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特開2024-115785防護工台車、防護工台車の積載構造、及び防護工台車の運搬・据付方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115785
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】防護工台車、防護工台車の積載構造、及び防護工台車の運搬・据付方法
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/00 20060101AFI20240820BHJP
【FI】
E21D11/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021620
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000216025
【氏名又は名称】鉄建建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】505398952
【氏名又は名称】中日本高速道路株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】596007979
【氏名又は名称】大栄工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】林 忠男
(72)【発明者】
【氏名】植中 靖二
(72)【発明者】
【氏名】須志田 藤雄
(72)【発明者】
【氏名】大西 春信
(72)【発明者】
【氏名】瀧本 博文
(72)【発明者】
【氏名】舟橋 孝仁
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 岳
(72)【発明者】
【氏名】小林 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 猛彦
【テーマコード(参考)】
2D155
【Fターム(参考)】
2D155AA02
2D155BB02
2D155FB05
2D155LA16
2D155LA17
(57)【要約】
【課題】トンネル1の空頭制限を超えることなく運搬車両10に積載できる防護工台車2、防護工台車2の積載構造、及び防護工台車2の運搬・据付方法を提供することを目的とする。
【解決手段】供用中のトンネル1の路面3に対向する天面部21と、対向する一対の側壁部23とを有する断面門型形状の防護工台車2であって、側壁部23は、天面部21に固定された固定壁部25と、固定壁部25の下方に配置された可動壁部26と、天面部21の奥行方向Xを回転軸として、可動壁部26を固定壁部25に対して枢動させる枢動部27とが備えられたことを特徴とする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供用中のトンネルの路面に対向する天面部と、対向する一対の側壁部とを有する断面門型形状の防護工台車であって、
前記側壁部は、
前記天面部に固定された固定壁部と、
該固定壁部の下方に配置された可動壁部と、
前記天面部の奥行方向を回転軸として、前記可動壁部を前記固定壁部に対して枢動させる枢動部とが備えられた
防護工台車。
【請求項2】
前記枢動部は、前記固定壁部に対して前記可動壁部を外側へ向けて枢動させる構成である
請求項1に記載の防護工台車。
【請求項3】
前記枢動部を第1枢動部として、
前記可動壁部は、
前記第1枢動部を介して前記固定壁部に枢支された第1可動壁部と、
前記第1可動壁部の下方に配置された第2可動壁部と、
前記奥行方向を回転軸として、前記第2可動壁部を前記第1可動壁部に対して枢動させる第2枢動部とが備えられた
請求項1に記載の防護工台車。
【請求項4】
前記第1枢動部は、
前記固定壁部に対して前記第1可動壁部を内側へ向けて枢動させる構成であり、
前記第2枢動部は、
前記第1可動壁部に対して前記第2可動壁部を外側へ枢動させる構成である
請求項3に記載の防護工台車。
【請求項5】
前記可動壁部を吊り降しするチェーンブロックが前記固定壁部に備えられた
請求項1に記載の防護工台車。
【請求項6】
前記可動壁部が枢動した状態において、前記固定壁部に前記可動壁部を連結固定する固定部材が備えられた
請求項1に記載の防護工台車。
【請求項7】
請求項1に記載の防護工台車と、
運搬車両の荷台に載置されるとともに、側壁部が枢動した前記防護工台車を支持する支持架台とが備えられ、
前記支持架台が、
前記防護工台車の天面部に当接する当接部と、前記当接部を昇降させる昇降機構部とを備えた
防護工台車の積載構造。
【請求項8】
前記防護工台車の可動壁部が枢動した状態において、前記防護工台車の固定壁部または前記可動壁部を前記支持架台に連結する連結部材が備えられた
請求項7に記載の防護工台車の積載構造。
【請求項9】
前記支持架台は、
前記荷台に対して前記防護工台車を幅員方向にスライド可能にするスライド機構部が備えられた
請求項7に記載の防護工台車の積載構造。
【請求項10】
供用中のトンネルの路面に対向する天面部と、対向する一対の側壁部とを有する断面門型形状の防護工台車の運搬・据付方法であって、
前記側壁部が接地した状態の前記防護工台車の内部に、運搬車両の荷台に載置された支持架台を移動させる架台移動工程と、
前記支持架台の当接部を昇降機構部によって上昇させるとともに、前記防護工台車の前記天面部に前記当接部を当接させて、前記防護工台車を載置面から離間させる離間工程と、
前記天面部に固定された前記側壁部の固定壁部に対して、下方に配置された前記側壁部の可動壁部を、前記防護工台車が前記載置面から離間した状態において、前記天面部の奥行方向を回転軸とする枢動部を中心に枢動させる枢動工程と、
前記防護工台車を前記昇降機構部によって前記載置面に接地しない位置まで下降させる下降工程と、
前記可動壁部が枢動した前記防護工台車を、前記運搬車両が運搬する台車運搬工程と、
運搬した前記防護工台車を前記支持架台の昇降機構部によって上昇させる上昇工程と、
前記防護工台車の前記可動壁部を展開する展開工程と、
展開した前記防護工台車の前記可動壁部を、前記昇降機構部によって接地させる接地工程とを行う
防護工台車の運搬・据付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば供用中のトンネル内部において、覆工コンクリートの改修に用いるような防護工台車、防護工台車の積載構造及び防護工台車の運搬・据付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
供用中のトンネルには、トンネル構築後の経年によって、トンネル内面を構成する覆工コンクリートの耐久性が低下し、改修を要するものがある。この際、供用中のトンネルを、例えば夜間のみ通行止めにして改修を行うことが考えられるが、施工時間が夜間に限られるため工期が長くなるおそれがあった。
【0003】
そこで、昨今では、車両を通過させながらトンネルの改修を行う様々な技術が提案されている。
例えば特許文献1は、車両が通行可能な空間を内側に有する断面門型形状の防護工台車をトンネル内部に配置することで、車両を通行させながらトンネルの改修を可能にしている。
【0004】
ところで、このような防護工台車をトンネルの内部で組み立てる場合、防護工台車の組み立てに日数を要するため、トンネルを数日通行止めにする必要がある。そこで、通行止めの日数を短縮するために、トンネルの坑外で予め組み立てた防護工台車を、運搬車両の荷台に積載してトンネルの内部に運搬することが考えられる。
【0005】
しかしながら、この場合、防護工台車を路面から離間した状態で運搬車両の荷台に積載するため、積載状態における路面から防護工台車の上端までの高さが、路面に載置した状態よりも高くなる。
【0006】
そうすると、積載状態における路面から防護工台車の上端までの高さが、トンネルの空頭制限を超えるおそれがあり、トンネルの坑外で予め組み立てた防護工台車をトンネルの内部に運搬できないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2022-122668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述の問題に鑑み、トンネルの空頭制限を超えることなく運搬車両に積載できる防護工台車、防護工台車の積載構造、及び防護工台車の運搬・据付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、供用中のトンネルの路面に対向する天面部と、対向する一対の側壁部とを有する断面門型形状の防護工台車であって、前記側壁部は、前記天面部に固定された固定壁部と、該固定壁部の下方に配置された可動壁部と、前記天面部の奥行方向を回転軸として、前記可動壁部を前記固定壁部に対して枢動させる枢動部とが備えられたことを特徴とする。
