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特開2024-115789コンクリートポンプ装置、コンクリート打設装置、及びトンネル改修工法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115789
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】コンクリートポンプ装置、コンクリート打設装置、及びトンネル改修工法
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/10 20060101AFI20240820BHJP
   E04G 21/04 20060101ALI20240820BHJP
   F04B 15/02 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
E21D11/10 Z
E04G21/04
F04B15/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021624
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000216025
【氏名又は名称】鉄建建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】505398952
【氏名又は名称】中日本高速道路株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】592135362
【氏名又は名称】丸矢工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】岩城 圭介
(72)【発明者】
【氏名】西脇 敬一
(72)【発明者】
【氏名】加古 昌之
(72)【発明者】
【氏名】菅原 広道
(72)【発明者】
【氏名】瀧本 博文
(72)【発明者】
【氏名】須志田 藤雄
(72)【発明者】
【氏名】大西 春信
(72)【発明者】
【氏名】舟橋 孝仁
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 岳
(72)【発明者】
【氏名】小野又 真人
【テーマコード(参考)】
2D155
2E172
3H075
【Fターム(参考)】
2D155BB02
2D155CA06
2D155CA07
2D155KC02
2D155KC05
2D155KC06
2D155LA16
2E172AA05
2E172BA07
2E172BA21
2E172CA33
2E172DB13
3H075AA13
3H075BB24
3H075CC40
3H075DA24
3H075DA30
(57)【要約】
【課題】狭隘な作業空間Sbに設置できるとともに、コンクリートの圧送距離が長くなってもコンクリートの品質低下を抑えて打設箇所に打設できるコンクリートポンプ装置100、コンクリート打設装置10及びトンネル改修工法を提供することを目的とする。
【解決手段】トンネル1の坑外から送給配管101を介して送られたコンクリートを打設箇所へ向けて圧送するコンクリートポンプ装置100であって、送給配管101を介して投入されたコンクリートを攪拌するとともに、圧送方向Xaの端部に設けた排出口142を介して下方へ排出するミキサーユニット141と、ミキサーユニット141の下方に配置され、排出口142を介して投入されたコンクリートを送出配管102に圧送するポンプユニット151と、ミキサーユニット141及びポンプユニット151を保持する保持架台130とが備えられたことを特徴とする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供用中のトンネルの内部に配置され、坑外から送給配管を介して送られたコンクリートを打設箇所へ向かう圧送方向に圧送するコンクリートポンプ装置であって、
前記送給配管を介して投入された前記コンクリートを攪拌するとともに、前記圧送方向の端部に設けた排出口を介して下方へ排出するミキサーユニットと、
該ミキサーユニットの下方に配置され、前記排出口を介して投入された前記コンクリートを前記圧送方向の端部に接続された送出配管に圧送するポンプユニットと、
前記ミキサーユニット及び前記ミキサーユニットの下方に配置された前記ポンプユニットを保持する保持架台とが備えられた
コンクリートポンプ装置。
【請求項2】
前記ポンプユニットは、
前記保持架台の下部に保持されたポンプ本体と、
前記ポンプ本体を駆動させるポンプ駆動部とが備えられ、
前記ミキサーユニットは、
前記保持架台の上部に保持されたミキサー本体と、
前記ミキサー本体を駆動させるミキサー駆動部が備えられ、
少なくとも前記ポンプ駆動部が、
前記ポンプ本体とは別体で構成されるとともに、前記保持架台から離間した位置に配置された
請求項1に記載のコンクリートポンプ装置。
【請求項3】
前記ミキサーユニットの前記ミキサー駆動部が、
前記ミキサー本体とは別体で構成されるとともに、前記保持架台から離間した位置に配置された
請求項2に記載のコンクリートポンプ装置。
【請求項4】
前記ミキサーユニットの前記排出口と前記ポンプユニットの開口との間を覆う囲繞部材が備えられた
請求項1に記載のコンクリートポンプ装置。
【請求項5】
前記ポンプユニットは、
前記排出口を介して投入される前記コンクリートを一時貯留するホッパー部が備えられ、
少なくとも前記ホッパー部は、
前記保持架台及び前記ミキサーユニットに対して、前記圧送方向にスライド移動可能に構成された
請求項1に記載のコンクリートポンプ装置。
【請求項6】
前記ミキサーユニットの前記排出口を開閉するゲート部と、
前記ポンプユニットに貯留される前記コンクリートの重量を検出する重量検出部と、
前記ゲート部の動作を制御するゲート制御部とが備えられ、
前記ゲート制御部は、
前記重量検出部が検出した重量が前記ポンプユニットの貯留量の上限値を示す上限閾値を上回る場合、前記排出口を前記ゲート部によって閉塞させる
請求項1に記載のコンクリートポンプ装置。
【請求項7】
前記ミキサーユニットに貯留される前記コンクリートの重量を検出する重量検出部と、
前記トンネルの坑外で前記送給配管に前記コンクリートを送り出す坑外ポンプユニットの動作を制御するポンプ制御部とが備えられ、
前記ポンプ制御部は、
前記重量検出部が検出した重量が前記ミキサーユニットの貯留量の上限値を示す上限閾値を上回る場合、前記坑外ポンプユニットの動作を停止させる
請求項1に記載のコンクリートポンプ装置。
【請求項8】
前記ミキサーユニットの前記排出口を開閉するゲート部が備えられ、
該前記ゲート部が、ナイフゲート構造で構成された
請求項1に記載のコンクリートポンプ装置。
【請求項9】
前記ミキサーユニットの前記排出口を開閉するゲート部が備えられ、
該ゲート部が、ピンチバルブ構造で構成された
請求項1に記載のコンクリートポンプ装置。
【請求項10】
前記ミキサーユニットは、
前記水平方向を回転軸として回転駆動する軸体と、
該軸体の径方向に延びるパドル羽根とが備えられた
請求項1に記載のコンクリートポンプ装置。
【請求項11】
前記ミキサーユニットは、
前記コンクリートを前記圧送方向へ搬送する正転方向と、該正転方向とは逆方向の逆転方向とに前記軸体を回転可能に構成された
請求項10に記載のコンクリートポンプ装置。
【請求項12】
請求項1に記載のコンクリートポンプ装置と、前記コンクリートポンプ装置のポンプユニットに接続された送出配管とが、トンネルの坑外から坑内の打設箇所へ向かう圧送方向に所定間隔を隔てて複数配置され、
複数の前記コンクリートポンプ装置のうち、前記打設箇所に最も近い前記コンクリートポンプ装置を打設ポンプ装置とし、該打設ポンプ装置以外の前記コンクリートポンプ装置を中継ポンプ装置として、
前記中継ポンプ装置に接続された前記送出配管が、
前記圧送方向で隣接する前記中継ポンプ装置または前記打設ポンプ装置のミキサーユニットにコンクリートを投入する送給配管を構成し、
前記打設ポンプ装置に接続された前記送出配管が、
打設箇所に前記コンクリートを圧送する打設配管である
コンクリート打設装置。
【請求項13】
請求項12に記載のコンクリート打設装置を用いて、供用中のトンネルの内部の覆工コンクリートを改修する
トンネル改修工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば供用中のトンネルの内部へコンクリートを圧送するようなコンクリートポンプ装置、コンクリート打設装置、及びトンネル改修工法に関する。
【背景技術】
【0002】
