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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011592
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
A63F7/02 320
A63F7/02 304D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113722
(22)【出願日】2022-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】弁理士法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市原 卓人
(72)【発明者】
【氏名】藤原 海
(72)【発明者】
【氏名】窪田 倫也
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 潤
(72)【発明者】
【氏名】湯川 強
【テーマコード(参考)】
2C088
2C333
【Fターム(参考)】
2C088BC06
2C088BC07
2C333AA11
2C333CA26
2C333CA76
2C333CA77
2C333GA04
(57)【要約】
【課題】特定遊技状態が進行していることを分かりやすく示すことが可能な遊技機を提供すること。
【解決手段】複数種の装飾図柄が変動を開始してから当否抽選結果に応じた態様で停止するまでの変動中演出を実行する演出実行手段と、当否抽選結果が当たりとなることを目指して遊技する遊技状態として、通常遊技状態および当該通常遊技状態よりも有利な特定遊技状態を設定することが可能な遊技状態設定手段と、前記特定遊技状態における前記変動中演出にて、前記装飾図柄が変動を停止する際に変動停止音を出力する音出力手段と、を備え、前記特定遊技状態は、規定回数連続して当否抽選結果がはずれとなる終了条件が成立した場合には終了するものであり、前記終了条件が成立するまでに必要な当否抽選の実行回数である残回数に基づき、複数種の前記変動停止音のうちのいずれが出力されるのかが決定されることを特徴とする遊技機。
【選択図】図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種の装飾図柄が変動を開始してから当否抽選結果に応じた態様で停止するまでの変動中演出を実行する演出実行手段と、
当否抽選結果が当たりとなることを目指して遊技する遊技状態として、通常遊技状態および当該通常遊技状態よりも有利な特定遊技状態を設定することが可能な遊技状態設定手段と、
前記特定遊技状態における前記変動中演出にて、前記装飾図柄が変動を停止する際に変動停止音を出力する音出力手段と、
を備え、
前記特定遊技状態は、規定回数連続して当否抽選結果がはずれとなる終了条件が成立した場合には終了するものであり、
前記終了条件が成立するまでに必要な当否抽選の実行回数である残回数に基づき、複数種の前記変動停止音のうちのいずれが出力されるのかが決定されることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
複数種の前記変動停止音は、音量が互いに異なるものであり、
前記残回数が少なくなることで成立しうる停止音変更条件が成立することを契機として、音量が大きくなる方向に前記変動停止音が変化することを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
複数種の前記変動停止音は、一または二以上の単位音から構成されるものであって、当該単位音の数が互いに異なるものであり、
前記残回数が少なくなることで成立しうる停止音変更条件が成立することを契機として、前記単位音の数が多くなる方向に前記変動停止音が変化することを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項4】
前記変動中演出中には前記音出力手段より背景楽曲が出力され、
先の変動中演出にて出力される前記変動停止音と当該先の変動中演出に続く後の変動中演出にて出力される前記変動停止音の種類が異なるときでも、当該先の変動中演出から当該次の変動中演出にかけて前記背景楽曲が継続的に出力される場合があることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の遊技機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
通常遊技状態よりも有利な遊技状態として、規定回数連続して当否抽選結果がはずれとなることで終了する特定遊技状態(いわゆるST状態)が搭載された遊技機が公知である(例えば下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-051376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、特定遊技状態が進行していることを分かりやすく示すことが可能な遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は、複数種の装飾図柄が変動を開始してから当否抽選結果に応じた態様で停止するまでの変動中演出を実行する演出実行手段と、当否抽選結果が当たりとなることを目指して遊技する遊技状態として、通常遊技状態および当該通常遊技状態よりも有利な特定遊技状態を設定することが可能な遊技状態設定手段と、前記特定遊技状態における前記変動中演出にて、前記装飾図柄が変動を停止する際に変動停止音を出力する音出力手段と、を備え、前記特定遊技状態は、規定回数連続して当否抽選結果がはずれとなる終了条件が成立した場合には終了するものであり、前記終了条件が成立するまでに必要な当否抽選の実行回数である残回数に基づき、複数種の前記変動停止音のうちのいずれが出力されるのかが決定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、特定遊技状態が進行していることを分かりやすく示すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態にかかる遊技機の正面図である。
