(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115868
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
F28F 1/32 20060101AFI20240820BHJP
F28F 9/013 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
F28F1/32 W
F28F9/013 B
F28F1/32 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021744
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】弁理士法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】根木 英尚
(72)【発明者】
【氏名】長坂 敏充
(57)【要約】
【課題】筐体1内に燃焼ガスの流れ方向に2段に分けて配置された吸熱管31を各段毎にY軸方向一方から他方に亘って結ぶ各段の蛇行流路3
1,3
2が構成され、一方の段の蛇行流路3
1の上流端の#11の吸熱管31と他方の段の蛇行流路3
2の下流端の#21の吸熱管31とが共にY軸方向一方に位置するようにした熱交換器において、#11と#21の両吸熱管31,31の熱膨張量の差によって筐体1に作用する応力を軽減して、耐久性を向上できるようにする。
【解決手段】#11と#21との両吸熱管31,31間の距離Laを、一方の段の蛇行流路3
1の上流端以外の各吸熱管と当該各吸熱管に最寄りの他方の段の蛇行流路3
2の下流端以外の各吸熱管との間の距離Lbよりも大きくする。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼ガスにより加熱される熱交換器であって、
内部に燃焼ガスが流れる角筒状の筐体と、筐体内の燃焼ガスの流れ方向に交差する直交2方向をX軸方向及びY軸方向として、筐体内にX軸方向に積層して配置された複数の吸熱フィンと、これら吸熱フィン及び筐体のX軸方向両側の側板をX軸方向に貫通し、内部に被加熱流体が流れる複数の吸熱管と、これら吸熱管を筐体のX軸方向両側の側板の外側で直列に接続する接続部とを備え、
吸熱管は、燃焼ガスの流れ方向に2段に分けて配置され、各段の複数の吸熱管とこれら吸熱管を接続する各段用の接続部とで、これら各段の吸熱管をY軸方向一方の最外側に位置するものからY軸方向他方の最外側に位置するものに亘って結ぶ蛇行流路が構成されて、蛇行流路が燃焼ガスの流れ方向に2段設けられ、一方の段の蛇行流路の上流端の吸熱管と下流端の吸熱管とを夫々Y軸方向一方の最外側とY軸方向他方の最外側とに位置するものとして、一方の段の下流端の吸熱管と他方の段の蛇行流路のY軸方向他方の最外側に位置する上流端の吸熱管とが接続されて、一方の段の蛇行流路から他方の段の蛇行流路に被加熱流体が流れるようにしたものにおいて、
一方の段の蛇行流路のY軸方向一方の最外側に位置する上流端の吸熱管と他方の段の蛇行流路のY軸方向一方の最外側に位置する下流端の吸熱管との間の距離を、一方の段の蛇行流路の上流端以外の各吸熱管と当該各吸熱管に最寄りの他方の段の蛇行流路の下流端以外の各吸熱管との間の距離よりも大きくすることを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記一方の段の蛇行流路の上流端の吸熱管と前記他方の段の蛇行流路の下流端の吸熱管との間の距離を大きくする方向が燃焼ガスの流れ方向であることを特徴とする請求項1記載の熱交換器。
【請求項3】
請求項1又は2記載の熱交換器であって、前記一方の段の蛇行流路は燃焼ガスの流れ方向上流側の段の蛇行流路であり、前記他方の段の蛇行流路は燃焼ガスの流れ方向下流側の段の蛇行流路であるものにおいて、他方の段の蛇行流路の各吸熱管よりも燃焼ガスの流れ方向上流側に位置する前記吸熱フィンの部分に切欠きが設けられ、他方の段の蛇行流路の下流端の吸熱管に対応する切欠きを第1切欠き、他方の段の蛇行流路の下流端以外の各吸熱管に対応する切欠きを第2切欠きとして、第1切欠きは第2切欠きよりも大きく形成されることを特徴とする熱交換器。
