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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115852
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】自動販売機
(51)【国際特許分類】
   G07F 9/10 20060101AFI20240820BHJP
【FI】
G07F9/10 C
G07F9/10 101A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021726
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】冨田 一宏
(72)【発明者】
【氏名】村上 旭
(72)【発明者】
【氏名】杉原 弘太
(72)【発明者】
【氏名】大坪 智憲
【テーマコード(参考)】
3E044
【Fターム(参考)】
3E044AA01
3E044FB01
3E044FB11
3E044FB14
(57)【要約】
【課題】結露水を良好に蒸発皿に案内すること。
【解決手段】機内で生じた結露水を、該機内に設けられた蒸発皿14に案内する樋部材20を備えた自動販売機であって、樋部材20は、結露水を蒸発皿14に滴下させる切欠部23に向けて漸次下方に傾斜延在する通路20aを有し、かつ該切欠部23を構成する縁部分に下方に向けて突出する態様で形成された突部24を備えている。突部24は、下方に向かうに連れてその幅寸法が漸次小さくなる態様で先細り形状にて形成されていることが好ましい。突部24は、樋部材20の背面を構成する背面部分21に形成されていることが好ましい。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機内で生じた結露水を、該機内に設けられた蒸発皿に案内する樋部材を備えた自動販売機であって、
前記樋部材は、前記結露水を前記蒸発皿に滴下させる切欠部に向けて漸次下方に傾斜延在する通路を有し、かつ該切欠部を構成する縁部分に下方に向けて突出する態様で形成された突部を備えたことを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
前記突部は、下方に向かうに連れてその幅寸法が漸次小さくなる態様で先細り形状にて形成されたことを特徴とする請求項1に記載の自動販売機。
【請求項3】
前記突部は、前記樋部材の背面を構成する背面部分に形成されたことを特徴とする請求項2に記載の自動販売機。
【請求項4】
前記通路は、前記切欠部に近接するにしたがって断面積が漸次小さくなる態様で形成されたことを特徴とする請求項3に記載の自動販売機。
【請求項5】
前記樋部材は、前記背面部分の下端部より前方に向かうに連れて漸次上方に傾斜する底部分を有し、かつ前記背面部分と前記底部分との成す角度は、前記切欠部に近接するにしたがって漸次小さくなる態様で形成されたことを特徴とする請求項4に記載の自動販売機。
【請求項6】
前記樋部材は、前記背面部分における前記突部の上方領域に、水平面に対して傾斜延在するビード部が形成されたことを特徴とする請求項3~5のいずれか1つに記載の自動販売機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば缶やペットボトル等の容器に入れられた飲料等を商品として販売する自動販売機では、機内で生じた結露水を機内に設けられた蒸発皿に案内する樋部材が設けられているのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-123602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した自動販売機では、衛生的な観点より、結露水を樋部材で滞留させずに蒸発皿に向けて流れることが求められている。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、結露水を良好に蒸発皿に案内することができる自動販売機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る自動販売機は、機内で生じた結露水を、該機内に設けられた蒸発皿に案内する樋部材を備えた自動販売機であって、前記樋部材は、前記結露水を前記蒸発皿に滴下させる切欠部に向けて漸次下方に傾斜延在する通路を有し、かつ該切欠部を構成する縁部分に下方に向けて突出する態様で形成された突部を備えたことを特徴とする。
【0007】
また本発明は、上記自動販売機において、前記突部は、下方に向かうに連れてその幅寸法が漸次小さくなる態様で先細り形状にて形成されたことを特徴とする。
【0008】
また本発明は、上記自動販売機において、前記突部は、前記樋部材の背面を構成する背面部分に形成されたことを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上記自動販売機において、前記通路は、前記切欠部に近接するにしたがって断面積が漸次小さくなる態様で形成されたことを特徴とする。
