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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115870
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 13/08 20060101AFI20240820BHJP
   F28F 9/013 20060101ALI20240820BHJP
   F28F 1/32 20060101ALI20240820BHJP
   F28D 7/16 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
F28F13/08
F28F9/013 B
F28F1/32 W
F28F1/32 F
F28D7/16 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021746
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】弁理士法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】根木 英尚
(72)【発明者】
【氏名】長坂 敏充
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA09
3L103BB43
3L103CC02
3L103CC27
3L103DD08
3L103DD68
(57)【要約】
【課題】筐体1内に燃焼ガスの流れ方向に2段に分けて配置された吸熱管31を各段毎にY軸方向一方から他方に亘って結ぶ各段の蛇行流路が構成され、燃焼ガスの流れ方向上流側の第1段の蛇行流路3の上流端の#11の吸熱管31と燃焼ガスの流れ方向下流側の第2段の蛇行流路3の下流端の#21の吸熱管31とが共にY軸方向一方に位置するようにした熱交換器において、#11と#21の両吸熱管31,31の熱膨張量の差によって筐体1に作用する応力を軽減して、耐久性を向上できるようにする。
【解決手段】燃焼ガスが第2段の蛇行流路3の下流端の#21の吸熱管31に向かうのを抑制する通気抵抗部221,222,222を設ける。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナでの燃焼により生ずる燃焼ガスにより加熱される熱交換器であって、
内部に燃焼ガスが流れる角筒状の筐体と、筐体内の燃焼ガスの流れ方向に交差する直交2方向をX軸方向及びY軸方向として、筐体内にX軸方向に積層して配置された複数の吸熱フィンと、これら吸熱フィン及び筐体のX軸方向両側の側板をX軸方向に貫通し、内部に被加熱流体が流れる複数の吸熱管と、これら吸熱管を筐体のX軸方向両側の側板の外側で直列に接続する接続部とを備え、
吸熱管は、燃焼ガスの流れ方向に2段に分けて配置され、各段の複数の吸熱管とこれら吸熱管を接続する各段用の接続部とで、これら各段の吸熱管をY軸方向一方の最外側に位置するものからY軸方向他方の最外側に位置するものに亘って結ぶ蛇行流路が構成されて、蛇行流路が燃焼ガスの流れ方向上流側の第1段と、燃焼ガスの流れ方向下流側の第2段との2段に設けられ、第1段の蛇行流路の上流端の吸熱管と下流端の吸熱管とを夫々Y軸方向一方の最外側とY軸方向他方の最外側とに位置するものとして、第1段の蛇行流路の下流端の吸熱管と第2段の蛇行流路のY軸方向他方の最外側に位置する上流端の吸熱管とが接続されて、第1段の蛇行流路から第2段の蛇行流路に被加熱流体が流れるようにしたものにおいて、