【請求項4】
請求項1又は2記載の熱交換器であって、前記一方の段の蛇行流路は燃焼ガスの流れ方向上流側の段の蛇行流路であり、前記他方の段の蛇行流路は燃焼ガスの流れ方向下流側の段の蛇行流路であるものにおいて、燃焼ガスが他方の段の蛇行流路の下流端の吸熱管に向かうのを抑制する通気抵抗部が設けられることを特徴とする熱交換器。
【請求項5】
請求項1又は2記載の熱交換器であって、前記一方の段の蛇行流路は燃焼ガスの流れ方向上流側の段の蛇行流路であり、前記他方の段の蛇行流路は燃焼ガスの流れ方向下流側の段の蛇行流路であり、前記筐体の燃焼ガスの流れ方向下流端の開口を覆う排気集合部が設けられ、排気集合部に燃焼ガスを排出する排気口が開設されるものにおいて、排気口は、排気集合部のY軸方向他方に片寄った部分に設けられることを特徴とする熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼ガスにより加熱される熱交換器であって、内部に燃焼ガスが流れる角筒状の筐体と、筐体内の燃焼ガスの流れ方向に交差する直交2方向をX軸方向及びY軸方向として、筐体内にX軸方向に積層して配置された複数の吸熱フィンと、これら吸熱フィン及び筐体のX軸方向両側の側板をX軸方向に貫通し、内部に被加熱流体が流れる複数の吸熱管と、これら吸熱管を筐体のX軸方向両側の側板の外側で直列に接続する接続部とを備えるものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の熱交換器において、吸熱管を、燃焼ガスの流れ方向に2段に分けて配置し、各段の複数の吸熱管とこれら吸熱管を接続する各段用の接続部とで、これら各段の吸熱管をY軸方向一方の最外側に位置するものからY軸方向他方の最外側に位置するものに亘って結ぶ蛇行流路を構成して、蛇行流路を燃焼ガスの流れ方向上流側の第1段と、燃焼ガスの流れ方向下流側の第2段との2段に設けたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このものでは、第1段の蛇行流路の上流端の吸熱管と下流端の吸熱管とを夫々Y軸方向一方の最外側とY軸方向他方の最外側とに位置するものとして、第1段の下流端の吸熱管と第2段の蛇行流路のY軸方向他方の最外側に位置する上流端の吸熱管とを接続して、一方の段の蛇行流路から他方の段の蛇行流路に被加熱流体が流れるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、吸熱管がその長手方向たるX軸方向に熱膨張すると、吸熱管が貫通してロウ付けされる筐体のX軸方向各側の側板がX軸方向に押される。上記従来例の熱交換器では、温度差が最も大きくなる第1段の蛇行流路の上流端の吸熱管(冷たい被加熱流体が流入する吸熱管)と第2段の蛇行流路の下流端の吸熱管(加熱された被加熱流体が流出する吸熱管)とが夫々Y軸方向一方の最外側に位置して近接する。そのため、当該両吸熱管の熱膨張量の違いによって筐体のX軸方向各側の側板に大きな応力が作用する。そして、この応力が繰り返し作用することで側板に亀裂が入ってしまう。
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、筐体のX軸方向各側の側板に作用する応力を軽減して耐久性を向上できるようにした熱交換器を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、燃焼ガスにより加熱される熱交換器であって、内部に燃焼ガスが流れる角筒状の筐体と、筐体内の燃焼ガスの流れ方向に交差する直交2方向をX軸方向及びY軸方向として、筐体内にX軸方向に積層して配置された複数の吸熱フィンと、これら吸熱フィン及び筐体のX軸方向両側の側板をX軸方向に貫通し、内部に被加熱流体が流れる複数の吸