(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115786
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】軌道の連結構造、軌道、及び軌道の連結方法
(51)【国際特許分類】
E01B 11/00 20060101AFI20240820BHJP
E21D 11/10 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
E01B11/00
E21D11/10 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021621
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000216025
【氏名又は名称】鉄建建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】505398952
【氏名又は名称】中日本高速道路株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】596007979
【氏名又は名称】大栄工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】林 忠男
(72)【発明者】
【氏名】植中 靖二
(72)【発明者】
【氏名】須志田 藤雄
(72)【発明者】
【氏名】大西 春信
(72)【発明者】
【氏名】瀧本 博文
(72)【発明者】
【氏名】舟橋 孝仁
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 岳
(72)【発明者】
【氏名】小林 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 猛彦
【テーマコード(参考)】
2D155
【Fターム(参考)】
2D155DA08
(57)【要約】
【課題】レール10の敷設や撤去に要する時間を短縮できる軌道4の連結構造、軌道4及び軌道4の連結方法を提供することを目的とする。
【解決手段】路面3に敷設した既設レール10の長手方向Xの端部に、延伸用レール10の長手方向Xの端部を連結して延伸する軌道4の連結構造であって、既設レール10及び延伸用レール10のうち、一方のレール10における端部の側方に設けられ、他方のレール10の端部に跨って長手方向Xへ延びる連結プレート153と、他方のレール10における端部の側方に設けられ、連結プレート153に重なり合う連結基部17と、連通状態の連結プレート153の貫通孔153b及び連結基部17の貫通孔17aに挿通するピン部材18とが備えられたことを特徴とする。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面に敷設した既設レールの長手方向の端部に、延伸用レールの長手方向の端部を連結して延伸する軌道の連結構造であって、
前記既設レール及び前記延伸用レールのうち、一方のレールにおける前記端部の側方に設けられ、他方のレールの前記端部に跨って前記長手方向へ延びる連結プレートと、
前記他方のレールにおける前記端部の側方に設けられ、前記連結プレートに重なり合う連結基部と、
連通状態の前記連結プレートの貫通孔及び前記連結基部の貫通孔に挿通するピン部材とが備えられた
軌道の連結構造。
【請求項2】
前記一方のレールに、前記連結プレートを枢動自在に支持する枢動基部が備えられた
請求項1に記載の軌道の連結構造。
【請求項3】
前記連結プレートの前記貫通孔と前記連結基部の前記貫通孔とが上下方向に連通し、
前記連結プレートが、
上下方向を回動軸として前記枢動基部に枢動自在に支持された
請求項2に記載の軌道の連結構造。
【請求項4】
前記一方のレールにおける長手方向の一方側に、長手方向の前記端部を挟んで対向配置した一対の前記連結プレートが備えられ、
前記他方のレールにおける長手方向の他方側に、長手方向の前記端部を挟んで対向配置した一対の前記連結基部が備えられた
請求項1に記載の軌道の連結構造。
【請求項5】
前記一方のレールにおける長手方向の他方側に、長手方向の前記端部を挟んで対向配置された一対の前記連結基部が備えられ、
前記他方のレールにおける長手方向の一方側に、長手方向の前記端部を挟んで対向配置された一対の前記連結プレートが備えられた
請求項4に記載の軌道の連結構造。
【請求項6】
前記一方のレールにおける長手方向の一方側に、前記連結プレートと、前記ピン部材を介して前記他方のレールが連結される前記連結基部とが長手方向の前記端部を挟んで備えられ、
前記他方のレールにおける長手方向の他方側に、前記連結基部と、前記ピン部材を介して前記一方のレールが連結される前記連結プレートとが長手方向の前記端部を挟んで備えられた
請求項1に記載の軌道の連結構造。
【請求項7】
前記一方のレールにおける長手方向の他方側の前記端部に、長手方向の一方側の前記連結プレート及び前記連結基部に対して交差配置された前記連結基部及び前記連結プレートが備えられ、
前記他方のレールにおける長手方向の一方側の前記端部に、長手方向の他方側の前記連結基部及び前記連結プレートに対して交差配置された前記連結プレート及び前記連結基部が備えられた
請求項6に記載の軌道の連結構造。
【請求項8】
前記既設レール及び前記延伸用レールが、
車輪が走行するレール本体と、
上方が開口した断面凹形状で、内部に前記レール本体が固定されたベース部材とで構成された
請求項1に記載の軌道の連結構造。
【請求項9】
前記既設レールの下面及び前記延伸用レールの下面に、防滑性を有する防滑部材を備えた
請求項1に記載の軌道の連結構造。
【請求項10】
前記ピン部材の先端部が、先端へ向かうほど先細なテーパー部分を備えた
請求項1に記載の軌道の連結構造。
【請求項11】
前記連結プレートの前記貫通孔及び前記連結基部の前記貫通孔のうち、
前記ピン部材の挿通方向とは逆方向に位置する前記貫通孔が、
前記ピン部材の挿入を案内する案内面を備えた
請求項1に記載の軌道の連結構造。
【請求項12】
路面に敷設した既設レールの長手方向の端部に対して、延伸用レールの長手方向の端部が、
請求項1に記載の連結プレート、連結基部及びピン部材を介して連結された
軌道。
【請求項13】
路面に敷設した既設レールの長手方向の端部に、延伸用レールの長手方向の端部を連結して延伸する軌道の連結方法であって、
