(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115823
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】課金装置及び課金方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20240101AFI20240820BHJP
H02J 3/00 20060101ALI20240820BHJP
H02J 3/46 20060101ALI20240820BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
G06Q50/06
H02J3/00 180
H02J3/46
H02J13/00 301A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021680
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100170818
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 秀輝
(74)【代理人】
【識別番号】100208591
【弁理士】
【氏名又は名称】井後 智哉
(72)【発明者】
【氏名】小西 美沙子
(72)【発明者】
【氏名】稲村 彰信
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5G064AA04
5G064AC05
5G064AC09
5G064CB06
5G064CB10
5G064DA01
5G066AA03
5G066HA15
5G066HB06
5G066HB08
5G066HB09
5G066JA05
5G066JB02
5G066JB03
5G066JB04
5G066KA12
5L049CC06
5L050CC06
(57)【要約】
【課題】スマートグリッド内で取引されるエネルギーの単価を適切に設定することが可能な技術を提供する。
【解決手段】課金装置10は、スマートグリッド2の内部で取引されるエネルギーの単価である内部単価を設定する。課金装置10は、スマートグリッド2の外部で取引されるエネルギーの単価である外部単価を取得する取得部11と、外部単価に連動する単価又は予め定められた単価を基本内部単価として、内部単価に対し基本内部単価を設定する設定部12と、スマートグリッド2の内部におけるエネルギーの残量であるエネルギー残量を用いて生成された指令を取得する指令受信部14と、指令を取得したことをトリガとして、内部単価を補正した補正内部単価を算出して、内部単価に対し補正内部単価を設定する補正部15と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スマートグリッドの内部で取引されるエネルギーの単価である内部単価を設定する課金装置であって、
前記スマートグリッドの外部で取引される前記エネルギーの単価である外部単価を取得する取得部と、
前記外部単価に連動する単価又は予め定められた単価を基本内部単価として、前記内部単価に対し前記基本内部単価を設定する設定部と、
前記スマートグリッドの内部における前記エネルギーの残量であるエネルギー残量を用いて生成された指令を取得する指令受信部と、
前記指令を取得したことをトリガとして、前記内部単価を補正した補正内部単価を算出して、前記内部単価に対し前記補正内部単価を設定する補正部と、を備える、
課金装置。
【請求項2】
前記内部単価は、時間帯ごとの単価を示す価格表であり、
前記設定部は、前記内部単価に対し前記基本内部単価を前記時間帯ごとに設定し、
前記補正部は、前記内部単価を前記時間帯ごとに補正した前記補正内部単価を算出して、前記内部単価に対し前記補正内部単価を前記時間帯ごとに設定する、
請求項1に記載の課金装置。
【請求項3】
前記指令は、将来の時間帯において予測されたエネルギー残量を用いて生成されており、
前記補正部は、前記将来の時間帯における前記内部単価を補正した前記補正内部単価を算出して、前記将来の時間帯における前記内部単価に対し前記補正内部単価を設定する、
請求項2に記載の課金装置。
【請求項4】
前記指令は、前記エネルギー残量が余剰を示す場合に生成されており、
前記補正部は、所定の期間における前記内部単価の平均よりも低い単価を用いて前記補正内部単価を算出する、
請求項1に記載の課金装置。
【請求項5】
前記指令は、前記エネルギー残量がひっ迫を示す場合に生成されており、
前記補正部は、所定の期間における前記内部単価の平均よりも高い単価を用いて前記補正内部単価を算出する、
請求項1に記載の課金装置。
【請求項6】
前記課金装置は、前記内部単価に対し前記補正内部単価が設定されたことに応答して、前記内部単価を前記エネルギーの取引者の端末に送信する送信部をさらに備える、
請求項1に記載の課金装置。
【請求項7】
前記エネルギーは、電力、水素、アンモニア又は熱である、請求項1に記載の課金装置。
【請求項8】
少なくとも一つのプロセッサを備える課金装置によって実行される課金方法であって、
スマートグリッドの外部で取引されるエネルギーの単価である外部単価を取得することと、
前記外部単価に連動する単価又は予め定められた単価を基本内部単価として、前記スマートグリッドの内部で取引される前記エネルギーの単価である内部単価に対し前記基本内部単価を設定することと、
前記スマートグリッドの内部における前記エネルギーの残量であるエネルギー残量を用いて生成された指令を取得することと、
前記指令を取得したことをトリガとして、前記内部単価を補正した補正内部単価を算出して、前記内部単価に対し前記補正内部単価を設定することと、を備える、
課金方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、課金装置及び課金方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車等の充放電に応じて課金する仕組みが知られている。例えば、特許文献1には、充放電スタンドと電気自動車との間で電力を取引する技術が記載されている。特許文献1に記載の発明は、電気自動車の残電量及び取引の時間帯に基づいて、取引種別及び取引価格を決定している。特許文献1の取引価格は、充放電スタンドの残電量を考慮していない。例えば、充放電スタンドの残電量が低下した場合には、一般的に外部の電力系統等から電力が調達される。このときの調達価格は、高額になる場合がある。したがって、特許文献1に記載の発明は、価格を適切に設定することができない。
