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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115815
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】測定装置および測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 19/00 20060101AFI20240820BHJP
   G01R 31/54 20200101ALI20240820BHJP
   G01R 31/26 20200101ALI20240820BHJP
【FI】
G01R19/00 B
G01R31/54
G01R31/26 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021665
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145861
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100172627
【弁理士】
【氏名又は名称】宮澤 亘
(72)【発明者】
【氏名】岡林 眞太朗
【テーマコード(参考)】
2G003
2G014
2G035
【Fターム(参考)】
2G003AA01
2G003AG03
2G003AH05
2G014AA13
2G014AB27
2G014AB55
2G035AB01
2G035AC01
2G035AC16
2G035AD28
2G035AD65
(57)【要約】      (修正有)
【課題】測定子のリード部に対する接触の不良を複数回検出することができる測定装置および測定方法を提供する。
【解決手段】被測定物Dと電気的に接続するリード部L1,L2に測定子100,200を接触させるとともに、接触させた測定子100,200を介して電流を供給しつつ被測定物Dに印加された電圧を測定し、測定子100,200のリード部L1,L2に対する接触状態を検出する測定装置1であって、電流供給器10と、電圧測定器と、電圧の測定時間Tを設定する測定時間設定部と、閾値Xを設定する閾値設定部と、測定時間Tにおいて電圧測定器により測定された電圧と閾値Xとの大小関係を判断する判断部と、判断部による判断結果に基づいて測定子100,200の接触の不良を検出する接触状態検出部と、を有し、電圧測定器は、測定時間Tにおいて電圧を複数回測定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物と接続するリード部に測定子を接触させるとともに、前記接触させた測定子を介して電流を供給しつつ前記被測定物に印加された電圧を測定し、前記測定子の前記リード部に対する接触状態を検出する測定装置であって、
前記被測定物に電流を供給する電流供給器と、
前記被測定物に印加された電圧を測定する電圧測定器と、
前記電圧測定器における前記電圧の測定時間を設定する測定時間設定部と、
閾値を設定する閾値設定部と、
前記測定時間設定部により設定された測定時間において前記電圧測定器により測定された電圧と前記閾値設定部により設定された閾値との大小関係を判断する判断部と、
前記判断部による判断結果に基づいて前記測定子の前記リード部に対する接触状態を検出する接触状態検出部と、を有し、
前記測定時間において、
前記電圧測定器は、前記電圧を複数回測定し、
前記判断部は、前記電圧測定器により測定された電圧と前記閾値設定部により設定された閾値との大小関係を複数回判断し、
前記接触状態検出部は、前記判断部による判断結果に基づいて前記測定子の前記リード部に対する接触状態を複数回検出することを特徴とする測定装置。
【請求項2】
前記測定時間において前記電圧検出器により検出された電圧間の変位を演算する変位演算部を有し、
前記判断部は、前記変位演算部により演算された電圧間の変位と前記閾値設定部により設定された閾値との大小関係を複数回判断することを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記変位演算部は、前記測定時間において前記電圧検出器により連続して検出された電圧間の変位を演算し、
前記判断部は、前記変位演算部により演算された前記連続する前記電圧間の変位と前記閾値設定部により設定された閾値との大小関係を複数回判断することを特徴とする請求項2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記測定子は、軸状をなして、先端を前記リード部に接触させて前記電圧を測定することを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項5】
前記測定子は、軸状の本体に軸状のプランジャーを弾発するように保持し、前記プランジャ―は、弾発力をもって前記先端が前記リード部に押圧されるように接触していることを特徴とする請求項5に記載の測定装置。
