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特開2024-115837画像出力装置、画像出力方法、画像解析装置、画像解析方法およびプログラム
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  • 特開-画像出力装置、画像出力方法、画像解析装置、画像解析方法およびプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115837
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】画像出力装置、画像出力方法、画像解析装置、画像解析方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/387 20060101AFI20240820BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20240820BHJP
   H04L 9/32 20060101ALI20240820BHJP
   G06F 21/16 20130101ALI20240820BHJP
【FI】
H04N1/387 110
G06T1/00 500B
H04L9/32 200A
H04L9/32 200E
G06F21/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021704
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000162113
【氏名又は名称】共同印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(74)【代理人】
【氏名又は名称】阿形 直起
(72)【発明者】
【氏名】高田 峻輔
(72)【発明者】
【氏名】細金 豊
【テーマコード(参考)】
5B057
5C076
【Fターム(参考)】
5B057AA20
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CD03
5B057CD20
5B057CE08
5C076AA12
5C076AA14
5C076AA24
5C076BA06
(57)【要約】
【課題】パターン画像の改ざんを防止することを可能とする画像出力装置等を提供する。
【解決手段】画像出力装置は、識別情報を取得する取得部と、周波数領域において、周波数成分を識別情報に基づいて配置して周波数成分のパターンを設定するパターン設定部と、周波数領域においてパターンを回転させることによりパターンを変換する変換部と、変換されたパターンを周波数領域から空間領域に領域変換したパターン画像を生成するパターン画像生成部と、パターン画像を出力する出力部と、を有する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
識別情報を取得する取得部と、
周波数領域において、周波数成分を前記識別情報に基づいて配置して周波数成分のパターンを設定するパターン設定部と、
周波数領域において前記パターンを回転させることにより前記パターンを変換する変換部と、
前記変換されたパターンを周波数領域から空間領域に領域変換したパターン画像を生成するパターン画像生成部と、
前記パターン画像を出力する出力部と、
を有することを特徴とする画像出力装置。
【請求項2】
鍵情報を設定する鍵情報設定部をさらに有し、
前記変換部は、前記鍵情報に基づいて前記パターンを変換する、
請求項1に記載の画像出力装置。
【請求項3】
ナンス値を生成するナンス生成部をさらに有し、
前記変換部は、前記鍵情報と前記ナンス値とに基づいて前記パターンを変換する、
請求項2に記載の画像出力装置。
【請求項4】
鍵情報を設定する鍵情報設定部、および/または、
ナンス値を生成するナンス生成部をさらに有し、
前記変換部は、前記設定された鍵情報および/または前記生成されたナンス値に基づいて前記パターンの回転角を決定する、
請求項1に記載の画像出力装置。
【請求項5】
前記ナンス値を含む情報コード画像を生成するコード画像生成部をさらに有し、
前記出力部は、前記情報コード画像を前記パターン画像とともに出力する、
請求項3に記載の画像出力装置。
【請求項6】
前記コード画像生成部は、前記ナンス値をURLパラメータとして含むURLを示す前記情報コード画像を生成する、
請求項5に記載の画像出力装置。
【請求項7】
前記出力部は、前記パターン画像と前記情報コード画像とを重畳して出力する、
請求項5に記載の画像出力装置。
【請求項8】
前記パターン設定部は、周波数領域にあらかじめ設定された複数の配置位置のうち、前記識別情報に基づいて選択された配置位置に周波数成分を配置する、
請求項1に記載の画像出力装置。
【請求項9】
前記複数の配置位置は、周波数領域において原点を中心とする一つまたは複数の円上に配置される、
請求項8に記載の画像出力装置。
【請求項10】
前記出力部は、前記パターン画像と基本画像とを重畳して出力する、
請求項1に記載の画像出力装置。
【請求項11】
画像出力装置によって実行される画像出力方法であって、
識別情報を取得し、
周波数領域において、周波数成分を前記識別情報に基づいて配置して周波数成分のパターンを設定し、
周波数領域において前記パターンを回転させることにより前記パターンを変換し、
前記変換されたパターンを周波数領域から空間領域に領域変換したパターン画像を生成し、
前記パターン画像を出力する、
ことを含むことを特徴とする画像出力方法。
【請求項12】
識別情報を取得し、
周波数領域において、周波数成分を前記識別情報に基づいて配置して周波数成分のパターンを設定し、
周波数領域において前記パターンを回転させることにより前記パターンを変換し、
