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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115842
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】タッチパネルシステム及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20240820BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
G06F3/041 600
G06F3/044 126
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021712
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003926
【氏名又は名称】弁理士法人イノベンティア
(72)【発明者】
【氏名】丸山 武紀
(72)【発明者】
【氏名】山岸 慎治
(72)【発明者】
【氏名】山本 琢磨
(72)【発明者】
【氏名】木田 和寿
(72)【発明者】
【氏名】杉田 靖博
(72)【発明者】
【氏名】福島 浩
(57)【要約】
【課題】タッチされた面積の影響を抑えて高精度でタッチされた位置が検出されるタッチパネルシステムを提供する。
【解決手段】タッチパネルシステムSは、ドライブ電極、位置検出電極、及び押圧検出電極を有するタッチパネル1と、ドライブ電極に駆動信号を与え、位置検出電極及び押圧検出電極のそれぞれから信号値を取得するコントローラ2と、を備え、コントローラは、位置検出電極から得られた信号値に基づいて指示体によるタッチ範囲を検出し、押圧検出電極から得られた信号値のうち、タッチ範囲に対応した押圧検出範囲を決定し、押圧検出範囲内の信号値に基づいて、指示体による押圧の大きさを算出する、ように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライブ電極、位置検出電極、及び押圧検出電極を有するタッチパネルと、
前記ドライブ電極に駆動信号を与え、前記位置検出電極及び前記押圧検出電極のそれぞれから信号値を取得するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、
前記位置検出電極から得られた信号値に基づいて指示体によるタッチ範囲を検出し、
前記押圧検出電極から得られた信号値のうち、前記タッチ範囲に対応した押圧検出範囲を決定し、
前記押圧検出範囲内の信号値に基づいて、前記指示体による押圧の大きさを算出する、ように構成されている
タッチパネルシステム。
【請求項2】
前記タッチ範囲を検出することは、前記位置検出電極から得られた信号値で構成された第1のマップから、前記信号値に基づいて前記タッチ範囲を検出することを含み、
前記押圧検出範囲を決定することは、前記押圧検出電極から得られた信号値で構成された第2のマップの、前記タッチ範囲の位置に対応した範囲を前記押圧検出範囲として決定することを含む
請求項1に記載のタッチパネルシステム。
【請求項3】
前記押圧の大きさを算出することは、前記押圧検出範囲内の少なくとも1つの信号値に基づいた暫定値を増幅することを含む
請求項2に記載のタッチパネルシステム。
【請求項4】
前記押圧の大きさを算出することは、前記押圧検出範囲内のすべての信号値に基づいたすべての暫定値の中の最大値を増幅することを含む
請求項3に記載のタッチパネルシステム。
【請求項5】
前記押圧の大きさを算出することは、前記押圧検出範囲内のすべての信号値に基づいたすべての暫定値を増幅することを含む
請求項3に記載のタッチパネルシステム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のタッチパネルシステムと、
画像を表示する表示部と、を備え、
前記表示部が画像を表示する表示面上に、前記タッチパネルが配置されている
表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タッチパネルシステム及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2022-71284号公報(以下、特許文献1)は、指示体によってタッチされた位置と、指示体による押圧と、を検知するタッチパネルシステムを開示している。詳しくは、特許文献1は、ドライブ電極、位置検出電極及び押圧検出電極を備えたタッチパネルと、ドライブ電極に駆動信号を与え位置検出電極及び押圧検出電極のそれぞれから信号値を取得するコントローラと、を備えたタッチパネルシステムを開示している。このコントローラは、位置検出電極から得られた信号値に基づいて指示体の位置を検出し、押圧検出電極から得られた信号値のうち、検出した指示体の位置に応じた押圧検出範囲内の信号値に基づいて、指示体による押圧の大きさを算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-71284号公報
