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  • 特開-冷凍サイクル装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115894
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】冷凍サイクル装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20240820BHJP
【FI】
F25B1/00 351E
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021787
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】日本キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀 福弥
(72)【発明者】
【氏名】三浦 賢
(72)【発明者】
【氏名】浅利 峻
(57)【要約】
【課題】圧縮機を安定して再起動することができる冷凍サイクル装置を提供することである。
【解決手段】、実施形態の冷凍サイクル装置は、主回路と、逆止弁と、制御部と、を持つ。主回路は、圧縮機、第1熱交換器、膨張装置および第2熱交換器を環状に接続して冷媒を流通させる。冷媒の流通方向の下流側を第1側とし、冷媒の流通方向の上流側を第2側とする。逆止弁は、圧縮機の第1側の主回路に設置される。制御部は、所定条件を満たして圧縮機の運転が停止された場合に、圧力低下動作の実施を制御する。圧力低下動作は、逆止弁の第1側における主回路の第1圧力を低下させる動作である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、第1熱交換器、膨張装置および第2熱交換器を環状に接続して冷媒を流通させる主回路と、
前記冷媒の流通方向の下流側を第1側とし、前記冷媒の流通方向の上流側を第2側としたとき、前記圧縮機の前記第1側の前記主回路に設置された逆止弁と、
所定条件を満たして前記圧縮機の運転が停止された場合に、前記逆止弁の前記第1側における前記主回路の第1圧力を低下させる、圧力低下動作の実施を制御する制御部と、を有する、
冷凍サイクル装置。
【請求項2】
前記所定条件は、前記圧縮機の駆動電流が第1所定値を超えたことである、
請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項3】
前記所定条件は、前記第1圧力が第2所定値を超えたことである、
請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項4】
前記所定条件は、前記冷凍サイクル装置の冷房運転時に外気温度が第3所定値を超えたことである、
請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項5】
前記逆止弁の前記第1側における前記主回路の第1位置と前記圧縮機の前記第2側における前記主回路の第2位置とを接続するバイパス回路と、
前記バイパス回路に設置されたバイパス回路開閉装置と、をさらに有し、
前記圧力低下動作は、前記バイパス回路開閉装置を開く動作である、
請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項6】
前記膨張装置は、第1膨張装置と、前記第1膨張装置の前記第1側にある第2膨張装置と、を有し、
前記第1位置は、前記第1熱交換器と前記第2膨張装置との間の位置であり、
前記第2位置は、前記第2熱交換器と前記圧縮機との間の位置である、
請求項5に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項7】
前記バイパス回路は、過冷却回路である、
請求項5に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項8】