図2】表示領域に表示された装飾図柄および保留図柄を示した図である。
図3】遊技状態(遊技状態の移行)を説明するための図である。
図4】特定演出の概要を説明するための図である。
図5】突発演出の発生タイミングと前半部分・後半部分の長さの関係を説明するための図である。
図6】Tb<T1(パターンA)である場合の後半演出を説明するための図である。
図7】T1≦Tb<T2(パターンB)である場合の後半演出を説明するための図である。
図8】T2≦Tb(パターンC)である場合の後半演出を説明するための図である。
図9】具体例1-6を説明するための図である。
図10】(a)各画像変位方向および(b)各変動開始方向の概要を説明するための図である。
図11】特定モード中の変動中演出の冒頭にて、画像変位方向と変動開始方向が対応関係にあるものとされることを説明するための図である。
図12】具体例2-1を説明するための図である。
図13】具体例2-2を説明するための図である。
図14】具体例2-3を説明するための図である。
図15】具体例2-4を説明するための図である。
図16】変動停止音の変化を説明するための図である。
図17】具体例3-1を説明するための図である。
図18】具体例3-2を説明するための図である。
図19】具体例3-3を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1)遊技機の基本構成
以下、本発明にかかる遊技機1(ぱちんこ遊技機)の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。なお、以下の説明において画像というときは、静止画だけでなく、動画を含むものとする。また、特に明示した場合を除き、以下の説明は、遊技者が指示通りの遊技を行うこと(遊技者が特殊な遊技を行わず、正常な遊技を行うこと)を前提としたものである。また、「○○に遊技球が進入(入賞)」等というときは、厳密には当該○○に設けられたセンサが進入した遊技球を検出したことをいう。
【0009】
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0010】
遊技領域902には、メインの表示装置である表示装置91、始動領域904、大入賞領域906、アウト口907などが設けられている。表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能な部分である。また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0011】
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動領域904や大入賞領域906等の入賞領域に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0012】
なお、遊技機1の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0013】
大当たりの抽選は、図示されない制御基板(制御回路)に設けられた当否抽選手段が始動領域904への遊技球の入賞を契機として実行する。本実施形態では、始動領域904として、第一始動領域904a(いわゆる「特図1」の始動領域)と第二始動領域904b(いわゆる「特図2」の始動領域)が設けられている。始動領域904への遊技球の入賞を契機として乱数源から数値(当否抽選情報)が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。以下、第一始動領域904aに遊技球が進入することで取得される第一当否抽選情報に基づく当否抽選を第一当否抽選(特図1抽選)と、第二始動領域904bに遊技球が進入することで取得される第二当否抽選情報に基づく当否抽選を第二当否抽選(特図2抽選)と称することもある。
【0014】
本実施形態では、当該数値が取得された順に当否抽選結果の報知が開始されることとなるが、未だ当否抽選結果の報知が完了していない当否抽選情報が存在する場合には、新たに取得された当否抽選情報は保留情報(厳密には後述する変動前保留情報)として図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。
【0015】
本実施形態では、保留図柄70として、当否抽選結果を報知する変動中演出(装飾図柄80(装飾図柄群80g)の変動開始から、当否抽選結果を示す組み合わせで完全に停止するまでの演出、いわゆる一変動中分の演出をいう。以下単に「変動」や「回転」と称することもある)は開始されているものの、当否抽選結果の報知は完了していない当否抽選情報(以下、変動中保留情報と称することもある)に対応する変動中保留図柄71と、当否抽選結果を報知する変動中演出が開始されていない当否抽選情報(以下、変動前保留情報と称することもある)に対応する変動前保留図柄72が表示される(図2参照)。なお、変動中保留情報(変動中保留図柄71)は、厳密には「保留」の概念に含まれるものではないが、一般的に「当該変動保留」等と称されるものであるため、本実施形態では「保留」の概念に含まれるものとして規定する。本実施形態では、変動中保留図柄71の方が変動前保留図柄72よりも大きく表示されるが、両者の基本的な形態は同じである。変動中保留図柄71と変動前保留図柄72の基本的な形態が全く異なるものとしてもよい。また、変動中保留図柄71が表示されない構成としてもよい。なお、変動前保留図柄72に対応する当否抽選結果の報知が完了する順番(いわゆる保留「消化順」)は、右に位置するものほど早い。
