IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ YKK AP株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-建具 図1
  • 特開-建具 図2
  • 特開-建具 図3
  • 特開-建具 図4
  • 特開-建具 図5
  • 特開-建具 図6
  • 特開-建具 図7
  • 特開-建具 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115796
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E05D 15/06 20060101AFI20240820BHJP
【FI】
E05D15/06 107
E05D15/06 110A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021639
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】狄 希
(72)【発明者】
【氏名】小林 直也
【テーマコード(参考)】
2E034
【Fターム(参考)】
2E034BA02
2E034BD01
2E034BD02
2E034DA01
(57)【要約】
【課題】戸車を保持する下框に変形が生じ難い建具を提供する。
【解決手段】下框を備えた障子と、前記下框に設けられ前記障子をスライド可能に支持する戸車部品と、前記戸車部品を前記下框に保持する保持部材と、を備え、前記戸車部品は、車輪と、前記車輪を回転自在に支持する車輪支持部材と、を有し、前記下框は、前記戸車部品が収容され、長手方向に貫通する中空部と、前記中空部と連通して下方に開放された開口と、を備え、前記開口において見込み方向に対向する縁が前記車輪支持部材の見込み方向の移動を規制する一対の規制部をなしており、前記保持部材は、前記一対の規制部の見込み方向に離れる移動を規制する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下框を備えた障子と、前記下框に設けられ前記障子をスライド可能に支持する戸車部品と、前記戸車部品を前記下框に保持する保持部材と、を備え、
前記戸車部品は、車輪と、前記車輪を回転自在に支持する車輪支持部材と、を有し、
前記下框は、前記戸車部品が収容され、長手方向に貫通する中空部と、前記中空部と連通して下方に開放された開口と、を備え、
前記開口において見込み方向に対向する縁が前記車輪支持部材の見込み方向の移動を規制する一対の規制部をなしており、
前記保持部材は、前記一対の規制部の見込み方向に離れる移動を規制することを特徴とする建具。
【請求項2】
請求項1に記載の建具であって、
前記下框は、前記車輪支持部材における上部側の、見込み方向の移動を規制する上部側規制部を有していることを特徴とする建具。
【請求項3】
請求項2に記載の建具であって、
前記下框は、前記一対の規制部と前記上部側規制部との間に、前記車輪支持部材の見込み方向の移動を規制する中間規制部を有していることを特徴とする建具。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の建具であって、
前記戸車部品は、前記開口から挿入されることを特徴とする建具。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の建具であって、
前記障子は、前記下框に下端が保持される面材を備え、
前記面材の重心の見込み方向の位置は、前記車輪の見込み方向の位置と一致していることを特徴とする建具。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の建具であって、
前記戸車部品は、前記車輪が前記下框の長手方向に複数連なっていることを特徴とする建具。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載の建具であって、
前記車輪支持部材は、上端が前記下框に当接していることを特徴とする建具。
【請求項8】
請求項1または請求項2に記載の建具であって、
前記下框は、前記中空部の下に見込み方向に間隔を空けて対向する一対の壁部を備え、
前記保持部材は、前記一対の壁部が互いに近づく方向への移動を規制することを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、障子をスライド可能に支持する戸車部品を備えた建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から引戸の下框に形成され下方に開口する溝内に戸車装置が装着固定され、戸車装置が窓枠の下枠に形成されたレール上を走行して移動する引戸を備えた建具は知られている(例えば、特許文献1参照)。