(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115841
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】冊子展示用額縁
(51)【国際特許分類】
A47G 1/06 20060101AFI20240820BHJP
【FI】
A47G1/06 H
A47G1/06 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021711
(22)【出願日】2023-02-15
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年10月17日に、「本と、もっと仲良くなる仕掛け展」にて、発明に係る冊子展示用額縁を公開した。
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122529
【弁理士】
【氏名又は名称】藤枡 裕実
(74)【代理人】
【識別番号】100135954
【弁理士】
【氏名又は名称】深町 圭子
(74)【代理人】
【識別番号】100119057
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英生
(74)【代理人】
【識別番号】100131369
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100171859
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 英之
(72)【発明者】
【氏名】浅見 友章
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 徹
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 智花
(72)【発明者】
【氏名】古郡 和子
【テーマコード(参考)】
3B111
【Fターム(参考)】
3B111AC05
3B111BA01
3B111BA03
3B111BC02
3B111BD03
3B111BE02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】冊子の損傷を抑制しながら、冊子の保持および展示、並びに取り外しが容易にでき、当該冊子や関連物品の意匠性や宣伝効果を向上できる、冊子展示用額縁を提供する。
【解決手段】枠状部10と収納部20とを備えた額縁1は、収納部に冊子100の表紙を挿入可能な挿入孔21が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠状部と収納部とを備えた額縁であって、
前記収納部には、冊子の表紙を挿入可能な挿入孔が設けられた、冊子展示用額縁。
【請求項2】
少なくとも第1の表紙および第2の表紙を有する冊子を保持および展示する冊子展示用額縁であって、
中央に開口を有する枠状の額縁本体と、
前記開口を通じて視認可能な第1面と当該第1面の反対側である第2面とを有する保持板を備え、
前記保持板には、前記冊子の前記第1の表紙を挿入可能な挿入孔が設けられ、
前記第1の表紙を、前記第1面側から前記挿入孔を通じて前記第2面側に挿入することで、前記冊子が前記保持板に保持され、かつ前記冊子が前記保持板の前記第1面側に掲出される、冊子展示用額縁。
【請求項3】
前記挿入孔は、第1挿入孔および第2挿入孔から構成され、
前記第1の表紙の上方の角部を、前記第1面側から前記第2面側に向けて前記第1挿入孔に挿入し、
前記第1の表紙の下方の角部を、前記第1面側から前記第2面側に向けて前記第2挿入孔に挿入することで、前記冊子が前記保持板に保持され、かつ前記冊子が前記保持板の前記第1面側に掲出される、請求項2に記載の冊子展示用額縁。
【請求項4】
前記挿入孔は、第3挿入孔および第4挿入孔から構成され、
前記第1の表紙を、前記第1面側から前記第2面側に向けて前記第3挿入孔に挿入し、前記第2面側から前記第1面側に向けて前記第4挿入孔に挿入することで、前記冊子が前記保持板に保持され、かつ前記冊子が前記保持板の前記第1面側に掲出されるか、または
前記第1の表紙を、前記第1面側から前記第2面側に向けて前記第3挿入孔に挿入し、前記第2の表紙を、前記第1面側から前記第2面側に向けて前記第4挿入孔に挿入することで、前記冊子が前記保持板に保持され、かつ開いた状態の前記冊子が前記保持板の前記第1面側に掲出される、請求項2に記載の冊子展示用額縁。
【請求項5】
前記保持板は、前記開口において前記第1面側に飛び出した台状部を備え、前記挿入孔が前記台状部に設けられている、請求項2に記載の冊子展示用額縁。
【請求項6】
前記額縁本体の前記開口を覆う、透明なカバー部をさらに備える、請求項2から請求項5の何れか一項に記載の冊子展示用額縁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冊子や冊子に関連する物品の意匠性や宣伝効果を向上できる、冊子展示用額縁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、絵画や写真等に限らず、商品カタログや雑誌の表紙等の芸術性の高い冊子を額に収納して展示することに対するニーズがあった。
【0003】
例えば、特許文献1には、本体部材と背面部材とを備え、背面部材の背面係合部は本体部材の第1本体係合部と第2本体係合部の一方に、本体部材と背面部材の裏板の間の間隔を変更することができるように係合した、商品カタログや雑誌の表紙等を展示可能な額縁構造が記載されている。本体部材には、表示窓部が形成され、表示窓部の周囲を囲むよう枠部が形成され、表示窓部の水平方向の左右両側の枠部の背面側に、第1本体係合部と第2本体係合部が上下方向に並んで設けられている。また背面部材は、外形が本体部材の表示窓部より大きく形成された裏板を備え、裏板の上端部の水平方向の左右両側に背面係合部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