【0010】
上記可動壁部は、1つの部材で構成されたもの、または枢動部とは別の枢動部を介して枢支された複数の部材で構成されたものをいう。
この発明によれば、側壁部を折り畳むことができるため、側壁部を折り畳んだ折畳状態における全高を、側壁部を展開した展開状態における全高に比べて低くすることができる。
このため、防護工台車は、運搬車両の荷台で防護工台車を支持する支持架台の高さを、展開状態の防護工台車を支持する支持架台に比べて低くすることができる。
【0011】
これにより、防護工台車は、運搬車両に積載した積載状態における路面から天面部までの高さを、展開状態の防護工台車の全高よりも低くできるため、トンネルの空頭制限を超えることなく、運搬車両に積載することができる。
【0012】
よって、防護工台車は、トンネルの坑外で予め組み立てられても、トンネルの内部への運搬を可能にすることができる。したがって、防護工台車は、トンネルの改修の工期を短縮することができる。
【0013】
この発明の態様として、前記枢動部は、前記固定壁部に対して前記可動壁部を外側へ向けて枢動させる構成であってもよい。
この構成によれば、可動壁部を固定壁部に近接する位置まで枢動させることができる。このため、防護工台車は、側壁部を折り畳んだ折畳状態における全高をより低くすることができる。
これにより、防護工台車は、運搬車両に積載した際、路面から上端までの高さが、トンネルの空頭制限を超えることを確実に防止することができる。
【0014】
またこの発明の態様として、前記枢動部を第1枢動部として、前記可動壁部は、前記第1枢動部を介して前記固定壁部に枢支された第1可動壁部と、前記第1可動壁部の下方に配置された第2可動壁部と、前記奥行方向を回転軸として、前記第2可動壁部を前記第1可動壁部に対して枢動させる第2枢動部とが備えられてもよい。
【0015】
この構成によれば、幅員方向への可動壁部の突出を抑えられるとともに、側壁部をよりコンパクトに折り畳むことができる。このため、防護工台車は、トンネルの坑外及びトンネルの内部を移動する際、折り畳まれた可動壁部が道路周辺の設備に接触し難くなる。
これにより、防護工台車は、トンネルの内部への運搬をより容易にすることができる。
【0016】
またこの発明の態様として、前記第1枢動部は、前記固定壁部に対して前記第1可動壁部を内側へ向けて枢動させる構成であり、前記第2枢動部は、前記第1可動壁部に対して前記第2可動壁部を外側へ枢動させる構成であってもよい。
この構成によれば、可動壁部を防護工台車の内側に格納するように折り畳むことができる。
【0017】
これにより、防護工台車は、幅員方向への可動壁部の突出を防止できるため、幅員方向の大きさをよりコンパクトにすることができる。このため、防護工台車は、トンネルの内部への運搬をさらに容易にすることができる。
【0018】
またこの発明の態様として、前記可動壁部を吊り降しするチェーンブロックが前記固定壁部に備えられてもよい。
上記チェーンブロックは、手動操作で吊り降しするもの、あるいは電動で吊り降しするもののことをいう。
【0019】
この構成によれば、例えば重機などを用いることなく可動壁部を枢動させることができる。このため、防護工台車は、トンネルの内部のように限られた作業空間において、折畳状態の側壁部をチェーンブロックによって容易に展開することができる。
【0020】
さらに、トンネルの内部から坑外に防護工台車を移動させる際、防護工台車は、展開状態の側壁部をチェーンブロックによって容易に折り畳むことができる。
これにより、防護工台車は、重機などを用いることなく側壁部の折り畳み及び展開を効率よく行えるため、供用中のトンネルの通行止め時間を短縮することができる。
【0021】
またこの発明の態様として、前記可動壁部が枢動した状態において、前記固定壁部に前記可動壁部を連結固定する固定部材が備えられてもよい。
上記固定部材は、例えばターンバックル、伸縮棒ジャッキ、あるいは棒材などのことをいう。
この構成によれば、可動壁部の枢動を規制できるため、枢動した可動壁部が意図せず展開状態の位置に戻ることを防止できる。
【0022】
これにより、防護工台車は、より安定した状態で運搬車両に積載できるとともに、運搬中の意図しない不具合を防止することができる。このため、防護工台車は、安全な運搬を容易にすることができる。
【0023】
またこの発明は、上述の防護工台車と、運搬車両の荷台に載置されるとともに、側壁部が枢動した前記防護工台車を支持する支持架台とが備えられ、前記支持架台が、前記防護工台車の天面部に当接する当接部と、前記当接部を昇降させる昇降機構部とを備えた防護工台車の積載構造であることを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、側壁部を折り畳んだ防護工台車を支持架台で支持しながらトンネルの内部へ運搬することができる。
さらに、当接部を昇降させる昇降機構部により、防護工台車の積載構造は、運搬車両の荷台上で防護工台車を昇降させることができる。
【0025】
これにより、防護工台車の積載構造は、載置面に対する防護工台車の上げ下ろし、並びに防護工台車の側壁部の折り畳み及び側壁部の展開を、運搬車両の荷台上で効率よく行うことができる。
この際、防護工台車の積載構造は、防護工台車の自重が作用していない状態で側壁部を折り畳むことができるため、側壁部の折り畳みをより容易にすることができる。
【0026】
加えて、積載状態における防護工台車の高さが昇降機構部によって確実に低くなるため、防護工台車の積載構造は、防護工台車の上端位置をトンネルの空頭制限よりも確実に低くすることができる。
【0027】
よって、防護工台車の積載構造は、トンネルの空頭制限を超えることなく防護工台車を運搬車両に積載できるとともに、防護工台車の設置及び撤去に要する時間を短縮して、トンネルの通行止め時間をさらに短くすることができる。
【0028】
この発明の態様として、前記防護工台車の可動壁部が枢動した状態において、前記防護工台車の固定壁部または前記可動壁部を前記支持架台に連結する連結部材が備えられてもよい。
上記連結部材は、例えばターンバックル、伸縮棒ジャッキ、あるいは棒材などのことをいう。
【0029】
この構成によれば、防護工台車を支持架台に固定できるため、支持架台に対する防護工台車の相対移動を防止することができる。このため、防護工台車の積載構造は、側壁部を折り畳んだ防護工台車をより安全に運搬することができる。
【0030】
さらに、防護工台車の可動壁部を支持架台に連結する連結部材の場合、防護工台車の積載構造は、連結部材によって可動壁部の枢動を規制できるため、防護工台車の可動壁部が運搬中に意図せず展開することを確実に防止できる。
【0031】
またこの発明の態様として、前記支持架台は、前記荷台に対して前記防護工台車を幅員方向にスライド可能にするスライド機構部が備えられてもよい。
この構成によれば、例えば防護工台車を路面に敷設した軌道に載置する際、展開した側壁部が軌道の直上に位置するように、防護工台車の幅員方向の位置を、支持架台のスライド機構部によって調整することができる。
【0032】
このため、防護工台車の積載構造は、トンネルの内部において、防護工台車を所望される位置に効率よく配置できるため、トンネルの通行止め時間をさらに短くすることができる。
【0033】
またこの発明は、供用中のトンネルの路面に対向する天面部と、対向する一対の側壁部とを有する断面門型形状の防護工台車の運搬・据付方法であって、前記側壁部が接地した状態の前記防護工台車の内部に、運搬車両の荷台に載置された支持架台を移動させる架台移動工程と、前記支持架台の当接部を昇降機構部によって上昇させるとともに、前記防護工台車の前記天面部に前記当接部を当接させて、前記防護工台車を載置面から離間させる離間工程と、前記天面部に固定された前記側壁部の固定壁部に対して、下方に配置された前記側壁部の可動壁部を、前記防護工台車が前記載置面から離間した状態において、前記天面部の奥行方向を回転軸とする枢動部を中心に枢動させる枢動工程と、前記防護工台車を前記昇降機構部によって前記載置面に接地しない位置まで下降させる下降工程と、前記可動壁部が枢動した前記防護工台車を、前記運搬車両が運搬する台車運搬工程と、運搬した前記防護工台車を前記支持架台の昇降機構部によって上昇させる上昇工程と、前記防護工台車の前記可動壁部を展開する展開工程と、展開した前記防護工台車の前記可動壁部を、前記昇降機構部によって接地させる接地工程とを行うことを特徴とする。