燃焼ガスが第2段の蛇行流路のY軸方向一方の最外側に位置する下流端の吸熱管に向かうのを抑制する通気抵抗部が設けられることを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記通気抵抗部の構成要素として、前記吸熱フィンに、前記第1段の蛇行流路よりも燃焼ガスの流れ方向下流側で、且つ、前記第2段の蛇行流路の下流端の吸熱管とそのY軸方向他方に隣接する吸熱管との間に位置させて、X軸方向に突出する第1突片部が設けられ、第2段の蛇行流路の下流端の吸熱管と第1突片部との間の隙間の最小部の幅は、第2段の蛇行流路の下流端の吸熱管のY軸方向他方に隣接する吸熱管と第1突片部との間の隙間の最小部の幅よりも小さいことを特徴とする請求項1記載の熱交換器。
【請求項3】
前記通気抵抗部の構成要素として、前記吸熱フィンに、前記第1段の蛇行流路よりも燃焼ガスの流れ方向下流側で、且つ、前記第2段の蛇行流路の下流端の吸熱管と前記筐体のY軸方向一方の側板との間に位置させて、X軸方向に突出する第2突片部が設けられ、第2段の蛇行流路の下流端の吸熱管と第2突片部との間の隙間の最小部の幅は、筐体のY軸方向一方の側板と第2突片部との間の隙間の最小部の幅よりも小さいことを特徴とする請求項1又は2記載の熱交換器。
【請求項4】
前記通気抵抗部の構成要素として、前記吸熱フィンに、前記第1段の蛇行流路よりも燃焼ガスの流れ方向下流側で、且つ、前記第2段の蛇行流路の下流端の吸熱管とそのY軸方向他方に隣接する吸熱管との間に位置させて、X軸方向に突出する第1突片部が設けられると共に、第2段の蛇行流路の下流端以外のY軸方向に隣接する各吸熱管の間に位置させて、X軸方向に突出する第3突片部が設けられ、第1突片部は、これにより付与される通気抵抗が第3突片部により付与される通気抵抗よりも大きくなるように形成されることを特徴とする請求項1又は2記載の熱交換器。
【請求項5】
請求項1又は2記載の熱交換器であって、前記吸熱フィンに、前記第1段の蛇行流路よりも燃焼ガスの流れ方向下流側で、且つ、前記第2段の蛇行流路のY軸方向に隣接する各吸熱管の間に位置させて、燃焼ガスが通過するトンネル状の通路を形成するようにX軸方向に突出するY軸方向に長手のブリッジ状凸部が設けられるものにおいて、第2段の蛇行流路の下流端の吸熱管とそのY軸方向他方に隣接する吸熱管との間に設けられるブリッジ状凸部のY軸方向中心は、第2段の蛇行流路の下流端の吸熱管とそのY軸方向他方に隣接する吸熱管との間のY軸方向中心よりもY軸方向他方に片寄っていることを特徴とする熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼ガスにより加熱される熱交換器であって、内部に燃焼ガスが流れる角筒状の筐体と、筐体内の燃焼ガスの流れ方向に交差する直交2方向をX軸方向及びY軸方向として、筐体内にX軸方向に積層して配置された複数の吸熱フィンと、これら吸熱フィン及び筐体のX軸方向両側の側板をX軸方向に貫通し、内部に被加熱流体が流れる複数の吸熱管と、これら吸熱管を筐体のX軸方向両側の側板の外側で直列に接続する接続部とを備えるものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の熱交換器において、吸熱管を、燃焼ガスの流れ方向に2段に分けて配置し、各段の複数の吸熱管とこれら吸熱管を接続する各段用の接続部とで、これら各段の吸熱管をY軸方向一方の最外側に位置するものからY軸方向他方の最外側に位置するものに亘って結ぶ蛇行流路を構成して、蛇行流路を燃焼ガスの流れ方向上流側の第1段と、燃焼ガスの流れ方向下流側の第2段との2段に設けたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このものでは、第1段の蛇行流路の上流端の吸熱管と下流端の吸熱管とを夫々Y軸方向一方の最外側とY軸方向他方の最外側とに位置するものとして、第1段の蛇行流路の下流端の吸熱管と第2段の蛇行流路のY軸方向他方の最外側に位置する上流端の吸熱管とを接続して、第1段の蛇行流路から第2段の蛇行流路に被加熱流体が流れるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-137208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、吸熱管がその長手方向たるX軸方向に熱膨張すると、吸熱管が貫通してロウ付けされる筐体のX軸方向各側の側板がX軸方向に押される。