熱管と、これら吸熱管を筐体のX軸方向両側の側板の外側で直列に接続する接続部とを備え、吸熱管は、燃焼ガスの流れ方向に2段に分けて配置され、各段の複数の吸熱管とこれら吸熱管を接続する各段用の接続部とで、これら各段の吸熱管をY軸方向一方の最外側に位置するものからY軸方向他方の最外側に位置するものに亘って結ぶ蛇行流路が構成されて、蛇行流路が燃焼ガスの流れ方向に2段設けられ、一方の段の蛇行流路の上流端の吸熱管と下流端の吸熱管とを夫々Y軸方向一方の最外側とY軸方向他方の最外側とに位置するものとして、一方の段の下流端の吸熱管と他方の段の蛇行流路のY軸方向他方の最外側に位置する上流端の吸熱管とが接続されて、一方の段の蛇行流路から他方の段の蛇行流路に被加熱流体が流れるようにしたものにおいて、一方の段の蛇行流路のY軸方向一方の最外側に位置する上流端の吸熱管と他方の段の蛇行流路のY軸方向一方の最外側に位置する下流端の吸熱管との間の距離を、一方の段の蛇行流路の上流端以外の各吸熱管と当該各吸熱管に最寄りの他方の段の蛇行流路の下流端以外の各吸熱管との間の距離よりも大きくすることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、最も温度差が大きくなる一方の段の蛇行流路の上流端の吸熱管と他方の段の蛇行流路の下流端の吸熱管との間の距離を大きくするため、当該両吸熱管の熱膨張量の違いによって筐体のX軸方向各側の側板に作用する応力を軽減することができ、耐久性を向上できる。
【0008】
また、本発明においては、一方の段の蛇行流路の上流端の吸熱管と他方の段の蛇行流路の下流端の吸熱管との間の距離を大きくする方向を燃焼ガスの流れ方向にすることが望ましい。これによれば、熱交換器のY軸方向の寸法を大きくせずに済み、熱交換器の大型化を回避できる。
【0009】
更に、本発明において、一方の段の蛇行流路が燃焼ガスの流れ方向上流側の段の蛇行流路であり、他方の段の蛇行流路が燃焼ガスの流れ方向下流側の段の蛇行流路である場合は、他方の段の蛇行流路の各吸熱管よりも燃焼ガスの流れ方向上流側に位置する吸熱フィンの部分に切欠きが設けられ、他方の段の蛇行流路の下流端の吸熱管に対応する切欠きを第1切欠き、他方の段の蛇行流路の下流端以外の各吸熱管に対応する切欠きを第2切欠きとして、第1切欠きは第2切欠きよりも大きく形成されることが望ましい。これによれば、最も温度が高くなる他方の段の蛇行流路の下流端の吸熱管への吸熱フィンを介しての伝熱を大きな第1切欠きによって低下させることができる。そのため、一方の段の蛇行流路の上流端の吸熱管と他方の段の蛇行流路の下流端の吸熱管との温度差を減少させて、筐体のX軸方向各側の側板に作用する応力を一層軽減することができる。
【0010】
また、本発明において、一方の段の蛇行流路が燃焼ガスの流れ方向上流側の段の蛇行流路であり、他方の段の蛇行流路が燃焼ガスの流れ方向下流側の段の蛇行流路である場合は、燃焼ガスが他方の段の蛇行流路の下流端の吸熱管に向かうのを抑制する通気抵抗部を設けることが望ましい。これによれば、最も温度が高くなる他方の段の蛇行流路の下流端の吸熱管の周りに燃焼ガスが流れ難くなり、当該吸熱管への燃焼ガスからの伝熱を低下させることができる。そのため、一方の段の蛇行流路の上流端の吸熱管と他方の段の蛇行流路の下流端の吸熱管との温度差を減少させて、筐体のX軸方向各側の側板に作用する応力を一層軽減することができる。
【0011】
更に、本発明において、一方の段の蛇行流路が燃焼ガスの流れ方向上流側の段の蛇行流路であり、他方の段の蛇行流路が燃焼ガスの流れ方向下流側の段の蛇行流路であり、筐体の燃焼ガスの流れ方向下流端の開口を覆う排気集合部が設けられ、排気集合部に燃焼ガスを排出する排気口が開設される場合は、排気口を排気集合部のY軸方向他方に片寄った部分に設けることが望ましい。これによれば、最も温度が高くなる他方の段の蛇行流路の下流端の吸熱管の近くで燃焼ガスが集合することがなく、当該吸熱管への燃焼ガスからの伝熱を低下させることができる。そのため、一方の段の蛇行流路の上流端の吸熱管と他方の段の蛇行流路の下流端の吸熱管との温度差を減少させて、筐体のX軸方向各側の側板に作用する応力を一層軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】実施形態の熱交換器の