戸車装置は、下框に装着固定される支持部材に設けられた軸体に戸車が回転自在に支持されており、下枠のレールが戸車の外周面に設けられた係合溝に係合し、引戸がレールに案内されて移動自在に支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭55―74369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記引戸のような障子は、戸車を支持する支持部材が下框に装着固定されているので、障子が大きい場合、特に障子が備えるガラスなどの面材が大きい場合には、障子の重量が大きくなり、大きな重量が下框及び戸車装置に作用する。下框は、レール上に戸車を係合させるために下方に開口する溝状をなしている。このため、障子の重量が大きい場合には、下框が変形する、或いは、変形した下框に保持されている戸車装置が傾くなどして、障子の開閉に支障をきたす虞があるという課題があった。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、戸車を保持する下框に変形が生じ難い建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成するための主たる発明は、下框を備えた障子と、前記下框に設けられ前記障子をスライド可能に支持する戸車部品と、前記戸車部品を前記下框に保持する保持部材と、を備え、前記戸車部品は、車輪と、前記車輪を回転自在に支持する車輪支持部材と、を有し、前記下框は、前記戸車部品が収容され、長手方向に貫通する中空部と、前記中空部と連通して下方に開放された開口と、を備え、前記開口において見込み方向に対向する縁が前記車輪支持部材の見込み方向の移動を規制する一対の規制部をなしており、前記保持部材は、前記一対の規制部の見込み方向に離れる移動を規制することを特徴とする建具である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、戸車を保持する下框に変形が生じ難い建具を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態に係る建具の姿図である。
図2】本実施形態に係る建具の下部を示す縦断面図である。
図3】戸車部品を示す姿図である。
図4】戸車部品が挿入された下框を下方から見た図である。
図5】下框に挿入された戸車部品の位置を示す縦断面図である。
図6図6(a)は、保持部材を側方から見た図であり、図6(b)は、保持部材を下方から見た図である。
図7】保持部材の第1変形例を示す図である。
図8】保持部材の第2変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態に係る建具について図面を参照して説明する。
本実施形態に係る建具の一例として、図1に示すように、建物の大開口部に設置され、大型の障子3を備える建具1を例に挙げて説明する。建具1は、図1に示すように、建物に固定される窓枠2と、窓枠2にスライド可能に支持される4枚の障子3とを有している。
【0009】
以下の説明においては、設置された状態の建具1の上下となる方向を上下方向、障子3のスライド方向を左右方向、奥行き方向を見込み方向として示す。また、建具1の各部位であっても、また、建具1を構成する各部材については単体の状態であっても、建具1が設置されている状態にて上下方向、左右方向、見込み方向となる方向にて方向を特定して説明する。
【0010】
各障子3は、上框31、下框32及び左右の縦框33が矩形状に枠組みされた框体30と、框体30の内側に取り付けられた面材としての複層ガラス34とを有している。各障子3の下框32には、図2に示すように、左右方向における両端部側に戸車部品5と、戸車部品5を下框32に保持するための保持部材6がそれぞれ設けられており、窓枠2の下枠20に設けられているレール20a上を各戸車部品5の車輪50が転動しつつ障子3がレールに沿って移動する。なお、各障子3の下框32及び戸車部品5の構成は同一である。また、図2においては、面材として2枚のガラス板でなる複層ガラスを用いた例を示しているが、面材は、単板ガラスや4枚以上のガラス板を備える複層ガラスであっても、また、ガラスでなくとも構わない。
【0011】
戸車部品5は、図3図4に示すように、左右方向に並べて配置される3つの車輪50と、各車輪50を回転自在に支持する3本の回転軸51と、3本の回転軸51を見込み方向に沿わせて支持する内枠52と、内枠52の位置を調整可能に保持する外枠53と、を有している。
【0012】
内枠52は、見込み方向に間隔を空けて対向する一対の内枠壁部52aと、一対の内枠壁部52aの上端を繋ぐ平面でなる内枠連結部52bと、を有している。一対の内枠壁部52a間には、見込み方向に沿う3本の回転軸51が、左右方向に間隔を空けて架け渡されており、各回転軸51に車輪50がそれぞれ回転自在に支持されている。
【0013】
外枠53は、見込み方向に間隔を空けて対向する一対の外枠壁部53aと、一対の外枠壁部53aの上端を繋ぐ平面でなる外枠連結部53bと、を有している。外枠53の一対の外枠壁部53aの間に、車輪50を備えた内枠52が、車輪50の下部が下方に露出させて設けられている。内枠52は、左右方向の側方側から操作可能な調整ねじ(不図示)により、一対の外枠壁部53aの間にて上下方向に移動可能に設けられている。ここで、内枠52及び外枠53が車輪支持部材に相当する。
