(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115882
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】メタン発酵処理装置、およびメタン発酵処理装置の運転方法
(51)【国際特許分類】
C02F 11/04 20060101AFI20240820BHJP
【FI】
C02F11/04 A ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021767
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000192590
【氏名又は名称】株式会社神鋼環境ソリューション
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】井上 智行
(72)【発明者】
【氏名】小野田 草介
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 航介
(72)【発明者】
【氏名】大路 貴弘
【テーマコード(参考)】
4D059
【Fターム(参考)】
4D059AA03
4D059AA07
4D059BA12
4D059BA21
4D059BE08
4D059BE13
4D059BE26
4D059BE38
4D059BE41
4D059BF02
4D059BF15
4D059BJ03
4D059EA01
4D059EB01
(57)【要約】
【課題】メタン発酵槽内の汚泥の濃度を適切な濃度に保ちやすくすることができる技術を提供すること。
【解決手段】メタン発酵処理装置101は、有機性廃棄物を含む汚泥を濃縮する濃縮機4(固液分離装置)と、メタン発酵槽1と、濃縮機4とメタン発酵槽1との間に配設される濃縮汚泥供給管11と、濃縮汚泥供給管11に設けられた濃度計5(汚泥濃度計)と、メタン発酵槽1から汚泥を引き抜き、引き抜いた汚泥を濃縮機4の前段に送る汚泥返送管12と、を備える。このメタン発酵処理装置101では、濃度計5の測定値に基づいてメタン発酵槽1から汚泥が引き抜かれ、引き抜かれた汚泥が汚泥返送管12を介して濃縮機4に供給される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機性廃棄物を含む汚泥を濃縮する固液分離装置と、
前記固液分離装置で濃縮された汚泥が供給され、当該汚泥を嫌気性発酵処理するメタン発酵槽と、
前記固液分離装置と前記メタン発酵槽との間に配設される濃縮汚泥供給菅と、
前記濃縮汚泥供給管に設けられた汚泥濃度計と、
前記メタン発酵槽から汚泥を引き抜き、引き抜いた汚泥を前記固液分離装置の前段に送る汚泥返送管と、
を備え、
前記汚泥濃度計の測定値に基づいて前記メタン発酵槽から汚泥が引き抜かれ、引き抜かれた汚泥が前記汚泥返送管を介して前記固液分離装置に供給される、
メタン発酵処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のメタン発酵処理装置において、
前記汚泥濃度計の測定値が所定の値を超えたら、前記メタン発酵槽から汚泥が引き抜かれ、引き抜かれた汚泥が前記汚泥返送管を介して前記固液分離装置に供給される、
メタン発酵処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のメタン発酵処理装置において、
前記メタン発酵槽内の汚泥を循環させる循環配管をさらに備える、
メタン発酵処理装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載のメタン発酵処理装置において、
前記固液分離装置の前段に配置された混合槽であって、原料である有機性廃棄物を含む汚泥と、前記メタン発酵槽から引き抜かれて送られてきた汚泥とを混合する混合槽をさらに備える、
メタン発酵処理装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載のメタン発酵処理装置において、
前記メタン発酵槽内の汚泥を攪拌する攪拌機をさらに備え、
前記メタン発酵槽からの汚泥引き抜き時に、前記攪拌機の回転速度が変更される、および/または、前記攪拌機が通常運転時とは逆回転される、
メタン発酵処理装置。
【請求項6】
請求項1または2に記載のメタン発酵処理装置において、
前記固液分離装置で濃縮された汚泥を前記濃縮汚泥供給管から引き抜き、引き抜いた汚泥を前記固液分離装置の前段に送る第2汚泥返送管をさらに備え、
前記汚泥濃度計の測定値に基づいて、前記濃縮汚泥供給管から前記固液分離装置で濃縮された汚泥が引き抜かれ、引き抜かれた汚泥が前記第2汚泥返送管を介して前記固液分離装置に供給される、
メタン発酵処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載のメタン発酵処理装置において、