前記既設レール及び前記延伸用レールのうち、一方のレールの前記端部における側方に設けられるともに、他方のレールの前記端部に跨って前記長手方向へ延びる連結プレートを、前記他方のレールにおける前記端部の側方に設けられた連結基部に重ね合わせる重合工程と、
連通状態の前記連結プレートの貫通孔及び前記連結基部の貫通孔にピン部材を挿入するピン挿入工程とを行う
軌道の連結方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば供用中のトンネル内部において、覆工コンクリートの改修に用いる防護工台車を移動させるために、複数のレールを連結して敷設した軌道の連結構造、軌道及び軌道の連結方法に関する。
【背景技術】
【0002】
供用中のトンネルには、トンネル構築後の経年によって、トンネル内面を構成する覆工コンクリートの耐久性が低下し、改修を要するものがある。この際、供用中のトンネルを、例えば夜間のみ通行止めにして改修を行うことが考えられるが、施工時間が夜間に限られるため工期が長くなるおそれがあった。
【0003】
そこで、昨今では、車両を通過させながらトンネルの改修を行う様々な技術が提案されている。
例えば特許文献1には、改修対象であるトンネルの半断面に配置されるセントルと、他方の半断面に配置され、車両が通行可能な内部空間を有する門型形状のプロテクタとで構成された改修装置が開示されている。
【0004】
ところで、特許文献1の改修装置は、トンネ坑外で組み立てられたのち、路面に敷設した仮設の軌道を走行することで、トンネル坑内の施工位置まで移動している。このような仮設の軌道は、長手方向に並置した複数のレールを、ペーシ及びボルトを用いて連結している。
【0005】
しかしながら、改修装置が走行する仮設の軌道は、常設の軌道とは異なり、改修工事の進捗に応じてレールを敷設または撤去する必要がある。この際、ペーシ及びボルトを用いて隣接するレールを連結する連結構造では、レールの敷設や撤去のたびにボルトを着脱する必要があるため、レールの敷設や撤去に時間を要するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述の問題に鑑み、レールの敷設や撤去に要する時間を短縮できる軌道の連結構造、軌道及び軌道の連結方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、路面に敷設した既設レールの長手方向の端部に、延伸用レールの長手方向の端部を連結して延伸する軌道の連結構造であって、前記既設レール及び前記延伸用レールのうち、一方のレールにおける前記端部の側方に設けられ、他方のレールの前記端部に跨って前記長手方向へ延びる連結プレートと、前記他方のレールにおける前記端部の側方に設けられ、前記連結プレートに重なり合う連結基部と、連通状態の前記連結プレートの貫通孔及び前記連結基部の貫通孔に挿通するピン部材とが備えられたことを特徴とする。
【0009】
またこの発明は、路面に敷設した既設レールの長手方向の端部に対して、延伸用レールの長手方向の端部が、上述の連結プレート、連結基部及びピン部材を介して連結された軌道であることを特徴とする。
【0010】
またこの発明は、路面に敷設した既設レールの長手方向の端部に、延伸用レールの長手方向の端部を連結して延伸する軌道の連結方法であって、前記既設レール及び前記延伸用レールのうち、一方のレールの前記端部における側方に設けられるともに、他方のレールの前記端部に跨って前記長手方向へ延びる連結プレートを、前記他方のレールにおける前記端部の側方に設けられた連結基部に重ね合わせる重合工程と、連通状態の前記連結プレートの貫通孔及び前記連結基部の貫通孔にピン部材を挿入するピン挿入工程とを行うことを特徴とする。
【0011】
上記端部の側方とは、長手方向の一方側または他方側において、長手方向に対して平面視略直交する幅方向のことをいう。
上記一方のレールに連結プレートが設けられ、他方のレールに連結基部が設けられたとは、既設レールに連結プレートが設けられ、延伸用レールに連結基部が設けられた、または延伸用レールに連結プレートが設けられ、既設レールに連結基部が設けられたことをいう。
【0012】
上記一方のレールの連結プレート及び他方のレールの連結基部は、これを一組として、長手方向の端部における側方の一方側と他方側とにそれぞれ一組ずつ設けられた構成、あるいは一方側に一組だけ設けられた構成を含むものをいう。
【0013】
この発明によれば、一方のレールに設けた連結プレートと他方のレールに設けた連結基部とを重ね合わせるとともに、連結プレートの貫通孔及び連結基部の貫通孔にピン部材を挿通することで、既設レールと延伸用レールとを連結することができる。
【0014】
さらに、軌道の連結構造は、連結状態の既設レール及び延伸用レールからピン部材を取り外すだけで、既設レールと延伸用レールの連結状態を解除することができる。
つまり、軌道の連結構造は、ピン部材の挿脱によって、既設レールと延伸用レールとの連結及び連結の解除を行うことができる。
【0015】
これにより、軌道の連結構造、軌道及び軌道の連結方法は、既設レールと延伸用レールとの連結にペーシ及びボルトを用いた場合に比べて、既設レールと延伸用レールとの連結及び連結の解除が容易になるため、レールの敷設や撤去に要する時間を短縮することができる。
【0016】
この発明の態様として、前記一方のレールに、前記連結プレートを枢動自在に支持する枢動基部が備えられてもよい。
この構成によれば、一方のレールと他方のレールとが長手方向に並置された状態において、枢動基部に枢支された連結プレートを回動させることで、連結プレートと連結基部とを重ね合わせることができる。
【0017】
このため、軌道の連結構造は、一方のレールに固定された連結プレートと他方のレールの連結基部とを重ね合わせながら、他方のレールを敷設する場合に比べて、他方のレールを容易に敷設することができる。
【0018】
さらに、一方のレールと他方のレールとが連結された状態において、軌道の連結構造は、ピン部材を取り外すとともに、枢動基部に枢支された連結プレートを回動させることで、連結プレートを連結基部から離間させることができる。
【0019】
このため、軌道の連結構造は、一方のレールに固定された連結プレートから他方のレールの連結基部を引き抜くようにして他方のレールを撤去する場合に比べて、他方のレールを容易に撤去することができる。
これにより、軌道の連結構造は、レールの敷設や撤去に要する時間をより短縮することができる。