前記第1熱交換器に室外の空気を流通させるファンをさらに有し、
前記圧力低下動作は、前記ファンを運転する動作である、
請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項9】
前記圧縮機と、前記逆止弁と、前記第1熱交換器および前記第2熱交換器のうち一方とを含む複数の室外ユニットが、前記第1熱交換器および前記第2熱交換器のうち他方を含む室内ユニットに対して、並列に接続されている、
請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷凍サイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍サイクル装置は、主回路を有する。主回路は、圧縮機、第1熱交換器、膨張装置および第2熱交換器を環状に接続して、冷媒を流通させる。冷凍サイクル装置の主回路に、逆止弁が設置される場合がある。逆止弁は、冷媒の流通方向において圧縮機の下流側に設置される。圧縮機の下流側の主回路が高圧の状態で、圧縮機が停止される場合がある。圧縮機を安定して再起動することができる冷凍サイクル装置が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2022/059054号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、圧縮機を安定して再起動することができる冷凍サイクル装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の冷凍サイクル装置は、主回路と、逆止弁と、制御部と、を持つ。主回路は、圧縮機、第1熱交換器、膨張装置および第2熱交換器を環状に接続して冷媒を流通させる。冷媒の流通方向の下流側を第1側とし、冷媒の流通方向の上流側を第2側とする。逆止弁は、圧縮機の第1側の主回路に設置される。制御部は、所定条件を満たして圧縮機の運転が停止された場合に、圧力低下動作の実施を制御する。圧力低下動作は、逆止弁の第1側における主回路の第1圧力を低下させる動作である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態における冷凍サイクル装置の回路図。
図2】実施形態の第1変形例における冷凍サイクル装置の回路図。
図3】実施形態の第2変形例における冷凍サイクル装置の回路図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の冷凍サイクル装置を、図面を参照して説明する。
図1は、実施形態における冷凍サイクル装置1の回路図である。冷凍サイクル装置1は、室外ユニット11と、室内ユニット10と、これらに冷媒を流通させる主回路5と、を有する。本願では、冷媒の流通方向の下流側(第1側)を単に「下流側」と呼び、冷媒の流通方向の上流側(第2側)を単に「上流側」と呼ぶ場合がある。本願では、冷媒が流通する配管を「回路」と呼ぶ場合がある。
【0008】
冷凍サイクル装置1は、R410A、R32、R1123、R454B、R466Aまたは二酸化炭素(CO)等の冷媒を含む。冷媒は、相変化しながら冷凍サイクル装置1を循環する。
室外ユニット11は、圧縮機2と、逆止弁3と、四方弁18と、室外熱交換器8と、室外膨張弁6bと、を有する。
室内ユニット10は、室内熱交換器4と、室内膨張弁6aと、を有する。
【0009】
冷凍サイクル装置1が冷房運転を行う場合について説明する。
圧縮機2は、内部に取り込まれる低圧の気体冷媒を圧縮して高温・高圧の気体冷媒にする。圧縮機2から吐出された冷媒は、オイルセパレータ2bおよび逆止弁3を介して、四方弁18に供給される。冷凍サイクル装置1が冷房運転を行う場合に、冷媒は四方弁18から室外ユニット11の室外熱交換器8に供給される。
【0010】