前記汚泥濃度計の測定値が所定の値を超えたら、前記濃縮汚泥供給管から前記濃縮機で濃縮された汚泥が引き抜かれ、引き抜かれた汚泥が前記第2汚泥返送管を介して前記固液分離装置に供給される、
メタン発酵処理装置。
【請求項8】
請求項6に記載のメタン発酵処理装置において、
前記汚泥濃度計の測定値が所定の値よりも低下したら、前記濃縮汚泥供給管から前記固液分離装置で濃縮された汚泥が引き抜かれ、引き抜かれた汚泥が前記第2汚泥返送管を介して前記固液分離装置に供給される、
メタン発酵処理装置。
【請求項9】
有機性廃棄物を含む汚泥を濃縮する固液分離装置と、
前記固液分離装置で濃縮された汚泥が供給され、当該汚泥を嫌気性発酵処理するメタン発酵槽と、
前記固液分離装置と前記メタン発酵槽との間に配設される濃縮汚泥供給菅と、
前記濃縮汚泥供給管に設けられた汚泥濃度計と、
前記固液分離装置で濃縮された汚泥を前記濃縮汚泥供給管から引き抜き、引き抜いた汚泥を前記固液分離装置の前段に送る第2汚泥返送管と、
を備え、
前記汚泥濃度計の測定値に基づいて、前記濃縮汚泥供給管から前記固液分離装置で濃縮された汚泥が引き抜かれ、引き抜かれた汚泥が前記第2汚泥返送管を介して前記固液分離装置に供給される、
メタン発酵処理装置。
【請求項10】
有機性廃棄物を含む汚泥を濃縮する固液分離装置と、
前記固液分離装置で濃縮された汚泥が供給され、当該汚泥を嫌気性発酵処理するメタン発酵槽と、
前記固液分離装置と前記メタン発酵槽との間に配設される濃縮汚泥供給菅と、
前記濃縮汚泥供給管に設けられた汚泥濃度計と、
前記メタン発酵槽から汚泥を引き抜き、引き抜いた汚泥を前記固液分離装置の前段に送る汚泥返送管と、
を備えるメタン発酵処理装置の運転方法であって、
前記汚泥濃度計の測定値に基づいて前記メタン発酵槽から汚泥を引き抜き、引き抜いた汚泥を、前記汚泥返送管を介して前記固液分離装置に供給する、
メタン発酵処理装置の運転方法。
【請求項11】
請求項10に記載のメタン発酵処理装置の運転方法において、
前記汚泥濃度計の測定値が所定の値を超えたら、前記メタン発酵槽から汚泥を引き抜き、引き抜いた汚泥を、前記汚泥返送管を介して前記固液分離装置に供給する、
メタン発酵処理装置の運転方法。
【請求項12】
有機性廃棄物を含む汚泥を濃縮する固液分離装置と、
前記固液分離装置で濃縮された汚泥が供給され、当該汚泥を嫌気性発酵処理するメタン発酵槽と、
前記固液分離装置と前記メタン発酵槽との間に配設される濃縮汚泥供給菅と、
前記濃縮汚泥供給管に設けられた汚泥濃度計と、
前記固液分離装置で濃縮された汚泥を前記濃縮汚泥供給管から引き抜き、引き抜いた汚泥を前記固液分離装置の前段に送る第2汚泥返送管と、
を備えるメタン発酵処理装置の運転方法であって、
前記汚泥濃度計の測定値に基づいて、前記濃縮汚泥供給管から前記固液分離装置で濃縮された汚泥を引き抜き、引き抜いた汚泥を、前記第2汚泥返送管を介して前記固液分離装置に供給する、
メタン発酵処理装置の運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタン発酵処理装置、およびメタン発酵処理装置の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メタン発酵処理装置は、有機性廃棄物を嫌気性発酵処理する装置である。このメタン発酵処理装置を構成するメタン発酵槽には、濃縮機にて濃縮された汚泥が投入される。汚泥が一定の濃度となるように濃縮機は制御されるが、連続運転中の汚泥性状の変動などに起因して濃縮調整が期待どおりにいかず、設計よりも濃度の高い汚泥がメタン発酵槽に投入されることがある。この場合、メタン発酵槽内の汚泥の濃度が高くなり過ぎ、メタン発酵槽内の汚泥の濃度を適切な濃度に保てない。
【0003】
例えば特許文献1には、メタン発酵槽である嫌気消化槽内の汚泥の濃度を、所定の範囲内に制御することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の濃度制御は、嫌気消化槽内の汚泥の濃度が過度に低くならないようにするためのものであり、また、嫌気消化槽内のSRT(汚泥滞留時間)を制御するというものである。一方、メタン発酵槽内の汚泥の濃度が高くなり過ぎることを防止するため、従来は、メタン発酵槽に投入する汚泥の濃度が高くなり過ぎないように安全を見て、濃縮機での汚泥の濃度目標を若干下げて運用している。しかしながら、この運用では、設計上必要とする汚泥の濃度を下回る恐れがある。高濃度の汚泥を水で薄めるという方法も考えられるが、この方法では希釈水が必要となり、且つ、メタン発酵槽を加温するためのエネルギーが従来よりも多く必要となる。
【0006】
本発明の目的は、メタン発酵槽内の汚泥の濃度を適切な濃度に保ちやすくすることができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願で開示するメタン発酵処理装置は、有機性廃棄物を含む汚泥を濃縮する固液分離装置と、前記固液分離装置で濃縮された汚泥が供給され、当該汚泥を嫌気性発酵処理するメタン発酵槽と、前記固液分離装置と前記メタン発酵槽との間に配設される濃縮汚泥供給菅と、前記濃縮汚泥供給管に設けられた汚泥濃度計と、前記メタン発酵槽から汚泥を引き抜き、引き抜いた汚泥を前記固液分離装置の前段に送る汚泥返送管と、を備える。このメタン発酵処理装置では、前記汚泥濃度計の測定値に基づいて前記メタン発酵槽から汚泥が引き抜かれ、引き抜かれた汚泥が前記汚泥返送管を介して前記固液分離装置に供給される。
