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  • 特開-収納部形成方法及び収納部構成部材 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115845
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】収納部形成方法及び収納部構成部材
(51)【国際特許分類】
   E04F 19/08 20060101AFI20240820BHJP
   A47B 96/06 20060101ALI20240820BHJP
   A47B 57/48 20060101ALI20240820BHJP
   E04F 19/04 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
E04F19/08 102J
A47B96/06 B
A47B96/06 H
A47B57/48
E04F19/08 102B
E04F19/04 101E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021716
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000145437
【氏名又は名称】株式会社ウッドワン
(74)【代理人】
【識別番号】100132964
【弁理士】
【氏名又は名称】信末 孝之
(72)【発明者】
【氏名】山本 佑一
(57)【要約】
【課題】巾木が設置された2つの壁の間に収納部を形成する際に、側板の余分な加工が不要であり、収納部の間口を広く確保でき、施工時の位置決めも容易な収納部形成方法及び収納部構成部材を提供する。
【解決手段】巾木11,21が設置された2つの壁10,20の間に横架材2を用いて収納部100を形成する収納部形成方法であって、2枚の側板12,22を側板12,22の底面が2つの壁10,20の各々の巾木11,21の上面に当接するように配置し、配置した2枚の側板12,22を2つの壁10,20に各々固定し、固定した2枚の側板12,22の間に横架材2を取り付ける。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
巾木が設置された2つの壁の間に横架材を用いて収納部を形成する収納部形成方法であって、
2枚の側板を該側板の底面が前記2つの壁の各々の巾木の上面に当接するように配置し、
前記配置した2枚の側板を前記2つの壁に各々固定し、
前記固定した2枚の側板の間に前記横架材を取り付けることを特徴とする収納部形成方法。
【請求項2】
前記2つの壁の奥端間に奥壁が位置しており、
前記側板を該側板の後面が前記奥壁に当接するように配置することを特徴とする請求項1に記載の収納部形成方法。
【請求項3】
前記側板の厚みが前記巾木の厚みよりも薄いことを特徴とする請求項1に記載の収納部形成方法。
【請求項4】
前記側板の幅が前記壁の内部の柱の間隔よりも広いことを特徴とする請求項1に記載の収納部形成方法。
【請求項5】
請求項1に記載の収納部形成方法に使用される収納部構成部材であって、
巾木が設置された2つの壁の各々の巾木の上面に底面が当接するように配置可能で、前記2つの壁に各々固定可能な2枚の側板と、
前記2枚の側板の間に取り付け可能な横架材とからなる収納部構成部材。
【請求項6】
請求項1に記載の収納部形成方法に使用される収納部構成部材であって、
巾木が設置された2つの壁の各々の巾木の上面に底面が当接するように配置可能で、前記2つの壁に各々固定可能で、間に横架材が取り付け可能な2枚の側板からなる収納部構成部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納部形成方法及び収納部構成部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建物内には押し入れやクローゼットなどの備え付けの収納スペースが設けられている。また近年では、見せる収納などが盛んになり、壁面に沿って大型の収納棚を据え付ける、あるいは壁面家具を設置するといったことが行われている。
【0003】
これらの収納棚としては、側板、天板、桟木、背板、仕切板などで箱型に構成したものを、床や壁などに金具を用いて固定して載置して棚板を架け渡したものや、壁に金属のレールを設置し、それに棚受け金具を介して棚板を上載あるいは架け渡すもの等があった。また壁面家具としては、箱型の家具を床面に接することなく壁面に据え付けるものがあった。
【0004】