上記従来例の熱交換器では、温度差が最も大きくなる第1段の蛇行流路の上流端の吸熱管(冷たい被加熱流体が流入する吸熱管)と第2段の蛇行流路の下流端の吸熱管(加熱された被加熱流体が流出する吸熱管)とが夫々Y軸方向一方の最外側に位置して近接するため、両吸熱管の熱膨張量の違いによって筐体のX軸方向各側の側板に大きな応力が作用する。そして、この応力が繰り返し作用することで側板に亀裂が入ってしまう。
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、筐体のX軸方向各側の側板に作用する応力を軽減して耐久性を向上できるようにした熱交換器を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、バーナでの燃焼により生ずる燃焼ガスにより加熱される熱交換器であって、内部に燃焼ガスが流れる角筒状の筐体と、筐体内の燃焼ガスの流れ方向に交差する直交2方向をX軸方向及びY軸方向として、筐体内にX軸方向に積層して配置された複数の吸熱フィンと、これら吸熱フィン及び筐体のX軸方向両側の側板をX軸方向に貫通し、内部に被加熱流体が流れる複数の吸熱管と、これら吸熱管を筐体のX軸方向両側の側板の外側で直列に接続する接続部とを備え、吸熱管は、燃焼ガスの流れ方向に2段に分けて配置され、各段の複数の吸熱管とこれら吸熱管を接続する各段用の接続部とで、これら各段の吸熱管をY軸方向一方の最外側に位置するものからY軸方向他方の最外側に位置するものに亘って結ぶ蛇行流路が構成されて、蛇行流路が燃焼ガスの流れ方向上流側の第1段と、燃焼ガスの流れ方向下流側の第2段との2段に設けられ、第1段の蛇行流路の上流端の吸熱管と下流端の吸熱管とを夫々Y軸方向一方の最外側とY軸方向他方の最外側とに位置するものとして、第1段の蛇行流路の下流端の吸熱管と第2段の蛇行流路のY軸方向他方の最外側に位置する上流端の吸熱管とが接続されて、第1段の蛇行流路から第2段の蛇行流路に被加熱流体が流れるようにしたものにおいて、燃焼ガスが第2段の蛇行流路のY軸方向一方の最外側に位置する下流端の吸熱管に向かうのを抑制する通気抵抗部が設けられることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、最も温度が高くなる第2段の蛇行流路の下流端の吸熱管の周りに燃焼ガスが流れ難くなり、当該吸熱管への燃焼ガスからの伝熱を低下させることができる。そのため、第1段の蛇行流路の上流端の吸熱管と第2段の蛇行流路の下流端の吸熱管との温度差を減少させて、筐体のX軸方向各側の側板に作用する応力を軽減することができ、耐久性を向上できる。
【0008】
ここで、本発明においては、通気抵抗部の構成要素として、吸熱フィンに、第1段の蛇行流路よりも燃焼ガスの流れ方向下流側で、且つ、第2段の蛇行流路の下流端の吸熱管とそのY軸方向他方に隣接する吸熱管との間に位置させて、X軸方向に突出する第1突片部を設けることができる。この場合、第2段の蛇行流路の下流端の吸熱管と第1突片部との間の隙間の最小部の幅を、第2段の蛇行流路の下流端の吸熱管のY軸方向他方に隣接する吸熱管と第1突片部との間の隙間の最小部の幅よりも小さくする。これによれば、第2段の蛇行流路の下流端の吸熱管と第1突片部との間の隙間よりも幅の大きな第2段の蛇行流路の下流端の吸熱管のY軸方向他方に隣接する吸熱管と第1突片部との間の隙間により多くの燃焼ガスが流れ、燃焼ガスが第2段の蛇行流路の下流端の吸熱管に向かうのを抑制することができる。
【0009】