【0016】
変動前保留情報の最大の記憶数は上限が決められている。本実施形態では、第一始動領域904aに入賞することによって得られる第一変動前保留情報(特図1保留)の最大の記憶数は四つであり、第二始動領域904bに入賞することによって得られる第二変動前保留情報(特図2保留)の最大の記憶数は四つである。したがって、特図1および特図2の一方に相当する保留図柄70に関していえば、一つの変動中保留図柄71と、最大四つの変動前保留図柄72が表示されることがある(図2参照)。変動前保留図柄72は、第一始動領域904aを狙って遊技球を発射すべき状態(後述する通常遊技状態)であれば第一変動前保留情報(特図1保留)が変動前保留図柄72として表示され、第二始動領域904bを狙って遊技球を発射すべき状態(後述する特定遊技状態)であれば第二変動前保留情報(特図2保留)が変動前保留図柄72として表示されるように設定されている。遊技状態によらず、記憶手段に記憶されている第一変動前保留情報および第二変動前保留情報のいずれにも対応する変動前保留図柄72が表示される(最大八つの変動前保留図柄72が表示される)構成としてもよい。
【0017】
記憶手段に第一変動前保留情報と第二変動前保留情報の両方が記憶されている場合には、第二変動前保留情報(第二当否抽選情報)に基づく当否抽選結果が優先して報知される。すなわち、本実施形態にかかる遊技機1は、特図2優先消化である。
【0018】
本実施形態では、公知の遊技機と同様に、表示装置91の表示領域911に表示される装飾図柄80(図2参照)の組み合わせによって当否抽選結果を遊技者に報知する。具体的には、複数種の装飾図柄80を含む装飾図柄群80g(左装飾図柄群80gL、中装飾図柄群80gC、右装飾図柄群80gR)が変動を開始し、最終的に各装飾図柄群80gから一の装飾図柄80が選択されて停止する(以下、単に停止というときは、完全に停止することをいい、いわゆる擬似停止状態(遊技者には停止したように見えるがわずかに揺れている状態等)は除かれるものとする)。大当たりに当選している場合には各装飾図柄群80gから選択されて停止した装飾図柄80(左から並ぶ左装飾図柄80L、中装飾図柄80C、右装飾図柄80R)の組み合わせは所定の当たり組み合わせ(本実施形態では、同じ種類の装飾図柄80の三つ揃い)となる。はずれである場合にはそれ以外(大当たりとなる組み合わせ以外)のはずれ組み合わせとなる。本実施形態では、各種装飾図柄80は、「1」~「7」の数字のいずれかを含むものである。同じ数字の装飾図柄80が「同種」の図柄である(異なる数字の装飾図柄80が「異種」の図柄である)。
【0019】
本実施形態では、奇数の数字を含む装飾図柄80(「1」、「3」、「5」、「7」の装飾図柄80)による当たり組み合わせが確定表示(変動が停止して示される組み合わせをいう)されたときには詳細を後述する特定大当たりであることが確定する。一方、偶数の数字を含む装飾図柄80(「2」、「4」、「6」の装飾図柄80)による当たり組み合わせが確定表示されたときには特定大当たりであることが確定せず、詳細を後述する通常大当たりである可能性もある。具体的には、偶数の数字を含む装飾図柄80による当たり組み合わせが表示された場合、その後の大当たり遊技中に当選した大当たりが特定大当たりであったことを報知する昇格演出が発生する可能性があり、当該昇格演出が発生しなければ通常大当たりが確定することになる。この種の昇格演出は周知であるし、その内容はどのようなものであってもよいから説明を省略する。通常大当たりよりも特定大当たりの方が遊技者にとって価値が高いものであるから、奇数の数字を含む装飾図柄80による当たり組み合わせが確定表示されること(特定大当たり確定となること)の方が、偶数の数字を含む装飾図柄80による当たり組み合わせが確定表示されること(通常大当たりである可能性があること)よりも、遊技者にとって有利な事象であるといえる。
【0020】
なお、表示領域911の外縁近傍に、目立たないように各種情報を示す画像(いわゆる「小図柄」等)が表示されるようにしてもよい(各図においては当該画像の図示を省略する)。遊技者は、この種の画像を意識せずに遊技を楽しむことが可能となっている。つまり、基本的には、装飾図柄80を見て当否抽選結果を把握することが可能である。
【0021】
本実施形態では、遊技状態として、通常遊技状態と特定遊技状態が設定されている(図3参照)。特定遊技状態は、通常遊技状態に比して遊技者に有利な遊技状態である。通常遊技状態は、大当たりに当選する確率が低い(本実施形態では約1/319である)低確率遊技状態であり、かつ、始動領域904に遊技球が入賞しにくい低ベース状態(低確率・時短無)である。特定遊技状態は、大当たりに当選する確率が高い(本実施形態では約1/50である)高確率遊技状態であり、かつ、始動領域904に遊技球が入賞しやすい高ベース状態(高確率・時短有)である。通常遊技状態は、第一始動領域904aを狙って遊技球を発射させるべき状態である。本実施形態では、いわゆる「左打ち」を行うべき状態である。よって、通常遊技状態は、第一当否抽選を経た大当たりの獲得を目指す遊技状態であるといえる。一方、特定遊技状態は、第二始動領域904bを狙って遊技球を発射させるべき状態である。本実施形態では、いわゆる「右打ち」を行うべき状態である。よって、特定遊技状態は、第二当否抽選を経た大当たりの獲得を目指す遊技状態であるといえる。特定遊技状態は、普通始動領域905に遊技球が進入することを契機とした第二始動領域904bの開放抽選に当選しやすい状態であるため、比較的容易に第二始動領域904bに遊技球が入賞する。