商品カタログや雑誌、書籍等の冊子を損傷させることなく、作業性よく額縁に保持して展示用に飾ることができ、当該商品に係る物品や書籍等の意匠性や宣伝効果を高めることができれば便宜である。
【0006】
本発明に係る開示はこのような状況に鑑みてなされたものであり、冊子の損傷を抑制しながら、冊子の保持および展示、並びに取り外しが容易にでき、当該冊子や関連物品の意匠性や宣伝効果を向上できる、冊子展示用額縁を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施の形態による、枠状部と収納部とを備えた額縁の第1の構成は、前記収納部には、冊子の表紙を挿入可能な挿入孔が設けられた、冊子展示用額縁である。
【0008】
本実施の形態による、少なくとも第1の表紙および第2の表紙を有する冊子を保持および展示できる冊子展示用額縁の第2の構成は、中央に開口を有する枠状の額縁本体と、前記開口を通じて視認可能な第1面と当該第1面の反対側である第2面とを有する保持板と、を備え、前記保持板には、前記冊子の前記第1の表紙を挿入可能な挿入孔が設けられ、前記第1の表紙を、前記第1面側から前記挿入孔を通じて前記第2面側に挿入することで、前記冊子が前記保持板に保持され、かつ前記冊子が前記保持板の前記第1面側に掲出され、前記開口において前記保持板の前記第1面側に掲出された前記冊子を視認できる。
【0009】
また、本実施の別の形態による、少なくとも第1の表紙および第2の表紙を有する冊子を保持および展示できる冊子展示用額縁の第3の構成は、上記の第2の構成において、前記挿入孔は、第1挿入孔および第2挿入孔から構成され、前記第1の表紙の上方の角部を、前記第1面側から前記第2面側に向けて前記第1挿入孔に挿入し、前記第1の表紙の下方の角部を、前記第1面側から前記第2面側に向けて前記第2挿入孔に挿入することで、前記冊子が前記保持板に保持され、かつ前記冊子が前記保持板の前記第1面側に掲出されてもよい。
【0010】
また、本実施の別の形態による、少なくとも第1の表紙および第2の表紙を有する冊子を保持および展示できる冊子展示用額縁の第4の構成は、上記の第2の構成において、前記挿入孔は、第3挿入孔および第4挿入孔から構成され、前記第1の表紙を、前記第1面側から前記第2面側に向けて前記第3挿入孔に挿入し、前記第2面側から前記第1面側に向けて前記第4挿入孔に挿入することで、前記冊子が前記保持板に保持され、かつ前記冊子が前記保持板の前記第1面側に掲出されるか、または前記第1の表紙を、前記第1面側から前記第2面側に向けて前記第3挿入孔に挿入し、前記第2の表紙を、前記第1面側から前記第2面側に向けて前記第4挿入孔に挿入することで、前記冊子が前記保持板に保持され、かつ開いた状態の前記冊子が前記保持板の前記第1面側に掲出されてもよい。
【0011】
また、本実施の別の形態による、少なくとも第1の表紙および第2の表紙を有する冊子を保持および展示できる冊子展示用額縁の第5の構成は、上記の第2の構成から第4の構成のいずれか一つの構成において、前記保持板は、前記開口において前記第1面側に飛び出した台状部を備え、前記挿入孔が前記台状部に設けられていてもよい。
【0012】
また、本実施の別の形態による、少なくとも第1の表紙および第2の表紙を有する冊子を保持および展示できる冊子展示用額縁の第6の構成は、上記の第2の構成から第5の構成のいずれか一つの構成において、前記額縁本体の前記開口を覆う、透明なカバー部をさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本実施の形態によれば、冊子の損傷を抑制しながら、冊子の保持および展示、並びに取り外しが容易にでき、当該冊子や関連物品の意匠性や宣伝効果を向上できる、冊子展示用額縁を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示の第1実施形態に係る額縁の一例を説明する概略斜視図である。
【
図2】額縁への冊子の取り付け方法を説明する額縁の上方から見た断面を含む説明図である。
【
図3】本開示の第2実施形態に係る額縁の一例を説明する概略斜視図である。
【
図4】本開示の第3実施形態に係る額縁の一例を説明する概略斜視図である。
【
図5】額縁への冊子の取り付け方法を説明する額縁の上方から見た断面を含む説明図である。
【
図6】第3実施形態に係るの額縁の変形例を説明する概略斜視図および上方から見た断面を含む説明図である。
【
図7】本開示の第4実施形態に係る額縁の一例を説明する概略斜視図である。
【
図8】本開示の第5実施形態に係る額縁の一例を説明する概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面等を参照して、本開示の額縁の一例について説明する。ただし、本開示の額縁は、以下に説明する実施形態に係るものには限定されない。
【0016】
なお、以下に示す各図は、模式的に示したものである。そのため、各部の大きさ、形状、断面図における各層の厚さ等は理解を容易にするために適宜誇張している。また、各図において部材の断面を示すハッチングを適宜省略する。本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値および材料名は実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく適宜選択して使用することができる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直、鉛直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含むものとする。また、説明の便宜上、紙面に対して上方または下方等という語句を用いて説明することがあるが、上下方向が逆転してもよく、左右方向についても同様とする。