更に、本発明においては、通気抵抗部の構成要素として、吸熱フィンに、第1段の蛇行流路よりも燃焼ガスの流れ方向下流側で、且つ、第2段の蛇行流路の下流端の吸熱管と筐体のY軸方向一方の側板との間に位置させて、X軸方向に突出する第2突片部を設けることもできる。この場合、第2段の蛇行流路の下流端の吸熱管と第2突片部との間の隙間の最小部の幅を、筐体のY軸方向一方の側板と第2突片部との間の隙間の最小部の幅よりも小さくする。これによれば、第2段の蛇行流路の下流端の吸熱管と第2突片部との間の隙間よりも幅の大きな筐体のY軸方向一方の側板と第2突片部との間の隙間により多くの燃焼ガスが流れ、燃焼ガスが第2段の蛇行流路の下流端の吸熱管に向かうのを抑制することができる。
【0010】
また、本発明においては、通気抵抗部の構成要素として、吸熱フィンに、上記第1突片部を設けると共に、第2段の蛇行流路の下流端以外のY軸方向に隣接する各吸熱管の間に位置させて、X軸方向に突出する第3突片部を設けることもできる。この場合、第1突片部を、これにより付与される通気抵抗が第3突片部により付与される通気抵抗よりも大きくなるように形成する。これによれば、付与される通気抵抗が小さな第3突片部が存在する第2段の蛇行流路の下流端以外のY軸方向に隣接する各吸熱管の間により多くの燃焼ガスが流れ、燃焼ガスが第2段の蛇行流路の下流端の吸熱管に向かうのを抑制することができる。
【0011】
尚、吸熱フィンに、燃焼ガスから効率よく吸熱するために、第1段の蛇行流路よりも燃焼ガスの流れ方向下流側で、且つ、第2段の蛇行流路のY軸方向に隣接する各吸熱管の間に位置させて、燃焼ガスが通過するトンネル状の通路を形成するようにX軸方向に突出するY軸方向に長手のブリッジ状凸部を設けることがある。この場合、本発明においては、第2段の蛇行流路の下流端の吸熱管とそのY軸方向他方に隣接する吸熱管との間に設けられるブリッジ状凸部のY軸方向中心を、第2段の蛇行流路の下流端の吸熱管とそのY軸方向他方に隣接する吸熱管との間のY軸方向中心よりもY軸方向他方に片寄らせることが望ましい。これによれば、第2段の蛇行流路の下流端の吸熱管に隣接するブリッジ状凸部が当該吸熱管から遠ざけられることになる。そのため、第2段の蛇行流路の下流端の吸熱管へのブリッジ状凸部を介しての伝熱が低下し、第1段の蛇行流路の上流端の吸熱管と第2段の蛇行流路の下流端の吸熱管との温度差を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態の熱交換器の斜視図。
図2】実施形態の熱交換器の図1とは反対方向から見た斜視図。
図3図2のIII-III線で切断した断面図。
図4図3のIV-IV線で切断した切断側面図。
図5図3の一部分の拡大図。
図6】実施形態の熱交換器に設けられる吸熱フィンの要部の拡大斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1乃至図4を参照して、本発明の実施形態の熱交換器Aは、一端(図3図4で上端)に図外のバーナが装着される筐体1を備えている。筐体1内には、バーナから噴出する混合気の燃焼で生ずる燃焼ガスが流れ、この燃焼ガスにより熱交換器Aが加熱される。図3図4に矢印aで示す筐体1内の燃焼ガスの流れ方向に交差する直交2方向をX軸方向及びY軸方向として、筐体1は、X軸方向両側の側板11,12と、Y軸方向両側の側板13,14とを有する角筒状である。熱交換器Aは、更に、筐体1内にX軸方向に積層して配置された複数の吸熱フィン2と、これら吸熱フィン2及び筐体1のX軸方向両側の側板11,12をX軸方向に貫通し、内部に水等の被加熱流体が流れる複数の吸熱管31と、これら吸熱管31を筐体1のX軸方向両側の側板11,12の外側で直列に接続する接続部32と、筐体1の燃焼ガスの流れ方向下流端(図3図4で下端)の開口1aを覆う、燃焼ガスを排出する排気口41が開設された排気集合部4とを備えている。尚、排気口41から排出された燃焼ガスは図示省略した潜熱回収型の副熱交換器に導入される。また、各吸熱管31は、各吸熱フィン2と各側板11,12とに貫通状態でロウ付けされる。
【0014】