【請求項6】
被測定物と接続するリード部に測定子を接触させるとともに、前記接触させた測定子を介して電流を供給しつつ前記被測定物に印加された電圧を測定し、前記測定子の前記リード部に対する接触状態を検出する検出方法であって、
前記被測定物に電流を供給する電流供給ステップと、
前記被測定物に印加された電圧を測定する電圧測定ステップと、
前記電圧測定ステップにおける前記電圧の測定時間を設定する測定時間設定ステップと、
閾値を設定する閾値設定ステップと、
前記測定時間設定ステップにより設定された測定時間において前記電圧測定ステップにより測定された電圧と前記閾値設定ステップにより設定された閾値との大小関係を判断する判断ステップと、
前記判断ステップによる判断結果に基づいて前記測定子の前記リード部に対する接触状態を検出する接触状態検出ステップと、を有し、
前記電圧測定ステップは、前記電圧を複数回測定し、
前記判断ステップは、前記電圧測定ステップにより測定された電圧と前記閾値設定部により設定された閾値との大小関係を複数回判断し、
前記接触状態検出ステップは、前記判断ステップによる判断結果に基づいて前記測定子の前記リード部に対する接触状態を複数回検出することを特徴とする測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置および測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置等の被測定物の正確な電気特性を把握するために例えば4端子法による測定が行われている。このような測定では、被測定物と接続するリード部に測定子が接触していることの確認として、事前にコンタクトチェックが行われる。このコンタクトチェックは、被測定物のプラス極側およびマイナス極側のそれぞれにおいて、測定子を介して、リード部に定電流を供給するとともに、被測定物の印加電圧(被測定物のプラス極側とマイナス極側の電位差)を検出して行う。
【0003】
すなわち、被測定物のプラス極側およびマイナス極側のいずれの測定子もリード部に接触している正常な状態では、ショートするため微小な印加電圧(被測定物のプラス極側とマイナス極側の電位差)が検出され、測定子がリード部に接触していない異常な状態では、検出される印加電圧(被測定物のプラス極側とマイナス極側の電位差)は、定電流に対応する最大の電圧値となる。このような被測定物の電圧の測定は、例えば、特許文献1に開示された技術が参照される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-219366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のような従来の測定は、設定された測定時間内において1点のみで行っていた。このため、測定子とリード部との接触が悪く振動などで負荷変動が生じた場合には測定子がリード部に接触していない異常な状態があるにも関わらず微小な印加電圧(被測定物のプラス極側とマイナス極側の電位差)が検出されて正常な状態と判断されてしまうことがあった。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、測定時間において測定子のリード部に対する接触状態を複数回検出することができる測定装置および測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述目的を達成するため、本発明に係る測定装置は、被測定物と接続するリード部に測定子を接触させるとともに、接触させた測定子を介して電流を供給しつつ被測定物に印加された電圧を測定し、測定子のリード部に対する接触状態を検出する測定装置であって、被測定物に電流を供給する電流供給器と、被測定物に印加された電圧を測定する電圧測定器と、電圧測定器における電圧の測定時間を設定する測定時間設定部と、閾値を設定する閾値設定部と、測定時間設定部により設定された測定時間において電圧測定器により測定された電圧と閾値設定部により設定された閾値との大小関係を判断する判断部と、判断部による判断結果に基づいて測定子のリード部に対する接触状態を検出する接触状態検出部と、を有し、測定時間において、電圧測定器は、電圧を複数回測定し、判断部は、電圧測定器により測定された電圧と閾値設定部により設定された閾値との大小関係を複数回判断し、接触状態検出部は、判断部による判断結果に基づいて測定子のリード部に対する接触状態を複数回検出することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、測定時間において、電圧測定器は、電圧を複数回測定し、判断部は、電圧測定器により測定された電圧と閾値設定部により設定された閾値との大小関係を複数回判断し、接触状態検出部は、判断部による判断結果に基づいて測定子のリード部に対する接触状態を複数回検出することにより、測定時間において測定子のリード部に対する接触状態を複数回検出することができる。