【発明の概要】
【0004】
圧力も検知するタッチパネルシステムにおいては、指示体によるタッチパネルに対する接触面積によって性能が影響を受ける。例えば、タッチするキーの位置によってはユーザが指を伸ばしてタッチすることがあるため、タッチされる面積が大きくなる。タッチされる面積が大きいと、小さい場合と比較してタッチパネルに対する押圧力が分散する。発明者らは、タッチパネルに対する指示体の接触範囲の大きさを考慮することにより、押圧の大きさをより精度高く検出できることを、新たに見出した。以下では、この知見に基づく新規なタッチパネルシステム及び表示装置を開示する。
【0005】
ある実施の形態に従うと、タッチパネルシステムは、ドライブ電極、位置検出電極、及び押圧検出電極を有するタッチパネルと、ドライブ電極に駆動信号を与え、位置検出電極及び押圧検出電極のそれぞれから信号値を取得するコントローラと、を備え、コントローラは、位置検出電極から得られた信号値に基づいて指示体によるタッチ範囲を検出し、押圧検出電極から得られた信号値のうち、タッチ範囲に対応した押圧検出範囲を決定し、押圧検出範囲内の信号値に基づいて、指示体による押圧の大きさを算出する、ように構成されている。
【0006】
更なる詳細は、後述の実施形態として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施の形態に係るタッチパネルシステムの概略構成図である。
図2図2は、タッチパネルシステムに備えられるタッチパネルの一例を示す概略断面図である。
図3図3は、タッチパネルの第1電極層の構成の概略を表した平面図である。
図4図4は、タッチパネルの第2電極層の構成の概略を表した平面図である。
図5図5は、実施の形態に係る表示装置の概略図である。
図6図6は、指示体の接触面積と影響を受ける電極の範囲とを説明するための図である。
図7図7は、指示体の接触面積と影響を受ける電極の範囲とを説明するための図である。
図8図8は、指示体の接触面積と影響を受ける電極からの信号値とを説明するための図である。
図9図9は、指示体の接触面積と影響を受ける電極からの信号値とを説明するための図である。
図10図10は、第1の実施の形態に係るタッチパネルシステムでの検出方法の流れの一例を表したフローチャートである。
図11図11は、タッチパネルシステムのコントローラが処理する入力データの構成の一例を示す模式図である。
図12図12は、第2の実施の形態に係るタッチパネルシステムでの検出方法の流れの一例を表したフローチャートである。
図13図13は、第3の実施の形態に係るタッチパネルシステムでの検出方法の流れの一例を表したフローチャートである。
図14図14は、比較例に係るタッチパネルシステムでの検出方法の流れの一例を表したフローチャートである。
図15図15は、指示体によるタッチパネルへの接触面積が小さい場合の、実施の形態に係るタッチパネルシステムでの検出方法によって決定される押圧検出範囲を説明するための図である。
図16図16は、指示体によるタッチパネルへの接触面積が大きい場合の、実施の形態に係るタッチパネルシステムでの検出方法によって決定される押圧検出範囲を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[タッチパネルシステムの説明]
図1は、本実施の形態に係るタッチパネルシステムSの概略構成図である。タッチパネルシステムSは、タッチパネル1と、コントローラ2と、を備える。
【0009】
タッチパネル1は、ドライブ電極111、位置検出電極121、及び押圧検出電極122を有する(図2図4)。コントローラ2は、ドライブ電極111に駆動信号を与え、位置検出電極121及び押圧検出電極122のそれぞれから信号を取得する。コントローラ2は、取得した信号に基づいて、少なくとも指示体による押圧の大きさを含む出力データを生成する。出力データは、例えばタッチパネルシステムSを備えた表示装置Pにおいて、表示装置Pが表示する画像の制御などに利用される。
【0010】
タッチパネル1は、一例として、静電容量方式である。図2は、タッチパネル1の一例を示す概略断面図である。タッチパネル1は、誘電体である第1基板15と第2基板16との間に挟まれた、第1電極層110及び第2電極層120を有する。第1電極層110及び第2電極層120は、間に誘電体層130を挟んで積層されている。
【0011】
第1電極層110は、ドライブ電極111及び浮島電極112を含む。第2電極層120は、位置検出電極121及び押圧検出電極122を含む。
【0012】
位置検出電極121と押圧検出電極122との間に、シールド電極123が配置されている。このため、位置検出電極121と押圧検出電極122とは、シールド電極123によって隔てられる。
【0013】
