(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115814
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】判定装置、及び判定方法
(51)【国際特許分類】
G09B 19/00 20060101AFI20240820BHJP
G09B 9/00 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
G09B19/00 H
G09B9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021664
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】鴻野 大地
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 利恵
(72)【発明者】
【氏名】今村 晋輔
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大和
(72)【発明者】
【氏名】森岡 嵩文
(57)【要約】
【課題】収受員の習熟度を高精度に判定することができる判定装置、及び判定方法を提供する。
【解決手段】判定装置は、料金自動収受機を監視盤によって遠隔操作する収受員の操作の手順を示す操作シナリオを作成するシナリオ作成部と、操作シナリオに計測期間を設定する計測期間設定部と、収受員の習熟度情報を取得する習熟度取得部と、料金自動収受機及び監視盤に記録されたログと操作シナリオとの差異点、及び計測期間にかかった収受員の操作時間の両方を収受員の操作に係るシステムデータとしてログから抽出するデータ抽出部と、システムデータ及び習熟度情報から教師データを作成する教師データ作成部と、教師データから、システムデータと習熟度情報との相関を有した学習モデルを作成する学習モデル作成部と、学習モデルに、教師データの作成の用とは別に抽出されたシステムデータを入力して、収受員の習熟度を判定する習熟度判定部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両から通行料金を収受する料金自動収受機を監視盤によって遠隔操作する収受員の操作の手順を示す操作シナリオを作成するシナリオ作成部と、
前記操作シナリオに前記収受員の操作時間を計測する計測期間を設定する計測期間設定部と、
前記収受員の習熟度が評価された習熟度情報を取得する習熟度取得部と、
前記料金自動収受機及び前記監視盤の少なくともいずれか一方に記録されたログと前記操作シナリオとの差異点、及び前記計測期間にかかった前記収受員の操作時間の両方を前記収受員の操作に係るシステムデータとして前記ログから抽出するデータ抽出部と、
前記システムデータ及び前記習熟度情報から教師データを作成する教師データ作成部と、
前記教師データから、前記システムデータと前記習熟度情報との相関を有した学習モデルを作成する学習モデル作成部と、
前記学習モデルに、前記教師データの作成の用とは別に前記料金自動収受機及び前記監視盤の少なくともいずれか一方に記録された前記ログから抽出された前記システムデータを入力して、前記収受員の習熟度を判定する習熟度判定部と、
を備える、判定装置。
【請求項2】
前記シナリオ作成部は、前記収受員の処理の種類ごとに前記操作シナリオを作成し、
前記データ抽出部は、前記収受員の処理の種類ごとに前記差異点及び前記操作時間を抽出する、請求項1に記載の判定装置。
【請求項3】
前記習熟度取得部には、前記習熟度情報が点数で取得され、
前記習熟度判定部は、前記収受員の習熟度を点数で判定する、請求項1又は2に記載の判定装置。
【請求項4】
車両から通行料金を収受する料金自動収受機を監視盤によって遠隔操作する収受員の操作の手順を示す操作シナリオを作成するステップと、
前記操作シナリオに前記収受員の操作時間を計測する計測期間を設定するステップと、
前記収受員の習熟度が評価された習熟度情報を取得するステップと、
前記料金自動収受機及び前記監視盤の少なくともいずれか一方に記録されたログと前記操作シナリオとの差異点、及び前記計測期間にかかった前記収受員の操作時間の両方を前記収受員の操作に係るシステムデータとして前記ログから抽出するステップと、
前記システムデータ及び前記習熟度情報から教師データを作成するステップと、
前記教師データから、前記システムデータと前記習熟度情報との相関を有した学習モデルを作成するステップと、
前記学習モデルに、前記教師データの作成の用とは別に前記料金自動収受機及び前記監視盤の少なくともいずれか一方に記録された前記ログから抽出された前記システムデータを入力して、前記収受員の習熟度を判定するステップと、
を含む、判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、判定装置、及び判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、有料道路の料金所には、通行料金を収受するための料金自動収受機が設置される。料金自動収受機には、収受員によって遠隔操作されるものがある。このような料金自動収受機を用いて通行料金の収受を行う際、収受員の習熟度によってサービスに差が生じてしまう。このため、習熟度の低い収受員に対し、教育を実施する必要がある。収受員への教育を効率化するためには、習熟度を精度良く判定することが好ましい。
例えば、下記特許文献1には、タスクの状況、及びタスク実行者のメンタルの状況に基づいて、タスク実行者の習熟度を判定する判定装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の判定装置では、タスク自体の状況の評価を客観的に行えない場合があるため、習熟度の判定を十分客観的に行うことができない。
特に、有料道路での料金収受という分野では、習熟度を客観的に判定する方法が確立されておらず、習熟度の判定を精度良く行うことが困難とされていた。
【0005】
