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特開2024-115877深さ測定装置、深さ測定方法及び深さ測定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115877
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】深さ測定装置、深さ測定方法及び深さ測定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01B 15/00 20060101AFI20240820BHJP
   G01N 23/04 20180101ALI20240820BHJP
【FI】
G01B15/00 H
G01N23/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021757
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】515086908
【氏名又は名称】株式会社トヨタプロダクションエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】相浦 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】野中 裕道
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 知将
【テーマコード(参考)】
2F067
2G001
【Fターム(参考)】
2F067AA24
2F067EE05
2F067FF11
2F067HH04
2F067JJ03
2F067KK06
2F067LL16
2F067NN02
2F067NN03
2F067RR12
2F067RR21
2G001AA01
2G001BA11
2G001CA01
2G001GA01
2G001GA08
2G001JA04
2G001KA01
(57)【要約】
【課題】画像情報から深さを取得することが可能な深さ測定装置、深さ測定方法及び深さ測定プログラムを提供する。
【解決手段】深さ測定装置は、基準対象及び評価対象それぞれに対して、深さの方向に対して交差する方向にX線源をスライド移動させてX線を照射して得られた透過X線画像を取得する第1取得部と、第1取得部で取得する基準対象の透過X線画像に基づいて、基準対象が配される位置に対応する基準位置から、X線源を移動させて透過X線画像を取得した位置までのスライド移動量と、複数の開口部それぞれの深さとの相関関係を取得する第2取得部と、第1取得部で取得する評価対象の透過X線画像に基づいて、評価対象に形成された開口部が写るスライド移動量を取得する第3取得部と、第2取得部で取得する相関関係を参照して、第3取得部で取得するスライド移動量に応じた深さを取得する第4取得部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
深さの異なる複数の開口部が形成された基準対象、及び、開口部が形成された評価対象それぞれに対して、前記深さの方向に対して交差する方向にX線源をスライド移動させてX線を照射して得られた透過X線画像を取得する第1取得部と、
前記第1取得部で取得する基準対象の透過X線画像に基づいて、基準対象が配される位置に対応する基準位置から、前記X線源を移動させて透過X線画像を取得した位置までのスライド移動量と、複数の開口部それぞれの深さとの相関関係を取得する第2取得部と、
前記第1取得部で取得する評価対象の透過X線画像に基づいて、評価対象に形成された開口部が写るスライド移動量を取得する第3取得部と、
前記第2取得部で取得する相関関係を参照して、前記第3取得部で取得するスライド移動量に応じた深さを取得する第4取得部と、
を備える深さ測定装置。
【請求項2】
前記第2取得部は、スライド移動量に応じた深さの相関関係を、スライド移動量が相対的に大きい場合に深さが相対的に浅く、スライド移動量が相対的に小さい場合に深さが相対的に深くなる曲線で近似して取得する
請求項1に記載の深さ測定装置。
【請求項3】
前記第2取得部は、基準対象につき、X線源を多段階に移動させることに応じて取得する複数の透過X線画像に基づく開口部の輪郭部におけるX線の透過量の変化が所定値以上の位置を特定し、当該特定した位置と基準位置とに基づいてスライド移動量を取得する
請求項2に記載の深さ測定装置。
【請求項4】
前記第3取得部は、評価対象につき、X線源を多段階に移動させることに応じて取得する複数の透過X線画像に基づく開口部の輪郭部におけるX線の透過量の変化が所定値以上の位置を特定し、当該特定した位置と基準位置とに基づいてスライド移動量を取得する
請求項3に記載の深さ測定装置。
【請求項5】
深さの異なる複数の開口部が形成された基準対象、及び、開口部が形成された評価対象それぞれに対して、前記深さの方向に対して交差する方向に光源をスライド移動させて光を照射して得られた透過画像を取得する第1取得部と、
前記第1取得部で取得する基準対象の透過画像に基づいて、基準対象が配される位置に対応する基準位置から、前記光源を移動させて透過画像を取得した位置までのスライド移動量と、複数の開口部それぞれの深さとの相関関係を取得する第2取得部と、
前記第1取得部で取得する評価対象の透過画像に基づいて、評価対象に形成された開口部が写るスライド移動量を取得する第3取得部と、
前記第2取得部で取得する相関関係を参照して、前記第3取得部で取得するスライド移動量に応じた深さを取得する第4取得部と、
を備える深さ測定装置。
【請求項6】
コンピュータが、