前記変換されたパターンを周波数領域から空間領域に領域変換したパターン画像を生成し、
前記パターン画像を出力する、
ことをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項13】
パターン画像を取得する画像取得部と、
前記パターン画像を空間領域から周波数領域に領域変換することにより、周波数領域に配置された周波数成分のパターンを生成するパターン生成部と、
周波数領域において前記パターンを回転させることにより前記パターンを変換する変換部と、
前記変換されたパターンを解析して識別情報を抽出する抽出部と、
前記識別情報を出力する出力部と、
を有することを特徴とする画像解析装置。
【請求項14】
画像解析装置によって実行される画像解析方法であって、
パターン画像を取得し、
前記パターン画像を空間領域から周波数領域に領域変換することにより、周波数領域に配置された周波数成分のパターンを生成し、
周波数領域において前記パターンを回転させることにより前記パターンを変換し、
前記変換されたパターンを解析して識別情報を抽出し、
前記識別情報を出力する、
ことを含むことを特徴とする画像解析方法。
【請求項15】
パターン画像を取得し、
前記パターン画像を空間領域から周波数領域に領域変換することにより、周波数領域に配置された周波数成分のパターンを生成し、
周波数領域において前記パターンを回転させることにより前記パターンを変換し、
前記変換されたパターンを解析して識別情報を抽出し、
前記識別情報を出力する、
ことをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像出力装置、画像出力方法、画像解析装置、画像解析方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンテンツに電子透かしを挿入して、コンテンツの著作者名、使用許諾条件等のデータをコンテンツに付加する技術が知られている。このような電子透かしの挿入方法の一例として、データに基づいて生成されるパターン画像をコンテンツ画像に重畳する方法がある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-15396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の方法では、パターン画像が複数あれば差分攻撃によってデータとパターン画像との間の関係性が看破され、パターン画像が改ざんされるおそれがある。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、パターン画像の改ざんを防止することを可能とする画像出力装置、画像出力方法、画像解析装置、画像解析方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係る画像出力装置は、識別情報を取得する取得部と、周波数領域において、周波数成分を識別情報に基づいて配置して周波数成分のパターンを設定するパターン設定部と、周波数領域においてパターンを回転させることによりパターンを変換する変換部と、変換されたパターンを周波数領域から空間領域に領域変換したパターン画像を生成するパターン画像生成部と、パターン画像を出力する出力部と、を有することを特徴とする。
【0007】
また、画像出力装置は、鍵情報を設定する鍵情報設定部をさらに有し、変換部は、鍵情報に基づいてパターンを変換することが好ましい。
【0008】
また、鍵情報設定部は、任意のデータを鍵情報として設定することが好ましい。
【0009】
また、画像出力装置は、ナンス値を生成するナンス生成部をさらに有し、変換部は、ナンス値に基づいてパターンを変換することが好ましい。
【0010】
また、画像出力装置は、鍵情報を設定する鍵情報設定部、および/または、ナンス値を生成するナンス生成部をさらに有し、変換部は、鍵情報および/またはナンス値に基づいてパターンの回転角を決定することが好ましい。
【0011】
また、画像出力装置は、ナンス値を含む情報コード画像を生成するコード画像生成部をさらに有し、出力部は、情報コード画像をパターン画像とともに出力することが好ましい。
【0012】
また、コード画像生成部は、ナンス値をURLパラメータとして含むURLを示す情報コード画像を生成することが好ましい。
【0013】
また、出力部は、パターン画像と情報コード画像とを重畳して出力することが好ましい。
【0014】
また、パターン設定部は、周波数領域にあらかじめ設定された複数の配置位置のうち、識別情報に基づいて選択された配置位置に周波数成分を配置することが好ましい。
【0015】
また、複数の配置位置は、周波数領域において原点を中心とする一つまたは複数の円上に配置されることが好ましい。
【0016】
また、出力部は、パターン画像と基本画像とを重畳して出力することが好ましい。
【0017】
本発明の実施形態に係る画像出力方法は、画像出力装置によって実行される画像出力方法であって、識別情報を取得し、周波数領域において、周波数成分を識別情報に基づいて配置して周波数成分のパターンを設定し、周波数領域においてパターンを回転させることによりパターンを変換し、変換されたパターンを周波数領域から空間領域に領域変換したパターン画像を生成し、パターン画像を出力する、ことを含むことを特徴とする。
【0018】
本発明の実施形態に係るプログラムは、識別情報を取得し、周波数領域において、周波数成分を識別情報に基づいて配置して周波数成分のパターンを設定し、周波数領域においてパターンを回転させることによりパターンを変換し、変換されたパターンを周波数領域から空間領域に領域変換したパターン画像を生成し、パターン画像を出力する、ことをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0019】