本開示は、上記状況を鑑みてなされたものであって、収受員の習熟度を高精度に判定することができる判定装置、及び判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係る判定装置は、車両から通行料金を収受する料金自動収受機を監視盤によって遠隔操作する収受員の操作の手順を示す操作シナリオを作成するシナリオ作成部と、前記操作シナリオに前記収受員の操作時間を計測する計測期間を設定する計測期間設定部と、前記収受員の習熟度が評価された習熟度情報を取得する習熟度取得部と、前記料金自動収受機及び前記監視盤の少なくともいずれか一方に記録されたログと前記操作シナリオとの差異点、及び前記計測期間にかかった前記収受員の操作時間の両方を前記収受員の操作に係るシステムデータとして前記ログから抽出するデータ抽出部と、前記システムデータ及び前記習熟度情報から教師データを作成する教師データ作成部と、前記教師データから、前記システムデータと前記習熟度情報との相関を有した学習モデルを作成する学習モデル作成部と、前記学習モデルに、前記教師データの作成の用とは別に前記料金自動収受機及び前記監視盤の少なくともいずれか一方に記録された前記ログから抽出された前記システムデータを入力して、前記収受員の習熟度を判定する習熟度判定部と、を備える。
【0007】
本開示に係る判定方法は、車両から通行料金を収受する料金自動収受機を監視盤によって遠隔操作する収受員の操作の手順を示す操作シナリオを作成するステップと、前記操作シナリオに前記収受員の操作時間を計測する計測期間を設定するステップと、前記収受員の習熟度が評価された習熟度情報を取得するステップと、前記料金自動収受機及び前記監視盤の少なくともいずれか一方に記録されたログと前記操作シナリオとの差異点、及び前記計測期間にかかった前記収受員の操作時間の両方を前記収受員の操作に係るシステムデータとして前記ログから抽出するステップと、前記システムデータ及び前記習熟度情報から教師データを作成するステップと、前記教師データから、前記システムデータと前記習熟度情報との相関を有した学習モデルを作成するステップと、前記学習モデルに、前記教師データの作成の用とは別に前記料金自動収受機及び前記監視盤の少なくともいずれか一方に記録された前記ログから抽出された前記システムデータを入力して、前記収受員の習熟度を判定するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示の判定装置、及び判定方法によれば、収受員の習熟度を高精度に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施形態に係る料金収受システムの全体構成を示す図である。
【
図2】本開示の実施形態に係る料金収受システムの機能構成を示す図である。
【
図3】本開示の実施形態に係る判定装置の機能構成を示す図である。
【
図4】本開示の実施形態に係る収受員の処理の種類の一例を示す図である。
【
図5】本開示の実施形態に係る判定方法の手順を示すフローチャートである。
【
図6】本開示の実施形態に係る判定方法のシナリオ作成フェーズの手順を示すフローチャートである。
【
図7】本開示の実施形態に係る操作シナリオの作成例を示す図である。
【
図8】本開示の実施形態に係る計測期間の設定例を示す図である。
【
図9】本開示の実施形態に係る判定方法の教師データ作成フェーズの手順を示すフローチャートである。
【
図10】本開示の実施形態に係る習熟度情報の一例を示す表である。
【
図11】本開示の実施形態に係る操作シナリオとログとの差異点の抽出例を示す図である。
【
図12】本開示の実施形態に係る計測期間にかかった操作時間の抽出例を示す図である。
【
図13】本開示の実施形態に係るシステムデータの一例を示す表である。
【
図14】本開示の実施形態に係る判定方法の判定フェーズの手順を示すフローチャートである。
【
図15】本開示の一実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【
図16】本開示の変形例に係る判定装置の機能構成を示す図である。
【
図17】本開示の変形例に係る判定方法の教師データ作成フェーズの手順を示すフローチャートである。
【
図18】本開示の変形例に係る判定方法の判定フェーズの手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態に係る判定装置5、及び判定方法について、
図1~
図14を参照しながら説明する。
判定装置5は、例えば
図1に示す料金収受システム1に導入されている。判定装置5は、料金収受システム1における収受員の習熟度を判定する。
【0011】
(料金収受システムの構成)
図1は、本開示の実施形態に係る料金収受システム1の全体構成を示す図である。
本実施形態に係る料金収受システム1は、例えば、有料道路の料金所(入口料金所又は出口料金所)に設けられている。料金収受システム1は、有料道路と一般道路とを接続する車線Lを走行する車両から通行料金を収受する。本実施形態では、料金収受システム1は、電子式料金収受システム(ETC:Electronic Toll Collection System(登録商標)、「自動料金収受システム」ともいう。)を利用して、車載器αを搭載した車両(以下、「ETC車両A1」とも記載する。)から通行料金を自動的に収受することができる。本実施形態の車線Lは、ETC車両A1及び非ETC車両A2の両方が走行する混在車線であり、料金収受システム1は、ETC車両A1及び非ETC車両A2の双方から通行料金を収受する。
【0012】
なお、本実施形態では、料金収受システム1が出口料金所に設けられている例について説明する。以下、車線Lの延びる方向(±X方向)を「車線方向」と記載する。また、車線方向の有料道路側(-X側)を「上流側」、一般道路側(+X側)を「下流側」とも記載する。更に、車線Lの幅方向(±Y方向)を「車線幅方向」と記載する。
【0013】
また、
図1には、料金所に一つの車線Lのみが設けられている例が示されているが、これに限られることはない。他の実施形態では、料金所に複数の車線Lが設けられていてもよい。
【0014】
図1に示すように、料金収受システム1は、ETC設備2と、料金自動収受機3と、監視盤4と、を備えている。
【0015】
(ETC設備の構成)
ETC設備2は、車載器αを搭載するETC車両A1から無線通信を介して通行料金を自動的に収受する第1料金収受処理を実行するための装置群である。具体的には、ETC設備2は、
図1に示すように、進入側車両検知器21と、路側アンテナ22と、通信用車両検知器23と、車線サーバ24と、発進制御機25と、退出側車両検知器26と、を備えている。
【0016】
進入側車両検知器21は、車線方向の最も上流側(-X側)の進入検出位置X1おいて、車線Lの両側に設けられたアイランドI上に設置され、車線Lへの車両の進入を検出する。進入側車両検知器21は、例えば