【0009】
測定時間において電圧検出器により検出された電圧間の変位を演算する変位演算部を有し、判断部は、変位演算部により演算された電圧間の変位と閾値設定部により設定された閾値との大小関係を複数回判断することにより、検出された電圧間の変位に基づいて測定子の接触状態の変化を把握しながら接触の不良を検出することができる。
【0010】
変位演算部は、測定時間において電圧検出器により連続して検出された電圧間の変位を演算し、判断部は、変位演算部により演算された連続する電圧間の変位と閾値設定部により設定された閾値との大小関係を複数回判断することにより、連続する電圧間の変位に基づいて測定子の接触状態の直近の変化を把握することができる。
【0011】
測定子は、軸状をなして、先端をリード部に接触させて電圧を測定することができる。
【0012】
測定子は、軸状の本体に軸状のプランジャーを弾発するように保持し、プランジャ―は、弾発力をもって先端がリード部に押圧されるように接触していることにより、リード部に対する接触力を大きくすることができる。
【0013】
上述目的を達成するため、本発明に係る測定方法は、被測定物と接続するリード部に測定子を接触させるとともに、接触させた測定子を介して電流を供給しつつ被測定物に印加された電圧を測定し、測定子のリード部に対する接触状態を検出する検出方法であって、被測定物に電流を供給する電流供給ステップと、被測定物に印加された電圧を測定する電圧測定ステップと、電圧測定ステップにおける電圧の測定時間を設定する測定時間設定ステップと、閾値を設定する閾値設定ステップと、測定時間設定ステップにより設定された測定時間において電圧測定ステップにより測定された電圧と閾値設定ステップにより設定された閾値との大小関係を判断する判断ステップと、判断ステップによる判断結果に基づいて測定子のリード部に対する接触状態を複数回検出する接触状態検出ステップと、を有し、電圧測定ステップは、電圧を複数回測定し、判断ステップは、電圧測定ステップにより測定された電圧と閾値設定部により設定された閾値との大小関係を複数回判断し、接触状態検出ステップは、判断ステップによる判断結果に基づいて測定子のリード部に対する接触状態を複数回検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、測定時間において測定子のリード部に対する接触状態を複数回検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の測定装置の構成を概念的に示す図である。
図2】同測定装置の構成を示すブロック図である。
図3】同測定装置におけるマイクロコンピュータの構成を示すブロック図である。
図4】同測定装置における電流の波形(図4(a))、電圧の波形(図4(b))、電圧間の変位(図4(c))を示す図である。
図5】同測定装置における時間測定部による時間の測定方法を説明するための図である。
図6】同測定装置における測定子の構成を示す斜視図である。
図7】同測定装置における測定子の構成を示す正面図である。
図8】同測定装置における測定方法を説明するためのフローチャートである。
図9】本発明の変形例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の測定装置の構成を概念的に示す図、図2は、同測定装置の構成を示すブロック図、図3は、同測定装置におけるマイクロコンピュータの構成を示すブロック図、図4は、同測定装置における電流の波形(図4(a))、電圧の波形(図4(b))、電圧間の変位(図4(c))を示す図、図5は、同測定装置における時間測定部による時間の測定方法を説明するための図、図6は、同測定装置における測定子の構成を示す斜視図、図7は、同測定装置における測定子の構成を示す正面図、図8は、同測定装置における測定方法を説明するためのフローチャートである。
【0017】
図1乃至図4を参照して本発明の測定装置1の構成の概要を説明すると、測定装置1は、被測定物D(被測定物Dは、測定(テスト)の対象となるデバイスや素子であり、Device under testと呼ばれる)と電気的に接続するリード部L1,L2に測定子100A,100B,200A,200Bを接触させている。測定装置1は、接触させた測定子100A,100B,200A,200Bを介して電流を供給しつつ被測定物Dに印加された電圧V1,・・・,Vnを測定することができる。測定装置1は、測定子100A,100B,200A,200Bのリード部L1,l2に対する接触状態を検出することができる。被測定物Dは、本実施形態にあっては、例えば、ディスクリート半導体または半導体モジュールとすることができる。
【0018】
測定装置1は、電流供給器10、電圧測定器20、測定時間設定部30、閾値設定部40、変位演算部50、判断部60、接触状態検出部70、および時間測定部80を有している。測定時間設定部30、閾値設定部40、変位演算部50、判断部60、接触状態検出部70、および時間測定部80は、図2に示すように、マイクロコンピュータ1Aに設定されている。