【0020】
またこの発明の態様として、前記連結プレートの前記貫通孔と前記連結基部の前記貫通孔とが上下方向に連通し、前記連結プレートが、上下方向を回動軸として前記枢動基部に枢動自在に支持されてもよい。
【0021】
この構成によれば、連結プレートが自重によって回動することがないため、ピン部材を挿脱する際、作業員が連結プレートを保持することを不要にできるとともに、連結プレートの意図しない回動によって、作業員の手指が路面と連結プレートとの間に挟まれることを防止できる。
【0022】
さらに、連結プレートの重量がピン部材に作用しないため、軌道の連結構造は、ピン部材の挿脱が、連結プレートとの摩擦抵抗によって阻害されることを防止できる。
これにより、軌道の連結構造は、ピン部材の挿脱が容易に、かつ安全になるため、安全性を損なうことなく、レールの敷設及び撤去に要する時間を短縮することができる。
【0023】
加えて、ピン部材の挿脱方向と連結プレートの回動軸とが略平行となるため、軌道の連結構造は、例えば連結基部と枢動基部とを同一形状の部材で構成して、部品共通化を図ることができる。
【0024】
またこの発明の態様として、前記一方のレールにおける長手方向の一方側に、長手方向の前記端部を挟んで対向配置した一対の前記連結プレートが備えられ、前記他方のレールにおける長手方向の他方側に、長手方向の前記端部を挟んで対向配置した一対の前記連結基部が備えられてもよい。
【0025】
またこの発明の態様として、前記一方のレールにおける長手方向の一方側に、前記連結プレートと、前記ピン部材を介して前記他方のレールが連結される前記連結基部とが長手方向の前記端部を挟んで備えられ、前記他方のレールにおける長手方向の他方側に、前記連結基部と、前記ピン部材を介して前記一方のレールが連結される前記連結プレートとが長手方向の前記端部を挟んで備えられてもよい。
【0026】
この構成によれば、ピン部材がそれぞれ挿入される二組の連結プレート及び連結基部を介して既設レールと延伸用レールとを連結できるため、一組の連結プレート及び連結基部で連結する場合に比べて、既設レールと延伸用レールとをより強固に連結することができる。
【0027】
このため、軌道の連結構造は、例えば水平方向への外力が軌道に意図せず作用した際、既設レールと延伸用レールとが平面視略直交する方向に位置ズレする、あるいは既設レールと延伸用レールとが平面視で屈曲するように位置ズレすることを防止できる。
【0028】
またこの発明の態様として、前記一方のレールにおける長手方向の他方側に、長手方向の前記端部を挟んで対向配置された一対の前記連結基部が備えられ、前記他方のレールにおける長手方向の一方側に、長手方向の前記端部を挟んで対向配置された一対の前記連結プレートが備えられてもよい。
【0029】
またこの発明の態様として、前記一方のレールにおける長手方向の他方側の前記端部に、長手方向の一方側の前記連結プレート及び前記連結基部に対して交差配置された前記連結基部及び前記連結プレートが備えられ、前記他方のレールにおける長手方向の一方側の前記端部に、長手方向の他方側の前記連結基部及び前記連結プレートに対して交差配置された前記連結プレート及び前記連結基部が備えられてもよい。
【0030】
この構成によれば、既設レールと延伸用レールとを同一形状にできるため、既設レールと延伸用レールとを区別することなく長手方向に連結することができる。
これにより、軌道の連結構造は、改修工事の進捗に応じたレールの移設をより容易にすることができる。
【0031】
またこの発明の態様として、前記既設レール及び前記延伸用レールが、車輪が転動するレール本体と、上方が開口した断面凹形状で、内部に前記レール本体が固定されたベース部材とで構成されてもよい。
【0032】
この構成によれば、レール本体が断面凹形状のベース部材に固定されているため、レール本体で構成した既設レール及び延伸用レールに比べて、既設レール及び延伸用レールと路面との接触面積を大きく確保することができる。このため、軌道の連結構造は、既設レール及び延伸用レールの敷設状態をより安定させることができる。
【0033】
またこの発明の態様として、前記既設レールの下面及び前記延伸用レールの下面に、防滑性を有する防滑部材を備えてもよい。
この構成によれば、敷設された既設レール及び延伸用レールが意図しない外力によって移動することを防止できる。このため、軌道の連結構造は、既設レール及び延伸用レールの敷設状態をより安定させることができる。
【0034】
またこの発明の態様として、前記ピン部材の先端部が、先端へ向かうほど先細なテーパー部分を備えてもよい。
またこの発明の態様として、前記連結プレートの前記貫通孔及び前記連結基部の前記貫通孔のうち、前記ピン部材の挿通方向とは逆方向に位置する前記貫通孔が、前記ピン部材の挿入を案内する案内面を備えてもよい。
この構成によれば、貫通孔へのピン部材の挿入を容易にして、レールの敷設に要する時間を確実に短縮することができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明により、レールの敷設や撤去に要する時間を短縮できる軌道の連結構造、軌道及び軌道の連結方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】トンネル改修工法における防護工台車の設置状態の概略を説明する概略図。
【
図5】分解状態におけるレールの外観を示す分解斜視図。
【
図6】隣接するレールとの連結箇所を説明する説明図。
【
図8】連結プレートの回動を平面視で説明する説明図。
【
図9】回動が規制された状態における連結プレートの外観を示す外観斜視図。
【
図10】別の実施形態におけるレールの外観を平面視で示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
この発明の一実施形態を、
図1から
図9とともに説明する。
なお、
図1はトンネル改修工法における防護工台車2の設置状態の概略を説明する概略図を示し、
図2は上方から見た軌道4の外観斜視図を示し、
図3はレール10の平面図を示し、
図4は
図3中のA-A矢視断面図を示し、
図5はレール10の分解斜視図を示している。
【0038】
さらに、
図6は隣接するレール10との連結箇所を説明する説明図であり、
図6(a)は上方から見た連結箇所の外観斜視図を示し、
図6(b)は下方から見た連結箇所の外観斜視図を示し、
図7は
図3中のB-B矢視断面図を示している。
