(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115846
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】抵抗スポット溶接装置及び抵抗スポット溶接方法
(51)【国際特許分類】
B23K 11/30 20060101AFI20240820BHJP
B23K 11/16 20060101ALI20240820BHJP
C22C 38/02 20060101ALI20240820BHJP
C22C 38/00 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
B23K11/30
B23K11/16 311
B23K11/16
C22C38/02
C22C38/00 301U
C22C38/00 301T
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021718
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】下田 陽一朗
(57)【要約】
【課題】鋼板が電極の軸心に対して傾いている場合であっても、鋼板に対する電極チップの打角を補正できると共に、打角補正のために屈曲した自在継手を直ちに直線状に整列させることができる抵抗スポット溶接装置を提供する。
【解決手段】鋼板Mに対する電極チップ70の角度補正機構は、凸球面状の係合部35と、該係合部35が摺動自在に嵌合する凹球面状の被係合部39とを有する一対の自在継手30を備える。一対の自在継手30は、係合部35を有する一対の第1軸部31と、軸方向両端部に両被係合部39の一部分(半球状凹部)39aを有する第2軸部32と、第2軸部32の軸方向両端部に取り付けられ、両被係合部39の残りの部分(半球状凹部)39bを有する一対のカバー部材33と、を有する。また、磁気的機構15は、互いに対向する面が同極に着磁された磁石から構成され、屈曲した第1軸部31及び第2軸部32を直線状に整列させる。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の鋼板を挟み込む電極チップをそれぞれ備える一対の電極と、
前記一対の電極の少なくとも一方に設けられ、前記鋼板に対する前記電極チップの角度を補正可能な角度補正機構と、を備え、
前記一対の電極チップによって前記複数の鋼板を挟み込み、前記一対の電極チップに加圧力を付与した状態で通電することで、前記複数の鋼板をスポット溶接する抵抗スポット溶接装置であって、
前記角度補正機構は、先端部が凸球面状の係合部と、該係合部が摺動自在に嵌合する凹球面状の被係合部とをそれぞれ有する一対の自在継手を備え、
前記一対の自在継手は、前記係合部を有する一対の第1軸部と、軸方向両端部に前記両被係合部の一部分を有する第2軸部と、前記第2軸部の軸方向両端部に取り付けられ、前記両被係合部の残りの部分を有する一対のカバー部材と、を有し、
少なくとも前記一対の第1軸部及び前記第2軸部は、導電性材料によって構成され、
前記電極は、屈曲した前記自在継手の前記第1軸部及び前記第2軸部を直線状に整列可能な磁気的機構を有する、
抵抗スポット溶接装置。
【請求項2】
前記磁気的機構は、前記第1軸部と、前記第2軸部及び前記カバー部材のうち少なくとも一方との関係において、互いに対向する面が同極に着磁された磁石から構成される、請求項1に記載の抵抗スポット溶接装置。
【請求項3】
前記電極チップは、先端面の曲率半径RがR≧40mm、かつ、外径φがφ≦16mmである、請求項1又は2に記載の抵抗スポット溶接装置。
【請求項4】
前記電極は、前記一対の第1軸部の貫通孔と前記第2軸部の貫通孔内を挿通し、前記電極内に冷却水を往復通水可能な2重管が設けられる、請求項1又は2に記載の抵抗スポット溶接装置。
【請求項5】
前記電極は、前記一対の第1軸部の貫通孔と前記第2軸部の貫通孔内を挿通し、前記電極内に冷却水を往復通水可能な2重管が設けられる、請求項3に記載の抵抗スポット溶接装置。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の抵抗スポット溶接装置を用いて、
亜鉛系めっきが施された鋼板及びC:0.08質量%以上、Si:0.50質量%以上を含み、引張強度が980MPa以上の鋼板を含む複数の鋼板、又は、C:0.08質量%以上、Si:0.50質量%以上を含み、引張強度が980MPa以上で、かつ亜鉛系めっきが施された鋼板を少なくとも1枚有する複数の鋼板、をスポット溶接する抵抗スポット溶接方法。
【請求項7】
請求項3に記載の抵抗スポット溶接装置を用いて、