供用中のトンネルには、トンネル構築後の経年によって、トンネル内面を構成する覆工コンクリートの耐久性が低下し、改修を要するものがある。この際、供用中のトンネルを、例えば夜間のみ通行止めにして改修を行うことが考えられるが、施工時間が夜間に限られるため工期が長くなるおそれがあった。
【0003】
そこで、昨今では、車両を通過させながらトンネルの改修を行う様々な技術が提案されている。
例えば特許文献1は、車両が通行可能な空間を内側に有する断面門型形状の防護工台車をトンネル内部に配置することで、車両を通行させながらトンネルの改修を可能にしている。
【0004】
この際、トンネルが供用中でなければ、コンクリートポンプ車などがトンネルの内部を通行できるため、打設箇所に近い位置までアジテータトラックでコンクリートを配送し、打設箇所に配置したコンクリートポンプ車で打設することができる。
【0005】
ところが、特許文献1のように車両を通行させながら改修する場合、防護工台車とトンネルの内面とで形成される狭隘な作業空間にコンクリートポンプ車を配置できない。
【0006】
そこで、トンネルの坑外に配置したコンクリートポンプなどのコンクリート打設装置を、トンネル内部の打設箇所に配置した圧送管に配管し、アジテータトラックによって搬送されたコンクリートを、コンクリート打設装置を介して打設箇所へ圧送することが考えられる(例えば特許文献2参照)。
【0007】
しかしながら、特許文献2のように、トンネルの坑外から打設箇所へ直接的にコンクリートを圧送する場合、コンクリートの圧送距離が長くなるため、コンクリート打設装置の圧送圧力を増大させる必要があるだけでなく、圧送過程でコンクリートの品質が低下するおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2022-122668号公報
【特許文献2】特開2015-67949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述の問題に鑑み、狭隘な作業空間に設置できるとともに、コンクリートの圧送距離が長くなってもコンクリートの品質低下を抑えて打設箇所に打設できるコンクリートポンプ装置、コンクリート打設装置及びトンネル改修工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、供用中のトンネルの内部に配置され、坑外から送給配管を介して送られたコンクリートを打設箇所へ向かう圧送方向に圧送するコンクリートポンプ装置であって、前記送給配管を介して投入された前記コンクリートを攪拌するとともに、前記圧送方向の端部に設けた排出口を介して下方へ排出するミキサーユニットと、該ミキサーユニットの下方に配置され、前記排出口を介して投入された前記コンクリートを前記圧送方向の端部に接続された送出配管に圧送するポンプユニットと、前記ミキサーユニット及び前記ミキサーユニットの下方に配置された前記ポンプユニットを保持する保持架台とが備えられたことを特徴とする。
【0011】
またこの発明は、上述のコンクリートポンプ装置と、前記コンクリートポンプ装置のポンプユニットに接続された送出配管とが、トンネルの坑外から坑内の打設箇所へ向かう圧送方向に所定間隔を隔てて複数配置され、複数の前記コンクリートポンプ装置のうち、前記打設箇所に最も近い前記コンクリートポンプ装置を打設ポンプ装置とし、該打設ポンプ装置以外の前記コンクリートポンプ装置を中継ポンプ装置として、前記中継ポンプ装置に接続された前記送出配管が、前記圧送方向で隣接する前記中継ポンプ装置または前記打設ポンプ装置のミキサーユニットにコンクリートを投入する送給配管を構成し、前記打設ポンプ装置に接続された前記送出配管が、打設箇所に前記コンクリートを圧送する打設配管であるコンクリート打設装置であることを特徴とする。
【0012】
またこの発明は、上述のコンクリート打設装置を用いて、供用中のトンネルの内部の覆工コンクリートを改修するトンネル改修工法であることを特徴とする。
この発明によれば、圧送方向及び幅員方向の大きさをコンパクトにできるため、狭隘な作業空間に設置できるとともに、コンクリートの圧送距離が長くなってもミキサーユニットによってコンクリートの品質低下を抑えて打設箇所に打設することができる。
【0013】
具体的には、送給配管を介して投入されたコンクリートを攪拌するミキサーユニットにより、コンクリートポンプ装置は、送給配管を介して圧送されたコンクリートを再練りして圧送することができる。このため、コンクリートポンプ装置は、トンネルの内部において、圧送過程のコンクリートの品質低下を抑えることができる。
【0014】
この際、例えばミキサーユニットに混和剤などを適宜投入することで、コンクリートポンプ装置は、圧送過程において品質低下したコンクリートの品質を回復させることができる。
【0015】
さらに、保持架台に保持されたミキサーユニットとポンプユニットとが上下に並置されているため、コンクリートポンプ装置は、ミキサーユニットの排出口からポンプユニットにコンクリートを自由落下で投入することができる。
【0016】
このため、コンクリートポンプ装置は、ミキサーユニットからポンプユニットへコンクリートを搬送する機構を不要にできるとともに、幅員方向にコンクリートを送ることなく、ミキサーユニットからポンプユニットに移動させることができる。
【0017】
これにより、コンクリートポンプ装置は、幅員方向の大きさを抑えられるとともに、ミキサーユニット及びポンプユニットを圧送方向に並置した場合に比べて圧送方向の大きさをコンパクトにすることができる。
【0018】
よって、コンクリートポンプ装置、コンクリート打設装置及びトンネル改修工法は、狭隘な作業空間に設置できるとともに、コンクリートの圧送距離が長くなってもコンクリートの品質低下を抑えて打設箇所に打設することができる。
【0019】
加えて、ミキサーユニット及びポンプユニットが保持架台に保持されているため、コンクリートポンプ装置は、ミキサーユニット及びポンプユニットを別々に移動する場合に比べて移動を容易にすることができる。
【0020】
この発明の態様として、前記ポンプユニットは、前記保持架台の下部に保持されたポンプ本体と、前記ポンプ本体を駆動させるポンプ駆動部とが備えられ、前記ミキサーユニットは、前記保持架台の上部に保持されたミキサー本体と、前記ミキサー本体を駆動させるミキサー駆動部が備えられ、少なくとも前記ポンプ駆動部が、前記ポンプ本体とは別体で構成されるとともに、前記保持架台から離間した位置に配置されてもよい。
【0021】
上記保持架台から離間した位置に配置とは、例えば防護工台車の上部や側部に配置、あるいは路面に載置することをいう。
この構成によれば、ポンプ駆動部を適宜の場所に配置できるとともに、ポンプ駆動部が一体的に設けられたポンプ本体に比べて、保持架台に保持されるポンプ本体をコンパクトにすることができる。
【0022】
さらに、例えばポンプ駆動部を防護工台車に固定することで、コンクリートポンプ装置は、防護工台車とともにポンプ駆動部を移動させることができる。このため、コンクリートポンプ装置は、別体で構成されたポンプ本体及びポンプ駆動部の移動をそれぞれ容易にすることができる。
【0023】
またこの発明の態様として、前記ミキサーユニットの前記ミキサー駆動部が、前記ミキサー本体とは別体で構成されるとともに、前記保持架台から離間した位置に配置されてもよい。
【0024】
この構成によれば、ミキサー駆動部を適宜の場所に配置できるとともに、ミキサー駆動部が一体的に設けられたミキサー本体に比べて、保持架台に保持されるミキサー本体をコンパクトにすることができる。
これにより、コンクリートポンプ装置は、保持架台の設置面積を小さくできるため、狭隘な作業空間が狭くなることをさらに抑えられる。
【0025】
またこの発明の態様として、前記ミキサーユニットの前記排出口と前記ポンプユニットの開口との間を覆う囲繞部材が備えられてもよい。
この構成によれば、ミキサーユニットの排出口から排出されたコンクリートが、ポンプユニットの周囲に飛散することを防止できる。
【0026】
このため、コンクリートポンプ装置は、例えば供用中のトンネルを通行する車両、作業空間で作業する作業員、あるいは路面にコンクリートが意図せず付着することを防止できる。
【0027】
またこの発明の態様として、前記ポンプユニットは、前記排出口を介して投入される前記コンクリートを一時貯留するホッパー部が備えられ、少なくとも前記ホッパー部は、前記保持架台及び前記ミキサーユニットに対して、前記圧送方向にスライド移動可能に構成されてもよい。
【0028】
この構成によれば、ミキサーユニットの排出口を介して投入されたコンクリートを一時貯留できるため、送出配管に送り出すコンクリートの送り出し量を調整することができる。
【0029】
さらに、ホッパー部を洗浄する際、ホッパー部を引き出して洗浄できるため、コンクリートポンプ装置は、保持架台に固定されたホッパー部に比べて、ホッパー部のメンテナンス性を向上することができる。