【0017】
1.本開示の第1実施形態
(a)冊子展示用額縁の構成
本開示の冊子展示用額縁の第1実施形態について説明する。冊子展示用額縁を単に額縁とも称する。
図1(a)は、冊子100が保持および展示された額縁1の概略斜視図であり、
図1(b)は、
図1(a)の額縁1において、特に保持板20の構成を説明するために冊子100を破線で表示した図である。
図2(a)は、
図1(a)の冊子100付きの額縁1を、上下方向に沿った略中央付近で上下方向に直交する平面で切った断面を上方から見た断面図である。
図2(b)および
図2(c)は、
図2(a)と同様な図であり、額縁1が冊子100を保持する構成および額縁1に冊子100を保持する方法を説明する図である。
【0018】
図1(a)や
図1(b)に示すように、額縁1は、冊子100を保持および展示できる冊子展示用額縁であり、例えば壁Wに固定することができる。額縁1は、冊子100を保持および展示できる、壁掛け等が可能な冊子展示用額縁である。額縁1は、中央に開口11を有する枠状の額縁本体10と、開口11を通じて視認可能な、向かって正面側を向く第1面20p、および背面側、例えば壁W側を向く当該第1面20pの反対側である第2面20qを備えた平板状の保持板20と、を備える。
【0019】
保持板20は額縁本体10と重畳するように重ねられていてもよく、額縁本体10の開口11の部分のみに配置されていてもよい。本実施形態では、保持板20の大部分が額縁本体10の開口11の部分に配置され、
図1(a)では保持板20より手前側(
図2(a)では保持板20より下方側)の額縁本体10の先端が開口11に向けて張り出した構造となっている。このため、額縁本体10は、保持板20が額縁1の手前側に飛び出すことを抑制するストッパーの機能を有している。
【0020】
また、保持板20の第1面20pには、冊子100の表表紙101または裏表紙102を挿入可能な挿入孔としてスリット21が設けられ、本実施形態では、裏表紙102を、第1面20p側からスリット21を通じて第2面20q側に挿入することで、裏表紙102が保持板20に固定される。その結果、冊子100が保持板20に保持され、かつ冊子100が保持板20の第1面20p側に掲出される。なお、冊子100が保持板20の第1面20p側に掲出されるということは、冊子100の全部を必ずしも意味するものではなく、保持板20の第2面20q側に挿入された裏表紙102等を除く、冊子100の大部分が掲出されることを示す。
【0021】
ここで、表表紙101および裏表紙102は、冊子100の表裏を構成する表紙を表し、表表紙101および裏表紙102のいずれか一方を第1の表紙と称し、他方を第2の表紙と称することがある。また、本実施形態では、冊子100が厚みのある書籍を想定して表表紙101および裏表紙102の間に背表紙103を有するものとしているが、本開示の冊子100は背表紙103を有しないものも含む。
【0022】
額縁本体10を枠状部とし、枠状部の内部の保持板20の配置領域を収納部とするとき、額縁1の当該収納部には、冊子100の表紙を挿入可能な挿入孔であるスリット21が設けられている。
【0023】
これにより、開口11において保持板20の第1面20p側に掲出された冊子100を視認できる。その結果、冊子100それ自体が単に展示されている場合と比べて、額縁1に配置された冊子100がこれを見る周囲の人への意外性をもたらし、冊子100への訴求効果が増すとともに、冊子100の意匠性や宣伝効果を向上できる。また、冊子100が商品等のカタログである場合はその商品等の意匠性や宣伝効果を向上できる。以下に、額縁1の構成の詳細を説明する。
【0024】
額縁本体10は、中央に開口11を有する枠状の部材であり、フレームとも称する。額縁本体10は、典型的には略矩形の枠と略矩形の開口11を有するが、三角形、多角形、円形、楕円形等任意の枠形状および開口形状をとることができ、矩形の枠形状および楕円形の開口形状等、枠形状および開口形状がそれぞれ異なる形状となってもよい。
【0025】
額縁本体10は、樹脂製、金属製、木製、厚紙製等、様々な部材で構成されてもよく、必要に応じて任意の装飾的な模様、デザインが彫刻、印刷等によって形成されてもよい。好適には、額縁本体10は印刷された平板状の厚紙を組み立てて形成され得る。こうすることで、展示する書籍に適した形状やデザインを有する額縁本体10を容易に設計、製造でき、展示後の額縁1の処分も容易となる。いずれにしても、額縁本体10は、開口11に配置する書籍等の冊子100を装飾することで意匠性や訴求性を向上させる機能を備えている。
【0026】
額縁本体10は、
図2(a)等に示すように、保持板20の第1面20p側から見たときに、枠状の最外周から開口の輪郭を形成する最内周に向けて、手前側から奥側に向かうテーパを有していてもよく、テーパのない左右方向に向けてフラットな面を形成していてもよい。また、テーパはその断面形状が直線的でもよく、凸状または凹状の円弧状であってもよい。額縁本体10がこのようなテーパを有することにより、開口11に配置される冊子100の存在を、周囲の人により効果的に印象付けることができる。
【0027】
額縁本体10の開口11の輪郭を形成する最内周には、その表面が保持板20の厚さ方向に沿うような段部12が形成されている。段部12が形成されることにより、額縁本体10が、保持板20よりも手前側に配置されることが印象付けられ、額縁本体10の立体感が強調されることにより、展示する冊子100の装飾効果を増すことができる。ただし、段部12は必ずしも必要ではない。