【0022】
本実施形態では、大当たりとして、通常大当たりおよび特定大当たりが設けられている。通常大当たりは、大当たり遊技終了後に通常遊技状態に移行する大当たりである。特定大当たりは、大当たり遊技終了後に特定遊技状態に移行する大当たりである。第一当否抽選に当選することで得られる大当たりは、通常大当たりまたは特定大当たりとなる。第二当否抽選に当選することで得られる大当たりは、特定大当たりとなる。遊技状態移行直後に記憶手段に記憶されていた保留情報に基づく抽選(いわゆる残保留分の抽選)に当選するといった特殊な場合を除き、通常遊技状態は第一当否抽選の当選を目指す遊技状態であるから、通常遊技状態にて獲得される大当たりは通常大当たりまたは特定大当たりとなる。特定遊技状態は第二当否抽選の当選を目指す遊技状態であるから、特定遊技状態にて獲得される大当たりは特定大当たりとなる。
【0023】
なお、特定大当たり遊技中に開放される所定の領域(V領域)に遊技球を進入させること(V入賞)が、特定大当たり遊技終了後に特定遊技状態に移行する条件とされた構成(いわゆるV確変機)としてもよい。
【0024】
特定遊技状態は、所定回数連続して当否抽選結果がはずれとなることをもって終了する。特定遊技状態が終了した場合には通常遊技状態に移行する。特定遊技状態に移行してから所定回数連続してはずれとなる前に大当たり(特定大当たり)を獲得した場合には再び特定遊技状態に移行する(所定回数のカウントがリセットされる)ことになる。つまり、本実施形態にかかる遊技機1は、特定遊技状態に移行してから所定回数連続してはずれとなる前に第二当否抽選に当選することが連チャンの条件となるいわゆるST機である。本実施形態では、上記所定回数(ST回数)=72回とされている。
【0025】
当否抽選結果が大当たりとなったときには大当たり遊技が実行される。大当たり遊技は、所定の閉鎖条件成立まで大入賞領域906(図1参照;大入賞領域906は常態において閉鎖されたものである)が開放される単位遊技を一または複数回繰り返すものである。閉鎖条件は、大入賞領域906が開放されてから所定個数(例えば10個)の遊技球が入賞すること(入賞条件)および大入賞領域906が開放されてから所定時間経過すること(時間条件)のいずれか一方の成立をもって成立するものとされる。本実施形態では、大当たり遊技にて継続的に大入賞領域906に向かって遊技球を発射していれば、時間条件が成立する前に入賞条件が成立するものとされている。すなわち、一の単位遊技にて10個の遊技球が大入賞領域906に入賞する。単位遊技は、ラウンド(遊技)等とも称される。大当たり遊技が含む単位遊技の数(ラウンド数)は適宜設定することができる。本実施形態では、全ての大当たり(通常大当たり、特定大当たり)が10ラウンド大当たりとされている。
【0026】
以下、本実施形態にかかる遊技機1が実行可能な演出等(演出の内容や制御)について説明する。なお、以下で説明する演出等の一部のみが実行可能な構成としてもよい。また、当該演出等を説明する図面の一部において、保留図柄70や装飾図柄80の図示を省略することがある。
【0027】
2)特定演出の尺吸収制御
2-1)特定演出
本実施形態にかかる遊技機1は、特定演出(図4参照)を実行することが可能である。特定演出は、通常遊技状態における変動中演出を構成するものとして発生しうる。ただし、特定遊技状態における変動中演出を構成するものとして発生しうるようにしてもよい。また、詳細を後述する尺吸収制御を実行する必要性があるのであれば、大当たり遊技中等、変動中演出中以外の状況で発生するものであってもよい。
【0028】
特定演出は、成功結果(図4(c-1)参照)または失敗結果(図4(c-2)参照)となるものである。特定演出を含む変動中演出(以下、対象変動中演出と称することもある)に対応する当否抽選結果(以下、対象当否抽選結果と称することもある)が大当たりである場合には成功結果に、はずれである場合には失敗結果に至る。つまり、特定演出は、成功結果に至るか否かで対象当否抽選結果を示すリーチ演出の一種である。なお、本実施形態における特定演出は、変動中演出の途中から開始されるものであって、変動中演出の終了時点を含む終末部分を構成するものである。つまり、特定演出の終了時点は、対象変動中演出の終了時点と一致するものである。
【0029】
特定演出は、所定の演出映像が出力されること(図4(a)(b)参照)を基本的な構成とする。成功結果となる場合には、当該演出映像の出力が停止され、突発画像10が表示される突発演出が発生する(図4(c-1)参照)。なお、当該突発演出の長さは一定である。失敗結果となる場合には、このような突発画像10が表示されずに演出が終了(演出映像が最後まで継続的に出力され続ける)(図4(c-2)参照)し、はずれ組み合わせが表示される(図4(d)参照)。
【0030】
本実施形態における突発画像10は、表示領域911がいきなりブラックアウトしたかのように見せる画像である(図4(c-1)参照)。つまり、特定演出は、演出映像が出力されている最中に突然それが停止するいわゆる「フリーズ」が発生するかどうかが当否の分岐とされた演出であるということである。本実施形態では、演出映像が出力されている最中に「フリーズ発生で大当たり」という表示がなされる(図4(a)(b)参照)。
【0031】