【0034】
上記載置面は、路面、または路面に敷設した軌道上の面などのことをいう。
上記防護工台車を運搬するとは、トンネルの坑外からトンネルの内部に防護台車を運搬する、あるいはトンネルの内部からトンネルの坑外に防護工台車を運搬することをいう。
【0035】
この発明によれば、防護工台車の内部に支持架台を移動させる架台移動工程、及び防護工台車を載置面から離間させる離間工程によって、載置面に載置された防護工台車を運搬車両の荷台に積載することができる。
【0036】
この際、防護工台車の可動壁部が載置面から離間するため、防護工台車の運搬・据付方法は、枢動工程において、載置面から離間した防護工台車の可動壁部を確実に折り畳むことができる。
【0037】
さらに、防護工台車の運搬・据付方法は、可動壁部が枢動した防護工台車を下降工程によって載置面に接地しない位置まで下降させるため、路面から防護工台車の上端までの高さを、トンネルの空頭制限よりも低くすることができる。
【0038】
これにより、防護工台車の運搬・据付方法は、台車運搬工程において、トンネルの上端及び路面に接触させることなく、防護工台車を移動させることができる。
そして、防護工台車の運搬・据付方法は、防護工台車を上昇させる上昇工程と、可動壁部を展開する展開工程と、防護工台車を接地させる接地工程とによって、防護工台車を所望される場所に配置することができる。
【0039】
よって、防護工台車の運搬・据付方法は、トンネルの空頭制限を超えることなく運搬車両に積載することができるとともに、防護工台車のトンネルの内部への運搬と、トンネルの内部から坑外への防護工台車の運搬とを効率よく行うことができる。このため、防護工台車の運搬・据付方法は、トンネルの通行止め時間の短縮を図ることができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明により、トンネルの空頭制限を超えることなく運搬車両に積載できる防護工台車、防護工台車の積載構造、及び防護工台車の運搬・据付方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】トンネル改修工法における防護工台車の設置状態の概略を説明する概略図。
図2】防護工台車の外観を正面視で示す正面図。
図3】防護工台車の外観を側面視で示す側面図。
図4】積載状態の防護工台車の外観を背面視で示す背面図。
図5】斜め上方から見た枢動部の外観を示す外観斜視図。
図6】運搬車両の荷台の外観を側面視で示す側面図。
図7】支持架台の外観を側面視で示す側面図。
図8】支持架台の外観を背面視で示す背面図。
図9】スライド機構部の外観を側面視で示す側面図。
図10図9中のA-A矢視断面図。
図11】油圧ジャッキが伸長した状態の支持架台を側面視で示す側面図。
図12】防護工台車の施工工程を説明する説明図。
図13】実施例2における防護工台車の外観を正面視で示す正面図。
図14】積載状態の防護工台車の外観を背面視で示す背面図。
【発明を実施するための形態】
【0042】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
【実施例0043】
実施例1は、供用中のトンネル1の内部において、覆工コンクリート1aの改修に用いる防護工台車2、防護工台車2の積載構造及び防護工台車2の運搬・据付方法について、図1から図12を用いて説明する。
【0044】
なお、図1はトンネル改修工法における防護工台車2の設置状態の概略を説明する概略図であり、図2は防護工台車2の正面図を示し、図3は防護工台車2の側面図を示し、図4は積載状態の防護工台車2の背面図を示し、図5は斜め上方から見た枢動部27の外観斜視図を示している。
【0045】
さらに、図6は運搬車両10の荷台11の側面図を示し、図7は支持架台5の側面図を示し、図8は支持架台5の背面図を示し、図9はスライド機構部52の側面図を示し、図10図9中のA-A矢視断面図を示している。
加えて、図11は油圧ジャッキ56aが伸長した状態の支持架台5の側面図を示し、図12は防護工台車2の施工工程を説明する説明図を示している。
【0046】
また、図1中の上側を防護工台車2の上方とし、図1中の下側を防護工台車2の下方として、図中の矢印Xが防護工台車2の奥行方向(以降、奥行方向Xと呼ぶ)を示し、図中の矢印Yが奥行方向Xに対して平面視直交する幅員方向(以降、幅員方向Yと呼ぶ)を示している。
【0047】
さらに、幅員方向Yにおいて、後述する防護工台車2の一方の側壁部23から他方の側壁部23へ向かう方向を幅員方向Yの内方とし、幅員方向Yの内方とは逆向きの方向を幅員方向Yの外方とする。
【0048】
まず、トンネル1の内壁を改修するトンネル改修工法では、図1に示すように、車両Vが通行可能な内部空間を有する防護工台車2をトンネル1の内部に設置することで、トンネル1を供用しながらトンネル1の内面を構成する覆工コンクリート1aの改修を行う。
【0049】
なお、防護工台車2は、トンネル1の内部において、トンネル1の延長方向に沿って複数配置され(図3参照)、トンネル1の延長方向に延びる車両Vの通行空間Sa(図1参照)を構成している。
【0050】
このような運搬・据付方法における防護工台車2は、図1に示すように、奥行方向Xに延びる正面視門型形状であって、トンネル1の坑外で正面視門型形状に組み立てられている。
なお、防護工台車2は、トレーラーなどの運搬車両10の荷台11(図4参照)に積載され、トンネル1の内部に運搬される。
【0051】
そして、防護工台車2は、図1に示すように、トンネル1の内部において、コンクリートまたはアスファルトで舗装された平滑な路面3に仮設した一対の軌道4に載置することで、覆工コンクリート1aを改修する作業員が作業するための作業空間Sbを、トンネル1の内面との間に構成している。
【0052】
詳述すると、防護工台車2は、図1及び図2に示すように、正面視において、路面3に対向する天面部21と、天面部21の両端から斜め下方へ延びる一対の傾斜面部22と、傾斜面部22から下方へ延びて、幅員方向Yで対向する一対の側壁部23とで正面視門型形状に形成されている。
【0053】
なお、詳細な図示を省略するが、天面部21、一対の傾斜面部22及び一対の側壁部23は、例えばH型鋼で組み立てられた躯体の開口を外面となる鋼板で塞ぐことで、通行空間Saと作業空間Sbを隔てる壁面を構成している。
【0054】
天面部21は、図1及び図2に示すように、上下方向に厚みを有する板状であって、路面3に対して上方に所定間隔を隔てるとともに、トンネル1の内面における頂上よりも下方の位置に位置している。
【0055】
また、一対の傾斜面部22は、図2に示すように、天面部21に連続する板状であって、天面部21における幅員方向Yの両端からそれぞれ幅員方向Yの外方かつ下方へ向けて延設されている。
また、一対の側壁部23は、図1及び図2に示すように、幅員方向Yに厚みを有する板状であって、車両Vが通行する車道または車線を跨いで幅員方向Yに対向している。
【0056】
さらに、側壁部23の下部には、図2及び図3に示すように、幅員方向Yを回転軸として回動する複数の車輪24を備えている。
なお、車輪24は、例えば回転軸に沿った方向で対向する一対のツバ部を有するとともに、路面3に敷設した軌道4上を転動する両ツバ車輪で構成されている。
【0057】
この側壁部23は、上部に対して下部が折り畳み可能であって、下部が折り畳まれた折畳状態(図4参照)と、軌道4に載置可能に下部が展開された展開状態(図2参照)とに移行可能に構成されている。
【0058】
より詳しくは、側壁部23は、図2に示すように、傾斜面部22を介して天面部21に固定された固定壁部25と、固定壁部25の下方に配置され、固定壁部25とは別体の可動壁部26と、固定壁部25に対して可動壁部26を幅員方向Yの外方に枢動させる枢動部27とを備えている。
【0059】