【0019】
マイクロコンピュータ1Aは、図3に示すように、バス1A1を介して相互に接続されるCPU1A2およびメモリ1A3等を搭載している。測定時間設定部30、閾値設定部40、変位演算部50、判断部60、接触状態検出部70、および時間測定部80は、マイクロコンピュータ1AのCPU1A2およびメモリ1A3がその機能を果たすことにより、諸機能を実行することができる。
【0020】
測定時間設定部30、閾値設定部40、変位演算部50、判断部60、接触状態検出部70、および時間測定部80は、相互に信号情報の入出力を行うことができる。マイクロコンピュータ1Aは、例えば、パーソナルコンピュータとすることができる。
【0021】
電流供給器10は、図4(a)に示すように、被測定物Dに電流を供給することができる。電流供給器10は、所定の電源装置である。電流供給器10は、定電流回路を有しており、被測定物Dに定電流を供給することができる。
【0022】
電流供給器10は、プラス極10A側が入力側(プラス極側)のフォース線11および入力側(プラス極側)の測定子100Aを介して入力側(プラス極側)のリード部L1に接続されている。リード部L1は、被測定物Dの入力側(プラス極側)D1に接続されている。
【0023】
また、電流供給器10は、マイナス極10B側が出力側(マイナス極側)のフォース線12および出力側(マイナス極側)の測定子100Bを介して出力側(マイナス極側)のリード部L2に接続されている。リード部L2は、被測定物Dの出力側(マイナス極側)D2に接続されている。なお、リード部L1,L2は、線状に形成されている。
【0024】
電圧測定器20は、図4(b)に示すように、被測定物Dに印加された電圧V1,・・・,Vnを測定することができる。より詳しくは、電圧測定器20は、被測定物Dのプラス極側D1とマイナス極側D2の電位差V1,・・・,Vnを測定することができる。
【0025】
電圧測定器20は、プラス極20A側が入力側(プラス極側)のセンス線21および入力側(プラス極側)の測定子200Aを介して入力側(プラス極側)のリード部L1に接続されている。
【0026】
また、電圧測定器20は、マイナス極20B側が出力側(マイナス極側)のセンス線22および出力側(マイナス極側)の測定子200Bを介して出力側(マイナス極側)のリード部L2に接続されている。なお、測定子100A,100B,200A,200Bは、弾発力を有する導体であり、リード部L1,L2と押圧するように接触している。
【0027】
測定時間設定部30は、電圧測定器20における電圧V1,・・・,Vnの測定時間Tを設定することができる。より詳しくは、測定時間設定部30は、電圧測定器20における電圧V1,・・・,Vnをサンプリングする時間Tを設定することができ、電圧V1,・・・,Vnをサンプリングする時間Tにおいては、電圧V1,・・・,Vnを測定するための電流が印加される(Tは、電圧V1,・・・,Vnの測定時間、V1,・・・,Vnをサンプリングする時間、電圧V1,・・・,Vnを測定するための電流が印加される時間である)。電圧検出器20は、測定時間設定部30により設定された測定時間Tにおいて、被測定物Dに印加された電圧をV1,・・・,Vnの如く複数回測定することができる。設定される測定時間Tはマイクロコンピュータ1Aのメモリ1A3に記憶されている。測定時間Tは、CPU1A2がメモリ1A3から読み出して設定することができる。
【0028】
閾値設定部40は、閾値Xを設定することができる。閾値Xはマイクロコンピュータ1Aのメモリ1A3に記憶されている。閾値Xは、CPU1A2がメモリ1A3から読み出して設定することができる。
【0029】
変位演算部50は、測定時間設定部30により設定された測定時間Tにおいて電圧検出器20により検出された電圧間V1~V2,・・・,Vn-1~Vnの変位を演算することができる。より詳しくは、変位演算部50は、測定時間設定部30により設定された測定時間Tにおいて電圧検出器20により連続して検出された電圧間V1~V2,・・・,Vn-1~Vnの変位を演算することができる。
【0030】
変位は、数1および図4(c)に示すように、連続する電圧間V1~V2,・・・,Vn-1~Vnの差分ΔV2,・・・,ΔVnの絶対値とすることができる。
[数1]
ΔV2=|V2-V1|
・・・
ΔVn=|Vn-Vn-1|
【0031】
変位演算部50は、電圧測定器20により測定された電圧V1,・・・,Vnをバッファ50A,A/D変換器50Bを介してデジタル化された信号として入力することができる。
【0032】
判断部60は、測定時間設定部30により設定された測定時間Tにおいて電圧測定器20により測定された電圧V1,・・・,Vnと閾値設定部40により設定された閾値Xとの大小関係を判断することができる。判断部60は、測定時間設定部30により設定された測定時間Tにおいて、電圧測定器20により測定された電圧V1,・・・,Vnと閾値設定部40により設定された閾値Xとの大小関係を複数回判断することができる。