図1に示すように透過型の車両検知器であり、車線Lを挟んで対向設置される投光器及び受光器の対を有している。進入側車両検知器21は、投光器から投光された光を受光器が受光したか否かに基づいて、進入検出位置X1における車両の存在の有無を区別可能な検出信号を出力する。進入側車両検知器21は、受光器が光を受光している間は、進入検出位置X1に車両が存在していないことを示す検出信号を出力する。一方、進入側車両検知器21は、受光器が光を受光していない間は、進入検出位置X1に車両が存在することを示す検出信号を出力する。
【0017】
路側アンテナ22は、進入側車両検知器21よりも車線方向の下流側(+X側)の路面上空に設置される。路側アンテナ22は、進入側車両検知器21により、車線Lに車両Aが進入したことが検出されると、車線L上の所定の通信領域R1に向けて無線通信用の電波を放射する。通信領域R1は、例えば
図1に示すように、進入側車両検知器21から通信用車両検知器23までの範囲に設定される。路側アンテナ22は、無線通信を介して、通信領域R1内に存在するETC車両A1の車載器αと第1料金収受処理を実行するための各種命令及び情報の送受信を行う。
【0018】
通信用車両検知器23は、路側アンテナ22よりも車線方向の下流側(+X側)の通信終了位置X2においてアイランドI上に設置され、車両の通信終了位置X2の通過を検出する。通信用車両検知器23は、進入側車両検知器21と同様の機器構成を有している。通信用車両検知器23により車両が通信終了位置X2を通過したことが検出されると、路側アンテナ22は電波の放射を停止する。
【0019】
車線サーバ24は、ETC車両A1から通行料金を収受する第1料金収受処理を実行する。例えば、車線サーバ24は、路側アンテナ22を介して車載器αからETC車両A1の車種、ETC車両A1が有料道路に進入した位置(入口料金所)及び日時、通行料金の支払い方法(クレジットカード番号等)を含む情報を取得し、これらの情報に基づいてETC車両A1の車種及び走行距離に応じた通行料金の算出、決済等の処理を行う。なお、車線サーバ24は、
図1に示すようにアイランドI上に設置されてもよいし、料金所事務所内に設置されてもよい。
【0020】
発進制御機25は、料金自動収受機3よりも車線方向の下流側(+X側)のアイランドI上に設置される。発進制御機25は、車線サーバ24及び料金自動収受機3の開閉指令に従って開閉バーを上げ下げすることにより、車線Lの開放(車両の通行許可)及び閉塞(車両の通行規制)を行う。車線サーバ24は、第1料金収受処理が完了すると、発進制御機25に開指令を出力して、車両の通行を許可する。また、車線サーバ24は、後述の退出側車両検知器26により車両の車線Lからの退出が検出されると、発進制御機25に閉指令を出力して、後続車両の通行を規制する。同様に、料金自動収受機3は、第2料金収受処理において非ETC車両A2から通行料金を収受すると、発進制御機25に開指令を出力して、車両の通行を許可する。また、料金自動収受機3は、第2料金収受処理の終了指示を受け付けると、発進制御機25に閉指令を出力して、後続車両の通行を規制する。
【0021】
退出側車両検知器26は、車線方向の最も下流側(+X側)の退出検出位置においてアイランドI上に設置され、車両の退出検出位置の通過(車線Lからの退出)を検出する。退出側車両検知器26は、進入側車両検知器21と同様の機器構成を有している。
【0022】
なお、
図1には、進入側車両検知器21、通信用車両検知器23、及び退出側車両検知器26が透過型の車両検知器である例が示されているが、これに限られることはない。他の実施形態では、これらは反射型の車両検知器であってもよい。
【0023】
また、ETC設備2は、従来のETC専用車線又は混在車線に設置済みの既存の機器を利用してもよい。
【0024】
(料金自動収受機の構成)
料金自動収受機3は、ETC設備2による第1料金収受処理で通行料金を収受できない非対象車両から通行料金を収受する第2料金収受処理を実行する。非対象車両には、車載器αを搭載していない非ETC車両A2が含まれる。また、ETC車両A1は、第1料金収受処理により通行料金を正しく収受できた正常ETC車両A1aと、第1料金収受処理により通行料金の収受ができなかった異常ETC車両A1bとが存在する。したがって、非対象車両には、異常ETC車両A1bが含まれる。ETC車両A1に対する第1料金収受処理が正常終了しないケースとしては、ETC設備2又は車載器αの故障、通信エラー、車載器αに挿入されたクレジットカードの有効期限切れ等の原因が考えられる。料金自動収受機3は、ETC設備2の車線サーバ24と送受信可能に接続されている。このため、料金自動収受機3は、ETC設備2のログを外部に送信することができる。なお、本実施形態では、非対象車両が非ETC車両A2である態様を例として説明する。
【0025】
図1に示すように、料金自動収受機3は、車線方向において、通信用車両検知器23よりも下流側(+X側)、且つ発進制御機25よりも上流側(-X側)のアイランドI上に設置される。例えば、料金自動収受機3は、発進制御機25の開閉バーが閉じているときに、発進制御機25の手前(-X側)に停車する車両の運転席の位置と一致するように配置される。
【0026】
図2は、本開示の実施形態に係る料金収受システム1の機能構成を示す図である。
図2に示すように、料金自動収受機3は、カメラ31と、操作受付部32と、料金収受処理部33とを有している。また、カメラ31及び操作受付部32は、
図1に示すように、料金自動収受機3の車線L側を向く面(
図1の例では、+Y側の面)に設けられている。
【0027】
カメラ31は、非ETC車両A2の車線Lへの進入、及び車線Lからの退出を検出して、監視盤4に通知する通知部として機能する。カメラ31は、料金自動収受機3の設置位置を含む撮影領域R2を撮影し、撮影した映像(画像)に所定の画像処理を施すことにより、撮影領域R2における車両の存在の有無、及び車両の移動の有無を検出する。これにより、カメラ31は、料金自動収受機3の設置位置に停車する非ETC車両A2(車線Lへの進入)の検出、及び、停車していた非ETC車両A2の下流側(+X側)への移動(車線Lからの退出)の検出を行う。なお、カメラ31は、従来の料金自動収受機3に設けられている監視カメラを利用したものであってもよい。
また、本実施形態では、カメラ31として、例えば撮影領域R2の全体を撮影するメインカメラや、車両Aの搭乗者から提示される各種証明書(身障者手帳等)を撮影する証明書カメラ等が複数設けられている。
【0028】
操作受付部32は、非ETC車両A2の搭乗者による操作、通行料金の支払い等を受け付ける。例えば、操作受付部32は、通行券の挿入を受け付ける通行券挿入口、現金の支払いを受け付ける現金投入口、釣銭の払い出しを行う釣銭返却口、ICカード(クレジットカード等)の挿入を受け付けるカード挿入口、収受員を呼び出すインターフォン等を有している。