【0030】
またこの発明の態様として、前記ミキサーユニットの前記排出口を開閉するゲート部と、前記ポンプユニットに貯留される前記コンクリートの重量を検出する重量検出部と、前記ゲート部の動作を制御するゲート制御部とが備えられ、前記ゲート制御部は、前記重量検出部が検出した重量が前記ポンプユニットの貯留量の上限値を示す上限閾値を上回る場合、前記排出口を前記ゲート部によって閉塞させてもよい。
【0031】
この構成によれば、ポンプユニットに貯留されたコンクリートの重量に応じてゲート部が開閉されるため、ポンプユニットの貯留量を超えるコンクリートが、ミキサーユニットの排出口を介して投入されることを防止できる。このため、コンクリートポンプ装置は、コンクリートが意図せずポンプユニットから溢れ出すことを防止できる。
【0032】
またこの発明の態様として、前記ミキサーユニットに貯留される前記コンクリートの重量を検出する重量検出部と、前記トンネルの坑外で前記送給配管に前記コンクリートを送り出す坑外ポンプユニットの動作を制御するポンプ制御部とが備えられ、前記ポンプ制御部は、前記重量検出部が検出した重量が前記ミキサーユニットの貯留量の上限値を示す上限閾値を上回る場合、前記坑外ポンプユニットの動作を停止させてもよい。
【0033】
上記坑外ポンプユニットの動作を制御するとは、坑外ポンプユニットの制御部に制御信号を出力して間接的に制御する、あるいは坑外ポンプユニットに制御信号を出力して直接的に制御することをいう。
【0034】
この構成によれば、ミキサーユニットに貯留されたコンクリートの重量に応じて、坑外ポンプユニットの動作を制御できるため、ミキサーユニットの貯留量を超えるコンクリートが投入されることを防止できる。このため、コンクリートポンプ装置は、コンクリートが意図せずミキサーユニットから溢れ出すことを防止できる。
【0035】
またこの発明の態様として、前記ミキサーユニットの前記排出口を開閉するゲート部が備えられ、該前記ゲート部が、ナイフゲート構造で構成されてもよい。
またこの発明の態様として、前記ミキサーユニットの前記排出口を開閉するゲート部が備えられ、該ゲート部が、ピンチバルブ構造で構成されてもよい。
【0036】
これらの構成によれば、例えばボールバルブ構造やバタフライバルブ構造のゲート部に比べてコンクリートの流れを確実に遮断することができる。
なお、ゲート部がピンチバルブ構造またはナイフゲート構造であるかは、コンクリートの性状に応じて適宜に選択される。
【0037】
またこの発明の態様として、前記ミキサーユニットは、前記水平方向を回転軸として回転駆動する軸体と、該軸体の径方向に延びるパドル羽根とが備えられてもよい。
この構成によれば、送給配管を介して投入されたコンクリートを搬送する過程で確実に再練りすることができる。このため、コンクリートポンプ装置は、圧送過程におけるコンクリートの品質変化を抑えることができる。
【0038】
またこの発明の態様として、前記ミキサーユニットは、前記コンクリートを前記圧送方向へ搬送する正転方向と、該正転方向とは逆方向の逆転方向とに前記軸体を回転可能に構成されてもよい。
【0039】
この構成によれば、例えばコンクリートのスランプ性状を調整するために混和剤を投入した際、ミキサーユニットに貯留されたコンクリートと混和剤とをより均一に混ぜ合わせることができる。
【0040】
さらに、例えば正転方向及び逆転方向の回転時間や、正転方向及び逆転方向への切替え回数を調整することで、コンクリートポンプ装置は、ミキサーユニットにおけるコンクリートの混錬度合を調整することができる。
【0041】
これにより、コンクリートポンプ装置は、コンクリートの再練りを確実に行うことができるため、ポンプユニットから吐出されるコンクリートの品質をより均一に保つことができる。
【発明の効果】
【0042】
本発明により、狭隘な作業空間に設置できるとともに、コンクリートの圧送距離が長くなってもコンクリートの品質低下を抑えて打設箇所に打設できるコンクリートポンプ装置、コンクリート打設装置及びトンネル改修工法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】トンネル改修工法における防護工台車の設置状態の概略を説明する概略図。
図2】コンクリート打設装置の概略を説明する説明図。
図3】コンクリートポンプ装置の構成を示すブロック図。
図4】幅員方向から見たコンクリートポンプ装置の装置本体の外観を示す側面図。
図5】奥行方向から見た装置本体の外観を示す正面図。
図6】ミキサー重量検出機構部を説明する説明図。
図7】ミキサー本体の内部を平面視で示す平面図。
図8】ホッパー部を引き出した装置本体の外観を示す側面図。
図9】コンクリートポンプ装置の処理動作を示すフローチャート。
図10】実施例2におけるコンクリートポンプ装置の装置本体の外観を示す側面図。
図11】コンクリートポンプ装置の装置本体の外観を示す正面図。
図12】ゲート部が閉弁した状態における装置本体を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0044】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
【実施例0045】
実施例1では、供用中のトンネル1の内部へコンクリートを圧送するコンクリート打設装置10について、図1から図9を用いて説明する。
なお、図1はトンネル改修工法における防護工台車2の設置状態の概略を説明する概略図を示し、図2はコンクリート打設装置10の概略を説明する説明図を示している。
【0046】
さらに、図3はコンクリートポンプ装置100のブロック図を示し、図4は幅員方向Yから見たコンクリートポンプ装置100の装置本体120の側面図を示し、図5は奥行方向Xから見た装置本体120の正面図を示している。
【0047】
さらにまた、図6はミキサー重量検出機構部122を説明する説明図であり、図6(a)はミキサー重量検出機構部122の側面図を示し、図6(b)は図6(a)中のA-A矢視断面図を示している。
加えて、図7はミキサー本体140の内部の平面図を示し、図8はホッパーポンプ部152を引き出した装置本体120の側面図を示している。
【0048】
また、図1中の上側を防護工台車2の上方とし、図1中の下側を防護工台車2の下方として、図中の矢印Xが防護工台車2の奥行方向(以降、奥行方向Xと呼ぶ)を示し、図中の矢印Yが奥行方向Xに対して平面視直交する幅員方向(以降、幅員方向Yと呼ぶ)を示している。
【0049】
まず、例えばトンネル1の内壁を改修するトンネル改修工法では、図1に示すように、車両Vが通行可能な通行空間Saを有する正面視門型形状の防護工台車2をトンネル1の内部に複数設置することで、トンネル1を供用しながらトンネル1の内壁を構成する覆工コンクリート1aの改修を行う。
【0050】
この際、防護工台車2は、覆工コンクリート1aを改修する作業員が作業するための作業空間Sbを、トンネル1の内面との間に構成している。なお、作業空間Sbは、防護工台車2をトンネル1の延長方向に複数並置することで、トンネルの延長方向に連続するように構成されている。
【0051】
そして、この作業空間Sbには、図1及び図2に示すように、トンネル1の坑外からトンネル1の内部における打設箇所にコンクリートを圧送するコンクリート打設装置10が配置されている。
【0052】
ここで、上述した防護工台車2について簡単に説明する。防護工台車2は、図1に示すように、車両Vが通行可能な幅員方向Yの間隔を隔てて対向する一対の側壁部21と、側壁部21の上端から他方の側壁部21へ向けて斜め上方へ延びる一対の傾斜面部22と、傾斜面部22を連結する天面部23とで門型形状に形成されている。
【0053】
この防護工台車2は、側壁部21の下部に枢支された複数の車輪24が、コンクリートまたはアスファルトで舗装された平滑な路面3に仮設した一対の軌道4上を転動することで、トンネル1の延長方向に移動可能に構成されている。
【0054】
次に、トンネル1の坑外からトンネル1の内部にコンクリートを圧送するコンクリート打設装置10について説明する。コンクリート打設装置10は、図2に示すように、トンネル1の坑外に配置された坑外ポンプ装置11と、トンネル1の内部に配置された複数の中継ポンプ装置12及び1つの打設ポンプ装置13とを備えている。
【0055】
さらに、コンクリート打設装置10は、コンクリートが圧送される配管として、坑外ポンプ装置11と最も坑外に近い中継ポンプ装置12とを接続する供給配管14、及び隣接する中継ポンプ装置12同士を接続する中継配管15を備えている。
加えて、コンクリート打設装置10は、打設箇所に配置されるセントル配管(図示省略)と打設ポンプ装置13とを接続する打設配管16を備えている。