【0008】
汚泥濃度計の測定値に基づいてメタン発酵槽から汚泥の引き抜きが行われ、引き抜かれた汚泥が汚泥返送管を介して固液分離装置に供給されることで、引き抜かれた汚泥と濃縮前の汚泥(原料汚泥)とを混ぜることができ、引き抜かれた汚泥は、濃縮前の汚泥によって希釈された状態で固液分離装置にて再濃縮される。固液分離装置にて濃度が再調整された汚泥は、濃縮汚泥供給管を経てメタン発酵槽に戻る。メタン発酵槽から汚泥が引き抜かれ、且つ濃度が再調整された汚泥がメタン発酵槽に戻ることで、設計よりも濃度の高い汚泥がメタン発酵槽に投入される場合でもメタン発酵槽内の汚泥の濃度を適切な濃度に保ちやすい。また、設計よりも濃度の低い汚泥がメタン発酵槽に投入される場合でもメタン発酵槽内の汚泥の濃度を適切な濃度に保ちやすい。
【0009】
前記汚泥濃度計の測定値が所定の値を超えたら、前記メタン発酵槽から汚泥が引き抜かれ、引き抜かれた汚泥が前記汚泥返送管を介して前記固液分離装置に供給されてもよい。
【0010】
この構成によると、設計よりも濃度の高い汚泥がメタン発酵槽に投入される場合でもメタン発酵槽内の汚泥の濃度を適切な濃度に保ちやすい。
【0011】
前記メタン発酵槽内の汚泥を循環させる循環配管をさらに備えるとよい。この構成によると、メタン発酵槽内の汚泥を循環させることができ、メタン発酵槽内の汚泥の流動性を確保しやすい。
【0012】
前記固液分離装置の前段に配置された混合槽であって、原料である有機性廃棄物を含む汚泥と、前記メタン発酵槽から引き抜かれて送られてきた汚泥とを混合する混合槽をさらに備えてもよい。
【0013】
この構成によると、メタン発酵槽の底部から引き抜かれた汚泥を再濃縮する前にほぐすことができ、固液分離装置での汚泥の再濃縮において所望の濃度の汚泥が得られやすくなる。
【0014】
前記メタン発酵槽内の汚泥を攪拌する攪拌機をさらに備え、前記メタン発酵槽からの汚泥引き抜き時に、前記攪拌機の回転速度が変更される、および/または前記攪拌機が通常運転時とは逆回転されてもよい。
【0015】
この構成によると、メタン発酵槽の底部に堆積した汚泥を浮遊させたり、集めたりすることができ、メタン発酵槽から汚泥を引き抜きやすくなる。
【0016】
前記固液分離装置で濃縮された汚泥を前記濃縮汚泥供給管から引き抜き、引き抜いた汚泥を前記固液分離装置の前段に送る第2汚泥返送管をさらに備え、前記汚泥濃度計の測定値に基づいて、前記濃縮汚泥供給管から前記固液分離装置で濃縮された汚泥が引き抜かれ、引き抜かれた汚泥が前記第2汚泥返送管を介して前記固液分離装置に供給されてもよい。
【0017】
この構成によると、濃縮汚泥供給管を流れる汚泥の濃度が高かったり低かったりした場合に、当該汚泥が固液分離装置に戻されることで、当該汚泥の濃度を固液分離装置にて再調整することができる。その結果、濃度が再調整された汚泥がメタン発酵槽に供給されることとなり、メタン発酵槽内の汚泥の濃度を適切な濃度に保ちやすい。
【0018】
前記汚泥濃度計の測定値が所定の値を超えたら、前記濃縮汚泥供給管から前記濃縮機で濃縮された汚泥が引き抜かれ、引き抜かれた汚泥が前記第2汚泥返送管を介して前記固液分離装置に供給されてもよい。
【0019】
この構成によると、濃縮汚泥供給管を流れる高濃度汚泥の濃度を固液分離装置にて再調整することができ、メタン発酵槽内の汚泥の濃度を適切な濃度に保ちやすい。また、メタン発酵槽の底部に汚泥が堆積することを抑制することができる。
【0020】
前記汚泥濃度計の測定値が所定の値よりも低下したら、前記濃縮汚泥供給管から前記固液分離装置で濃縮された汚泥が引き抜かれ、引き抜かれた汚泥が前記第2汚泥返送管を介して前記固液分離装置に供給されてもよい。
【0021】
この構成によると、濃縮汚泥供給管を流れる低濃度汚泥の濃度を固液分離装置にて再調整することができ、メタン発酵槽内の汚泥の濃度を適切な濃度に保ちやすい。
【0022】
また、本願で開示する上記とは別のメタン発酵処理装置は、有機性廃棄物を含む汚泥を濃縮する固液分離装置と、前記固液分離装置で濃縮された汚泥が供給され、当該汚泥を嫌気性発酵処理するメタン発酵槽と、前記固液分離装置と前記メタン発酵槽との間に配設される濃縮汚泥供給菅と、前記濃縮汚泥供給管に設けられた汚泥濃度計と、前記固液分離装置で濃縮された汚泥を前記濃縮汚泥供給管から引き抜き、引き抜いた汚泥を前記固液分離装置の前段に送る第2汚泥返送管と、を備える。このメタン発酵処理装置では、前記汚泥濃度計の測定値に基づいて、前記濃縮汚泥供給管から前記固液分離装置で濃縮された汚泥が引き抜かれ、引き抜かれた汚泥が前記第2汚泥返送管を介して前記固液分離装置に供給される。
【0023】