特定演出が成功結果となるか否かは、対象当否抽選結果を踏まえて決まる。対象当否抽選結果が大当たりであり、成功結果となる特定演出を実行する場合には、予め突発演出を発生させる(突発画像10を表示する)発生タイミングを複数の候補タイミングのうちから抽選により選択して決定する(図5(a)参照)。よって、(成功結果となる場合であっても)遊技者はどのタイミングで突発演出が発生するかを事前に知ることは不可能である。対象当否抽選結果がはずれである場合には、突発演出が実行されない失敗結果に至るのであるからこのような抽選は実行されない。
【0032】
成功結果となる特定演出は、所定の切替時点前の前半部分と当該切替時点後の後半部分とに区分けされる(なお、以下で特段説明することなく特定演出というときは、前半部分と後半部分に区分けされる成功結果となる特定演出のことをいうものとする)。当該切替時点は、突発演出の終了時点とされる(図5(b)参照)。上述した通り、突発演出が発生するタイミングは毎回変化しうるのであるから、特定演出の開始から切替時点までの長さは一定ではない。すなわち、前半部分の時間(以下、当該時間をTaとする)および後半部分の時間(以下、当該時間をTbとする)も毎回変化しうる。本実施形態における特定演出は、突発演出の発生タイミングによらず長さが一定である。特定演出に要する時間をTとすれば、T=Ta+Tbということになる。突発演出の発生タイミングが早いほど(早い候補タイミングが選ばれた場合ほど)前半部分が短くなり、後半部分が長くなることになる。つまり、前半部分の長さ(Ta)と後半部分の長さ(Tb)は、一方が長くなれば他方が短くなるという相反する関係にある。
【0033】
前半部分は、特定演出の開始から突発演出の終了までの部分であるから、演出映像が表示された状態から突発画像10が表示され状態に切り替わり、当該突発画像10が消去されるまでの期間である。後半部分は、突発画像10の表示(フリーズの発生)により大当たり(成功結果)であることが判明した状態で実行されるものであるから、当該大当たりを祝福する演出が実行される期間である。本実施形態では、当該後半部分の演出形態をどのようなものとするのかは、後半部分の時間Tbの長さに応じて異なる。
【0034】
2-2)後半部分を構成する演出
後半部分の演出(以下、後半演出と称することもある)を構成しうるものとして、本実施形態では、基本演出、可動演出および付加演出が設けられている。なお、これらの演出は全て別々に実行されうるものであって、これらの演出のうちの二以上が同時期に実行されることはない。
【0035】
基本演出は、どのような場合でも後半部分を構成するものとして実行される演出である。すなわち、基本演出以外の演出(可動演出および付加演出)は後半演出を構成する演出として実行されない可能性があるが、基本演出は後半演出を構成する演出としてもれなく実行される。当該基本演出は、特定演出が成功結果に至ったことを明確に示すものとされる。上述した通り、成功結果に至るのは対象当否抽選結果が大当たりである場合であり、特定演出の後半部分はそれを示すために実行されるものであるから、大当たりに当選したことを示す装飾図柄80の組み合わせ(当たり組み合わせ)が表示されることが基本演出とされている(図6(b)、図7(c)、図8(d)参照)。
【0036】
可動演出は、可動体20を動作させる演出である。本実施形態にかかる遊技機1は、原位置(常態における位置)と演出位置との間を往復動作可能な可動体20を備える(図1参照)。当該可動体20は、表示領域911の前方で変位するものであって、原位置(図1において点線で示す)に位置するときよりも、演出位置(図1において実線で示す)に位置するときの方が、表示領域911に重なる範囲が大きくなる(可動体20が表示領域911を覆う範囲が大きくなる)ように設定されている。遊技者は表示領域911を見ながら遊技するため、可動体20を原位置から演出位置に変位させることは、可動体20を目立たせる動作であるといえる。可動体20の駆動機構はどのようなものであってもよいから説明を省略する。可動演出は、原位置に位置する可動体20を演出位置まで移動させる(演出終了をもって原位置に戻す)演出である(図7(b)、図8(c)参照)。本実施形態では、可動体20が演出位置に位置した状態において、表示領域911における可動体20に覆われない部分には、可動体20が演出位置に位置したことを強調する(装飾する)画像も表示される。
【0037】
付加演出は、成功結果に至ったことを強調する演出であり、表示領域911に所定の画像(以下、付加画像15と称する)が表示されるものである。当該付加画像15は、付加演出時にしか表示されない画像(専用画像)である。後述する通り、後半部分にて付加演出が発生する場合、突発演出の直後に発生することになるから、付加画像15は突発演出が発生して成功結果が確定したことを祝福する態様のものであることが好ましい。本実施形態では、「歓喜」の文字を含む付加画像15が表示される(図8(b)参照)。
【0038】
なお、上記基本演出および付加演出が実行されている最中は、可動体20は原位置に位置したままである。つまり、基本演出および付加演出は、可動体20を動作させる演出ではない。
【0039】
2-3)後半部分の長さに応じた制御
本実施形態では、後半部分の長さ(時間Tb)に応じ、当該後半演出を構成する演出として、上述した基本演出、可動演出および付加演出のいずれを用いるかを決定する。つまり、後半部分の長さに応じて後半演出の構成を異ならせている。具体的には、後半部分の長さTbが
(A)T1時間未満である場合
(B)T1時間以上かつT2時間未満である場合
(C)T2時間以上である場合
の3パターン(以下、各パターンをパターンA、パターンB、パターンCと称する)に分け、後半演出の構成を異ならせている(上記T2>T1である)。
【0040】
・パターンA(図6参照)