【0039】
加えて、
図8は連結プレート153の回動を平面視で説明する説明図を示し、
図9は回動が規制された状態における連結プレート153の外観斜視図であり、
図9(a)は上方から見た連結プレート153の外観斜視図を示し、
図9(b)は下方から見た連結プレート153の外観斜視図を示している。
【0040】
また、
図2中の上側をレール10の上方とし、
図2中の下側をレール10の下方として、図中の矢印Xがレール10の長手方向(以降、長手方向Xと呼ぶ)を示し、図中の矢印Yが長手方向Xに対して平面視直交する幅方向(以降、幅方向Yと呼ぶ)を示している。
【0041】
まず、例えばトンネル1の内壁を改修するトンネル改修工法では、
図1に示すように、車両Vが通行可能な内部空間を有する防護工台車2を、トンネル1の内部に設置することで、トンネル1を供用しながらトンネル1の内壁を構成する覆工コンクリート1aの改修を行う。
【0042】
このような施工方法における防護工台車2は、
図1に示すように、車両Vが通行可能な幅方向Yの間隔を隔てて対向する一対の側壁部21と、側壁部21の上端から他方の側壁部21へ向けて斜め上方へ延びる一対の傾斜面部22と、傾斜面部22を連結する天面部23とで門型形状に形成されている。
【0043】
さらに、防護工台車2は、側壁部21の下部に枢支されるとともに、コンクリートまたはアスファルトで舗装された平滑な路面3に仮設した一対の軌道4上を転動する複数の車輪24を備えている。
なお、車輪24は、例えば回転軸に沿った方向で対向する一対のツバ部を有する両ツバ車輪で構成されている(
図4参照)。
【0044】
そして、上述した車輪24が転動する軌道4は、
図2に示すように、長手方向Xに延びる複数のレール10で構成され、路面3に敷設されたレール10同士を連結して長手方向Xへ延伸している。
【0045】
引き続き、上述した軌道4を構成するレール10についてさらに説明する。このレール10は、隣接するレール10に長手方向Xで当接する状態で、コンクリートまたはアスファルトで舗装された平滑な路面3に敷設されている。
【0046】
このようなレール10は、
図3及び
図4に示すように、防護工台車2の車輪24が転動するレール本体11と、レール本体11が固定される断面凹形状のベース部材12と、レール本体11の固定状態を補強する複数の補強部材13と、ベース部材12の下面に貼付した防滑部材14とを備えている。
【0047】
さらに、レール10は、
図3に示すように、長手方向Xの一方側Xaから他方側Xbへ向けて並置した枢動連結部15、回動規制部16及び連結基部17と、枢動連結部15を隣接するレール10の連結基部17に連結するピン部材18とを二組備えている。
【0048】
なお、枢動連結部15、回動規制部16及び連結基部17が、ベース部材12における幅方向Yの側面に固定され、ピン部材18が枢動連結部15に対して着脱自在に設けられている。
【0049】
詳述すると、レール本体11は、
図4に示すように、例えば幅方向Yに沿った垂直断面における断面形状が、上部に対して底部(符号省略)が幅広な平底レールで構成されている。
このレール本体11は、幅広な底部(符号省略)がベース部材12(後述するベース部材12の底面部12b)に接合されることで、路面3に対して起立した状態を構成している。
【0050】
また、ベース部材12は、
図4に示すように、幅方向Yに沿った垂直断面における断面形状が断面凹形状であって、例えばレール本体11の底部よりも幅広な溝形鋼で構成されている。
なお、ベース部材12は、レール本体11の全長よりも僅かに長い長手方向Xの長さに形成されている。
【0051】
より詳しくは、ベース部材12は、
図4に示すように、幅方向Yに沿った垂直断面において、幅方向Yに所定間隔を隔てて対向する一対の側面部12aと、側面部12aの下端を連結する底面部12bとで、上方が開口した断面凹形状に形成されている。
【0052】
さらに、ベース部材12の底面部12bには、
図3に示すように、平面視において、長手方向Xの一方側Xaの縁端を平面視略半円状に凹設した凹設部分12cと、長手方向Xの他方側Xbの縁端から平面視略半円状に突出した突出部分12dとが形成されている。
【0053】
この凹設部分12c及び突出部分12dは、凹設部分12cに長手方向Xで隣接するレール10の突出部分12dが嵌合し、突出部分12dが長手方向Xで隣接するレール10の凹設部分12cに嵌合するように、同じ半径の平面視略半円状に形成されている。
【0054】
なお、ベース部材12は、側面部12aにおける長手方向Xの長さがレール本体11に略同じになるように形成されている。そして、ベース部材12の底面部12bには、
図3に示すように、幅方向Yの中央において、レール本体11が突出部分12dより長手方向Xの他方側Xbへ先端を僅かに突出させた状態で接合されている。
【0055】
また、複数の補強部材13は、
図3及び
図4に示すように、レール本体11を挟んで幅方向Yで対向配置されるとともに、長手方向Xに所定間隔を隔てて配置されている。この補強部材13は、長手方向Xに厚みを有する板状であって、レール本体11の底部とベース部材12の底面部12bとに接合されている。
【0056】
また、防滑部材14は、ベース部材12の下面と路面3の間に介在し、路面3に対する滑り止めとして機能する部材である。この防滑部材14は、
図4に示すように、例えば所定の厚みを有する合成ゴム製の板材であって、ベース部材12の底面部12bの下面に略同じ大きさ、かつ同じ形状に形成されている。
【0057】
より詳しくは、防滑部材14は、
図5に示すように、ベース部材12の凹設部分12cに対応する平面視略半円状の切欠き部分14aと、ベース部材12の突出部分12dに対応する平面視略半円状の突出部分14bとを有する形状に形成されている。
【0058】
また、二つの枢動連結部15は、
図6に示すように、長手方向Xで隣接するレール10の連結基部17にピン部材18を介して連結される部位である。この二つの枢動連結部15は、
図3及び
図5に示すように、長手方向Xの一方側Xaにおいて、ベース部材12の端部を挟んで幅方向Yに対向配置されている。
【0059】
より詳しくは、枢動連結部15は、
図5から
図7に示すように、ベース部材12の側面部12aに固定された枢動基部151と、枢動基部151に挿通された軸部材152と、枢動基部151の上方側に配置されるともに、軸部材152を介して枢動基部151に枢支された連結プレート153とで構成されている。