本発明の実施形態に係る画像解析装置は、パターン画像を取得する画像取得部と、パターン画像を空間領域から周波数領域に領域変換することにより、周波数領域に配置された周波数成分のパターンを生成するパターン生成部と、周波数領域においてパターンを回転させることによりパターンを変換する変換部と、変換されたパターンを解析して識別情報を抽出する抽出部と、識別情報を出力する出力部と、を有することを特徴とする。
【0020】
本発明の実施形態に係る画像解析方法は、画像解析装置によって実行される画像解析方法であって、パターン画像を取得し、パターン画像を空間領域から周波数領域に領域変換することにより、周波数領域に配置された周波数成分のパターンを生成し、周波数領域においてパターンを回転させることによりパターンを変換し、変換されたパターンを解析して識別情報を抽出し、識別情報を出力する、ことを含むことを特徴とする。
【0021】
本発明の実施形態に係るプログラムは、パターン画像を取得し、パターン画像を空間領域から周波数領域に領域変換することにより、周波数領域に配置された周波数成分のパターンを生成し、周波数領域においてパターンを回転させることによりパターンを変換し、変換されたパターンを解析して識別情報を抽出し、識別情報を出力する、ことをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る画像出力装置、画像出力方法、画像解析装置、画像解析方法およびプログラムは、パターン画像の改ざんを防止することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】画像生成システム1の概略構成を示す模式図である。
図2】画像出力装置2の機能ブロック図である。
図3】画像解析装置3の機能ブロック図である。
図4】周波数成分のパターンの例を示す模式図である。
図5】周波数領域において変換されたパターンの例を示す模式図である。
図6】周波数領域から空間領域に領域変換されたパターン画像Pの例を示す図である。
図7】(A)および(B)は、パターン画像Pおよび情報コード画像Cの出力態様の例を示す模式図である。
図8】移動パターンテーブルT1のデータ構造の例を示す図である。
図9】画像出力処理の流れの例を示すフロー図である。
図10】画像解析処理の流れの例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しつつ、本発明の様々な実施形態について説明する。本発明の技術的範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明及びその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0025】
図1は、本発明の実施形態に係る画像生成システム1の概略構成を示す模式図である。画像生成システム1は、画像出力装置2および画像解析装置3を有する。画像出力装置2は、所定の識別情報に基づく電子透かしであるパターン画像Pおよびパターン画像Pを解析するための情報が含まれる情報コード画像Cを出力する。情報コード画像Cは、例えば一次元コードまたは二次元コードの画像である。二次元コードは、例えば特許第5908113号公報に記載されたものである。画像解析装置3は、パターン画像Pおよび情報コード画像Cを取得して解析することにより識別情報を取得する。画像生成システム1は、パターン画像Pおよび情報コード画像Cを画像データまたは印刷物であるコンテンツに挿入することにより識別情報をコンテンツに付与する。
【0026】
図2は、画像出力装置2の機能ブロック図である。画像出力装置2は、PC(Personal Computer)、サーバ、タブレット端末、携帯電話機、スマートフォン、携帯ゲーム機等の情報処理端末である。画像出力装置2は、記憶部21、通信部22、表示部23、印刷部24および処理部25を有する。
【0027】
記憶部21は、プログラムおよびデータを記憶するための構成であり、例えば半導体メモリを備える。記憶部21は、プログラムとして、処理部25による処理に用いられるオペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム等を記憶する。プログラムは、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)等のコンピュータ読取可能かつ非一時的な可搬型記憶媒体から記憶部21にインストールされる。
【0028】
通信部22は、画像出力装置2を他の装置と通信可能にする構成であり、通信インタフェース回路を備える。通信部22が備える通信インタフェース回路は、有線LAN(Local Area Network)、無線LAN等の通信インタフェース回路である。通信部22は、データを他の装置から受信して処理部25に供給するとともに、処理部25から供給されたデータを他の装置に送信する。
【0029】
表示部23は、画像を表示するための構成であり、例えば液晶ディスプレイまたは有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイを備える。表示部23は、処理部25から供給された表示データに基づいて画像を表示する。
【0030】
印刷部24は、画像を媒体に印刷するための構成であり、プリンタを備える。プリンタは、例えばインクジェットプリンタ、レーザプリンタ、熱転写プリンタ等である。印刷部24は、処理部25から供給された印刷データに基づいて画像を媒体に印刷する。
【0031】
処理部25は、画像出力装置2の動作を統括的に制御する構成であり、一つまたは複数のプロセッサおよびその周辺回路を備える。処理部25は、例えばCPU(Central Processing Unit)を備える。処理部25は、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等を備えてもよい。処理部25は、記憶部21に記憶されているプログラムに基づいて画像出力装置2の各種処理が適切な手順で実行されるように、各構成の動作を制御するとともに、各種の処理を実行する。