また、操作受付部32には、例えば身障レバー等が設けられている。身障レバーは、車両Aの搭乗者によって操作され、収受員に車両の搭乗者に身障者が含まれていることを通知する。
インターフォンや身障レバーが操作されると、収受が一時的に停止される。
【0029】
料金収受処理部33は、第1料金収受処理で通行料金を収受できない非ETC車両A2(第1料金収受処理の非対象車両)から、通行料金を収受する第2料金収受処理を実行する。料金収受処理部33は、監視盤4からの指示に従い、第2料金収受処理を開始及び終了する。また、料金収受処理部33は、非ETC車両A2から通行料金を収受すると、発進制御機25に開指令を出力して、車両の通行を許可する。また、料金自動収受機3は、監視盤4から第2料金収受処理の終了指示を受け付けると、発進制御機25に閉指令を出力して、後続車両の通行を規制する。
【0030】
(監視盤の構成)
監視盤4は、料金所事務所等の遠隔地に設置され、インターネット等の通信網を介して料金自動収受機3と接続される。監視盤4は、料金所事務所に駐在する収受員が、料金自動収受機3を遠隔から監視し、遠隔操作するために用いられる。
【0031】
図1及び
図2に示すように、監視盤4は、表示装置41と、入力装置42と、指示送信部43とを有している。
【0032】
表示装置41は、料金自動収受機3から受信した各種データを表示する。例えば、表示装置41は、料金自動収受機3から非ETC車両A2の進入を通知された場合に、料金自動収受機3のカメラ31が撮影した映像を表示する。また、表示装置41は、料金自動収受機3が第2料金収受処理において取得、生成した各種情報(通行券から読み取った情報、算出された通行料金等)を表示してもよい。
【0033】
入力装置42は、料金所事務所に駐在する収受員による入力操作を受け付ける。入力装置42は、表示装置41が有するタッチパネルであってもよい。入力装置42は、料金自動収受機3から、車線Lに非ETC車両A2が進入したことが通知されると、収受員による第2料金収受処理の開始及び終了を指示する操作を受け付ける。
【0034】
入力装置42には、例えば受話器、身障者ボタン、消去ボタン、カメラ切替ボタン、身障者ボタン、再開ボタン、車種ボタン等が設けられている。受話器は、例えば車両の搭乗者からインターフォン呼出を受けた際に用いられる。収受員は、受話器を通じて車両の搭乗者と通話する。消去ボタンは、表示装置41に表示されるメッセージを消去する場合に押圧される。カメラ切替ボタンは、表示装置41に表示されるカメラ31の映像を切り替える場合に押圧される。身障者ボタンは、車両に身障者が搭乗していると認められた場合に押圧される。再開ボタンは、停止されていた収受操作を再開する場合に押圧される。車種ボタンは、料金自動収受機3が認識した車両の車種を正確な車種に切り替える場合に押圧される。入力装置42には、受話器やこれらのボタンに限られず、他のボタンや入力機器が設けられていてもよい。
【0035】
指示送信部43は、入力装置42を介して入力された第2料金収受処理の開始指示、及び終了指示を、料金自動収受機3に送信する。
【0036】
上述した料金収受システム1は、収受員の習熟度によって利用者に提供されるサービスに差が生じる。このため、習熟度の低い収受員に対しては教育を施す必要がある。教育の必要がある収受員を選別するために、習熟度を判定する判定装置5が導入されている。
【0037】
(判定装置の構成)
図3は、本開示の実施形態に係る判定装置5の機能構成を示す図である。
判定装置5は、例えばネットワーク等の無線通信によって、料金自動収受機3に接続されている。
図3に示すように、判定装置5は、シナリオ作成部51と、計測期間設定部52と、習熟度取得部53と、データ抽出部54と、教師データ作成部55と、学習モデル作成部56と、習熟度判定部57との各機能部を備える。
【0038】
シナリオ作成部51は、収受員の操作の手順を示す操作シナリオを作成する。ここでいう、「操作シナリオの作成」とは、判定装置5内に操作シナリオが存在する状態にすること全般を意味する。「操作シナリオの作成」には、例えば収受員の手入力による操作を受けて操作シナリオを作成することや、外部で予め作成された操作シナリオを受信して取得することが含まれる。このため、シナリオ作成部51は、いわゆるシナリオ取得部やシナリオ入力部として機能してもよい。
【0039】
本実施形態では、シナリオ作成部51は、収受員の処理の種類ごとに、収受員の処理手順を定めた操作シナリオを作成する。
図4は、本開示の実施形態に係る収受員の処理の種類の一例を示す図である。
図4に示すように、収受員が行うべき処理には、車両に身障者が搭乗している場合に実行される身障者処理の他、事務所処理(料金所事務所内で完結する処理)や緊急車処理(緊急車両が進入した際に実行される処理)等が含まれる。
【0040】
計測期間設定部52は、操作シナリオに収受員の操作時間を計測する計測期間を設定する。
習熟度取得部53は、収受員の習熟度が評価された習熟度情報を受信して取得する。本実施形態では、習熟度取得部53には、習熟度情報が点数で取得される。
【0041】
データ抽出部54は、料金自動収受機3及び監視盤4の少なくともいずれか一方に記録されたログから収受員の操作に係るシステムデータを抽出する。より詳細には、データ抽出部54は、ログと操作シナリオとの差異点、及び計測期間にかかった収受員の操作時間の両方を収受員の操作に係るシステムデータとしてログから抽出する。本実施形態では、データ抽出部54は、収受員の処理の種類ごとに差異点及び操作時間を抽出する。
【0042】
教師データ作成部55は、システムデータ及び習熟度情報から教師データを作成する。
学習モデル作成部56は、教師データから、システムデータと習熟度情報との相関を有した学習モデルを作成する。
習熟度判定部57は、学習モデルに、教師データの作成の用とは別に料金自動収受機3及び監視盤の4少なくともいずれか一方に記録されたログから抽出されたシステムデータを入力して、収受員の習熟度を判定する。本実施形態では、習熟度判定部57は、収受員の習熟度を点数で判定する。
【0043】
(判定方法の手順)
続いて、判定装置5を用いた収受員の習熟度の判定方法について説明する。
【0044】
図5は、本開示の実施形態に係る判定方法の手順を示すフローチャートである。
本実施形態の判定方法は、
図5の処理フローに示すように、シナリオ作成フェーズS1と、教師データ作成フェーズS2と、学習フェーズS3と、判定フェーズS4とを含む。まずは、シナリオ作成フェーズS1が実行される。