室外熱交換器8は、凝縮器(放熱器、第1熱交換器)として機能する。凝縮器は、圧縮機2から吐出される高温・高圧の気体冷媒から放熱して、高温・高圧の気体冷媒を高圧の液体冷媒にする。室外熱交換器8は、室外ファン(ファン)8fを伴う。室外ファン8fは、室外熱交換器8に室外の空気を流通させる。
【0011】
冷凍サイクル装置1は、膨張装置6として、室外膨張弁6bおよび室内膨張弁6aを有する。冷凍サイクル装置1が冷房運転を行う場合に、室外熱交換器8から吐出された冷媒は、室外膨張弁(第1膨張装置)6bおよび室内膨張弁(第2膨張装置)6aを順に流通する。室外膨張弁6bおよび室内膨張弁6aは、室外熱交換器8から供給される高圧の液体冷媒の圧力を下げ、高圧の液体冷媒を低温・低圧の気液二相冷媒にする。室内膨張弁6aから吐出された冷媒は、室内熱交換器4に供給される。
【0012】
室内熱交換器4は、蒸発器(吸熱器、第2熱交換器)として機能する。蒸発器は、室内膨張弁6aから吐出された気液二相冷媒を低圧の気体冷媒にする。室内熱交換器4から吐出された冷媒は、四方弁18に供給される。四方弁18から吐出された冷媒は、アキュムレータ(気液分離器)2aを介して、圧縮機2に供給される。
【0013】
冷凍サイクル装置1は以上のように冷房運転を行う。主回路5は、圧縮機2、室外熱交換器8(第1熱交換器)、膨張装置6および室内熱交換器4(第2熱交換器)を順に環状に接続して、冷媒を流通させる。冷媒の流通方向に沿って圧縮機2の下流側から膨張装置6の室内膨張弁6aまでの主回路5が、高圧回路5aである。高圧回路5aにおける冷媒の圧力は高い。冷媒の流通方向に沿って膨張装置6の室内膨張弁6aから圧縮機2の上流側までの主回路5が、低圧回路5bである。低圧回路5bにおける冷媒の圧力は低い。
【0014】
冷凍サイクル装置1が暖房運転を行う場合には、図1の状態から四方弁18が切り換わる。圧縮機2から吐出された冷媒は、四方弁18、室内熱交換器4、膨張装置6、室外熱交換器8、四方弁18、圧縮機2の順に流通する。この場合には、室内熱交換器4が蒸発器(放熱器、第1熱交換器)として機能し、室外熱交換器8が凝縮器(吸熱器、第2熱交換器)として機能する。
【0015】
冷凍サイクル装置1は以上のように暖房運転を行う。主回路5は、圧縮機2、室内熱交換器4(第1熱交換器)、膨張装置6および室外熱交換器8(第2熱交換器)を順に環状に接続して、冷媒を流通させる。室内熱交換器4から吐出された冷媒は、室内膨張弁(第1膨張装置)6aおよび室外膨張弁(第2膨張装置)6bを順に流通する。冷媒の流通方向に沿って圧縮機2の下流側から膨張装置6の室外膨張弁6bまでの主回路5が、高圧回路5aである。冷媒の流通方向に沿って膨張装置6の室外膨張弁6bから圧縮機2の上流側までの主回路5が、低圧回路5bである。
【0016】
本願では、室外熱交換器8および室内熱交換器4のうち、凝縮器(放熱器)として機能する熱交換器を第1熱交換器と呼び、蒸発器(吸熱器)として機能する熱交換器を第2熱交換器と呼ぶ場合がある。本願では、室外膨張弁6bおよび室内膨張弁6aのうち、冷媒の流通方向の上流側にある膨張弁を第1膨張装置と呼び、下流側にある膨張弁を第2膨張装置と呼ぶ場合がある。
【0017】
室外ユニット11は、吐出圧力センサ14と、吸込圧力センサ15と、外気温度センサ17と、を有する。吐出圧力センサ14は、高圧回路5aに設置される。吐出圧力センサ14は、圧縮機2による冷媒の吐出圧力に対応する吐出圧力信号を出力する。吸込圧力センサ15は、低圧回路5bに設置される。吸込圧力センサ15は、圧縮機2による冷媒の吸込圧力に対応する吸込圧力信号を出力する。外気温度センサ17は、室外ユニット11の外気が触れる場所に設置される。外気温度センサ17は、室外熱交換器8の近くに設置される。外気温度センサ17は、外気温度に対応する外気温度信号を出力する。
【0018】
室外ユニット11は、均圧回路26と、均圧回路弁27と、を有する。均圧回路26は、逆止弁3の上流側の高圧回路5aと、低圧回路5bとを接続する。均圧回路弁27は、均圧回路26に設置され、均圧回路26を開閉する。均圧回路弁27は、圧縮機2の停止中に開弁される。均圧回路26は、逆止弁3の上流側の高圧回路5aの圧力と、低圧回路5bの圧力とを均一化する。均圧回路26は、逆止弁3の上流側の高圧回路5aの圧力を下げる。