第1基板15及び第2基板16は、例えばガラスやPET(Polyethylene terephthalate)フイルムなどの誘電性である透明な材料で構成される。ドライブ電極111、浮島電極112、位置検出電極121、及び押圧検出電極122は、例えばITO(Indium Tin Oxide)などの、導電性のある透明な材料で構成される。誘電体層130は、例えば高分子材料、OCA(Optical Clear Adhesive)、OCR(Optical Clear Resin)などの、弾性を有する、誘電性である透明な材料で構成される。
【0014】
第1基板15及び第2基板16は、第1基板15の第1表面15Aと第2基板16の第1表面16Aとが対向するように配置されている。ドライブ電極111は第1基板15の第1表面15Aに形成されている。浮島電極112はフローティング状態であり、第1基板15の第1表面15Aに形成されている。位置検出電極121は、第2基板16の第1表面16Aに形成されている。押圧検出電極122は、第2基板16の第1表面16Aに形成されている。
【0015】
ドライブ電極111にはコントローラ2から駆動信号が与えられる。位置検出電極121は、指示体Fの位置を検出するための電極である。押圧検出電極122は、指示体Fによる押圧の大きさを検出するための電極である。
【0016】
第1基板15の第1表面15Aとは反対側の第2表面15Bは、タッチパネル1の表面となる。第2表面15Bは、指などの指示体Fによる接触を伴う操作を受け付ける。
【0017】
図3は、第1電極層110の構成の概略を表した平面図である。図4は、第2電極層120の構成の概略を表した平面図である。図2は、図3及び図4のA-A断面図である。
【0018】
ドライブ電極111は、複数の菱形状の電極がその対角線方向に連結された形状(ダイヤパターン)である。また、浮島電極112は、連結されていない複数の菱形状電極で構成されている。位置検出電極121は、ドライブ電極111と同様に、複数の菱形状の電極が連結されたダイヤパターンである。また、押圧検出電極122も、複数の菱形状の電極が連結されたダイヤパターンである。位置検出電極121及び押圧検出電極122は、菱形状の電極のそれぞれの連結方向が平行であり、当該連結方向と垂直な方向に対して交互に配置されている。位置検出電極121及び押圧検出電極122それぞれにおける菱形状の電極の連結方向は、ドライブ電極111における菱形状の電極の連結方向に対して垂直である。
【0019】
第1基板15から第2基板16を見た平面視(以下、単に「平面視」という。)において、ドライブ電極111は、押圧検出電極122の少なくとも一部を覆っている。タッチパネル1では、平面視において、ドライブ電極111を構成する1つの菱形状の電極が、押圧検出電極122を構成する1つの菱形状の電極を包含している。同様に、平面視において、浮島電極112を構成する1つの菱形状の電極が、位置検出電極121を構成する1つの菱形状の電極を包含している。
【0020】
タッチパネル1に対するユーザ操作(指示体Fのタッチ)は、押圧を伴わない接触と、押圧と、の少なくとも一方を含み、タッチパネルシステムSはいずれも検出する。接触を検出することは、表面に接触されたこと、及び接触された位置(操作位置)を検出することを含む。押圧を検出することは、表面が押圧されたこと、及び押圧された位置(操作位置)を検出することを含む。押圧を検出することは、さらに、押圧の大きさを検出することを含む。
【0021】
図3の第1電極層110と図4の第2電極層120とが上記のように配置されていることで、浮島電極112と位置検出電極121とは、電気力線F1で示されるように容量結合している。指示体Fが表面に接触すると、電気力線F2で示されるように、ドライブ電極111と浮島電極112とが容量結合する。そのため、浮島電極112を介してドライブ電極111と位置検出電極121とが容量結合する。これにより、指示体Fを介してドライブ電極111と位置検出電極121との間の静電容量が減少するために位置検出電極121で検出される信号が変化する。位置検出電極121で検出される信号の変化に基づいて、タッチパネル1の表面に指示体Fが接触したこと、及び操作位置が検出される。
【0022】
図3の第1電極層110と図4の第2電極層120とが上記のように配置されていることで、電気力線F3で示されるように、ドライブ電極111と押圧検出電極122とは容量結合している。指示体Fによって第1基板15が押圧されると、誘電体層130が弾性を有する材料であるために圧縮され、ドライブ電極111と押圧検出電極122との距離が短くなる。これにより、ドライブ電極111と押圧検出電極122との間の静電容量が増加するために押圧検出電極122において検出される信号が変化する。押圧検出電極122において検出される信号の変化に基づいて、タッチパネル1の表面が指示体Fに押圧されたこと、操作位置、及び押圧の大きさが検出される。
【0023】
なお、指示体Fによって第1基板15が押圧されてドライブ電極111と押圧検出電極122との距離が短くなると、ドライブ電極111は、位置検出電極121よりシールド電極123の方に近いため、シールド電極123の方に容量結合しやすい。そのため、ドライブ電極111と位置検出電極121との間の静電容量が増大し難くなる。その結果、シールド電極123が配置されることで、指示体Fによって、ドライブ電極111と位置検出電極121との間の静電容量の減少分が相殺され難くなる。
