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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115901
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】原子層堆積装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/455 20060101AFI20240820BHJP
   C23C 16/18 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
C23C16/455
C23C16/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021800
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520124752
【氏名又は名称】株式会社ミライズテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 秀一
(72)【発明者】
【氏名】大西 真司
(72)【発明者】
【氏名】片山 雅之
【テーマコード(参考)】
4K030
【Fターム(参考)】
4K030AA11
4K030AA14
4K030AA18
4K030BA01
4K030BA02
4K030BA42
4K030BA43
4K030CA04
4K030CA12
4K030EA01
4K030EA12
4K030FA10
4K030JA10
(57)【要約】
【課題】原料ガスの回収効率を向上できるALD装置を提供する。
【解決手段】被対象物1が配置され、所定温度に加熱された状態で被対象物1に薄膜層2を成長させる反応チャンバ11と、反応チャンバ11に原料ガスを供給する原料ガス供給部21と、反応チャンバ11に反応ガスを供給する反応ガス供給部23と、反応チャンバ11からガスを排気する第1排気管71と、第1排気管71に備えられた捕集部30と、捕集部30に備えられ、捕集部30のガスを排気する第2排気管72と、を備え、薄膜層2を成長させる際、原料ガスおよび反応ガスが反応チャンバに順に供給され、捕集部30は、容器311と、容器311に配置された粉体とを有する捕集器31と、薄膜層2を成長させる際に捕集器31を反応チャンバ11の温度以上に加熱する加熱部32と、を有する構成とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子層堆積装置であって、
被対象物(1)が配置され、所定温度に加熱された状態で前記被対象物に薄膜層(2)を成長させる反応チャンバ(11)と、
前記反応チャンバに原料ガスを供給する原料ガス供給部(21)と、
前記反応チャンバに反応ガスを供給する反応ガス供給部(23)と、
前記反応チャンバからガスを排気する第1排気管(71)と、
前記第1排気管に備えられた捕集部(30)と、
前記捕集部に備えられ、前記捕集部のガスを排気する第2排気管(72)と、を備え、
前記薄膜層を成長させる際、前記原料ガスおよび前記反応ガスが前記反応チャンバに順に供給され、
前記捕集部は、容器(310)と、前記容器に配置された粉体(313)とを有する捕集器(31)と、前記薄膜層を成長させる際に前記捕集器を前記反応チャンバの温度以上に加熱する加熱部(32)と、を有する原子層堆積装置。
【請求項2】
前記反応ガス供給部は、供給管(64)を介して前記捕集器と接続され、前記薄膜層を成長させる際、前記捕集器にも前記供給管を介して前記反応ガスを供給する請求項1に記載の原子層堆積装置。
【請求項3】
前記第1排気管は、前記薄膜層を成長させる際、前記反応チャンバおよび前記捕集部よりも低温とされる請求項1に記載の原子層堆積装置。
【請求項4】
前記粉体は、金属酸化物、金属窒化物、または、前記原料ガスに含まれる金属成分を含む材料である請求項1に記載の原子層堆積装置。
【請求項5】
前記捕集器は、一端部および他端部が開口部とされた前記容器と、前記一端部側に配置される第1フィルタ部(311)と、前記他端部側に配置される第2フィルタ部(312)と、前記粉体とを有し、前記一端部側が天地方向における天側となると共に前記他端部側が前記天地方向における地側となる状態で配置され、
前記第1排気管は、前記第2フィルタ部側に備えられ、
前記第2排気管は、前記第1フィルタ部側に備えられている請求項1に記載の原子層堆積装置。
【請求項6】
前記捕集器は、一端部が開口部とされた有底筒状の前記容器と、前記一端部側に配置されるフィルタ部(311)と、前記粉体とを有し、前記一端部側が天地方向における天側となる状態で配置され、