【0045】
(シナリオ作成フェーズ)
図6は、本開示の実施形態に係る判定方法のシナリオ作成フェーズS1の手順を示すフローチャートである。
図6の処理フローに示すように、シナリオ作成フェーズS1では、まず、シナリオ作成部51が、操作シナリオを作成する(ステップS11)。ステップS11では、
図4に示す収受員の処理の種類ごとに操作シナリオを作成する。本実施形態の操作シナリオには、各処理に応じた監視盤4における最短の操作手順が定められている。
【0046】
図7は、本開示の実施形態に係る操作シナリオの作成例を示す図である。
図7では、身障者処理の操作シナリオの作成例が示されている。身障者処理とは、車両Aに身障者が搭乗している場合に実行される処理である。
【0047】
図7に示すように、身障者処理では、例えば1~7までの処理の流れが存在する。身障者処理では、まず、搭乗者が身障レバーを使用し、監視盤4へインターフォン呼出を行う(1番目の処理)。この時、通行料金の収受が一時的に停止される。さらに、監視盤4に、受領中断のメッセージが表示される。続いて、収受員が受話器を取り、搭乗者から申し出内容を聞き取る(2番目の処理)。その後、監視盤4にて、収受員が消去ボタンを押圧して受領中断のメッセージを消去する(3番目の処理)。メッセージの消去が確認されると、収受員がカメラ切替ボタンを押して、監視盤4に表示される映像を証明書カメラの映像に切り替える(4番目の処理)。この時、証明書カメラの前には、搭乗者によって身障者手帳が提示されている。収受員は、証明書カメラの映像によって身障者手帳を確認する(5番目の処理)。身障者手帳が確認されると、監視盤4にて、収受員が身障者ボタンを押圧して車両Aに身障者が搭乗している情報を料金自動収受機3に送信する(6番目の処理)。その後、収受員が再開ボタンを押圧し、料金収受を再開する(7番目の処理)。すると料金自動収受機3が搭乗者から身障者料金を収受する。
【0048】
図7に示す身障者処理の1~7までの処理の流れのうち、1番目、及び5番目の処理は、収受員による操作を必要としないため、操作シナリオの手順に含まれなくてもよい。1番目、及び5番目以外の処理は、収受員による操作を必要とするため、操作シナリオの手順に含まれる必要がある。このため、
図7に示す操作シナリオは、2番目の処理についての「通話開始操作」と、3番目の処理についての「消去ボタン押圧」と、4番目の処理についての「カメラ切替ボタン押圧」と、6番目の処理についての「身障者ボタン押圧」と、7番目の処理についての「再開ボタン押圧」とを操作手順として定めている。
【0049】
ここでは、身障者処理についての操作シナリオの作成例について説明したが、ステップS11では、事務所処理や緊急車処理等の他の処理についても操作シナリオが同様に作成される。
【0050】
ステップS11の後、各操作シナリオに収受員の操作時間を計測する計測期間を設定する。ステップS11では、操作シナリオのうち、車両Aの搭乗者の責でない、収受員の責となる収受員の操作について計測期間を設定する。
【0051】
図8は、本開示の実施形態に係る計測期間の設定例を示す図である。
図8の例では、身障者処理の操作シナリオに設定する計測期間が示されている。
図8に示すように、例えば、「消去ボタン押圧」から「カメラ切替ボタン押圧」までにかかる操作時間について第1の計測期間が設定される。さらに、「身障者ボタン押圧」から「再開ボタン押圧」までにかかる操作時間について第2の計測期間が設定される。
【0052】
ここでは、身障者処理の操作シナリオについての計測期間の設定例について説明したが、ステップS12では、事務所処理や緊急車処理等の他の処理の操作シナリオについても計測期間が同様に設定される。
【0053】
(教師データ作成フェーズ)
図9は、本開示の実施形態に係る判定方法の教師データ作成フェーズS2の手順を示すフローチャートである。
図9の処理フローに示すように、教師データ作成フェーズS2では、まず、習熟度取得部53が、収受員の習熟度が評価された習熟度情報を受信して取得する(ステップS21)。習熟度情報は、各収受員の習熟度について指導員が人手で判定した情報である。
指導員は、日々の収受員の業務を監視し、指導員による教育要否の観点から習熟度の評価を行う。
【0054】
図10は、本開示の実施形態に係る習熟度情報の一例を示す表である。
図10に示すように、習熟度情報は、収受員毎に習熟度を有している。
また、
図10に示す例では、収受員の習熟度が点数によって判定されている。この評価の点数は、指導員の判定結果としての「教育の要否」を区別できればよい。指導員が教育要否を判定するための基準は、指導員任意の判定基準とする。ただし、本開示の判定装置5、及び判定方法を用いる事業者ごとに、判定基準が統一されていることが好ましい。
【0055】
図10に示す例では、評価点数3は、「教育不要(これ以上の習熟度の向上は望めない)」であることを示す。評価点数2は、「教育が望ましい(収受としては問題無いが、教育により習熟度の向上を図ることが可能)」であることを示す。評価点数1は、「教育が必要(収受として問題があり、教育により習熟度の向上を図ることが必要)」であることを示す。
なお、習熟度情報は、指導員の人手によって評価されたものに限られず、例えば、本開示の判定装置5以外の装置によって評価されたものであってもよい。
【0056】
ステップS21の後、データ抽出部54が料金自動収受機3及び監視盤4の少なくともいずれか一方に記録されたログからシステムデータを抽出する(ステップS22)。本実施形態では、ステップS22で、データ抽出部54が料金自動収受機3に記録されたログと監視盤4に記録されたログからシステムデータを抽出する。
【0057】
ここで用いられるログは、指導員により評価された各収受員が収受業務を行った際に、料金収受システム1(より具体的には、料金自動収受機3及び監視盤4)に蓄積された記録である。
【0058】
ステップS22では、データ抽出部54が、ログと操作シナリオとの差異点、及び計測期間にかかった収受員の操作時間の両方を収受員の操作に係るシステムデータとしてログから抽出する。本実施形態では、データ抽出部54が、収受員の処理の種類ごとに差異点及び操作時間を抽出する。
【0059】
ステップS22では、ログから例えば「通信ログ」、「監視操作ログ」、「監視盤動作ログ」を抽出し、抽出したこれらのログを操作シナリオとの差異点、及び計測期間にかかった操作時間の抽出に用いる。
【0060】
「通信ログ」は、料金自動収受機3と監視盤4との通信記録である。