【0056】
なお、坑外ポンプ装置11、中継ポンプ装置12及び打設ポンプ装置13は、それぞれトンネル1の延長方向において、所定間隔(例えば400m以上の間隔)を隔てて配置され、トンネル1の坑外から内部に向かう延長方向の一方側へ向けてコンクリートを圧送する。
このコンクリートを圧送する延長方向の一方側は、防護工台車2の近傍において、奥行方向Xと略平行な方向となるため、以降、圧送方向Xaと呼ぶ。
【0057】
詳述すると、コンクリート打設装置10の坑外ポンプ装置11は、図2に示すように、アジテータトラックが運搬したコンクリートの投入を受け付けて、供給配管14に圧送する装置本体11aと、作業員の操作を受け付けて装置本体11aの動作を制御する制御ユニット11bとを備えている。
【0058】
また、コンクリート打設装置10の中継ポンプ装置12及び打設ポンプ装置13は、図2に示すように、トンネル1の内部の作業空間Sbに配置された同一構成のコンクリートポンプ装置100である。
このため、実施例1では、中継ポンプ装置12及び打設ポンプ装置13をコンクリートポンプ装置100として詳述する。
【0059】
なお、以降の説明を容易にするため、コンクリートポンプ装置100にコンクリートを供給する供給配管14または中継配管15を送給配管101とし、コンクリートポンプ装置100が吐出したコンクリートが流れる中継配管15または打設配管16を送出配管102とする。
【0060】
詳述すると、コンクリートポンプ装置100は、図1に示すように、防護工台車2の天面部23に載置固定した油圧ユニット110と、防護工台車2の側壁部21に設けた載置テーブル25に載置固定した装置本体120と、作業員の操作を受け付けて油圧ユニット110の動作を制御する制御ユニット190(図3参照)とを備えている。
なお、詳細な図示を省略するが、制御ユニット190は、装置本体120に対して奥行方向Xで隣接して載置テーブル25の上面に配置されている。
【0061】
コンクリートポンプ装置100の油圧ユニット110は、高圧に加圧した作動油を装置本体120に供給する装置である。この油圧ユニット110は、図1に示すように、防護工台車2の天面部23の上面に並置されたミキサー用油圧ユニット111及びポンプ用油圧ユニット112で構成されている。
【0062】
具体的には、ミキサー用油圧ユニット111は、図3に示すように、制御ユニット190に電気的に接続されるとともに、後述する装置本体120のミキサー本体140に油圧ホース103(図1参照)を介して接続されている。
このミキサー用油圧ユニット111は、制御ユニット190からの制御信号に基づいて動作し、装置本体120のミキサー本体140に油圧を供給する機能を有している。
【0063】
一方、ポンプ用油圧ユニット112は、図3に示すように、制御ユニット190に電気的に接続されるとともに、後述する装置本体120のポンプ本体150に油圧ホース104(図1参照)を介して接続されている。
このポンプ用油圧ユニット112は、制御ユニット190からの制御信号に基づいて動作し、装置本体120のポンプ本体150に油圧を供給する機能を有している。
【0064】
また、コンクリートポンプ装置100の装置本体120は、油圧ユニット110からの油圧によって駆動し、送給配管101を介して供給されたコンクリートを一時貯留し、攪拌によってスランプ性状を調整する機能と、攪拌したコンクリートを圧送方向Xaに搬送する機能と、送出配管102を介してコンクリートを圧送方向Xaにさらに送り出す機能とを有している。
【0065】
この装置本体120は、図4及び図5に示すように、載置テーブル25に載置された保持架台130と、保持架台130の上部に保持されたミキサー本体140と、ミキサー本体140の下方に配置されたポンプ本体150と、ミキサー本体140をポンプ本体150に接続する蓋体160、ゲート部170及び接続ホース180とを備えている。
【0066】
具体的には、保持架台130は、図4及び図5に示すように、載置テーブル25に載置される底部枠体131と、底部枠体131の内部に配置された一対のガイドレール132と、底部枠体131の上面に立設した一対の第1支柱部133及び第2支柱部134とを備えている。
なお、保持架台130は、H形鋼、アングル鋼、チャンネル鋼、鋼板及び断面略矩形の鋼管を適宜に組み合わせて構成されている。
【0067】
より詳しくは、保持架台130の底部枠体131は、図4及び図5に示すように、幅員方向Yに所定間隔を隔てて奥行方向Xに延びる一対の梁部材131aと、梁部材131aにおける奥行方向Xの端部を幅員方向Yに連結する一対の桁部材131bとで平面視略矩形に形成されている。
なお、詳細な図示を省略するが、底部枠体131には、梁部材131aと桁部材131bとを連結して補強する補強部材が設けられている。
【0068】
また、保持架台130の一対のガイドレール132は、奥行方向Xに沿ったポンプ本体150のスライド移動を案内するレールである。この一対のガイドレール132は、図5に示すように、幅員方向Yに所定間隔を隔てた位置で奥行方向Xに延びるとともに、奥行方向Xの端部が桁部材131bの上面に接合されている。
【0069】
また、保持架台130の一対の第1支柱部133及び一対の第2支柱部134は、図4及び図5に示すように、略同じ長さで上下方向に延びる柱状体であって、その下端が底部枠体131の梁部材131aの上面に固定されている。
【0070】
具体的には、一対の第1支柱部133は、図4に示すように、梁部材131aにおける圧送方向Xaの略中央に対して、圧送方向Xaとは逆方向に離間した位置に立設されている。
この第1支柱部133の上端面には、幅員方向Yを回転軸として、ミキサー本体140における圧送方向Xaとは逆方向の端部を枢動自在に連結する枢動部121が固定されている。
【0071】
一方、一対の第2支柱部134は、図4に示すように、梁部材131aにおける圧送方向Xaの略中央に対して、圧送方向Xaに離間した位置に立設されている。この第2支柱部134の上端面には、図4に示すように、ミキサー本体140の重量を検知するミキサー重量検出機構部122が固定されている。
【0072】
このミキサー重量検出機構部122は、図6(a)に示すように、第2支柱部134に固定される下方部材123と、後述するミキサー本体140の第2脚部145に固定される上方部材124と、下方部材123及び上方部材124に挿通する円柱状のピン部材125と、ミキサー用ロードセル126とで構成されている。
【0073】
下方部材123は、図6に示すように、第2支柱部134に固定される平板状の下方基部123aと、下方基部123aに立設されるとともに、幅員方向Yで対向する一対二組の下方縦壁部123bとで構成されている。
【0074】
なお、幅員方向Yで対向する一対の下方縦壁部123bは、下方基部123aにおける奥行方向Xの両端近傍に立設されている。
さらに、下方縦壁部123bには、ピン部材125の直径に略同じ直径の円形で、幅員方向Yに貫通する貫通孔123cが開口形成されている。
【0075】
一方、上方部材124は、図6に示すように、後述するミキサー本体140の第2脚部145に固定される平板状の上方基部124aと、下方縦壁部123bの間へ向けて上方基部124aの下面に垂設された一対の上方縦壁部124bとで構成されている。
さらに、上方縦壁部124bには、図6(b)に示すように、上下方向に長い側面視長楕円形状で、幅員方向Yに貫通する貫通孔124cが開口形成されている。
【0076】
なお、貫通孔124cの短軸は、下方部材123の貫通孔123cの直径に略同じ長さに形成されている。
このような構成のため、上方部材124は、下方部材123に対して上下方向にスライド移動可能に構成されている。
【0077】
また、ミキサー用ロードセル126は、図6(a)に示すように、下方基部123aにおける奥行方向Xの略中央に載置固定され、その上面が上方基部124aに固定されている。
【0078】
このミキサー用ロードセル126は、図3に示すように、後述する制御ユニット190の制御部195に接続され、ミキサー本体140の重量を検知するとともに、検知したミキサー本体140の重量を示す信号を制御部195に出力する機能を有している。
【0079】
また、装置本体120のミキサー本体140は、ミキサー用油圧ユニット111とでミキサーユニット141(図3参照)を構成し、送給配管101を介して投入されたコンクリートを圧送方向Xaに攪拌しながら搬送する機能を有している。
【0080】
このミキサー本体140は、図4及び図5に示すように、奥行方向Xに延びる正面視逆蒲鉾形状であって、圧送方向Xaとは逆方向側における端部の上面に送給配管101が接続されている。
【0081】