汚泥濃度計の測定値に基づいて濃縮汚泥供給管から汚泥の引き抜きが行われ、引き抜かれた汚泥が第2汚泥返送管を介して固液分離装置に供給されることで、引き抜かれた汚泥と濃縮前の汚泥(原料汚泥)とを混ぜることができ、引き抜かれた汚泥は、濃縮前の汚泥によって希釈された状態で固液分離装置にて再濃縮される。固液分離装置にて濃度が再調整された汚泥は、濃縮汚泥供給管を経てメタン発酵槽に供給される。濃縮汚泥供給管から汚泥が引き抜かれ、且つ濃度が再調整された汚泥がメタン発酵槽に供給されることで、設計よりも濃度の高い汚泥がメタン発酵槽に投入される場合でもメタン発酵槽内の汚泥の濃度を適切な濃度に保ちやすい。また、設計よりも濃度の低い汚泥がメタン発酵槽に投入される場合でもメタン発酵槽内の汚泥の濃度を適切な濃度に保ちやすい。
【0024】
本願はメタン発酵処理装置の運転方法についても開示する。メタン発酵処理装置の運転方法は、有機性廃棄物を含む汚泥を濃縮する固液分離装置と、前記固液分離装置で濃縮された汚泥が供給され、当該汚泥を嫌気性発酵処理するメタン発酵槽と、前記固液分離装置と前記メタン発酵槽との間に配設される濃縮汚泥供給菅と、前記濃縮汚泥供給管に設けられた汚泥濃度計と、前記メタン発酵槽から汚泥を引き抜き、引き抜いた汚泥を前記固液分離装置の前段に送る汚泥返送管と、を備えるメタン発酵処理装置の運転方法であって、前記汚泥濃度計の測定値に基づいて前記メタン発酵槽から汚泥を引き抜き、引き抜いた汚泥を、前記汚泥返送管を介して前記固液分離装置に供給することを特徴とする。
【0025】
上記の運転方法において、前記汚泥濃度計の測定値が所定の値を超えたら、前記メタン発酵槽から汚泥を引き抜き、引き抜いた汚泥を、前記汚泥返送管を介して前記固液分離装置に供給するようにしてもよい。
【0026】
また、本願で開示する上記とは別のメタン発酵処理装置の運転方法は、有機性廃棄物を含む汚泥を濃縮する固液分離装置と、前記固液分離装置で濃縮された汚泥が供給され、当該汚泥を嫌気性発酵処理するメタン発酵槽と、前記固液分離装置と前記メタン発酵槽との間に配設される濃縮汚泥供給菅と、前記濃縮汚泥供給管に設けられた汚泥濃度計と、前記固液分離装置で濃縮された汚泥を前記濃縮汚泥供給管から引き抜き、引き抜いた汚泥を前記固液分離装置の前段に送る第2汚泥返送管と、を備えるメタン発酵処理装置の運転方法であって、前記汚泥濃度計の測定値に基づいて、前記濃縮汚泥供給管から前記固液分離装置で濃縮された汚泥を引き抜き、引き抜いた汚泥を、前記第2汚泥返送管を介して前記固液分離装置に供給することを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、メタン発酵槽内の汚泥の濃度を適切な濃度に保ちやすくすることができる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るメタン発酵処理装置を示す図である。
【
図2】本発明の第2実施形態に係るメタン発酵処理装置を示す図である。
【
図3】本発明の第3実施形態に係るメタン発酵処理装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。
【0030】
(第1実施形態)
図1に示すように、メタン発酵処理装置101は、メタン発酵槽1、および濃縮機4などから構成される。
【0031】
メタン発酵槽1は、メタン発酵処理装置101を構成する主要機器であって、下水汚泥や食品廃棄物などの有機性廃棄物を嫌気性発酵処理するためのタンクである。メタン発酵槽1は、例えばコンクリート製のタンクである。なお、メタン発酵槽1は、鋼板製のタンクとされてもよい。メタン発酵槽1には、攪拌機2、加温装置3、および引抜装置6などが設けられる。
【0032】
攪拌機2は、メタン発酵槽1内の汚泥(有機性廃棄物を含む汚泥)を攪拌するためのものである。本実施形態では、水平方向に回転する複数段の羽根2a(インペラ)で汚泥を攪拌する攪拌機2とされている。攪拌機2の駆動源は例えば電動機2bである。攪拌機2は、一般的に、平面視においてメタン発酵槽1の槽中心部に配置される。通常運転時の攪拌機2によるメタン発酵槽1内の汚泥の流れを矢印Dで示すように、通常運転時、羽根2aの回転により、メタン発酵槽1の槽中心部に下降流が発生する。この下降流はメタン発酵槽1の底部で広がり反転して上昇流となる。なお、攪拌機2(羽根2a)は逆回転されてもよい。攪拌機2が逆回転されると、メタン発酵槽1内の汚泥の流れは通常運転時とは反対の流れとなる。すなわち、メタン発酵槽1の槽中心部で上昇流が発生し、この上昇流は、メタン発酵槽1の上部で広がり反転して下降流となる。なお、本実施形態のようなインペラ式の攪拌機2に代えて、スクリュー式の攪拌機など他の形式の攪拌機が用いられてもよい。
【0033】
加温装置3は、メタン発酵槽1内の汚泥を加温するためのものである。加温装置3は、循環ポンプ7と、熱交換器8と、循環配管9と、を備えている。槽内の汚泥の温度は、攪拌機2による汚泥の攪拌によって均一化される。
【0034】