後半部分の長さTbがT1時間未満である場合には、後半演出を構成する演出として基本演出のみを実行する。すなわち、可動演出および付加演出は実行しない。よって、突発演出(図6(a)参照)が終了した後(突発画像10が消去された後)、当たり組み合わせを構成する装飾図柄80が特定演出終了まで表示された状態(図6(b)参照)とされる。すなわち、突発演出の終了後、擬似停止状態にある当たり組み合わせが表示された状態に移行し、その後当該当たり組み合わせで変動が完全に停止して変動中演出が終了することになる。
【0041】
・パターンB(図7参照)
後半部分の長さTbがT1時間以上かつT2時間未満である場合には、後半演出を構成する演出として可動演出および基本演出を実行する。すなわち、付加演出は実行しない。突発演出(図7(a)参照)が終了した後(突発画像10が消去された後)、まず可動演出が実行される(図7(b)参照)。つまり、可動体20が原位置から演出位置に変位する。可動演出後(可動体20が原位置に戻った後)、基本演出が実行される(図7(c)参照)。すなわち、特定演出終了まで当たり組み合わせを構成する装飾図柄80が表示された状態とされる。
【0042】
・パターンC(図8参照)
後半部分の長さTbがT2時間以上である場合には、後半演出を構成する演出として付加演出、可動演出および基本演出を実行する。突発演出(図8(a)参照)が終了した後(突発画像10が消去された後)、まず付加演出が実行される。つまり、付加画像15が表示されて成功結果となったことが強調される(図8(b)参照)。付加演出後、可動体20が原位置から演出位置に変位する可動演出が実行される(図8(c)参照)。可動演出後(可動体20が原位置に戻った後)、基本演出が実行される(図8(d)参照)。すなわち、特定演出終了まで、当たり組み合わせを構成する装飾図柄80が表示された状態とされる。
【0043】
このように、本実施形態では、特定演出の後半部分を構成する演出として三種の候補演出(基本演出、可動演出、付加演出)が用意され、後半部分の長さTbに応じて実行する演出の数が決定される。つまり、後半部分の長さTbが長くなるほど、実行される演出の数が多くなる。後半部分は、前半部分が早く終了するほど(突発演出の発生タイミングが早いほど)長くなるためいわゆる「尺吸収」の必要があるところ、本実施形態では一種の演出の引き延ばすことで尺吸収を行うものではないから、後半部分が間延びしていると遊技者が感じてしまうおそれが低減される。なお、後半部分の長さによらず(パターンA~Cのいずれであっても)基本演出が実行されることに照らせば、可動演出および付加演出が尺吸収演出として機能するものであるといえる。
【0044】
特に、本実施形態では、後半部分の時間がT1時間以上であれば(パターンBまたはパターンCであれば)可動体20が原位置から演出位置に変位する可動演出が実行される(図7図8参照)。つまり、パターンAの場合は実行されない尺吸収演出として、(単に所定の画像を表示する演出ではない)インパクトのある演出が実行されるから、後半部分が間延びしていると遊技者が感じるおそれをさらに低減することができる。
【0045】
また、本実施形態では、後半部分の時間がT2時間以上であれば付加演出が実行される。つまり、尺吸収演出として基本演出とは異なる画像が表示される演出が実行されるから、後半部分を間延びしていると遊技者が感じるおそれが低減される。特に、本実施形態では、画像を表示する演出である付加演出と基本演出との間で可動演出が実行される(図8参照)から、付加演出と基本演出が可動演出によって明確に「分断」される。その結果、後半部分の演出が変化に富んだものとなり(画像演出(付加演出)→可動演出→画像演出(基本演出)というような変化が展開されるため)、後半部分を長いと遊技者が感じてしまうおそれがより低まる。
【0046】
なお、上記パターンA~パターンCに分けた制御は、後半部分の長さを大きく三つに区分けした(三段階に分けた)上で行う「大まかな」制御である。一方、「細かな」尺吸収制御(以下、「微調整」と称する)は、個々の演出(基本演出、可動演出、付加演出)の少なくともいずれか一つの長さを適宜増減させることで行う。つまり、同じパターンであっても後半部分の長さは異なりうるから、それは少なくともいずれか一つの演出の長短により微調整する。
【0047】
以下、上記特定演出の尺吸収制御に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、可能な限りにおいて、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
【0048】
〇具体例1-1
後半部分の長さTbを2つのパターンに分けて、実行される演出が決定されるものとしてもよい。後半部分の長さTbがT1時間未満である場合には後半部分にて基本演出が実行され(図6のような流れで進行する態様とされ)、後半部分の長さTbがT1時間以上である場合には後半部分にて可動演出および基本演出が実行される(図7のような流れで進行する態様とされる)ようにする。つまり、T1時間以上であるか否かに応じ、尺吸収演出として可動演出が実行されるか否かが決まる構成としてもよい。このようにしても、後半部分の長さTbが所定の閾値(T1)以上である場合には、尺吸収演出として可動演出が実行されることになるから、後半部分が間延びしていると遊技者が感じるおそれを低減することができる。
【0049】
〇具体例1-2
後半部分の長さTbによらず可動演出が実行されるものとする。例えば、上記具体例1-1にて説明したように、後半部分の長さTbがT1時間未満であるかT1時間以上であるかに応じ、後半部分にて実行される演出が決まるものとする。これを前提とし、後半部分の長さTbがT1時間未満であれば可動演出および基本演出が実行され(図7のような流れで進行する態様とされ)、T1時間以上であれば可動演出および基本演出に加え付加演出が実行される(図8のような流れで進行する態様とされる)ものとする。つまり、後半部分にて可動演出および基本演出が実行されることを基本とし、後半部分の長さTbがT1時間以上である場合には、尺吸収演出として付加演出が実行されるようにする。このようにすることで、可動演出が、後半部分の長さTbによらず必ず実行される共通演出として機能することになる。