深さの異なる複数の開口部が形成された基準対象、及び、開口部が形成された評価対象それぞれに対して、前記深さの方向に対して交差する方向にX線源をスライド移動させてX線を照射して得られた透過X線画像を取得する第1取得ステップと、
前記第1取得ステップで取得する基準対象の透過X線画像に基づいて、基準対象が配される位置に対応する基準位置から、前記X線源を移動させて透過X線画像を取得した位置までのスライド移動量と、複数の開口部それぞれの深さとの相関関係を取得する第2取得ステップと、
前記第1取得ステップで取得する評価対象の透過X線画像に基づいて、評価対象に形成された開口部が写るスライド移動量を取得する第3取得ステップと、
前記第2取得ステップで取得する相関関係を参照して、前記第3取得ステップで取得するスライド移動量に応じた深さを取得する第4取得ステップと、
を実行する深さ測定方法。
【請求項7】
コンピュータに、
深さの異なる複数の開口部が形成された基準対象、及び、開口部が形成された評価対象それぞれに対して、前記深さの方向に対して交差する方向にX線源をスライド移動させてX線を照射して得られた透過X線画像を取得する第1取得機能と、
前記第1取得機能で取得する基準対象の透過X線画像に基づいて、基準対象が配される位置に対応する基準位置から、前記X線源を移動させて透過X線画像を取得した位置までのスライド移動量と、複数の開口部それぞれの深さとの相関関係を取得する第2取得機能と、
前記第1取得機能で取得する評価対象の透過X線画像に基づいて、評価対象に形成された開口部が写るスライド移動量を取得する第3取得機能と、
前記第2取得機能で取得する相関関係を参照して、前記第3取得機能で取得するスライド移動量に応じた深さを取得する第4取得機能と、
を実現させる深さ測定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、深さ測定装置、深さ測定方法及び深さ測定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、断層画像を生成する際にトモシンセシス技術が利用される場合があった。特許文献1の装置は、放射線源を検出部の検出面に対して相対的に移動させ、放射線源の移動による複数の線源位置において被写体に放射線を照射するトモシンセシス撮影を行う。さらに、その装置は、複数の投影画像を再構成することにより、被写体の複数の断層面のそれぞれにおける断層画像を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-125356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
出願人は、トモシンセシス技術が様々な技術に利用できると考え、例えば、深度測定技術に利用可能として検討を重ねてきた。そこで、放射線源の移動量、及び、放射線源と放射線の検出部との距離を利用した算出式に基づいて、評価対象の内部に形成された開口部の深さを求める手法をあみ出した。
しかしながら、上述した算出式を利用する場合、移動量及び距離を予め高精度に取得する必要があるが、特に移動量及び距離を取得する際には、開口部の焦点位置及び検出部のフォトダイオードの位置等を厳密に計測する必要があり、測定現場においては手間のかかる作業となっていた。
このため、深度測定技術の改良を行った。
【0005】
本開示は、画像情報から深さを取得することが可能な深さ測定装置、深さ測定方法及び深さ測定プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様の深さ測定装置は、深さの異なる複数の開口部が形成された基準対象、及び、開口部が形成された評価対象それぞれに対して、深さの方向に対して交差する方向にX線源をスライド移動させてX線を照射して得られた透過X線画像を取得する第1取得部と、第1取得部で取得する基準対象の透過X線画像に基づいて、基準対象が配される位置に対応する基準位置から、X線源を移動させて透過X線画像を取得した位置までのスライド移動量と、複数の開口部それぞれの深さとの相関関係を取得する第2取得部と、第1取得部で取得する評価対象の透過X線画像に基づいて、評価対象に形成された開口部が写るスライド移動量を取得する第3取得部と、第2取得部で取得する相関関係を参照して、第3取得部で取得するスライド移動量に応じた深さを取得する第4取得部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
一態様によれば、画像情報から深さを取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る深さ測定装置について説明するための図である。
図2】一実施形態に係る深さ測定装置(処理部)について説明するためのブロック図である。
図3】X線源及び検出部の一例について説明するための図である。
図4】対象の一例について説明するための図である。(A)は基準対象について説明する図、(B)は評価対象について説明するための図である。
図5】開口部の深さとスライド移動量との相関関係の一例について説明するための図である。
図6】画像情報に関連する開口部の輪郭部について説明するための図である。(A)は複数の開口部を重ねた際の第1図、(B)は透過量について説明する第1図、(C)は複数の開口部を重ねた際の第2図、(D)は透過量について説明する第2図である。
図7】一実施形態に係る深さ測定方法について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態について説明する。
【0010】
[深さ測定装置1の概要]
まず、一実施形態に係る深さ測定装置1の概要について説明する。