「監視盤操作ログ」及び「監視盤動作ログ」は、ともに監視盤4についてのログである。「監視盤操作ログ」は、主に収受員が監視盤4を介して料金自動収受機3等の他の装置を操作した際のログであり、「監視盤動作ログ」は、主に監視盤4自体が動作した際のログである。
以下に、抽出したこれらのログと、シナリオ作成フェーズS1にて作成した操作シナリオとの差異点の抽出について、1つの処理を例に挙げて具体的に説明する。
【0061】
図11は、本開示の実施形態に係る操作シナリオとログとの差異点の抽出例を示す図である。
図11では、身障者処理の操作シナリオとログとの差異点の抽出例が示されている。また、
図11では、左から1列目に正規の操作シナリオが示され、2列目に操作シナリオに対応した実際のログが示され、3列目に操作シナリオと実際のログとの差異点が示されている。
【0062】
例えば、
図11に示すように、操作シナリオでは「消去ボタン押圧」の後に「カメラ切替ボタン押圧」が行われるべきところ、収受員は「消去ボタン押圧」の後に「カメラ切替ボタン押圧」を押していない。この差異が、1つ目の差異点として抽出される。
【0063】
さらに、収受員は、「消去ボタン押圧」の後に「カメラ切替ボタン押圧」を行わず、車種ボタンを押圧している。(以下では、車種ボタンを押圧する操作を、「車種ボタン押圧」と記載する。)この誤った操作が、2つ目の差異点として抽出される。
その後、収受員は、車種ボタンの押し間違えを訂正するために、再度「車種ボタン押圧」を行っている。この差異が、3つ目の差異点として抽出される。
これら差異点の総数(
図11の例では、3つ)が、身障者処理の差異点として抽出される。
【0064】
ここでは、身障者処理について、操作シナリオとログとの差異点の抽出例について説明したが、ステップS22では、事務所処理や緊急車処理等の他の処理についても、操作シナリオとログとの差異点が同様に抽出される。
【0065】
続いて、シナリオ作成フェーズS1にて作成した操作シナリオに設定された計測期間にかかった操作時間の抽出についても、1つの処理を例に挙げて具体的に説明する。
【0066】
図12は、本開示の実施形態に係る計測期間にかかった操作時間の抽出例を示す図である。
図12では、身障者処理の操作シナリオの計測期間にかかった操作時間の抽出例が示されている。また、
図12では、左から1列目に正規の操作シナリオが示され、2列目に操作シナリオに対応した実際のログが示され、3列目に設定された計測期間が示され、4列目に各計測期間にかかった実際の操作時間が示されている。
【0067】
例えば、
図12に示すように、データ抽出部54は、第1の計測期間にかかった操作時間(30秒)と、第2の計測期間にかかった操作時間(10秒)とを抽出する。
なお、
図12に示す例では、第1の計測期間の終了操作となる「カメラ切替ボタン押圧」が行われていない。このような場合は、誤った操作(この
図12の例では「車種ボタン押圧」)を終了操作として、誤った操作が行われた時点で操作時間の計測を終了する。計測期間の開始操作についても、誤った操作が行われた場合は、同様に処理する。すなわち、誤った操作を開始操作として、誤った操作が行われた時点で操作時間の計測を開始する。
データ抽出部54は、各計測期間の操作時間の和を、身障者処理の操作時間として抽出する。
【0068】
ここでは、身障者処理について、操作シナリオの計測期間にかかった操作時間の抽出について説明したが、ステップS22では、事務所処理や緊急車処理等の他の処理についても、操作シナリオの計測期間にかかった操作時間が同様に抽出される。
このようにして、システムデータ(差異点及び操作時間)が抽出される。
【0069】
図13は、本開示の実施形態に係るシステムデータの一例を示す表である。
図13に示すように、
図4で示した処理の種類毎に、各収受員のシステムデータが纏められる。
図13に示すシステムデータは、あくまでも一例であり、他の抽出データがまとめられていてもよい。
上述したデータの抽出(ステップS22)は、例えば判定装置5に組み込まれたプログラムによって自動的に実行される。
【0070】
ステップS22の後、教師データ作成部55がシステムデータ及び習熟度情報から教師データを作成する(ステップS23)。ステップS23では、例えばログに含まれる収受員のIDに基づいて、同一の収受員について収集したシステムデータと習熟度情報とを紐づけて、教師データが作成される。
以上のステップを経て、教師データ作成フェーズS2が完了する。教師データ作成フェーズS2の後には、学習フェーズS3が実行される。
【0071】
(学習フェーズ)
学習フェーズS3では、学習モデル作成部56が教師データからシステムデータと習熟度情報との相関を有した学習モデルを作成する。作成される学習モデルは、例えば教師あり学習に分類される機械学習モデルである。学習モデルの状態情報は、教師データ作成フェーズS2で収集されるシステムデータと同様のシステムデータであり、学習モデルの状態情報は、教師データ作成フェーズS2で収集される習熟度情報と同様の習熟度情報である。また、学習モデルの学習の目的は、収受員の習熟度を判定することである。
【0072】
なお、学習モデルは、収受員の習熟度を判定するという目的を満たす機械学習モデルであればよい。学習モデルの種類は適宜選択可能である。
学習モデルの作成後、判定フェーズS4が実行される。
【0073】
(判定フェーズ)
図14は、本開示の実施形態に係る判定方法の判定フェーズの手順を示すフローチャートである。
図14に示すように、判定フェーズS4では、まずデータ抽出部54が、習熟度の判定対象となる収受員について、教師データの作成の用とは別に料金自動収受機3及び監視盤4の少なくともいずれか一方に記録されたログからシステムデータを抽出する(ステップS41)。本実施形態では、ステップS41で、データ抽出部54が料金自動収受機3に記録されたログと監視盤4に記録されたログからシステムデータを抽出する。ステップS41では、教師データ作成フェーズS2のステップS22と同様に、システムデータの抽出が行われる。
【0074】
ステップS41では、ステップS41では、教師データ作成フェーズS2のステップS22と同様に、システムデータが抽出される。
このため、ステップS23と同様に
図13に示すようなシステムデータが抽出される。
なお、判定フェーズS4でのデータ抽出は、教師データ作成フェーズS2でのデータ抽出の際に用いられた料金自動収受機3及び監視盤4とは別の、料金自動収受機3及び監視盤4に対して行われてもよい。
【0075】
ステップS41の後、習熟度判定部57が学習モデルに、ステップS41で抽出した新たなシステムデータを入力して、収受員の習熟度を判定する(ステップS42)。