亜鉛系めっきが施された鋼板及びC:0.08質量%以上、Si:0.50質量%以上を含み、引張強度が980MPa以上の鋼板を含む複数の鋼板、又は、C:0.08質量%以上、Si:0.50質量%以上を含み、引張強度が980MPa以上で、かつ亜鉛系めっきが施された鋼板を少なくとも1枚有する複数の鋼板、をスポット溶接する抵抗スポット溶接方法。
【請求項8】
請求項4に記載の抵抗スポット溶接装置を用いて、
亜鉛系めっきが施された鋼板及びC:0.08質量%以上、Si:0.50質量%以上を含み、引張強度が980MPa以上の鋼板を含む複数の鋼板、又は、C:0.08質量%以上、Si:0.50質量%以上を含み、引張強度が980MPa以上で、かつ亜鉛系めっきが施された鋼板を少なくとも1枚有する複数の鋼板、をスポット溶接する抵抗スポット溶接方法。
【請求項9】
請求項5に記載の抵抗スポット溶接装置を用いて、
亜鉛系めっきが施された鋼板及びC:0.08質量%以上、Si:0.50質量%以上を含み、引張強度が980MPa以上の鋼板を含む複数の鋼板、又は、C:0.08質量%以上、Si:0.50質量%以上を含み、引張強度が980MPa以上で、かつ亜鉛系めっきが施された鋼板を少なくとも1枚有する複数の鋼板、をスポット溶接する抵抗スポット溶接方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抵抗スポット溶接装置及び抵抗スポット溶接方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CO2排出量の削減を目的とした車体軽量化や衝突安全性強化を実現するため、自動車のボディ骨格等に高張力鋼板(High Tensile Strength Steel;HTSS)が広く採用されている。また、自動車の車体の組立や部品の取付けなどでは、主として、抵抗スポット溶接が使用されており、高張力鋼板の溶接にも適用されている。
【0003】
自動車用鋼板には、防錆化の観点から、耐食性に優れた亜鉛系めっきが施された高張力鋼板も多用されている。しかし、亜鉛系めっきが施された高張力鋼板を用いて抵抗スポット溶接を行うと、該溶接箇所の鋼板表面で溶融した亜鉛や、亜鉛と電極の銅との合金が、鋼板の結晶粒界に侵入して粒界強度を低下させる、LME(Liquid Metal Embrittlement)と呼ばれる粒界脆化割れが起きやすいことが知られている。このような割れが生じると、溶接部の強度が低下して抵抗スポット溶接継手の信頼性が低下してしまうことから、施工面での対策が求められている。
【0004】
例えば、特許文献1には、溶接電極により加圧力F1で加圧しながら通電する溶接工程と、通電の終了直後から加圧力F2で保持する冷却工程を備え、加圧力がF2>F1×2の関係を満足することで、LME割れを抑制可能とした抵抗スポット溶接方法が開示されている。
【0005】
特許文献2には、通電終了後の加圧力保持時間を適宜制御することにより、LME割れを抑制可能とした抵抗スポット溶接方法が開示されている。
【0006】
特許文献3には、一方の電極の基部材に螺合した筒状ソケット内部に鍔付きロッドを挿入し、この鍔付きロッドの基端に設けた凸球面座を、基部材の受面に当接させたスポット溶接機が開示されており、鍔付きロッドの凸球面座の揺動中心が、鍔付きロッドの略中央近くに位置しており、鍔付きロッドの先端部に設けた電極チップの原位置からのシフト量を抑えることで、LME割れを抑制している。
【0007】
特許文献4には、一方の端部に電極チップが設けられた第1の電極用シャンクが、弾性変形可能な接続部材により第2の電極用シャンクと接続されており、電極チップが鋼板に傾斜した状態で接触したとき、接続部材が弾性変形することで電極と鋼板とのなす角度を垂直に保ち、LME割れを抑制可能としたスポット溶接ガン用電極が開示されている。
【0008】
特許文献5には、鋼板に対する電極チップの角度を補正可能な角度補正機構を構成する弾性部材を備える一対の電極を用いて複数の鋼板を挟み込み、電極チップを鋼板に対して略垂直に接触させながら、加圧力を付与した状態で通電することで、LME割れを抑制可能とした抵抗スポット溶接方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2019-171450号公報
【特許文献2】国際公開第2017/033455号
【特許文献3】実願昭58-168076号(実開昭60-74871号)のマイクロフィルム
【特許文献4】実用新案登録第3226182号公報
【特許文献5】特開2022-21770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ここで、特許文献3~5に記載のスポット溶接機及び抵抗スポット溶接方法では、電極の電極チップを揺動可能とすることで、鋼板に対する上下電極の打角を抑制して引張応力を低減させ、LME割れの抑制を図っている。