【0019】
室外ユニット11は、過冷却熱交換器20と、過冷却回路(バイパス回路)21と、過冷却回路膨張弁(バイパス回路開閉装置)22と、を有する。
過冷却熱交換器20は、室外膨張弁6bと室内膨張弁6aとの間の主回路5に設置される。
【0020】
過冷却回路21は、逆止弁3の下流側における高圧回路5aの第1位置21aと、圧縮機2の上流側における低圧回路5bの第2位置21bとを接続する。冷凍サイクル装置1が冷房運転を行う場合に、第1位置21aは、室外熱交換器8の下流側であって、過冷却熱交換器20の下流側である。第2位置21bは、室内熱交換器4の下流側である。冷凍サイクル装置1が暖房運転を行う場合に、第1位置21aは、室内熱交換器4の下流側であって、過冷却熱交換器20の上流側である。第2位置21bは、室外熱交換器8の下流側である。
【0021】
過冷却回路21は、過冷却熱交換器20を通る。過冷却熱交換器20は、主回路5を流通する冷媒と、過冷却回路21を流通する冷媒との、熱交換を実施する。過冷却回路21を流通する冷媒は、主回路5を流通する冷媒から吸熱する。過冷却熱交換器20は、主回路5を流通する冷媒を液化する。
過冷却回路膨張弁22は、過冷却回路21を流通する冷媒の圧力を下げる。過冷却回路膨張弁22は、過冷却回路21の開度を調整する。
【0022】
冷凍サイクル装置1は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、補助記憶装置などを有する。CPUは、メモリおよび補助記憶装置に記憶されたプログラムを実行することにより、制御部13として機能する。制御部13は、冷凍サイクル装置1の各部の動作を制御する。制御部13は、圧縮機2を駆動するモータの電流(圧縮機の駆動電流と言う場合がある。)を制御する。制御部13は、吐出圧力センサ14から出力された吐出圧力信号および外気温度センサ17から出力された外気温度信号を受信する。制御部13は、均圧回路弁27および過冷却回路膨張弁22の開閉を制御する。
【0023】
以下、冷凍サイクル装置1が冷房運転を行う場合を例として説明する。
冷凍サイクル装置1の冷房運転中に、外気温度が高温になる場合がある。室外熱交換器(放熱器)8に供給される冷媒を高温にするため、圧縮機2が過負荷の状態で運転される。圧縮機2のモータに大きな電流が流れる。高圧回路5aの冷媒が高圧になる。
【0024】
高圧回路5aの冷媒が高圧の状態で、冷凍サイクル装置1の運転が停止される場合がある。冷凍サイクル装置1の運転停止に伴って、圧縮機2の運転が停止されると共に、室外膨張弁6bおよび室内膨張弁6aが閉弁される。このとき、逆止弁3の上流側における高圧回路5aの圧力は、均圧回路弁27を開くことにより低下する。逆止弁3の下流側における高圧回路5aの圧力(第1圧力と言う場合がある。)は、高圧のままに維持される。
【0025】
冷凍サイクル装置1の運転が再開されると、圧縮機2が再起動される。冷媒を循環させるため、圧縮機2は、冷媒の圧力を第1圧力より高圧にする。圧縮機2が急激に過負荷の状態になり、モータの脱調等が発生する可能性がある。圧縮機2を安定して再起動することが困難である。
【0026】
制御部13は、所定条件を満たして圧縮機2の運転が停止された場合に、圧力低下動作の実施を制御する。圧力低下動作は、逆止弁3の下流側における高圧回路5aの第1圧力を低下させる動作である。
【0027】
圧力低下動作は、過冷却回路膨張弁22を開く動作である。過冷却回路膨張弁22を開くことにより、高圧回路5aの冷媒が過冷却回路21を通って低圧回路5bに流れる。高圧回路5aの第1圧力が低下する。これにより、圧縮機2を安定して再起動することができる。高圧回路5aと低圧回路5bとの間のバイパス回路およびバイパス回路開閉装置として、過冷却回路21および過冷却回路膨張弁22が利用される。新たなバイパス回路およびバイパス回路開閉装置を設置する必要がないので、冷凍サイクル装置1のコスト増加が抑制される。