収納棚や壁面家具に関しては、壁への側板の取り付けについて様々な方法が提案されている。例えば特許文献1には、収納装置内装の側壁を構成する内壁パネル(側板)を建物本体の壁体の下地桟に固定するための取付構造に関する発明が記載されており、壁体3内の補強桟3aに固定した取付下地材2を内壁パネル1の切り欠き部或いは不連続部7に嵌合し、取付下地材2と内壁パネル2とを固着して内壁パネル1を取り付けるようになっている。
【0005】
また特許文献2には、壁面収納庫及びその施工方法に関する発明が記載されており、側壁57と側板11との間にスペーサー70が介装されるようになっている。
【0006】
また特許文献3には、壁に固定することができる物品収納構造体に関する発明が記載されており、奥壁内面W下端に位置決め板(巾木)1を設置し、側板2の下端縁後端に形成された位置決め板1に対応する形状の切り欠き部2aを当接させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10-88781号公報
【特許文献2】特開2007-63793号公報
【特許文献3】特開2000-125959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、床と壁との間には見切り材として巾木が設置されている場合が多く、巾木が設置された2つの壁の間に収納部を形成しようとすると、壁に側板を取り付ける際に巾木が邪魔になるという問題があった。
【0009】
これに対して、特許文献1や特許文献3を参考にして、側板に巾木を避けるための切り欠きなどを形成することが考えられるが、側板への余分な加工が必要になる。
【0010】
また、特許文献2に記載された発明を参考にして、壁と側板との間にスペーサーを介装させて巾木を回避することが考えられるが、スペーサーの分だけ収納部の間口が狭くなる。
【0011】
さらに、側板を使用せずに、壁に金属のレールを設置し、それに棚受け金具を介して棚板を上載あるいは架け渡すものであれば、巾木の有無は関係なく施工できるが、各々のレール間の幅や上下左右の位置、傾きの有無などを、左右の壁ごとに精密に墨出しして施工する必要がある。
【0012】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、巾木が設置された2つの壁の間に収納部を形成する際に、側板の余分な加工が不要であり、収納部の間口を広く確保でき、施工時の位置決めも容易な収納部形成方法及び収納部構成部材を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明の収納部形成方法は、巾木が設置された2つの壁の間に横架材を用いて収納部を形成する収納部形成方法であって、2枚の側板を該側板の底面が前記2つの壁の各々の巾木の上面に当接するように配置し、前記配置した2枚の側板を前記2つの壁に各々固定し、前記固定した2枚の側板の間に前記横架材を取り付けることを特徴とする。
【0014】
また好ましくは、前記2つの壁の奥端間に奥壁が位置しており、前記側板を該側板の後面が前記奥壁に当接するように配置することを特徴とする。
【0015】
また好ましくは、前記側板の厚みが前記巾木の厚みよりも薄いことを特徴とする。
【0016】
また好ましくは、前記側板の幅が前記壁の内部の柱の間隔よりも広いことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の収納部構成部材は、上記収納部形成方法に使用される収納部構成部材であって、巾木が設置された2つの壁の各々の巾木の上面に底面が当接するように配置可能で、前記2つの壁に各々固定可能な2枚の側板と、前記2枚の側板の間に取り付け可能な横架材とからなる。
【0018】
また、本発明の収納部構成部材は、上記収納部形成方法に使用される収納部構成部材であって、巾木が設置された2つの壁の各々の巾木の上面に底面が当接するように配置可能で、前記2つの壁に各々固定可能で、間に横架材が取り付け可能な2枚の側板からなる。
【0019】
「巾木」は、壁と床(土間や押入の中段など上方に収納部を形成可能な空間を有する材を含む)の取り合い部分(接合部分)に設けられた見切り材であり、洋風建築の壁と床との間に設置された一般的な「巾木」の他、和風建築の壁と床(畳)との間に設置された「雑巾摺り」や玄関の壁と土間との間に設置された「玄関巾木」などが含まれる。
【0020】