【0032】
処理部25は、取得部251、パターン設定部252、鍵情報設定部253、ナンス生成部254、ハッシュ生成部255、変換部256、パターン画像生成部257、コード画像生成部258および出力部259を機能ブロックとして有する。これらの各部は、処理部25が実行するプログラムによって実現される機能モジュールである。これらの各部は、演算回路として画像出力装置2に実装されてもよい。
【0033】
図3は、画像解析装置3の機能ブロック図である。画像解析装置3は、PC、サーバ、タブレット端末、携帯電話機、スマートフォン、携帯ゲーム機等の情報処理端末である。画像解析装置3は、記憶部31、通信部32、撮像部33および処理部34を有する。
【0034】
記憶部31は、プログラムおよびデータを記憶するための構成であり、例えば半導体メモリを備える。記憶部31は、プログラムとして、処理部34による処理に用いられるオペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム等を記憶する。プログラムは、CD-ROM、DVD-ROM等のコンピュータ読取可能かつ非一時的な可搬型記憶媒体から記憶部31にインストールされる。
【0035】
通信部32は、画像解析装置3を他の装置と通信可能にする構成であり、通信インタフェース回路を備える。通信部32が備える通信インタフェース回路は、有線LAN、無線LAN等の通信インタフェース回路である。通信部32は、データを他の装置から受信して処理部34に供給するとともに、処理部34から供給されたデータを他の装置に送信する。
【0036】
撮像部33は、撮像画像を生成するための構成であり、例えばカメラを備える。カメラは、受光面に結像させるための結像光学系と、受光面に二次元に配列され、入射した光量に応じた電気信号を出力するCCD(Charge Coupled Device)センサ等の光電変換素子と、光電変換素子の出力に基づいて画像を生成する画像生成回路とを備える。撮像部33は、処理部34から供給される制御信号に基づいて画像を生成し、生成された画像を処理部34に供給する。
【0037】
処理部34は、画像解析装置3の動作を統括的に制御する構成であり、一つまたは複数のプロセッサおよびその周辺回路を備える。処理部34は、例えばCPUを備える。処理部34は、GPU、DSP、LSI、ASIC、FPGA等を備えてもよい。処理部34は、記憶部31に記憶されているプログラムに基づいて画像解析装置3の各種処理が適切な手順で実行されるように、各構成の動作を制御するとともに、各種の処理を実行する。
【0038】
処理部34は、画像取得部341、鍵情報取得部342、ナンス取得部343、ハッシュ生成部344、パターン生成部345、変換部346、抽出部347および出力部348を機能ブロックとして有する。これらの各部は、処理部34が実行するプログラムによって実現される機能モジュールである。これらの各部は、演算回路として画像解析装置3に実装されてもよい。
【0039】
以下では、図4図7を用いて、画像出力装置2が識別情報に基づいてパターン画像Pを出力する処理の概要について説明する。画像出力装置2は、識別情報に基づいて、二次元の周波数空間である周波数領域に周波数成分を配置して周波数成分のパターンを設定する。画像出力装置2は、設定されたパターンを周波数領域において変換する。画像出力装置2は、変換されたパターンを周波数領域から空間領域に領域変換することによりパターン画像を生成する。
【0040】
図4は、画像出力装置2によって設定される周波数成分のパターンの例を示す模式図である。周波数成分が配置される配置位置は、周波数領域において原点を中心とする複数の円上に設定される。図4に示す例では、周波数領域に原点を中心とする半径R1およびR2の円上に配置位置が設定されている。半径R1およびR2は、生成されるパターン画像Pの横方向の画素数Nxの半分よりも小さく、かつパターン画像Pの縦方向の画素数Nyの半分よりも小さい値に設定される。
【0041】
画像出力装置2は、周波数領域にあらかじめ設定された複数の配置位置のうち、識別情報に基づいて選択された配置位置に周波数成分を配置する。図4に示す例では、半径R1の円上のうち、周波数空間の第1象限および第2象限に対応する部分には、6個の配置位置P1-P6があらかじめ設定されている。識別情報に基づいて選択された配置位置P1、P2、P4およびP5(白塗りで図示)には周波数成分が配置されており、選択されなかった配置位置P3およびP6(黒塗りで図示)には周波数成分が配置されていない。ここで、配置位置に周波数成分が配置されているとは、配置位置における空間周波数スペクトルが非ゼロ(例えば、1)であることをいう。また、配置位置に周波数成分が配置されていないとは、配置位置における空間周波数スペクトルがゼロであることをいう。図4に示す例では、6個の配置位置P1-P6のそれぞれに周波数成分が配置される場合と配置されない場合とがあるため、64通りの識別情報が表現される。
【0042】
半径R2の円上のうち、周波数空間の第1象限および第2象限に対応する部分には、あらかじめ設定された配置位置Q1-Q3の全てに周波数成分が配置される。配置位置Q1-Q3は円上で不等間隔に配置され、画像解析装置3がパターン画像Pの撮影角度を検出するために用いられる。なお、周波数領域の配置位置P1-P6およびQ1-Q3以外の位置の空間周波数スペクトルはゼロである。
【0043】
このように、配置位置が原点を中心とする円上に配置されることにより、画像解析装置3が周波数成分を検出することが容易になる。
【0044】