【0028】
額縁本体10の背面側、すなわち、保持板20の第2面20q側には、額縁本体10を補強する平板状の背面支持板30が設けられている。背面支持板30は、額縁本体10と着脱可能に、または着脱不可能に連結され、額縁本体10の開口11を裏側から塞ぐとともに、枠状の額縁本体10の変形や破損を抑制するための補強材として機能する。背面支持板30と額縁本体10とは、例えば接着剤、ねじ、釘、粘着テープ等で固定される。ただし、背面支持板30は額縁1の必須の構成要件ではなく、保持板20が背面支持板30の機能を兼用するものとしてもよい。
【0029】
背面支持板30は、樹脂製、金属製、木製、厚紙製等、様々な部材で構成されてもよい。背面支持板30は、その手前の保持板20によって隠蔽され、額縁1を正面側から見たときに視認されることはない。このため、特に装飾や着色等をする必要はない。また、背面支持板30には、額縁1を壁Wに掛ける際の壁W側の釘に引っ掛けるフック等を設けてもよい。
【0030】
額縁本体10の開口11の背面支持板30の手前側には、開口11を正面側から塞ぐように平板状の保持板20が配置される。また、必要に応じて、背面支持板30と保持板20との間には、保持板20の配置の奥行きを調整するためのスペーサ40が設けられてもよい。スペーサ40は、樹脂製、金属製、木製、厚紙製等、様々な部材で構成され得るが、中でも発泡樹脂やゴム製樹脂等の多少の圧縮が可能な部材であることが好ましい。スペーサ40は、保持板20の外周に沿った枠形状でもよく、それ以外の形状でもよい。
【0031】
なお、本実施形態では、スペーサ40が背面支持板30と保持板20との間にのみ配置されるものとしているが、これに加えて、保持板20と額縁本体10の段部12の内側との間に追加のスペーサをさらに配置してもよい。このように追加のスペーサを配置することで、よりきめ細かな保持板20の奥行き方向の位置調整ができる。
【0032】
本実施形態では、このように背面支持板30と保持板20との間にスペーサ40が設けられているため、スペーサ40が背面支持板30と保持板20との間の全面に配置されない限り、両者の間に空間Sが形成される。この空間Sは、後述するように、スリット21に冊子100の裏表紙102を挿入した際の裏表紙102の退避場所となる。
【0033】
保持板20は、樹脂製、金属製、木製、厚紙製等、様々な部材で構成され得る。保持板20は背面支持板30と異なり、額縁1の開口11に展示する冊子100の背景を構成する重要な部分であるため、必要に応じて、当該冊子100との適性を考慮した色彩、模様、装飾等が施されていてもよい。保持板20は、スペーサ40を介して背面支持板30と着脱不可能に固定されてもよく、単にスペーサ40および額縁本体10との間に挟まれることにより着脱可能に固定されていてもよい。ただし、保持板20には、スリット21を介して冊子100を保持するだけの強度や耐久性が要求される。
【0034】
保持板20の額縁1の正面を向く第1面20pには、冊子100の裏表紙102を挿入可能な挿入孔としてスリット21が設けられ、当該裏表紙を、スリット21に挿入することで、冊子100が保持板20の第1面20p側に保持される。その結果、保持板20の第1面20p側から額縁本体10および開口11において保持板20に保持された冊子100を視認することができる。冊子100の裏表紙102をスリット21に挿入することで冊子100の表表紙101を正面に見るように冊子100を視認することができる。
【0035】
ただし、冊子100の裏表紙102を正面に見るように冊子100を展示したい場合は、逆に冊子100の表表紙101をスリット21に挿入することで冊子100の裏表紙102を正面に見るように冊子100を視認することができる。このように、保持板20の挿入孔には、冊子100の表表紙101および裏表紙102のいずれかが挿入可能であればよい。
【0036】
本実施形態の挿入孔は、保持板20の上下方向に沿って設けられた、左右方向の幅が狭いスリット21であり、スリット21の上下方向の長さは冊子100の表表紙101または裏表紙102の高さと略同一か、若干これよりも長く設定されている。挿入孔は、冊子100の表表紙101または裏表紙102が挿入でき、これによって冊子100を保持板20に対して保持できる機能を有していればよいので、挿入孔はスリットではなく、ある程度の横幅のある孔であってもよい。ただし、冊子100が保持板20に対してぐらつくことが抑制でき、安定的に保持できる観点から、挿入孔が横幅の狭いスリットであることが好ましい。
【0037】
(b)冊子展示用額縁の使用方法
次に第1実施形態に係る冊子展示用額縁の使用方法について、主として
図2(a)、
図2(b)および
図2(c)に基づいて説明する。まず、
図2(b)に示すように、額縁1の手前(
図2(b)では下方)に、展示予定の冊子100を準備する。冊子100は、例えば書籍であり、表表紙101および裏表紙102の一方および他方である第1の表紙および第2の表紙と、背表紙103とを備え、表紙が適度の硬さとコシを有している。
【0038】
続いて、
図2(c)に示すように、冊子100の裏表紙102を開いてその先端を保持板20のスリット21に、第1面20p側から第2面20q側に向けて挿入していく。挿入量は適宜調整可能であるが、例えば裏表紙102の大半が挿入されるようにすることで、冊子100が保持板20に対して安定的に保持できる。
【0039】
このように、裏表紙102の大半を保持板20のスリット21に挿入することで、
図2(a)に示すように、裏表紙102の大半が背面支持板30と保持板20との間の空間Sに収納され、裏表紙102以外の冊子100の大部分が保持板20に当接するように配置される。これにより、接着剤等を用いることなく、また、ガラス板等を正面の全面に取り付ける必要もなく、スリット21に冊子100の表表紙101または裏表紙102、すなわち第1の表紙を挿入するだけで容易に冊子100を安定的に保持板20に対して固定することがでる。さらに、額縁1からの冊子100の取り外しも簡単にできる。