【0024】
また、指示体Fと押圧検出電極122との経路上において、指示体Fは、押圧検出電極122よりシールド電極123の方に近いため、指示体Fはシールド電極123に容量結合しやすい。そのため、指示体Fがドライブ電極111及び押圧検出電極122それぞれと容量結合することが抑制される。その結果、その結果、シールド電極123が配置されることで、ドライブ電極111と押圧検出電極122との間の静電容量が変動することが抑制される。
【0025】
図2図4のタッチパネル1を備えることで、コントローラ2は、位置検出電極121及び押圧検出電極122のそれぞれからの信号を用いて指示体Fによる操作位置(タッチされた位置)、及び押圧の大きさを検出する。
【0026】
[表示装置の説明]
タッチパネルシステムSは、例えば表示装置に備えられる。図5は、本実施の形態に係る表示装置Pの概略図である。表示装置Pは、一例として、表示面11Aに画像を表示するディスプレイ11を有するタブレットである。表示装置Pはタブレットの他、パーソナルコンピュータやスマートフォンなどの装置であってもよい。
【0027】
図5の部分Aは、表示装置Pのディスプレイ11の断面の一部の概略図である。ディスプレイ11は、例えば、液晶ディスプレイや、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどで構成される。タッチパネル1はディスプレイ11の表示面11A上に配置される。
【0028】
[コントローラの説明]
タッチパネルシステムSのコントローラ2は、プロセッサ21とメモリ22とを有する。プロセッサ21は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。メモリ22は、例えばROM(Read Only Memory)などを含む。
【0029】
メモリ22は、プロセッサ21で実行されるコンピュータプログラム(以下、プログラム)221を記憶している。プロセッサ21はプログラム221を実行することによって、タッチパネル1に対するユーザ操作に応じた出力データを生成して出力するための処理を実行する。
【0030】
プロセッサ21はプログラム221を実行することによって検出処理211を実行する。検出処理211は、位置検出電極121及び押圧検出電極122それぞれからの信号に基づいて指示体Fによる操作位置及び押圧の大きさを検出することを含む。処理の流れは後述する。
【0031】
プロセッサ21はプログラム221を実行することによって生成処理212を実行する。生成処理212は、少なくとも押圧値を含む出力データを生成することを含む。出力データを生成する方法は特定の方法に限定されない。
【0032】
[接触面積と押圧検出との関係]
図2図4のタッチパネル1を有するタッチパネルシステムSでは、位置検出電極121からの信号を用いて指示体Fによる操作位置を決定し、操作位置に応じて規定される範囲の押圧検出電極122からの信号を用いて指示体Fによる押圧の大きさを算出する方法を採ることができる。
【0033】
発明者らは、指示体Fのタッチパネル1に対する接触面積が異なると、同じ力で押圧された場合でも、検出される押圧の大きさが異なり得ることを見出した。図6図9を用いて詳しく説明する。
【0034】
図6及び図7は、指示体Fの接触面積と影響を受ける電極の範囲とを説明するための図である。図8及び図9は、指示体Fの接触面積と影響を受ける電極からの信号値とを説明するための図である。図8及び図9のX方向は、ドライブ電極111が並ぶ方向、Y方向は、位置検出電極121及び押圧検出電極122が並ぶ方向を表している。図8及び図9では、X,Yの二次元座標で表された要素によって、位置検出電極121及び押圧検出電極122それぞれから得られる信号値の入力データの一例を表している。図8及び図9において、(A),(B)はタッチパネル1の同じ位置における位置検出電極121及び押圧検出電極122を表している。
【0035】
指示体Fがタッチパネル1に接触したことは、ドライブ電極111と位置検出電極121との間の静電容量によって検出される(図6(A)及び図7(A))。このとき、接触の影響を受ける範囲に存在する位置検出電極121からの信号値は増加する(図8(A)及び図9(A))。
【0036】
指示体Fがタッチパネル1に接触した後に押圧したことは、ドライブ電極111と押圧検出電極122との間の静電容量によって検出される(図6(B)及び図7(B))。このとき、押圧の影響を受ける範囲に存在する押圧検出電極122からの信号値は増加する(図8(B)及び図9(B))。
【0037】
図8(A)と図9(A)とを比較すると、接触によって静電容量が変化する電極の範囲は、接触面積が小さい場合の方が大きい場合より小さい。また、図8(B)と図9(B)とを比較すると、押圧によって静電容量が変化する電極の範囲は、接触面積が小さい場合の方が大きい場合より小さい。そのため、図8(B)と図9(B)とを比較すると、同じ力で押圧されても、接触面積が小さい方が、押圧力が集中するために信号値が大きくなり、接触面積が大きい方が、押圧力が分散するために信号値が小さくなる。