図5は、周波数領域において変換されたパターンの例を示す模式図である。例えば、パターンは、識別情報に基づいて配置された周波数成分が複数の配置位置P1-P6の間で移動され、かつパターンが回転されることにより変換される。図5に示す例では、配置位置P5とP6との間で周波数成分が入れ替わるように移動されている。また、原点を中心として正方向(反時計回り方向)に周波数成分のパターンが回転されている。周波数成分の移動およびパターンの回転は、鍵情報および/またはナンス(nonce)値に基づいて実行される。
【0045】
図6は、周波数領域から空間領域に領域変換されたパターン画像Pの例を示す図である。周波数領域において変換されたパターンは、二次元逆離散フーリエ変換により、空間領域に領域変換される。なお、パターン画像Pの各画素の輝度値が正の実数値となるように、領域変換がされる前に、変換されたパターンと原点に関して点対称となるような周波数成分がさらに配置されるとともに、周波数領域の原点に周波数成分(直流成分)が配置される。
【0046】
図7(A)および(B)は、パターン画像Pおよび情報コード画像Cの出力態様の例を示す模式図である。図7(A)に示す例では、パターン画像Pと情報コード画像Cとが重畳されて出力されている。情報コード画像Cは、周波数成分のパターンの変換に用いられたナンス値を含む画像である。パターン画像Pと情報コード画像Cとの識別が容易になるように、パターン画像Pと情報コード画像Cとは異なる色相、彩度または明度で表示されてよい。図7(A)に示す例では、パターン画像Pと情報コード画像Cとは異なる明度で表示されている。図7(B)に示す例では、パターン画像Pはコンテンツである基本画像Iに重畳されて表示されている。また、情報コード画像Cはパターン画像Pに近接して配置されている。
【0047】
図8は、画像出力装置2の記憶部21に記憶される移動パターンテーブルT1のデータ構造の例を示す図である。移動パターンテーブルT1は、複数の配置位置の間で周波数成分が移動される場合の移動パターンを記憶する。移動パターンテーブルT1は、移動パターンごとに、各配置位置の移動先を記憶する。
【0048】
図8に示す例では、周波数領域に6個の配置位置P1-P6が設定されているため、その移動パターンは6!=720通りである。720通りの移動パターンのそれぞれについて、移動前の配置位置P1-P6の移動先となる配置位置が記憶されている。例えば、移動パターン#1においては、配置位置P1-P4の周波数成分は移動されず、配置位置P5とP6との間で周波数成分が入れ替わるように移動されることが示されている。なお、配置位置の周波数成分が移動されるとは、配置位置の空間周波数スペクトルの値が他の配置位置の空間周波数スペクトルの値として設定されることをいう。
【0049】
移動パターンテーブルT1のデータは、あらかじめ設定される。なお、画像解析装置3の記憶部31には、移動パターンテーブルT1の各移動パターンの移動前と移動先を入れ替えたテーブルが記憶される。
【0050】
図9は、画像出力装置2によって実行される画像出力処理の流れの例を示すフロー図である。画像出力処理は、識別情報に基づいてパターン画像Pを生成して出力するための処理である。画像出力処理は、記憶部21に記憶されたプログラムに基づいて、処理部25が画像出力装置2の他の構成と協働することにより実現される。
【0051】
最初に、取得部251は、識別情報を取得する(ステップS101)。識別情報は、コンテンツに挿入される任意の情報である。例えば、識別情報は、コンテンツの作成者、著作権者等を識別する情報である。識別情報は、コンテンツの利用許諾を受けた者や利用許諾の条件を示す情報でもよい。例えば、取得部251は、通信部22を介して識別情報を他の装置から受信することにより出力する。
【0052】
次に、パターン設定部252は、周波数領域において、周波数成分を識別情報に基づいて配置して周波数成分のパターンを設定する(ステップS102)。パターン設定部252は、周波数領域にあらかじめ設定された複数の配置位置のうち、あらかじめ設定された識別情報と配置位置との関係に基づいて選択される配置位置に周波数成分を配置する。
【0053】
次に、鍵情報設定部253は、鍵情報を設定する(ステップS103)。鍵情報は、画像出力装置2が識別情報に基づいてパターン画像Pを生成するため、および画像解析装置3がパターン画像Pから識別情報を抽出するために、画像出力装置2の記憶部21および画像解析装置3の記憶部31にあらかじめ記憶される同一の情報である。それ以外に、鍵情報は、パスワード入力のような外部からのデータの入力や、アクティベーションを必要とするサーバに格納して暗号化による通信で取得されることによって設定されてもよい。鍵情報は秘匿されたデータであることが望ましく、また一定以上の情報量であることが望ましい。鍵情報は任意に設定された値でも、ランダムに生成した値でもよい。また、鍵情報設定部253は、これらの値をさらに加工したハッシュ値などを鍵情報として設定してもよい。
【0054】
次に、ナンス生成部254は、ナンス値を生成する(ステップS104)。ナンス値は、画像出力処理ごとに生成される値であり、例えばランダムな整数値である。ナンス値は、ランダムな文字列でもよい。また、ナンス生成部254は、ナンス値をランダムではなく一意に生成してもよい。
【0055】
次に、ハッシュ生成部255は、ナンス値と鍵情報とに基づいてハッシュ値を生成する(ステップS105)。ハッシュ生成部255は、ナンス値および鍵情報を連結(concatenate)し、連結された値にハッシュ関数を適用することによりハッシュ値を生成する。ハッシュ生成部255は、ナンス値を用いることなく鍵情報にハッシュ関数を適用することによりハッシュ値を生成してもよい。
【0056】
ハッシュ値を用いる理由として、後述する変換部での周波数成分の変換に規則性を見出しにくくする目的がある。そのため、ハッシュ生成部255は、連結された値にハッシュ以外の処理を適用することで得られた乱数をハッシュ値としてもよい。