【0011】
しかしながら、特許文献3に記載のスポット溶接機は、電極の軸心に対して鋼板が傾いていると、鍔付きロッドが凸球面座の揺動中心を中心として旋回して打角補正するため、電極チップが鋼板に対してずれを生じ、依然としてLME割れが生じる可能性がある。
【0012】
また、特許文献4及び5に記載の溶接ガンは、一対の電極用シャンクを弾性変形可能な接続部材(ばね)で接続して、鋼板が電極の軸心に対して傾いている場合でも、電極チップの鋼板に対する打角を補正し、一対の電極チップの軸心のずれかを抑制している。しかしながら、溶接電流を電極チップに供給する導線が、一対の電極用シャンクの外側に配設されているため、該導線が狭隘部を溶接する際の障害となる場合があり、電極のコンパクト化が求められている。
【0013】
なお、特許文献1及び2に記載のスポット溶接方法は、いずれも電極チップを揺動させる機構を備えておらず、打角が発生した場合にLME割れの抑制を図ることについて何ら考慮されていない。
【0014】
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、鋼板が電極の軸心に対して傾いている場合であっても、鋼板に対する電極チップの打角を補正できると共に、打角補正のために屈曲した自在継手を直ちに直線状に整列させることができ、かつ電極のコンパクト化を図った抵抗スポット溶接装置及び抵抗スポット溶接方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の上記目的は、抵抗スポット溶接装置に係る下記[1]の構成により達成される。
【0016】
[1] 複数の鋼板を挟み込む電極チップをそれぞれ備える一対の電極と、
前記一対の電極の少なくとも一方に設けられ、前記鋼板に対する前記電極チップの角度を補正可能な角度補正機構と、
を備え、前記一対の電極チップによって前記複数の鋼板を挟み込み、前記一対の電極チップに加圧力を付与した状態で通電することで、前記複数の鋼板をスポット溶接する抵抗スポット溶接装置であって、
前記角度補正機構は、先端部が凸球面状の係合部と、該係合部が摺動自在に嵌合する凹球面状の被係合部とをそれぞれ有する一対の自在継手を備え、
前記一対の自在継手は、前記係合部を有する一対の第1軸部と、軸方向両端部に前記両被係合部の一部分を有する第2軸部と、前記第2軸部の軸方向両端部に取り付けられ、前記両被係合部の残りの部分を有する一対のカバー部材と、を有し、
少なくとも前記一対の第1軸部及び前記第2軸部は、導電性材料によって構成され、
前記電極は、屈曲した前記自在継手の前記第1軸部及び前記第2軸部を直線状に整列可能な磁気的機構を有する、
抵抗スポット溶接装置。
【0017】
また、本発明の上記目的は、抵抗スポット溶接方法に係る下記[2]の構成により達成される。
【0018】
[2] 上記[1]に記載の抵抗スポット溶接装置を用いて、
亜鉛系めっきが施された鋼板及びC:0.08質量%以上、Si:0.50質量%以上を含み、引張強度が980MPa以上の鋼板を含む複数の鋼板、又は、C:0.08質量%以上、Si:0.50質量%以上を含み、引張強度が980MPa以上で、かつ亜鉛系めっきが施された鋼板を少なくとも1枚有する複数の鋼板、をスポット溶接する抵抗スポット溶接方法。
【発明の効果】
【0019】
本発明の抵抗スポット溶接装置によれば、鋼板が電極の軸心に対して傾いている場合であっても、電極チップの鋼板に対する打角を補正できると共に、打角補正のために屈曲した自在継手を直ちに直線状に整列させることができるコンパクトな電極を構成できる。
【0020】
また、本発明の抵抗スポット溶接方法によれば、亜鉛系めっきが施された鋼板及び高張力鋼板を含む複数の鋼板、又は、亜鉛系めっきが施された高張力鋼板を含む複数の鋼板の抵抗スポット溶接において、抵抗スポット溶接継手の圧接部におけるLME割れの発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る抵抗スポット溶接装置の側面図である。
【
図5】
図5(a)は、傾いた鋼板に対して略垂直となるように屈曲し、打角補正された電極の側面図であり、
図5(b)は、
図5(a)に示す円Aで囲む部分の縦断面図である。
【
図6】
図6(a)は、傾いた鋼板に対して略垂直となるように打角補正された電極の側面図であり、
図6(b)は、
図6(a)の縦断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の第2実施形態に係る抵抗スポット溶接装置の電極の側面図である。