前記第1排気管は、前記フィルタ部側から先端部が前記粉体内に埋設される状態で配置され、
前記第2排気管は、前記フィルタ部側に備えられている請求項1に記載の原子層堆積装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子層堆積装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、原子装置堆積(以下では、ALDともいう)装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。なお、ALDは、Atomic Layer Depositionの略である。具体的には、このALD装置は、反応チャンバと、反応チャンバに原料ガスを供給する原料ガス供給部、および反応チャンバに反応ガスを供給する反応ガス供給部を備えている。また、ALD装置は、排気ポンプと反応チャンバとを繋ぐ排気管を備え、排気管には、多孔質体を含む捕集器が備えられている。
【0003】
このようなALD装置では、捕集器において、反応チャンバで未反応となった原料ガスが吸着すると共に、吸着した原料ガスが反応ガスと反応して薄膜層を構成する。そして、捕集器で成長させられた薄膜層は、次回以降の薄膜層を成長させる際の原料ガスを構成する材料として再利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5284298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のALD装置では、捕集器の温度について特に考慮されていないため、捕集器での薄膜層の生成が不十分になる可能性がある。つまり、原料ガスを効率的に回収できない可能性がある。
【0006】
本発明は上記点に鑑み、原料ガスの回収効率を向上できるALD装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための請求項1は、ALD装置であって、被対象物(1)が配置され、所定温度に加熱された状態で被対象物に薄膜層(2)を成長させる反応チャンバ(11)と、反応チャンバに原料ガスを供給する原料ガス供給部(21)と、反応チャンバに反応ガスを供給する反応ガス供給部(23)と、反応チャンバからガスを排気する第1排気管(71)と、第1排気管に備えられた捕集部(30)と、捕集部に備えられ、捕集部のガスを排気する第2排気管(72)と、を備え、薄膜層を成長させる際、原料ガスおよび反応ガスが反応チャンバに順に供給され、捕集部は、容器(310)と、容器に配置された粉体(313)とを有する捕集器(31)と、薄膜層を成長させる際に捕集器を反応チャンバの温度以上に加熱する加熱部(32)と、を有する。
【0008】
これによれば、薄膜層を成長させる際、捕集器が反応チャンバの温度以上に加熱されるため、粉体の表面に原料ガスを吸着させ易くなる。また、捕集器で粉体の表面に吸着した原料ガスと反応ガスを反応させ易くなる。したがって、捕集器の粉体に薄膜層を成長させ易くなり、粉体に成長した薄膜層から得られる原料ガスの回収効率を向上できる。
【0009】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態におけるALD装置の模式図である。
図2】捕集器の構成を示す模式図である。
図3】薄膜層を成長させる際のタイミングチャートである。
図4】第2実施形態におけるALD装置の模式図である。
図5】第3実施形態における捕集器の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0012】
(第1実施形態)
第1実施形態のALD装置について、図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態では、ALD装置を用いて酸化ルテニウムの薄膜層を成膜する例について説明する。但し、成長させる薄膜層は、適宜変更可能であり、例えば、アルミナの薄膜層等であってもよい。
【0013】
ALD装置は、図1に示されるように、成膜部10、原料ガス供給部21、パージガス供給部22、反応ガス供給部23、捕集部30、および排気ポンプ40等を備えている。
【0014】
成膜部10は、反応チャンバ11および加熱部12等を備えている。反応チャンバ11は、基板1が配置されて基板1上に薄膜層2を成長させるものである。なお、基板1は、例えば、シリコン基板等が用いられる。本実施形態では、基板1が被対象物に相当する。加熱部12は、反応チャンバ11内が所定温度となるように反応チャンバ11を加熱するものであり、例えば、電熱ヒータ等で構成される。
【0015】