吸熱管31は、図3に明示されているように、燃焼ガスの流れ方向に2段に分けて配置されている。具体的には、燃焼ガスの流れ方向上流側の段である第1段に、Y軸方向一方の最外側に位置するものからY軸方向他方の最外側に位置するものまでの#11~#16の6本の吸熱管31を配置し、燃焼ガスの流れ方向下流側の段である第2段に、第1段の隣接する各吸熱管31,31間のY軸方向中心に管のY軸方向中心が合致するような位置関係で、Y軸方向一方の最外側に位置するものからY軸方向他方の最外側に位置するものまでの#21~#25の5本の吸熱管31を配置している。尚、各吸熱フィン2には、第1段の各吸熱管31に合致するY軸方向位置で燃焼ガスの流れ方向上流側に膨出する各膨出部21が設けられており、各膨出部21を第1段の各吸熱管31が貫通する。
【0015】
また、第1段の6本の吸熱管31とこれら吸熱管31を接続する第1段用の接続部32とで、第1段の吸熱管31をY軸方向一方の最外側に位置する#11の吸熱管31からY軸方向他方の最外側に位置する#16の吸熱管31に亘って結ぶ第1段の蛇行流路3が構成され、第2段の5本の吸熱管31とこれら吸熱管3を接続する第2段用の接続部32とで、第2段の吸熱管31をY軸方向一方の最外側に位置する#21の吸熱管31からY軸方向他方の最外側に位置する#25の吸熱管31に亘って結ぶ第2段の蛇行流路3が構成されている。
【0016】
尚、第1段用の接続部32は、筐体1のX軸方向一側の側板11の外側に配置されている、#11と#12の吸熱管31,31と、#13と#14の吸熱管31,31と、#15と#16の吸熱管31,31とを夫々接続する3つのU字管32aと、筐体1のX軸方向他側の側板12の外側に配置されている、#12と#13の吸熱管31,31と、#14と#15の吸熱管31,31とを夫々接続する2つのU字管32bとで構成されている。また、第2段用の接続部32は、筐体1のX軸方向一側の側板11の外側に配置されている、#22と#23の吸熱管31,31と、#24と#25の吸熱管31,31とを夫々接続する2つのU字管32aと、筐体1のX軸方向他側の側板12の外側に配置されている、#21と#22の吸熱管31,31と、#23と#24の吸熱管31,31とを夫々接続する2つのU字管32bとで構成されている。
【0017】
第1段の蛇行流路3の上流端の吸熱管31たるY軸方向一方の最外側に位置する#11の吸熱管31には、筐体1のX軸方向他側の側板12の外側で流入管33が接続されている。また、第1段の蛇行流路3のY軸方向他方の最外側に位置する下流端の#16の吸熱管31を第2段の蛇行流路3のY軸方向他方の最外側に位置する上流端の#25の吸熱管31に筐体1のX軸方向他側の側板12の外側でU字管から成る中間接続部3212を介して接続し、第1段の蛇行流路3から第2段の蛇行流路3に被加熱流体が流れるようにしている。更に、第2段の蛇行流路3のY軸方向一方の最外側に位置する下流端の#21の吸熱管31には、筐体1のX軸方向一側の側板11の外側で端部に流出口34aを有する流出側ジョイント34が接続されている。尚、第1段用の接続部32と第2段用の接続部32と中間接続部3212とで全ての吸熱管31を直列に接続する接続部32が構成されることになる。
【0018】
図3を参照して、筐体1のY軸方向一側の側板13の吸熱フィン2より燃焼ガスの流れ方向上流側の部分の内側には、燃焼ガスの流れ方向上流側から順に管から成る第4と第8と第12の3本の冷却流路35,35,3512が側板13に接するように配置されている。筐体1のY軸方向他側の側板14の吸熱フィン2より燃焼ガスの流れ方向上流側の部分の内側にも、燃焼ガスの流れ方向上流側から順に管から成る第2と第6と第10の3本の冷却流路35,35,3510が側板14に接するように配置されている。また、筐体1のX軸方向一側の側板11の吸熱フィン2より燃焼ガスの流れ方向上流側の部分には、図1図4に示す如く、第2冷却流路35と第4冷却流路35とを接続する第3冷却流路35と、第6冷却流路35と第8冷却流路35とを接続する第7冷却流路35と、第10冷却流路3510と第12冷却流路3512とを接続する第11冷却流路3511とが設けられている。