【0003】
特許文献2には、蓄電池に関する価格情報と、商用系統に関する価格情報とを比較して、安価な電力を優先的に用いる技術が記載されている。特許文献2に記載の発明は、蓄電池の電力が閾値以下である場合に商用系統の電力を用いている。特許文献2に記載の発明では、蓄電池の電力に基づいて商用系統の電力が用いられることに対応して、商用系統に関する価格情報が用いられる。換言すると、蓄電池の電力が閾値以下である場合、安価であるか否かに関わらず商用系統に関する価格情報が用いられる。したがって、特許文献2に記載の発明は、価格を適切に設定することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5606406号公報
【特許文献2】特開2014-138534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スマートグリッド内で取引されるエネルギーの単価を適切に設定することが求められている。
【0006】
本開示は、スマートグリッド内で取引されるエネルギーの単価を適切に設定することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面に係る課金装置は、スマートグリッドの内部で取引されるエネルギーの単価である内部単価を設定する。課金装置は、スマートグリッドの外部で取引されるエネルギーの単価である外部単価を取得する取得部と、外部単価に連動する単価又は予め定められた単価を基本内部単価として、内部単価に対し基本内部単価を設定する設定部と、スマートグリッドの内部におけるエネルギーの残量であるエネルギー残量を用いて生成された指令を取得する指令受信部と、指令を取得したことをトリガとして、内部単価を補正した補正内部単価を算出して、内部単価に対し補正内部単価を設定する補正部と、を備える。
【0008】
本開示の一側面に係る課金方法は、少なくとも一つのプロセッサを備える課金装置によって実行される。課金方法は、スマートグリッドの外部で取引されるエネルギーの単価である外部単価を取得することと、外部単価に連動する単価又は予め定められた単価を基本内部単価として、スマートグリッドの内部で取引されるエネルギーの単価である内部単価に対し基本内部単価を設定することと、スマートグリッドの内部におけるエネルギーの残量であるエネルギー残量を用いて生成された指令を取得することと、指令を取得したことをトリガとして、内部単価を補正した補正内部単価を算出して、内部単価に対し補正内部単価を設定することと、を備える。
【0009】
課金装置及び課金方法では、外部単価に連動する単価又は予め定められた単価を基本内部単価として、基本内部単価を用いて内部単価が設定される。そして、指令の取得をトリガとして、内部単価が補正された補正内部単価が算出され、補正内部単価を用いて内部単価が設定される。すなわち、内部単価が動的に設定される。これにより、スマートグリッド内で取引されるエネルギーの単価を適切に設定することができる。
【0010】
内部単価は、時間帯ごとの単価を示す価格表であってもよい。設定部は、内部単価に対し基本内部単価を時間帯ごとに設定してもよい。補正部は、内部単価を時間帯ごとに補正した補正内部単価を算出して、内部単価に対し補正内部単価を時間帯ごとに設定してもよい。内部単価に対し、基本内部単価及び補正内部単価が時間帯ごとに設定されることにより、エネルギーの単価をより適切に設定することができる。
【0011】
指令は、将来の時間帯において予測されたエネルギー残量を用いて生成されていてもよい。補正部は、将来の時間帯における内部単価を補正した補正内部単価を算出して、将来の時間帯における内部単価に対し補正内部単価を設定してもよい。このような構成によれば、将来の時間帯における内部単価が予め決定される。これにより、エネルギーの取引者にとって取引の予定が立てやすくなるため、取引者の利便性が向上する。また、エネルギーの需要と供給とのバランスを調整しやすくなるため、エネルギーの単価をより適切に設定することができる。
【0012】
指令は、エネルギー残量が余剰を示す場合に生成されていてもよい。補正部は、所定の期間における内部単価の平均よりも低い単価を用いて補正内部単価を算出してもよい。このような構成によれば、エネルギー残量が余剰を示す場合に、通常時に取引される内部単価よりも低く内部単価が設定される。これにより、取引者に対し、スマートグリッド内のエネルギーの販売を促すことができる。エネルギーの需要と供給とのバランスを調整しやすくなるため、エネルギーの単価をより適切に設定することができる。
【0013】
指令は、エネルギー残量がひっ迫を示す場合に生成されていてもよい。補正部は、所定の期間における内部単価の平均よりも高い単価を用いて補正内部単価を算出してもよい。このような構成によれば、エネルギー残量がひっ迫を示す場合に、通常時に取引される内部単価よりも高く内部単価が設定される。これにより、取引者に対し、スマートグリッド内のエネルギーの買取を促すことができる。エネルギーの需要と供給とのバランスを調整しやすくなるため、エネルギーの単価をより適切に設定することができる。
【0014】
課金装置は、内部単価に対し補正内部単価が設定されたことに応答して、内部単価をエネルギーの取引者の端末に送信する送信部をさらに備えてもよい。これにより、取引者に対し、スマートグリッド内のエネルギーの販売又は買取を促すことができる。エネルギーの需要と供給とのバランスを調整しやすくなるため、エネルギーの単価をより適切に設定することができる。
【0015】
エネルギーは、電力、水素、アンモニア又は熱であってもよい。本開示の課金装置は、様々なエネルギーの従量課金方式に対応できる。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、スマートグリッド内で取引されるエネルギーの単価を適切に設定することが可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、課金システムの全体構成を例示するブロック図である。