【0010】
また本発明は、上記自動販売機において、前記樋部材は、前記背面部分の下端部より前方に向かうに連れて漸次上方に傾斜する底部分を有し、かつ前記背面部分と前記底部分との成す角度は、前記切欠部に近接するにしたがって漸次小さくなる態様で形成されたことを特徴とする。
【0011】
また本発明は、上記自動販売機において、前記樋部材は、前記背面部分における前記突部の上方領域に、水平面に対して傾斜延在するビード部が形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、樋部材は、結露水を蒸発皿に滴下させる切欠部に向けて漸次下方に傾斜延在する通路を有し、かつ該切欠部を構成する縁部分に下方に向けて突出する態様で突部が形成されているので、結露水を切欠部に向けて流通させながら、突部を通じて結露水を蒸発皿に滴下させることができ、結露水を良好に蒸発皿に案内することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の実施の形態である自動販売機の内部構造を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示した自動販売機の要部を拡大して示す斜視図である。
図3図3は、図2に示した樋部材と蒸発皿とを正面から示した正面図である。
図4図4は、図3に示した樋部材の要部を拡大して示す正面図である。
図5図5は、図3におけるA-A線断面図である。
図6図6は、図3におけるB-B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る自動販売機の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態である自動販売機の内部構造を示す斜視図である。ここで例示する自動販売機は、例えば缶やペットボトル等の容器に入れられた飲料等の商品を冷却若しくは加熱した状態で販売するものである。
【0016】
そのような自動販売機は、前面に開口(以下、前面開口ともいう)1aを有した箱状の本体キャビネット1と、この本体キャビネット1の左側縁に支承されて前面開口1aを開閉する外扉2とを備えている。
【0017】
本体キャビネット1の内部には、上下に仕切る床部材3が配設されており、床部材3の上方に商品収納室4が画成され、床部材3の下方に機械室5が画成されている。商品収納室4の内部となる天井面、内壁面、床面には、断熱材(図示せず)が配設されている。
【0018】
更に商品収納室4は、左右に仕切る断熱仕切板6が配設されており、商品収納室4は、複数(例えば3つ)の商品収容庫4a,4b,4cに画成されている。各商品収容庫4a,4b,4cには、図には明示しないが、蒸発器、ヒータ、庫内送風ファンが配設されており、商品収容庫4a,4b,4c毎に内部の空気を冷却したり、加熱したりすることができるようになっている。
【0019】
また商品収容庫4a,4b,4cには、商品収納ラック7が搭載されている。商品収納ラック7は、内部に画成された商品収納通路(図示せず)に商品を収納するとともに、販売指令にしたがって商品収納通路から商品を払い出すようになっている。
【0020】
商品収納ラック7の上方部には、トップトレイ8が配設されている。トップトレイ8は、商品収納通路に商品を搬入するためのもので、手前から奥方に向けて漸次低くなるように傾斜配置されている。そして、上下に隣り合うトップトレイ8の相互間には、商品投入通路が画成され、商品投入口8aが上部前面に開口している。
【0021】
一方、商品収納ラック7の下方となる商品収容庫4a,4b,4cの下方部には、シュータ9が配設されている。シュータ9は、上述した蒸発器、ヒータ、ファンを覆うとともに、商品収納ラック7から払い出された商品を搬出するためのもので、奥方から手前に向けて漸次低くなるように傾斜配置されている。
【0022】
また本体キャビネット1と外扉2との間には、断熱構造を有した内扉10が配設されている。内扉10は、商品収納室4の前面を覆うことにより、商品収納室4(商品収容庫4a,4b,4c)を断熱するもので、本実施の形態である内扉10は、商品収納室4の上部前面に開口した商品投入口8aを覆う上部内扉11と、商品収納室4の下部前面を覆う下部内扉12とにより構成されている。
【0023】
上部内扉11は、外扉2の背面に取り付けられ、外扉2とともに開閉されるようになっている。一方、下部内扉12は、本体キャビネット1の左側縁に支承され、外扉2とは独立して開閉されるようになっている。従って、商品を補充するために外扉2を開放すれば、商品収納室4の上部前面に開口した商品投入口8aが露出するものの、下部前面は下部内扉12によって覆われた状態を持続することになる。
【0024】
下部内扉12には、各商品収容庫4a,4b,4cに対応するように商品搬出口12a,12b,12cが設けられている。商品搬出口12a,12b,12cは、上縁が支承された商品搬出扉13によって閉塞されている。
【0025】
従って、商品収容庫4a,4b,4cに収納された商品収納ラック7から商品が払い出されると、商品はシュータ9を経て商品搬出口12a,12b,12cに到り、商品搬出扉13を押し開くことになる。