【0057】
次に、変換部256は、周波数成分のパターンを変換する(ステップS106)。変換部256は、周波数領域において、ハッシュ値に基づいて、パターンに含まれる周波数成分を複数の配置位置の間で移動させ、周波数成分が移動されたパターンを回転させることによりパターンを変換する。
【0058】
例えば、変換部256は、あらかじめ記憶部21に記憶された移動パターンに基づいて周波数成分の配置位置を移動させる。変換部256は、ハッシュ値に基づいて、移動パターンテーブルT1に記憶された複数の移動パターンのうちの一つを選択する。例えば、変換部256は、ハッシュ値を移動パターンの数で除した余りに基づいて移動パターンを選択する。図8に示した例では、移動パターンテーブルT1に720通りの移動パターンが記憶されているため、変換部256はハッシュ値を720で除した余りに対応する番号の移動パターンを選択する。このようにすることで、各移動パターンが選択される確率が均等になる。
【0059】
また、変換部256は、ハッシュ値に基づいて回転角を決定し、原点を中心として、決定された回転角だけ周波数成分のパターンを回転させる。回転角は、ハッシュ値から抽出された数値に単位角度を乗じた角度である。ハッシュ値から抽出される数値は、例えば、ハッシュ値を示すバイト列のうち所定のバイト位置に対応する2バイトが示す、0以上65536未満の整数値である。この場合、単位角度は、360度を65536で除した角度に設定される。このようにすることで、回転角の分布が均等になる。
【0060】
次に、パターン画像生成部257は、変換されたパターンを周波数領域から空間領域に領域変換したパターン画像Pを生成する(ステップS107)。パターン画像生成部257は、パターンを領域変換したときに空間領域におけるパターン画像Pの画素値が実数値となるように、変換されたパターンと原点に関して点対称となるように周波数成分を配置する。また、パターン画像生成部257は、パターンを領域変換したときに空間領域におけるパターン画像Pの画素値が正の実数値になるように、原点に周波数成分を配置する。パターン画像生成部257は、周波数成分のパターンに二次元逆離散フーリエ変換を適用することによりパターン画像Pを生成する。
【0061】
次に、コード画像生成部258は、ナンス値を含む情報コード画像Cを生成する(ステップS108)。例えば、コード画像生成部258は、ナンス値をURL(Uniform Resource Locator)パラメータとして含むURLを示す情報コード画像Cを生成する。ナンス値をURLパラメータとして含むURLは、例えば「http://test.sample/mypege.html?nonce=12321」のようなURLである。コード画像生成部258は、URLを所定の方式に従って符号化した二次元コード画像を生成する。URLは、例えばパターン画像Pの画像解析操作について説明するコンテンツと関連付けることができる。このようにナンス値をURLパラメータとして含むURLを示す情報コード画像とすることで、URLを何らかのコンテンツと関連付けて利用しながらナンス値をも埋め込み、限られた印刷スペースを有効活用することができる。
【0062】
次に、出力部259は、情報コード画像Cおよびパターン画像Pを出力する(ステップS109)。例えば、出力部259は、印刷部24を制御して情報コード画像Cおよびパターン画像Pを媒体に印刷することにより出力する。出力部259は、情報コード画像Cおよびパターン画像Pを表示部23に表示することにより出力してもよい。出力部259は、通信部22を介して、情報コード画像Cおよびパターン画像Pの画像データを他の装置に送信することにより出力してもよい。出力部259は、パターン画像Pと情報コード画像Cとを重畳して出力する。このように重畳することで、限られたスペースを有効に活用できる。出力部259は、パターン画像Pと情報コード画像Cとを重畳せずに相互に近接して配置して出力してもよい。パターン画像Pと情報コード画像Cとが重畳されるか、相互に近接して配置された場合、一度の撮影で画像解析が可能となる。出力部259は、パターン画像Pとコンテンツである基本画像とを重畳して出力してもよい。以上で、画像出力処理が終了する。
【0063】
図10は、画像解析装置3によって実行される画像解析処理の流れの例を示すフロー図である。画像解析処理は、パターン画像を解析して識別情報を抽出するための処理である。画像解析処理は、記憶部31に記憶されたプログラムに基づいて、処理部34が画像解析装置3の他の構成と協働することにより実現される。
【0064】
最初に、画像取得部341は、情報コード画像Cおよびパターン画像Pを取得する(ステップS201)。例えば、画像取得部341は、撮像部33を制御して、情報コード画像Cおよびパターン画像Pが印刷された媒体または情報コード画像Cおよびパターン画像Pが表示された表示部23を撮像することにより情報コード画像Cおよびパターン画像Pを取得する。画像取得部341は、通信部32を介して、情報コード画像Cおよびパターン画像Pを受信することにより取得してもよい。
【0065】
次に、鍵情報取得部342は、記憶部31に記憶された鍵情報を取得する(ステップS202)。記憶部31に記憶された鍵情報は、記憶部21に記憶された鍵情報と同一の情報である。
【0066】
次に、ナンス取得部343は、情報コード画像Cからナンス値を取得する(ステップS203)。例えば、ナンス取得部343は、公知の解析技術を用いて情報コード画像Cを解析することにより、情報コード画像CからURLを取得する。ナンス取得部343は、取得したURLにパラメータとして含まれるナンス値を取得する。
【0067】