更に、筐体1のX軸方向他側の側板12の吸熱フィン2より燃焼ガスの流れ方向上流側の部分には、図2図4に示す如く、第2冷却流路35に接続される、端部に副熱交換器からの被加熱流体が流入する流入口35aが設けられた第1冷却流路35と、第4冷却流路35と第6冷却流路35とを接続する第5冷却流路35と、第8冷却流路35と第10冷却流路3510とを接続する第9冷却流路35とが設けられている。第1段の蛇行流路3の上流端の#11の吸熱管31は、流入管33を介して第12冷却流路3512に接続されている。そのため、被加熱流体は、流入口35aから第1乃至第12冷却流路35~3512を経て第1段の蛇行流路3の上流端の#11の吸熱管31に流入する。そして、これら第1乃至第12冷却流路35~3512に流れる被加熱流体により筐体1の各側板11~14が冷却されるようにしている。
【0019】
尚、第3と第7と第11の各冷却流路35,35,3511と、第1と第5と第9の各冷却流路35,35,35は、各側板11,12に形成した横方向内方への窪みとこの窪みを覆うように各側板11,12の外面に取付けた蓋351とで構成されている。また、筐体1のY軸方向他側の側板14には、点火電極やフレームロッド等を挿通するための複数の穴141が形成されている。
【0020】
ところで、吸熱管31がその長手方向たるX軸方向に熱膨張すると、吸熱管31が貫通してロウ付けされる筐体1のX軸方向各側の側板11,12がX軸方向に押される。本実施形態の熱交換器Aでは、温度差が最も大きくなる第1段の蛇行流路3の上流端の#11の吸熱管31と第2段の蛇行流路3の下流端の#21の吸熱管31とが夫々Y軸方向一方の最外側に位置する。そして、#11と#21の両吸熱管31,31間の距離が短くなると、当該両吸熱管31,31の熱膨張量の違いによって筐体1のX軸方向各側の側板11,12に大きな応力が作用する。そして、この応力が繰り返し作用することで側板11,12に亀裂が入ってしまう。
【0021】
そこで、本実施形態では、燃焼ガスが第2段の蛇行流路3の下流端の#21の吸熱管31に向かうのを抑制する通気抵抗部22を設けている。これによれば、最も温度が高くなる#21の吸熱管31の周りに燃焼ガスが流れ難くなり、当該吸熱管31への燃焼ガスからの伝熱を低下させることができる。そのため、第1段の蛇行流路3の上流端の#11の吸熱管31と第2段の蛇行流路3の下流端の#21の吸熱管31との温度差を減少させて、筐体1のX軸方向各側の側板11,12に作用する応力を軽減することができる。
【0022】
次に、図5図6を参照して、通気抵抗部22について具体的に説明する。尚、図6において、符号2aは、各吸熱管31が貫通するバーリング加工孔を示している。吸熱フィン2には、通気抵抗部22の構成要素として、第1段の蛇行流路3よりも燃焼ガスの流れ方向下流側で、且つ、第2段の蛇行流路3の下流端の#21の吸熱管31とそのY軸方向他方に隣接する#22の吸熱管31との間に位置させて、X軸方向に突出する第1突片部221と、第1段の蛇行流路3よりも燃焼ガスの流れ方向下流側で、且つ、第2段の蛇行流路3の下流端の#21の吸熱管31と筐体1のY軸方向一方の側板13との間に位置させて、X軸方向に突出する上部と下部の第2突片部222,222と、第2段の蛇行流路3の下流端以外のY軸方向に隣接する各吸熱管31,31の間に位置させて、X軸方向に突出する第3突片部223とが設けられている。
【0023】
ここで、第2段の蛇行流路3の下流端の#21の吸熱管31と第1突片部221との間の隙間の最小部の幅W1aを、第2段の蛇行流路3の#22の吸熱管31と第1突片部221との間の隙間の最小部の幅W1bよりも小さくしている。これによれば、第2段の蛇行流路3の下流端の#21の吸熱管31と第1突片部221との間の隙間よりも幅の大きな第2段の蛇行流路3の#22の吸熱管31と第1突片部221との間の隙間により多くの燃焼ガスが流れ、燃焼ガスが#21の吸熱管31に向かうのを抑制することができる。