【
図8】
図8は、
図7に示す電極の縦断面図及び要部拡大図である。
【
図9】
図9は、傾いた鋼板に対して略垂直となるように屈曲し、打角補正された電極の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る抵抗スポット溶接装置及び抵抗スポット溶接方法の各実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0023】
なお、本実施形態の抵抗スポット溶接装置は、複数の金属板(鋼板)をスポット溶接するためのものであるが、特に、C:0.08質量%以上、Si:0.50質量%以上を含み、引張強度が980MPa以上で、かつ亜鉛系めっきが施された鋼板(すなわち、亜鉛系めっきが施された高張力鋼板)を、少なくとも1枚有する複数の鋼板Mを、スポット溶接する場合に好適に用いられる。また、本実施形態の抵抗スポット溶接装置は、亜鉛系めっきが施された軟鋼などの通常の亜鉛系めっき鋼板と、該鋼板に接触する、C:0.08質量%以上、Si:0.50質量%以上を含み、引張強度が980MPa以上で、亜鉛系めっきなしの高張力鋼板とを有する、複数の鋼板Mをスポット溶接する場合にも好適に用いられる。
【0024】
また、亜鉛系めっきが施された鋼板としては、例えば、合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA)、溶融亜鉛めっき鋼板(GI)、電気亜鉛めっき鋼板(EG)などが挙げられる。
【0025】
(第1実施形態)
まず、
図1~
図6を参照して第2実施形態の抵抗スポット溶接装置について説明する。
図1に示すように、本実施形態の抵抗スポット溶接装置10は、平面視で略C型の形状を呈するフレーム11と、フレーム11の一端に設けられた加圧シリンダ12と、フレーム11及び加圧シリンダ12の対向する端部に設けられた2つの基台13A,13Bと、可動側の基台13Aに設けられた可動側の電極20と、固定側の基台13Bに設けられた固定側の電極20を備える。なお、可動側の電極20及び固定側の電極20は、同軸上において対向するように配置されている。
【0026】
ここで、スポット溶接を行う場合、重ね合わせた複数(
図1では2枚)の被接合体である鋼板Mを、可動側の電極20及び固定側の電極20間に挿入し、鋼板Mを固定側の電極20に当接させた状態で、加圧シリンダ12により可動側の電極20を図中下方へ進出させて、鋼板Mを一対の電極20,20の間に挟み込む。この状態で加圧しながら一対の電極20,20間に通電を行い、スポット溶接を行う。
なお、可動側の電極20及び固定側の電極20は同一構造を有するため、以下の説明では、可動側の電極20についてのみ説明する。
【0027】
図2~
図4Bに示すように、電極20は、角度補正機構である一対の自在継手30と、一対の自在継手30にそれぞれ設けられた一対の磁気的機構15と、鋼板Mに当接する電極チップ70と、基台13A,13Bに取付けるための固定部14と、を備える。
【0028】
また、
図4Aに示すように、一対の自在継手30は、それぞれ第1軸部31、第2軸部32及びカバー部材33を有しており、これらにより一体に組み付けられている。なお、一対の自在継手30は、第2軸部32を共通の単一部材として、第2軸部32の軸方向中間部に対して上下対称で、同一の構成を備えており、一対の磁気的機構15も、第2軸部32の軸方向中間部に対して上下に同一の構成を備える。
【0029】
第1軸部31は、軸方向に貫通する貫通孔34が形成された柱状部材であり、その一端には外形が凸球面状に形成された係合部35が設けられ、他端には先細りとなるテーパー部36が設けられている。また、第1軸部31の軸方向中間部の外周面には、雄ねじ部37が形成され、貫通孔34の他端(すなわち、テーパー部36側)には、雌ねじ部43が形成されている。
【0030】
鋼板M側に配置される一方の第1軸部31のテーパー部36には、電極チップ70が固定され、加圧シリンダ12側に配置される他方の第1軸部31のテーパー部36には、固定部14が固定されている。そして、固定部14に形成された雄ねじ14aが、基台13Aの不図示の雌ねじに螺合して基台13Aに固定されている。
【0031】
第2軸部32は、その外径が第1軸部31の外径よりも大径の柱状部材であり、軸方向に貫通する貫通孔38を有し、その軸方向両端部には、凹球面状に形成された半球状凹部39aが形成されている。また、第2軸部32の軸方向両端面には、複数の雌ねじ部40が周方向に等間隔で設けられている。
なお、本実施形態では、貫通孔38の内径は、第1軸部31の貫通孔34の内径よりも僅かに大きく形成されている。
【0032】