【0060】
この枢動連結部15は、
図8に示すように、上下方向に延びる軸部材152を回転軸として、連結プレート153が長手方向Xで隣接するレール10の連結基部17に重なり合う位置と、後述する回動規制部16に重なり合う位置との間を回動自在に構成されている。
【0061】
枢動連結部15の枢動基部151は、
図5及び
図7に示すように、上下方向に厚みを有する板状であって、ベース部材12の側面部12aに接合されている。この枢動基部151には、上下方向に貫通するとともに、軸部材152を挿通する平面視円形状の軸孔151aが開口形成されている。
【0062】
また、枢動連結部15の軸部材152は、
図5及び
図7に示すように、枢動基部151及び連結プレート153を貫通する長さで上下方向に延びる円柱状の軸本体152aと、軸本体152aの下端に設けられ、軸本体152aよりも大径の円板状に形成された頭部152bとで構成されている。
なお、軸部材152は、枢動基部151の軸孔151aに対して下方から上方へ向けて挿通されている。
【0063】
また、枢動連結部15の連結プレート153は、
図7に示すように、枢動基部151の上方に配置されるとともに、後述する軸孔153aに挿通した軸部材152に接合されている。
【0064】
この連結プレート153は、
図6及び
図7に示すように、上下方向に厚みを有する板状であって、軸部材152を介して枢動基部151に枢支された状態において、長手方向Xで隣接するレール10の端部に跨って延びる平面視略矩形に形成されている。
【0065】
さらに、連結プレート153には、
図5から
図7に示すように、平面視略矩形の長辺に平行な方向に所定間隔を隔てた位置に、上下方向に貫通する平面視円形状の軸孔153a及び貫通孔153bが開口形成されている。
【0066】
具体的には、連結プレート153の軸孔153aは、
図7に示すように、枢動基部151の軸孔151aに連通する開口であって、軸部材152を挿通可能な直径で開口形成されている。
一方、連結プレート153の貫通孔153bは、
図7に示すように、長手方向Xで隣接するレール10の連結基部17に設けた貫通孔17aに連通する開口であって、ピン部材18が遊嵌する直径で開口形成されている。
【0067】
なお、本実施形態ではレール10を互いに当接させて連結するため、連結プレート153の貫通孔153bは、後述するピン部材18のピン本体181の直径に対して公差分だけ僅かに大径の円形状に形成している。
【0068】
また、二つの回動規制部16は、
図9に示すように、連結するレール10が不在の場合に、ピン部材18を収容保持するとともに、長手方向Xの他方側Xbへ回動させた連結プレート153の回動を規制する部位として設けている。
【0069】
なお、連結するレール10が不在の場合とは、例えばレール10が単体で運搬または吊り上げられる場合、あるいはレール10が軌道4における長手方向Xの端部となる場合などのように、連結するレール10がないことをいう。
【0070】
この回動規制部16は、
図5及び
図7に示すように、連結基部17に対して長手方向Xの他方側Xbに隣接するとともに、枢動基部151に同じ上下方向の位置でベース部材12の側面部12aに接合されている。
【0071】
このような回動規制部16は、
図5及び
図7に示すように、枢動基部151に同じ厚みを有するとともに、枢動基部151に平面視で略同じ形状の板状に形成されている。
さらに、回動規制部16には、上下方向に貫通するとともに、ピン部材18が遊嵌する平面視略円形状の貫通孔16aが開口形成されている。この回動規制部16の貫通孔16aは、枢動基部151の軸孔151aに略同じ直径で開口形成されている。
【0072】
また、二つの連結基部17は、
図6に示すように、長手方向Xで隣接するレール10の連結プレート153がピン部材18を介して連結される部分である。この二つの連結基部17は、
図3及び
図5に示すように、長手方向Xの他方側Xbにおいて、ベース部材12の端部を挟んで幅方向Yに対向配置されている。
【0073】
より詳しくは、連結基部17は、
図5及び
図7に示すように、上下方向に厚みを有する板状であって、枢動基部151に同じ上下方向の位置でベース部材12の側面部12aに接合されている。
この連結基部17には、上下方向に貫通するとともに、ピン部材18が遊嵌する平面視円形状の貫通孔17aが開口形成されている。
【0074】
なお、連結基部17は、その外形形状が枢動基部151及び回動規制部16に略同じ大きさの同一形状に形成され、貫通孔17aが枢動基部151の軸孔151a、及び回動規制部16の貫通孔16aに略同じ直径で開口形成されている。
【0075】
また、二つのピン部材18は、
図6及び
図7に示すように、連結プレート153の貫通孔153b及び連結基部17の貫通孔17aに挿通される円柱状のピン本体181と、ピン本体181の上端に接合された平板状の持ち手部182とで構成されている。
【0076】
具体的には、ピン部材18のピン本体181は、
図7に示すように、軸部材152の軸本体152aに略同じ直径で上下方向に延びる円柱状であって、その下端部が下方へ向かうほど先細なテーパー部分181aを有する形状に形成されている。
【0077】
このテーパー部分181aは、ピン部材18のピン本体181を連結プレート153の貫通孔153bに挿入する際、貫通孔153bに接触することでピン本体181の挿入を案内する案内面として機能する。
一方、ピン部材18の持ち手部182は、
図6及び
図7に示すように、連結プレート153の貫通孔153bの直径よりも長い長辺を有する略矩形の板状に形成されている。
【0078】
次に、トンネル1の内部において、上述した構成のレール10を路面3に敷設して一対の軌道4を構成する工程と、路面3に敷設されたレール10を撤去する工程とについて説明する。
なお、本実施形態では、幅方向Yに所定間隔を隔てて敷設された一対の軌道4のうち、幅方向Yの一方側の軌道4を用いて説明する。
【0079】
まず、トンネル1の内部において、路面3に敷設されたレール10(以下、既設レール10と呼ぶ)における長手方向Xの一方側Xaに、別のレール10(以下、延伸用レール10と呼ぶ)における長手方向Xの他方側Xbを連結する工程について説明する。
なお、既設レール10は、
図9に示すように、ピン部材18と回動規制部16との協働によって、連結プレート153の回動が規制された状態とする。
【0080】