原料ガス供給部21は、第1開閉弁51を備えた第1供給管61を介して原料ガスを反応チャンバ11に供給できるように備えられている。パージガス供給部22は、第2開閉弁52を備えた第2供給管62を介してパージガスを反応チャンバ11に供給できるように備えられている。反応ガス供給部23は、第3開閉弁53を備えた第3供給管63を介して反応ガスを反応チャンバ11に供給できるように備えられている。
【0016】
なお、原料ガス供給部21は、本実施形態では、Nで希釈したRu(EtCp)を反応チャンバ11に供給する。EtCPは、ethylcyclopentadienyl(エチルシクロペンタジエニル)の略である。パージガス供給部22は、本実施形態では、Nを反応チャンバ11に供給する。反応ガス供給部23は、本実施形態では、Oを反応チャンバ11に供給する。
【0017】
捕集部30は、捕集器31および加熱部32等を備えている。捕集器31は、構成については後述するが、第4開閉弁54を備えた第1排気管71を介して反応チャンバ11に備えられている。加熱部32は、捕集器31内が所定温度となるように捕集器31を加熱するものであり、例えば、電熱ヒータ等で構成される。
【0018】
なお、第1排気管71は、薄膜層2を成長させる際には、反応チャンバ11および捕集器31よりも低温となる状態とされる。例えば、第1排気管71は、長さが調整されることにより、自然冷却によって反応チャンバ11および捕集器31よりも低温となる状態とされる。また、第1排気管71は、例えば、冷却水等が循環する冷却部が近傍に配置され、冷却部で冷却されることにより、反応チャンバ11および捕集器31よりも低温となる状態とされる。
【0019】
排気ポンプ40は、反応チャンバ11内を所定圧力に維持するものであり、第2排気管72を介して捕集器31に接続されている。つまり、排気ポンプ40は、第1排気管71、捕集器31、第2排気管72を介して反応チャンバ11に接続されている。
【0020】
ここで、本実施形態の捕集器31の構成について、図2を参照しつつ説明する。
【0021】
捕集器31は、図2に示されるように、一端部および他端部が開口している筒状の容器310と、容器310の一端部側を閉塞する第1フィルタ部311と、容器310の他端部側を閉塞する第2フィルタ部312と、容器310内に配置される粉体313と、を有する構成とされている。第1フィルタ部311および第2フィルタ部312は、多孔質体で構成されている。但し、第1フィルタ部311および第2フィルタ部312は、多孔質体における孔部の大きさが、粉体313が漏れ出ない大きさとされている。このような第1フィルタ部311および第2フィルタ部312は、例えば、金属焼結体等で構成される。
【0022】
粉体313は、化学的に安定な金属酸化物、金属窒化物、原料ガスに含まれる金属成分を有する材料等で構成される。金属酸化物としては、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア等が挙げられる。金属窒化物としては、例えば、窒化アルミニウム等が挙げられる。原料ガスに含まれる金属成分を有する材料は、上記のように原料ガスがRu(EtCp)を含む場合、ルテニウムが挙げられる。
【0023】
なお、粉体313とは、固体微粉子の集合体ということもできる。そして、粉体313は、後述するように反応チャンバ11で未吸着となった原料ガスが吸着されるものであり、より多くの原料ガスを吸着できるように、吸着可能な表面積が基板1よりも大きくされることが好ましい。
【0024】
本実施形態の捕集器31は、第1フィルタ部311が天地方向における天側に向けて配置され、第2フィルタ部312が天地方向における地側に向けて配置される。そして、捕集器31には、第2フィルタ部312に第1排気管71が接続され、第1フィルタ部311に第2排気管72が接続される。これにより、捕集器31に供給されるガスの圧力損失を低減できる。すなわち、捕集器31では、地側に位置する第2フィルタ部312側からガスが供給されることにより、粉体313を構成するそれぞれの固体微粒子は、ガスによって浮上した状態となり易い。このため、例えば、第1フィルタ部311側からガスを供給する場合と比較して、ガスが容器310を通過し易くなり、圧力損失が大きくなることを抑制できる。したがって、ガスの排気をし易くなり、ガスの切り替え時に必要な時間を削減できることによって製造時間の短縮化を図ることができる。
【0025】
以上が本実施形態におけるALD装置の構成である。次に、上記ALD装置を用いた薄膜層2の製造方法について、図3を参照しつつ説明する。なお、本実施形態では、酸化ルテニウムで構成される薄膜層2を成長させる例について説明する。また、本実施形態では、上記のように、原料ガスは、Nで希釈したRu(EtCp)であり、パージガスは、Nであり、反応ガスは、Oである。