循環配管9は、メタン発酵槽1内の汚泥を循環させる配管である。循環配管9は、メタン発酵槽1の外部に設けられる。循環配管9の経路中に循環ポンプ7、および熱交換器8が配置される。
【0035】
熱交換器8は、循環配管9を流れている汚泥を加温する間接式熱交換器である。熱交換器8には、ボイラー(不図示)などの熱源から温水が供給される。循環ポンプ7の駆動によりメタン発酵槽1の底部から引き抜かれた汚泥は、熱交換器8にて温水との間接接触により加温された後、メタン発酵槽1の上部からメタン発酵槽1内に戻される。加温装置3(循環配管9)は、汚泥の加温に加えてメタン発酵槽1内の汚泥の流動性の確保にも寄与する。
【0036】
引抜装置6は、メタン発酵槽1の底部から汚泥を引き抜き、引き抜いた汚泥を濃縮機4の前段に送るためのものである。引抜装置6は、引抜ポンプ13と、汚泥返送管12と、を備えている。なお、図示を省略しているが、メタン発酵槽1の底部から汚泥を引き抜き、引き抜いた汚泥を焼却設備などへ送ってメタン発酵槽1から除去する配管などもメタン発酵処理装置101に設けられる。
【0037】
汚泥返送管12は、メタン発酵槽1の底部から汚泥を引き抜き、引き抜いた汚泥を濃縮機4の前段に送るための配管である。メタン発酵槽1の底部に堆積する汚泥は砂分などを含み且つ粘性が高いため、その汚泥は、自然流下ではなく一般的に引抜ポンプ13によってメタン発酵槽1の底部から強制的に引き抜かれる。汚泥返送管12は、後述する原料汚泥管10に接続される。
【0038】
メタン発酵槽1内の汚泥は、上記加温装置3により加温されるとともに、攪拌機2により攪拌される。メタン発酵槽1内で嫌気性発酵により発生したバイオガスは、図示を省略するガス回収管にてメタン発酵槽1の中から取り出される。ガス回収管は、メタン発酵槽1の上面に接続されている。バイオガスは、例えば、メタンが約60容量%、二酸化炭素が約40容量%のガスである。メタン発酵槽1の中から取り出されたバイオガスは、ボイラー(不図示)の燃料として利用されたり、発電設備(不図示)の燃料として利用されたりする。
【0039】
濃縮機4は、メタン発酵槽1に供給する汚泥(有機性廃棄物を含む汚泥)を濃縮する固液分離装置である。濃縮機4には原料汚泥管10が接続される。嫌気性発酵処理の原料である有機性廃棄物を含む汚泥は、原料汚泥管10から濃縮機4へ供給される。濃縮機4とメタン発酵槽1とは濃縮汚泥供給管11で接続される。濃縮汚泥供給管11は、濃縮機4からメタン発酵槽1へ濃縮機4で濃縮された汚泥を供給するための配管である。濃縮汚泥供給管11のうちの濃縮機4の出口部分に汚泥移送ポンプ14が配置される。汚泥移送ポンプ14の駆動により濃縮機4で濃縮された汚泥は、メタン発酵槽1に供給される(投入される)。
【0040】
濃縮機4は、スクリュープレス濃縮機、遠心濃縮機、またはベルト濃縮機などである。濃縮機4(固液分離装置)として、加圧浮上濃縮機、常圧浮上濃縮機、または重力沈降濃縮機が用いられてもよい。濃縮機4は、汚泥が一定の濃度となるように制御されるが、連続運転中の汚泥性状の変動などに起因して、濃縮調整が期待どおりにいかず、設計よりも濃度の高い汚泥となることがある。上記のような複数種ある濃縮機のうちスクリュープレス濃縮機は、汚泥を高濃度に濃縮することができる濃縮機(濃縮性能が高い濃縮機)である。そのため、汚泥を高濃度に濃縮したい場合、スクリュープレス濃縮機を選択することとなる。しかしながら、スクリュープレス濃縮機は応答性が低いという欠点を有する。そのため、スクリュープレス濃縮機を選択した場合、得られる汚泥の濃度が一定にならないことがある。濃縮調整が期待どおりにいかず、設計よりも濃度の高い汚泥となり、当該汚泥がメタン発酵槽1に投入されると、メタン発酵槽1内の汚泥の濃度を適切な濃度に保てない。また、汚泥はメタン発酵槽1内で攪拌混合されきれずに沈降し、メタン発酵槽1の底部に堆積してしまうことがある。メタン発酵槽1の底部に汚泥が堆積すると、メタン発酵槽1の有効容量がその分小さくなるので、ガス発生量が低下するなど嫌気性発酵処理に悪影響がでる。
【0041】
そこで、メタン発酵処理装置101では、濃縮機4とメタン発酵槽1とを接続する濃縮汚泥供給管11に濃度計5(汚泥濃度計)が設けられている。そして、メタン発酵処理装置101は、この濃度計5の測定値に基づいてメタン発酵槽1の底部から汚泥を引き抜く制御を行うコントローラ6(制御装置)を備えている。
【0042】
濃度計5は、汚泥の濃度を測定するための計器である。濃度計5として、超音波式濃度計、マイクロ波式濃度計、近赤外光式濃度計などが用いられる。本実施形態では、一例としてインラインタイプの濃度計5が用いられており、汚泥の全量が濃度計5を通過する。濃度計5とコントローラ6とはケーブルで接続されており、濃度計5の検出信号はケーブルを介してコントローラ6に入力される。
【0043】
コントローラ6は、濃度計5の測定値に基づいてメタン発酵槽1の底部から汚泥を引き抜き、引き抜いた汚泥を濃縮機4に供給するように制御構成されている。なお、コントローラ6を用いずに、またはコントローラ6をそもそも設けずに、濃度計5の測定値に基づいたコントローラ6が行う制御を作業員が手動で行ってもよい(後述する第2実施形態、第3実施形態においても同様)。コントローラ6は、例えば次のような制御を行う。