【0040】
(c)第1実施形態に係る冊子展示用額縁
このように、第1実施形態に係る冊子展示用額縁である額縁1は、裏表紙102を、第1面20p側から挿入孔であるスリット21を通じて第2面20q側に挿入することで、冊子100が保持板20に保持される。さらに、冊子100が保持板20の第1面20p側に掲出される。言い換えると、額縁本体10を枠状部とし、枠状部の内部の保持板20の配置領域を収納部とするとき、額縁1の当該収納部には、冊子100の表紙を挿入可能な挿入孔であるスリット21が設けられている。
【0041】
これにより、開口11において保持板20の第1面20p側に掲出された冊子100を視認できる。その結果、冊子100それ自体が単に展示されている場合と比べて、額縁1に配置された冊子100がこれを見る周囲の人への意外性をもたらし、冊子100への訴求効果が増すとともに冊子100の意匠性や宣伝効果を向上できる。また、冊子100が商品等のカタログである場合はその商品等の意匠性や宣伝効果を向上できる。
【0042】
2.本開示の第2実施形態
(a)冊子展示用額縁の構成
次に、本開示の冊子展示用額縁の第2実施形態について説明する。
図3は、破線で示した冊子100が保持および展示された第2実施形態に係る額縁1aの概略斜視図であり、
図1(b)に対応する図である。額縁1aは、保持板20aに形成された挿入孔の形状および配置が第1実施形態の額縁1とは異なっている。すなわち、額縁1aの保持板20aの挿入孔が第1挿入孔である上端保持スリット21a、および第2挿入孔である下端保持スリット21bから構成されている。さらに、上端保持スリット21aおよび下端保持スリット21bが、それぞれ保持板20aの上下方向に対して互いに異なる傾斜を有する直線に沿って設けられている。
【0043】
そして、冊子100の第1の表紙の上方の角部を、第1面20p側から第2面20q側に向けて上端保持スリット21aに挿入し、第1の表紙の下方の角部を、第1面20p側から第2面20q側に向けて下端保持スリット21bに挿入する。これにより、冊子100が保持板20aの第1面20p側に保持される。
【0044】
図3に基づいて具体的に説明すると、上端保持スリット21aは、保持板20aの上下方向に対して時計回りに角度αだけ傾斜した直線に沿って設けられ、下端保持スリット21bは、保持板20aの上下方向に対して反時計回りに角度βだけ傾斜した直線に沿って設けられる。典型的にはα=β=45°とできるが、α、βとも15°以上、75°以下の任意の傾斜としてもよい。この範囲であることにより、後述するように、第1の表紙の上端および下端を介して冊子100を効果的に保持板20aに対して保持できる。
【0045】
なお、保持板20aの挿入孔の構成以外の点では、額縁1aの構成は第1実施形態の額縁1と同様であるため、その他の構成に関する説明は省略する。
【0046】
(b)冊子展示用額縁の使用方法
第2実施形態に係る冊子展示用額縁の使用方法について、主として
図3、
図2(b)、
図2(c)に基づいて説明する。ただし、
図2(b)、
図2(c)において、額縁1を額縁1aと、保持板20を保持板20aとそれぞれ読み替え、スリット21を上端保持スリット21aおよび下端保持スリット21bと読み替えるものとする。また、
図2(b)、
図2(c)において、上端保持スリット21aおよび下端保持スリット21bは、スリット21とは異なり、保持板20aの向かって左端付近に配置されているものとする。
【0047】
まず、
図2(b)に示すように、額縁1aの手前に、展示予定の冊子100を準備する。続いて、
図2(c)に示すように、冊子100の裏表紙102を開いてその先端を保持板20aの上端保持スリット21aおよび下端保持スリット21bに、第1面20p側から第2面20q側に向けて挿入していく。
【0048】
挿入量は適宜調整可能であるが、例えば上端保持スリット21aまたは下端保持スリット21bの長さ方向の全域に裏表紙102が挿入される位置まで挿入することで、冊子100が保持板20aに安定的に保持される。さらに、冊子100が保持板20aの第1面20p側に掲出される。これにより、開口11において保持板20の第1面20p側に掲出された冊子100を視認できる。
【0049】
ここで、上述したように、上端保持スリット21aは、保持板20aの上下方向に対して時計回りに角度αだけ傾斜した直線に沿って設けられ、下端保持スリット21bは、保持板20aの上下方向に対して反時計回りに角度βだけ傾斜した直線に沿って設けられる。このため、保持板20aの上端保持スリット21aおよび下端保持スリット21bへの冊子100の表紙の上方および下方の角部の挿入は、表紙全体のスリットへの挿入と比べると挿入量が少ない点で作業性が良く、冊子100を額縁1aから取り外す際の作業性も良い。
【0050】
このように、保持板20aの挿入孔に挿入された裏表紙102の上方および下方の2箇所の角部が背面支持板30と保持板20aとの間の空間Sに収納され、裏表紙102の2箇所の角部以外の冊子100の大部分が保持板20aに当接するように配置される。これにより、接着剤等を用いることなく、また、ガラス板等を正面の全面に取り付ける必要もなく、上端保持スリット21aおよび下端保持スリット21bに冊子100の第1の表紙の角部を挿入するだけで容易に冊子100を安定的に保持板20aに対して固定することができ、額縁1aからの冊子100の取り出しも簡単にできる。
【0051】
3.本開示の第3実施形態
(a)冊子展示用額縁の構成
次に、本開示の冊子展示用額縁の第3実施形態について説明する。