【0024】
また、第2段の蛇行流路3の下流端の#21の吸熱管31と上部と下部の各第2突片部222,222との間の隙間の最小部の幅W2a,W2aを、筐体1のY軸方向一方の側板13と上部と下部の各第2突片部222,222との間の隙間の最小部の幅W2b,W2bよりも小さくしている。これによれば、第2段の蛇行流路3の#21の吸熱管31と各第2突片部222,222との間の隙間よりも幅の大きな筐体1のY軸方向一方の側板13と各第2突片部222,222との間の隙間により多くの燃焼ガスが流れ、燃焼ガスが第2段の蛇行流路3の#21の吸熱管31に向かうのを抑制することができる。
【0025】
尚、上部の第2突片部222は、筒状である。そして、上部の第2突片部222と第1段の蛇行流路3の上流端の#11の吸熱管31との間の隙間の最小部の幅W2cを当該突片部222と第2段の蛇行流路3の下流端の#21の吸熱管31との間の隙間の最小部の幅W2aよりも大きくして、当該突片部222と#11の吸熱管31との間の隙間により多くの燃焼ガスが流れるようにしている。
【0026】
また、第1突片部221のY軸方向幅W1を第3突片部223のY軸方向幅W3よりも大きくして、第1突片部221により付与される通気抵抗が第3突片部223により付与される通気抵抗よりも大きくなるようにしている。これによれば、付与される通気抵抗が小さな第3突片部223が存在する第2段の蛇行流路3の下流端以外のY軸方向に隣接する各吸熱管31,31間により多くの燃焼ガスが流れ、燃焼ガスが第2段の蛇行流路3の#21の吸熱管に向かうのを抑制することができる。尚、第1突片部221のX軸方向突出長さを第3突片部223のX軸方向突出長さよりも大きくして、第1突片部221により付与される通気抵抗が第3突片部223により付与される通気抵抗よりも大きくなるようにすることも可能である。
【0027】
更に、本実施形態では、燃焼ガスから吸熱フィン2に効率よく吸熱するために、吸熱フィン2に、第1段の蛇行流路3よりも燃焼ガスの流れ方向下流側で、且つ、第2段の蛇行流路3のY軸方向に隣接する各吸熱管31,31の間に位置させて、燃焼ガスが通過するトンネル状の通路を形成するように上記各突片部221~223とはX軸反対方向に突出するY軸方向に長手のブリッジ状凸部23を設けている。ここで、第2段の蛇行流路3の下流端の#21の吸熱管31とそのY軸方向他方に隣接する#22の吸熱管31との間に設けられる#1のブリッジ状凸部23は、そのY軸方向中心が第2段の蛇行流路3の#21と#22の両吸熱管31,31間のY軸方向中心よりもY軸方向他方に片寄るよう設けられている。これによれば、#1のブリッジ状凸部23が第2段の蛇行流路3の下流端の#21の吸熱管31から遠ざけられることになる。そのため、#21の吸熱管31への#1のブリッジ状凸部23を介しての伝熱が低下する。その結果、第1段の蛇行流路3の上流端の#11の吸熱管31と第2段の蛇行流路3の下流端の#21の吸熱管31との温度差を減少させることができ、筐体1のX軸方向各側の側板11,12に作用する応力の軽減に寄与する。
【0028】
また、本実施形態では、第2段の蛇行流路3の各吸熱管31よりも燃焼ガスの流れ方向上流側に位置する吸熱フィン2の部分に切欠きを設けている。具体的には、吸熱フィン2に、第2段の蛇行流路3の各吸熱管31よりも燃焼ガスの流れ方向上流側に位置する各膨出部21の基部側縁部に位置させて、切欠きを設けている。そして、第2段の蛇行流路3の下流端の#21の吸熱管31に対応する切欠きを第1切欠き24、第2段の蛇行流路3の下流端以外の各吸熱管31に対応する切欠きを第2切欠き24として、第1切欠き24を第2切欠き24よりも大きく形成している。
【0029】