さらに、ミキサー本体140は、図4に示すように、圧送方向Xa側の端部の下面に、コンクリートを上方から下方へ排出する筒状の排出口142が設けられている。
そして、ミキサー本体140は、図7に示すように、コンクリートが貯留される内部に、コンクリートを圧送方向Xaへ攪拌しながら搬送する回転体143を備えている。
【0082】
より詳しくは、回転体143は、奥行方向Xに延びる軸体143aと、軸体143aの外周面から軸体143aの径方向外側へ向けて延びる複数のパドル羽根143bとで構成されている。この回転体143は、ミキサー用油圧ユニット111の油圧によって回転駆動する油圧モーター(符号省略)に連結されている。
【0083】
このようなミキサー本体140の外面には、図4に示すように、圧送方向Xaとは逆方向側の端部近傍で上下方向に延びる一対の第1脚部144と、第1脚部144よりも圧送方向Xa側で上下方向に延びる一対の第2脚部145とを備えている。
【0084】
そして、ミキサー本体140は、第1脚部144が枢動部121を介して第1支柱部133に連結され、第2脚部145がミキサー重量検出機構部122を介して第2支柱部134に連結されることで、保持架台130に保持されている。
【0085】
また、装置本体120のポンプ本体150は、ポンプ用油圧ユニット112とでポンプユニット151(図3参照)を構成し、ミキサー本体140の排出口142から投入されたコンクリートを、送出配管102を介して圧送方向Xaに圧送する機能を有している。
【0086】
このポンプ本体150は、図4及び図5に示すように、ミキサー本体140の排出口142の下方に配置されたホッパーポンプ部152と、ホッパーポンプ部152を支持する支持部材153と、支持部材153の下面に固定した第1ローラー枢支部154及び第2ローラー枢支部155とを備えている。
【0087】
そして、ポンプ本体150は、図4及び図8に示すように、保持架台130及びミキサー本体140に対して圧送方向Xaへスライド移動するとともに、少なくともホッパーポンプ部152をミキサー本体140と上下方向で重ならない位置まで引き出し可能に構成されている。
【0088】
具体的には、ホッパーポンプ部152は、図4及び図5に示すように、上方が開口するとともに、ミキサー本体140からのコンクリートを貯留するホッパー(符号省略)と、ホッパーに貯留されたコンクリートを送出配管102に圧送するポンプ(符号省略)とで構成されている。
さらに、ホッパーポンプ部152は、図4及び図5に示すように、圧送方向Xa側の端面に、送出配管102を接続する配管接続部152aが設けられている。
【0089】
また、ポンプ本体150の支持部材153は、図4及び図5に示すように、ホッパーポンプ部152を挟んで幅員方向Yに並置された奥行方向Xに延びる一対の桁部材153aと、桁部材153aにおける奥行方向Xの端部を幅員方向Yに連結する一対の梁部材153bとで平面視略矩形に構成されている。
なお、桁部材153aは、ホッパーポンプ部152から圧送方向Xaとは逆方向側へ向けて延びるように配置されるとともに、梁部材153bによって連結されている。
【0090】
また、ポンプ本体150の第1ローラー枢支部154及び第2ローラー枢支部155は、幅員方向Yを回転軸として、保持架台130のガイドレール132上を転動するローラー(符号省略)を枢支している。
なお、ローラーは、幅員方向Yの内側にツバ部を有する片ツバ輪で構成され、ポンプ本体150の幅員方向Yへの移動を保持架台130のガイドレール132とで規制している。
【0091】
具体的には、第1ローラー枢支部154は、図4に示すように、支持部材153の桁部材153aにおける圧送方向Xaの中央に対して圧送方向Xaとは逆方向側に離間した位置において、桁部材153aの下面に固定されている。
【0092】
一方、第2ローラー枢支部155は、図4に示すように、支持部材153の桁部材153aにおける圧送方向Xaの中央に対して圧送方向Xa側に離間した位置において、ポンプ重量検出機構部156を介して桁部材153aの下面に固定されている。
【0093】
なお、ポンプ重量検出機構部156は、上述したミキサー重量検出機構部122と同様の構成であって、下方部材(符号省略)と上方部材(符号省略)とピン部材(符号省略)とを備えるとともに、ミキサー用ロードセル126に代えてポンプ用ロードセル157を備えている。
【0094】
このポンプ用ロードセル157は、図3に示すように、後述する制御ユニット190の制御部195に接続され、ポンプ本体150の重量を検知するとともに、検知したポンプ本体150の重量を示す信号を制御部195に出力する機能を有している。
【0095】
また、装置本体120の蓋体160は、ホッパーポンプ部152における上方の開口を閉塞する板状の部材であって、ミキサー本体140の排出口142に対して下方で対向する位置に、上下方向に延びて、ホッパーポンプ部152の内部と外部とを連通する投入口161を備えている。
【0096】
また、装置本体120のゲート部170は、図4及び図5に示すように、ミキサー本体140の排出口142の下端に接続された開閉弁であって、薄板状の弁体が奥行方向Xに出没する、所謂ナイフゲートバルブで構成されている。
なお、ゲート部170は、図3に示すように、後述する制御ユニット190の制御部195に接続され、制御部195からの制御信号に基づいて弁体が駆動するように構成されている。
【0097】
また、装置本体120の接続ホース180は、図4及び図5に示すように、弾性を有するとともに、上下方向に延びる筒状体であって、ゲート部170と蓋体160の投入口161とを接続している。
【0098】
この接続ホース180は、コンクリートが流れる流路として設けられるとともに、ミキサー本体140の排出口142と蓋体160の投入口161との間を覆う部材として設けられている。
【0099】
また、コンクリートポンプ装置100の制御ユニット190は、図3に示すように、各種情報を記憶する記憶部191と、各種情報を表示する表示部192と、作業員の各種操作を受け付ける操作受付部193と、通信回線を介して各種信号を入出力する入出力部194と、こられの動作を制御する制御部195とを備えている。
【0100】
具体的には、記憶部191は、ハードディスクあるいは不揮発性メモリなどで構成され、各種情報を書き込んで記憶する機能と、各種情報を読み出す機能とを有している。
表示部192は、例えば液晶ディスプレイやランプなどで構成され、作業者に対して各種情報を表示する機能を有している。
【0101】
操作受付部193は、例えば油圧ユニット110を操作するためのボタン、スイッチ、あるいはタッチパネルなどで構成されている。この操作受付部193は、作業者の各種操作を受け付ける機能と、受け付けた操作を示す情報を制御部195へ出力する機能とを有している。
【0102】
入出力部194は、圧送方向Xaまたは圧送方向Xaとは逆方向で隣接する別のコンクリートポンプ装置100に通信回線を介して接続する機能と、別のコンクリートポンプ装置100との間で各種信号を入出力する機能とを有している。
【0103】
制御部195は、CPUやメモリなどのハードウェアと、制御プログラムなどのソフトウェアとで構成され、所定のバスを介して接続された各部の動作を制御する機能を有している。
【0104】
さらに、制御部195は、ミキサー用油圧ユニット111、ポンプ用油圧ユニット112及びゲート部170の動作を制御する制御機能と、ミキサー用ロードセル126及びポンプ用ロードセル157からの各種信号の授受に係る処理機能とを有している。
【0105】
このような構成のコンクリートポンプ装置100は、送給配管101を介してミキサー本体140に投入されたコンクリートを、ミキサー本体140の回転体143によって攪拌しながら圧送方向Xaに搬送する。
【0106】
さらに、コンクリートポンプ装置100は、ミキサー本体140の排出口142を介して、コンクリートをポンプ本体150のホッパーポンプ部152に投入するとともに、ポンプ本体150のホッパーポンプ部152によってコンクリートを送出配管102に吐出することで、打設箇所へ向けてコンクリートを圧送する。
【0107】
引き続き、上述したコンクリートポンプ装置100において、油圧ユニット110の動作を開始した制御部195の動作について、コンクリートポンプ装置100の処理動作のフローチャートを示す図9を用いて説明する。
【0108】
まず、ゲート部170が開弁した状態において、油圧ユニット110の動作を開始すると、制御ユニット190の制御部195は、図9に示すように、ポンプ用ロードセル157が検知したポンプ本体150の重量を示す信号に基づいて、ポンプ本体150の重量が上限重量以下か否かを判定する(ステップS111)。
【0109】