まず、作業者は、延伸用レール10の突出部分12dが既設レール10の凹設部分12cに嵌合するように、クレーンなどを用いて吊り上げた延伸用レール10を、既設レール10における長手方向Xの一方側Xaに隣接する路面3に載置する。この際、作業者は、既設レール10に対して延伸用レール10を長手方向Xで当接させて路面3に載置する。
【0081】
延伸用レール10を路面3に載置すると、作業者は、既設レール10の回動規制部16に挿入したピン部材18を引き抜いたのち、既設レール10の連結プレート153を延伸用レール10へ向けて回動させて、既設レール10の連結プレート153を延伸用レール10の連結基部17に重ね合わせる(
図8参照)。
【0082】
この際、作業員は、連結プレート153の貫通孔153bと連結基部17の貫通孔17aとが連通状態となるように、既設レール10の連結プレート153を延伸用レール10の連結基部17に重ね合わせる。
【0083】
連結プレート153を連結基部17に重ね合わせると、作業者は、ピン部材18のピン本体181を連結プレート153の貫通孔153b、連結基部17の貫通孔17aの順に挿通して、ピン部材18の持ち手部182を連結プレート153に当接させる(
図6及び
図7参照)。
【0084】
このようにして、本実施形態は、延伸用レール10を既設レール10に連結する。
なお、既設レール10における長手方向Xの他方側Xbに、延伸用レール10における長手方向Xの一方側Xaを連結する場合も同様に、上述した工程を行う。
【0085】
次に、既設レール10における長手方向Xの一方側Xaに連結された延伸用レール10を撤去する場合の工程について説明する。
まず、作業者は、既設レール10と延伸用レール10を連結するピン部材18を引き抜いて、既設レール10の連結プレート153を回動可能な状態にする。
【0086】
その後、作業者は、既設レール10の連結プレート153を長手方向Xの他方側Xbへ向けて回動させて、連結プレート153を回動規制部16に重ね合わせる。この際、作業者は、連結プレート153の貫通孔153bと回動規制部16の貫通孔16aとが連通状態となるように、連結プレート153を回動規制部16に重ね合わせる(
図9参照)。
【0087】
連結プレート153を連結基部17に重ね合わせると、作業者は、ピン部材18を連結プレート153の貫通孔153b、回動規制部16の貫通孔16aの順に挿通して、連結プレート153の回動を規制する。その後、作業者は、クレーンなどを用いて延伸用レール10を吊り上げて撤去する。
【0088】
このようにして、本実施形態は、既設レール10から延伸用レール10を分離して撤去する。
なお、既設レール10における長手方向Xの他方側Xbに連結された延伸用レール10を撤去する場合も同様に、上述した工程を行う。
【0089】
以上のように、本実施形態の軌道4の連結構造は、路面3に敷設した既設レール10の長手方向Xの端部に、延伸用レール10の長手方向Xの端部を連結して延伸する連結構造である。
この軌道4の連結構造は、既設レール10及び延伸用レール10のうち、一方のレール10における端部の側方に設けられ、他方のレール10の端部に跨って長手方向Xへ延びる連結プレート153が備えらえている。
【0090】
さらに、軌道4の連結構造は、他方のレール10における端部の側方に設けられ、連結プレート153に重なり合う連結基部17と、連通状態の連結プレート153の貫通孔153b及び連結基部17の貫通孔17aに挿通するピン部材18とが備えられている。
【0091】
また、本実施形態における軌道4は、路面3に敷設した既設レール10の長手方向Xの端部に対して、延伸用レール10の長手方向Xの端部が、上述の連結プレート153、連結基部17及びピン部材18を介して連結された構成である。
【0092】
また、本実施形態における軌道4の敷設方法は、路面3に敷設した既設レール10の長手方向Xの端部に、延伸用レール10の長手方向Xの端部を連結して延伸する方法である。
【0093】
この軌道4の敷設方法は、既設レール10及び延伸用レール10のうち、一方のレール10の端部における側方に設けられるともに、他方のレール10の端部に跨って長手方向Xへ延びる連結プレート153を、他方のレール10における端部の側方に設けられた連結基部17に重ね合わせる重合工程と、連通状態の連結プレート153の貫通孔153b及び連結基部17の貫通孔17aにピン部材18を挿入するピン挿入工程とを行うものである。
【0094】
この構成によれば、一方のレール10に設けた連結プレート153と他方のレール10に設けた連結基部17とを重ね合わせるとともに、連結プレート153の貫通孔153b及び連結基部17の貫通孔17aにピン部材18を挿通することで、既設レール10と延伸用レール10とを連結することができる。
【0095】
さらに、軌道4の連結構造は、連結状態の既設レール10及び延伸用レール10からピン部材18を取り外すだけで、既設レール10と延伸用レール10の連結状態を解除することができる。
つまり、軌道4の連結構造は、ピン部材18の挿脱によって、既設レール10と延伸用レール10との連結及び連結の解除を行うことができる。
【0096】
これにより、軌道4の連結構造、軌道4及び軌道4の敷設方法は、既設レール10と延伸用レール10との連結にペーシ及びボルトを用いた場合に比べて、既設レール10と延伸用レール10との連結及び連結の解除が容易になるため、レール10の敷設や撤去に要する時間を短縮することができる。
【0097】
また、一方のレール10に、連結プレート153を枢動自在に支持する枢動基部151が備えられているため、軌道4の連結構造は、一方のレール10と他方のレール10とが長手方向Xに並置された状態において、枢動基部151に枢支された連結プレート153を回動させることで、連結プレート153と連結基部17とを重ね合わせることができる。
【0098】
このため、軌道4の連結構造は、一方のレール10に固定された連結プレート153と他方のレール10の連結基部17とを重ね合わせながら、他方のレール10を敷設する場合に比べて、他方のレール10を容易に敷設することができる。
【0099】
さらに、一方のレール10と他方のレール10とが連結された状態において、軌道4の連結構造は、ピン部材18を取り外すとともに、枢動基部151に枢支された連結プレート153を回動させることで、連結プレート153を連結基部17から離間させることができる。
【0100】