図1とは反対方向から見た斜視図。
【
図6】実施形態の熱交換器に設けられる吸熱フィンの要部の拡大斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1乃至
図4を参照して、本発明の実施形態の熱交換器Aは、一端(
図3、
図4で上端)に図外のバーナが装着される筐体1を備えている。筐体1内には、バーナから噴出する混合気の燃焼で生ずる燃焼ガスが流れ、この燃焼ガスにより熱交換器Aが加熱される。
図3、
図4に矢印aで示す筐体1内の燃焼ガスの流れ方向に交差する直交2方向をX軸方向及びY軸方向として、筐体1は、X軸方向両側の側板11,12と、Y軸方向両側の側板13,14とを有する角筒状である。熱交換器Aは、更に、筐体1内にX軸方向に積層して配置された複数の吸熱フィン2と、これら吸熱フィン2及び筐体1のX軸方向両側の側板11,12をX軸方向に貫通し、内部に水等の被加熱流体が流れる複数の吸熱管31と、これら吸熱管31を筐体1のX軸方向両側の側板11,12の外側で直列に接続する接続部32と、筐体1の燃焼ガスの流れ方向下流端(
図3、
図4で下端)の開口1aを覆う、燃焼ガスを排出する排気口41が開設された排気集合部4とを備えている。尚、排気口41から排出された燃焼ガスは図示省略した潜熱回収型の副熱交換器に導入される。また、各吸熱管31は、各吸熱フィン2と各側板11,12とに貫通状態でロウ付けされる。
【0014】
吸熱管31は、
図3に明示されているように、燃焼ガスの流れ方向に2段に分けて配置されている。具体的には、燃焼ガスの流れ方向上流側の段である第1段に、Y軸方向一方の最外側に位置するものからY軸方向他方の最外側に位置するものまでの#11~#16の6本の吸熱管31を配置し、燃焼ガスの流れ方向下流側の段である第2段に、第1段の隣接する各吸熱管31,31間のY軸方向中心に管のY軸方向中心が合致するような位置関係で、Y軸方向一方の最外側に位置するものからY軸方向他方の最外側に位置するものまでの#21~#25の5本の吸熱管31を配置している。尚、各吸熱フィン2には、第1段の各吸熱管31に合致するY軸方向位置で燃焼ガスの流れ方向上流側に膨出する各膨出部21が設けられており、各膨出部21を第1段の各吸熱管31が貫通する。
【0015】
また、第1段の6本の吸熱管31とこれら吸熱管31を接続する第1段用の接続部321とで、第1段の吸熱管31をY軸方向一方の最外側に位置する#11の吸熱管31からY軸方向他方の最外側に位置する#16の吸熱管31に亘って結ぶ第1段の蛇行流路31が構成され、第2段の5本の吸熱管31とこれら吸熱管3を接続する第2段用の接続部322とで、第2段の吸熱管31をY軸方向一方の最外側に位置する#21の吸熱管31からY軸方向他方の最外側に位置する#25の吸熱管31に亘って結ぶ第2段の蛇行流路32が構成されている。
【0016】
尚、第1段用の接続部321は、筐体1のX軸方向一側の側板11の外側に配置されている、#11と#12の吸熱管31,31と、#13と#14の吸熱管31,31と、#15と#16の吸熱管31,31とを夫々接続する3つのU字管321aと、筐体1のX軸方向他側の側板12の外側に配置されている、#12と#13の吸熱管31,31と、#14と#15の吸熱管31,31とを夫々接続する2つのU字管321bとで構成されている。また、第2段用の接続部322は、筐体1のX軸方向一側の側板11の外側に配置されている、#22と#23の吸熱管31,31と、#24と#25の吸熱管31,31とを夫々接続する2つのU字管322aと、筐体1のX軸方向他側の側板12の外側に配置されている、#21と#22の吸熱管31,31と、#23と#24の吸熱管31,31とを夫々接続する2つのU字管322bとで構成されている。