なお、ポンプ本体150の上限重量は、ホッパーポンプ部152に貯留されたコンクリートの貯留量をポンプ本体150の重量によって判定するための閾値であって、ホッパーポンプ部152に貯留可能なコンクリートの貯留量の上限値を示す重量である。
【0110】
ポンプ本体150の重量が上限重量以下の場合(ステップS111:Yes)、制御部195は、ホッパーポンプ部152からコンクリートが溢れ出ることがないため、ゲート部170に開弁信号を出力したのち(ステップS112)、処理をステップS114に進める。
この際、ゲート部170は、開弁状態の場合その状態を維持し、閉弁状態の場合、閉弁状態から開弁状態に移行する。
【0111】
一方、ポンプ本体150の重量が上限重量を上回る場合(ステップS111:No)、制御部195は、ホッパーポンプ部152へのコンクリートの投入を停止するために、ゲート部170に閉弁信号を出力して(ステップS113)、ミキサー本体140の排出口142を閉塞する。
【0112】
その後、制御部195は、ミキサー用ロードセル126が検知したミキサー本体140の重量を示す信号に基づいて、ミキサー本体140の重量が上限重量以下か否かを判定する(ステップS114)。
【0113】
なお、ミキサー本体140の上限重量は、ミキサー本体140に貯留されたコンクリートの貯留量をミキサー本体140の重量によって判定するための閾値であって、ミキサー本体140に貯留可能なコンクリートの貯留量の上限値を示す重量である。
【0114】
ミキサー本体140の重量が上限重量以下の場合(ステップS114:Yes)、コンクリートがミキサー本体140から溢れ出ることがない。このため、制御部195は、圧送方向Xaとは逆方向で隣接する上流側のコンクリートポンプ装置100を介して坑外ポンプ装置11に、コンクリートの圧送信号を出力したのち(ステップS115)、処理をステップS111に戻す。
【0115】
この際、コンクリートの圧送信号を取得した坑外ポンプ装置11の制御ユニット11bは、コンクリートを圧送している場合、引き続きコンクリートの圧送を継続し、コンクリートの圧送を停止している場合、送給配管101を介した圧送方向Xaへのコンクリートの圧送を開始する。
【0116】
一方、ミキサー本体140の重量が上限重量を上回る場合(ステップS114:No)、制御部195は、圧送方向Xaとは逆方向で隣接する上流側のコンクリートポンプ装置100を介して坑外ポンプ装置11に、コンクリートの圧送停止信号を出力する(ステップS116)。
【0117】
この際、コンクリートの圧送停止信号を取得した坑外ポンプ装置11の制御ユニット11bは、装置本体11aの動作を停止して、圧送停止信号を出力したコンクリートポンプ装置100へのコンクリートの圧送を停止する。
【0118】
さらに、圧送停止信号を出力した制御部195は、図9に示すように、ミキサー本体140の回転体143を、所定時間の間だけ反転駆動させて、ミキサー本体140のコンクリートを攪拌する(ステップS117)。
【0119】
この際、作業員は、例えばミキサー本体140に貯留されたコンクリートのスランプ性状をチェックするとともに、スランプ性状に応じて混和剤を適宜投入してスランプ性状を調整する。
【0120】
その後、制御部195は、図9に示すように、処理をステップS111に戻したのち、作業員の操作によって油圧ユニット110の動作を停止するまで、ステップS111からステップS117の処理を繰り返す。
【0121】
以上のように、実施例1のコンクリートポンプ装置100は、供用中のトンネル1の内部に配置され、坑外から送給配管101を介して送られたコンクリートを打設箇所へ向かう圧送方向に圧送する装置である。
【0122】
このコンクリートポンプ装置100は、送給配管101を介して投入されたコンクリートを攪拌するとともに、圧送方向Xaの端部に設けた排出口142を介して下方へ排出するミキサーユニット141のミキサー本体140が備えられている。
【0123】
さらに、コンクリートポンプ装置100は、ミキサー本体140の下方に配置され、排出口142を介して投入されたコンクリートを圧送方向Xaの端部に接続された送出配管102に圧送するポンプユニット151のポンプ本体150が備えられている。
【0124】
そして、コンクリートポンプ装置100は、ミキサー本体140及びミキサー本体140の下方に配置されたポンプ本体150を保持する保持架台130が備えられている。
【0125】
また、実施例1のコンクリート打設装置10は、上述のコンクリートポンプ装置100と、コンクリートポンプ装置100のポンプ本体150に接続された送出配管102とが、圧送方向Xaに所定間隔を隔てて複数配置されている。
【0126】
さらに、複数のコンクリートポンプ装置100のうち、打設箇所に最も近いコンクリートポンプ装置100を打設ポンプ装置13とし、打設ポンプ装置13以外のコンクリートポンプ装置100を中継ポンプ装置12として、コンクリート打設装置10は、中継ポンプ装置12に接続された送出配管102が、圧送方向Xaで隣接する中継ポンプ装置12または打設ポンプ装置13のミキサーユニット141にコンクリートを投入する送給配管101を構成している。
【0127】
さらに、コンクリート打設装置10は、打設ポンプ装置13に接続された送出配管102が、打設箇所にコンクリートを圧送する打設配管16を構成している。
また、実施例1のトンネル改修工法は、上述のコンクリート打設装置10を用いて、供用中のトンネル1の内部の覆工コンクリート1aを改修する工法である。
【0128】
この構成によれば、圧送方向Xa及び幅員方向Yの大きさをコンパクトにできるため、狭隘な作業空間Sbに設置できるとともに、コンクリートの圧送距離が長くなってもミキサーユニット141によってコンクリートの品質低下を抑えて打設箇所に打設することができる。
【0129】
具体的には、送給配管101を介して投入されたコンクリートを攪拌するミキサーユニット141により、コンクリートポンプ装置100は、送給配管101を介して圧送されたコンクリートを再練りして圧送することができる。このため、コンクリートポンプ装置100は、トンネル1の内部において、圧送過程のコンクリートの品質低下を抑えることができる。
【0130】
この際、例えばミキサーユニット141に混和剤などを適宜投入することで、コンクリートポンプ装置100は、圧送過程において品質低下したコンクリートの品質を回復させることができる。
【0131】
さらに、保持架台130に保持されたミキサー本体140とポンプ本体150とが上下に並置されているため、コンクリートポンプ装置100は、ミキサー本体140の排出口142からポンプ本体150にコンクリートを自由落下で投入することができる。
【0132】
このため、コンクリートポンプ装置100は、ミキサー本体140からポンプ本体150へコンクリートを搬送する機構を不要にできるとともに、幅員方向Yにコンクリートを送ることなく、ミキサー本体140からポンプ本体150に移動させることができる。
【0133】
これにより、コンクリートポンプ装置100は、幅員方向Yの大きさを抑えられるとともに、ミキサー本体140及びポンプ本体150を圧送方向Xaに並置した場合に比べて圧送方向Xaの大きさをコンパクトにすることができる。
よって、コンクリートポンプ装置100、コンクリート打設装置10及びトンネル改修工法は、狭隘な作業空間Sbに設置できるとともに、コンクリートの圧送距離が長くなってもコンクリートの品質低下を抑えて打設箇所に打設することができる。
【0134】
加えて、ミキサーユニット141及びポンプユニット151が保持架台130に保持されているため、コンクリートポンプ装置100は、ミキサーユニット141及びポンプユニット151を別々に移動する場合に比べて移動を容易にすることができる。
【0135】
また、ポンプユニット151は、保持架台130の下部に保持されたポンプ本体150と、ポンプ本体150を駆動させるポンプ用油圧ユニット112とが備えられている。
【0136】
さらに、ミキサーユニット141は、保持架台130の上部に保持されたミキサー本体140と、ミキサー本体140を駆動させるミキサー用油圧ユニット111が備えられている。
【0137】
そして、少なくともポンプ用油圧ユニット112が、ポンプ本体150とは別体で構成されるとともに、保持架台130から離間した位置(防護工台車2の天面部23)に配置されている。
【0138】
この構成によれば、ポンプ用油圧ユニット112を適宜の場所に配置できるとともに、ポンプ用油圧ユニット112が一体的に設けられたポンプ本体150に比べて、保持架台130に保持されるポンプ本体150をコンパクトにすることができる。
【0139】
さらに、ポンプ用油圧ユニット112を防護工台車2に固定することで、コンクリートポンプ装置100は、防護工台車2とともにポンプ用油圧ユニット112を移動させることができる。このため、コンクリートポンプ装置100は、別体で構成されたポンプ本体150及びポンプ用油圧ユニット112の移動をそれぞれ容易にすることができる。