カバー部材33は、第2軸部32の外径と略等しい外径を有する円盤状部材であり、第2軸部32の半球状凹部39aと同じ曲率半径を有し、凹球面状の半球状凹部39bが一部に形成された孔部41を有する。そして、カバー部材33の孔部41に第1軸部31の軸部を挿通し、第1軸部31の係合部35の一部分にカバー部材33の半球状凹部39bを嵌合させた後、係合部35の残りの部分を第2軸部32の半球状凹部39aに嵌合し、ねじ42を雌ねじ部40に螺合してカバー部材33を第2軸部32の軸方向両端部に固定する。これにより、カバー部材33の半球状凹部39bと第2軸部32の半球状凹部39aとは、凹球面状の被係合部39を形成する。
【0033】
したがって、凹球面状の被係合部39に凸球面状の係合部35が摺動自在に嵌合する。すなわち、第2軸部32の軸方向両端部に、第1軸部31が旋回自在に嵌合する一対の自在継手30が形成される。なお、自在継手30は、第2軸部32に対して第1軸部31が屈曲したとき、カバー部材33の孔部41に第1軸部31の軸部が干渉することで、所定の角度を超えて屈曲しすぎないように構成されている。
【0034】
また、
図4A及び
図4Bに示すように、一対の第1軸部31の貫通孔34,34と第2軸部32の貫通孔38は連通しており、例えば、ビニールチューブなどの柔軟性を有するチューブ49が貫通孔34,38及び34を貫通して挿通されている。
【0035】
また、第1軸部31の貫通孔34に形成された雌ねじ部43には、チューブ押え44の雄ねじ部44aが螺合してチューブ押え44が第1軸部31に固定されている。チューブ押え44は、軸方向に貫通する貫通孔44bを有する略パイプ状部材であり、先端にテーパー部45を備える。チューブ49の両端部は、それぞれチューブ押え44のテーパー部45に水密に嵌合している。
【0036】
これにより、カバー部材33の半球状凹部39bと第1軸部31の係合部35との間に、冷却水の漏れ防止のためのOリングなどを設ける必要がなく、Oリングを設けた場合と比較して係合部35と被係合部39との摺動抵抗が大幅に低減される。
【0037】
また、テフロン(登録商標)などのチューブ48がチューブ49を貫通して挿通されている。すなわち、一対の第1軸部31の貫通孔34,34と第2軸部32の貫通孔38には、チューブ48,49が2重に挿通され、チューブ48の内部、及びチューブ48とチューブ49の間の円環状部に後述する冷却水が送水可能となっている。
【0038】
チューブ48、49は、電極チップ70を冷却するための冷却水の流路Tを形成する。具体的には、チューブ48が往路T1を形成し、チューブ48とチューブ49の間の円環状部の空間が復路T2を形成する。そして、図示しないスポット溶接機の本体から供給され、固定部側から往路T1に送られた冷却水は、
図4Aに示す矢印方向に流れ、電極チップ70を冷却した後、復路T2を通過して、スポット溶接機の本体へと戻される。なお、チューブ49は柔軟性を有しており、またチューブ48は、余裕を持ってチューブ49内に挿通するため、後述するように、第1軸部31と第2軸部32とは、支障なく屈曲可能である。
【0039】
続いて、電極20の一対の磁気的機構15は、第1軸部31に固定された第1の磁石50Aと、カバー部材33を介して第2軸部32に固定された第2の磁石50Bとで構成されている。第1及び第2の磁石50A,50Bの互いに対向する面51A,51Bは、例えば、N極とN極、又はS極とS極である同極に着磁されている。具体的に、第1の磁石50Aは、略円環状の磁石であり、第1軸部31の雄ねじ部37に螺合する略円盤状の磁石ホルダ52に、ねじ固定されている。第2の磁石50Bは、第1の磁石50Aと同じ外径寸法を有する略円環状の磁石であり、ねじ42によりカバー部材33の第1軸部31側にカバー部材33と共締めされて固定されている。
【0040】
互いに対向する面51A、51Bが同極に着磁されている第1及び第2の磁石50A,50B間には、対向する面51A,51B間の距離の2乗に反比例する反発力が作用する。該反発力の大きさは、第1軸部31の雄ねじ部37に螺合する磁石ホルダ52を、第1の磁石50Aと共に軸方向に移動させて、対向する面51A,51B間の距離を変更することで調整することができる。
【0041】
次に、角度補正機構である一対の自在継手30の作用について説明する。一対の電極20は、それぞれ一対の自在継手30の作用により、鋼板Mに対する打角を補正して、可動側及び固定側の両電極チップ70,70を鋼板Mに対して略垂直状態で接触させる。
【0042】
詳細には、
図5(a)及び