「横架材」は、2つの壁の間に取り付けられて収納物を保持するためのものであり、「棚板」や「パイプハンガー」などが含まれる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の収納部形成方法は、巾木が設置された2つの壁の間に横架材を用いて収納部を形成する収納部形成方法であり、2枚の側板を側板の底面が2つの壁の各々の巾木の上面に当接するように配置し、配置した2枚の側板を2つの壁に各々固定し、固定した2枚の側板の間に横架材を取り付けるものである。側板は巾木の上方に配置されるので、巾木を避けるための切り欠きなどを形成する必要はなく、余分な加工が不要である。また、壁と側板との間にスペーサーを介装させる必要がないので、収納部の間口を広く確保できる。さらに、側板の底面を巾木の上面に当接させるので、側板の高さ(上下方向)の位置決めが容易である。
【0022】
また、2つの壁の奥端間に奥壁が位置しており、側板を側板の後面が奥壁に当接するように配置するようにした場合には、側板の奥行方向(前後方向)の位置決めが容易である。
【0023】
また、側板の厚みが巾木の厚みよりも薄い場合には、側板の下端部が巾木からはみ出さず、足先などが引っかかることがなく安全であり見栄えもよい。
【0024】
また、側板の幅が壁の内部の柱の間隔よりも広い場合には、側板を壁の内部の柱に強固に固定することができる。
【0025】
また、本発明の収納部構成部材は、上記収納部形成方法に使用することができる。
【0026】
このように、本発明によれば、巾木が設置された2つの壁の間に収納部を形成する際に、側板の余分な加工が不要であり、収納部の間口を広く確保でき、施工時の位置決めも容易な収納部形成方法及び収納部構成部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施形態に係る収納部の形成場所を正面から見た図である。
図2】側板を固定した状態を正面から見た図である。
図3】側板を固定した状態を示す縦断面図である。
図4】側板を固定した状態を示す横断面図である。
図5】完成した収納部を正面から見た図である。
図6】完成した収納部を正面から見た図である。
図7】他の実施形態に係る側板を固定した状態を正面から見た図である。
図8】他の実施形態に係る側板を固定した状態を正面から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、図1乃至図8を参照して、本発明の実施形態に係る収納部形成方法及び収納部構成部材について説明する。本実施形態に係る収納部形成方法は、収納部構成部材である巾木、側板及び横架材を使用するものである。
【0029】
図1は、本発明の実施形態に係る収納部の形成場所を正面から見た図である。本実施形態に係る収納部の形成場所は左右2つの壁10,20の間の空間である。2つの壁10,20の奥端間には奥壁30が位置しており、奥壁30が2つの壁10,20の奥端同士を連結することにより、平面視コ字状の空間が形成されている。なお、遠近感を表現するために透視図法により描いているが、2つの壁10,20は平行であり、奥壁30は壁10,20に対して垂直である。2つの壁10,20の間隔は主柱間隔(700~900mm)の倍数となっている。符号40は床、符号50は天井を示している。
【0030】
2つの壁10,20の下端部には、巾木11,21が各々設置されている。また、奥壁30の下端部には、巾木31が設置されている。巾木の寸法は、例えば高さ60mm、厚み9mmである。本実施形態に係る収納部形成方法は、巾木11,21が設置された2つの壁10,20の間に、後述する横架材を用いて収納部を形成するものである。
【0031】
図2は、収納部の形成場所の2つの壁10,20に側板12,22を固定した状態を正面から見た図である。側板12,22は、同一形状(矩形)の中実の木質板材であり、その寸法は、例えば幅450mm、厚み5.5mmである。幅450mmは、一般的な壁の内部の柱間隔(例えば主柱間900mmに間柱1本の場合2分の1の450mm、間柱2本の場合3分の1の300mmが芯間での柱間隔)よりも長いため、後述するように柱への強固な固定が可能となる。また、厚みを5.5mmとして巾木の厚み(例えば9mm)よりも薄くすれば、側板の下端部が巾木からはみ出さないので、足先などが引っかかることがなく安全であり見栄えもよい。また、厚みを薄くすることにより、自重が軽くなり、後述するように壁への固定方法が多様化できる。なお、高さは形成する収納部の高さに応じて適宜決定することができる。また、間柱には2×4工法のスタッドを含む。
【0032】
側板12,22には、後述する横架材を取り付けるための取付孔1が複数形成されている。取付孔1は貫通孔であり、棚板を取り付けるためのダボを挿入するダボ孔や、パイプハンガーを取り付けるためのブラケット(ホルダー)を挿入するシステム孔である。取付孔1は、底面に平行に複数行(本実施形態では13行)かつ垂直方向に複数列(本実施形態では2列)となるように、間隔を空けて形成されている。そして、側板12,22が対向する所定の位置に配置されたときに、各々の側板に形成された複数の取付孔1が、同じ高さ及び同じ奥行位置で対向するようになっている。