【0038】
図8(B)及び図9(B)に示されるように、接触面積によって押圧される範囲と信号値とが変化する。そのため、操作位置に応じて決定される範囲の、押圧検出電極122からの信号値を用いて指示体による押圧の大きさを算出すると、接触面積によっては押圧の大きさが正確に得られない場合がある。すなわち、接触面積が小さい場合には、指示体が接触していない範囲の押圧検出電極122からの信号値によるノイズが混入する場合がある。また、接触面積が大きい場合には、信号値が小さかったり、指示体が接触している範囲の押圧検出電極122からの信号値が押圧の大きさの算出にすべて用いられなかったりする場合がある。この課題に対して、発明者らは、図6及び図7に示された、指示体Fによる接触面積と押圧の影響を受ける範囲との関連に着目し、下の検出方法を見出した。
【0039】
[第1の実施の形態]
[検出方法の説明]
図10は、第1の実施の形態に係るタッチパネルシステムでの検出方法の流れの一例を表したフローチャートである。図10の検出方法は、コントローラ2のプロセッサ21がプログラム221に従って検出処理211を実行することによって実現される、コントローラ2に搭載された検出方法である。図11は、コントローラ2が処理する入力データ500の構成の一例を示す模式図、及び、そのうちの部分Bの拡大図である。
【0040】
始めに、コントローラ2は、入力データ500を取得する(ステップS101)。ステップS101でコントローラ2は、ドライブ電極111に駆動信号を与え、位置検出電極121及び押圧検出電極122それぞれから信号を取得することで、入力データ500を取得する。
【0041】
入力データ500は、X方向はドライブ電極111が並ぶ方向、Y方向が位置検出電極121及び押圧検出電極122が並ぶ方向を表した、X,Yの二次元座標で表された要素を有するデータである。入力データ500は、位置検出電極121及び押圧検出電極122それぞれから得られる信号値を1つの二次元座標系の異なる領域に配置して組み合わせたデータを指す。以降の説明では、Yの値が増大する方向を下、減少する方向を上と表現する。
【0042】
図11の入力データ500は、ドライブ電極111が25本、位置検出電極121及び押圧検出電極122がそれぞれ20本である場合に得られるデータである。詳しくは、図11の入力データ500は、位置検出電極121から得られた信号値が並べられた位置検出マップ(第1のマップ)TMが上側、押圧検出電極122から得られた信号値が並べられた押圧検出マップ(第2のマップ)FMが下側となるように、それぞれ異なる領域に配置されている。図3及び図4に示したように、位置検出電極121及び押圧検出電極122は交互に配置されているが、入力データ500ではそれぞれの電極から得られた信号値が分離されて配置されている。図11の入力データ500において、タッチパネル1上のある角を原点としてX本目のドライブ電極111とY本目の位置検出電極121とで形成される静電容量に対応した信号値は、(X,Y)の要素になる。一方、X本目のドライブ電極111とY本目の押圧検出電極122とで形成される静電容量に対応した信号値は、(X,Y+20)の要素になる。
【0043】
コントローラ2は、入力データ500の位置検出マップTM内から、指示体Fが接触した範囲を表すタッチ範囲TRを検出する(ステップS103)。ステップS103でコントローラ2は、位置検出マップTM内の要素のうち、信号値が所定の閾値以上の範囲をタッチ範囲TRとして検出する。図11の例では閾値を2000として、信号値が2000以上である範囲がタッチ範囲TRとして検出されている。
【0044】
コントローラ2は、入力データ500の押圧検出マップFM内において、タッチ範囲TRに対応した押圧検出範囲FRを決定する(ステップS105)。ここでの押圧検出範囲FRは、指示体Fによる押圧の大きさである押圧値Zを算出するために用いる信号値を得る電極の範囲を表す。
【0045】
ステップS105でコントローラ2は、一例として、タッチ範囲TRを所定量、移動させた範囲を押圧検出範囲FRと決定する。図11の例では、コントローラ2は、タッチ範囲TRをX方向は固定し、Y方向を下に20移動させ、つまり、Y座標に20を加算して得られる範囲を押圧検出範囲FRと決定する。
【0046】
コントローラ2は、押圧検出範囲FR内の信号値に基づいて押圧値Zを算出する(ステップS107)。そして、コントローラ2は、少なくとも押圧値Zを含む出力データを生成し、出力する(ステップS109)。
【0047】
ステップS107でコントローラ2は、一例として、押圧検出範囲FR内の信号値の絶対値を合算して、図11の例では下の式によって押圧値Zを得る。
Z=100+21+135+14=270
【0048】
[第2の実施の形態]