次に、ハッシュ生成部344は、ナンス値と、識別情報を復号するための鍵情報とに基づいてハッシュ値を生成する(ステップS204)。ハッシュ生成部344は、ハッシュ生成部344は、ナンス値および鍵情報取得部342によって取得された鍵情報を連結し、連結された値にハッシュ関数を適用することによりハッシュ値を生成する。ハッシュ生成部344により適用されるハッシュ関数は、画像出力処理のステップS105で適用されるハッシュ関数と同一である。これにより、ハッシュ生成部344は、ステップS105で生成されたハッシュ値と同一のハッシュ値を生成する。
【0068】
次に、パターン生成部345は、パターン画像Pを空間領域から周波数領域に領域変換することにより、周波数領域に配置された周波数成分のパターンを生成する(ステップS205)。パターン生成部345は、パターン画像Pに二次元離散フーリエ変換を適用することにより周波数成分のパターンを生成する。
【0069】
次に、変換部346は、周波数領域において、ハッシュ値に基づいて周波数成分のパターンを変換する(ステップS206)。変換部346は、周波数領域において、ハッシュ値に基づいて、パターンを回転させ、回転されたパターンに含まれる周波数成分を複数の配置位置の間で移動させることによりパターンを変換する。
【0070】
例えば、変換部346は、原点を中心として、ハッシュ値に基づいて回転角を決定し、決定された回転角だけ周波数成分のパターンを回転させる。回転角は、ハッシュ値から抽出された数値に所定の単位角度を乗じた角度である。ハッシュ値から抽出される数値は、例えば、ハッシュ値を示すバイト列のうち所定のバイト位置に対応する2バイトが示す、0以上65536未満の整数値である。この場合、単位角度は、例えば、360度を65536で除した角度の負値に設定される。このように決定された回転角は、画像出力処理のステップS106において決定された回転角の負値である。すなわち、変換部346は、ステップS106において回転されたパターンを、元に戻るように逆回転させる。
【0071】
また、変換部346は、あらかじめ記憶部31に記憶された移動パターンに基づいて周波数成分の配置位置を移動させる。変換部256は、ハッシュ値に基づいて、記憶部31に記憶された複数の移動パターンのうちの一つを選択する。記憶部31に記憶された移動パターンは、記憶部21に記憶された移動パターンテーブルT1の移動前と移動先とを入れ替えたパターンである。すなわち、変換部346は、ステップS105において移動された周波数成分の配置位置が元に戻るように逆移動させる。
【0072】
また、変換部346は、パターン画像の撮影角度を検出するための周波数成分の配置に基づいて、周波数成分のパターンを補正する。例えば、変換部346は、周波数成分の配置位置が移動されたパターンに含まれる周波数成分のうち、周波数空間の原点に近い所定数の周波数成分を抽出する。変換部346は、抽出した周波数成分の原点からの距離がR2となり、かつ抽出した周波数成分の配置位置があらかじめ設定された配置位置(図4図5に示した配置位置Q1-Q3)となるようにパターンを回転および拡縮させることにより、パターンを補正する。
【0073】
次に、抽出部347は、変換されたパターンを解析して識別情報を抽出する(ステップS207)。抽出部347は、変換されたパターンのうち、第3象限、第4象限および原点に配置された周波数成分を除去する。抽出部347は、あらかじめ記憶された周波数成分のパターンと識別情報との関係から、残った周波数成分の配置位置に対応する識別情報を抽出する。
【0074】
次に、出力部348は、抽出された識別情報を出力する(ステップS208)。例えば、出力部348は、通信部32を介して、識別情報を他の装置に送信することにより出力する。以上で、画像解析処理が終了する。
【0075】
以上説明したように、画像出力装置2は、識別情報に基づく周波数成分のパターンを回転させることにより変換し、さらに周波数領域から空間領域に領域変換することによりパターン画像を生成する。周波数領域においてパターンを回転させることにより、識別情報とパターン画像との間の関係性が看破されにくくなる。したがって、画像出力装置2は、パターン画像の改ざんを防止することを可能とする。
【0076】
また、画像出力装置2は、鍵情報に基づいて周波数成分のパターンを変換する。画像出力装置2および画像解析装置3とは異なる装置または者に対して秘匿された鍵情報に基づいてパターンを変換することにより、識別情報とパターン画像との間の関係性が看破されにくくなる。このようにすることで、パターンの回転角の大きさがランダムになり、識別情報とパターン画像との間の関係性がより看破されにくくなる。したがって、画像出力装置2は、パターン画像の改ざんをより適切に防止することを可能とする。
【0077】
また、画像出力装置2は、ナンス値と鍵情報とに基づいて周波数成分のパターンを変換する。鍵情報が同一で識別情報が同じ場合、画像出力装置2で設定される周波数成分のパターンが同一となるが、画像を出力する度にナンス値を変化させることによりパターン画像が大きく変化するため、識別情報とパターン画像との間の関係性がより複雑になり看破されにくくなる。したがって、画像出力装置2は、パターン画像の改ざんをさらに適切に防止することを可能とする。
【0078】
また、画像出力装置2は、ナンス値を含む情報コード画像をパターン画像とともに出力する。このようにすることで、画像解析装置3は、パターン画像を撮像するときに同時に情報コード画像を撮像してナンス値を取得することができる。したがって、画像出力装置2は、正当な権限を有する者がパターン画像を解析することを容易にする。
【0079】
画像解析装置3は、パターン画像を空間領域から周波数領域に領域変換し、さらに周波数領域において周波数成分のパターンを回転させることによりパターンを変換し、変換されたパターンから識別情報を抽出する。このようにすることで、画像解析装置3は、パターン画像の改ざんを防止することを可能とする。
【0080】
画像生成システム1には、次のような変形例が適用されてもよい。