【0017】
第1段の蛇行流路31の上流端の吸熱管31たるY軸方向一方の最外側に位置する#11の吸熱管31には、筐体1のX軸方向他側の側板12の外側で流入管33が接続されている。また、第1段の蛇行流路31のY軸方向他方の最外側に位置する下流端の#16の吸熱管31を第2段の蛇行流路32のY軸方向他方の最外側に位置する上流端の#25の吸熱管31に筐体1のX軸方向他側の側板12の外側でU字管から成る中間接続部3212を介して接続し、第1段の蛇行流路31から第2段の蛇行流路32に被加熱流体が流れるようにしている。更に、第2段の蛇行流路32のY軸方向一方の最外側に位置する下流端の#21の吸熱管31には、筐体1のX軸方向一側の側板11の外側で端部に流出口34aを有する流出側ジョイント34が接続されている。尚、第1段用の接続部321と第2段用の接続部322と中間接続部3212とで全ての吸熱管31を直列に接続する接続部32が構成されることになる。
【0018】
図3を参照して、筐体1のY軸方向一側の側板13の吸熱フィン2より燃焼ガスの流れ方向上流側の部分の内側には、燃焼ガスの流れ方向上流側から順に管から成る第4と第8と第12の3本の冷却流路35
4,35
8,35
12が側板13に接するように配置されている。筐体1のY軸方向他側の側板14の吸熱フィン2より燃焼ガスの流れ方向上流側の部分の内側にも、燃焼ガスの流れ方向上流側から順に管から成る第2と第6と第10の3本の冷却流路35
2,35
6,35
10が側板14に接するように配置されている。また、筐体1のX軸方向一側の側板11の吸熱フィン2より燃焼ガスの流れ方向上流側の部分には、
図1、
図4に示す如く、第2冷却流路35
2と第4冷却流路35
4とを接続する第3冷却流路35
3と、第6冷却流路35
6と第8冷却流路35
8とを接続する第7冷却流路35
7と、第10冷却流路35
10と第12冷却流路35
12とを接続する第11冷却流路35
11とが設けられている。更に、筐体1のX軸方向他側の側板12の吸熱フィン2より燃焼ガスの流れ方向上流側の部分には、
図2、
図4に示す如く、第2冷却流路35
2に接続される、端部に副熱交換器からの被加熱流体が流入する流入口35
1aが設けられた第1冷却流路35
1と、第4冷却流路35
4と第6冷却流路35
6とを接続する第5冷却流路35
5と、第8冷却流路35
8と第10冷却流路35
10とを接続する第9冷却流路35
9とが設けられている。第1段の蛇行流路3
1の上流端の#11の吸熱管31は、流入管33を介して第12冷却流路35
12に接続されている。そのため、被加熱流体は、流入口35
1aから第1乃至第12冷却流路35
1~35
12を経て第1段の蛇行流路3
1の上流端の#11の吸熱管31に流入する。そして、これら第1乃至第12冷却流路35
1~35
12に流れる被加熱流体により筐体1の各側板11~14が冷却されるようにしている。
【0019】
尚、第3と第7と第11の各冷却流路353,357,3511と、第1と第5と第9の各冷却流路351,355,359は、各側板11,12に形成した横方向内方への窪みとこの窪みを覆うように各側板11,12の外面に取付けた蓋351とで構成されている。また、筐体1のY軸方向他側の側板14には、点火電極やフレームロッド等を挿通するための複数の穴141が形成されている。
【0020】
ところで、吸熱管31がその長手方向たるX軸方向に熱膨張すると、吸熱管31が貫通してロウ付けされる筐体1のX軸方向各側の側板11,12がX軸方向に押される。本実施形態の熱交換器Aでは、温度差が最も大きくなる第1段の蛇行流路31の上流端の#11の吸熱管31と第2段の蛇行流路32の下流端の#21の吸熱管31とが夫々Y軸方向一方の最外側に位置する。そして、#11と#21の両吸熱管31,31間の距離が短くなると、当該両吸熱管31,31の熱膨張量の違いによって筐体1のX軸方向各側の側板11,12に大きな応力が作用する。そして、この応力が繰り返し作用することで側板11,12に亀裂が入ってしまう。