【0014】
下框32は、長手方向を押し出し方向とする押し出し形材である。
下框32は、図4図5に示すように、見込み方向に間隔を空けて対向する一対の下框壁部32aを有しており、一対の下框壁部32aの上部側を繋ぐ上連結部32bと、一対の下框壁部32aの下部側を繋ぐ下連結部32cと、を有しており、一対の下框壁部32a、上連結部32b及び下連結部32cにより長手方向に沿って貫通し断面がほぼ矩形状をなす中空部32dが形成されている。
【0015】
下框32の中空部32dの上には、上連結部32bと、一対の下框壁部32aにおける上連結部32bより上側の部位により、複層ガラス34の下端が収容され、下方に窪む溝状のガラス収容部32eが設けられている。また、一対の下框壁部32aは、下連結部32cよりも下方に延出されている。
【0016】
上連結部32bの下面には、左右の縦框33と接合するためのねじが螺合される上ねじ螺合部32fが2つ設けられている。2つのねじ螺合部32fは、見込み方向に間隔を空けて設けられており、上連結部32bにおける見込み方向における中央から振り分けて配置されている。
【0017】
2つのねじ螺合部32fの間には、下框32の下方から中空部32d内に挿入される戸車部品5の上端部、具体的には外枠53の外枠連結部53bの上面が当接される戸車部品当接部32gが設けられている。また、2つのねじ螺合部32fには、それぞれ下方に延出されて、戸車部品5における上部側の、見込み方向の移動を規制する上部側規制部32hが設けられている。2つのねじ螺合部32fに設けられている上部側規制部32hの間隔は、戸車部品5が有する外枠53の一対の外枠壁部53aにおける見込み方向の幅とほぼ等しく形成されている。
【0018】
下連結部32cには、戸車部品5を下方から中空部32d内に挿入可能であり、挿入された戸車部品5の下部が下方に突出される開口32iが設けられている。開口32iは、長手方向に長い形状をなしており、見込み方向に間隔を空けて対向する平行な縁32jを有しており、下連結部32cの見込み方向における中央に設けられている。
【0019】
開口32iの平行な縁32jの見込み方向の間隔は、戸車部品5が有する外枠53の一対の外枠壁部53aにおける見込み方向の幅とほぼ等しく形成されている。開口32iの内周面にて見込み方向に対向する縁32jは、中空部32d内に挿入されて下方に突出する戸車部品5の一対の内枠壁部52aと対向し、戸車部品5における下部側の、見込み方向の移動を規制する下部側規制部をなしている。
【0020】
下連結部32cには、開口32iの平行な縁32jに、下方に突出する下方突出片32kと、見込み方向における中央に、左右の縦框33と接合するためのねじが螺合される下ねじ螺合部32lが設けられている。
【0021】
一対の下框壁部32aには、上連結部32bと下連結部32cとの間に、互いに対向する側に突出し、先端が互いに対向する水平突出片32mが設けられている。水平突出片32mの見込み方向の間隔は、戸車部品5が有する外枠53の一対の外枠壁部53aにおける見込み方向の幅とほぼ等しく形成されており、中空部32d内に挿入された戸車部品5の一対の外枠壁部53aと対向し、戸車部品5の見込み方向への移動を規制する中間規制部をなしている。
【0022】
建具1は、複層ガラス34の下端がガラス収容部32eに収容されて、車輪50がレール20a上に配置された状態で、複層ガラス34の重心の見込み方向の位置が、車輪50の見込み方向の位置と一致、より好ましくは、車輪50の外周に設けられた外周溝の中央の位置及びレール20aの見込み方向の位置と一致するように設定されている。
【0023】
保持部材6は、図2に示すように、戸車部品5が開口32iから挿入された状態で、下方から開口32iを覆うように取り付けられる。保持部材6は、下框32よりも剛性が高い、例えば鋼板等を曲げ加工して製造され、図6に示すように、下框32の開口32iよりも長い平板状をなす平板部6aと、平板部6aの見込み方向における両端からそれぞれ上方に突出された上方突出部6bと、を有している。
【0024】
平板部6aには、下框32に取り付けられたときに戸車部品5の3つの車輪50の下部がそれぞれ突出す3つの車輪突出孔6cが設けられており、長手方向の両端部近傍に、下框32の下連結部32cに当該保持部材6を固定するためのねじが挿通されるねじ挿通孔6dがそれぞれ設けられている。
【0025】
2つの上方突出部6bの間隔W1は、下框32の開口32iの縁32jに設けられた下方突出片32kの外側面の間隔W2(図5)とほぼ同じに形成されている。このため、保持部材6を下框32に取り付けた際には、開口32iの見込み方向における両側にて、上方突出部6bと下方突出片32kとが、見込み方向に近接又は当接して対向する。このため、保持部材6は開口32iの見込み方向に対向する縁32jが、見込み方向に離れる方向に移動することを規制する。
【0026】