【0026】
まず、排気ポンプ40を作動させて反応チャンバ11内を所定圧力としつつ、加熱部12を作動させて反応チャンバ11が300℃となるようにする。また、加熱部32を作動させ、捕集器31の温度が反応チャンバ11の温度以上となるようにする。例えば、捕集器31は、反応チャンバ11と同様に、300℃とされる。
【0027】
そして、時点T1において、第1開閉弁51、第4開閉弁54、第5開閉弁55を開状態とし、反応チャンバ11に原料ガスを供給する。これにより、反応チャンバ11では、基板1の表面に一層分の原料ガスが吸着される。また、第1排気管71から未反応の原料ガスが捕集器31に供給され、捕集器31では、粉体313の表面に原料ガスが吸着される。この際、本実施形態では、捕集器31が反応チャンバ11の温度以上に加熱されるため、粉体313の表面に原料ガスを吸着させ易くなる。
【0028】
続いて、時点T2において、第1開閉弁51を閉状態とし、原料ガスの供給を停止する。そして、時点T3において、第2開閉弁52、第4開閉弁54、第5開閉弁55を開状態とし、反応チャンバ11にパージガスを供給する。これにより、反応チャンバ11内に残存する未反応の原料ガスが捕集器31に供給され、捕集器31では、さらに粉体313の表面に原料ガスが吸着される。
【0029】
その後、時点T4において、第2開閉弁52を閉状態とし、パージガスの供給を停止する。次に、時点T5において、第3開閉弁53、第4開閉弁54、第5開閉弁55を開状態とし、反応チャンバ11に反応ガスを供給する。これにより、反応ガスが基板1の表面に吸着された原子層と反応して一層分の薄膜層2が形成される。また、第1排気管71から未反応の反応ガスが捕集器31に供給され、捕集器31では、反応ガスが粉体313の表面に吸着された原子層と反応して薄膜層が形成される。この際、捕集器31が反応チャンバ11の温度以上に加熱されるため、粉体313の表面に吸着された原料ガスを反応ガスに反応させ易くなる。
【0030】
また、反応チャンバ11から反応ガスを排気する際、反応ガスは、原料ガスが排気される第1排気管71から排気される。つまり、反応ガスは、原料ガスと共通の第1排気管71から排気される。このため、本実施形態では、第1排気管71が反応チャンバ11および捕集器31よりも低温となるようにしている。これにより、第1排気管71で原料ガスと排気ガスとが反応することを抑制でき、第1排気管71が閉塞することを抑制できる。
【0031】
その後、時点T6において、第3開閉弁53を閉状態とし、反応ガスの供給を停止する。そして、時点T7にて、第2開閉弁52、第4開閉弁54、第5開閉弁55を開状態とし、反応チャンバ11にパージガスを供給する。これにより、反応チャンバ11内に残存する未反応の反応ガスが捕集器31に供給され、捕集器31では、薄膜層に成長しなかった原料ガスが反応ガスと反応して薄膜層が形成される。その後、時点T8において、第2開閉弁52を閉状態とし、パージガスの供給を停止する。
【0032】
その後は、時点T1~T8の作動を繰り返すことにより、基板1上に所望の厚さの薄膜層2が成長させられる。
【0033】
また、捕集器31で成長させられた薄膜層は、詳細は省略するが、ウェットエッチング等によって粉体313と分離した後に有機金属に変換される。そして、変換された有機金属は、再び原料ガス供給部21から反応チャンバ11へと供給される原料ガスを生成するのに用いられる。つまり、捕集器31で成長させられた薄膜層は、再利用される。言い換えると、反応チャンバ11に供給されたものの未反応となった原料ガスが再利用される。
【0034】
以上説明した本実施形態によれば、薄膜層2を形成する際には、捕集器31が反応チャンバ11の温度以上に加熱される。このため、捕集器31において、粉体313の表面に原料ガスを吸着させ易くなる。また、捕集器31において、粉体313の表面に吸着した原料ガスと反応ガスを反応させ易くなる。したがって、捕集器31の粉体313に薄膜層を成長させ易くなり、粉体313に成長した薄膜層から得られる原料ガスの回収効率を向上できる。
【0035】
(1)本実施形態では、薄膜層2を形成する際には、第1排気管71が反応チャンバ11および捕集器31よりも低温となるようにしている。このため、第1排気管71で原料ガスと排気ガスとが反応することを抑制でき、第1排気管71が閉塞することを抑制できる。
【0036】
(2)本実施形態では、粉体313は、金属窒化物、金属酸化物、または原料ガスに含まれる金属成分を含む材料で構成されている。このため、捕集器31で成長させた薄膜層2をウェットエッチング等によって容易に分離し易くなる。したがって、原料ガスの回収効率を向上しつつ、製造工程の簡略化を図ることもできる。