【0033】
より詳しくは、判断部60は、変位演算部50により演算された電圧間V1~V2,・・・,Vn-1~Vnの変位ΔV2,・・・,ΔVnと閾値設定部40により設定された閾値Xとの大小関係を判断することができる。
【0034】
更に詳しくは、判断部60は、変位演算部50により演算された連続する電圧間V1~V2,・・・,Vn-1~Vnの変位ΔV,・・・,ΔVnと閾値設定部40により設定された閾値Xとの大小関係を判断することができる。
【0035】
接触状態検出部70は、判断部60による判断結果に基づいて測定子100A,100B,200A,200Bのリード部L1,L2に対する接触状態を検出することができる。接触状態検出部70は、判断部60による判断結果をメモリ1A3に記憶しつつ、判断部60による判断結果に基づいて測定子100A,100B,200A,200Bのリード部L1,L2に対する接触状態を複数回検出することができる(接触状態検出部70は、判断部60による判断結果をメモリ1A3に記憶しつつ、判断部60による判断結果に基づいて測定子100A,100B,200A,200Bのリード部L1,L2に対する接触状態を総合的に判断する機能部である)。
【0036】
接触状態検出部70は、判断部60が測定された電圧V1,・・・,Vnが閾値Xよりも大きいと判断したときに接触の不良を検出することができる。
【0037】
より詳しくは、接触状態検出部70は、判断部60が電圧間V1~V2,・・・,Vn-1~Vnの変位ΔV2,・・・,ΔVnが閾値Xよりも大きいと判断したときに接触の不良を検出することができる。
【0038】
更に詳しくは、接触状態検出部70は、判断部60が連続する電圧間V1~V2,・・・,Vn-1~Vnの変位ΔV2,・・・,ΔVnが閾値Xよりも大きいと判断したときに接触の不良を検出することができる。
【0039】
一方、接触状態検出部70は、判断部60が測定された電圧V1,・・・,Vnが閾値X以下であると判断したときは接触が正常であると見做して不良検出は行わない。
【0040】
より詳しくは、接触状態検出部70は、判断部60が電圧間V1~V2,・・・,Vn-1~Vnの変位ΔV2,・・・,ΔVnが閾値X以下であると判断したときは接触が正常であると見做して不良検出は行わない。
【0041】
更に詳しくは、接触状態検出部70は、判断部60が連続する電圧間V1~V2,・・・,Vn-1~Vnの変位ΔV2,・・・,ΔVnが閾値X以下であると判断したときは、測定子100A,100B,200A,200Bのリード部L1,L2に対する接触は正常であると見做して不良検出は行わない。
【0042】
ここで、接触状態検出部70による検出は、図5に示すように、第1検出Y1と第2検出Y2を含んでいる。第1検出は、変位演算部50により演算された連続する電圧間V1~V2,・・・,Vn-1~Vnの変位ΔV2,・・・,ΔVnが閾値設定部40により設定された閾値Xよりも大きく測定子100A,100B,200A,200Bのリード部L1,L2に対する接触が不良であるとする一つ目の検出である。第2検出は、第1検出に続く検出であって変位演算部50により演算された連続する電圧間V1~V2,・・・,Vn-1~Vnの変位ΔV2,・・・,ΔVnが閾値設定部40により設定された閾値Xよりも大きく測定子100A,100B,200A,200Bのリード部L1,L2に対する接触が不良であるとする二つ目の検出である。
【0043】
時間測定部80は、図5に示すように、第1検出Y1から第2検出Y2に至る時間ΔTを測定することができる。すなわち、時間測定部80は、接触の不良が発生する時間間隔ΔTを測定することができる。測定時間設定部30は、時間測定部80により測定された時間ΔTに基づいて測定時間Tを設定することができる。測定時間設定部30は、例えば、数2に示すように、時間測定部80により測定された時間間隔ΔTに対し余裕αを見た時間を測定時間Tとして設定することができる。
【0044】
[数2]
T=ΔT+α
【0045】
ここで、リード部L1,L2と接触する測定装置1の測定子100A,100B,200A,200Bは、以下のように構成されている。
【0046】
すなわち、図6および図7に示すように、測定子100A,100B,200A,200Bは、先端が尖がった軸状をなして、尖がった先端をリード部L1,L2に接触させて電圧を測定することができる。
【0047】
測定子100A,100B,200A,200Bは、軸状の本体100A1,100B1,200A1,200B1に先端100A2´,100B2´,200A2´,200B2´が尖がった軸状のプランジャー100A2,100B2,200A2,200B2を弾発するように保持し、プランジャ―100A2,100B2,200A2,200B2は、弾発力をもって尖がった先端100A2´,100B2´,200A2´,200B2´がリード部L1,L2に押圧されるように接触している。
【0048】