側壁部23の固定壁部25は、図2に示すように、側壁部23の3/5程度を占める上下方向の長さで、傾斜面部22の下端から下方へ向けて延設されている。この固定壁部25における奥行方向Xの端面には、図2に示すように、例えばアングル鋼や平板状の鋼材で構成された固定部材41(図4参照)が締結される締結部分25aが設けられている。
【0060】
なお、固定部材41は、固定壁部25と折畳状態の可動壁部26とを連結固定する部材であって、締結部分25aに着脱自在に構成されている。
さらに、固定壁部25には、図2に示すように、一対のチェーン装着部28、一対のバックル取付部29、一対のアーム取付部30及び一対のジャッキ取付部31が設けられている。
【0061】
具体的には、一対のチェーン装着部28は、図2及び図4に示すように、幅員方向Yの外方側の面において、可動壁部26を吊り降しするチェーンブロック42が着脱自在に装着されている。
【0062】
この一対のチェーン装着部28は、図2及び図3に示すように、固定壁部25の上部において、奥行方向Xの両端近傍に設けられている。
なお、チェーン装着部は、例えば奥行方向Xに所定間隔を隔てて対向する一対の板材と、板材を連結する棒材とで構成されている。
【0063】
また、一対のバックル取付部29は、図2及び図4に示すように、幅員方向Yの内方において、固定壁部25と後述する支持架台5とを斜めに連結するターンバックル43の一端が着脱自在に取り付けられている。
【0064】
この一対のバックル取付部29は、チェーン装着部28よりも僅かに下方の位置において、後述する支持架台5の第1支柱部54に幅員方向Yで対向する位置に設けられている。
なお、バックル取付部29は、例えば奥行方向Xに所定間隔を隔てて対向する一対の板材と、板材を連結する棒材とで構成されている。
【0065】
また、一対のアーム取付部30は、図2及び図4に示すように、幅員方向Yの内方において、固定壁部25と後述する支持架台5とを斜めに連結する連結アーム44の一端が着脱自在に取り付けられている。
【0066】
この一対のアーム取付部30は、固定壁部25の下端位置において、後述する支持架台5の鋼管部材63に幅員方向Yで対向する位置に設けられている。
なお、アーム取付部30は、例えば奥行方向Xに所定間隔を隔てて対向する一対の板材と、板材を連結する棒材とで構成されている。
【0067】
また、一対のジャッキ取付部31は、図2及び図4に示すように、幅員方向Yの内方において、固定壁部25と後述する支持架台5とを幅員方向Yに連結する伸縮棒ジャッキ45の一端が着脱自在に取り付けられている。
なお、伸縮棒ジャッキ45は、例えばラチェット機構を備えたターンバックルで構成されている。
【0068】
この一対のジャッキ取付部31は、固定壁部25の下端位置において、後述する支持架台5の鋼管部材63に幅員方向Yで対向する位置に設けられている。
なお、ジャッキ取付部31は、例えば奥行方向Xに所定間隔を隔てて対向する一対の板材と、板材を連結する棒材とで構成されている。
【0069】
また、側壁部23の可動壁部26は、図2に示すように、側壁部23の1/5程度を占める上下方向の長さの壁部本体261と、側壁部23の1/5程度を占める上下方向の長さに形成され、車輪24を枢支する下端部262とを備えている。
【0070】
具体的には、壁部本体261は、展開状態において固定壁部25とで壁面を構成する部分である。この壁部本体261における奥行方向Xの端面には、図2に示すように、固定部材41(図4参照)が締結される締結部分26aが設けられている。
【0071】
一方、下端部262は、図2に示すように、壁部本体261の下端から幅員方向Yの外方に突出した状態で、壁部本体261に一体的に形成されている。この下端部262は、図2に示すように、壁部本体261の下端から下方へ延びる内壁部分(符号省略)と、壁部本体261の下端から幅員方向Yの外方へ延設されたのち下方へ垂設された外壁部分とを備えている。
【0072】
さらに、下端部262は、内壁部分と外壁部分の間に奥行方向Xに所定間隔を隔てて車輪24を枢支する車輪支持部分(符号省略)を備えている。
このような可動壁部26には、図2及び図4に示すように、チェーンブロック42の先端が係止される一対のチェーン被係止部32が設けられている。
【0073】
具体的には、一対のチェーン被係止部32は、図3に示すように、下端部262における外壁部分の上面において、チェーン装着部28に略同じ奥行方向Xの位置に設けられている。このチェーン被係止部32は、例えば奥行方向Xに所定間隔を隔てて対向する一対の板材と、板材を連結する棒材とで構成されている。
【0074】
また、側壁部23の枢動部27は、図2に示すように、幅員方向Yの外方側の面において、固定壁部25の下端近傍と可動壁部26の上端近傍とを枢動可能に連結している。なお、枢動部27は、図3に示すように、奥行方向Xに所定間隔を隔てて複数設けられている。
【0075】
この枢動部27は、図5に示すように、固定壁部25に接合された一枚の固定側基部27aと、固定側基部27aを挟んで対向配置され、可動壁部26に接合された二枚の可動側基部27bと、固定側基部27a及び可動側基部27bを連結する枢動軸部27cとでヒンジ構造をなしている。
【0076】
上述したような防護工台車2は、図4に示すように、運搬に用いる運搬車両10の荷台11上で、軌道4に載置した状態(図2参照)から側壁部23を折り畳んだ折畳状態に移行される。この際、防護工台車2の側壁部23は、図4に示すように、固定壁部25に対して可動壁部26が幅員方向Yの外方へ枢動することで折り畳まれている。
【0077】
引き続き、この防護工台車2の運搬に用いる支持架台5について説明する。
まず、運搬車両10の荷台11には、図6に示すように、防護工台車2を支持する支持架台5が奥行方向Xの中央に固定され、支持架台5の車両前方側に油圧ユニット12が載置固定され、支持架台5の車両後方側に発電機13が載置固定されている。
【0078】
支持架台5は、H形鋼、アングル鋼、チェンネル鋼、鋼板及び断面略矩形の鋼管を適宜に組み合わせた立体構造物であって、荷台11上で上下方向に伸縮するとともに、下部に対して上部が幅員方向Yへスライド可能に構成されている。
【0079】
この支持架台5は、図7に示すように、荷台11に固定される基部構造体51と、基部構造体51に載置固定された一対のスライド機構部52と、スライド機構部52に載置固定された下部構造体53と、下部構造体53に立設された4本の第1支柱部54とを備えている。
さらに、支持架台5は、第1支柱部54に支持された上部構造体55と、上部構造体55を昇降させる昇降機構部56とを備えている。
【0080】
詳述すると、支持架台5の基部構造体51は、平面視略矩形の枠体であって、荷台11に固定される土台となるように構成されている。
具体的には、基部構造体51は、図7及び図8に示すように、幅員方向Yに所定間隔を隔てて配置され、奥行方向Xに延びる一対の桁部材51aと、桁部材51aの奥行方向Xの端部を幅員方向Yに連結する一対の梁部材51bとで平面視略矩形に構成されている。
さらに、基部構造体51は、補強部材として、桁部材51aの中央と桁部材51aに隣接する梁部材51bの中央を連結する複数の水平ブレース(図示省略)を備えている。
【0081】
また、支持架台5の一対のスライド機構部52は、基部構造体51に固定される部分と下部構造体53に固定される部分とが幅員方向Yに相対移動可能に構成されている。
【0082】
この一対のスライド機構部52は、図7示すように、それぞれ基部構造体51の梁部材51bの上面に配置されている。
なお、一方のスライド機構部52と他方のスライド機構部52は、それぞれ独立して可動する。
【0083】
具体的には、スライド機構部52は、図8に示すように、基部構造体51の梁部材51bにおける端部に配置された2つのスライダ57と、2つのスライダ57を幅員方向Yに連結する同期軸体58とで構成されている。
【0084】
スライド機構部52のスライダ57は、図9及び図10に示すように、ボールネジ60を用いたスライダであって、治具Gを用いて作業員がボールネジ60を回動させることで幅員方向Yにスライド可能に構成されている。
【0085】
さらに詳述すると、スライダ57は、図9及び図10に示すように、基部構造体51に載置固定される側面視台形状のベース部59と、幅員方向Yに延びるとともに、ベース部59に枢支されたボールネジ60と、ボールネジ60に螺合したナット61と、ナット61に嵌合したテーブル部62とで構成されている。
【0086】
ベース部59は、図9に示すように、上方が開口した側面視台形状のボックス体で、基部構造体51に載置固定されるベース本体59aと、ベース本体59aの上面に接合され、奥行方向Xに向けて突出した平板状のガイド部59bとで構成されている。