このため、軌道4の連結構造は、一方のレール10に固定された連結プレート153から他方のレール10の連結基部17を引き抜くようにして他方のレール10を撤去する場合に比べて、他方のレール10を容易に撤去することができる。
これにより、軌道4の連結構造は、レール10の敷設や撤去に要する時間をより短縮することができる。
【0101】
また、連結プレート153の貫通孔153bと連結基部17の貫通孔17aとが上下方向に連通し、連結プレート153が、上下方向を回動軸として枢動基部151に枢動自在に支持されている。
【0102】
この構成によれば、連結プレート153が自重によって回動することがないため、ピン部材18を挿脱する際、作業員が連結プレート153を保持することを不要にできるとともに、連結プレート153の意図しない回動によって、作業員の手指が路面3と連結プレート153との間に挟まれることを防止できる。
【0103】
さらに、連結プレート153の重量がピン部材18に作用しないため、軌道4の連結構造は、ピン部材18の挿脱が、連結プレート153との摩擦抵抗によって阻害されることを防止できる。
これにより、軌道4の連結構造は、ピン部材18の挿脱が容易に、かつ安全になるため、安全性を損なうことなく、レール10の敷設及び撤去に要する時間を短縮することができる。
【0104】
加えて、ピン部材18の挿脱方向と連結プレート153の回動軸とが略平行となるため、軌道4の連結構造は、例えば連結基部17と枢動基部151とを同一形状の部材で構成して、部品共通化を図ることができる。
【0105】
また、一方のレール10における長手方向Xの一方側Xaに、長手方向Xの端部を挟んで対向配置した一対の連結プレート153が備えられ、他方のレール10における長手方向Xの他方側Xbに、長手方向Xの端部を挟んで対向配置した一対の連結基部17が備えられている。
【0106】
この構成によれば、ピン部材18がそれぞれ挿入される二組の連結プレート153及び連結基部17を介して既設レール10と延伸用レール10とを連結できるため、一組の連結プレート153及び連結基部17で連結する場合に比べて、既設レール10と延伸用レール10とをより強固に連結することができる。
【0107】
このため、軌道4の連結構造は、例えば水平方向への外力が軌道4に意図せず作用した際、既設レール10と延伸用レール10とが幅方向Yに位置ズレする、あるいは既設レール10と延伸用レール10とが平面視で屈曲するように位置ズレすることを防止できる。
【0108】
また、一方のレール10における長手方向Xの他方側Xbに、長手方向Xの端部を挟んで対向配置された一対の連結基部17が備えられ、他方のレール10における長手方向Xの一方側Xaに、長手方向Xの端部を挟んで対向配置された一対の連結プレート153が備えられている。
【0109】
この構成によれば、既設レール10と延伸用レール10とを同一形状にできるため、既設レール10と延伸用レール10とを区別することなく長手方向Xに連結することができる。
これにより、軌道4の連結構造は、改修工事の進捗に応じたレール10の移設をより容易にすることができる。
【0110】
また、既設レール10及び延伸用レール10が、車輪24が転動するレール本体11と、上方が開口した断面凹形状で、内部にレール本体11が固定されたベース部材12とで構成されている。
【0111】
この構成によれば、レール本体11が断面凹形状のベース部材12に固定されているため、レール本体11で構成した既設レール10及び延伸用レール10に比べて、既設レール10及び延伸用レール10と路面3との接触面積を大きく確保することができる。このため、軌道4の連結構造は、既設レール10及び延伸用レール10の敷設状態をより安定させることができる。
【0112】
また、既設レール10の下面及び延伸用レール10の下面に、防滑性を有する防滑部材14を備えているため、軌道4の連結構造は、敷設された既設レール10及び延伸用レール10が意図しない外力によって移動することを防止できる。このため、軌道4の連結構造は、既設レール10及び延伸用レール10の敷設状態をより安定させることができる。
【0113】
また、ピン部材18の先端部が、先端へ向かうほど先細なテーパー部分181aを備えたことにより、軌道4の連結構造は、連結プレート153の貫通孔153bへのピン部材18の挿入を容易にして、レール10の敷設に要する時間を確実に短縮することができる。
【0114】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の一方のレール及び他方のレールは、実施形態のレール10に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0115】
具体的には、例えば回動規制部16を備えたレール10としたが、これに限定せず、回動規制部16を備えていないレール10としてもよい。
また、連結プレート153の下面または連結基部17の上面に、弾性を有する板状の弾性部材を介在させてもよい。これにより、軌道4の連結構造は、勾配が変化する路面3に軌道4を敷設した際、勾配変化を弾性部材の変形によって吸収して、防護工台車2をスムーズに走行させることができる。
【0116】
また、連結プレート153が枢動基部151に枢支された構成としたが、これに限定せず、枢動基部151及び軸部材152を設けず、連結プレート153がベース部材12の側面部12aに接合固定された構成であってもよい。
【0117】
また、連結プレート153が上下方向を回転軸として回動可能な枢動連結部15としたが、これに限定せず、連結プレートが幅方向Yを回転軸として回動可能な枢動連結部であってもよい。
この場合、連結プレートは、ピン部材18が幅方向Yに沿って連結基部に挿通される形状、あるいはピン部材18が上下方向に沿って連結基部に挿通される形状であればよい。
【0118】
また、枢動基部151の上方に連結プレート153が配置されたレール10としたが、これに限定せず、枢動基部151の下方に連結プレート153が配置されたレール10であってもよい。
また、1つの枢動基部151に対して1つの連結プレート153を枢支し、ピン部材18を介して連結プレート153を1つの連結基部17に連結したが、これに限定しない。
【0119】
例えば、1つの枢動基部151を挟んで上下方向に配置した2つの連結プレート153を、1つの枢動基部151に枢支するとともに、1つの連結基部17にピン部材18を介して連結する構成であってもよい。
【0120】