【0033】
本実施形態では、まず2枚の側板12,22を、側板12,22の底面が2つの壁10,20の各々の巾木11,21の上面に当接するように配置する。同時に、側板12,22の後面が奥壁30に当接するように配置する。これにより、側板12,22の高さ(上下方向)の位置決め及び側板12,22の奥行方向(前後方向)の位置決めを容易に行うことができる。そして、このような位置決めにより、前述したように、各々の側板に形成された複数の取付孔1を、同じ高さ及び同じ奥行位置で対向させることができる。なお、2つの側板12,22は同じ大きさであり、表裏を逆にすることで共通利用することができる。
【0034】
そして、配置した2枚の側板12,22の裏面を2つの壁10,20の表面に各々固定する。固定方法としては、側板12,22の裏面に両面テープを貼付したり、接着剤を塗布したりすることができる。また、釘やネジなどの固定具で固定することもできるし、これらを併用することもできる。なお、側板12,22の厚みは巾木11,21の厚みよりも薄いため、側板12,22は、巾木11,21の上面の幅に収まり外側へは突出していない。
【0035】
図3及び図4を参照して、側板12をネジ7により固定した場合について説明する(側板22も同様)。図3は側板12を固定した状態を示す縦断面図であり、図4は側板12を固定した状態を示す横断面図である。壁10は表裏2枚の壁材6,6により形成されており、内部に主柱4及び間柱5が配置されている。奥壁30も同様である。なお、この図4では角の主柱4には添え柱9が配置され壁材6が固定されている。そして、側板12がネジ7により、壁10の内部の間柱5に固定されている。なお、添え柱や主柱に側板がネジにより固定される場合も同様である。また、壁材には壁紙が貼付されていてもよい。
【0036】
ここで、本実施形態では、側板12の幅として450mmを例示している。この450mmは一般的な壁の内部の柱間隔よりも長いため、側板12の幅を450mm以上とすれば、少なくとも1つの柱(主柱、添え柱又は間柱)に釘やネジで固定することが可能になる。側板の幅は、少なくとも1つの柱に掛かるように、間柱数に応じて主柱間隔の2分の1より長い幅の商品、3分の1より長い幅の商品をそれぞれ用意することも可能だが、好ましくは対応する壁内にある2つの主柱の芯間寸法間隔900mmの2分の1である450mm幅あるいはそれ以上の幅とすることで、存在する間柱数に依存しない1種類の側板を用意するだけで足りるという効果も生じる。同様にして、側板が必ず壁の内部の柱を跨ぐような幅で提供することができる。
【0037】
また、側板12,22を中実の木質板材とすることにより、どこで切断してもよく、どこで柱に固定してもよいという効果がある。また横架材の係止部材(ダボやブラケット)を薄い側板の全厚にて保持する効果がある。
【0038】
次に、固定した2枚の側板12,22の間に横架材を取り付けることにより、収納部が完成する。図5は、完成した収納部100を正面から見た図である。図5に示す収納部100は、横架材として4枚の棚板2を使用したものである。各々の棚板2は、対応する取付孔1(ダボ孔)に挿入された図示しないダボの上に載置されて取り付けられている。棚板2の左右方向の長さは、2つの壁10,20の間隔から側板12,22の厚みを引いた長さである。また、棚板2の奥行方向の長さは、側板12,22の奥行方向の長さより短くなっている。棚板2の数や取付位置は適宜選択することができる。なお、棚板2の奥行方向の長さ(及びそれに伴う側板12,22の取付孔1の位置)は、側板12,22の幅(奥行方向の長さ)の範囲内で、その幅とは無関係に定めることができる。上述したように、側板12,22の幅が柱間隔に依存するのに対して、棚板2の奥行方向の長さは収納の構成(例えば、長尺物を手前に立てて収納するために棚板の奥行方向の長さを短くするなど)に依存するためであり、例えば300mmにして側板12,22の幅よりかなり短いものを奥壁側に設置する場合もある。
【0039】
図6は、完成した収納部200を正面から見た図である。図6に示す収納部200は、横架材として2本のパイプハンガー3を使用したものである。各々のパイプハンガー3は、対応する取付孔1(システム孔)に挿入された図示しないブラケット(ホルダー)を介して取り付けられている。パイプハンガー3の左右方向の長さは、2つの壁10,20の間隔から側板12,22の厚みやブラケットの厚みを引いた長さである。パイプハンガー3の数や取付位置は適宜選択することができる。さらに、図5の棚板と図6のパイプハンガーを混在させることもできる。