図5(b)のように、電極20の軸心に対して傾斜している鋼板Mに一対の電極20が接触すると、鋼板Mの上方にある電極20の一対の自在継手30は、電極チップ70を有する側の第1軸部31が、第2軸部32に対して、図中の反時計方向に回動し、またそれと同時に、第2軸部32が、第1軸部31の回転方向と反対方向である、図中の時計方向に回動し、略くの字形に屈曲することで、電極チップ70が鋼板Mに対して略垂直に接触する。
【0043】
また、鋼板Mの下方にある電極20の一対の自在継手30は、電極チップ70を有する側の第1軸部31が、第2軸部32に対して反時計方向に回動し、またそれと同時に、第2軸部32が、第1軸部31の回転方向と反対方向である時計方向に回動して略くの字形に屈曲することで、電極チップ70が鋼板Mに対して略垂直に接触する。
【0044】
その際、鋼板Mを上下から挟持する電極チップ70,70は、鋼板Mに対して略垂直に接触するように僅かに回転するため、両電極チップ70,70の軸心Y1,Y2には、少しのずれδ(
図5(b)参照)が生じ得る。しかしながら、このようなずれδはわずかなものであり、溶接品質に実質的に影響を及ぼすことはなく、良好なスポット溶接を実現することができる。
なお、ここでいう「略垂直」とは、工業的に達成可能な角度を意味し、例えば、90°±5°の角度誤差を許容するものとする。
【0045】
次に、一対の磁気的機構15の作用について説明する。
図6(a)及び
図6(b)に示すように、電極20の軸心に対して傾斜している鋼板Mに電極20が接触すると、一対の自在継手30は、電極チップ70を有する側の第1軸部31が、第2軸部32に対して、図中の反時計方向に回動し、またそれと同時に、第2軸部32が、第1軸部31の回転方向と反対方向である、図中の時計方向に回動して略くの字形に屈曲する。
【0046】
これにより、固定側(図中上側)の第1及び第2の磁石50A、50Bは、図中右側の隙間C1が大きく、図中左側の隙間C2が小さくなる。同時に、電極チップ70側(図中下側)の第1及び第2の磁石50A,50Bは、反対に、図中右側の隙間C3が小さく、図中左側の隙間C4が大きくなる。
【0047】
前述したように、第1の磁石50Aと第2の磁石50B間の反発力の大きさは、距離の2乗に反比例するため、固定側の第1及び第2の磁石50A,50B間に作用する反発力の大きさは、図中左側に作用する反発力が、図中右側に作用する反発力より大きくなる。例えば、隙間C1が2倍になると、反発力の大きさは1/4になり、隙間C2が1/2になると、反発力の大きさは4倍になる。
【0048】
また同様に、電極チップ70側の第1及び第2の磁石50A,50B間に作用する反発力の大きさは、図中右側に作用する反発力が、図中左側に作用する反発力より大きくなる。
【0049】
この図中における左右の反発力の大きさの差は、傾いた第1及び第2の磁石50A,50Bを平行に戻すように、すなわち、屈曲した第1軸部31と第2軸部32を直線状に整列させる力として作用する。
【0050】
屈曲した第1軸部31と第2軸部32を直線状に整列させる作用を弾性部材(ばね)で達成させる場合(上記特許文献4、5参照)と比較すると、ばねで発生する力の大きさは、距離に反比例するのに対して、本実施形態の磁石の反発力は、距離の2乗に反比例するため、大きな力が得られ、短時間で直線状に整列させることができる。さらに、前述したように、係合部35と被係合部39間にOリングを設けた場合と比較すると、本実施形態ではOリングを用いていないため、係合部35と被係合部39間の摺動抵抗が大幅に低減され、さらに短時間で直線状に整列できる。
【0051】
このように、整列に要する時間が短縮されるため、鋼板Mに複数の溶接部を連続して形成する場合でも、傾いた第1及び第2の磁石50A,50Bを、次の溶接の前に、直ちに直線状に整列させることができ、高い溶接品質が得られると共に溶接効率が向上する。
【0052】
さらに、直線状に整列した状態では(第1及び第2の磁石50A,50Bが平行)、特許文献4、5に示すように一対の電極間をばねで接続した場合と比較して、電極間に作用する力(直線状に整列させる力)が周方向で均一になり、安定した溶接品質に寄与する。
【0053】
また、第1軸部31、第2軸部32及びカバー部材33は、それぞれ導電性を有する、例えば真鍮のような金属(合金)からなる導電性材料により構成されており、溶接電流の導電路として作用する。これにより、例えば特許文献4、5に示すような一対の電極用シャンクの外側に配設された、専用の導電路を別途設ける必要がなく、コンパクトな電極20を構成できる。
【0054】
電極チップ70は、その先端面の曲率半径Rは40mm以上(R≧40mm)となっており、また、その先端面の直径(外径)φが16mm以下(φ≦16mm)となっている(
図4A参照)。これにより、鋼板Mに対する電極チップ70の片当たりが抑制されて確実に接触する。