【0028】
圧縮機2の運転停止中には、室外膨張弁6bおよび室内膨張弁6aが閉じている。この状態で過冷却回路膨張弁22を開くと、室外膨張弁(第1膨張装置)6bの下流側の第1圧力は低下するが、上流側の第1圧力は低下しない。圧縮機2の再起動時に、室外膨張弁6bを開くと、室外膨張弁6bの上流側の第1圧力が低下する。これにより、圧縮機2を安定して再起動することができる。制御部13は、圧縮機2の運転停止中に、過冷却回路膨張弁22を開くと共に、室外膨張弁6bを開いてもよい。
【0029】
圧力低下動作は、室外ファン8fを運転する動作でもよい。室外ファン8fは、室外熱交換器8に室外の空気を流通させる。室外熱交換器8を通る高圧回路5aの冷媒の温度が低下して、高圧回路5aの第1圧力が低下する。これにより、圧縮機2を安定して再起動することができる。
【0030】
前述されたように、制御部13は、所定条件を満たして圧縮機2の運転が停止された場合に、圧力低下動作の実施を制御する。
所定条件は、圧縮機2の駆動電流が第1所定値を超えたことである。前述されたように、制御部13は、圧縮機2の駆動電流を制御している。圧縮機2の駆動電流が大きいほど、高圧回路5aの第1圧力が高い。高圧回路5aの第1圧力が高い状態で圧縮機2が再起動されると、圧縮機2は運転停止時の駆動電流より大きい電流で駆動される。圧縮機2が大きな駆動電流により急激に再起動されると、モータの脱調等が発生する可能性がある。第1所定値は、圧縮機2の再起動を不安定にする電流値である。制御部13は、圧縮機2の駆動電流が第1所定値を超えた状態で圧縮機2の運転が停止された場合に、圧力低下動作の実施を制御する。これにより、圧縮機2を安定して再起動することができる。
【0031】
所定条件は、高圧回路5aの第1圧力が第2所定値を超えたことでもよい。制御部13は、吐出圧力センサ14から出力された吐出圧力信号を受信して、高圧回路5aの第1圧力を検知する。制御部13は、高圧回路5aの第1圧力が第2所定値を超えた状態で圧縮機2の運転が停止された場合に、圧力低下動作の実施を制御する。これにより、圧縮機2を安定して再起動することができる。
【0032】
所定条件は、冷凍サイクル装置1の冷房運転時に外気温度が第3所定値を超えたことでもよい。制御部13は、外気温度センサ17から出力された外気温度信号を受信して、外気温度を検知する。外気温度が高いほど、圧縮機2の駆動電流が大きくなり、高圧回路5aの第1圧力が高くなる。制御部13は、冷凍サイクル装置1の冷房運転時に外気温度が第3所定値を超えた状態で圧縮機2の運転が停止された場合に、圧力低下動作の実施を制御する。これにより、圧縮機2を安定して再起動することができる。
【0033】
以上に詳述されたように、実施形態の冷凍サイクル装置1は、主回路5と、逆止弁3と、制御部13と、を持つ。逆止弁3は、圧縮機2の下流側の主回路5に設置される。制御部13は、所定条件を満たして圧縮機2の運転が停止された場合に、圧力低下動作の実施を制御する。圧力低下動作は、逆止弁3の下流側における主回路5の第1圧力を低下させる動作である。
【0034】
逆止弁3の下流側における主回路5の第1圧力を低下させることにより、圧縮機2の再起動時における急激な過負荷が抑制される。これにより、圧縮機2を安定して再起動することができる。
【0035】
図2は、実施形態の第1変形例における冷凍サイクル装置1Bの回路図である。第1変形例の冷凍サイクル装置1Bは、室内ユニット10に対して並列に接続された複数の室外ユニット11,12を有する点で、実施形態の冷凍サイクル装置1とは異なる。実施形態と同様である点についての第1変形例の説明は省略される場合がある。
【0036】