図1は、一実施形態に係る深さ測定装置1について説明するための図である。
【0011】
本開示では、トモシンセシス技術を応用した深度計測技術を提案する。具体的には、深さ測定装置1は、例えば、トモシンセシス技術を応用した、評価対象220に形成された開口部230(図4参照)の深さを測定する構成等であってもよい。
【0012】
深さ測定装置1は、例えば、X線源2、X線検出部(検出部)3及び処理部10を備える。
【0013】
X線源2は、対象20に対して照射するX線を発生させるX線発生装置である。X線源2は、例えば、固定陽極X線管を備える。X線管の陽極には、例えば、ターゲットとして、タングステン、モリブデン等の金属が使用される。X線源2は、例えば、後述する処理部10の制御に基づいて、X線を透過させる対象20の厚さ及び材質等に応じて、発生させるX線量(エネルギ量)を設定する。X線源2には、例えば、公知のX線用の照射装置が使用されてもよい。
対象20は、例えば、金属部材を始めとする種々の材質からなる部材等であってもよい。
【0014】
検出部3は、例えば、X線源2から照射された後、対象20を透過したX線を検出する。検出部3は、例えば、対象20を透過した透過X線の強度(一例として、線量及び照射線量等)を検出する。検出部3には、例えば、公知のX線用の検出装置が使用されてもよい。
【0015】
処理部10は、例えば、X線源2及びX線検出部3それぞれとの間で情報の送受信を行ってもよい。処理部10は、例えば、サーバ、デスクトップ及びラップトップ等のコンピュータ(情報処理装置)等であってもよい。
【0016】
処理部10は、対象20(例えば、基準対象210及び評価対象220等(図4参照))に対して、X線源2からX線を照射させる。基準対象210は、深さ(既知)の異なる複数の開口部230が形成された対象であってもよい。評価対象220は、深さ測定の対象となる開口部230が形成された対象であってもよい。この場合、処理部10は、例えば、開口部230が形成された深さ方向Y(X線源2側から検出部3側へ向かう方向)に対して交差する方向(交差方向X)にX線源2をスライド移動させる(図3参照)。さらに、処理部10は、例えば、X線源2を交差方向Xに多段階又は連続的に移動させつつ、対象20に対して複数回X線を照射させる。
【0017】
処理部10は、基準対象210の透過X線画像に基づいて、基準位置Lから所定位置Lまでのスライド移動量L12図3参照)と、基準対象210に形成された複数の開口部230それぞれの既知の深さA,B,Cとの相関関係を取得する(図5参照)。基準位置Lは、例えば、基準対象210に対向する検出部3側の位置、すなわち、基準対象210が配される位置に対応する位置であってもよい。所定位置Lは、例えば、X線によって基準対象210(開口部230)が検出部3に投影される際の検出部3側の位置、すなわち、X線源2を移動させて透過X線画像を取得した位置であってもよい。
【0018】
処理部10は、基準対象210の場合と同様に、評価対象220(開口部230)についても、基準位置Lから所定位置Lまでのスライド移動量L12(Le)を取得する(図5参照)。基準位置Lは、例えば、評価対象220に対向する検出部3側の位置、すなわち、評価対象220が配される位置に対応する位置であってもよい。所定位置Lは、例えば、X線によって評価対象220(開口部230)が検出部3に投影される際の検出部3側の位置、すなわち、X線源2を移動させて透過X線画像を取得した位置であってもよい。
【0019】
処理部10は、相関関係を参照して、評価対象220に関するスライド移動量Leに応じた深さDを取得する。
【0020】
[深さ測定装置1の詳細]
次に、一実施形態に係る深さ測定装置1について詳細に説明する。ここでは特に、処理部10について詳細に説明する。
図2は、一実施形態に係る深さ測定装置1(処理部10)について説明するためのブロック図である。
図3は、X線源2及び検出部3の一例について説明するための図である。
図4は、対象20の一例について説明するための図である。図4(A)は基準対象210について説明する図、図4(B)は評価対象220について説明するための図である。
図5は、開口部230の深さとスライド移動量との相関関係の一例について説明するための図である。
図6は、画像情報に関連する開口部230の輪郭部について説明するための図である。図6(A)は複数の開口部230を重ねた際の第1図、図6(B)は透過量について説明する第1図、図6(C)は複数の開口部230を重ねた際の第2図、図6(D)は透過量について説明する第2図である。
【0021】
深さ測定装置1(処理部10)は、例えば、通信部121、記憶部122、表示部123及び制御部111等を備える。通信部121、記憶部122及び表示部123は、出力部の一実施形態であってもよい。制御部111は、例えば、X線源制御部112、第1取得部113、第2取得部114、第3取得部115、第4取得部116及び出力制御部117等を備える。制御部111は、例えば、深さ測定装置1の演算処理装置等によって構成されてもよい。制御部111(例えば、演算処理装置等)は、例えば、記憶部122等に記憶される各種プログラム等を適宜読み出して実行することにより、各部(例えば、X線源制御部112、第1取得部113、第2取得部114、第3取得部115、第4取得部116及び出力制御部117等)の機能を実現してもよい。
【0022】
通信部121は、例えば、深さ測定装置1の外部にある装置(外部装置)等との間で種々の情報の送受信が可能な通信インターフェースである。通信部121は、例えば、X線源2及び検出部3と通信を行ってもよい。また、通信部121は、例えば、サーバ及びユーザ端末(図示せず)等と通信を行ってもよい。ユーザ端末は、例えば、深さ測定装置1のユーザが使用する端末であってもよく、デスクトップ、ラップトップ、タブレット及びスマートフォン等であってもよい。