ステップS42では、教師データ作成フェーズS2のステップS21で取得された習熟度情報と同様の方式で習熟度情報が出力される。すなわち、本実施形態では、習熟度判定部57が、各収受員の習熟度を点数で判定する。より具体的には、ステップS21における
図10に示すように、各収受員について、3段階の評価点数1~3で習熟度が判定される。
【0076】
(作用効果)
上記構成の判定装置5、及び判定方法では、以下の作用効果を奏する。
【0077】
本実施形態では、判定装置5は、シナリオ作成部51と、計測期間設定部52と、習熟度取得部53と、データ抽出部54と、教師データ作成部55と、学習モデル作成部56と、習熟度判定部57と、を備える。シナリオ作成部51は、車両から通行料金を収受する料金自動収受機3を監視盤4によって遠隔操作する収受員の操作の手順を示す操作シナリオを作成する。計測期間設定部52は、操作シナリオに収受員の操作時間を計測する計測期間を設定する。習熟度取得部53は、収受員の習熟度が評価された習熟度情報を取得する。データ抽出部54は、料金自動収受機3及び監視盤4の少なくともいずれか一方に記録されたログと操作シナリオとの差異点、及び計測期間にかかった収受員の操作時間の両方を収受員の操作に係るシステムデータとしてログから抽出する。教師データ作成部55は、システムデータ及び習熟度情報から教師データを作成する。学習モデル作成部56は、教師データから、システムデータと習熟度情報との相関を有した学習モデルを作成する。習熟度判定は、学習モデルに、教師データの作成の用とは別に料金自動収受機3及び監視盤4の少なくともいずれか一方に記録されたログから抽出されたシステムデータを入力して、収受員の習熟度を判定する。
【0078】
これにより、一度学習モデルを作成してしまえば、判定装置5が学習モデルを用いて、自動で収受員の習熟度を判定することができる。よって、指導員毎の評価基準の差異なく、収受員の習熟度を判定することができる。さらに、出来るだけ多くのシステムデータ及び習熟度情報から教師データを作成することにより、学習モデルの精度が向上される。このため、判定装置5による判定方法は、客観的かつ高精度なものとなる。したがって、収受員の習熟度を高精度に判定することができる。また、習熟度が自動で判定されるため、習熟度の判定効率を大幅に向上させることができる。
【0079】
また、収受員の習熟度を高精度かつ、効率良く判定することができるため、教育が必要な収受員のみを確実かつ早急に選定することができる。よって、教育対象の収受員を効果的に選定することができる。これにより、収受員間の習熟度の差を解消し、料金収受システム1の利用者にバラつきの無いサービスを提供することができる。
また、車両の料金自動収受機3前での滞留時間に影響する料金自動収受機3の操作時間を用いて習熟度を判定することで、次々と料金収受に訪れる車両の渋滞を回避するための適切な判定を行うことができる。
【0080】
本実施形態では、シナリオ作成部51は、収受員の処理の種類ごとに操作シナリオを作成する。データ抽出部54は、収受員の処理の種類ごとに差異点及び操作時間を抽出する。
【0081】
これにより、収受員の処理の種類ごとにシステムデータを抽出し、それらのシステムデータを用いて教師データを作成することができる。よって、学習モデルの精度を向上させることができる。したがって、収受員の習熟度をより一層高精度に判定することができる。
【0082】
本実施形態では、習熟度取得部53には、習熟度情報が点数で取得される。習熟度判定部57は、収受員の習熟度を点数で判定する。
【0083】
これにより、習熟度の判定を簡易的に行うことができる。また、習熟度の判定結果を簡単に理解することができる。よって、習熟度の判定効率をより一層向上させることができる。
【0084】
(ハードウェア構成)
上述の実施形態の判定装置5は、
図15に示すコンピュータ1100に実装される。
図15は、各実施形態に係るコンピュータ1100の構成を示す概略ブロック図である。コンピュータ1100は、プロセッサ1110、メインメモリ1120、ストレージ1130、インタフェース1140を備える。
【0085】
そして、判定装置5の上述した各機能部の動作は、プログラムの形式でストレージ1130に記憶されている。プロセッサ1110は、プログラムをストレージ1130から読み出してメインメモリ1120に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、プロセッサ1110は、プログラムに従って、記憶領域をメインメモリ1120に確保する。
【0086】
プログラムは、コンピュータ1100に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、ストレージ1130に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。また、コンピュータ1100は、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサ1110によって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。
【0087】
ストレージ1130の例としては、磁気ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ1130は、コンピュータ1100のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース1140または通信回線を介してコンピュータ1100に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ1100に配信される場合、配信を受けたコンピュータ1100が当該プログラムをメインメモリ1120に展開し、上記処理を実行してもよい。ストレージ1130は、一時的でない有形の記憶媒体であってもよい。
【0088】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、当該プログラムは、前述した機能をストレージ1130に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0089】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