複数の室外ユニット11,12は、第1室外ユニット11と、第2室外ユニット12と、を有する。複数の室外ユニットは、3個以上の室外ユニットを有してもよい。第1室外ユニット11は、圧縮機2と、逆止弁3と、四方弁18と、室外熱交換器8と、室外膨張弁6bと、を有する。第2室外ユニット12は、第1室外ユニット11と同様に構成される。室内ユニット10は、室内熱交換器4と、室内膨張弁6aと、を有する。
【0037】
制御部13は、室内温度および室外温度に基づいて、複数の室外ユニット11,12の運転台数を調整する。複数の室外ユニット11,12のうち、一部の室外ユニットのみが運転され、残部の室外ユニットが停止される場合がある。例えば、図2に示される暖房運転の状態で、第1室外ユニット11のみが運転され、第2室外ユニット12が停止される。第1室外ユニット11の圧縮機2から吐出された高圧冷媒は、室内ユニット10に加えて、停止中の第2室外ユニット12にも侵入する。第2室外ユニット12の逆止弁3は、運転中の第1室外ユニット11から停止中の第2室外ユニット12への高圧冷媒の侵入を阻止する。
【0038】
冷凍サイクル装置1Bが冷房運転を行う場合は、図2の状態から四方弁18が切り替わる。実施形態と同様に、高圧回路5aの冷媒が高圧の状態で、圧縮機2の運転が停止される場合がある。圧縮機2を安定して再起動することが困難である。
制御部13は、所定条件を満たして圧縮機2の運転が停止された場合に、圧力低下動作の実施を制御する。実施形態と同様に、圧力低下動作は、過冷却回路膨張弁22を開く動作などである。所定条件は、圧縮機2の駆動電流が第1所定値を超えたことなどである。これにより、圧縮機2を安定して再起動することができる。
【0039】
図3は、実施形態の第2変形例における冷凍サイクル装置1Cの回路図である。第2変形例の冷凍サイクル装置1Cは、室外ユニット11に対して切換ユニット40を介して並列に接続された複数の室内ユニット10を有する点で、実施形態の冷凍サイクル装置1とは異なる。実施形態と同様である点についての第2変形例の説明は省略される場合がある。
【0040】
冷凍サイクル装置1Cは、複数の室内ユニット10において冷房および暖房の同時運転を可能とする、熱回収型の空調システムである。冷凍サイクル装置1Cは、室外ユニット11と、複数の室内ユニット10と、第1回路31と、第2回路32と、第3回路33と、切換ユニット40と、を有する。
【0041】
室外ユニット11は、圧縮機2、逆止弁3、四方弁18、室外熱交換器8および室外膨張弁6bを含む。複数の室内ユニット10は、それぞれが室内膨張弁6aおよび室内熱交換器4を含む。
【0042】
第1回路31は、室外熱交換器8と室内熱交換器4との間で冷媒を流通させる。
第2回路32は、圧縮機2から吐出された冷媒を室内熱交換器4に流入させる。
第3回路33は、室内熱交換器4から流出した冷媒を圧縮機2に流入させる。
【0043】
切換ユニット40は、複数の室内ユニット10ごとに、第2回路32および第3回路33の室内熱交換器4への接続を切り換える。切換ユニット40は、第2回路弁42および第3回路弁43を有する。第2回路弁42は、第2回路32を開閉する。第3回路弁43は、第3回路33を開閉する。
【0044】
制御部13は、ユーザのコマンド入力に基づいて、四方弁18の切り替えを制御すると共に、第2回路弁42および第3回路弁43の開閉を制御する。これにより、複数の室内ユニット10において、冷房および暖房の同時運転が可能である。
【0045】
実施形態と同様に、高圧回路5aの冷媒が高圧の状態で、圧縮機2の運転が停止される場合がある。圧縮機2を安定して再起動することが困難である。
制御部13は、所定条件を満たして圧縮機2の運転が停止された場合に、圧力低下動作の実施を制御する。実施形態と同様に、圧力低下動作は、過冷却回路膨張弁22を開く動作などである。所定条件は、圧縮機2の駆動電流が第1所定値を超えたことなどである。これにより、圧縮機2を安定して再起動することができる。
【0046】