【0023】
記憶部122は、例えば、種々の情報及びプログラムを記憶してもよい。記憶部122の一例は、メモリ、ソリッドステートドライブ及びハードディスクドライブ等であってもよい。なお、記憶部122は、例えば、クラウド上にある記憶領域及びサーバ等であってもよい。
【0024】
表示部123は、例えば、種々の文字、記号及び画像等を表示することが可能なディスプレイである。
【0025】
X線源制御部112は、通信部121を介して、X線源2を制御する。一例として、X線源制御部112は、X線源2をスライド移動させるよう制御する。図3に例示するように、スライド移動させる方向は、例えば、対象20に形成された開口部230の深さ方向Yに対して交差する方向(交差方向X)、特には直交する方向等であってもよい。これにより、X線源制御部112は、X線源2をスライド移動させつつ、すなわち、X線源2を交差方向Xに多段階又は連続的に移動させつつ、そのX線源2から対象20に対して複数回X線を照射させる。対象20は、基準対象210及び評価対象220等であってもよい。基準対象210は、例えば、既知の異なる深さそれぞれに開口部230が形成された対象であってもよい。評価対象220は、深さの測定対象となる開口部230が形成された対象であってもよい。開口部230は、例えば、貫通した孔部であってもよく、底部を有する穴部であってもよく、空間となる空隙であってもよい。
【0026】
なお、基準対象210と評価対象220とは、同じタイミング又は異なる前後するタイミングで撮像されることにより、それぞれの透過X線画像が生成されてもよい。また、基準対象210及び評価対象220それぞれの基準面は、X線源2から同一(又は、略同一等)の距離に配されてもよい。基準対象210の基準面は、図4(A)に示すように、基準対象210において、X線源2に最も近い基準プレート211の表面213等であってもよい。また、評価対象220の基準面は、例えば、図4(B)に示すように、評価対象220においてX線源2に最も近い面221等であってもよい。
【0027】
ここで、図4(A)に例示する基準対象210は、例えば、基準プレート211からの深さ(距離)A,B,Cが異なる複数の開口部230を有する。図4(A)に例示する場合では、基準対象210は、基準プレート211と、1つ(又は複数)の開口部230を含む複数のプレート212とを備える。
基準対象210では、深さ方向Yに見て、複数の開口部230の位置は異なるように配されてもよい(図4(A)参照)。また、複数の開口部230の開口幅(例えば、開口部230が円形の場合には直径等)それぞれが異なるようになっていてもよい。また、複数の開口部230の開口の形状それぞれは異なるようになっていてもよい。これにより、基準対象210に照射されたX線により、複数の開口部230が検出部3に投影される場合、複数の開口部230を識別する、すなわち、複数の開口部230それぞれの違いに応じて深さを特定することが可能になる。
なお、基準プレート211は、開口部を有してよく、又は、開口部を有さなくてもよい。
【0028】
また、図4(B)に例示する評価対象220は、例えば、金属等を始めとする種々の材質による部材であってもよい。評価対象220は、例えば、内部に開口部230(一例として、空隙等)が有ってもよい。
【0029】
第1取得部113は、例えば、通信部121を介して、検出部3において対象20(例えば、基準対象210及び評価対象220)を透過したX線(透過X線)を検出することに応じて生成された透過X線画像を取得する。すなわち、第1取得部113は、深さの異なる複数の開口部230が形成された基準対象210、及び、開口部230が形成された評価対象220それぞれに対して、深さの方向Yに対して交差する方向XにX線源2をスライド移動させてX線を照射して得られた透過X線画像を取得する。
【0030】
第2取得部114は、第1取得部113で取得する基準対象210の透過X線画像に基づいて、基準対象210が配される位置に対応する基準位置Lから、X線源2を移動させて透過X線画像を取得した位置Lまでのスライド移動量L12と、複数の開口部230それぞれの深さとの相関関係を取得する。
すなわち、第2取得部114は、基準対象210の透過X線画像に基づいて、図3に示すような、基準対象210が配される位置に対応する基準位置Lから、X線源2を移動させて透過X線画像を取得した位置Lまでのスライド移動量L12と、複数の開口部230それぞれの深さA,B,Cとの相関関係を取得する(図5参照)。
【0031】
基準位置Lは、例えば、基準対象210に対向する検出部3における位置、また基準対象210から深さ方向Yにある検出部3上の位置等と言うことが可能である。
また、X線源2をスライド移動させつつ対象20(基準対象210)にX線を照射する場合、検出部3で検出される基準対象210の像(画像情報上の基準対象210の像)は、X線源2をスライド移動させる交差方向X(プラス方向(図3では右方向))とは反対方向(マイナス方向)に移動しつつ検出部3に投影される。すなわち、検出部3に投影される基準対象210の像の位置(所定位置)Lは、交差方向(マイナス)に移動する。
【0032】
したがって、第2取得部114は、既知の異なる深さ(図4(A)に例示する場合には深さA,B,C)の開口部230(複数の開口部230)それぞれに応じた、基準位置Lから、基準対象210が投影される位置Lまでの、交差方向X(マイナス方向)の移動量(スライド移動量)L12を取得する。すなわち、第2取得部114は、複数の開口部230それぞれの複数の既知の深さA,B,Cと、スライド移動量L12との相関関係を取得する。