【0081】
上述した説明では、画像出力処理のステップS102において、半径R1の円上に設定された複数の配置位置のうちから識別情報に基づいて選択された配置位置に周波数成分が配置されるものとしたが、このような例に限られない。識別情報に基づいて周波数成分が配置される配置位置は、単一の円上ではなく相互に半径が異なる複数の円上に設定されてもよい。
【0082】
上述した説明では、半径R2の円上に設定された配置位置に、パターン画像の撮影角度を検出するための周波数成分が配置されるものとしたが、このような例に限られない。パターン画像の撮影角度を検出するための周波数成分は配置されなくてもよい。また、撮影角度を検出するための周波数成分の配置位置は、識別情報に基づいて周波数成分が配置される配置位置と同一の円上に設定されてもよい。すなわち、複数の配置位置は周波数領域において原点を中心とする一つの円上に設定されてもよい。
【0083】
上述した説明では、画像出力処理のステップS106において、ナンス値および鍵情報に基づいて生成されたハッシュ値に基づいてパターンが変換されるものとしたが、このような例に限られない。変換部256は、鍵情報に基づくことなく、ナンス値のみに基づいてパターンを変換してもよい。この場合、画像出力装置2は、鍵情報設定部253を有しなくてもよい。また、この場合、画像解析処理のステップS206において、変換部346は鍵情報に基づくことなくナンス値のみに基づいてパターンを変換する。同様に、変換部256は、ナンス値に基づくことなく、鍵情報のみに基づいてパターンを変換してもよい。この場合、画像出力装置2は、ナンス生成部254を有しなくてもよい。また、この場合、画像解析処理のステップS206において、変換部346はナンス値に基づくことなく鍵情報のみに基づいてパターンを変換する。
【0084】
上述した説明では、画像出力処理のステップS106において、識別情報に基づいて配置された周波数成分が複数の配置位置の間で移動されるものとしたが、さらに撮影角度を検出するために配置された周波数成分が移動されてもよい。このようにすることで、識別情報とパターン画像との間の関係性がより看破されにくくなり、パターン画像の改ざんがより適切に防止される。このとき、識別情報に基づいて周波数成分が配置される配置位置の間、および撮影角度を検出するために周波数成分が配置される配置位置の間でそれぞれ周波数成分が移動されてもよく、これらを区別せずに全ての配置位置の間で周波数成分が移動されてもよい。この場合、画像解析処理のステップS206において、変換部346は撮影角度を検出するための周波数成分の配置位置が元に戻るように逆移動させる。
【0085】
上述した説明では、画像出力処理のステップS106において、周波数成分のパターンが回転されるものとしたが、パターンに含まれる全ての周波数成分ではなく一部の周波数成分のみが回転されるものとしてもよい。例えば、変換部256は、識別情報に基づいて配置された周波数成分のみを回転し、撮影角度を検出するための周波数成分を回転しなくてもよい。この場合、画像解析処理のステップS206において、変換部346は、識別情報に基づいて配置された周波数成分のみを逆回転させる。
【0086】
また、周波数成分は、配置位置が設定されている円ごとに、すなわち配置位置と原点との距離に応じて異なる角度だけ回転されてもよい。例えば、変換部256は、ハッシュ値を示すバイト列のうち、複数の円のそれぞれについて相互に異なるバイト位置に対応する2バイトが示す整数値を抽出する。変換部256は、抽出された整数値に単位角度を乗じた角度だけ周波数成分を回転させる。このようにすることで、識別情報とパターン画像との間の関係性がより看破されにくくなり、パターン画像の改ざんがより適切に防止される。この場合、画像解析処理のステップS206において、変換部346は周波数成分の配置位置が設定されている円ごとに異なる角度だけ周波数成分を回転させる。
【0087】
上述した説明では、画像出力処理のステップS106において、パターンに含まれる周波数成分が複数の配置位置の間で移動され、周波数成分が移動されたパターンが回転されることによりパターンが変換されるものとしたが、このような例に限られない。変換部256は、周波数成分を複数の配置位置の間で移動させることなく、パターンの回転のみを行ってもよい。この場合、画像解析処理のステップS206において、変換部346は周波数成分を逆移動させることなく逆回転させる。
【0088】
上述した説明では、画像出力処理のステップS108において、ナンス値をパラメータとして含むURLを示す情報コード画像が生成されるものとしたが、このような例に限られない。コード画像生成部257は、例えばナンス値を示す文字列を符号化することにより情報コード画像を生成してもよい。また、コード画像生成部257は、ナンス値を示す文字列自体を含む画像を生成してもよい。
【0089】
上述した画像出力装置2および画像解析装置3の機能は、複数の装置によって実現されてもよい。
【0090】
当業者は、本発明の範囲から外れることなく、様々な変更、置換及び修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。例えば、上述した実施形態及び変形例は、本発明の範囲において、適宜に組み合わせて実施されてもよい。
【符号の説明】
【0091】
2 画像出力装置
251 取得部
252 パターン設定部
253 鍵情報設定部
254 ナンス生成部
255 ハッシュ生成部
256 変換部
257 パターン画像生成部
258 コード画像生成部
259 出力部
3 画像解析装置
341 画像取得部
342 鍵情報取得部
343 ナンス取得部
344 ハッシュ生成部
345 パターン生成部
346 変換部
347 抽出部
348 出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10