実施形態では、高圧回路5aと低圧回路5bとの間のバイパス回路およびバイパス回路開閉装置として、過冷却回路21および過冷却回路膨張弁22が利用される。これに対して、過冷却回路21および過冷却回路膨張弁22とは別の、新たなバイパス回路およびバイパス回路開閉装置が設置されてもよい。
【0047】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、所定条件を満たして圧縮機2の運転が停止された場合に、圧力低下動作の実施を制御する制御部13を持つ。圧力低下動作は、逆止弁3の下流側における主回路5の第1圧力を低下させる動作である。これにより、圧縮機2を安定して再起動することができる。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0049】
1,1B,1C…冷凍サイクル装置、2…圧縮機、3…逆止弁、4…室内熱交換器(第2熱交換器、第1熱交換器)、5…主回路、6…膨張装置、6a…室内膨張弁(第2膨張装置、第1膨張装置)、6b…室外膨張弁(第1膨張装置、第2膨張装置)、8…室外熱交換器(第1熱交換器、第2熱交換器)、8f…室外ファン(ファン)、21…過冷却回路(バイパス回路)、21a…第1位置、21b…第2位置、22…過冷却回路膨張弁(バイパス回路開閉装置)。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-06-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、第1熱交換器、膨張装置および第2熱交換器を環状に接続して冷媒を流通させる主回路と、
前記冷媒の流通方向の下流側を第1側とし、前記冷媒の流通方向の上流側を第2側としたとき、前記圧縮機の前記第1側の前記主回路に設置された逆止弁と、
前記逆止弁の前記第1側における前記主回路の第1位置と前記圧縮機の前記第2側にお ける前記主回路の第2位置とを接続する過冷却回路と、
前記過冷却回路に設置された過冷却回路膨張弁と、
前記主回路を流通する冷媒と前記過冷却回路を流通する冷媒とを熱交換させる過冷却熱交換器と、
前記圧縮機の駆動電流が第1所定値を超えたことで前記圧縮機の運転が停止された場合に、前記過冷却回路膨張弁を開いて前記逆止弁の前記第1側における前記主回路の第1圧力を低下させる、圧力低下動作の実施を制御する制御部と、を有する、
冷凍サイクル装置。
【請求項2】
前記膨張装置は、第1膨張装置と、前記第1膨張装置の前記第1側にある第2膨張装置と、を有し、
前記第1位置は、前記第1熱交換器と前記第2膨張装置との間の位置であり、
前記第2位置は、前記第2熱交換器と前記圧縮機との間の位置である、
請求項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項3】
前記圧縮機と、前記逆止弁と、前記第1熱交換器および前記第2熱交換器のうち一方とを含む複数の室外ユニットが、前記第1熱交換器および前記第2熱交換器のうち他方を含む室内ユニットに対して、並列に接続されている、
請求項に記載の冷凍サイクル装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
実施形態の冷凍サイクル装置は、主回路と、逆止弁と、過冷却回路と、過冷却回路膨張弁と、過冷却熱交換器と、制御部と、を持つ。主回路は、圧縮機、第1熱交換器、膨張装置および第2熱交換器を環状に接続して冷媒を流通させる。冷媒の流通方向の下流側を第1側とし、冷媒の流通方向の上流側を第2側とする。逆止弁は、圧縮機の第1側の主回路に設置される。過冷却回路は、逆止弁の第1側における主回路の第1位置と圧縮機の第2側にお ける主回路の第2位置とを接続する。過冷却回路膨張弁は、過冷却回路に設置される。過冷却熱交換器は、主回路を流通する冷媒と過冷却回路を流通する冷媒とを熱交換させる。制御部は、圧縮機の駆動電流が第1所定値を超えたことで圧縮機の運転が停止された場合に、圧力低下動作の実施を制御する。圧力低下動作は、過冷却回路膨張弁を開いて逆止弁の第1側における主回路の第1圧力を低下させる動作である。