【
図2】
図2は、課金装置の機能構成を例示するブロック図である。
【
図4】
図4は、課金システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、課金システムの動作の別の例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、課金システムに関連するハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本開示を実施するための形態を詳細に説明する。図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
図1は、課金システム1の全体構成を例示するブロック図である。課金システム1は、スマートグリッド2におけるエネルギーの取引に適用される。エネルギーとしては、例えば電力、水素、アンモニア又は熱が挙げられるが、これらに限られない。本実施形態において、エネルギーは電力であるとして説明する。エネルギーの取引は、電気自動車の充電又は放電に伴い課金する場面を説明する。課金システム1では、例えば前日等に設定された第1の単価でエネルギーの取引が行われる。スマートグリッド2内の状況に応じて、課金システム1では、第1の単価を補正した第2の単価でエネルギーの取引が行われる。
【0020】
スマートグリッド2は、外部のエネルギー市場3と接続している。エネルギー市場3は、エネルギーの売買が可能な市場である。エネルギー市場3は、例えば電力系統である。スマートグリッド2は、エネルギー市場3からエネルギーの供給を受ける。スマートグリッド2は、エネルギー市場3にエネルギーを供給してもよいし、エネルギーを供給しなくてもよい。
【0021】
スマートグリッド2は、接続装置4と、生成装置5と、貯蔵装置6と、需要家7と、充填装置8と、制御装置9と、課金装置10とを備える。接続装置4、生成装置5、貯蔵装置6、需要家7及び充填装置8は、それぞれエネルギーの供給網によって接続されている。例えば、接続装置4、生成装置5、貯蔵装置6、需要家7及び充填装置8は、電力線によってそれぞれ互いに接続されている。
【0022】
接続装置4は、エネルギー市場3から供給されたエネルギーをスマートグリッド2内に供給する。接続装置4は、例えば受電盤である。一例では、接続装置4は、スマートグリッド2内の各装置への電力配分を制御すると共に、各装置に電力を供給する。
【0023】
生成装置5は、スマートグリッド2内において、エネルギーを生成する設備である。例えば、生成装置5は、太陽光又は風力等の再生可能エネルギーによる発電を行う設備である。生成装置5は、再生可能エネルギーを用いる設備に限られない。一例では、生成装置5は、太陽光発電設備である。生成装置5は、太陽光パネル及びパワーコンディショナ(Power Conditioning System:PCS)を備える。PCSは、太陽光パネルにより発生した直流を交流に変換する。生成装置5は、スマートグリッド2内に電力を供給する。
【0024】
貯蔵装置6は、スマートグリッド2内において、エネルギーを貯蔵する装置である。貯蔵装置6は、制御装置9からの制御に応答して、スマートグリッド2内にエネルギーを供給する。貯蔵装置6は、例えば蓄電池システムである。貯蔵装置6は、蓄電池、蓄電池の直流を交流に変換する蓄電池PCS、及び蓄電池残量の監視装置を備える。蓄電池は、リチウムイオン電池、鉛蓄電池又はレドックスフロー電池等の二次電池である。貯蔵装置6は、フライホイール、圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES)設備又は大容量コンデンサ等のエネルギー貯蔵装置であってもよい。貯蔵装置6は、スマートグリッド2と外部のエネルギー市場3との電力の授受の調整を行う際の電力調整装置として機能し得る。
【0025】
需要家7は、スマートグリッド2内のエネルギーを消費する。需要家7は、例えば電力を消費する負荷である。需要家7は、制御装置9からの制御に応答して、動作の開始又は停止を行ってもよい。需要家7は、制御装置9とは独立して動作の開始又は停止を行ってもよい。
【0026】
充填装置8は、スマートグリッド2の内部において、取引装置20との間でエネルギーの取引を行う。充填装置8は、例えば電気自動車の充電器である。取引装置20は、例えば電気自動車である。取引は、例えば電力の売買である。一例では、充填装置8は、電気自動車に電力を供給する売電を行う。別の例では、充填装置8は、電気自動車から電力の供給を受ける買電を行う。エネルギーの取引は、いわゆる従量課金制により行われる。
【0027】
制御装置9は、スマートグリッド2内の各装置を制御するか、又は監視する。制御装置9は、例えばEMS(エネルギーマネジメントシステム)である。例えば、制御装置9は、生成装置5のエネルギー生成量の制御、並びに生成装置5の動作開始及び停止を制御する。制御装置9は、貯蔵装置6に貯蔵されたエネルギー残量を取得する。制御装置9は、貯蔵装置6により供給されるエネルギーの量を制御する。制御装置9は、需要家7の動作開始及び停止を制御する。制御装置9は、需要家7のエネルギー消費量を取得する。制御装置9は、充填装置8のエネルギーの取引量を取得する。
【0028】
制御装置9は、エネルギー残量に基づいて指令を生成する。指令は、いわゆるデマンドレスポンス(DR)を示すDR指令である。指令は、エネルギーの取引者に対し需要と供給とのバランスを調整するトリガであるとも言える。制御装置9は、指令を課金装置10に送信する。
【0029】
制御装置9は、エネルギー残量が余剰を示すか、又はエネルギー残量がひっ迫を示す場合に指令を生成してもよい。制御装置9は、様々な情報を含めて指令を生成してもよい。例えば、制御装置9は、エネルギー残量が余剰を示す情報又はエネルギー残量がひっ迫を示す情報を指令に含めてもよい。制御装置9は、時間情報を指令に含めてもよい。例えば、制御装置9は、現在時刻を示す情報又は将来の時間帯を示す情報を指令に含めてもよい。