好ましくは、押圧値Zを算出する際に、押圧検出範囲FR内の信号値を暫定値とし、その中の少なくとも1つの暫定値を増幅(ブースト処理)する。図12は、第2の実施の形態に係るタッチパネルシステムSでの検出方法の流れの一例を表したフローチャートである。第2の実施の形態に係る検出方法は、図10の第1の実施の形態に係る検出方法に対してステップS106Aをさらに含む点が異なっている。
【0049】
詳しくは、第2の実施の形態に係る検出方法においてコントローラ2は、ステップS105で押圧検出範囲FRを決定すると、押圧検出範囲FR内のすべての信号値を暫定値とし、暫定値の中の最大値を増幅する(ステップS106A)。増幅は、一例として所定倍することで、所定倍は例えば10倍である。図11の例では、押圧検出範囲FR内の信号値100,21,135,14のうちの135が10倍される。
【0050】
第2の実施の形態に係る検出方法においてコントローラ2は、ステップS106Aの増幅を経た押圧検出範囲FR内の信号値に基づいて押圧値Z2を算出する(ステップS107)。ステップS107でコントローラ2は、一例として、増幅された押圧検出範囲FR内の信号値の絶対値を合算して押圧値Z2を算出し、図11の例では信号値100,21,1350,14を合算して、図11の例では下の式によって押圧値Z2を得る。
Z2=100+21+1350+14=1485
【0051】
[第3の実施の形態]
なお、ブースト処理の他の例として、押圧検出範囲内のすべての暫定値を増幅してもよい。図13は、第3の実施の形態に係るタッチパネルシステムSでの検出方法の流れの一例を表したフローチャートである。第3の実施の形態に係る検出方法は、図10の第1の実施の形態に係る検出方法に対してステップS106Bをさらに含む点が異なっている。
【0052】
詳しくは、第3の実施の形態に係る検出方法においてコントローラ2は、ステップS105で押圧検出範囲FRを決定すると、押圧検出範囲FR内のすべての信号値を暫定値とし、すべての暫定値をそれぞれ増幅する(ステップS106B)。増幅は、一例として所定倍することで、所定倍は例えば10倍である。図11の例では、押圧検出範囲FR内の信号値100,21,135,14がそれぞれ10倍される。
【0053】
第3の実施の形態に係る検出方法においてコントローラ2は、ステップS106Bの増幅を経た押圧検出範囲FR内の信号値に基づいて押圧値Z3を算出する(ステップS107)。ステップS107でコントローラ2は、一例として、増幅された押圧検出範囲FR内の信号値の絶対値を合算して、図11の例では下の式によって押圧値Z3を得る。
Z3=1000+210+1350+140=2700
【0054】
[実施の形態の効果]
タッチパネルシステムSでは、位置検出電極121からの信号より得られるタッチ範囲TRを用いて押圧検出範囲FRが決定され、押圧検出範囲FRから押圧値Zが算出される。つまり、タッチパネルシステムSでは、指示体Fによる接触面積(タッチ範囲)に対応した範囲の押圧検出電極122からの信号値が押圧値Zの算出に用いられる。そのため、接触面積が大きい場合には押圧検出範囲FRが大きくなり、押圧力が分散していてもそれらを用いて押圧値Zが算出される。また、接触面積が小さい場合には押圧検出範囲FRが小さくなり、押圧されていない範囲の押圧検出電極122からの信号値によるノイズが抑えられる。その結果、指示体Fによる操作位置に基づいて規定される押圧検出範囲FRを用いるより高精度で押圧値Zが得られる。
【0055】
図14は、比較例に係るタッチパネルシステムでの検出方法の流れの一例を表したフローチャートである。図14の比較例に係る検出方法は、図10の第1の実施の形態に係る検出方法におけるステップS103,S105が異なる(ステップS103A,S105A)、また、ステップS104Aを含んでいる。
【0056】
詳しくは、比較例に係る検出方法では、入力データ500の位置検出マップTM内から、指示体Fによってタッチされた範囲の重心位置であるタッチ重心位置TPが検出される(ステップS103A)。ステップS103Aでは、一例として、位置検出マップTM内の要素のうち、信号値が所定の閾値以上であり、かつ、位置検出マップTM内で最大となる要素がタッチ重心位置TPとして検出される。図11の例では、信号値(3500)の位置がタッチ重心位置TPとして検出されている。
【0057】
次に、入力データ500の押圧検出マップFM内において、タッチ重心位置TPに対応した押圧重心位置FPが算出される(ステップS104A)。一例として、押圧重心位置FPは、タッチ重心位置TPを所定量、移動させた位置が押圧重心位置FPと決定される。図11の例では、押圧重心位置FPのX方向は固定し、Y方向を下に20移動させ、つまり、Y座標に20を加算して得られる位置が押圧重心位置FPと決定されている。
【0058】
比較例に係る検出方法では、入力データ500の押圧検出マップFM内において、押圧重心位置FPの周囲に押圧検出範囲FR1が決定される(ステップS105A)。図11の例では、押圧重心位置FPを中心とした5×5の領域が押圧検出範囲FR1と決定されている。
【0059】