【0021】
そこで、本実施形態では、
図5に明示する如く、第1段の蛇行流路3
1の上流端の#11の吸熱管31と第2段の蛇行流路3
2の下流端の#21の吸熱管31との間の距離Laを、第1段の蛇行流路3
1の上流端以外の各吸熱管31と当該吸熱管31に最寄りの第2段の蛇行流路3
2の下流端以外の各吸熱管31との間の距離Lbよりも大きくしている。具体的には、第2段の蛇行流路3
2の下流端の#21の吸熱管31の位置を第2段の蛇行流路3
2の下流端以外の各吸熱管31よりも燃焼ガスの流れ方向下流側にずらして、第1段の蛇行流路3
1の上流端の#11の吸熱管31と第2段の蛇行流路3
2の下流端の#21の吸熱管31との間の距離Laを大きくしている。
【0022】
これによれば、温度差が最も大きくなる第1段の蛇行流路31の上流端の#11と第2段の蛇行流路32の下流端の#21との両吸熱管31,31の熱膨張量の違いによって筐体1のX軸方向各側の側板11,12に作用する応力を、当該両吸熱管31,31間の距離Laを大きくすることにより軽減でき、耐久性を向上できる。また、本実施形態では、第1段の蛇行流路31の上流端の#11と第2段の蛇行流路32の下流端の#21との両吸熱管31,31間の距離を、#21の吸熱管31の位置を燃焼ガスの流れ方向下流側にずらすことで大きくしている。即ち、#11と#21との両吸熱管31,31間の距離を大きくする方向を燃焼ガスの流れ方向としている。そのため、熱交換器AのY軸方向の寸法を大きくせずに済み、熱交換器Aの大型化を回避できる。尚、#21の吸熱管31の位置を燃焼ガスの流れ方向下流側だけでなくY軸方向他方にもずらすことで、上記距離Laを大きくすることも可能である。この場合、#21の吸熱管31と#22の吸熱管31の中心間距離が、#23の吸熱管31と#24の吸熱管31の中心間距離と同じになるように#21の吸熱管31の位置をずらせば、#21と#22の吸熱管31,31を、専用のU字管ではなく、#23と#24の吸熱管31,31の接続に用いるU字管322bと同形状同寸法のU字管322bを用いて接続することができ、有利である。
【0023】
また、本実施形態では、第2段の蛇行流路32の各吸熱管31よりも燃焼ガスの流れ方向上流側に位置する吸熱フィン2の部分に切欠きを設けている。具体的には、吸熱フィン2に、第2段の蛇行流路32の各吸熱管31よりも燃焼ガスの流れ方向上流側に位置する各膨出部21の基部側縁部に位置させて、切欠きを設けている。そして、第2段の蛇行流路32の下流端の#21の吸熱管31に対応する切欠きを第1切欠き221、第2段の蛇行流路32の下流端以外の各吸熱管31に対応する切欠きを第2切欠き222として、第1切欠き221を第2切欠き222よりも大きく形成している。
【0024】
これによれば、最も温度が高くなる第2段の蛇行流路32の下流端の#21の吸熱管31への吸熱フィン2を介しての伝熱を大きな第1切欠き221によって低下させることができる。そのため、第1段の蛇行流路31の上流端の#11の吸熱管31と第2段の蛇行流路32の下流端の#21の吸熱管31との温度差を減少させて、筐体1のX軸方向各側の側板11,12に作用する応力を一層軽減することができる。
【0025】
また、本実施形態では、第1段の蛇行流路31の上流端の#11の吸熱管31と第1切欠き221との間の吸熱フィン2の部分の幅Waを、各第2切欠き222と当該各第2切欠き222に対し燃焼ガスの流れ方向上流側に隣接する第1段の蛇行流路31の上流端以外の各吸熱管31との間の吸熱フィン2の部分の幅Wbよりも大きくしている。これによれば、第1段の蛇行流路31の上流端の#11の吸熱管31への吸熱フィン2を介しての伝熱が促進されて、当該吸熱管31に対し燃焼ガスの流れ方向下流側に位置する第2段の蛇行流路32の下流端の#21の吸熱管31に向かう燃焼ガスの温度が低下し、#21の吸熱管31への燃焼ガスからの伝熱を低下させることができる。そのため、第1段の蛇行流路31の上流端の#11の吸熱管31と第2段の蛇行流路32の下流端の#21の吸熱管31との温度差を一層減少させて、筐体1のX軸方向各側の側板11,12に作用する応力を軽減することができる。