本体100A1,100B1,200A2,200B1の内部には、弾発部材(付勢部材)より詳しくは押しコイルバネ100A1´,100B1´,200A1´,200B1´が設けられており、押しコイルバネ100A1´,100B1´,200A1´,200B1´の先端にプランジャ―100A2,100B2,200A2,200B2が弾発するように保持されている。このため、プランジャー100A2,100B2,200A2,200B2は、リード部L1,L2に向かう方向に付勢されており、プランジャ―100A2,100B2,200A2,200B2の先端100A2´,100B2´,200A2´,200B2´がリード部L1,L2と押圧するように接触している。
【0049】
測定装置1は、更に、被測定物Dを載置する載置部1Bを有している。測定子100A,100B,200A,200Bのリード部L1,L2に対する接触は、測定子100A,100B,200A,200Bと載置部1Bとの間でリード部L1,L2を挟むように行うことができる。載置部1Bは、絶縁体により構成されている。
【0050】
本実施形態においては、被測定物Dをディスクリート半導体や半導体モジュールとしており、他の半導体素子等と比較して被測定物Dの寸法が大きいため、弾発性を有する測定子100A,100B,200A,200Bにより測定を行うことが有効となる。
【0051】
次に、本実施形態の測定装置1における測定方法を図8のフローチャートに基づいて説明する。
【0052】
まず、ステップS10において、測定時間設定部30が測定時間Tを設定するとともに、閾値設定部40が閾値Xを設定する(測定時間設定ステップ、閾値設定ステップ)。測定時間設定部30は、以前に時間測定部80により測定された時間ΔTに基づいて測定時間Tを設定する。閾値Xおよび測定時間Tは、マイクロコンピュータ1AのCPU1A2がメモリ1A3から読み出して設定する。
【0053】
次いで、ステップS20において、電流供給器10が被測定物Dに電流を供給し(電流供給ステップ)、電圧検出器20が被測定物Dに印加された電圧V1,・・・,Vnを測定する(電圧測定ステップ)。電流供給器10による電流の供給および電圧測定部20による電圧の測定は測定時間Tにおいて行われる(電圧測定器20は、被測定物Dに印加された電圧をV1,・・・,Vnの如く複数回測定する)。
【0054】
続いて、ステップS30において、変位演算部50が、測定時間Tにおいて電圧検出器20により連続して検出された電圧間V1~V2,・・・,Vn-1~Vnの変位を演算する。変位は、数1に示すように、連続する電圧間V1~V2,・・・,Vn-1~Vnの差分ΔV2,・・・,ΔVnの絶対値とすることができる。
【0055】
次に、ステップS40において、判断部60が、変位演算部50により演算された連続する電圧間V1~V2,・・・,Vn-1~Vnの変位ΔV2,・・・,ΔVnと閾値設定部40により設定された閾値Xとの大小関係を判断する。判断部60は、電圧測定器20により測定された電圧V1,・・・,Vnと閾値設定部40により設定された閾値Xとの大小関係を複数回判断する(判断ステップ)。
【0056】
すなわち、ステップS40において、判断部60が連続する電圧間V1~V2,・・・,Vn-1~Vnの変位ΔV2,・・・,ΔVnが閾値X以下であると判断したときは、接触状態検出部70は、測定子100A,100B,200A,200Bのリード部L1,L2に対する接触は正常であると見做して不良検出は行わない。
【0057】
一方、ステップS40において、判断部60が連続する電圧間V1~V2,・・・,Vn-1~Vnの変位ΔV2,・・・,ΔVnが閾値Xよりも大きいと判断した場合は、ステップS50に進み、接触状態検出部70は、測定子100A,100B,200A,200Bのリード部L1,L2に対する接触が不良であると見做して不良検出を行う(接触状態検出ステップ)。
【0058】
なお、接触状態検出部70は、第1検出Y1と第2検出Y2を行い、この判断結果に基づいて、時間測定部80が、第1検出Y1から第2検出Y2に至る時間ΔTを測定することができる。測定時間設定部30は、時間測定部80により測定された時間ΔTに基づいて以後の測定時間Tを設定することができる。時間測定部80が測定した時間ΔTは、マイクロコンピュータ1Aのメモリ1A3に記憶される。
【0059】
以上説明したように、本実施形態によれば、測定時間Tにおいて、電圧測定器20は、電圧をV1,・・・,Vnの如く複数回測定し、判断部60は、電圧測定器20により測定された電圧V1,・・・,Vnと閾値設定部40により設定された閾値Xとの大小関係を複数回判断し、接触状態検出部70は、判断部60による判断結果に基づいて測定子100A,100B,200A,200Bのリード部L1,L2に対する接触状態を複数回検出することとしたので、測定時間Tにおいて測定子100A,100B,200A,200Bのリード部L1,L2に対する接触状態を複数回検出することができる。
【0060】