【0087】
ボールネジ60は、図10に示すように、ベース部59における幅員方向Yの両端からそれぞれ突出する幅員方向Yの長さで形成されている。このボールネジ60は、ベース部59の外部に突出した部分が四角頭に形成されている。なお、ボールネジ60の四角頭には、ボールネジ60を回動させるための治具Gが装着される。
【0088】
ナット61は、図10に示すように、ボックス状のナットであって、幅員方向Yに貫通したネジ孔(符号省略)が開口形成されている。このナット61は、ベース部59の内部でボールネジ60に螺合している。
【0089】
テーブル部62は、図10に示すように、下部構造体53が載置固定される部分であって、スライダ57よりも短い幅員方向Yの長さに形成されている。
このテーブル部62は、図9及び図10に示すように、ベース部59のガイド部59bに載置され、下部構造体53が固定されるテーブル本体62aと、テーブル本体62aの下面に設けられ、ナット61を覆うナット嵌合部62bを備えている。
【0090】
さらに、テーブル部62は、図9に示すように、テーブル本体62aの奥行方向Xの両端から下方へ延びて、ベース部59のガイド部59bの下方でベース部59へ向けて折り返した遊嵌部62cを備えている。
【0091】
加えて、テーブル部62は、ベース部59のガイド部59bに対向するテーブル本体62aの下面に低摩擦係数の滑り部材62dが貼付されている。
このように、スライダ57は、ボールネジ60の回動に伴うナット61の幅員方向Yへの移動によって、テーブル部62を幅員方向Yに移動可能にしている。
【0092】
また、スライド機構部52の同期軸体58は、図10に示すように、幅員方向Yの内方に突出したボールネジ60の四角頭に嵌合して、一対のスライダ57を連結する棒状の部材で構成されている。
【0093】
ゆえに、上述した構成のスライド機構部52は、一方のスライダ57のボールネジ60が回動した際、一方のスライダ57のボールネジ60の回転が、同期軸体58を介して他方のスライダ57のボールネジ60に伝達されるため、一方のテーブル部62及び他方のテーブル部62が幅員方向Yの一方へ向けて略同時にスライド移動する。
【0094】
また、支持架台5の下部構造体53は、平面視略矩形の枠体であって、スライド機構部52に載置される構造体の基部となるように構成されている。
なお、下部構造体53の四隅は、上述したスライド機構部52のテーブル部62に載置固定されている。
【0095】
具体的には、下部構造体53は、図7及び図8に示すように、幅員方向Yに所定間隔を隔てて配置され、奥行方向Xに延びる一対の桁部材53aと、桁部材53aの奥行方向Xの端部を幅員方向Yに連結する一対の梁部材53bとで平面視略矩形に構成されている。
さらに、下部構造体53は、補強部材として、桁部材53aの中央と桁部材53aに隣接する梁部材53bの中央を連結する複数の水平ブレース(図示省略)を備えている。
【0096】
また、支持架台5の4本の第1支柱部54は、図7に示すように、下部構造体53の1つの桁部材53aに対して、奥行方向Xに所定間隔を隔てて2本立設されている。なお、2本の第1支柱部54は、桁部材53aの上面において、桁部材53aの端部から奥行方向Xの中央へ向けて所定間隔だけ離間した位置に立設されている。
【0097】
この第1支柱部54は、図7に示すように、下部構造体53に下端が接合された断面略矩形の鋼管である支柱下部54aと、支柱下部54aが挿通される断面略矩形の鋼管である支柱上部54bとで上下方向にスライド可能に構成されている。
【0098】
さらに、支柱上部54bには、図7及び図8に示すように、幅員方向Yの外方に支柱上部54bの下端よりも下方に延びる鋼管部材63が連結されている。
この鋼管部材63には、上述したターンバックル43の他端が着脱自在に取り付けられるバックル取付部64が上部に設けられ、上述した伸縮棒ジャッキ45の他端が着脱自在に取り付けられるジャッキ取付部65が下部に設けられている。
【0099】
加えて、支柱上部54bの上部には、図7及び図8に示すように、上述した連結アーム44の他端が着脱自在に取り付けられるアーム取付部66が設けられている。
このような4本の第1支柱部54は、図7に示すように、奥行方向Xで隣接する支柱上部54bの下端同士が下側桁部材67で連結され、奥行方向Xで隣接する支柱上部54bの上端近傍同士が上側桁部材68で連結されている。
【0100】
さらに、4本の第1支柱部54は、図8に示すように、幅員方向Yで隣接する支柱上部54bの下端同士が下側梁部材69で連結され、幅員方向Yで隣接する支柱上部54bの上端近傍同士が上側梁部材70で連結されている。
【0101】
加えて、奥行方向Xで隣接する2本の第1支柱部54、下側桁部材67及び上側桁部材68で構成された側面視略矩形の枠体には、図7に示すように、奥行方向Xの中央で下側桁部材67と上側桁部材68とを上下方向に連結する下側間柱部材71と、下側間柱部材71の下端と支柱上部54bの上端近傍とを連結する筋交い部材72とが設けられている。
【0102】
一方、幅員方向Yで隣接する2本の第1支柱部54、下側梁部材69及び上側梁部材70で構成された正面視略矩形の枠体には、図8に示すように、枠体の隅部を斜めに連結する一対の筋交い部材73が設けられている。
【0103】
また、支持架台5の上部構造体55は、図4に示すように、平面視略井桁状の枠体であって、防護工台車2の天面部21の下面に当接して、防護工台車2を支持する部分として構成されている。
【0104】
この上部構造体55は、第1支柱部54の上端よりも上方の位置に設けられ、4本の第2支柱部74を介して第1支柱部54に連結されるとともに、上側間柱部材75を介して下側間柱部材71に連結されている。
【0105】
具体的には、上部構造体55は、図7及び図8に示すように、上側桁部材68の上方で奥行方向Xに延びる一対の桁部材55aと、上側梁部材70の上方で桁部材55aを幅員方向Yに連結する一対の梁部材55bとで平面視略井桁状に構成されている。
【0106】
さらに、上部構造体55は、補強部材として、上側桁部材68の中央と上側桁部材68に隣接する上側梁部材70の中央を連結する複数の水平ブレース(図示省略)を備えている。
【0107】
また、支持架台5の4つの昇降機構部56は、図7及び図11に示すように、4本の支柱上部54bと上部構造体55と一体的に昇降させる機構部であって、それぞれ油圧ジャッキ56aと、油圧ジャッキ56aの上端を上部構造体55に連結する柱状部材56bとで構成されている。
なお、昇降機構部56は、上部構造体55に当接した防護工台車2の上端がトンネル1の空頭制限を超えない高さまで上昇可能に構成されている。
【0108】
具体的には、油圧ジャッキ56aは、図7に示すように、下部構造体53の桁部材53aの上面において、第1支柱部54よりも端部側に下端が上下方向に伸縮可能な状態で固定されている。
なお、油圧ジャッキ56aは、荷台11に固定した油圧ユニット12からの油圧によって伸縮する。
【0109】
一方、柱状部材56bは、図7に示すように、油圧ジャッキ56aの上端と上部構造体55の桁部材55aの端部を連結している。この柱状部材56bは、詳細な図示を省略するが、油圧ジャッキ56aに連結された断面略矩形の鋼管を、上部構造体55の桁部材55aに接合された断面略矩形の鋼管の内部に挿通して構成している。
【0110】
このような昇降機構部56における柱状部材56bの下部は、図7及び図8に示すように、桁部材76を介して第1支柱部54の支柱上部54bに連結されるとともに、幅員方向Yで隣接する柱状部材56bの下部に梁部材77を介して連結されている。
さらに、昇降機構部56における柱状部材56bの上部は、図7に示すように、第1支柱部54よりも奥行方向Xに突出した上側桁部材68の端部が連結されている。
【0111】
このような構成の支持架台5は、図7及び図11に示すように、油圧ユニット12から供給された油圧によって油圧ジャッキ56aが伸長した際、第1支柱部54の支柱下部54aに対して支柱上部54bが上方にスライド移動しながら、上部構造体55が上昇することで支持架台5全体が上方に伸長する。
【0112】
次に、上述した防護工台車2をトンネル1の坑外で運搬車両10に積載し、トンネル1の内部に設置する防護工台車2の運搬・据付方法について説明する。