なお、本実施形態では、電極チップ70は、その先端面から外径面にかけて凸曲面状に形成されているが、先端面と外径面とを面取りを介して連続させた円柱状に形成されてもよい。
【0055】
以上説明したように、本実施形態の一対の自在継手30は、電極チップ70の鋼板Mに対する角度を補正可能な角度補正機構として作用して、電極チップ70の打角を補正すると共に、鋼板Mに対する電極チップ70のずれを抑制する。すなわち、上下一対の電極チップ70,70は、鋼板Mに対して略垂直、かつ、ずれが抑制された状態で鋼板Mに当接することで、引張応力を低減させてLME割れを抑制する。
【0056】
また、電極20は、対向する面が同極に着磁された第1及び第2の磁石50A、50Bで構成された磁気的機構15を備えるため、第1及び第2の磁石50A、50Bの磁力(反発力)により屈曲した自在継手30の第1軸部31及び第2軸部32を直線状に整列させることができ、かつコンパクトな電極20を構成できる。
【0057】
さらに、少なくとも一対の第1軸部31及び第2軸部32は、導電性材料で形成されているため、電極チップ70に溶接電流を供給するための専用の導電部材が不要となり、電極20がさらにコンパクト化されて、狭隘部の溶接の際にも障害となるおそれはなく、狭隘部を容易に溶接することができる。
【0058】
一対の自在継手30,30は、いずれも剛体である第1軸部31、第2軸部32及びカバー部材33で一体的に構成されているため、電極20は軸方向に対して高い剛性を有しており、溶接時に鋼板Mから電極20に荷重が作用しても軸方向位置を一定位置に維持することができ、安定した抵抗スポット溶接を行い得る。
【0059】
(第2実施形態)
次に、
図7~
図9を参照して第2実施形態の抵抗スポット溶接装置について説明する。本実施形態の抵抗スポット溶接装置10では、電極20の第2軸部32の周囲に、円筒状のスリーブ55が外嵌固定されている。スリーブ55は、第2軸部32及び一対のカバー部材33の合計長さより長い軸方向長さを有し、外周面の軸方向両端部には、雄ねじ部56が設けられている。
【0060】
また、本実施形態では、第1実施形態の平坦な略円環状の第1の磁石50A及び第2の磁石50Bの代わりに、円錐状の外周面51Aを持った略円環状の第1の磁石50A及び円錐状の内周面51Bを持った略円環状の第2の磁石50Bが用いられている。
【0061】
第1の磁石50Aは、中心に雌ねじ部57を有し、雌ねじ部57が第1軸部31の雄ねじ部37に螺合して第1軸部31に固定されている。これにより、第1の磁石50Aは、図中上下方向に位置調整が可能である。
【0062】
第2の磁石50Bは、スリーブ55の外径より大きな外径を有し、第2の磁石50Bの一端には、雌ねじ部60が形成されている。第2の磁石50Bは、雌ねじ部60がスリーブ55の雄ねじ部56に螺合してスリーブ55の両端部に固定されている。
【0063】
第1の磁石50Aの円錐状の外周面51Aと第2の磁石50Bの円錐状の内周面51Bとは、同極に着磁されて対向配置されており、円錐状の外周面51Aと円錐状の内周面51Bとの間には、第1及び第2の磁石50A,50Bの磁力による反発力が作用している。
【0064】
そして、電極20の軸心に対して傾斜している鋼板Mに電極20が接触すると、一対の自在継手30は、電極チップ70を有する側の第1軸部31が、第2軸部32に対して反時計方向に回動し、またそれと同時に、第2軸部32が、第1軸部31の回転方向と反対方向である時計方向に回動して略くの字形に屈曲する。
【0065】
これにより、固定側(図中上方)の磁気的機構15の第1の磁石50Aの円錐状の外周面51Aと第2の磁石50Bの円錐状の内周面51Bとの隙間は、図中右側の隙間C1が大きくなり、図中左側の隙間C2が小さくなる。また、電極チップ70側(図中下方)の磁気的機構15の第1の磁石50Aの円錐状の外周面51Aと第2の磁石50Bの円錐状の内周面51Bとの隙間は、図中右側の隙間C3が小さくなり、図中左側の隙間C4が大きくなる。
【0066】
そして、第1の磁石50Aと第2の磁石との間には、隙間C1、C2、C3及びC4に応じた反発力が作用して、屈曲した自在継手30の第1軸部31及び第2軸部32を直線状に整列させる。
なお、その他の構成及び作用は、第1実施形態の抵抗スポット溶接装置10と同様である。
【0067】
以上のとおり、第1実施形態及び第2実施形態に係る抵抗スポット溶接装置及び抵抗スポット溶接方法について説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が可能である。
【0068】
例えば、上記の実施形態では、第1軸部に係合部が設けられ、第2軸部に被係合部が設けられるとしたが、これとは逆に、第1軸部に被係合部を設け、第2軸部に係合部を設けるようにしてもよい。
