】
これまで洗車装置40Bの洗車実行履歴を参照して返金する形態について説明したが、他の種の車両処理装置の処理実行履歴を参照して返金可能としてもよい。他の種の車両処理装置としては、例えば高圧洗浄機、車内掃除機、車内脱臭機、車両用エアコン整備機器、エンジンオイル交換機などが挙げられる。
【0092】
洗車場30B内に複数の車両処理装置を設け、複数の車両処理装置について処理実行履歴を参照して返金可能としてもよい。その場合、いずれかの車両処理装置の受付装置で他の車両処理装置の実行履歴に基づき現金の返却ができるようにしてもよい。例えば車内掃除機と車内脱臭機の料金の返金を求める利用客に対して、洗車装置40Bの受付装置60Bでまとめて現金を返却できるようにしてもよい。特に洗車場30Bの敷地が広い場合などにおいては、利用客が各車両処理装置のもとへ行って返金を受け取る必要がなく、効率的である。その洗車場30B内のどの受付装置で返金を行うかをウェブサイト24B上で選択可能としてもよい。
【0093】
以上、本発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えばサーバにはクラウドシステム上のクラウドサーバを使用してもよい。
【0094】
ウェブサイト上で履歴を指定して返金する方式と金額をフォームに入力する方式を組み合わせて用いてもよい。返金額の入力や履歴の指定は、必ずしもウェブサイト上で行われなければならないものではない。例えば管理者端末に記憶されるアプリケーションなどで金額入力等の手続きを可能にしてもよい。
【符号の説明】
【0095】
10 洗車場システム
20 サーバ
30 洗車場
60 受付装置