図4(a)は、冊子100が保持および展示された額縁1bの概略斜視図であり、
図1(a)に対応する図である。
図4(b)は、
図4(a)の額縁1bにおいて、特に保持板20bの構成を説明するために冊子100を破線で表示した、
図1(b)に対応する図である。
図5(a)は、
図4(a)の冊子100付きの額縁1bを、上下方向に沿った略中央付近で上下方向に直交する平面で切った断面を上方から見た、
図2(a)に対応する断面図である。
図5(b)、
図5(c)および
図5(d)は、
図5(a)と同様な図であり、額縁1bが冊子100を保持する構成および額縁1bに冊子100を保持する方法を説明する、
図2(b)や
図2(c)に対応する図である。
【0052】
額縁1bは、保持板20bに形成された挿入孔が、第1実施形態の額縁1の保持板20に形成された挿入孔であるスリット21を左右方向に2箇所設けた形態である点が、第1実施形態の額縁1とは異なっている。すなわち、本実施形態の挿入孔は、第3挿入孔である第1スリット22aおよび第4挿入孔である第2スリット22bから構成される。そして、冊子100の第1の表紙を、第1面20p側から第2面20q側に向けて第1スリット22aに挿入し、第2面20q側から第1面20p側に向けて第2スリット22bに挿入することで、冊子100が保持板20bに保持される。さらに、冊子100が保持板20bの第1面20p側に掲出される。これにより、開口11において保持板20bの第1面20p側に掲出された冊子100を視認できる。
【0053】
本実施形態における挿入孔である第1スリット22aおよび第2スリット22bは、それぞれが第1実施形態の額縁1の保持板20のスリット21と同様の形状である、保持板20bの上下方向に沿って設けられた、左右方向の幅が狭いスリットである。また、第1スリット22aおよび第2スリット22bは同一形状としているが、両者が異なる形状であってもよい。両者の左右方向の配置間隔は、冊子100の表紙の左右端を保持する必要から、冊子100の第1の表紙の左右幅よりもやや小さい間隔となっている。
【0054】
本実施形態の額縁1bには、保持板20bの第1面20pに冊子100の裏表紙102を挿入可能な挿入孔が第3挿入孔および第4挿入孔の2箇所設けられている。そして、第3挿入孔である第1スリット22aに、保持板20bの手前側から奥側に向けて裏表紙102を挿入し、第4挿入孔である第2スリット22bに、保持板20bの奥側から手前側に向けて裏表紙102を挿入する。このように、冊子100の第1の表紙が、2箇所のスリットに挿入されることにより、冊子100の第1の表紙が1箇所のスリットに挿入される場合と比べて、スリットを介した冊子100の保持板20bに対する保持力が向上する。その結果、額縁1bは冊子100をより強固かつ安定的に保持できる。
【0055】
なお、保持板20bの挿入孔の構成以外の点では、額縁1bの構成は第1実施形態の額縁1と同様であるため、その他の構成に関する説明は省略する。
【0056】
(b)冊子展示用額縁の使用方法
次に第3実施形態に係る冊子展示用額縁の使用方法について、主として
図5(a)、
図5(b)、
図5(c)および
図5(d)に基づいて説明する。まず、
図5(b)に示すように、額縁1bの手前に、展示予定の冊子100を準備する。続いて、
図5(c)に示すように、冊子100の裏表紙102を開いてその先端を保持板20bの第1スリット22aに、第1面20p側から第2面20q側に向けて挿入していく。その後、
図5(d)に示すように、冊子100の裏表紙102を、さらに第2面20q側の背面支持板30と保持板20との間の空間Sに向けて挿入する。
【0057】
最後に、
図5(a)に示すように、冊子100の裏表紙102の先端を保持板20bの第2スリット22bに、第2面20q側から第1面20p側に向けて挿入する。これにより、冊子100の裏表紙102は、その先端および根元の背表紙103に近い部分が保持板20bの手前側に配置され、両者の間の部分が保持板20bの奥側の空間Sに配置されることとなり、保持板20bによる冊子100の保持力が向上する。
【0058】
4.本開示の第3実施形態の変形例
(a)冊子展示用額縁の構成
次に、上述した第3実施形態の変形例について説明する。
図6(a)は、冊子100がページを開いた状態で保持および展示された額縁1bの概略斜視図であり、
図4(a)に対応する図である。
図6(b)は、
図6(a)の冊子100付きの額縁1bを、上下方向に沿った略中央付近で上下方向に直交する平面で切った断面を上方から見た、
図5(a)に対応する断面図である。
【0059】
変形例に係る額縁1bは、上述した第3実施形態の額縁1bと同様の構成であるが、保持板20bに形成された2箇所の挿入孔が、冊子100を開いた状態でその第1の表紙と第2の表紙とをそれぞれ挿入して冊子100を保持するために使用される点が異なっている。すなわち、本変形例の挿入孔は、第3挿入孔である第1スリット22aおよび第4挿入孔である第2スリット22bから構成される。そして、冊子100の第1の表紙を、第1面20p側から第2面20q側に向けて第1スリット22aに挿入する。さらに、第1の表紙とは異なる第2の表紙を、第1面20p側から第2面20q側に向けて第2スリット22bに挿入する。これによって、開いた状態の冊子100が保持板20bの第1面20p側に保持される。
【0060】
第1の表紙および第2の表紙は、それぞれ表表紙101および裏表紙102のいずれか一方および他方である。第1スリット22aおよび第2スリット22bの左右方向の配置間隔は、冊子100を開いた状態で表表紙の先端付近と裏表紙の先端付近との間隔であることが好適である。すなわち、冊子100の表紙の左右幅よりも大きく、かつ冊子100の表紙の左右幅の2倍よりも小さい間隔となることが好ましい。
【0061】