【0050】
本例のようにする場合、後半部分の長さTbによらず、突発演出に続いて発生する演出を可動演出とすること(後半部分の最初に発生する演出を可動演出とすること)ができる。よって、突発演出が発生したことが、可動体20の移動により祝福されるという演出形態を実現することができる。
【0051】
〇具体例1-3
上記実施形態における特定演出の前半部分の終了時点(切替時点)は突発演出の終了時点であることを説明したが、前半部分を構成する演出としてその他の演出が実行されるものとしてもよい。すなわち、前半部分は、切替時点のタイミングが毎回変化しうる(後半部分の長さTbが毎回変化しうる)ことになる構成であればよい。
【0052】
例えば、遊技者に対し、操作手段60(押ボタン等)の操作が促される操作演出が前半部分に実行されるものとする。操作演出は、操作手段60の操作が有効となる操作有効期間が設定される。操作有効期間中の操作が所定条件を満たしたものとなった時点が切替時点であるとする。つまり、操作手段60の操作が所定条件を満たしたものとなることを契機として後半部分に移行するものとする。操作手段60の操作が所定条件を満たすタイミングは操作状況によって変化するのであるから、後半部分の長さが毎回変化しうる。なお、操作演出にて要求される操作態様はどのようなものであってもよい(一回の操作(単発操作)、連続操作、維持操作(長押し)等が考えられる)。
【0053】
〇具体例1-4
上述した微調整が、基本演出を利用して行われ、可動演出や付加演出は利用されないものとする。基本演出は、パターンA~パターンCのいずれであっても実行される共通演出であるから、どのパターンとなる場合でも基本演出の長さの増減による微調整が可能である(図9(a)~(c)参照)。また、基本演出は、当たり組み合わせが表示される画像であり、その表示時間を変化させればよいだけである(例えば、当たり組み合わせで擬似停止している時間を増減させればよいだけである)から微調整の制御が容易である。また、このように基本演出により微調整が行われるようにすれば、パターンB(図9(b)参照)やパターンC(図9(c)参照)である場合に、可動演出や付加演出の長さを微妙に変化させる制御を行う必要がない(可動演出や付加演出の長さは一定でよい)という利点もある。
【0054】
3)画像対応制御
3-1)画像変位方向
本実施形態にかかる遊技機1では、所定の演出モード(特定モード)にある際、変動中演出にて演出画像30が表示される。なお、本実施形態では、特定遊技状態にて当該特定モードが設定される可能性がある。すなわち、特定遊技状態にて演出画像30が表示されることがある。ただし、通常遊技状態にて演出画像30が表示されうる構成とすることを否定するわけではない。
【0055】
演出画像30は所定のキャラクタを表した画像である。本実施形態では「馬」のキャラクタを表した画像である(図10(a)参照)。特定モード中の変動中演出においては、当該演出画像30が複数の方向(以下、画像変位方向と称することもある)のうちのいずれかに向かって変位する表示がなされる。なお、当該複数の画像変位方向のいずれに変位する場合でも、演出画像30が所定のキャラクタ(同じキャラクタ)を表したものであることが遊技者に認識可能な状態は保たれるものとする。
【0056】
本実施形態では、画像変位方向となりうる候補の方向として三つの方向が設けられている。演出画像30が表示領域911の左側縁に次第に近づくように変位する「左方向」(図10(a-1)参照)、演出画像30が表示領域911の下側縁に次第に近づくように変位する「下方向」(図10(a-2)参照)、演出画像30が表示領域911の右側縁に次第に近づくように変位する「右方向」(図10(a-3)参照)の三つである。なお、「下方向」は、表示領域911を左右方向に二分するような方向であるという意味で「中方向」とみることもできる。
【0057】
3-2)変動開始方向
特定モードの変動中演出においては、変動中演出の冒頭(すなわち、変動中演出の開始時点を含む所定期間中)における装飾図柄80が変位する方向(以下、変動開始方向と称する)の候補として複数の方向が設定されている。具体的には、変動中演出の開始時点では三つの装飾図柄80(一つ前の変動に対応する当否抽選結果(はずれ)を示すはずれ組み合わせを構成した三つの装飾図柄80)が表示されているところ、変動中演出の冒頭における当該三つの装飾図柄80が移動する方向は三方向に分けられる。三つの装飾図柄80が表示領域911の左側縁に次第に近づくように変位する「左方向」(図10(b-1)参照)、三つの装飾図柄80が表示領域911の下側縁に次第に近づくように変位する「下方向」(図10(b-2)参照)、三つ装飾図柄80が表示領域911の右側縁に次第に近づくように変位する「右方向」(図10(b-3)参照)の三つである。なお、「下方向」は、表示領域911を左右方向に二分するような方向であるという意味で「中方向」とみることもできる。
【0058】
3-3)画像変位方向と変動開始方向の関係
画像対応制御は、特定モード中における一の変動中演出での画像変位方向と変動開始方向を対応関係にあるものとする制御である。画像変位方向の「左方向」、「下方向」、「右方向」は、それぞれ、変動開始方向の「左方向」、「下方向」、「右方向」と対応関係にあるものとされる。つまり、対象の画像(演出画像30/装飾図柄80)が、近づく表示領域911の側(左/下/右)が同じであることを意味する「同じ方向」に移動することが対応関係にあるとする(図11参照)。