【0037】
(3)本実施形態では、捕集器31は、第1フィルタ部311が天地方向における天側に向けて配置され、第2フィルタ部312が天地方向における地側に向けて配置される。そして、捕集器31には、第2フィルタ部312に第1排気管71が接続され、第1フィルタ部311に第2排気管72が接続される。このため、捕集器31に供給されるガスが容器310を通過し易くなり、圧力損失が大きくなることを抑制できる。したがって、ガスの排気をし易くなり、ガスの切り替え時に必要な時間を削減できることによって製造時間の短縮化を図ることができる。
【0038】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対し、反応ガス供給部23を捕集器31にも接続したものである。その他に関しては、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0039】
本実施形態のALD装置では、図4に示されるように、反応ガス供給部23は、第3供給管63と連結された第4供給管64を介して捕集器31にも接続されている。つまり、反応ガス供給部23は、反応チャンバ11に反応ガスを供給して基板1上に薄膜層2を成長させる際、捕集器31にも反応ガスを供給できるようになっている。
【0040】
以上説明した本実施形態によれば、薄膜層2を形成する際には捕集器31が反応チャンバ11の温度以上に加熱されるため、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0041】
(1)本実施形態では、反応ガス供給部23が捕集器31にも接続されている。そして、薄膜層2を成長させる際には、捕集器31にも反応ガスが直接供給される。このため、捕集器31で薄膜層2を成長させ易くなり、粉体313に吸着した原料ガスが未反応となることを抑制できる。したがって、原料ガスの回収効率をさらに向上できる。
【0042】
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対し、捕集器31の構成を変更したものである。その他に関しては、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0043】
本実施形態の捕集器31は、図5に示されるように、容器310が有底円筒状とされている。つまり、容器310は、一端部が開口部とされ、他端部が容器310の底部で構成されている。そして、容器310には、開口部を閉塞するように、第1フィルタ部311が配置されている。
【0044】
第1排気管71は、第1フィルタ部311側から先端が粉体313に埋設されるように配置されている。つまり、第1排気管71は、第1排気管71から供給されるガスが粉体313内に供給されるように配置されている。言い換えると、第1排気管71は、第1排気管71から供給されるガスによって粉体313が流動するように配置されている。
【0045】
以上説明した本実施形態によれば、薄膜層2を形成する際には捕集器31が反応チャンバ11の温度以上に加熱されるため、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0046】
(1)本実施形態のように、第1排気管71の先端を粉体313に埋設するようにし、第1排気管71から供給されるガスによって粉体313が流動するようにしても、粉体313による圧力損失を低減できる。
【0047】
(他の実施形態)
本開示は、実施形態に準拠して記述されたが、本開示は当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【0048】
例えば、上記各実施形態において、パージガス供給部22は備えられていなくてもよい。
【0049】
また、上記各実施形態において、加熱部12および加熱部32の構成は適宜変更可能である。
【0050】
さらに、上記各実施形態において、粉体313は、金属酸化物、金属窒化物、または、原料ガスに含まれる金属成分を含む材料以外で構成されていてもよい。但し、粉体313は、成長した薄膜層と分離し易い材料で構成されることが好ましい。
【0051】
そして、上記各実施形態を適宜組み合わせることもできる。例えば、上記第2実施形態を上記第3実施形態に組み合わせ、第4供給管64を備えつつ、捕集部30の構成を上記第3実施形態の構成に変更してもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 基板
2 薄膜層
21 原料ガス供給部
23 反応ガス供給部
30 捕集部
31 捕集器
32 加熱部
71 第1排気管
72 第2排気管
311 容器
313 粉体
図1
図2
図3
図4
図5