【0026】
尚、第1切欠き221は、第1段の蛇行流路31の上流端の#11の吸熱管31が貫通する膨出部21の基部のY軸方向他方側の側縁部と、#11の吸熱管31のY軸方向他方に隣接する#12の吸熱管31が貫通する膨出部21の基部のY軸方向一方側の側縁部にも形成されている。そして、#12の吸熱管31と第1切欠き221との間の吸熱フィン2の部分も、第1段の蛇行流路31の上流端の#11の吸熱管31と第1切欠き221との間の吸熱フィン2の部分と同じ幅Waにしている。
【0027】
更に、本実施形態では、燃焼ガスが第2段の蛇行流路32の下流端の#21の吸熱管31に向かうのを抑制する通気抵抗部23を設けている。これによれば、最も温度が高くなる#21の吸熱管31の周りに燃焼ガスが流れ難くなり、当該吸熱管31への燃焼ガスからの伝熱を低下させることができる。そのため、第1段の蛇行流路31の上流端の#11の吸熱管31と第2段の蛇行流路32の下流端の#21の吸熱管31との温度差を減少させて、筐体1のX軸方向各側の側板11,12に作用する応力を一層軽減することができる。
【0028】
次に、
図6も参照して、通気抵抗部23について具体的に説明する。尚、
図6において、符号2aは、各吸熱管31が貫通するバーリング加工孔を示している。吸熱フィン2には、通気抵抗部23の構成要素として、第1段の蛇行流路3
1よりも燃焼ガスの流れ方向下流側で、且つ、第2段の蛇行流路3
2の下流端の#21の吸熱管31とそのY軸方向他方に隣接する#22の吸熱管31との間に位置させて、X軸方向に突出する第1突片部231と、第1段の蛇行流路3
1よりも燃焼ガスの流れ方向下流側で、且つ、第2段の蛇行流路3
2の下流端の#21の吸熱管31と筐体1のY軸方向一方の側板13との間に位置させて、X軸方向に突出する上部と下部の第2突片部232
1,232
2と、第2段の蛇行流路3
2の下流端以外のY軸方向に隣接する各吸熱管31,31の間に位置させて、X軸方向に突出する第3突片部233とが設けられている。
【0029】
ここで、第2段の蛇行流路32の下流端の#21の吸熱管31と第1突片部231との間の隙間の最小部の幅W1aを、第2段の蛇行流路32の#22の吸熱管31と第1突片部231との間の隙間の最小部の幅W1bよりも小さくしている。これによれば、第2段の蛇行流路32の下流端の#21の吸熱管31と第1突片部231との間の隙間よりも幅の大きな第2段の蛇行流路32の#22の吸熱管31と第1突片部231との間の隙間により多くの燃焼ガスが流れ、燃焼ガスが#21の吸熱管31に向かうのを抑制することができる。
【0030】
また、第2段の蛇行流路32の下流端の#21の吸熱管31と上部と下部の各第2突片部2321,2322との間の隙間の最小部の幅W21a,W22aを、筐体1のY軸方向一方の側板13と上部と下部の各第2突片部2321,2322との間の隙間の最小部の幅W21b,W22bよりも小さくしている。これによれば、第2段の蛇行流路32の#21の吸熱管31と各第2突片部2321,2322との間の隙間よりも幅の大きな筐体1のY軸方向一方の側板13と各第2突片部2321,2322との間の隙間により多くの燃焼ガスが流れ、燃焼ガスが第2段の蛇行流路32の#21の吸熱管31に向かうのを抑制することができる。
【0031】
尚、上部の第2突片部2321は、筒状である。そして、上部の第2突片部2321と第1段の蛇行流路31の上流端の#11の吸熱管31との間の隙間の最小部の幅W21cを当該突片部2321と第2段の蛇行流路32の下流端の#21の吸熱管31との間の隙間の最小部の幅W21aよりも大きくして、当該突片部2321と#11の吸熱管31との間の隙間により多くの燃焼ガスが流れるようにしている。
【0032】