【0044】
コントローラ6は、濃度計5の測定値が所定の値を超えたら、引抜ポンプ13を駆動する。所定の値は、例えば濃度:メタン発酵槽1の設定値+2%である。例えばメタン発酵槽1内の汚泥濃度を8%に調整したい場合、所定の値は10%とすることができる。ここで、濃度が高い汚泥(高濃度汚泥)が濃縮機4からメタン発酵槽1に供給されると、前記のように、メタン発酵槽1内の汚泥の濃度を適切な濃度に保てない。また、高濃度汚泥は、メタン発酵槽1内で攪拌混合されきれずに沈降し、メタン発酵槽1の底部に堆積することがある。なお、所定の値をメタン発酵槽1の設定値+2%とする方法に代えて、あらかじめ所定の値を設定して、これに基づいて制御してもよい(他の実施形態についても同様)。
【0045】
引抜ポンプ13が駆動すると、引抜ポンプ13によってメタン発酵槽1の底部から汚泥が引き抜かれ、引き抜かれた汚泥は、汚泥返送管12を流れた後、原料汚泥管10にて濃縮前の汚泥(原料汚泥)と混ざる。そして、引き抜かれた汚泥は、濃縮前の汚泥によって希釈された状態で濃縮機4にて再濃縮される。濃縮機4にて濃度が再調整された汚泥は、濃縮汚泥供給管11を経てメタン発酵槽1に戻る。メタン発酵槽1の底部から汚泥が引き抜かれ、且つ濃度が再調整された汚泥がメタン発酵槽1に戻ることで、メタン発酵槽1内の汚泥の濃度を適切な濃度に保ちやすい。また、メタン発酵槽1の底部に汚泥が堆積することを抑制することができる。
【0046】
また、濃度計5は濃縮汚泥供給管11に設けられている。そのため、メタン発酵槽1へ投入される前の汚泥の濃度に基づいて汚泥の引き抜きが行われることとなり、例えばメタン発酵槽1の底部の汚泥濃度に基づいて汚泥の引き抜きを行う場合よりも、メタン発酵槽1からの汚泥の引き抜き開始が早くなる。そのため、設計よりも濃度の高い汚泥がメタン発酵槽1に投入される場合に、メタン発酵槽1の底部で強固な汚泥の塊が生じることを抑制することができる。
【0047】
メタン発酵処理装置101は、前記のとおり、循環配管9を備えている。この循環配管9によりメタン発酵槽1内の汚泥を循環させることができるので、メタン発酵槽1内の汚泥の流動性を確保しやすい。そのため、メタン発酵槽1内の汚泥の濃度を適切な濃度に保ちやすく、且つ、メタン発酵槽1の底部に汚泥が堆積することを抑制することができる。なお、循環配管9内の汚泥の流量(循環量)や循環配管9内の汚泥の流れの向き(汚泥の循環方向)を濃度計5の値に基づいて変更してもよい。
【0048】
引抜ポンプ13を駆動して、メタン発酵槽1の底部から汚泥を引き抜くとき、攪拌機2の回転速度を変更したり、または、攪拌機2を通常運転時とは逆方向に回転(逆回転)したりするとよい。攪拌機2の回転速度を変更すると、回転速度が変化したタイミングでメタン発酵槽1内の汚泥の流れに乱れが生じる。これにより、メタン発酵槽1の底部に堆積した汚泥を浮遊させることができるので、メタン発酵槽1の底部から汚泥を引き抜きやすくなる。
【0049】
攪拌機2を通常運転時とは逆方向に回転(逆回転)させると、前記と同様、メタン発酵槽1内の汚泥の流れに乱れが生じる。これにより、メタン発酵槽1の底部に堆積した汚泥を浮遊させることができる。また、攪拌機2を逆回転させると、メタン発酵槽1の槽中心部で上昇流が発生し、この上昇流は、メタン発酵槽1の上部で広がり反転して下降流となる。この下降流は、メタン発酵槽1の内壁面側で発生するので、メタン発酵槽1の底部では、メタン発酵槽1の内壁面側から槽中心部に向かう流れとなる。そのため、攪拌機2を逆回転させることで、メタン発酵槽1の底部の中央部に汚泥を集めることができる。汚泥返送管12の吸い込み口12aは、メタン発酵槽1の底部の中央部に位置しているため、メタン発酵槽1の底部の中央部に汚泥が集まることで、メタン発酵槽1の底部から汚泥を引き抜きやすくなる。
【0050】
なお、本実施形態では、
図1等に示す矢印Dの方向の流れが攪拌機2による通常運転時の汚泥の流れであり、矢印Dとは逆方向の流れが攪拌機2による逆回転時の汚泥の流れであるところ、これとは反対に、矢印Dとは逆方向の流れを通常運転時の汚泥の流れとし、矢印Dの方向の流れを逆回転時の汚泥の流れとしてもよい。これによっても、メタン発酵槽1の底部に堆積した汚泥を浮遊させることができるので、メタン発酵槽1の底部から汚泥を引き抜きやすくなる。
【0051】
メタン発酵槽1からの汚泥引き抜き時に実施する、攪拌機2の回転速度の変更、および攪拌機2の逆回転は、両方が行われてもよいし、いずれか一方のみが行われてもよい。
【0052】
コントローラ6は、濃度計5の測定値が所望の値になったら、または引抜ポンプ13を駆動して所定の時間が経過したら、引抜ポンプ13を停止する。
【0053】
(第2実施形態)