本変形例の額縁1bには、保持板20bの第1面20pに冊子100の表表紙101および裏表紙102を挿入可能な挿入孔が第3挿入孔および第4挿入孔の2箇所設けられている。そして、第3挿入孔である第1スリット22aに、冊子100を開いた状態で、保持板20bの手前側から奥側に向けて表表紙101を挿入し、第4挿入孔である第2スリット22bに、保持板20bの手前側から奥側に向けて裏表紙102を挿入する。このように、冊子100の第1の表紙および第2の表紙が、2箇所のスリットに挿入されることにより、スリットを介する開いた状態の冊子100の保持板20bに対する保持力が安定的に確保できる。よって、冊子100の表紙よりも内部の特定のページを開いて展示したい場合に、額縁1bは開いた状態の冊子100を安定的に保持することが可能となる。
【0062】
(b)冊子展示用額縁の使用方法
本変形例に係る冊子展示用額縁の使用方法について、主として
図6(a)、
図6(b)および
図5(b)に基づいて説明する。まず、
図5(b)に示すように、額縁1bの手前に、展示予定の冊子100を準備する。続いて、冊子100を
図6(a)、
図6(b)に示すように開いた状態で、表表紙101の先端を保持板20bの第1スリット22aに、第1面20p側から第2面20q側に向けて挿入する。これにより、表表紙101の先端が保持板20bの第2面20q側の背面支持板30と保持板20との間の空間Sに収納される。
【0063】
次に、裏表紙102の先端を保持板20bの第2スリット22bに、第1面20p側から第2面20q側に向けて挿入する。これにより、裏表紙102の先端も空間Sに収納される。これにより、冊子100の表表紙101および裏表紙102のそれぞれの先端が保持板20bの奥側の空間Sに配置され、両者の間の開いた冊子100のページ104および105が視認できるように冊子100が保持板20bに保持される。
【0064】
5.本開示の第4実施形態
次に、本開示の冊子展示用額縁の第4実施形態について説明する。
図7(a)は、冊子100が保持および展示された額縁1cの概略斜視図であり、
図1(a)に対応する図である。
図7(b)は、
図7(a)の額縁1cにおいて、特に透明なカバー部50の構成を説明するために他の部分を破線で表示した図である。
【0065】
額縁1cは、額縁本体10の開口11を覆う、透明なカバー部50をさらに備える点が、他の実施形態や変形例とは異なっている。本実施形態は、透明なカバー部50が取り付けられている点以外については、他の額縁との差異はないため、この点につき説明する。
【0066】
本実施形態における額縁1cの額縁本体10や保持板20等の構成は、第1実施形態の額縁1の構成と同様である。透明部材で構成されるカバー部50は、開口11を覆うように構成された、開口11の額縁本体10の厚さ方向に沿って形成される4面の側面部分を有する。さらにカバー部50は、当該4面の側面部分の各辺に接する保持板20の第1面20pと略平行な1面の正面部分を有する。このように、カバー部50は、4面の側面部分と1面の正面部分とを有する、1面が開口された略直方体形状の部位である。
【0067】
カバー部50は、透明性のある樹脂部材等で構成され、アクリル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、PET、ポリカーボネート等、種々の材料を使用可能である。カバー部50は、保持板20に保持された冊子100が視認できる程度の透明性を有していればよく透明性とは有色の透明性であってもよく、半透明でもよい。好適には波長が380nm以上、780nm以下の可視光照射時の透過率が50%以上であることが好ましく、70%以上であることがさらに好ましい。前者の範囲であることにより、カバー部50を通した冊子100の視認性が確保でき、冊子100の保護効果と意匠性向上効果とを両立できる。また、後者の範囲であることにより、カバー部50の光沢による意匠性向上を図りつつ、冊子100の臨場感を一層引き立てることができる。
【0068】
カバー部50の4面の側面部分の額縁本体10の厚さ方向に沿った距離は、保持板20に保持される冊子100の厚さを考慮して決定する必要がある。すなわち、当該距離は、保持される冊子100の厚さよりも大きいことが好ましい。これにより、カバー部50の正面部分の内面が直接、冊子100に接触する可能性が減り、冊子100の変形や損傷のリスクを低減できる。
【0069】
カバー部50は、前述したような保持板20に冊子100の第1の表紙が保持された後で、保持板20および冊子100の手前側から奥側に向けて嵌め込むことにより、額縁本体10に対して着脱可能に固定できることが好ましい。こうすることで、カバー部50の着脱が容易となり、冊子100の額縁1cへの保持および取り外しの作業性を向上できる。
【0070】
また、額縁1cがカバー部50を備えることにより、カバー部50がない状態の額縁と比較して、冊子100への外力負荷や、液体付着、湿度等の外部環境による劣化や損傷のリスクを低減できる。また、カバー部50による光の反射作用から来る光沢感により、額縁1cに保持、展示された冊子100の意匠性の向上が期待できる。
【0071】
なお、本実施形態の額縁1cは、第1実施形態の額縁1の構成にカバー部50を付加したものとして説明したが、カバー部50が付加されるベースとなる額縁構成は、第1実施形態に限らず、他の実施形態や変形例にも適用できることは言うまでもない。
【0072】
6.本開示の第5実施形態
次に、本開示の冊子展示用額縁の第5実施形態について説明する。
図8(a)は、冊子100の表示が保持され、かつ冊子100が掲出された額縁1dの概略斜視図であり、
図1(a)に対応する図である。
図8(b)は、
図8(a)の額縁1dにおいて、特に保持板20cの構成を説明するために冊子100がない状態の額縁1dを表示した図である。