まず、トンネル1の坑外において防護工台車2の組み立てを完了すると、作業員は、図12に示すように、支持架台5が固定された運搬車両10を、トンネル1の坑外に敷設した軌道4上に載置された防護工台車2の内部に移動させる。
【0113】
その後、作業員は、図示を省略した制御盤を操作して油圧ユニット12を動作させて、油圧ジャッキ56aを伸長させる。この際、作業員は、支持架台5の上部構造体55が防護工台車2の天面部21に当接する位置まで油圧ジャッキ56aを伸長させる。
【0114】
上部構造体55が防護工台車2の天面部21に当接すると、作業員は、図12に示すように、防護工台車2のバックル取付部29と支持架台5のバックル取付部64とをターンバックル43で連結し、防護工台車2のジャッキ取付部31と支持架台5のジャッキ取付部65とを伸縮棒ジャッキ45で連結する。
【0115】
この際、作業員は、張力が生じるようにターンバックル43の長さ、及び伸縮棒ジャッキ45の長さを調整する。
さらにまた、作業員は、防護工台車2のアーム取付部30と支持架台5のアーム取付部66とを連結アーム44で連結する。
【0116】
このようにして、作業員は、トンネル1の坑外で組み立てられた防護工台車2を支持架台5に固定する。
その後、作業員は、図12の二点鎖線で示すように、油圧ジャッキ56aをさらに伸長させて、防護工台車2の車輪24を軌道4から離間させる。
【0117】
防護工台車2の車輪24が軌道4から離間すると、作業員は、防護工台車2のチェーン装着部28に装着したチェーンブロック42を可動壁部26のチェーン被係止部32に係止したのち、チェーンブロック42を操作して可動壁部26の吊り上げを開始する。
この際、防護工台車2の可動壁部26は、図12に示すように、枢動部27を回転中心として幅員方向Yの外方かつ上方へ向けて回動する。
【0118】
可動壁部26を所望される位置まで枢動させると、作業員は、防護工台車2の固定壁部25と可動壁部26とを固定部材41で連結して、固定壁部25に対する可動壁部26の枢動を規制する。
【0119】
固定壁部25と可動壁部26とを固定部材41で連結すると、作業員は、油圧ジャッキ56aを縮めて防護工台車2を路面3に接触しない高さまで下降させて防護工台車2の運搬車両10への積載を完了する(図4参照)。
【0120】
防護工台車2の積載が完了すると、作業員は、運搬車両10を操作して防護工台車2をトンネル1の内部に移動させたのち、トンネル1の内部で防護工台車2の設置を開始する。
防護工台車2の設置を開始すると、作業員は、制御盤を操作し油圧ジャッキ56aを伸長させて、防護工台車2がトンネル1の内面に接触せず、かつ折畳状態の可動壁部26を展開可能な高さまで防護工台車2を上昇させる。
【0121】
防護工台車2を上昇させると、作業員は、図12に示すように、固定部材41を取り外すとともに、チェーンブロック42を操作して折畳状態の可動壁部26を、枢動部27を中心に枢動させて展開状態(図12中の二点鎖線で図示した状態)へ移行させる。
【0122】
この際、防護工台車2の車輪24が軌道4の直上に位置していなければ、作業員は、車輪24が軌道4の直上に位置するように、スライド機構部52を操作して防護工台車2の幅員方向Yの位置を調整する。
【0123】
具体的には、作業員は、スライド機構部52のボールネジ60に治具Gを取り付けて、ボールネジ60を回動することで、一対のスライダ57のテーブル部62を幅員方向Yへ移動させる。これにより、防護工台車2は、スライダ57のテーブル部62に固定された下部構造体53を介して幅員方向Yにスライド移動する。
【0124】
そして、防護工台車2の車輪24を軌道4の直上に移動させると、作業員は、制御盤を操作して油圧ジャッキ56aを縮めて、防護工台車2の車輪24を軌道4に載置する。
【0125】
防護工台車2を軌道4に載置すると、作業員は、チェーンブロック42、連結アーム44、ターンバックル43及び伸縮棒ジャッキ45を取り外して、防護工台車2の固定を解除する。その後、作業員は、運搬車両10をトンネル1の坑外へ移動させて、車両Vを通行可能にする。
【0126】
このようにして、実施例1は、トンネル1の坑外で組み立てられた防護工台車2をトンネル1の内部に運搬して設置する。
なお、防護工台車2をトンネル1の内部から撤去する場合、上述した手順と同様の手順で防護工台車2を運搬車両10に積載して、トンネル1の坑外に運搬する。
【0127】
以上のように、実施例1の防護工台車2は、供用中のトンネル1の路面3に対向する天面部21と、対向する一対の側壁部23とを有する断面門型形状である。
【0128】
この防護工台車2の側壁部23は、天面部21に固定された固定壁部25と、固定壁部25の下方に配置された可動壁部26と、天面部21の奥行方向Xを回転軸として、可動壁部26を固定壁部25に対して枢動させる枢動部27とが備えられている。
【0129】
この構成によれば、側壁部23を折り畳むことができるため、側壁部23を折り畳んだ折畳状態における全高を、側壁部23を展開した展開状態における全高に比べて低くすることができる。
【0130】
このため、防護工台車2は、運搬車両10の荷台11で防護工台車2を支持する支持架台5の高さを、展開状態の防護工台車2を支持する支持架台に比べて低くすることができる。
【0131】
これにより、防護工台車2は、運搬車両10に積載した積載状態における路面3から天面部21までの高さを、展開状態の防護工台車2の全高よりも低くできるため、トンネル1の空頭制限を超えることなく、運搬車両10に積載することができる。
【0132】
よって、防護工台車2は、トンネル1の坑外で予め組み立てられても、トンネル1の内部への運搬を可能にすることができる。したがって、防護工台車2は、トンネル1の改修の工期を短縮することができる。
【0133】
また、枢動部27が固定壁部25に対して可動壁部26を外側(幅員方向Yの外方)へ向けて枢動させるため、防護工台車2は、可動壁部26を固定壁部25に近接する位置まで枢動させることができる。
【0134】
このため、防護工台車2は、側壁部23を折り畳んだ折畳状態における全高をより低くすることができる。
これにより、防護工台車2は、運搬車両10に積載した際、路面3から上端までの高さが、トンネル1の空頭制限を超えることを確実に防止することができる。
【0135】
また、可動壁部26を吊り降しするチェーンブロック42が固定壁部25に備えられているため、防護工台車2は、例えば重機などを用いることなく可動壁部26を枢動させることができる。
このため、防護工台車2は、トンネル1の内部のように限られた作業空間Sbにおいて、折畳状態の側壁部23をチェーンブロック42によって容易に展開することができる。
【0136】
さらに、トンネル1の内部から坑外に防護工台車2を移動させる際、防護工台車2は、展開状態の側壁部23をチェーンブロック42によって容易に折り畳むことができる。
これにより、防護工台車2は、重機などを用いることなく側壁部23の折り畳み及び展開を効率よく行えるため、供用中のトンネル1の通行止め時間を短縮することができる。
【0137】
また、可動壁部26が枢動した状態において、固定壁部25に可動壁部26を連結固定する固定部材41により、防護工台車2は、可動壁部26の枢動を規制できるため、枢動した可動壁部26が意図せず展開状態の位置に戻ることを防止できる。
【0138】
これにより、防護工台車2は、より安定した状態で運搬車両10に積載できるとともに、運搬中の意図しない不具合を防止することができる。このため、防護工台車2は、安全な運搬を容易にすることができる。
【0139】
また、実施例1における防護工台車2の積載構造は、上述の防護工台車2と、運搬車両10の荷台11に載置されるとともに、側壁部23が枢動した防護工台車2を支持する支持架台5とが備えられている。
そして、支持架台5が、防護工台車2の天面部21に当接する上部構造体55と、上部構造体55を昇降させる昇降機構部56とを備えている。
【0140】
この構成によれば、側壁部23を折り畳んだ防護工台車2を支持架台5で支持しながらトンネル1の内部へ運搬することができる。
さらに、上部構造体55を昇降させる昇降機構部56により、防護工台車2の積載構造は、運搬車両10の荷台11上で防護工台車2を昇降させることができる。
【0141】
これにより、防護工台車2の積載構造は、軌道4に対する防護工台車2の上げ下ろし、並びに防護工台車2の側壁部23の折り畳み及び側壁部23の展開を、運搬車両10の荷台11上で効率よく行うことができる。
【0142】