本実施形態の建具1によれば、下框32において、戸車部品5の内枠52及び外枠53の見込み方向の移動を規制する一対の規制部をなし、戸車部品5が収容される中空部32dと連通して下方に開放された開口32iの縁32jの、見込み方向に離れる移動を規制する保持部材6を有しているので、障子3の重量が車輪50に作用したとしても、開口32iの縁32jが保持部材6に規制されて見込み方向に離れる移動、すなわち開口32iが広がる方向への移動が規制される。このため、下框32に戸車部品5を収容して下方に露出させるための開口32iを備えることにより下框32の剛性が低下したとしても、下框32に変形が生じることを防止することが可能となる。このため、戸車部品5を保持する下框32に変形が生じ難い建具1を提供することが可能となる。
【0027】
また、下框32には、開口32iの縁32jだけでなく車輪支持部をなす外枠53の上端の見込み方向の移動を規制する上部側規制部32hを有しているので、外枠53、すなわち戸車部品5は、上端側と下端側とがそれぞれ見込み方向への移動が規制される。このため、戸車部品5が傾くことを防止することが可能となる。
【0028】
また、下框32の一対の規制部をなす開口32iの縁32jと上部側規制部32hとの間に設けられている中間規制部としての水平突出片32mによっても、戸車部品5の見込み方向の移動が規制されるので、戸車部品5の傾きをより確実に防止することが可能となる。
【0029】
また、戸車部品5は、下框32の下連結部32cに設けられた開口32iから挿入され、下框32の長手方向に沿って端部からは挿入されないので、下框32の長手方向における端に戸車部品5を挿入するための切り欠きなどを設ける必要がない。このため、下框32の端を長手方向に貫通する中空部としておくこと(ホロー形状としておくこと)ができるので、下框32の端の剛性が低下しない。このため、下框32の変形をより防止することが可能となる。
【0030】
また、複層ガラス34の重心の見込み方向の位置が車輪50の見込み方向の位置と一致しているので、複層ガラス34の重量は車輪50に作用する。このため、車輪50に対し、複層ガラス34の重量による見込み方向のモーメントが生じないので、車輪50及び戸車部品5が傾くことを抑制することが可能となる。
【0031】
また、本実施形態の障子3は、大型で重量が大きいため、下框32の長手方向に3つの車輪50が連なる戸車部品5を用いているので、戸車部品5を装着するために下框32に設ける開口32iが大きくなり下框32の剛性が低下する虞がある。このため、開口32iの縁32jの見込み方向に離れる移動を規制する保持部材6を有している本実施形態の建具1がより有効である。なお、戸車部品が備える車輪の数は、3つに限るものではない。
【0032】
また、車輪50を支持する車輪支持部材をなす外枠53の外枠連結部53bの上面が下框32の戸車部品当接部32gに当接して、障子3の自重は戸車部品5に作用して下框32が変形しやすいので、保持部材6により下框32に変形が生じることを防止することが、より有効である。
【0033】
上記実施形態においては、保持部材6が備える上方に突出する一対の上方突出部6bにより、下框32の開口32iの縁32jの見込み方向に離れる移動を規制する保持部材6を例に挙げて説明したが、これに限るものではない。保持部材6は、例えば、図7に示すように、一対の上方突出部6bに、見込み方向において互いに離れる方向に各々、延出された延出部6eを有し、延出部6eの先端が、下框壁部32aと対向して近接または当接する構成であっても構わない。この場合には、延出部6eにより、一対の下框壁部32aが互いに近づく方向への移動が規制されるので、開口32iの縁32jが見込み方向に離れる移動ばかりでなく、一対の下框壁部32aが互いに近づく方向への移動も規制することが可能となる。このため、下框32がより変形しにくい建具1を提供することが可能となる。
【0034】
また、図8に示すように、下框32の下連結部32cの下面に、保持部材6の上方突出部6bが挿入可能な溝部32nを設けることによっても、開口32iの縁32jが見込み方向に離れる移動ばかりでなく、一対の下框壁部32aが互いに近づく方向への移動も規制することが可能となり、下框32がより変形しにくい建具1を提供することが可能となる。なお、溝部32nの位置は、下連結部32cの下面に設けられていれば、下連結部32cの見込み方向の端部に限るものではない。
【0035】
上記実施形態においては、戸車部品5と保持部材6とが別体にて形成されている例について説明したが、これに限らず、戸車部品が保持部材と同等の部位、すなわち、下框に固定されて保持するための部位、及び、開口32iの縁32jが見込み方向に離れる移動することを防止する部位を備えている構成であっても構わない。
【0036】
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【0037】
本実施形態には、少なくとも以下の発明が含まれる。
態様1:下框を備えた障子と、前記下框に設けられ前記障子をスライド可能に支持する戸車部品と、前記戸車部品を前記下框に保持する保持部材と、を備え、