【0073】
額縁1dは、保持板20cが、額縁本体10の開口11において第1面20p側に飛び出した台状部60を備え、挿入孔であるスリット23が台状部60に設けられている点が、他の実施形態や変形例とは異なっている。本実施形態は、保持板20cが台状部60を備え、スリット23が台状部60に設けられている点以外については、他の額縁との差異はないため、この点につき説明する。
【0074】
本実施形態における保持板20c以外の構成は、第1実施形態の額縁1の構成と同様である。額縁1dは、保持板20cが平板状の平板部24と、開口11の中央付近、すなわち冊子100が固定される領域の平板部24に付加された手前側に飛び出した略直方体の台状部60と、を備えている。保持板20cは、平板部24と台状部60とが一体的に形成された構成であってもよく、平板部24に対して台状部60が、何らかの接着手段や固定手段で着脱可能に、または着脱不可能に固定された構成であってもよい。
【0075】
保持板20cの平板部24は、前述の保持板20等と同様の部材により構成され得る。また、台状部60もこれと同様の部材により構成できるが、台状部60の各面が所定の平板の組み合わせで形成され、内部に適度の空間が形成されていることが好ましい。これにより、第1実施形態と同様の方法で、冊子100の裏表紙102を保持板20cの台状部60に設けられたスリット23に挿入する際に、台状部60の内部の空間に、挿入した裏表紙102が収納できる。このため、第1の表紙のスリット23への挿入適性と保持板20cによる冊子100の保持力が向上する。
【0076】
なお、本実施形態では、台状部60の平板部24と略平行な面に、挿入孔として保持板20cの上下方向に沿って、左右方向の幅が狭いスリット23が設けられ、当該略平行な面の外側すなわち手前側を第1面20pとし、内部側すなわち奥側を第2面20qとしている。
【0077】
なお、本実施形態に係る額縁1dの使用方法は、第1実施形態の額縁1の使用方法と同様である。すなわち、額縁1dの手前に、展示予定の冊子100を準備し、冊子100の裏表紙102を開いてその先端を保持板20cの台状部60のスリット23に、第1面20p側から第2面20q側に向けて挿入していく。
【0078】
このように、裏表紙102の大部分を保持板20cの台状部60のスリット23に挿入することで、裏表紙102の大部分が台状部60の内部空間に収納され、裏表紙102以外の冊子100の部分が保持板20cの台状部60に当接するように配置される。
【0079】
本実施形態に係る冊子展示用額縁である額縁1dは、保持板20cが平板部24およびこれよりも手前側に飛び出した台状部60を備える。当該台状部60の第1面20pに設けられた挿入孔に、冊子100の第1の表紙を挿入することで、冊子100を容易に保持板20cの第1面20p側に保持できる。これにより、第1面20p側から額縁本体10および開口11において、保持板20cに保持された冊子100を視認することができる。さらに、保持板が台状部を備えない構成の額縁と比べて、額縁1dにおける冊子100の配置をより手前側にシフトできるため、額縁1dに配置された冊子100の臨場感や注目度が高められ、意匠性や訴求効果を一層高めることに寄与する。
【0080】
なお、本実施形態の額縁1dは、第1実施形態の額縁1の構成において、保持板20の構成を、台状部60を有する保持板20cに置き換えたものとして説明した。しかし、台状部60を有する保持板の構成は、第1実施形態に限らず、他の実施形態や変形例にも適用できることは言うまでもない。すなわち、上端保持スリット21aおよび下端保持スリット21bを台状部60に形成した保持板として、第2実施形態および本実施形態を組み合わせた実施形態とできる。また、第1スリット22aおよび第2スリット22bを台状部60に形成した保持板として、第3実施形態および本実施形態を組み合わせた実施形態とできる。
【0081】
一方、第2実施形態および第3実施形態の組み合わせも可能である。すなわち、第3実施形態における第2スリット22bの構成を第2実施形態の上端保持スリット21aおよび下端保持スリット21bの構成に置き換えてもよい。すなわち、保持板が、第1スリット22a、上端保持スリット21aおよび下端保持スリット21bを備える構成としてもよい。これにより、第1スリット22aにて第1の表紙の高さ方向の全域にわたり、冊子100を保持板に保持する保持力が向上でき、かつ、第1の表紙の先端のスリットへの挿入、取り外しが一層容易となる。
【0082】
また、第2実施形態および第3実施形態の変形例の組み合わせも可能である。すなわち、第3実施形態の変形例における第1スリット22aおよび第2スリット22bのいずれかまたは両方の構成を、第2実施形態の上端保持スリット21aおよび下端保持スリット21bの構成に置き換えてもよい。これにより、ページを開いた状態の冊子100の第1の表紙および第2の表紙のそれぞれの先端のスリットへの挿入、取り外しが一層容易となる。さらに、これらの構成に保持板が台状部を備える第5実施形態を組み合わせることも可能である。
【0083】
なお、これらの実施形態等の組み合わせに対して、さらに第4実施形態のカバー部50を組み合わせてもよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0084】
1、1a、1b、1c、1d 冊子展示用額縁、額縁
10 額縁本体
11 開口
12 段部
20、20a、20b、20c 保持板
20p 第1面
20q 第2面
21、22、23 スリット
21a 上端保持スリット
21b 下端保持スリット
22a 第1スリット
22b 第2スリット
24 平板部
30 背面支持板
40 スペーサ
50 カバー部
60 台状部
100 冊子
101 表表紙
102 裏表紙
103 背表紙
104、105 ページ