【0069】
また、上記の実施形態では、一対の第1軸部、第2軸部及び一対のカバー部材は、それぞれ導電性材料によって構成されるが、本発明においては、少なくとも一対の第1軸部及び第2軸部が導電性材料によって構成されればよい。
さらに、上記の実施形態では、一対の自在継手を有する角度補正機構は、一対の電極にそれぞれ設けられているが、本発明は、該角度補正機構は、一対の電極の少なくとも一方に設けられてもよい。
【0070】
また、上記の実施形態では、互いに対向する面が同極に着磁された磁石で構成された磁気的機構により屈曲した第1軸部及び第2軸部を直線状に整列させたが、磁石は永久磁石であってもよく、またコイルに電流を流すことで磁力を発生させる、いわゆる電磁石であってもよい。この場合も、互いに対向する面が同極になるように、電流の方向が設定される。
【0071】
以上のとおり、本明細書には次の事項が開示されている。
【0072】
(1) 複数の鋼板を挟み込む電極チップをそれぞれ備える一対の電極と、
前記一対の電極の少なくとも一方に設けられ、前記鋼板に対する前記電極チップの角度を補正可能な角度補正機構と、を備え、
前記一対の電極チップによって前記複数の鋼板を挟み込み、前記一対の電極チップに加圧力を付与した状態で通電することで、前記複数の鋼板をスポット溶接する抵抗スポット溶接装置であって、
前記角度補正機構は、先端部が凸球面状の係合部と、該係合部が摺動自在に嵌合する凹球面状の被係合部とをそれぞれ有する一対の自在継手を備え、
前記一対の自在継手は、前記係合部を有する一対の第1軸部と、軸方向両端部に前記両被係合部の一部分を有する第2軸部と、前記第2軸部の軸方向両端部に取り付けられ、前記両被係合部の残りの部分を有する一対のカバー部材と、を有し、
少なくとも前記一対の第1軸部及び前記第2軸部は、導電性材料によって構成され、
前記電極は、屈曲した前記自在継手の前記第1軸部及び前記第2軸部を直線状に整列可能な磁気的機構を有する、
抵抗スポット溶接装置。
この構成によれば、鋼板が電極の軸心に対して傾いている場合であっても、電極チップの鋼板に対する打角を補正できると共に、磁気的機構により打角補正のために屈曲した自在継手を直ちに直線状に整列させることができるコンパクトな電極を構成できる。
【0073】
(2) 前記磁気的機構は、前記第1軸部と、前記第2軸部及び前記カバー部材のうち少なくとも一方との関係において、互いに対向する面が同極に着磁された磁石から構成される、(1)に記載の抵抗スポット溶接装置。
この構成によれば、互いに対向する面が同極に着磁された磁石に作用する反発力の作用により、溶接時に屈曲した電極を、溶接終了後に直ちに元の直線状態に自動的に復元できる。
【0074】
(3) 前記電極チップは、先端面の曲率半径RがR≧40mm、かつ、外径φがφ≦16mmである、(1)又は(2)に記載の抵抗スポット溶接装置。
この構成によれば、鋼板に対する電極チップの片当たりが抑制されて電極チップを鋼板に確実に接触できる。
【0075】
(4) 前記電極は、前記一対の第1軸部の貫通孔と前記第2軸部の貫通孔内を挿通し、前記電極内に冷却水を往復通水可能な2重管が設けられる、(1)~(3)のいずれか1つに記載の抵抗スポット溶接装置。
この構成によれば、係合部と被係合部の摺動部に水漏れ防止のためのOリングなどを配設する必要がなく、係合部と被係合部の摺動抵抗を大幅に低減できる。またこれにより、第1軸部及び第2軸部を短時間で直線状に整列できる。
【0076】
(5) (1)~(4)のいずれか1つに記載の抵抗スポット溶接装置を用いて、
亜鉛系めっきが施された鋼板及びC:0.08質量%以上、Si:0.50質量%以上を含み、引張強度が980MPa以上の鋼板を含む複数の鋼板、又は、C:0.08質量%以上、Si:0.50質量%以上を含み、引張強度が980MPa以上で、かつ亜鉛系めっきが施された鋼板を少なくとも1枚有する複数の鋼板、をスポット溶接する抵抗スポット溶接方法。
この構成によれば、亜鉛系めっきが施された鋼板及び高張力鋼板を含む複数の鋼板、又は、亜鉛系めっきが施された高張力鋼板を含む複数の鋼板の抵抗スポット溶接において、抵抗スポット溶接継手の圧接部におけるLME割れの発生を抑制できる。
【符号の説明】
【0077】
10 抵抗スポット溶接装置
15 磁気的機構
20 電極
30 自在継手(角度補正機構)
31 第1軸部
32 第2軸部
33 カバー部材
35 係合部
39 被係合部
39a、39b 半球状凹部(被係合部)
48、49 チューブ(2重管)
50A、50B 磁石
51A、51B 磁石の対向する面
70 電極チップ
M 鋼板
R 電極チップの先端面の曲率半径
φ 電極チップの先端面の外径