【0030】
制御装置9は、将来の時間帯において予測されたエネルギー残量に基づいて、指令を生成してもよい。制御装置9は、将来の時間帯の一定時間前に指令を生成してもよい。制御装置9は、指令が生成される確率を算出し、確率が一定値以上ある場合に指令を生成してもよい。確率の算出方法は限定されない。例えば、制御装置9は、蓄電池の充電率(State Of Charge:SOC)、エネルギーの生成量又は消費量、及び蓄電池の充電率の変化の傾き等の一つ以上に基づいて確率を算出してもよい。
【0031】
例えば、制御装置9は、蓄電池の充電率が通常時よりも一定値以上ある場合に、エネルギー残量が余剰を示す指令を生成してもよい。制御装置9は、SOCが通常時よりも一定値以下である場合に、エネルギー残量がひっ迫を示す指令を生成してもよい。通常時のエネルギー残量は、所定の期間におけるエネルギー残量の平均値等であってもよい。
【0032】
例えば、制御装置9は、生成装置5によるエネルギーの生成量に基づいて指令を生成してもよい。例えば、生成装置5が太陽光又は風力等の再生可能エネルギーによる発電を行う設備である場合に、気温、日照量及び風速等に応じて発電量が変動する。制御装置9は、生成装置5による発電量が通常時よりも多いか、又は少ないかに基づいて指令を生成してもよい。通常時の発電量とは、所定の期間における発電量の平均値等であってもよい。
【0033】
例えば、制御装置9は、需要家7によるエネルギーの消費量に基づいて指令を生成してもよい。例えば、制御装置9は、需要家7による消費量が通常時よりも多いか、又は少ないかに基づいて指令を生成してもよい。通常時の消費量とは、所定の期間における消費量の平均値等であってもよい。
【0034】
例えば、制御装置9は、貯蔵装置6の貯蔵率の変化の傾きに基づいて指令を生成してもよい。例えば、制御装置9は、蓄電池の充電率又は放電率の変化の傾きに基づいて、充電率又は放電率が所定の閾値を超える時刻を予測してもよい。
【0035】
課金装置10は、スマートグリッド2の内部で取引されるエネルギーの単価である内部単価を設定する。課金装置10は、充填装置8と取引装置20との間で取引される内部単価[円/分]を設定する。内部単価は、例えば時間帯ごとの単価を示す価格表であってもよい。例えば、課金装置10は、時間帯ごとに内部単価を設定する。内部単価の表現はこれに限られず、時間帯に関わらず単一の単価であってもよい。課金装置10は、現在時刻に対応する時間帯、及び該時間帯における内部単価を課金装置10が備える表示装置上に表示してもよい。課金装置10は、内部単価を充填装置8の表示装置上に表示させてもよい。
【0036】
図2は、課金装置10の機能構成を例示するブロック図である。課金装置10は、機能要素として、取得部11と、設定部12と、記憶装置13と、指令受信部14と、補正部15と、送信部16とを備える。
【0037】
取得部11は、スマートグリッド2の外部で取引されるエネルギーの単価である外部単価を取得する。取得部11は、例えばインターネット等のネットワークNを介して、公開サービス30から外部単価を取得する。外部単価は、時間帯ごとの単価を示す価格表であってもよい。一例では、外部単価は、日本電力取引所によって公開された電力の価格表である。電力の価格表は、翌日の24時間分について、30分ごとの電力の単価[円/kWh]が示されている。取得部11は、例えば1日に1回等、任意のタイミングで外部単価を取得するが、これらに限られない。
【0038】
設定部12は、外部単価に連動する単価又は予め定められた単価を基本内部単価として、内部単価に対し基本内部単価を設定する。設定部12は、外部単価に連動するか否かを示す外部単価連動設定に基づいて、外部単価に連動する単価を基本内部単価として決定する。外部単価連動設定は、例えばスマートグリッド2の運営者又は充填装置8の所有者等によって設定されている。設定部12は、外部単価連動設定が「外部単価に連動する」ことを示す場合、外部単価に連動する単価を基本内部単価として決定する。例えば、設定部12は、基準となる基本単価に対し、外部単価を用いて補正した単価を基本内部単価として決定してもよい。基本単価は、予め定められた単価であってもよいし、所定の期間における内部単価の平均等であってもよい。設定部12は、線形的に外部単価に連動する単価を基本内部単価として決定してもよい。設定部12は、閾値を用いて外部単価に連動する単価を基本内部単価として決定してもよい。設定部12は、将来の時間帯における基本内部単価を決定してもよい。
【0039】
設定部12は、外部単価連動設定が「外部単価に連動しない」ことを示す場合、予め定められた単価を基本内部単価として決定する。予め定められた単価は、所定の期間における内部単価の平均等であってもよい。設定部12は、時間帯ごとに予め定められた単価を基本内部単価として決定してもよい。
【0040】
設定部12は、内部単価に対し、基本内部単価を設定する。設定部12は、内部単価に対し基本内部単価を時間帯ごとに設定してもよい。設定部12は、基本内部単価を記憶装置13に格納することによって、内部単価を設定してもよい。
【0041】
記憶装置13は、内部単価を記憶する非一時的な記憶媒体又は記憶装置である。記憶装置13は、単一のデータベースとして構築されてもよいし、複数のデータベースの集合であってもよい。記憶装置13の設置場所は限定されない。例えば、記憶装置13は、課金システム1とは別のコンピュータシステム内に設けられてもよい。
【0042】
指令受信部14は、スマートグリッド2の内部におけるエネルギーの残量であるエネルギー残量を用いて生成された指令を取得する。指令受信部14は、制御装置9から指令を受信する。
【0043】
補正部15は、指令を取得したことをトリガとして、内部単価を補正した補正内部単価を算出して、内部単価に対し補正内部単価を設定する。補正部15は、指令に連動するか否かを示す指令連動設定に基づいて、補正内部単価を算出する。指令連動設定は、例えばスマートグリッド2の運営者又は充填装置8の所有者等によって設定されている。補正部15は、指令連動設定が「指令に連動する」ことを示す場合、補正内部単価を算出する。補正部15は、内部単価を時間帯ごとに補正した補正内部単価を算出してもよい。補正部15は、将来の時間帯における内部単価を補正した補正内部単価を算出してもよい。補正部15は、指令連動設定が「指令に連動しない」ことを示す場合、補正内部単価を算出しなくてもよい。