比較例に係る検出方法で決定された押圧検出範囲FR1と第1の実施の形態に係る検出方法で決定された押圧検出範囲FRとを比較すると(図11)、押圧検出範囲FR1は、実際の押圧範囲に対応した押圧検出範囲FRより大きい。そのため、本実施の形態に係る検出方法で検出されることによって、接触していない位置の押圧検出電極122から信号値によるノイズを抑えて押圧値Zが算出されるようになる。つまり、図14の検出方法より高精度で押圧値Zが算出される。
【0060】
図11の例では、押圧検出範囲FR1から押圧値Z1=555が得られ、押圧検出範囲FRから押圧値Z=270が得られた。それぞれのノイズの影響を、指示体Fが接触していない位置の押圧検出電極122からの信号値(例えば25以下)の総和(ΣU25)で表し、ΣU25の押圧値に対する割合である指標値I1,I2で表す。比較例に係る検出方法での指標値I1=58[%]、及び、本実施の形態に係る検出方法で指標値I2=13[%]は、それぞれ下の式で得られた。したがって、本実施の形態に係る検出方法によって、指示体Fによる押圧値が精度よく算出されることが検証された。
I1=(ΣU25/Z1)×100=58[%]
I2=(ΣU25/Z)×100=13[%]
【0061】
さらに、第2の実施の形態に係るタッチパネルシステムSではブースト処理が行われ、指示体Fによる押圧の影響を最も表している信号値が増幅されることになる。そのため、接触していない位置の押圧検出電極122から信号値によるノイズの影響を低減させ、より精度よく押圧値が得られる。
【0062】
図11の例の場合の、第2の実施の形態に係る検出方法での指標値I3は2%と算出された。したがって、第2の実施の形態に係る検出方法によって、指示体Fによる押圧値がより精度よく算出されることが検証された。
【0063】
本実施の形態に係るタッチパネルシステムSでの検出方法によって検出された押圧検出範囲に対してブースト処理を行って得られた押圧値と、比較例に係る検出方法で得られる押圧範囲に対してブースト処理を行って得られた押圧値とを比較する。図15及び図16は、それぞれ、指示体によるタッチパネル1への接触面積が小さい場合と大きい場合との、本実施の形態に係るタッチパネルシステムSでの検出方法によって決定される押圧検出範囲を説明するための図である。図15及び図16は、図8及び図9に示された入力データを用いたものである。
【0064】
この例では、図15(A)及び図16(A)それぞれの位置検出電極121からの信号値の入力データより、閾値を2000として信号値が2000以上である範囲をタッチ範囲TRa,TRbが検出されている。
【0065】
本実施の形態に係る検出方法では、図15(A)及び図16(A)それぞれの押圧検出電極122信号値の入力データより、タッチ範囲TRa,TRbに対応した押圧検出範囲FRa,FRbが決定される(図15(B),図16(B))。
【0066】
第2の実施の形態に係るブースト処理を行うと、押圧検出範囲FRa,FRbから、それぞれ、下の式によって押圧値Z4,Z5が得られる。
Z4=100+21+135×10+14=1485
Z5=22+20+35+40+39+30+50×10+40=726
【0067】
一方、比較例として、図8及び図9を用いて説明された、指示体による操作位置に応じて規定される押圧範囲について、同様に押圧値Z6,Z7を算出する。比較例に係る検出方法では、一例として、位置検出電極121からの信号値の入力データより信号値が最も大きい位置が操作位置とされ、押圧検出電極122の信号値の入力データより、操作位置に対応した位置から規定範囲が押圧範囲と決定される。図8の例では、図8(A)の信号値3500の位置が操作位置とされ、操作位置に対応した図8(B)の信号値100を中心として5×5の範囲が押圧範囲と決定される。
【0068】
図8の例で比較例に係る検出方法により得られる押圧範囲は図8(B)と一致する。図9の例では、図9(A)の信号値3200の位置が操作位置とされ、比較例に係る検出方法により得られる押圧範囲は図9(B)と一致する。
【0069】
第2の実施の形態に係るブースト処理と同様のブースト処理を行うと、比較例に係る検出方法によって決定された図9(B)の押圧範囲及び図8(B)の押圧範囲から、それぞれ、下の式によって押圧値Z6,Z7が得られる。
Z6=10+8+11+15+6+9+12+4+18+20+17+16+100+21+9+23+10+135×10+14+17+12+13+17+20+18=1770
Z7=10+8+11+15+6+9+15+22;20+20+17+35+40+39+9+23+30+50×10+40+17+12+13+25+20+18=974
【0070】
比較例に係る検出方法の場合の、接触面積が小さいときに得られた押圧値Z6を100%として、接触面積が大きいときに得られた押圧値Z7の比率R1を、下の式によって算出した。この比率は、接触面積を同一となるように換算した押圧値の比率に相当する。
R1=(Z7÷Z6)×100=(974÷1770)×100=55[%]
【0071】