【0140】
また、ミキサーユニット141のミキサー用油圧ユニット111が、ミキサー本体140とは別体で構成されるとともに、保持架台130から離間した位置(防護工台車2の天面部23)に配置されている。
【0141】
この構成によれば、ミキサー用油圧ユニット111を適宜の場所に配置できるとともに、ミキサー用油圧ユニット111が一体的に設けられたミキサー本体140に比べて、保持架台130に保持されるミキサー本体140をコンパクトにすることができる。
これにより、コンクリートポンプ装置100は、保持架台130の設置面積を小さくできるため、狭隘な作業空間Sbが狭くなることをさらに抑えられる。
【0142】
また、ミキサー本体140の排出口142とポンプ本体150の開口との間を覆う蓋体160及び接続ホース180が備えられているため、コンクリートポンプ装置100は、ミキサー本体140の排出口142から排出されたコンクリートが、ポンプ本体150の周囲に飛散することを防止できる。
【0143】
このため、コンクリートポンプ装置100は、例えば供用中のトンネル1を通行する車両V、作業空間Sbで作業する作業員、あるいは路面3にコンクリートが意図せず付着することを防止できる。
【0144】
また、ポンプユニット151は、排出口142を介して投入されるコンクリートを一時貯留するホッパーポンプ部152が備えられている。そして、少なくともホッパーポンプ部152は、保持架台130及びミキサー本体140に対して、圧送方向Xaにスライド移動可能に構成されている。
【0145】
この構成によれば、ミキサー本体140の排出口142を介して投入されたコンクリートを一時貯留できるため、送出配管102に送り出すコンクリートの送り出し量を調整することができる。
【0146】
さらに、ホッパーポンプ部152を洗浄する際、ホッパーポンプ部152を引き出して洗浄できるため、コンクリートポンプ装置100は、保持架台130に固定されたホッパーポンプ部152に比べて、ホッパーポンプ部152のメンテナンス性を向上することができる。
【0147】
また、コンクリートポンプ装置100は、ミキサー本体140の排出口142を開閉するゲート部170と、ポンプ本体150に貯留されるコンクリートの重量を検出するポンプ用ロードセル157と、ゲート部170の動作を制御する制御部195とが備えられている。
【0148】
さらに、制御部195は、ポンプ用ロードセル157が検出した重量がポンプ本体150の貯留量の上限値を示す上限重量を上回る場合、排出口142をゲート部170によって閉塞させる。
【0149】
この構成によれば、ポンプ本体150に貯留されたコンクリートの重量に応じてゲート部170が開閉されるため、ポンプ本体150の貯留量を超えるコンクリートが、ミキサー本体140の排出口142を介して投入されることを防止できる。このため、コンクリートポンプ装置100は、コンクリートが意図せずポンプ本体150から溢れ出すことを防止できる。
【0150】
また、コンクリートポンプ装置100は、ミキサー本体140に貯留されるコンクリートの重量を検出するミキサー用ロードセル126と、トンネル1の坑外で送給配管101にコンクリートを送り出す坑外ポンプ装置11の動作を制御する制御部195とが備えられている。
【0151】
さらに、制御部195は、ミキサー用ロードセル126が検出した重量がミキサー本体140の貯留量の上限値を示す上限重量を上回る場合、坑外ポンプ装置11の動作を停止させる。
【0152】
この構成によれば、ミキサー本体140に貯留されたコンクリートの重量に応じて、坑外ポンプ装置11の動作を制御できるため、ミキサー本体140の貯留量を超えるコンクリートが投入されることを防止できる。このため、コンクリートポンプ装置100は、コンクリートが意図せずミキサー本体140から溢れ出すことを防止できる。
【0153】
また、ミキサー本体140の排出口142を開閉するゲート部170が備えられ、ゲート部170が、ナイフゲート構造で構成されているため、コンクリートポンプ装置100は、例えばボールバルブ構造やバタフライバルブ構造のゲート部に比べてコンクリートの流れを確実に遮断することができる。
【0154】
また、ミキサー本体140が、水平方向を回転軸として回転駆動する軸体143aと、軸体143aの径方向に延びるパドル羽根143bとを備えているため、コンクリートポンプ装置100は、送給配管101を介して投入されたコンクリートを搬送する過程で確実に再練りすることができる。このため、コンクリートポンプ装置100は、圧送過程におけるコンクリートの品質変化を抑えることができる。
【0155】
また、ミキサーユニット141は、コンクリートを圧送方向Xaの一方側へ搬送する正転方向と、正転方向とは逆方向の逆転方向とに軸体143aを回転可能に構成されている。
この構成によれば、例えばコンクリートのスランプ性状を調整するために混和剤を投入した際、ミキサーユニット141に貯留されたコンクリートと混和剤とをより均一に混ぜ合わせることができる。
【0156】
さらに、例えば正転方向及び逆転方向の回転時間や、正転方向及び逆転方向への切替え回数を調整することで、コンクリートポンプ装置100は、ミキサーユニット141におけるコンクリートの混錬度合を調整することができる。
【0157】
これにより、コンクリートポンプ装置100は、コンクリートの再練りを確実に行うことができるため、ポンプユニット151から吐出されるコンクリートの品質をより均一に保つことができる。
【実施例0158】
実施例2では、実施例1に対してミキサー重量検出機構部、及びミキサー本体140とポンプ本体150との間の構成が異なるコンクリートポンプ装置100について、図10から図12を用いて説明する。
【0159】
なお、図10は実施例2におけるコンクリートポンプ装置100の装置本体120の側面図を示し、図11はコンクリートポンプ装置100の装置本体120の正面図を示し、図12はゲート部170が閉弁した状態における装置本体120の正面図を示している。
また、上述した実施例1と同じ構成は、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0160】
実施例2におけるコンクリートポンプ装置100の装置本体120は、図10及び図11に示すように、載置テーブル25に載置された保持架台130と、保持架台130の上部に保持されたミキサー本体140と、ミキサー本体140の下方に配置されたポンプ本体150とを備えている。
【0161】
さらに、装置本体120は、図10に示すように、第2支柱部134とミキサー本体140の第2脚部145との間にミキサー重量検出機構部200を備えるとともに、ミキサー本体140の排出口142とポンプ本体150のホッパーポンプ部152との間にゲート部210及び囲繞部材220を備えている。
【0162】
加えて、装置本体120は、実施例1と同様に、油圧ユニット110に油圧ホース103,104を介して接続されるとともに、制御ユニット190に接続されている。
【0163】
ここで、実施例2におけるミキサー重量検出機構部200は、図10に示すように、ミキサー用ロードセル126と1つの枢動部201とで構成されている。
なお、枢動部201は、第1支柱部133の上端に固定された枢動部121と同じ構成のため、その詳細な説明を省略する。
【0164】
また、装置本体120のゲート部210は、図11及び図12に示すように、排出口142に接続された上下方向に延びるチューブ211を押し潰すピンチバルブ構造に構成されている。
【0165】
具体的には、ゲート部210は、排出口142に接続された弾性を有するチューブ211と、ミキサー本体140の下面に枢支された一対の押圧部材212と、押圧部材212を枢動させる一対のアクチュエーター213とを備えている。
【0166】
一対の押圧部材212は、図11及び図12に示すように、アクチュエーター213が伸長した際、チューブ211を挟んで互いに近接するように枢支されている。
アクチュエーター213は、制御ユニット190の制御部195に接続され、制御部195からの制御信号に基づいて伸縮するように構成されている。
【0167】
また、囲繞部材220は、図10及び図11に示すように、ポンプ本体150におけるホッパーポンプ部152の開口に連通するように上下方向に延びる筒状の筒部221と、筒部221の下端に設けられ、ホッパーポンプ部152の開口縁に載置固定されるフランジ部(符号省略)とで構成されている。
【0168】
この囲繞部材220の筒部221は、図11に示すように、ゲート部210のチューブ211よりも大きい開口を有するとともに、チューブ211の下部を囲繞する上下方向の長さを有する筒状体に形成されている。