【0033】
第2取得部114は、スライド移動量に応じた深さの相関関係を、スライド移動量が相対的に大きい場合に深さが相対的に浅く、スライド移動量が相対的に小さい場合に深さが相対的に深くなる曲線で近似して取得することとしてもよい。相関関係は、上述したように、異なる既知の深さの開口部230(複数の開口部230)を利用して取得される。この場合、第2取得部114は、スライド移動量L12と複数の開口部230の深さA,B,Cとの関係をプロットし、そのプロットした点を非線形曲線(一例として、対数曲線等)で近似することにより、相関関係を取得してもよい。
【0034】
第2取得部114は、基準対象210につき、X線源2を多段階又は連続的に移動させることに応じて取得する複数の透過X線画像に基づく開口部230の輪郭部におけるX線の透過量の変化が所定値以上の位置(所定位置)Lを特定し、その特定した位置Lと基準位置Lとに基づいてスライド移動量L12を取得することとしてもよい。
【0035】
ここで、X線源2をスライド移動させつつ基準対象210(開口部230)の像が記録された透過X線画像の複数を重ねる場合、開口部230に対してX線源2の見掛けの移動量が小さい際には、複数の画像を重ねた開口部230の輪郭部はより鮮明になると考えられる。同様に、開口部230に対してX線源2の見掛けの移動量が大きい際には、画像を重ねた開口部230の輪郭部はより不鮮明になると考えられる。
【0036】
開口部230が深さ方向Yに対してより浅い位置(X線源2側により近い位置)に有る場合、その開口部230からより近い位置をX線源2が移動する際(図3に例示する移動量dが小さい場合)には、その開口部230に対するX線源2の見掛けの移動量(例えば、検出部3に投影される開口部230の像の-X方向への移動量)がより大きくなると考えられる。すなわちこの場合には、複数の画像を重ねた開口部230の輪郭部はより不鮮明になると考えられる。
同様に、開口部230が深さ方向Yに対してより浅い位置(X線源2側により近い位置)に有る場合、その開口部230からより遠い位置をX線源2が移動する際(図3に例示する移動量dが大きい場合)には、その開口部230に対するX線源2の見掛けの移動量(例えば、検出部3に投影される開口部230の像の-X方向への移動量)がより小さくなると考えられる。すなわちこの場合には、複数の画像を重ねた開口部230の輪郭部はより鮮明になると考えられる。
【0037】
また、開口部230が深さ方向Yに対してより深い位置(検出部3側により近い位置)に有る場合、その開口部230からより近い位置をX線源2が移動する際(図3に例示する移動量dが小さい場合)には、その開口部230に対するX線源2の見掛けの移動量(例えば、検出部3に投影される開口部230の像の-X方向への移動量)がより小さくなると考えられる。すなわちこの場合には、画像を重ねた開口部230の輪郭部はより鮮明になると考えられる。
同様に、開口部230が深さ方向Yに対してより深い位置(検出部3側により近い位置)に有る場合、その開口部230からより遠い位置をX線源2が移動する際(図3に例示する移動量dが大きい場合)には、その開口部230に対するX線源2の見掛けの移動量(例えば、検出部3に投影される開口部230の像の-X方向への移動量)がより大きくなると考えられる。すなわちこの場合には、画像を重ねた開口部230の輪郭部はより不鮮明になると考えられる。
【0038】
開口部230の輪郭部は、例えば、X線の透過量に応じて特定される。X線の透過量がより多い場合には開口部230があること、またX線の透過量がより少ない場合には開口部230が無いことと推定が可能である。
したがって、複数の透過X線画像を重ねた場合、開口部230の移動がより大きいと複数の開口部230の像のずれが大きくなり(図6(A)参照)、開口部230の輪郭部231がより不鮮明になり、開口部230の輪郭部231(開口内部と開口外部との境界)のX線透過量Tの差がより緩やかな変動になる(図6(B)参照)。
同様に、複数の透過X線画像を重ねた場合、開口部230の移動がより少ないと複数の開口部230の像のずれが少なくなり(図6(C)参照)、開口部230の輪郭部231がより鮮明になり、開口部230の輪郭部231(開口内部と開口外部との境界)のX線透過量Tの差がより急激な変動になる(図6(D)参照)。
【0039】
第2取得部114は、X線源2のスライド移動に応じた複数の透過X線画像を重ねた場合の、開口部230の輪郭部の透過量Tの変化が予め設定された所定値以上の場合(例えば、透過量Tの変化の割合が閾値以上の場合)、検出部3側に投影される開口部230の移動が最も少ない位置、すなわち、X線源2を移動させて透過X線画像を取得した位置(所定位置)Lとして、特定する。
なお、第2取得部114は、例えば、透過量Tとして、透過X線の強度又は輝度を利用してもよい。
【0040】
第3取得部115は、第1取得部113で取得する評価対象220の透過X線画像に基づいて、評価対象220に形成された開口部230が写るスライド移動量L12を取得する。第3取得部115は、評価対象220の透過X線画像に基づいて、評価対象220に形成された開口部230が写るスライド移動量L12を取得する。この場合、第3取得部115は、X線源2をスライド移動させつつ評価対象220を撮像した複数の透過X線画像を重ね、重ねた複数の透過X線画像に記録される開口部230の輪郭部がより鮮明に記録される際の、透過X線画像を取得した位置Lを取得する。当該位置Lは、上述した基準対象210の際に取得する位置Lと同様に取得することが可能である。第3取得部115は、評価対象220に関する基準位置Lから、開口部230の輪郭部がより鮮明に記録される際の透過X線画像を取得した位置Lまでの、スライド移動量L12を取得する。当該スライド移動量L12は、上述した基準対象210の際に取得するスライド移動量L12と同様に取得することが可能である。