前記戸車部品は、車輪と、前記車輪を回転自在に支持する車輪支持部材と、を有し、
前記下框は、前記戸車部品が収容され、長手方向に貫通する中空部と、前記中空部と連通して下方に開放された開口と、を備え、
前記開口において見込み方向に対向する縁が前記車輪支持部材の見込み方向の移動を規制する一対の規制部をなしており、
前記保持部材は、前記一対の規制部の見込み方向に離れる移動を規制することを特徴とする建具である。
【0038】
態様1の建具によれば、下框において戸車部品が収容される中空部と連通して下方に開放された開口の縁がなし、車輪支持部材の見込み方向の移動を規制する一対の規制部の、見込み方向に離れる移動を規制する保持部材を有しているので、障子の重量が車輪に作用したとしても、開口の縁が保持部材に規制されて見込み方向に離れる移動、すなわち開口が広がる方向への移動が規制される。このため、下框に戸車部品を収容して下方に露出させるための開口を備えることにより下框の剛性が低下したとしても、下框に変形が生じることを防止することが可能となる。このため戸車部品を保持する下框に変形が生じ難い建具を提供することが可能となる。
【0039】
態様2:態様1に記載の建具であって、前記下框は、前記車輪支持部材の上端における見込み方向の移動を規制する上部側規制部を有していることを特徴とする。
【0040】
態様2の建具によれば、下框には、開口の縁だけでなく車輪支持部の上端の見込み方向の移動を規制する上部側規制部を有しているので、車輪支持部材、すなわち戸車部品は、上端と下端側とがそれぞれ見込み方向への移動が規制されるので、戸車部品が傾くことを防止することが可能となる。
【0041】
態様3:態様2に記載の建具であって、前記下框は、前記一対の規制部と前記上部側規制部との間に、前記車輪支持部材の見込み方向の移動を規制する中間規制部を有していることを特徴とする。
【0042】
態様3の建具によれば、下框の一対の規制部と上部側規制部との間に設けられている中間規制部によっても、車輪支持部材の見込み方向の移動が規制されるので、戸車部品の傾きをより確実に防止することが可能となる。
【0043】
態様4:態様1乃至態様3のいずれかに記載の建具であって、前記戸車部品は、前記開口から挿入されることを特徴とする。
【0044】
態様4の建具によれば、戸車部品は、下框に設けられた開口から挿入され、下框の長手方向に沿って端からは挿入されないので、下框の端に戸車部品を挿入するための切り欠きなどを設ける必要がない。このため、下框の端を長手方向に貫通する中空部としておくことができるので、下框の端の剛性が低下しない。このため、下框の変形をより防止することが可能となる。
【0045】
態様5:態様1乃至態様4のいずれかに記載の建具であって、前記障子は、前記下框に下端が保持される面材を備え、前記面材の重心の見込み方向の位置は、前記車輪の見込み方向の位置と一致していることを特徴とする。
【0046】
態様5の建具によれば、面材の重心の見込み方向の位置が車輪の見込み方向の位置と一致しているので、面材の重量は車輪に作用する。このため、車輪に対し、面材の重量による見込み方向のモーメントが生じないので、車輪及び戸車部品が傾くことを抑制することが可能となる。
【0047】
態様6:態様1乃至態様5のいずれかに記載の建具であって、前記戸車部品は、前記車輪が前記下框の長手方向に複数連なっていることを特徴とする。
【0048】
態様6の建具によれば、下框の長手方向に複数の車輪が連なる戸車部品は、重量が大きな障子を支持する際に用いるが、複数の車輪を備える戸車部品を装着する場合には、下框に設ける開口が大きくなり下框の剛性が低下するので、一対の規制部の見込み方向に離れる移動を規制する保持部材を有していることがより有効である。
【0049】
態様7:態様1乃至態様6のいずれかに記載の建具であって、
前記車輪支持部材は、前記上端部が前記下框に当接していることを特徴とする。
【0050】
態様7の建具は、車輪を回転自在に支持する車輪支持部材の上端部が下框に当接して、障子の自重は戸車部品に作用して下框が変形しやすいので、保持部材により下框に変形が生じることを防止することが、より有効である。
【0051】
態様8:態様1乃至態様7のいずれかに記載の建具であって、
前記下框は、前記中空部の下に見込み方向に間隔を空けて対向する一対の壁部を備え、
前記保持部材は、前記一対の壁部が互いに近づく方向への移動を規制することを特徴とする。
【0052】
態様8の建具によれば、保持部材が、下框が有する一対の壁部が互いに近づく方向への移動を規制するので、一対の規制部の見込み方向に離れる移動ばかりでなく、一対の壁部が互いに近づく方向への移動も規制することが可能となる。
【符号の説明】
【0053】
1 建具、3 障子、5 戸車部品、6 保持部材、32 下框、
32d 中空部、32h 上部側規制部、32i 開口、32j 開口の縁、
32m 水平突出片(中間規制部)、34 複層ガラス(面材)、
50 車輪、53 外枠
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8