また、第1突片部231のY軸方向幅W1を第3突片部233のY軸方向幅W3よりも大きくして、第1突片部231により付与される通気抵抗が第3突片部233により付与される通気抵抗よりも大きくなるようにしている。これによれば、付与される通気抵抗が小さな第3突片部233が存在する第2段の蛇行流路32の下流端以外のY軸方向に隣接する各吸熱管31,31間により多くの燃焼ガスが流れ、燃焼ガスが第2段の蛇行流路32の#21の吸熱管に向かうのを抑制することができる。尚、第1突片部231のX軸方向突出長さを第3突片部233のX軸方向突出長さよりも大きくして、第1突片部231により付与される通気抵抗が第3突片部233により付与される通気抵抗よりも大きくなるようにすることも可能である。
【0033】
更に、本実施形態では、燃焼ガスから吸熱フィン2に効率よく吸熱するために、吸熱フィン2に、第1段の蛇行流路31よりも燃焼ガスの流れ方向下流側で、且つ、第2段の蛇行流路32のY軸方向に隣接する各吸熱管31,31の間に位置させて、燃焼ガスが通過するトンネル状の通路を形成するように上記各突片部231~233とはX軸反対方向に突出するY軸方向に長手のブリッジ状凸部24を設けている。ここで、第2段の蛇行流路32の下流端の#21の吸熱管31とそのY軸方向他方に隣接する#22の吸熱管31との間に設けられる#1のブリッジ状凸部24は、そのY軸方向中心が第2段の蛇行流路32の#21と#22の両吸熱管31,31間のY軸方向中心よりもY軸方向他方に片寄るよう設けられている。これによれば、#1のブリッジ状凸部24が第2段の蛇行流路32の下流端の#21の吸熱管31から遠ざけられることになる。そのため、#21の吸熱管31への#1のブリッジ状凸部23を介しての伝熱が低下する。その結果、第1段の蛇行流路31の上流端の#11の吸熱管31と第2段の蛇行流路32の下流端の#21の吸熱管31との温度差を減少させることができ、筐体1のX軸方向各側の側板11,12に作用する応力の軽減に寄与する。
【0034】
また、本実施形態では、排気集合部4の排気口41は、排気集合部4のY軸方向他方に片寄った部分に設けられている。これによれば、最も温度が高くなる第2段の蛇行流路32のY軸方向一方の最外側に位置する下流端の#21の吸熱管31の近くで排気口41に向けて燃焼ガスが集合することがなく、#21の吸熱管31への燃焼ガスからの伝熱を低下させることができる。そのため、第1段の蛇行流路31の上流端の#11の吸熱管31と第2段の蛇行流路32の下流端の#21の吸熱管31との温度差を減少させて、筐体1のX軸方向各側の側板11,12に作用する応力を一層軽減することができる。
【0035】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では、第1段の蛇行流路31の上流端以外の各吸熱管31と当該吸熱管31に最寄りの第2段の蛇行流路32の下流端以外の各吸熱管31との間の距離Lbを一定にして、第1段の蛇行流路31の上流端の#11の吸熱管31と第2段の蛇行流路32の下流端の#21の吸熱管31との間の距離Laのみを大きくしているが、第1段の蛇行流路31の上流端以外の各吸熱管31と当該吸熱管31に最寄りの第2段の蛇行流路32の下流端以外の各吸熱管31との間の距離がY軸方向他方からY軸方向一方に向けて次第に大きくなるようにしてもよい。また、上記実施形態では、被加熱流体が第1段の蛇行流路31から第2段の蛇行流路32に流れるようにしているが、第2段の蛇行流路32から第1段の蛇行流路31に被加熱流体を流すようにすることも可能である。
【符号の説明】
【0036】
A…熱交換器、1…筐体、11,12…筐体のX軸方向各側の側板、2…吸熱フィン、221…第1切欠き、222…第2切欠き、23…通気抵抗部、31…第1段の蛇行流路(一方の段の蛇行流路)、32…第2段の蛇行流路(他方の段の蛇行流路)、31…吸熱管、32…接続部、321…第1段用の接続部、322…第2段用の接続部、4…排気集合部、41…排気口、La…第1段の蛇行流路の上流端の吸熱管と第2段の蛇行流路の下流端の吸熱管との間の距離、Lb…第1段の蛇行流路の上流端以外の各吸熱管と当該吸熱管に最寄りの第2段の蛇行流路の下流端以外の各吸熱管との間の距離。