この際、防護工台車2の積載構造は、防護工台車2の自重が作用していない状態で側壁部23を折り畳むことができるため、側壁部23の折り畳みをより容易にすることができる。
【0143】
加えて、積載状態における防護工台車2の高さが昇降機構部56によって確実に低くなるため、防護工台車2の積載構造は、防護工台車2の上端位置をトンネル1の空頭制限よりも確実に低くすることができる。
【0144】
よって、防護工台車2の積載構造は、トンネル1の空頭制限を超えることなく防護工台車2を運搬車両10に積載できるとともに、防護工台車2の設置及び撤去に要する時間を短縮して、トンネル1の通行止め時間をさらに短くすることができる。
【0145】
また、防護工台車2の可動壁部26が枢動した状態において、防護工台車2の固定壁部25を支持架台5に連結するターンバックル43、連結アーム44及び伸縮棒ジャッキ45が備えられている。
【0146】
この構成によれば、防護工台車2を支持架台5に固定できるため、支持架台5に対する防護工台車2の相対移動を防止することができる。このため、防護工台車2の積載構造は、側壁部23を折り畳んだ防護工台車2をより安全に運搬することができる。
【0147】
また、支持架台5は、荷台11に対して防護工台車2を幅員方向Yにスライド可能にするスライド機構部52が備えられている。
この構成によれば、防護工台車2を路面3に敷設した軌道4に載置する際、展開した側壁部23が軌道4の直上に位置するように、防護工台車2の幅員方向Yの位置を、支持架台5のスライド機構部52によって調整することができる。
【0148】
このため、防護工台車2の積載構造は、トンネル1の内部において、防護工台車2を所望される位置に効率よく配置できるため、トンネル1の通行止め時間をさらに短くすることができる。
【0149】
さらに、一対のスライド機構部52は、一方のスライド機構部52と他方のスライド機構部52とがそれぞれ独立して動作するため、一方のスライド機構部52と他方のスライド機構部52とを同じ幅員方向Yの一方に向けてスライド移動させることができる。
【0150】
あるいは、一対のスライド機構部52は、一方のスライド機構部52を幅員方向Yの一方に向けてスライド移動させ、他方のスライド機構部52を幅員方向Yの他方に向けてスライド移動させることができる。
【0151】
これにより、防護工台車2の積載構造は、例えば直線的な軌道4、あるいは緩やかに湾曲した軌道4であっても、防護工台車2を容易に、かつ効率よく配置することができる。
【0152】
また、実施例1における防護工台車2の運搬・据付方法は、側壁部23が接地した状態の防護工台車2の内部に、運搬車両10の荷台11に載置された支持架台5を移動させる架台移動工程を行う。
【0153】
さらに、防護工台車2の運搬・据付方法は、支持架台5の上部構造体55を昇降機構部56によって上昇させるとともに、防護工台車2の天面部21に上部構造体55を当接させて、防護工台車2を軌道4から離間させる離間工程を行う。
【0154】
加えて、防護工台車2の運搬・据付方法は、天面部21に固定された側壁部23の固定壁部25に対して、下方に配置された側壁部23の可動壁部26を、防護工台車2が軌道4から離間した状態において、天面部21の奥行方向Xを回転軸とする枢動部27を中心に枢動させる枢動工程を行う。
【0155】
その後、防護工台車2の運搬・据付方法は、防護工台車2を昇降機構部56によって軌道4に接地しない位置まで下降させる下降工程と、可動壁部26が枢動した防護工台車2を、運搬車両10が運搬する台車運搬工程とを行う。
【0156】
そして、防護工台車2の運搬・据付方法は、運搬した防護工台車2を支持架台5の昇降機構部56によって上昇させる上昇工程と、防護工台車2の可動壁部26を展開する展開工程と、展開した防護工台車2の可動壁部26を、昇降機構部56によって接地させる接地工程とを行う。
【0157】
この構成によれば、防護工台車2の内部に支持架台5を移動させる架台移動工程、及び防護工台車2を軌道4から離間させる離間工程によって、軌道4に載置された防護工台車2を運搬車両10の荷台11に積載することができる。
【0158】
この際、防護工台車2の可動壁部26が軌道4から離間するため、防護工台車2の運搬・据付方法は、枢動工程において、軌道4から離間した防護工台車2の可動壁部26を確実に折り畳むことができる。
【0159】
さらに、防護工台車2の運搬・据付方法は、可動壁部26が枢動した防護工台車2を下降工程によって軌道4に接地しない位置まで下降させるため、路面3から防護工台車2の上端までの高さを、トンネル1の空頭制限よりも低くすることができる。
【0160】
これにより、防護工台車2の運搬・据付方法は、台車運搬工程において、トンネル1の上端、路面3及び軌道4に接触させることなく、防護工台車2を移動させることができる。
そして、防護工台車2の運搬・据付方法は、防護工台車2を上昇させる上昇工程と、可動壁部26を展開する展開工程と、防護工台車2を接地させる接地工程とによって、防護工台車2を所望される場所に配置することができる。
【0161】
よって、防護工台車2の運搬・据付方法は、トンネル1の空頭制限を超えることなく運搬車両10に積載することができるとともに、防護工台車2のトンネル1の内部への運搬と、トンネル1の内部から坑外への防護工台車2の運搬とを効率よく行うことができる。このため、防護工台車2の運搬・据付方法は、トンネル1の通行止め時間の短縮を図ることができる。
【実施例0162】
実施例2は、上述した実施例1に対して側壁部の折り畳み構造が異なる防護工台車8について、図13及び図14を用いて説明する。
なお、図13は実施例2における防護工台車8の正面図を示し、図14は積載状態の防護工台車8の背面図を示している。
また、上述した実施例1と同じ構成は、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0163】
実施例2の防護工台車8は、図13に示すように、正面視において、路面3に対向する天面部81と、天面部81の両端から斜め下方へ延びる一対の傾斜面部82と、傾斜面部82から下方へ延びて、幅員方向Yで対向する一対の側壁部83とで正面視門型形状に形成されている。
【0164】
なお、実施例2の天面部81及び傾斜面部82は、実施例1の防護工台車2における天面部21及び傾斜面部22に同じ構成のため、その詳細な説明を省略する。
一方、防護工台車8の側壁部83は、傾斜面部82を介して天面部81に固定された固定壁部84と、固定壁部84の下方に配置され、固定壁部84とは別体の可動壁部85と、固定壁部84に対して可動壁部85を幅員方向Yの内方に枢動させる第1枢動部86とを備えている。
【0165】
詳述すると、側壁部83の固定壁部84は、図13に示すように、側壁部83の1/5程度を占める上下方向の長さで、傾斜面部82の下端から下方へ向けて延設されている。
さらに、固定壁部84の上部には、図13に示すように、実施例1と同様に、チェーンブロック42が着脱自在に装着される一対のチェーン装着部87が設けられている。
【0166】
また、側壁部83の可動壁部85は、図13に示すように、側壁部83の2/5程度を占める上下方向の長さの第1可動壁部88と、側壁部83の2/5程度を占める上下方向の長さの第2可動壁部89とを備えている。
さらに、可動壁部85は、第1可動壁部88に対して第2可動壁部89を幅員方向Yの外方に枢動させる第2枢動部90を備えている。
【0167】
具体的には、第1可動壁部88は、図13に示すように、固定壁部84とは別体で構成され、後述する第1枢動部86を介して固定壁部84の下方に連結されるとともに、展開状態において固定壁部84とで壁面を構成している。
この第1可動壁部88における奥行方向Xの端面には、図13に示すように、固定部材41(図14参照)が締結される締結部分88aが設けられている。
【0168】
さらに、第1可動壁部88の下端近傍には、図13及び図14に示すように、伸縮棒ジャッキ45の一端が着脱自在に取り付けられる一対のジャッキ取付部91を、幅員方向Yの内方に備えている。
【0169】
なお、伸縮棒ジャッキ45の他端は、図14に示すように、支持架台5の油圧ジャッキ56aの上部に連結されている。
また、第2可動壁部89は、図13に示すように、第1可動壁部88とは別体で構成されるとともに、側壁部83の1/5程度を占める上下方向の長さに形成された壁部本体891と、側壁部83の1/5程度を占める上下方向の長さに形成され、車輪24を枢支する下端部892とを備えている。