同様に、本実施の形態に係る検出方法で得られた押圧検出範囲FRa,FRbからブースト処理を行って算出された押圧値Z4,Z5について、接触面積が小さいときに得られた押圧値Z4を100%として、接触面積が大きいときに得られた押圧値Z5の比率R2を、下の式によって算出した。
R2=(Z5×(8/4)÷Z4)×100=(726×(8/4)÷1485)×100=98[%]
【0072】
比率R1が55[%]であることは、比較例に係る検出方法で得られた押圧範囲にブースト処理を行った場合、押圧検出電極122からの信号値の低下が接触面積に依存して顕著に生じることを表している。一方、比率R2が98[%]であることは、実施の形態に係る検出方法で得られた押圧検出範囲にブースト処理を行った場合、つまり、第2の実施の形態に係る検出方法で押圧値Z4,Z5を算出した場合、押圧検出電極122からの信号値の、接触面積に依存した低下が緩和されたことを表している。したがって、第2の実施の形態に係る検出方法で押圧値を算出することで、押圧検出電極122からの信号値の、接触面積に依存した低下が大幅に緩和されることが検証された。
【0073】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。また、実施の形態に係るタッチパネルシステム及び表示装置は、次のように表すこともできる。
【0074】
(1)実施の形態に係るタッチパネルシステムは、ドライブ電極、位置検出電極、及び押圧検出電極を有するタッチパネルと、ドライブ電極に駆動信号を与え、位置検出電極及び押圧検出電極のそれぞれから信号値を取得するコントローラと、を備え、コントローラは、位置検出電極から得られた信号値に基づいて指示体によるタッチ範囲を検出し、押圧検出電極から得られた信号値のうち、タッチ範囲に対応した押圧検出範囲を決定し、押圧検出範囲内の信号値に基づいて、指示体による押圧の大きさを算出する、ように構成されている。
【0075】
この構成を有することによって、タッチパネルシステムでは、指示体によるタッチ範囲に対応した押圧検出範囲からの信号値が押圧の大きさの算出に用いられる。そのため、タッチ範囲が大きい場合には押圧検出範囲が大きくなり、押圧力が分散していてもそれらを用いて押圧の大きさが算出される。また、タッチ範囲が小さい場合には押圧検出範囲が小さくなり、押圧されていない範囲の押圧検出電極からの信号値によるノイズが抑えられる。したがって、タッチパネルに対する接触面積による影響を抑え、押圧の大きさを精度よく算出することができる。このことは、発明者らが行った、指示体による操作位置に基づいて規定される押圧検出範囲の信号値を用いて算出された押圧の大きさとの比較によって検証された。
【0076】
(2)(1)のタッチパネルシステムであって、好ましくは、タッチ範囲を検出することは、位置検出電極から得られた信号値で構成された第1のマップから、信号値に基づいてタッチ範囲を検出することを含み、押圧検出範囲を決定することは、押圧検出電極から得られた信号値で構成された第2のマップの、タッチ範囲の位置に対応した範囲を押圧検出範囲として決定することを含む。第1のマップ及び第2のマップを用いることで、容易に押圧検出範囲を決定することができる。
【0077】
(3)(2)のタッチパネルシステムであって、好ましくは、押圧の大きさを算出することは、押圧検出範囲内の少なくとも1つの信号値に基づいた暫定値を増幅することを含む。これにより、押圧検出範囲内の信号値の、接触面積に依存した低下が緩和される。その結果、押圧の大きさをより精度よく算出することができる。このことは、発明者らが行った、指示体による操作位置に基づいて規定される押圧検出範囲に対して同様にした場合との比較によって、接触面積に依存した信号値の低下が大幅に緩和されることが検証された。
【0078】
(4)(3)のタッチパネルシステムであって、好ましくは、押圧の大きさを算出することは、押圧検出範囲内のすべての信号値に基づいたすべての暫定値の中の最大値を増幅することを含む。
【0079】
(5)(3)のタッチパネルシステムであって、好ましくは、押圧の大きさを算出することは、押圧検出範囲内のすべての信号値に基づいたすべての暫定値を増幅することを含む。
【0080】
(6)実施の形態に係る表示装置は、(1)~(5)のいずれか1つに記載のタッチパネルシステムと、画像を表示する表示部と、を備え、表示部が画像を表示する表示面上に、タッチパネルが配置されているタッチパネルを有する。この構成を有することによって、表示装置は、タッチパネルシステムから精度よく算出された押圧の大きさを得ることができる。
【符号の説明】
【0081】
1:タッチパネル、2:コントローラ、11:ディスプレイ、111:ドライブ電極、121:位置検出電極、122:押圧検出電極、F:指示体、FM:押圧検出マップ(第2のマップ)、FR:押圧検出範囲、P:表示装置、S:タッチパネルシステム、TM:位置検出マップ(第1のマップ)、TR:タッチ範囲
図1
図2
図3
図4
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図16