【0041】
第3取得部115は、評価対象220につき、X線源2を多段階又は連続的に移動させることに応じて取得する複数の透過X線画像に基づく開口部230の輪郭部におけるX線の透過量Tの変化が所定値以上の位置(所定位置)Lを特定し、その特定した位置Lと基準位置Lとに基づいてスライド移動量L12を取得することとしてもよい。
【0042】
基準位置Lは、例えば、基準対象210と同様に、評価対象220に対向する検出部3における位置、また評価対象220から深さ方向にある検出部3の位置等と言うことが可能である。
また、X線源2をスライド移動させつつ対象20(評価対象220)にX線を照射する場合、基準対象210と同様に、検出部3で検出される評価対象220の像(画像情報上の評価対象220の像)は、X線源2をスライド移動させる交差方向X(プラス方向)とは反対方向(マイナス方向)に移動しつつ検出部3に投影される。すなわち、検出部3に投影される評価対象220の像の位置(所定位置)Lは、交差方向(マイナス)に移動する。
【0043】
第3取得部115は、上述した第2取得部114の処理と同様に、評価対象220に形成された開口部230に関し、X線源2のスライド移動に応じた開口部230の検出部3への複数の投影画像(透過X線画像)を重ねる。第3取得部115は、複数の開口部230を重ねた輪郭部の透過量Tの変化が予め設定された所定値以上の場合(例えば、透過量Tの変化の割合が閾値以上の場合)、検出部3側に投影される開口部230の移動が最も少ない位置、すなわち、X線源2を移動させて透過X線画像を取得した位置(所定位置)Lとして、特定する。
なお、第3取得部115は、例えば、透過量Tとして、透過X線の強度又は輝度を利用してもよい。
【0044】
第4取得部116は、第2取得部114で取得する相関関係を参照して、第3取得部115で取得するスライド移動量L12に応じた深さを取得する。具体的な一例として、第4取得部116は、第3取得部115で取得したスライド移動量L12が「Le」の場合、図5に例示する相関関係を参照し、スライド移動量Leに応じた深さDを特定する。第4取得部116は、特定した深さDを、評価対象220に形成された開口部230の深さDとして取得する。
【0045】
出力制御部117は、第4取得部116で取得した深さを出力するよう出力部を制御してもよい。出力部は、例えば、通信部121、記憶部122及び表示部123等であってもよい。
すなわち、出力制御部117は、例えば、深さに関する情報を外部装置に送信するよう通信部121を制御してもよい。ここで、外部装置は、サーバ及びユーザ端末(図示せず)等であってもよい。
出力制御部117は、例えば、深さに関する情報を記憶するよう記憶部122を制御してもよい。
出力制御部117は、例えば、深さを表示するよう表示部123を制御してもよい。
【0046】
[深さ測定方法]
次に、一実施形態に係る深さ測定方法について説明する。
図7は、一実施形態に係る深さ測定方法について説明するためのフローチャートである。
【0047】
ステップST101において、第1取得部113は、基準対象210及び評価対象220それぞれに対して、深さの方向Yに対して交差する方向XにX線源2をスライド移動させてX線を照射して得られた透過X線画像を取得する。基準対象210は、例えば、深さA,B,C(既知)の異なる複数の開口部230が形成された部材である。評価対象220は、例えば、深さを取得する対象となる開口部230が形成された部材である。
【0048】
ステップST102において、第2取得部114は、ステップST101で取得した基準対象210の透過X線画像に基づいて、基準位置Lから所定位置Lまでのスライド移動量L12と、複数の開口部230それぞれの深さA,B,Cとの相関関係を取得する。基準位置Lは、例えば、基準対象210が配される位置に対応する位置である。所定位置Lは、例えば、X線源2を移動させて透過X線画像を取得した位置である。
この場合、第2取得部114は、基準対象210につき、X線源2を多段階又は連続的に移動させることに応じて取得する複数の透過X線画像に基づく開口部230の輪郭部におけるX線の透過量Tの変化が所定値以上の位置(所定位置)Lを特定し、その所定位置Lと基準位置Lとに基づいてスライド移動量L12を取得することとしてもよい。
第2取得部114は、スライド移動量L12に応じた深さの相関関係を、スライド移動量L12が相対的に大きい場合に深さが相対的に浅く、スライド移動量L12が相対的に小さい場合に深さが相対的に深くなる曲線で近似して取得することとしてもよい。
【0049】
ステップST103において、第3取得部115は、ステップST101で取得した評価対象220の透過X線画像に基づいて、評価対象220に形成された開口部230が写るスライド移動量L12を取得する。
第3取得部115は、例えば、評価対象220のスライド移動量L12を、ステップST102で取得した基準対象210のスライド移動量L12と同様に取得してもよい。
すなわち、第3取得部115は、評価対象220につき、X線源2を多段階又は連続的に移動させることに応じて取得する複数の透過X線画像に基づく開口部230の輪郭部におけるX線の透過量Tの変化が所定値以上の位置(所定位置)Lを特定し、その所定位置Lと基準位置Lとに基づいてスライド移動量L12を取得することとしてもよい。なお、ステップST103における基準位置Lは、例えば、評価対象220が配される位置に対応する検出部3上の位置である。