図2は、本発明の第2実施形態に係るメタン発酵処理装置102を示す図である。第1実施形態のメタン発酵処理装置101との相違点は、第2汚泥返送管15を第2実施形態のメタン発酵処理装置102がさらに備える点である。第1実施形態のメタン発酵処理装置101と、第2実施形態のメタン発酵処理装置102とで共通する機器については、同一の符号を付している。
【0054】
メタン発酵処理装置102は、濃縮機4で濃縮された汚泥を濃縮汚泥供給管11から引き抜き、引き抜いた汚泥を濃縮機4の前段に送る第2汚泥返送管15を備えている。第2汚泥返送管15の上流端は、濃度計5とメタン発酵槽1との間部分の濃縮汚泥供給管11に接続されている。第2汚泥返送管15の下流端は、引抜ポンプ13よりも下流側部分の汚泥返送管12に接続されている。なお、第2汚泥返送管15の上流端は、汚泥移送ポンプ14と濃度計5との間部分の濃縮汚泥供給管11に接続されてもよい。また、第2汚泥返送管15の下流端は、汚泥返送管12ではなくて、原料汚泥管10に直接、接続されてもよい。
【0055】
濃縮機4で濃縮された汚泥のメタン発酵槽1への供給と、濃縮機4の前段への返送とを切り替えるため、濃縮汚泥供給管11に汚泥移送弁17が配置され、第2汚泥返送管15に汚泥返送弁16が配置されている。汚泥移送弁17、および汚泥返送弁16は、遠隔操作が可能な自動弁であってもよいし、手動弁であってもよい。汚泥移送弁17、および汚泥返送弁16をコントローラ6にて開閉制御する場合、汚泥移送弁17、および汚泥返送弁16は、遠隔操作が可能な自動弁とされる。汚泥移送弁17、および汚泥返送弁16の開閉を作業員が手動でのみ行う場合には、汚泥移送弁17、および汚泥返送弁16は、手動弁とされてもよい。
【0056】
コントローラ6は、濃度計5の測定値に基づいて、濃縮機4で濃縮された汚泥を濃縮汚泥供給管11から引き抜き、引き抜いた汚泥を濃縮機4に供給する(戻す)ように制御構成されている。コントローラ6は、例えば次のような制御を行う。繰り返しの記載になるのでここでの記載は割愛するが、コントローラ6は、第1実施形態に記載した制御を行うようにも制御構成されている。なお、コントローラ6は、第1実施形態に記載した制御を行うように制御構成されていなくてもよい。この場合、第2汚泥返送管15の下流端を原料汚泥管10に直接、接続すれば、汚泥返送管12および引抜ポンプ13を省略してもよい。
【0057】
コントローラ6は、濃度計5の測定値が所定の値を超えたら、汚泥移送弁17を開から閉にするとともに、汚泥返送弁16を閉から開にする(弁16、17を切り替える)。所定の値は、例えば濃度:メタン発酵槽1の設定値+2%である。例えばメタン発酵槽1内の汚泥濃度を8%に調整したい場合、所定の値は10%とすることができる。汚泥移送弁17を開から閉にし、汚泥返送弁16を閉から開にすると、メタン発酵槽1への汚泥の供給はとまり、濃縮汚泥供給管11を流れる汚泥(濃縮機4で濃縮された汚泥)は、第2汚泥返送管15、および汚泥返送管12を流れた後、原料汚泥管10にて濃縮前の汚泥(原料汚泥)と混ざる。そして、濃縮汚泥供給管11を流れていた汚泥は、濃縮前の汚泥によって希釈された状態で濃縮機4にて再濃縮される。これにより汚泥の濃度が再調整される。当該汚泥は、汚泥移送弁17が閉、汚泥返送弁16が開とされている間、濃縮汚泥供給管11の一部、第2汚泥返送管15、汚泥返送管12の一部、および原料汚泥管10の一部で形成される循環経路を、濃縮機4で再濃縮されながら循環する。
【0058】
コントローラ6は、濃度計5の測定値が所望の値になったら、または弁16、17を切り替えてから所定の時間が経過したら、汚泥移送弁17を閉から開に戻すとともに、汚泥返送弁16を開から閉に戻す。汚泥移送弁17を閉から開に戻し、汚泥返送弁16を開から閉に戻すと、メタン発酵槽1への汚泥の供給(投入)が再開し、濃縮汚泥供給管11を流れる汚泥(濃縮機4で再濃縮された汚泥)は、メタン発酵槽1に流入する。このとき、濃度が再調整された汚泥がメタン発酵槽1に流入するので、メタン発酵槽1の底部に汚泥が堆積することを抑制することができる。また、メタン発酵槽1内の汚泥の濃度を適切な濃度に保ちやすい。
【0059】
コントローラ6は、次のような制御を行ってもよい。
【0060】
コントローラ6は、濃度計5の測定値が所定の値よりも低下したら、汚泥移送弁17を開から閉にするとともに、汚泥返送弁16を閉から開にする(弁16、17を切り替える)。所定の値は、例えば濃度:メタン発酵槽1の設定値-2%である。例えばメタン発酵槽1内の汚泥濃度を8%に調整したい場合、所定の値は6%とすることができる。汚泥移送弁17を開から閉にし、汚泥返送弁16を閉から開にすると、メタン発酵槽1への汚泥の供給はとまり、濃縮汚泥供給管11を流れる汚泥(濃縮機4で濃縮された汚泥)は、第2汚泥返送管15、および汚泥返送管12を流れた後、原料汚泥管10にて濃縮前の汚泥(原料汚泥)と混ざる。そして、濃縮汚泥供給管11を流れていた汚泥は、濃縮前の汚泥と混ざった状態で濃縮機4にて再濃縮される。これにより汚泥の濃度が再調整される。当該汚泥は、汚泥移送弁17が閉、汚泥返送弁16が開とされている間、濃縮汚泥供給管11の一部、第2汚泥返送管15、汚泥返送管12の一部、および原料汚泥管10の一部で形成される循環経路を、濃縮機4で再濃縮されながら循環する。