あるいは、1つの枢動基部151に枢支された1つの連結プレート153が、連結プレート153を挟んで上下方向に配置された2つの連結基部17にピン部材18を介して連結される構成であってもよい。
【0121】
もしくは、上下方向に所定間隔を隔てて対向する2つの枢動基部151の間に1つの連結プレート153を配置し、1つの連結プレート153が2つの枢動基部151に枢支された構成であってもよい。
【0122】
また、レール10を互いに当接させて連結したが、これに限定せず、隣接するレール10が、車輪24の通過などに支障がない範囲で許容される僅かな隙間を隔てて近接した近接状態で連結されてもよい。
この場合、所望されるレール10同士の間の隙間を所望間隔として、連結プレート153の貫通孔153bまたは連結基部17の貫通孔17aを、長手方向Xに長く、かつ長軸の長さがピン部材18のピン本体181の直径に所望間隔を加えた長さの長楕円形状に開口形成する。
【0123】
この構成によれば、ピン部材18の直径よりも所望間隔だけ長手方向Xに長い貫通孔(貫通孔153bまたは貫通孔17a)により、ピン部材18の挿入作業性を確保できるとともに、長手方向Xにおける既設レール10と延伸用レール10との相対移動を規制することができる。
【0124】
例えば既設レール10が、車輪24の駆動力によって延伸用レール10から離間する方向へ移動することを、所望間隔だけ長手方向Xに長い貫通孔(貫通孔153bまたは貫通孔17a)とピン部材18との協働によって規制できる。
これにより、軌道4の連結構造は、長手方向Xへの意図しないレール10の移動を防止できるため、仮設であってもより安全な軌道4を構成することができる。
【0125】
さらにまた、幅方向Yの一方側における連結プレート153または連結基部17の貫通孔(貫通孔153bまたは貫通孔17a)を平面視円形状に形成し、幅方向Yの他方側における連結プレート153または連結基部17の貫通孔(貫通孔153bまたは貫通孔17a)を所望間隔だけ長手方向Xに長い長楕円形状に形成してもよい。
これにより、軌道4の連結構造は、路面3が平面視で湾曲した状態であっても、レール10同士の連結を容易にして、路面3に沿った軌道4を構成することができる。
【0126】
また、長手方向Xの一方側Xaから他方側Xbへ向けて並置した枢動連結部15及び連結基部17と、枢動連結部15を隣接するレール10の連結基部17に連結するピン部材18とを二組備えたレール10としたが、これに限定しない。例えば枢動連結部15、連結基部17及びピン部材18を、ベース部材12における幅方向Yの一方側に一組備えた構成であってもよい。
【0127】
また、長手方向Xの一方側Xaに枢動連結部15及び回動規制部16を備え、長手方向Xの他方側Xbに連結基部17を備えたレール10としたが、これに限定せず、長手方向Xの一方側Xaに連結基部17を備え、長手方向Xの他方側Xbに枢動連結部15及び回動規制部16を備えたレール10であってもよい。
【0128】
あるいは、一方のレール10における長手方向Xの両端部に、それぞれベース部材12を挟んで対向配置した一対の枢動連結部15を備え、他方のレール10における長手方向Xの両端部に、それぞれベース部材12を挟んで対向配置した連結基部17を備えてもよい。
【0129】
もしくは、別の実施形態におけるレール10の平面図を示す
図10のように、枢動連結部15、回動規制部16及び連結基部17が、幅方向Yの一方側において、長手方向Xの一方側Xaから他方側Xbへこの順番で配置され、幅方向Yの他方側において、長手方向Xの他方側Xbから一方側Xaへこの順番で配置されてもよい。
【0130】
この場合、一方のレール10における長手方向Xの一方側Xaに、連結プレート153と、ピン部材18を介して他方のレール10が連結される連結基部17とが長手方向Xの端部を挟んで備えられ、他方のレール10における長手方向Xの他方側Xbに、連結基部17と、ピン部材18を介して一方のレール10が連結される連結プレート153とが長手方向Xの端部を挟んで備えられていることになる。
【0131】
このため、軌道4の連結構造は、上述した実施形態に、一組の連結プレート153及び連結基部17で連結する場合に比べて、既設レール10と延伸用レール10とをより強固に連結することができる。
【0132】
さらに、一方のレール10における長手方向Xの他方側Xbの端部に、長手方向Xの一方側Xaの連結プレート153及び連結基部17に対して交差配置された連結基部17及び連結プレート153が備えられ、他方のレール10における長手方向Xの一方側Xaの端部に、長手方向Xの他方側Xbの連結基部17及び連結プレート153に対して交差配置された連結プレート153及び連結基部17が備えられている。
【0133】
この構成によれば、既設レール10と延伸用レール10とを同一形状にできるため、既設レール10と延伸用レール10とを区別することなく長手方向Xに連結することができる。
これにより、軌道4の連結構造は、改修工事の進捗に応じたレール10の移設をより容易にすることができる。
【0134】
また、連結プレート153の貫通孔153bへのピン部材18の挿入を案内する案内面として、ピン部材18のピン本体181に、ピン部材18のピン本体181にテーパー部分181aを設けたが、これに限定しない。
例えば別の実施形態におけるB-B矢視断面図を示す
図11のように、連結プレート153における貫通孔153bの上側の縁端を、下方へ向かうほど小径なテーパー面153cで形成してもよい。
【0135】
この構成によれば、連結プレート153の貫通孔153bが、ピン部材18の挿入を案内するテーパー面153cを備えたことにより、連結プレート153の貫通孔153bへのピン部材18の挿入を容易にして、レール10の敷設に要する時間を確実に短縮することができる。
【0136】
なお、連結プレート153が連結基部17の下方で重なり合う場合、連結基部17における貫通孔17aの縁端にテーパー面を設ける。この場合であっても、上述の構成と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0137】
3…路面
4…軌道
10…レール,既設レール,延伸用レール
11…レール本体
12…ベース部材
14…防滑部材
17…連結基部
17a…貫通孔
18…ピン部材
24…車輪
151…枢動基部
153…連結プレート
153b…貫通孔
153c…テーパー面
181a…テーパー部分
X…長手方向
Xa…一方側
Xb…他方側