【0050】
ステップST104において、第4取得部116は、ステップST102で取得した相関関係を参照して、ステップST103で取得したスライド移動量L12に応じた深さを取得する。すなわち、第4取得部116は、基準対象210の相関関係を参照し、評価対象220のスライド移動量L12(Le)からその評価対象220にある開口部230の深さDを取得する。
【0051】
[機能及び回路について]
次に、上述した情報処理装置の機能及び回路について説明する。
深さ測定装置1の各部は、コンピュータの演算処理装置等の機能として実現されてもよい。すなわち、深さ測定装置1のX線源制御部112、第1取得部113、第2取得部114、第3取得部115、第4取得部116及び出力制御部117(制御部111)は、コンピュータの演算処理装置等によるX線源制御機能、第1取得機能、第2取得機能、第3取得機能、第4取得機能及び出力制御機能(制御機能)としてそれぞれ実現されてもよい。
深さ測定プログラムは、上述した各機能をコンピュータに実現させることができる。深さ測定プログラムは、例えば、メモリ、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブ又は光ディスク等の、コンピュータで読み取り可能な非一時的な記録媒体等に記録されていてもよい。記録媒体は、例えば、非一時的なコンピュータ可読媒体と言い換えてもよい。
また、上述したように、深さ測定装置1の各部は、コンピュータの演算処理装置等で実現されてもよい。その演算処理装置等は、例えば、集積回路等によって構成される。このため、深さ測定装置1の各部は、演算処理装置等を構成する回路として実現されてもよい。すなわち、深さ測定装置1のX線源制御部112、第1取得部113、第2取得部114、第3取得部115、第4取得部116及び出力制御部117(制御部111)は、コンピュータの演算処理装置等を構成するX線源制御回路、第1取得回路、第2取得回路、第3取得回路、第4取得回路及び出力制御回路(制御回路)として実現されてもよい。
また、深さ測定装置1の通信部121、記憶部122及び表示部123(出力部)は、例えば、演算処理装置等の機能を含む通信機能、記憶機能及び表示機能(出力機能)として実現されもよい。また、深さ測定装置1の通信部121、記憶部122及び表示部123(出力部)は、例えば、集積回路等によって構成されることにより通信回路、記憶回路及び表示回路(出力回路)として実現されてもよい。また、深さ測定装置1の通信部121、記憶部122及び表示部123(出力部)は、例えば、複数のデバイスによって構成されることにより通信装置、記憶装置及び表示装置(出力装置)として構成されてもよい。
【0052】
深さ測定装置1は、上述した複数の各部のうち1又は任意の複数を組み合わせることが可能である。
本開示では、「情報」の文言を使用しているが、「情報」の文言は「データ」と言い換えることができ、「データ」の文言は「情報」と言い換えることができる。
【0053】
[変形例]
上述した実施形態では、X線を利用した装置について説明した。しかしながら、本開示の装置等では、X線を利用するばかりでなく、種々の波長(波長域)の光及び放射線(電磁波)を利用してもよい。この場合、装置等は、例えば、赤外光、可視光及び紫外光等を利用して、透過画像を取得し、また深さを測定してもよい。種々の波長(波長域)を利用して透過画像を取得し、また深さを測定する部材の一例は、半導体等を始めとする種々の材質からなる部材であってもよい。
【0054】
[本実施形態の態様及び効果]
次に、本実施形態の一態様及び各態様が奏する効果について説明する。なお、以下に記載する各態様は出願時の一例であり、本実施形態は以下に記載する態様に限定されることはない。すなわち、本実施形態は以下に記載する各態様に限定されることはなく、上述した各部を適宜組み合わせて実現されてもよい。また、下位の態様は、それよりも上位の態様のいずれでも引用できる場合がある。
また、以下に記載する効果は一例であり、各態様が奏する効果は以下に記載するものに限定されることはない。また、各態様は、例えば、以下に記載する少なくとも1つの効果を奏してもよい。
【0055】
(態様1)
一態様の深さ測定装置は、深さの異なる複数の開口部が形成された基準対象、及び、開口部が形成された評価対象それぞれに対して、深さの方向に対して交差する方向にX線源をスライド移動させてX線を照射して得られた透過X線画像を取得する第1取得部と、第1取得部で取得する基準対象の透過X線画像に基づいて、基準対象が配される位置に対応する基準位置から、X線源を移動させて透過X線画像を取得した位置までのスライド移動量と、複数の開口部それぞれの深さとの相関関係を取得する第2取得部と、第1取得部で取得する評価対象の透過X線画像に基づいて、評価対象に形成された開口部が写るスライド移動量を取得する第3取得部と、第2取得部で取得する相関関係を参照して、第3取得部で取得するスライド移動量に応じた深さを取得する第4取得部と、を備える。
これにより、深さ測定装置は、透過X線画像に基づいて、評価対象にある開口部の深さを取得することができる。
すなわち、深さ測定装置は、深さの取得に算出式を用いることがないため、X線源の移動量d、及び、X線源と検出部との距離Lを厳密に計測する必要がない。よって、深さ測定装置は、深さの測定現場において測定者の手間を省くことができ、算出式を用いる場合に比べて容易に深さを取得することができる。なお、本実施形態の深さ測定装置を用いて測定した深さと、従来の深さ測定手法(従来手法)で得た深さとを比較すると、本実施形態の深さ測定装置の深さは従来手法に比べて0.02~0.09mm(誤差0.3~0.8%)精度が高く、本実施形態の深さ測定装置で得た深さはより精度が高いことが確認できた。本実施形態の深さ測定装置は、±0.1mmの精度で深さを測定することができる。