【0044】
補正部15は、内部単価に対し、補正内部単価を設定する。補正部15は、設定部12によって既に設定された内部単価を補正内部単価で上書きする。換言すると、補正部15は、設定部12によって既に設定された内部単価を補正内部単価により補正する。補正部15は、内部単価に対し補正内部単価を時間帯ごとに設定してもよい。補正部15は、将来の時間帯における内部単価に対し補正内部単価を設定してもよい。補正部15は、算出した補正内部単価を記憶装置13に格納することによって、内部単価を設定してもよい。
【0045】
補正部15は、指令の内容に応じて補正内部単価を設定してもよい。一例では、指令は、エネルギー残量が余剰を示す場合に生成されていてもよい。補正部15は、所定の期間における内部単価の平均よりも低い単価を用いて補正内部単価を算出してもよい。別の例では、指令は、エネルギー残量がひっ迫を示す場合に生成されていてもよい。補正部は、所定の期間における内部単価の平均よりも高い単価を用いて補正内部単価を算出してもよい。
【0046】
基本内部単価又は補正内部単価の決定方法は限定されない。一例では、設定部12は、以下の式(1)を用いて基本内部単価を決定してもよい。補正部15は、以下の式(1)を用いて補正内部単価を決定してもよい。
基本内部単価又は補正内部単価[円/分]=基本単価[円/分]+外部単価による補正単価[円/分]×外部単価連動有無(1又は0)+指令基準補正単価[円/分]×指令連動有無(1又は0)・・・(1)
【0047】
式(1)において、外部単価による補正単価は、外部単価に対する所定の割合又は一定値等により算出される単価であってもよい。外部単価連動設定が「外部単価に連動する」ことを示す場合、外部単価連動有無の値は「1」であってもよい。外部単価連動設定が「外部単価に連動しない」ことを示す場合、外部単価連動有無の値は「0」であってもよい。指令を取得していない場合に、指令基準補正単価の値は「0」であってもよい。例えば、設定部12が翌日の内部単価を設定する場合に、指令基準補正単価の値を「0」として基本内部単価を算出してもよい。指令基準補正単価は、指令の内容に応じた単価であってもよい。一例では、エネルギー残量が余剰を示す場合に生成された指令と、エネルギー残量がひっ迫を示す場合に生成された指令とに応じて、指令基準補正単価が異なっていてもよい。例えば、エネルギー残量が余剰を示す場合に生成された指令の場合、指令基準補正単価は負の値であってもよい。エネルギー残量がひっ迫を示す場合に生成された指令の場合、指令基準補正単価は正の値であってもよい。設定された指令連動設定が「指令に連動する」ことを示す場合、指令連動有無の値は「1」であってもよい。設定された指令連動設定が「指令に連動しない」ことを示す場合、指令連動有無の値は「0」であってもよい。
【0048】
送信部16は、内部単価をエネルギーの取引者の端末40に送信する。例えば、送信部16は、メール、SMS(Short Message Service)又はインターネットによる公示等を介して、内部単価を端末40に送信してもよい。送信部16は、例えば翌日等の将来の時間帯における内部単価を端末40に送信してもよい。例えば、送信部16は、設定部12により設定された内部単価を端末40に送信する。送信部16は、内部単価に対し補正内部単価が設定されたことに応答して、内部単価を端末40に送信する。送信部16は、内部単価の送信において、補正内部単価が設定された将来の時間帯における内部単価又は差異をハイライト表示してもよい。
【0049】
端末40は、エネルギーの取引者により用いられるコンピュータである。端末40の種類及び構成は限定されない。例えば、端末40は、パーソナルコンピュータ、高機能携帯電話機(スマートフォン)、タブレット端末、ウェアラブル端末であってもよい。
【0050】
充填装置8は、内部単価及びエネルギーの取引量に基づいて合計価格を算出する。例えば、充填装置8は、時間帯ごとに設定された単価[円/分]×エネルギーの充填時間によって合計価格を算出する。充填装置8は、現在時刻に対応する時間帯、及び該時間帯における内部単価を表示装置上に表示してもよい。
【0051】
図3は、内部単価が設定された価格表の一例を示す図である。
図3は、例えば翌日の内部単価が設定された価格表を示す。
図3は、時間帯、コード、内部単価、外部単価、外部単価連動設定及び指令連動設定を示す。
【0052】
図3において、「時間帯」は、24時間を30分ごとに示す時間の幅である。時間の幅は、これに限られず、1時間ごとに示されてもよい。「コード」は、時間帯の数に対応する48個の行番号である。「内部単価」は、時間帯ごとに設定された内部単価の値である。「外部単価」は、時間帯ごとの外部単価の値である。「外部単価連動設定」は、外部単価に連動するか否かの設定内容を時間帯ごとに示す。例えば、外部単価連動設定が空欄の場合、外部単価に連動しない設定を示す。外部単価連動設定が「○連動」の場合、外部単価に連動する設定を示す。外部単価連動設定は、時間、曜日又は特異日ごとに設定されていてもよい。「指令連動設定」は、指令に連動するか否かの設定内容を時間帯ごとに示す。例えば、指令連動設定が空欄の場合、指令に連動しない設定を示す。指令連動設定が「○有効」の場合、指令に連動する設定を示す。
【0053】
一例では、「16:00~16:30」の時間帯において、外部単価連動設定が「○連動」である。「16:00~16:30」の時間帯において、内部単価の値「13」は、外部単価「18.0」に連動する単価として算出された値である。
【0054】
図4を参照しながら課金装置10の動作を説明するとともに、課金方法の一例について説明する。
図4は、課金装置10の動作の一例を処理フローS1として示すフローチャートである。
【0055】
ステップS11において、外部単価連動設定が「外部単価に連動する」ことを示す場合(ステップS11:YES)、処理はステップS12に進む。ステップS11において、外部単価連動設定が「外部単価に連動しない」ことを示す場合、処理はステップS14に進む。
【0056】