【0170】
具体的には、壁部本体891は、図13に示すように、後述する第2枢動部90を介して第1可動壁部88の下方に連結されるとともに、展開状態において固定壁部84及び第1可動壁部88とで壁面を構成している。
【0171】
この壁部本体891における奥行方向Xの端面には、図13に示すように、固定部材41(図14参照)が締結される締結部分89aが設けられている。
なお、下端部892は、上述した実施例1の防護工台車2における下端部262に同じ構成のため、その詳細な説明を省略する。
【0172】
また、第2枢動部90は、図13に示すように、幅員方向Yの外方側の面において、第1可動壁部88の下端近傍と第2可動壁部89の上端近傍とを枢動可能に連結している。この第2枢動部90は、実施例1の防護工台車2における枢動部27と同様にヒンジ構造をなしている。
【0173】
また、側壁部83の第1枢動部86は、図13に示すように、幅員方向Yの内方側において、固定壁部84の下端近傍と第1可動壁部88の上端近傍とを枢動可能に連結している。この第1枢動部86は、実施例1の防護工台車2における枢動部27と同様にヒンジ構造をなしている。
【0174】
このような構成の実施例2の防護工台車8は、実施例1の防護工台車2と同様に、支持架台5を介して運搬車両10の荷台11に積載して運搬する。
具体的には、防護工台車8は、図14に示すように、運搬車両10の荷台11に固定した支持架台5に当接した状態において、油圧ジャッキ56aの上端とジャッキ取付部91とが伸縮棒ジャッキ45で連結される。
【0175】
さらに、作業員が伸縮棒ジャッキ45を縮めることで、防護工台車8は、固定壁部84に対して第1可動壁部88が幅員方向Yの内方へ枢動する。
この際、第1可動壁部88は、伸縮棒ジャッキ45によって固定壁部84に対する枢動が規制される。
【0176】
さらに、作業員がチェーンブロック42をチェーン装着部87に取り付けるとともに、チェーンブロック42を操作して第2可動壁部89を吊り上げることで、防護工台車8は、第1可動壁部88に対して第2可動壁部89が幅員方向Yの外方へ枢動する。
【0177】
その後、作業員が固定部材41によって第1可動壁部88と第2可動壁部89とが連結することで、防護工台車8は、第1可動壁部88に対する第2可動壁部89の枢動が規制される。
【0178】
これにより、防護工台車8は、運搬車両10の荷台11に固定した支持架台5上で、軌道4に載置した状態(図13参照)から側壁部83を折り畳んだ折畳状態に移行するとともに、支持架台5に固定される。
【0179】
以上のように、実施例2の防護工台車8は、供用中のトンネル1の路面3に対向する天面部81と、対向する一対の側壁部83とを有する断面門型形状である。
【0180】
この防護工台車8の側壁部83は、天面部81に固定された固定壁部84と、固定壁部84の下方に配置された可動壁部85と、天面部81の奥行方向Xを回転軸として、可動壁部85を固定壁部84に対して枢動させる第1枢動部86とが備えられている。
【0181】
これにより、実施例2の防護工台車8は、実施例1と同様の効果を奏することができる。
さらに、可動壁部85は、第1枢動部86を介して固定壁部84に枢支された第1可動壁部88と、第1可動壁部88の下方に配置された第2可動壁部89と、奥行方向Xを回転軸として、第2可動壁部89を第1可動壁部88に対して枢動させる第2枢動部90とが備えられている。
【0182】
この構成によれば、幅員方向Yへの可動壁部85の突出を抑えるとともに、側壁部83をよりコンパクトに折り畳むことができる。このため、防護工台車8は、トンネル1の坑外及びトンネル1の内部を移動する際、折り畳まれた可動壁部85が道路周辺の設備に接触し難くなる。
これにより、防護工台車8は、トンネル1の内部への運搬をより容易にすることができる。
【0183】
また、第1枢動部86が固定壁部84に対して第1可動壁部88を内側(幅員方向Yの内方)へ向けて枢動させる構成であり、第2枢動部90が第1可動壁部88に対して第2可動壁部89を外側(幅員方向Yの外方)へ枢動させる構成のため、防護工台車8は、可動壁部85を防護工台車8の内側に格納するように折り畳むことができる。
【0184】
これにより、防護工台車8は、幅員方向Yへの可動壁部85の突出を防止できるため、幅員方向Yの大きさをよりコンパクトにすることができる。このため、防護工台車8は、トンネル1の内部への運搬をさらに容易にすることができる。
【0185】
また、実施例2における防護工台車8の積載構造は、上述の防護工台車8と、支持架台5とが備えられているため、上述した実施例1と同様の効果を奏することができる。
【0186】
さらに、防護工台車8の第1可動壁部88が枢動した状態において、防護工台車8の第1可動壁部88を支持架台5に連結する伸縮棒ジャッキ45が備えられている。
この構成によれば、防護工台車8を支持架台5に固定できるため、支持架台5に対する防護工台車8の相対移動を防止することができる。このため、防護工台車8の積載構造は、側壁部83を折り畳んだ防護工台車8をより安全に運搬することができる。
【0187】
さらに、防護工台車8の積載構造は、伸縮棒ジャッキ45によって第1可動壁部88の枢動を規制できるため、防護工台車8の第1可動壁部88が運搬中に意図せず展開することを確実に防止できる。
【0188】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の外側は、実施形態の幅員方向Yの外方に対応し、
以下同様に、
内側は、幅員方向Yの内方に対応し、
当接部は、上部構造体55に対応し、
連結部材は、ターンバックル43、連結アーム44、及び伸縮棒ジャッキ45に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0189】
具体的には、路面3に敷設した軌道4に載置される防護工台車2,8としたが、これに限定せず、トンネル1の坑外及びトンネル1の内部において、路面3に直接的に載置される防護工台車であってもよい。
【0190】
また、上述した実施例1の防護工台車2における枢動部27の位置、並びに実施例2の防護工台車8における第1枢動部86及び第2枢動部90の位置は、上述した実施形態に限定せず、防護工台車2,8の全高を低く抑えられる位置であれば、適宜の位置であってもよい。
【0191】
また、実施例2において、防護工台車8の第1可動壁部88と第2可動壁部89とを固定部材41で連結したが、これに限定せず、実施例1の防護工台車2と同様に、固定壁部84と第2可動壁部89とを固定部材41で連結してもよい。
これにより、実施例2の防護工台車2は、第1可動壁部88及び第2可動壁部89の枢動を規制することができる。
【0192】
また、支持架台5は、上述した実施形態の構成に限定せず、防護工台車2,8を支持できるとともに、防護工台車2,8を昇降する昇降機構部を備えた構成であれば適宜の構成であってもよい。
【0193】
また、実施例1において、防護工台車2と支持架台5とをターンバックル43、連結アーム44及び伸縮棒ジャッキ45で連結したが、これに限定せず、支持架台5に対して防護工台車2を固定可能であれば、適宜の連結部材であってもよい。
【0194】
同様に、実施例2において、伸縮棒ジャッキ45を介して防護工台車8を支持架台5に連結したが、これに限定せず、防護工台車8と支持架台5とを適宜の連結部材で連結してもよい。
この際、支持架台5と防護工台車2,8との相対移動を阻止する観点から、連結部材は張力を調整できる機構を備えた部材が望ましい。
【0195】
また、実施例1において、ターンバックル43及び伸縮棒ジャッキ45の張力によって、防護工台車2を支持架台5に固定したが、これに限定せず、防護工台車2及び支持架台5の双方に押し付けるジャッキなどで防護工台車2を支持架台5に固定してもよい。
【符号の説明】
【0196】
1…トンネル
2,8…防護工台車
3…路面
5…支持架台
10…運搬車両
11…荷台
21,81…天面部
23,83…側壁部
25,84…固定壁部
26,85…可動壁部
27…枢動部
41…固定部材
42…チェーンブロック
43…ターンバックル
44…連結アーム
45…伸縮棒ジャッキ
52…スライド機構部
55…上部構造体
56…昇降機構部
86…第1枢動部
88…第1可動壁部
89…第2可動壁部
90…第2枢動部
X…奥行方向
Y…幅員方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14