【0026】
そして、商品搬出扉13を押し開いた商品は、外扉2に設けられた取出口部2aに搬出され、当該商品は外扉2に設けられた商品取出口(図示せず)を通じて利用者によって取り出し可能となる。
【0027】
そのような自動販売機には、図2にも示すように、床部材3の前面に樋部材20が取り付けられている。樋部材20は、商品収納室4の内外の温度差によって主に内扉10の表面に生じる結露水や商品収容庫4a,4b,4cの内部で発生した結露水を、機械室5に配設された蒸発皿14に案内するものである。すなわち、樋部材20は、機内で生じた結露水を、該機内に設けられた蒸発皿14に案内するものである。
【0028】
そのような樋部材20は、例えば鋼板を加工して形成されたものであり、図3にも示すように、床部材3の前面に取り付けられて該床部材3よりも下方に向けて延在することにより背面を構成する背面部分21と、背面部分21の延在端部である下端部より前方に向かうに連れて漸次上方に傾斜する態様で延在する底部分22とを有している。
【0029】
かかる樋部材20においては、背面部分21と底部分22との相互間において結露水の通路20aが形成されており、蒸発皿14の直上域となる部分に形成された切欠部23に向けて通路20aが漸次下方に傾斜する態様で延在している。
【0030】
また樋部材20においては、図4に示すように、切欠部23を構成する縁部分のうち背面部分21の下端部分において、下方に向けて突出する突部24が形成されている。この突部24は、下方に向かうに連れて幅寸法(左右方向の寸法)が漸次小さくなる態様で先細り形状に形成されている。上記背面部分21においては、ビード加工が施されることにより、突部24の上方領域に水平面に対して傾斜延在するビード部25が形成されている。
【0031】
更に樋部材20においては、切欠部23に近接するにしたがって通路20aの断面積が漸次小さくなるように形成されている。より詳細には、樋部材20は、図5及び図6に示すように、背面部分21と底部分22との成す角度θ1,θ2は、切欠部23に近接するにしたがって漸次小さくなる(θ1<θ2)ように形成されている。
【0032】
以上のような構成を有する自動販売機においては、樋部材20が、切欠部23に向けて通路20aが漸次下方に傾斜する態様で延在しつつ、切欠部23を構成する縁部分に先細り形状の突部24が形成されているので、結露水を切欠部23に向けて流通させながら、突部24を通じて結露水を蒸発皿14に滴下させることができる。これにより、結露水を良好に蒸発皿14に案内することができる。
【0033】
特に突部24を通じて結露水を滴下させることができるので、結露水を下方に向けて案内することができ、樋部材20と蒸発皿14との離間距離が比較的大きくても結露水を蒸発皿14に誘導することができる。
【0034】
上記自動販売機によれば、樋部材20は、通路20aが切欠部23に近接するにしたがって背面部分21と底部分22との成す角度が漸次小さくなる態様で形成されることにより、通路20aが該切欠部23に近接するにしたがって断面積が漸次小さくなる態様で形成されているので、毛細管現象を利用して結露水を切欠部23に向けて流通させることができる。
【0035】
上記自動販売機によれば、樋部材20は、背面部分21における突部24の上方領域に、水平面に対して傾斜延在するビード部25が形成されているので、該ビード部25により背面部分21の強度の向上を図りながら、ビード部25の周縁部分にて結露水等が滞留することを抑制して切欠部23に流通させることができる。このようにビード部25の周縁部分に結露水が滞留することを抑制するので、結露水の滞留を原因とするカビ等の発生を防止することができ、衛生的である。
【0036】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0037】
上述した実施の形態では、突部24は先細り形状を成していたが、本発明においては、突部の形状は特に限定されるものではない。また上述した実施の形態では、突部24が背面部分21に形成されていたが、本発明においては、突部は切欠部を構成する縁部分に形成されていればよく、底部分に形成されていてもよい。
【0038】
上述した実施の形態では、樋部材20の通路20aが切欠部23に近接するにしたがって背面部分21と底部分22との成す角度が漸次小さくなる態様で形成されていたが、本発明においては、通路が切欠部に近接するにしたがって断面積が漸次小さくなる態様で形成されていればよい。
【符号の説明】
【0039】
1…本体キャビネット、1a…前面開口、2…外扉、3…床部材、4…商品収納室、4a,4b,4c…商品収容庫、5…機械室、6…断熱仕切板、7…商品収納ラック、8…トップトレイ、8a…商品投入口、9…シュータ、10…内扉、11…上部内扉、12…下部内扉、12a,12b,12c…商品搬出口、13…商品搬出扉、14…蒸発皿、20…樋部材、20a…通路、21…背面部分、22…底部分、23…切欠部、24…突部、25…ビード部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6