ステップS12において、取得部11は、外部単価を取得する。例えば、取得部11は、ネットワークNを介して、公開サービス30から外部単価を取得する。外部単価は、時間帯ごとの単価を示す価格表であってもよい。
【0057】
ステップS13において、設定部12は、外部単価に連動する単価を基本内部単価として決定する。例えば、設定部12は、基準となる基本単価に対し、外部単価を用いて補正した単価を基本内部単価として決定してもよい。設定部12は、時間帯ごとに外部単価に連動する単価を基本内部単価として決定してもよい。設定部12は、式(1)を用いて内部単価を決定してもよい。
【0058】
ステップS14において、設定部12は、予め定められた単価を基本内部単価として決定する。予め定められた単価は、所定の期間における内部単価の平均等であってもよい。設定部12は、時間帯ごとに予め定められた単価を基本内部単価として決定してもよい。
【0059】
ステップS15において、設定部12は、内部単価に対し基本内部単価を設定する。内部単価は、時間帯ごとの単価を示す価格表であってもよい。設定部12は、内部単価に対し基本内部単価を時間帯ごとに設定してもよい。例えば、設定部12は、
図3に示されるような価格表に対し、時間帯ごとに基本内部単価を設定してもよい。設定部12は、時間帯に関わらず決定された内部単価を設定してもよい。設定部12は、基本内部単価を記憶装置13に格納することによって、内部単価を設定してもよい。
【0060】
ステップS16において、送信部16は、内部単価をエネルギーの取引者の端末40に送信する。例えば、送信部16は、メール、SMS又はインターネットによる公示等を介して、内部単価を端末40に送信してもよい。送信部16は、例えば翌日等の将来の時間帯における内部単価を端末40に送信してもよい。例えば、送信部16は、設定部12により設定された内部単価を端末40に送信する。
【0061】
課金装置10は、現在時刻に対応する時間帯、及び該時間帯における内部単価を課金装置10が備える表示装置上に表示してもよい。課金装置10は、内部単価を充填装置8の表示装置上に表示させてもよい。
【0062】
図5を参照しながら課金装置10の動作を説明するとともに、課金方法の一例について説明する。
図5は、課金装置10の動作の別の例を処理フローS2として示すフローチャートである。処理フローS2において、内部単価は設定部12によって既に設定されているものとして説明する。
【0063】
ステップS21において、指令受信部14は、エネルギー残量を用いて生成された指令を取得する。例えば、指令受信部14は、制御装置9から指令を受信する。例えば、指令は、将来の時間帯において予測されたエネルギー残量に基づいて生成されていてもよい。指令は、現在のエネルギー残量に基づいて生成されていてもよい。指令は、エネルギー残量が余剰を示す場合に生成されていてもよい。指令は、エネルギー残量がひっ迫を示す場合に生成されていてもよい。
【0064】
ステップS22において、指令連動設定が「指令に連動する」ことを示す場合(ステップS22:YES)、処理はステップS23に進む。ステップS22において、指令連動設定が「指令に連動しない」ことを示す場合、処理フローS2は終了する。
【0065】
ステップS23において、補正部15は、補正内部単価を算出する。補正部15は、内部単価を時間帯ごとに補正した補正内部単価を算出してもよい。補正部15は、将来の時間帯における内部単価を補正した補正内部単価を算出してもよい。補正部15は、現在時刻に対応する時間帯における内部単価を補正した補正内部単価を算出してもよい。補正部15は、式(1)を用いて補正内部単価を算出してもよい。
【0066】
補正部15は、指令の内容に応じて補正内部単価を設定してもよい。一例では、指令は、エネルギー残量が余剰を示す場合に生成されていてもよい。補正部15は、所定の期間における内部単価の平均よりも低い単価を用いて補正内部単価を算出してもよい。別の例では、指令は、エネルギー残量がひっ迫を示す場合に生成されていてもよい。補正部は、所定の期間における内部単価の平均よりも高い単価を用いて補正内部単価を算出してもよい。
【0067】
ステップS24において、補正部15は、内部単価に対し補正内部単価を設定する。補正部15は、内部単価に対し補正内部単価を時間帯ごとに設定してもよい。補正部15は、将来の時間帯における内部単価に対し補正内部単価を設定してもよい。例えば、補正部15は、
図3に示されるような価格表に対し、時間帯ごとに補正内部単価を設定する。補正部15は、算出した補正内部単価を記憶装置13に格納することによって、内部単価を設定してもよい。
【0068】
ステップS25において、送信部16は、内部単価に対し補正内部単価が設定されたことに応答して、内部単価を端末40に送信する。送信部16は、内部単価の送信において、補正内部単価が設定された将来の時間帯における内部単価又は差異をハイライト表示してもよい。
【0069】
課金装置10は、現在時刻に対応する時間帯、及び該時間帯における内部単価を課金装置10が備える表示装置上に表示してもよい。課金装置10は、内部単価を充填装置8の表示装置上に表示させてもよい。
【0070】
[ハードウェア構成]
図6は、課金システム1に関連するハードウェア構成の一例を示す図である。
図6は、課金装置10として機能するコンピュータ100を示す。コンピュータ100は、少なくとも一つのプロセッサ101と、主記憶部102と、補助記憶部103と、通信制御部104と、入力装置105と、出力装置106とを有する。課金装置10は、これらのハードウェアと、プログラム等のソフトウェアとにより構成された一つ又は複数のコンピュータ100によって構成される。
【0071】
課金装置10が複数のコンピュータ100によって構成される場合には、これらのコンピュータ100はローカルで接続されてもよいし、インターネット又はイントラネット等の通信ネットワークを介して接続されてもよい。この接続によって、論理的に1つの課金装置10が構築される。
【0072】