【0061】
コントローラ6は、濃度計5の測定値が所望の値になったら、または弁16、17を切り替えてから所定の時間が経過したら、汚泥移送弁17を閉から開に戻すとともに、汚泥返送弁16を開から閉に戻す。汚泥移送弁17を閉から開に戻し、汚泥返送弁16を開から閉に戻すと、メタン発酵槽1への汚泥の供給が再開し、濃縮汚泥供給管11を流れる汚泥(濃縮機4で再濃縮された汚泥)は、メタン発酵槽1に流入する。このとき、濃度が再調整された汚泥がメタン発酵槽1に流入するので、メタン発酵槽1内の汚泥の濃度を適切な濃度に保ちやすい。
【0062】
(第3実施形態)
図3は、本発明の第3実施形態に係るメタン発酵処理装置103を示す図である。第1実施形態のメタン発酵処理装置101との相違点は、混合槽18を第3実施形態のメタン発酵処理装置103がさらに備える点である。第1実施形態のメタン発酵処理装置101と、第3実施形態のメタン発酵処理装置103とで共通する機器については、同一の符号を付している。
【0063】
メタン発酵処理装置103は、原料である有機性廃棄物を含む汚泥(原料汚泥)と、メタン発酵槽1の底部から引き抜かれて送られてきた汚泥とを混合する混合槽18を備えている。混合槽18は、濃縮機4の前段に配置される。混合槽18は、原料汚泥管10の経路中に配置される。汚泥返送管12は、混合槽18に接続される。
【0064】
上記の構成によれば、メタン発酵槽1の底部から引き抜かれた汚泥を濃縮機4にて再濃縮する前に混合槽18内でほぐすことができ、濃縮機4での汚泥の再濃縮において所望の濃度の汚泥が得られやすくなる。
【0065】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。上記の実施形態の各構成を適宜組み合わせたり、上記の実施形態に種々の変更を加えたりすることが可能である。例えば、上記の実施形態は、次のように変更可能である。
【0066】
上記の実施形態では、いずれの実施形態においても、メタン発酵槽1の底部からメタン発酵槽1内の汚泥を引き抜いているが、メタン発酵槽1内の汚泥の引き抜きは、メタン発酵槽1の底部からに限定されない。メタン発酵槽1内の高さ方向における中部、またはメタン発酵槽1内の上部から汚泥が引き抜かれてもよい。
【0067】
濃度計5の測定値に基づくメタン発酵槽1からの汚泥の引き抜きに関し、上記の実施形態では、引抜ポンプ13をオンオフ運転することでメタン発酵槽1から汚泥を引き抜いている。これに代えて、メタン発酵槽1から連続的に汚泥を引き抜き(引抜ポンプ13を連続運転し)、濃度計5の測定値に基づいて、濃縮機4の前段に返送する汚泥の量を調整(引抜ポンプ13の吐出量を調整)してもよい(変化させてもよい)。
【0068】
第1実施形態の説明では、濃度計5の測定値が所定の値を超えたら、メタン発酵槽1の底部から汚泥を引き抜き、引き抜いた汚泥を、汚泥返送管12を介して濃縮機4に供給する例を示した。これに加えて、またはこれに代えて、濃度計5の測定値が所定の値よりも低下したら、メタン発酵槽1の底部から汚泥を引き抜き、引き抜いた汚泥を、汚泥返送管12を介して濃縮機4に供給するようにしてもよい。
【0069】
第2実施形態の説明では第2汚泥返送管15を汚泥返送管12に接続するようにしたがこれに限定されず、第2汚泥返送管15を濃縮機4又は原料汚泥管10に接続するようにしてもよい。また、第3実施形態のように混合槽18を設け、第2汚泥返送管15を混合槽18に接続するようにしてもよい。
【0070】
第2実施形態のメタン発酵処理装置102において、第3実施形態のメタン発酵処理装置103のように、濃縮機4の前段に混合槽18が配置されてもよい。
【0071】
上記の実施形態では、汚泥(濃縮機4を出たところの汚泥)の濃度に基づいて、メタン発酵槽1の底部から汚泥を引き抜き、引き抜いた汚泥を汚泥返送管12を介して濃縮機4の前段に送ったり、濃縮汚泥供給管11を流れる汚泥を第2汚泥返送管15を介して濃縮機4の前段に送ったりした。これに加えて、濃縮機4を出たところの汚泥(濃縮汚泥供給管11を流れる汚泥)のアンモニア濃度、またはメタン発酵槽1内の汚泥のアンモニア濃度が高くなったときに(所定のアンモニア濃度を超えたときに)、メタン発酵槽1の底部から汚泥を引き抜き、引き抜いた汚泥を汚泥返送管12を介して濃縮機4の前段に送るようにしてもよい。これによれば、汚泥に含まれるアンモニアを濃縮機4にて分離液に逃がすことができ、嫌気性発酵におけるアンモニア阻害を抑制することができる。なお、汚泥を系外に排出する配管(不図示)を設け、当該配管を利用して必要に応じて系外に汚泥を排出してもよい。
【符号の説明】
【0072】
1:メタン発酵槽
2:攪拌機
4:濃縮機(固液分離装置)
5:濃度計(汚泥濃度計)
9:循環配管
11:濃縮汚泥供給管
12:汚泥返送管
15:第2汚泥返送管
18:混合槽
101、102、103:メタン発酵処理装置