【0169】
このようなコンクリートポンプ装置100のゲート部210は、図9のステップS113において、制御部195がゲート部210に閉弁信号を出力すると、アクチュエーター213が伸長して一対の押圧部材212を枢動させる。
【0170】
この際、一対の押圧部材212がチューブ211を押し潰すことで、ミキサー本体140の排出口142が閉塞され、ホッパーポンプ部152へのコンクリートの投入が停止される。
【0171】
以上のように、実施例2のコンクリートポンプ装置100、コンクリート打設装置10及びトンネル改修工法は、上述の実施例1と同様の効果を奏することができる。
さらに、ミキサーユニット141の排出口142とポンプユニット151の開口との間を覆うチューブ211及び囲繞部材220が備えられているため、コンクリートポンプ装置100は、ミキサーユニット141の排出口142から排出されたコンクリートが、ポンプユニット151の周囲に飛散することを防止できる。
【0172】
このため、コンクリートポンプ装置100は、例えば供用中のトンネル1を通行する車両V、作業空間Sbで作業する作業員、あるいは路面3にコンクリートが意図せず付着することを防止できる。
【0173】
また、ゲート部210がピンチバルブ構造で構成されているため、コンクリートポンプ装置100は、例えばボールバルブ構造やバタフライバルブ構造のゲート部に比べてコンクリートの流れを確実に遮断することができる。
【0174】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の送出配管は、実施形態の中継配管15及び送出配管102に対応し、
以下同様に、
ポンプ駆動部は、ポンプ用油圧ユニット112に対応し、
ミキサー駆動部は、ミキサー用油圧ユニット111に対応し、
保持架台から離間した位置は、防護工台車2の天面部23に対応し、
囲繞部材は、蓋体160、接続ホース180、チューブ211及び囲繞部材220に対応し、
ホッパー部は、ホッパーポンプ部152に対応し、
ポンプユニットに貯留されるコンクリートの重量を検出する重量検出部は、ポンプ用ロードセル157に対応し、
ミキサーユニットに貯留されるコンクリートの重量を検出する重量検出部は、ミキサー用ロードセル126に対応し、
ゲート制御部及びポンプ制御部は、制御部195に対応し、
送給配管は、供給配管14及び送給配管101に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0175】
具体的には、路面3に敷設した軌道4に載置される防護工台車2としたが、これに限定せず、トンネル1の内部において、路面3に直接的に載置される防護工台車であってもよい。
【0176】
また、コンクリートポンプ装置100を防護工台車2の載置テーブル25に載置したが、これに限定せず、コンクリートポンプ装置100を作業空間Sbの路面3に載置してもよい。
あるいは、トンネル1の内部に設置した仮設の防護柵とトンネル1の内面との間の路面3に、コンクリートポンプ装置100を載置してもよい。
【0177】
また、複数の中継ポンプ装置12と1つの打設ポンプ装置13とを備えたコンクリート打設装置10としたが、これに限定せず、1つの打設ポンプ装置13だけを備えたコンクリート打設装置10としてもよい。
【0178】
また、油圧ユニット110(ミキサー用油圧ユニット111及びポンプ用油圧ユニット112)を防護工台車2の天面部23に載置したが、これに限定せず、油圧ユニット110を防護工台車2の載置テーブル25に載置してもよい。
【0179】
また、ミキサー本体140に対して別体のミキサー用油圧ユニット111としたが、これに限定せず、ミキサー本体140に一体的に設けられたミキサー用油圧ユニット111であってもよい。
また、ポンプ本体150に対して別体のポンプ用油圧ユニット112としたが、これに限定せず、ポンプ本体150に一体的に設けられたポンプ用油圧ユニット112であってもよい。
【0180】
また、油圧ユニット110の油圧によって駆動する装置本体120としたが、これに限定せず、例えば発電機の電力によって駆動する装置本体であってもよい。
また、図9のフローチャートで説明したコンクリートポンプ装置100の制御部195の処理動作は、一例であってこれに限定しない。
【0181】
また、図9のステップS117において、ミキサー本体140の回転体143を反転駆動したが、ミキサー本体140の回転体143を判定駆動するタイミングは、上述した実施例に限定せず、適宜のタイミングであってもよい。
【0182】
例えばミキサー本体140の貯留されたコンクリートのスランプ性状を調整するために、ミキサー本体140へのコンクリートの投入を停止するとともに、ミキサー本体140の回転体143を反転駆動して攪拌しながら、混和剤を投入してもよい。
【0183】
また、図9のステップS116において、圧送方向Xaとは逆方向で隣接する上流側のコンクリートポンプ装置100を介して坑外ポンプ装置11に、コンクリートの圧送停止信号を出力したが、これに限定しない。
例えば図9のステップS116において、コンクリートポンプ装置100の制御部195が、坑外ポンプ装置11にコンクリートの圧送停止信号を直接的に出力する構成であってもよい。
【0184】
あるいは、圧送方向Xaとは逆方向で隣接する上流側のコンクリートポンプ装置100に圧送停止信号を出力し、上流側のコンクリートポンプ装置100の制御部195が、ゲート部170,210によって排出口142を閉塞してもよい。
【0185】
この際、上流側のコンクリートポンプ装置100におけるミキサー本体140の重量が増加するため、上流側のコンクリートポンプ装置100の制御部195は、さらに圧送方向Xaとは逆方向で隣接する別のコンクリートポンプ装置100に圧送停止信号を出力する。
【0186】
これを繰り返すことにより、坑外ポンプ装置11に圧送停止信号が出力されるため、コンクリート打設装置10は、上述の実施形態と同様に、ミキサー本体140からコンクリートが溢れ出ることを防止することができる。
【0187】
また、ポンプ本体150の重量がホッパーポンプ部152に貯留可能なコンクリートの貯留量の上限値を示す上限重量以下か否かでゲート部170,210の動作を制御したが、これに限定せず、ゲート部170の動作は、ポンプ用ロードセル157が検知したポンプ本体150の重量を示す信号に基づいた適宜のタイミングであってもよい。
【0188】
また、図9のステップS117において、ミキサー本体140を反転駆動させた際、作業員が、コンクリートのスランプ性状をチェックするとともに、スランプ性状に応じて混和剤を適宜投入してスランプ性状を調整したが、これに限定せず、コンクリートポンプ装置100がスランプ性状の調整を自動的に行うようにしてもよい。
【0189】
また、実施例2において一対のアクチュエーター213を備えたゲート部210としたが、これに限定せず、1つのアクチュエーター213を備えたゲート部210であってもよい。この際、押圧部材212の枢動部分に歯車を設け、アクチュエーター213に連結された一方の押圧部材212の枢動に連動して、他方の押圧部材212を枢動させてもよい。
【0190】
また、中継ポンプ装置12及び打設ポンプ装置13を、実施例1ではナイフゲート構造のゲート部170を有するコンクリートポンプ装置100で構成し、実施例2ではピンチバルブ構造のゲート部210を有するコンクリートポンプ装置100で構成したが、これに限定しない。
【0191】
例えば中継ポンプ装置12を実施例1のコンクリートポンプ装置100で構成し、打設ポンプ装置13を実施例2のコンクリートポンプ装置100で構成してもよい。あるいは中継ポンプ装置12を実施例2のコンクリートポンプ装置100で構成し、打設ポンプ装置13を実施例1のコンクリートポンプ装置100で構成してもよい。
【符号の説明】
【0192】
1…トンネル
1a…覆工コンクリート
12…中継ポンプ装置
13…打設ポンプ装置
14…供給配管
15…中継配管
16…打設配管
23…天面部
100…コンクリートポンプ装置
101…送給配管
102…送出配管
111…ミキサー用油圧ユニット
112…ポンプ用油圧ユニット
126…ミキサー用ロードセル
130…保持架台
140…ミキサー本体
141…ミキサーユニット
142…排出口
143a…軸体
143b…パドル羽根
150…ポンプ本体
151…ポンプユニット
152…ホッパーポンプ部
157…ポンプ用ロードセル
160…蓋体
180…接続ホース
170…ゲート部
195…制御部
210…ゲート部
220…囲繞部材
Xa…圧送方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12