【0056】
(態様2)
一態様の深さ測定装置では、第2取得部は、スライド移動量に応じた深さの相関関係を、スライド移動量が相対的に大きい場合に深さが相対的に浅く、スライド移動量が相対的に小さい場合に深さが相対的に深くなる曲線で近似して取得することとしてもよい。
深さ測定装置は、スライド移動量は開口部の深さに依存すると推定されるため、その推定に基づいた近似曲線を利用して、相関関係を取得することができる。
【0057】
(態様3)
一態様の深さ測定装置では、第2取得部は、基準対象につき、X線源を多段階に移動させることに応じて取得する複数の透過X線画像に基づく開口部の輪郭部におけるX線の透過量の変化が所定値以上の位置を特定し、その特定した位置と基準位置とに基づいてスライド移動量を取得することとしてもよい。
深さ測定装置は、トモシンセシス技術を利用して得た複数の透過X線画像を重ねた際の、開口部の輪郭部におけるX線の透過量の変化が所定値以上の場合、開口部に焦点が合っていると推定することができる。深さ測定装置は、その推定に基づいてスライド移動量を取得し、さらに相関関係を取得することができる。
【0058】
(態様4)
一態様の深さ測定装置では、第3取得部は、評価対象につき、X線源を多段階に移動させることに応じて取得する複数の透過X線画像に基づく開口部の輪郭部におけるX線の透過量の変化が所定値以上の位置を特定し、その特定した位置と基準位置とに基づいてスライド移動量を取得することとしてもよい。
深さ測定装置は、トモシンセシス技術を利用して得た複数の透過X線画像を重ねた際の、開口部の輪郭部におけるX線の透過量の変化が所定値以上の場合、開口部に焦点が合っていると推定することができる。深さ測定装置は、その推定に基づいてスライド移動量を取得することができる。
【0059】
(態様5)
一態様の深さ測定装置は、深さの異なる複数の開口部が形成された基準対象、及び、開口部が形成された評価対象それぞれに対して、深さの方向に対して交差する方向に光源をスライド移動させて光を照射して得られた透過画像を取得する第1取得部と、第1取得部で取得する基準対象の透過画像に基づいて、基準対象が配される位置に対応する基準位置から、光源を移動させて透過画像を取得した位置までのスライド移動量と、複数の開口部それぞれの深さとの相関関係を取得する第2取得部と、第1取得部で取得する評価対象の透過画像に基づいて、評価対象に形成された開口部が写るスライド移動量を取得する第3取得部と、第2取得部で取得する相関関係を参照して、第3取得部で取得するスライド移動量に応じた深さを取得する第4取得部と、を備える。
これにより、深さ測定装置は、上述した一態様と同様の効果を奏することができる。
【0060】
(態様6)
一態様の深さ測定方法では、コンピュータが、深さの異なる複数の開口部が形成された基準対象、及び、開口部が形成された評価対象それぞれに対して、深さの方向に対して交差する方向にX線源をスライド移動させてX線を照射して得られた透過X線画像を取得する第1取得ステップと、第1取得ステップで取得する基準対象の透過X線画像に基づいて、基準対象が配される位置に対応する基準位置から、X線源を移動させて透過X線画像を取得した位置までのスライド移動量と、複数の開口部それぞれの深さとの相関関係を取得する第2取得ステップと、第1取得ステップで取得する評価対象の透過X線画像に基づいて、評価対象に形成された開口部が写るスライド移動量を取得する第3取得ステップと、第2取得ステップで取得する相関関係を参照して、第3取得ステップで取得するスライド移動量に応じた深さを取得する第4取得ステップと、を実行する。
これにより、深さ測定方法は、上述した一態様の深さ測定装置と同様の効果を奏することができる。
【0061】
(態様7)
一態様の深さ測定プログラムは、コンピュータに、深さの異なる複数の開口部が形成された基準対象、及び、開口部が形成された評価対象それぞれに対して、深さの方向に対して交差する方向にX線源をスライド移動させてX線を照射して得られた透過X線画像を取得する第1取得機能と、第1取得機能で取得する基準対象の透過X線画像に基づいて、基準対象が配される位置に対応する基準位置から、X線源を移動させて透過X線画像を取得した位置までのスライド移動量と、複数の開口部それぞれの深さとの相関関係を取得する第2取得機能と、第1取得機能で取得する評価対象の透過X線画像に基づいて、評価対象に形成された開口部が写るスライド移動量を取得する第3取得機能と、第2取得機能で取得する相関関係を参照して、第3取得機能で取得するスライド移動量に応じた深さを取得する第4取得機能と、を実現させる。
これにより、深さ測定プログラムは、上述した一態様の深さ測定装置と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 深さ測定装置
2 X線源
3 X線検出部(検出部)
10 処理部
111 制御部
112 X線源制御部
113 第1取得部
114 第2取得部
115 第3取得部
116 第4取得部
117 出力制御部
121 通信部
122 記憶部
123 表示部
20 対象
210 基準対象
211 基準プレート
212 プレート
213 基準プレートの表面
220 評価対象
230 開口部
231 輪郭部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7