【0040】
また、本実施形態では、従来のような、側板12,22の間を固定し収納部の形状決めや側板間の位置決めを行う天板や桟木は使用されていない。一方で、横架材として取り付けられた棚板2又はパイプハンガー3は、側板12,22の間に突っ張る形で配置されるので、側板12,22の壁10,20からの剥がれを防止する効果がある。
【0041】
本実施形態に係る収納部形成方法は、巾木11,21が設置された2つの壁10,20の間に横架材2,3を用いて収納部100,200を形成する収納部形成方法であり、2枚の側板12,22を側板12,22の底面が2つの壁10,20の各々の巾木11,21の上面に当接するように配置し、配置した2枚の側板12,22を2つの壁10,20に各々固定し、固定した2枚の側板12,22の間に横架材2,3を取り付けるものである。側板12,22は巾木11,21の上方に配置されるので、巾木11,21を避けるための切り欠きなどを形成する必要はなく、余分な加工が不要である。また、壁10,20と側板12,22との間にスペーサーを介装させる必要がないので、収納部100,200の間口を広く確保できる。さらに、側板12,22の底面を巾木11,21の上面に当接させるので、側板12,22の高さ(上下方向)の位置決めが容易である。
【0042】
また、2つの壁10,20の奥端間に奥壁30が位置しており、側板12,22を側板12,22の後面が奥壁30に当接するように配置するので、側板12,22の奥行方向(前後方向)の位置決めが容易である。
【0043】
また、側板12,22の厚みが巾木11,21の厚みよりも薄いので、側板12,22の下端部が巾木11,21からはみ出さず、足先などが引っかかることがなく安全であり見栄えもよい。
【0044】
また、側板12,22の幅が壁10,20の内部の柱4,5,9の間隔よりも広いので、側板12,22を壁10,20の内部の柱4,5,9に強固に固定することができる。
【0045】
このように、本実施形態に係る収納部形成方法は、巾木が設置された2つの壁の間に収納部を形成する際に、側板の余分な加工が不要であり、収納部の間口を広く確保でき、施工時の位置決めも容易である。
【0046】
以上、本発明の実施形態に係る収納部形成方法及び収納部構成部材について説明したが、本発明は上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。
【0047】
本発明における「巾木」は、壁と床(土間や押入の中段など上方に収納部を形成可能な空間を有する材を含む)の取り合い部分(接合部分)に設けられた見切り材であり、洋風建築の壁と床との間に設置された一般的な「巾木」の他、和風建築の壁と床(畳)との間に設置された「雑巾摺り」や玄関の壁と土間との間に設置された「玄関巾木」などが含まれる。
【0048】
例えば図7に示す他の実施形態のように、押入などの中段8の上方部分を収納部の形成場所とし、中段8の上面に設置された巾木(雑巾摺り)13,23の上面に側板12,22を配置して固定することができる。
【0049】
また、側板を固定する2つの壁は平行である必要はなく、例えば図8に示す他の実施形態のように、側板12,22を固定する2つの壁10,20の奥端間に奥壁が存在しない場合(例えば部屋のコーナー部)であっても、収納部を形成することができる。この場合、横架材としての棚板は、三角形又は台形のものを使用することができる。2枚の側板は、巾木上に固定され上下方向の位置が容易に決まり、例えばコーナー部から同一の距離に設けることで前後方向にも所定の位置に配置される。
【0050】
また、「横架材」は、2つの壁の間に取り付けられて収納物を保持するためのものであり、「棚板」や「パイプハンガー」が含まれるが、これ以外のものであってもよい。
【0051】
また、側板の取付孔の数や位置は限定されず、取付孔は貫通孔に限定されず、さらに横架材の取付方法は取付孔を利用する方法に限定されない。
【0052】
また、2枚の側板を共通利用せず、形状や柄、色などが異なるものを用いてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 取付孔
2 棚板(横架材)
3 パイプハンガー(横架材)
4 主柱(柱)
5 間柱(柱)
6 壁材
7 ネジ
8 中段
9 添え柱(柱)
10 壁
11 巾木
12 側板
13 巾木
20 壁
21 巾木
22 側板
23 巾木
30 奥壁
31 巾木
33 巾木
40 床
50 天井
100 収納部
200 収納部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8