また、測定時間Tにおいて電圧検出器20により検出された電圧間V1~V2,・・・,Vn-1~Vnの変位ΔV2,・・・,ΔVnを演算する変位演算部50を有し、判断部60は、変位演算部50により演算された電圧間V1~V2,・・・,Vn-1~Vnの変位ΔV2,・・・,ΔVnと閾値設定部40により設定された閾値Xとの大小関係を複数回判断することにより、検出された電圧間V1~V2,・・・,Vn-1~Vnの変位ΔV2,・・・,ΔVnに基づいて測定子100A,100B,200A,200Bの接触状態の変化を把握しながら接触の不良を検出することができる。
【0061】
更に、変位演算部50は、測定時間Tにおいて電圧検出器20により連続して検出された電圧間V1~V2,・・・,Vn-1~Vnの変位ΔV2,・・・,ΔVnを演算し、判断部60は、変位演算部50により演算された連続する電圧間V1~V2,・・・,Vn-1~Vnの変位ΔV2,・・・,ΔVnと閾値設定部40により設定された閾値Xとの大小関係を複数回判断することにより、連続する電圧間V1~V2,・・・,Vn-1~Vnの変位ΔV2,・・・,ΔVnに基づいて測定子100A,100B,200A,200Bの接触状態の直近の変化を把握することができる。
【0062】
更にまた、時間測定部80は、第1判断Y1から第2判断Y2に至る時間ΔTを測定し、測定時間設定部30は、時間測定部80により測定された時間ΔTに基づいて測定時間Tを設定することにより、測定子100A,100B,200A,200Bの接触の不良な状態が出現する時間間隔に基づいて、測定時間Tを設定することができる。
【0063】
また、変位ΔV2,・・・,ΔVnは、電圧間V1~V2,・・・,Vn-1~Vnの差分とすることにより、電圧間V1~V2,・・・,Vn-1~Vnにおける接触状態の変化を把握することができる。
【0064】
更に、測定子100A,100B,200A,200Bは、軸状の本体100A1,100B1,200A1,200B1に先端100A2´,100B2´,200A2´,200B2´が尖がった軸状のプランジャー100A2,100B2,200A2,200B2を弾発するように保持し、プランジャ―100A2,100B2,200A2,200B2は、弾発力をもって尖がった先端100A2´,100B2´,200A2´,200B2´がリード部L1,L2に押圧されるように接触していることにより、リード部L1,L2に対する接触力を大きくすることができる。
【0065】
ここで、被測定物Dとするディスクリート半導体または半導体モジュールにおいて、先端100A2´,100B2´,200A2´,200B2´が尖がった軸状の測定子100A,100B,200A,200Bを採用した場合、被測定物Dと点接触となるため、誤検出を生じやすいが、本実施形態にあっては、連続する電圧間V1~V2,・・・,Vn-1~Vnの変位ΔV2,・・・,ΔVnと閾値Xとの大小関係に基づいて接触状態の不良を検出することとしているので、接触状態の直近の変化を把握することができる等、正確に接触の不良を検出することができる。
【0066】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることなく発明の要旨を変更しない範囲において種々の変形実施、応用実施が可能であることは勿論である。
【0067】
例えば、上述した実施形態にあっては、変位演算部50により演算される変位は、電圧間V1~V2,・・・,Vn-1~Vnの差分ΔV2,・・・,ΔVnとすることとしているが、電圧間V1~V2,・・・,Vn-1~Vnの電圧の変化速度等、電圧間V1~V2,・・・,Vn-1~Vnの変位を特定する各種のものを含むことができる。
【0068】
また、上述した実施形態にあっては、接触状態検出部70は、判断部60が連続する電圧間V1~V2,・・・,Vn-1~Vnの変位ΔV2,・・・,ΔVnと閾値Xとの大小関係を判断することとしているが、例えば電圧V1とV3等、同一の測定時間Tにおける連続していない電圧間(V1とV3はV2が間に介在し連続していない)の変位に基づいて接触の不良を検出することとしたり、単に電圧測定器20により測定された電圧V1,・・・,Vnと閾値Xとの大小関係に基づいて接触の不良を検出することとしても所要の効果を奏する(つまり、判断部60は、電圧測定器20により測定された電圧V1,・・・,Vnと閾値設定部40により設定された閾値Xとの大小関係を複数回判断し、接触状態検出部70は、判断部60による判断結果に基づいて測定子100A,100B,200A,200Bのリード部L1,L2に対する接触状態を複数回検出する構成とすることができる)。
【0069】
ただし、上述のように、接触状態検出部70は、判断部60が連続する電圧間V1~V2,・・・,Vn-1~Vnの変位ΔV2,・・・,ΔVnと閾値Xとの大小関係を判断したときに接触の不良を検出する構成とすることは、測定子100A,100B,200A,200Bの接触状態の直近の変化を把握することができ、より好ましい実施形態となる。
【0070】