プロセッサ101は、オペレーティングシステムやアプリケーションプログラム等を実行する。プロセッサ101は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。主記憶部102は、ROM(ReadOnly Memory)及びRAM(Random Access Memory)により構成される。補助記憶部103は、ハードディスク及びフラッシュメモリ等により構成される記憶媒体である。補助記憶部103は、一般的に主記憶部102よりも大量のデータを記憶する。通信制御部104は、ネットワークカード又は無線通信モジュールにより構成される。課金装置10における他の装置との通信機能の少なくとも一部は、通信制御部104によって実現されてもよい。入力装置105は、キーボード、マウス、タッチパネル、及び、音声入力用マイク等により構成される。出力装置106は、ディスプレイ及びプリンタ等により構成される。
【0073】
補助記憶部103は、予め、プログラム110(課金プログラム)及び処理に必要なデータを格納している。プログラム110は、課金装置10の各機能要素をコンピュータ100に実行させる。プログラム110によって、例えば、上述した課金方法に係る処理がコンピュータ100において実行される。例えば、プログラム110は、プロセッサ101又は主記憶部102によって読み込まれ、プロセッサ101、主記憶部102、補助記憶部103、通信制御部104、入力装置105、及び出力装置106の少なくとも1つを動作させる。例えば、プログラム110は、主記憶部102及び補助記憶部103におけるデータの読み出し及び書き込みを行う。
【0074】
プログラム110は、例えば、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等の有形の記憶媒体に記録された上で提供されてもよい。プログラム110は、データ信号として通信ネットワークを介して提供されてもよい。
【0075】
[作用効果]
本開示の一側面に係る課金装置10は、スマートグリッド2の内部で取引されるエネルギーの単価である内部単価を設定する。課金装置10は、スマートグリッド2の外部で取引されるエネルギーの単価である外部単価を取得する取得部11と、外部単価に連動する単価又は予め定められた単価を基本内部単価として、内部単価に対し基本内部単価を設定する設定部12と、スマートグリッド2の内部におけるエネルギーの残量であるエネルギー残量を用いて生成された指令を取得する指令受信部14と、指令を取得したことをトリガとして、内部単価を補正した補正内部単価を算出して、内部単価に対し補正内部単価を設定する補正部15と、を備える。
【0076】
本開示の一側面に係る課金方法は、少なくとも一つのプロセッサを備える課金装置10によって実行される。課金方法は、スマートグリッド2の外部で取引されるエネルギーの単価である外部単価を取得することと、外部単価に連動する単価又は予め定められた単価を基本内部単価として、スマートグリッド2の内部で取引されるエネルギーの単価である内部単価に対し基本内部単価を設定することと、スマートグリッド2の内部におけるエネルギーの残量であるエネルギー残量を用いて生成された指令を取得することと、指令を取得したことをトリガとして、内部単価を補正した補正内部単価を算出して、内部単価に対し補正内部単価を設定することと、を備える。
【0077】
課金装置10及び課金方法では、外部単価に連動する単価又は予め定められた単価を基本内部単価として、基本内部単価を用いて内部単価が設定される。そして、指令の取得をトリガとして、内部単価が補正された補正内部単価が算出され、補正内部単価を用いて内部単価が設定される。すなわち、内部単価が動的に設定される。これにより、スマートグリッド2内で取引されるエネルギーの単価を適切に設定することができる。
【0078】
内部単価は、時間帯ごとの単価を示す価格表である。設定部12は、内部単価に対し基本内部単価を時間帯ごとに設定する。補正部15は、内部単価を時間帯ごとに補正した補正内部単価を算出して、内部単価に対し補正内部単価を時間帯ごとに設定する。内部単価に対し、基本内部単価及び補正内部単価が時間帯ごとに設定されることにより、エネルギーの単価をより適切に設定することができる。
【0079】
指令は、将来の時間帯において予測されたエネルギー残量を用いて生成されている。補正部15は、将来の時間帯における内部単価を補正した補正内部単価を算出して、将来の時間帯における内部単価に対し補正内部単価を設定する。このような構成によれば、将来の時間帯における内部単価が予め決定される。これにより、エネルギーの取引者にとって取引の予定が立てやすくなるため、取引者の利便性が向上する。また、エネルギーの需要と供給とのバランスを調整しやすくなるため、エネルギーの単価をより適切に設定することができる。
【0080】
指令は、エネルギー残量が余剰を示す場合に生成されている。補正部15は、所定の期間における内部単価の平均よりも低い単価を用いて補正内部単価を算出する。このような構成によれば、エネルギー残量が余剰を示す場合に、通常時に取引される内部単価よりも低く内部単価が設定される。これにより、取引者に対し、スマートグリッド2内のエネルギーの販売を促すことができる。エネルギーの需要と供給とのバランスを調整しやすくなるため、エネルギーの単価をより適切に設定することができる。
【0081】
例えば、スマートグリッド2内の余剰電力が再生可能エネルギーによる電源であった場合、取引者に対する需要喚起によって余剰電力を有効活用することができる。特に、接続装置4からエネルギー市場3へのエネルギーの供給が不可能な場合、廃棄予定の余剰電力をより有効活用することができる。
【0082】
指令は、エネルギー残量がひっ迫を示す場合に生成されている。補正部15は、所定の期間における内部単価の平均よりも高い単価を用いて補正内部単価を算出する。このような構成によれば、エネルギー残量がひっ迫を示す場合に、通常時に取引される内部単価よりも高く内部単価が設定される。これにより、取引者に対し、スマートグリッド2内のエネルギーの買取を促すことができる。エネルギーの需要と供給とのバランスを調整しやすくなるため、エネルギーの単価をより適切に設定することができる。
【0083】
課金装置10は、内部単価に対し補正内部単価が設定されたことに応答して、内部単価をエネルギーの取引者の端末に送信する送信部をさらに備える。これにより、取引者に対し、スマートグリッド2内のエネルギーの販売又は買取を促すことができる。エネルギーの需要と供給とのバランスを調整しやすくなるため、エネルギーの単価をより適切に設定することができる。