なお、上記実施形態では、車線Lは、ETC車両A1及び非ETC車両A2の両方が走行する混在車線であるとしたが、これに限られない。車線Lは、電子式料金収受システム(ETC設備2)が設けられたETC専用車線であってもよく、ETC設備2が設けられていない非ETC専用車線であってもよい。
【0090】
上記実施形態では、データ抽出部54は、料金自動収受機3に記録されたログと監視盤4に記録されたログからシステムデータを抽出するとしたが、これに限られない。データ抽出部54は、料金自動収受機3及び監視盤4のいずれか一方に記録されたログからシステムデータを抽出するものであってもよい。
【0091】
上記実施形態では、習熟度取得部53には、習熟度情報が点数で取得され、同様に習熟度判定部57は、収受員の習熟度を点数で判定するとしたが、これに限られない。例えば、習熟度取得部53には、習熟度情報が文字や記号で取得され、同様に習熟度判定部57は、収受員の習熟度を文字や記号で判定してもよい。
【0092】
図16は、本開示の変形例に係る判定装置の機能構成を示す図である。
図17は、本開示の変形例に係る判定方法の教師データ作成フェーズS2の手順を示すフローチャートである。
図18は、本開示の変形例に係る判定方法の判定フェーズS4の手順を示すフローチャートである。
図16に示すように、判定装置5は、ログ取得部58をさらに備えてもよい。
ログ取得部58は、料金自動収受機3及び監視盤4のいずれか一方からログを受信して取得する。
【0093】
この場合、
図17に示すように、教師データ作成フェーズS2では、習熟度情報の取得(ステップS21)の後に、ログ取得部58が、料金自動収受機3及び監視盤4のいずれか一方からログを取得する(ステップS24)。ステップS24で取得されたログに対して、データ抽出(ステップS22)が実行される。
【0094】
また、
図18に示すように、判定フェーズS4では、教師データ作成フェーズS2と同様に、まずログ取得部58が、料金自動収受機3及び監視盤4のいずれか一方からログを取得する(ステップS44)。ステップS44で取得されたログに対して、データ抽出(ステップS41)が実行される。
【0095】
<付記>
各実施形態に記載の判定装置5、及び判定方法は、例えば以下のように把握される。
【0096】
(1)第1の態様に係る判定装置5は、車両から通行料金を収受する料金自動収受機3を監視盤4によって遠隔操作する収受員の操作の手順を示す操作シナリオを作成するシナリオ作成部51と、前記操作シナリオに前記収受員の操作時間を計測する計測期間を設定する計測期間設定部52と、前記収受員の習熟度が評価された習熟度情報を取得する習熟度取得部53と、前記料金自動収受機3及び前記監視盤4の少なくともいずれか一方に記録されたログと前記操作シナリオとの差異点、及び前記計測期間にかかった前記収受員の操作時間の両方を前記収受員の操作に係るシステムデータとして前記ログから抽出するデータ抽出部54と、前記システムデータ及び前記習熟度情報から教師データを作成する教師データ作成部55と、前記教師データから、前記システムデータと前記習熟度情報との相関を有した学習モデルを作成する学習モデル作成部56と、前記学習モデルに、前記教師データの作成の用とは別に前記料金自動収受機3及び前記監視盤4の少なくともいずれか一方に記録された前記ログから抽出された前記システムデータを入力して、前記収受員の習熟度を判定する習熟度判定部57と、を備える。
【0097】
これにより、一度学習モデルを作成してしまえば、判定装置5が学習モデルを用いて、自動で収受員の習熟度を判定することができる。また、車両の料金自動収受機3前での滞留時間に影響する料金自動収受機3の操作時間を用いて習熟度を判定することで、次々と料金収受に訪れる車両の渋滞を回避するための適切な判定を行うことができる。
【0098】
(2)第2の態様に係る判定装置5は、第1の態様に係る判定装置5であって、前記シナリオ作成部51は、前記収受員の処理の種類ごとに前記操作シナリオを作成し、前記データ抽出部54は、前記収受員の処理の種類ごとに前記差異点及び前記操作時間を抽出してもよい。
【0099】
これにより、収受員の処理の種類ごとにシステムデータを抽出し、それらのシステムデータを用いて教師データを作成することができる。よって、学習モデルの精度を向上させることができる。
【0100】
(3)第3の態様に係る判定装置5は、第1又は第2の態様に係る判定装置5であって、前記習熟度取得部53には、前記習熟度情報が点数で取得され、前記習熟度判定部57は、前記収受員の習熟度を点数で判定してもよい。
【0101】
これにより、習熟度の判定を簡易的に行うことができる。また、習熟度の判定結果を簡単に理解することができる。
【0102】
(4)第4の態様に係る判定方法は、車両から通行料金を収受する料金自動収受機3を監視盤4によって遠隔操作する収受員の操作の手順を示す操作シナリオを作成するステップと、前記操作シナリオに前記収受員の操作時間を計測する計測期間を設定するステップと、前記収受員の習熟度が評価された習熟度情報を取得するステップと、前記料金自動収受機3及び前記監視盤4の少なくともいずれか一方に記録されたログと前記操作シナリオとの差異点、及び前記計測期間にかかった前記収受員の操作時間の両方を前記収受員の操作に係るシステムデータとして前記ログから抽出するステップと、前記システムデータ及び前記習熟度情報から教師データを作成するステップと、前記教師データから、前記システムデータと前記習熟度情報との相関を有した学習モデルを作成するステップと、前記学習モデルに、前記教師データの作成の用とは別に前記料金自動収受機3及び前記監視盤4の少なくともいずれか一方に記録された前記ログから抽出された前記システムデータを入力して、前記収受員の習熟度を判定するステップと、を含む。
【符号の説明】
【0103】
1…料金収受システム 2…ETC設備 3…料金自動収受機 4…監視盤 5…判定装置 21…進入側車両検知器 22…路側アンテナ 23…通信用車両検知器 24…車線サーバ 25…発進制御機 26…退出側車両検知器 31…カメラ 32…操作受付部 33…料金収受処理部 41…表示装置 42…入力装置 43…指示送信部 51…シナリオ作成部 52…計測期間設定部 53…習熟度取得部 54…データ抽出部 55…教師データ作成部 56…学習モデル作成部 57…習熟度判定部 58…ログ取得部 1100…コンピュータ 1110…プロセッサ 1120…メインメモリ 1130…ストレージ 1140…インタフェース A1…ETC車両 A1a…正常ETC車両 A1b…異常ETC車両 A2…非ETC車両 α…車載器 I…アイランド L…車線 R1…通信領域 R2…撮影領域 X1…進入検出位置 X2…通信終了位置 X3…退出検出位置