これによれば、最も温度が高くなる第2段の蛇行流路3の下流端の#21の吸熱管31への吸熱フィン2を介しての伝熱を大きな第1切欠き24によって低下させることができる。そのため、第1段の蛇行流路3の上流端の#11の吸熱管31と第2段の蛇行流路3の下流端の#21の吸熱管31との温度差を減少させることができ、筐体1のX軸方向各側の側板11,12に作用する応力の軽減に寄与する。
【0030】
また、本実施形態では、第1段の蛇行流路3の上流端の#11の吸熱管31と第1切欠き24との間の吸熱フィン2の部分の幅Waを、各第2切欠き24と当該各第2切欠き24に対し燃焼ガスの流れ方向上流側に隣接する第1段の蛇行流路3の上流端以外の各吸熱管31との間の吸熱フィン2の部分の幅Wbよりも大きくしている。これによれば、第1段の蛇行流路3の上流端の#11の吸熱管31への吸熱フィン2を介しての伝熱が促進されて、当該吸熱管31に対し燃焼ガスの流れ方向下流側に位置する第2段の蛇行流路3の下流端の#21の吸熱管31に向かう燃焼ガスの温度が低下し、#21の吸熱管31への燃焼ガスからの伝熱を低下させることができる。そのため、第1段の蛇行流路3の上流端の#11の吸熱管31と第2段の蛇行流路3の下流端の#21の吸熱管31との温度差を一層減少させて、筐体1のX軸方向各側の側板11,12に作用する応力を軽減することができる。
【0031】
尚、第1切欠き24は、第1段の蛇行流路3の上流端の#11の吸熱管31が貫通する膨出部21の基部のY軸方向他方側の側縁部と、#11の吸熱管31のY軸方向他方に隣接する#12の吸熱管31が貫通する膨出部21の基部のY軸方向一方側の側縁部にも形成されている。そして、#12の吸熱管31と第1切欠き24との間の吸熱フィン2の部分も、第1段の蛇行流路3の上流端の#11の吸熱管31と第1切欠き24との間の吸熱フィン2の部分と同じ幅Waにしている。
【0032】
更に、本実施形態では、第1段の蛇行流路3の上流端の#11の吸熱管31と第2段の蛇行流路3の下流端の#21の吸熱管31との間の距離Laを、第1段の蛇行流路3の上流端以外の各吸熱管31と当該吸熱管31に最寄りの第2段の蛇行流路3の下流端以外の各吸熱管31との間の距離Lbよりも大きくしている。これによれば、温度差が最も大きくなる第1段の蛇行流路3の上流端の#11と第2段の蛇行流路3の下流端の#21との両吸熱管31,31の熱膨張量の違いによって筐体1のX軸方向各側の側板11,12に作用する応力を、当該両吸熱管31,31間の距離Laを大きくすることにより軽減できる。
【0033】
また、本実施形態では、排気集合部4の排気口41を、排気集合部4のY軸方向他方に片寄った部分に設けている。これによれば、最も温度が高くなる第2段の蛇行流路3のY軸方向一方の最外側に位置する下流端の#21の吸熱管31の近くで排気口41に向けて燃焼ガスが集合することがなく、#21の吸熱管31への燃焼ガスからの伝熱を低下させることができる。そのため、第1段の蛇行流路3の上流端の#11の吸熱管31と第2段の蛇行流路3の下流端の#21の吸熱管31との温度差を一層減少させて、筐体1のX軸方向各側の側板11,12に作用する応力を軽減することができる。
【0034】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0035】
A…熱交換器、1…筐体、11,12…筐体のX軸方向各側の側板、13…筐体のY軸方向一方の側板、2…吸熱フィン、22…通気抵抗部、221…第1突片部、222,222…第2突片部、223…第3突片部、23…ブリッジ状凸部、3…第1段の蛇行流路、3…第2段の蛇行流路、31…吸熱管、32…接続部、32…第1段用の接続部、32…第2段用の接続部、W1a…第2段の蛇行流路の下流端の吸熱管と第1突片部との間の隙間の最小部の幅、W1b…第2段の蛇行流路の下流端の吸熱管のY軸方向他方に隣接する吸熱管と第1突片部との間の隙間の最小部の幅、W2a,W2a…第2段の蛇行流路の下流端の吸熱管と第2突片部との間の隙間の最小部の幅、W2b,W2b…筐体のY軸方向一方の側板と第2突片部との間の隙間の最小部の幅。
図1
図2
図3
図4
図5
図6