【0084】
エネルギーは、電力、水素、アンモニア又は熱である。本開示の課金装置10は、様々なエネルギーの従量課金方式に対応できる。
【0085】
[変形例]
本開示は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。例えば、生成装置5は、スマートグリッド2内の設備でなくてもよい。
【0086】
上記実施形態では、制御装置9及び課金装置10が別個の構成であるものとして説明したが、これに限られない。例えば、制御装置9は、課金装置10の各機能要素の一部又は全部を備えていてもよい。
【0087】
上記実施形態において、例えばエネルギーが水素又はアンモニアである場合、貯蔵装置6は水素又はアンモニアを貯蔵するタンクであってもよい。制御装置9は、エネルギー残量として水素量又はアンモニア量を取得してもよい。エネルギーが熱である場合、貯蔵装置6は、ボイラ等であってもよい。
【0088】
制御装置9は、指令の生成条件についてフィードバックによる補正又は学習を行ってもよい。例えば、制御装置9は、将来の時間帯において予測されたエネルギー残量と、実際のエネルギー残量とを比較してもよい。比較の結果に基づいて、制御装置9は、指令の生成の閾値を調整してもよい。
【0089】
本開示において、「少なくとも一つのプロセッサが、第1の処理を実行し、第2の処理を実行し、…第nの処理を実行する。」との表現、またはこれに対応する表現は、第1の処理から第nの処理までのn個の処理の実行主体(すなわちプロセッサ)が途中で変わる場合を含む概念である。すなわち、この表現は、n個の処理のすべてが同じプロセッサで実行される場合と、n個の処理においてプロセッサが任意の方針で変わる場合との双方を含む概念である。
【0090】
少なくとも一つのプロセッサにより実行される方法の処理手順は上記実施形態での例に限定されない。例えば、上述したステップ(処理)の一部が省略されてもよいし、別の順序で各ステップが実行されてもよい。また、上述したステップのうちの任意の2以上のステップが組み合わされてもよいし、ステップの一部が修正または削除されてもよい。あるいは、上記の各ステップに加えて他のステップが実行されてもよい。
【0091】
[付記]
本発明は、スマートグリッド内で取引される単価を適切に設定する技術であり、本技術を用いれば、より効率的なエネルギーの需要と供給とのバランスの調整が可能になる。そのため、本発明は、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の以下の目標にも貢献するものである。
目標7「すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」
【0092】
以下、本開示の要旨を示す。
[1]
スマートグリッドの内部で取引されるエネルギーの単価である内部単価を設定する課金装置であって、
前記スマートグリッドの外部で取引される前記エネルギーの単価である外部単価を取得する取得部と、
前記外部単価に連動する単価又は予め定められた単価を基本内部単価として、前記内部単価に対し前記基本内部単価を設定する設定部と、
前記スマートグリッドの内部における前記エネルギーの残量であるエネルギー残量を用いて生成された指令を取得する指令受信部と、
前記指令を取得したことをトリガとして、前記内部単価を補正した補正内部単価を算出して、前記内部単価に対し前記補正内部単価を設定する補正部と、を備える、
課金装置。
[2]
前記内部単価は、時間帯ごとの単価を示す価格表であり、
前記設定部は、前記内部単価に対し前記基本内部単価を前記時間帯ごとに設定し、
前記補正部は、前記内部単価を前記時間帯ごとに補正した前記補正内部単価を算出して、前記内部単価に対し前記補正内部単価を前記時間帯ごとに設定する、
[1]に記載の課金装置。
[3]
前記指令は、将来の時間帯において予測されたエネルギー残量を用いて生成されており、
前記補正部は、前記将来の時間帯における前記内部単価を補正した前記補正内部単価を算出して、前記将来の時間帯における前記内部単価に対し前記補正内部単価を設定する、
[2]に記載の課金装置。
[4]
前記指令は、前記エネルギー残量が余剰を示す場合に生成されており、
前記補正部は、所定の期間における前記内部単価の平均よりも低い単価を用いて前記補正内部単価を算出する、
[1]~[3]のいずれかに記載の課金装置。
[5]
前記指令は、前記エネルギー残量がひっ迫を示す場合に生成されており、
前記補正部は、所定の期間における前記内部単価の平均よりも高い単価を用いて前記補正内部単価を算出する、
[1]~[3]のいずれかに記載の課金装置。
[6]
前記課金装置は、前記内部単価に対し前記補正内部単価が設定されたことに応答して、前記内部単価を前記エネルギーの取引者の端末に送信する送信部をさらに備える、
[1]~[5]のいずれかに記載の課金装置。
[7]
前記エネルギーは、電力、水素、アンモニア又は熱である、[1]~[6]のいずれかに記載の課金装置。
[8]
少なくとも一つのプロセッサを備える課金装置によって実行される課金方法であって、
スマートグリッドの外部で取引されるエネルギーの単価である外部単価を取得することと、
前記外部単価に連動する単価又は予め定められた単価を基本内部単価として、前記スマートグリッドの内部で取引される前記エネルギーの単価である内部単価に対し前記基本内部単価を設定することと、
前記スマートグリッドの内部における前記エネルギーの残量であるエネルギー残量を用いて生成された指令を取得することと、
前記指令を取得したことをトリガとして、前記内部単価を補正した補正内部単価を算出して、前記内部単価に対し前記補正内部単価を設定することと、を備える、
課金方法。
【符号の説明】
【0093】
1 課金システム
2 スマートグリッド
3 エネルギー市場
4 接続装置
5 生成装置
6 貯蔵装置
7 需要家
8 充填装置
9 制御装置
10 課金装置
11 取得部
12 設定部
13 記憶装置
14 指令受信部
15 補正部
16 送信部
20 取引装置
30 公開サービス
40 端末