更に、上述した実施形態にあっては、被測定物Dは、ディスクリート半導体または半導体モジュールとすることとしているが他の半導体素子や電子素子等を被測定物Dとして接触状態の検出を行うこととしてもよい。
【0071】
更にまた、上述した実施形態にあっては、測定子100A,100B,200A,200Bは、軸状の本体100A1,100B1,200A1,200B1に先端100A2´,100B2´,200A2´,200B2´が尖がった軸状のプランジャー100A2,100B2,200A2,200B2を弾発するように保持しているが、図9(a)に示す側定子101A,101B,201A,201Bように、軸状の本体101A1,101B1,201A1,201B1に先端101A2´,101B2´,201A2´,201B2´が円弧状の丸みを帯びた軸状のプランジャー101A2,101B2,201A2,201B2を弾発するように保持し、図9(b)に示す側定子102A,102B,202A,202Bように、軸状の本体102A1,102B1,202A1,202B1に先端102A2´,102B2´,202A2´,202B2´が平坦な軸状のプランジャー102A2,102B2,202A2,202B2を弾発するように保持し、図9(c)に示す側定子103A,103B,203A,203Bように、軸状の本体103A1,103B1,203A1,203B1に尖がった先端103A2´,103B2´,203A2´,203B2´を複数有する軸状のプランジャー103A2,103B2,203A2,203B2を弾発するように保持する等、各種の構成を採用することができる。
【符号の説明】
【0072】
α:余裕
D:被測定物
D1:入力側
D2:出力側
L1,L2:リード部
T:測定時間
ΔT:時間間隔
V1,・・・Vn:電圧(電位差)
V1~V2,・・・,Vn-1~Vn:電圧間
ΔV1,・・・,ΔVn-1:差分
X:閾値
Y1:第1検出
Y2:第2検出
1:測定装置
1A:マイクロコンピュータ
1A1:バス
1A2:CPU
1A3:メモリ
1B:載置部
10:電流供給器
10A:プラス極
10B:マイナス極
11:フォース線
12:フォース線
20:電圧測定器
20A:プラス極
20B:マイナス極
21:センス線
22:センス線
30:測定時間設定部
40:閾値設定部
50:変位演算部
50A:バッファ
50B:A/D変換器
60:判断部
70:接触状態検出部
80:時間測定部
100,200:測定子
100A:測定子
100A1:本体
100A1´:押しコイルバネ(弾発部材、付勢部材)
100A2:プランジャ―
100A2´:先端
101A:測定子
101A1:本体
101A1´:押しコイルバネ(弾発部材、付勢部材)
101A2:プランジャ―
101A2´:先端
102A:測定子
102A1:本体
102A1´:押しコイルバネ(弾発部材、付勢部材)
102A2:プランジャ―
102A2´:先端
103A:測定子
103A1:本体
103A1´:押しコイルバネ(弾発部材、付勢部材)
103A2:プランジャ―
103A2´:先端
100B:測定子
100B1:本体
100B1´:押しコイルバネ(弾発部材、付勢部材)
100B2:プランジャ―
100B2´:先端
101B:測定子
101B1:本体
101B1´:押しコイルバネ(弾発部材、付勢部材)
101B2:プランジャ―
101B2´:先端
102B:測定子
102B1:本体
102B1´:押しコイルバネ(弾発部材、付勢部材)
102B2:プランジャ―
102B2´:先端
103B:測定子
103B1:本体
103B1´:押しコイルバネ(弾発部材、付勢部材)
103B2:プランジャ―
103B2´:先端
200A:測定子
200A1:本体
200A1´:押しコイルバネ(弾発部材、付勢部材)
200A2:プランジャ―
200A2´:先端
201A:測定子
201A1:本体
201A1´:押しコイルバネ(弾発部材、付勢部材)
201A2:プランジャ―
201A2´:先端
202A:測定子
202A1:本体
202A1´:押しコイルバネ(弾発部材、付勢部材)
202A2:プランジャ―
202A2´:先端
203A:測定子
203A1:本体
203A1´:押しコイルバネ(弾発部材、付勢部材)
203A2:プランジャ―
203A2´:先端
200B:測定子
200B1:本体
200B1´:押しコイルバネ(弾発部材、付勢部材)
200B2:プランジャ―
200B2´:先端
201B:測定子
201B1:本体
201B1´:押しコイルバネ(弾発部材、付勢部材)
201B2:プランジャ―
201B2´:先端
202B:測定子
202B1:本体
202B1´:押しコイルバネ(弾発部材、付勢部材)
202B2:プランジャ―
202B2´:先端
203B:測定子
203B1:本体
203B1´:押しコイルバネ(弾発部材、付勢部材)
203B2:プランジャ―
203B2´:先端
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9