【0059】
なお、一の変動中演出において、ある画像変位方向への演出画像30の変位と、それとは対応関係にない変動開始方向への装飾図柄80の変位が発生することはない。例えば、画像変位方向が「左方向」である演出画像30の変位が、変動開始方向が「下方向」や「右方向」である装飾図柄80の変位と同じ変動で発生することはない。
【0060】
本実施形態では、一の変動中演出にて、演出画像30が画像変位方向に変位する期間と、当該画像変位方向に対応する変動開始方向に装飾図柄80が変位する期間の少なくとも一部が重複するように設定されている。つまり、画像変位方向に演出画像30が変位することと、それと同じ方向である変動開始方向に装飾図柄80が変位することとが同時期に発生する。
【0061】
本実施形態では、特定モードにおいては、毎変動、画像変位方向および変動開始方向が変化する。『画像変位方向「左方向」/変動開始方向「左方向」』(図11(b)参照)→『画像変位方向「下方向」/変動開始方向「下方向」』(図11(d)参照)→『画像変位方向「右方向」/変動開始方向「右方向」』(図11(f)参照)→『画像変位方向「左方向」/変動開始方向「左方向」』(図11(h)参照)・・・というように、規定順で画像変位方向および変動開始方向が変化していく。
【0062】
このように、本実施形態では、演出画像30の変位方向(画像変位方向)に対応した方向(変動開始方向)に装飾図柄80が変動を開始するものであるから、演出画像30の変位と装飾図柄80の変位が関連した面白みのある演出形態となる。
【0063】
また、本実施形態では、毎変動、画像変位方向および変動開始方向が変化するから、先の変動とそれに続く後の変動の基本的態様(見え方)が常時変化していくことになり、遊技者が飽きを感じてしまうおそれを低減することができる。
【0064】
以下、上記画像対応制御に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、可能な限りにおいて、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
【0065】
〇具体例2-1
上記実施形態における画像対応制御は、変動中演出の冒頭における装飾図柄80の変動開始方向と演出画像30の画像変位方向とを対応関係とするものであることを説明したが、変動中演出の終末期間における装飾図柄80の変位方向と、演出画像30の画像変位方向とが対応関係にあるものとされる構成としてもよい。
【0066】
変動中演出の終末期間は、変動中演出の途中時点(終了間際の途中時点)から終了時点までの期間であるとする。当該期間にて、最終的にはずれ組み合わせを構成する装飾図柄80(三つの装飾図柄80)が表示領域911内に入り込んできて、表示領域911の中央側で停止表示されるまでの変位方向(以下、最終変動方向と称する)が複数の方向のいずれかとされるものとする。例えば、三つの装飾図柄80が表示領域911の右側縁から表示領域911内に入り込み、表示領域911の中央に向かって変位する「左方向」(図12(a)、(g)参照)、表示領域911の上側縁から表示領域911内に入り込み、表示領域911の中央に向かって変位する「下方向」(図12(c)参照)、表示領域911の左側縁から表示領域911内に入り込み、表示領域911の中央に向かって変位する「右方向」(図12(e)参照)の三態様が設けられているものとする。
【0067】
また、終末期間における演出画像30の画像変位方向として、上記最終変動方向のそれぞれに対応するものが設定されているものとする。演出画像30が表示領域911の右側縁から表示領域911内に入り込み、表示領域911の中央に向かって変位する「左方向」(図12(a)、(g)参照)、表示領域911の上側縁から表示領域911内に入り込み、表示領域911の中央に向かって変位する「下方向」(図12(c)参照)、表示領域911の左側縁から表示領域911内に入り込み、表示領域911の中央に向かって変位する「右方向」(図12(e)参照)の三態様が設けられているものとする。
【0068】
画像変位方向の「左方向」、「下方向」、「右方向」は、それぞれ、最終変動方向の「左方向」、「下方向」、「右方向」と対応関係にあるものとされる。各変動中演出の終末期間においては、最終変動方向に対応する方向に変位する演出画像30が表示されることになる(図12参照)。
【0069】
このようにすることで、変動中演出の終末期間にて、装飾図柄80の変動方向と演出画像30の変位方向が関連する面白みのある演出形態とすることができる。また、はずれ変動が連続する場合において、毎変動、画像変位方向および最終変動方向が変化するようにすれば、先の変動とそれに続く後の変動の基本的態様(見え方)が常時変化していくことになるから、遊技者が飽きを感じてしまうおそれを低減することができる。
【0070】
〇具体例2-2
変動終了時点においては、当否抽選結果を示す装飾図柄80の組み合わせ(図柄組み合わせ)が表示される。当該図柄組み合わせの表示態様(組み合わせ表示態様)として、複数の態様が設けられているものとする。各組み合わせ表示態様は、図柄組み合わせを構成する三つの装飾図柄80のうち少なくともいずれかの表示位置が異なるものとする。例えば、右の装飾図柄80から左の装飾図柄80にかけて表示位置がだんだんと下方となるように並ぶ「左下がり態様」(図13(b)(h)参照)、左の装飾図柄80から右の装飾図柄80にかけて表示位置がだんだんと下方となるように並ぶ「右下がり態様」(図13(d)参照)、左右の装飾図柄80よりも中の装飾図柄80が下方に位置するように並ぶ「V字態様」(図13(f)参照)という三つの組み合わせ表示態様が設けられているものとする。
【0071】
また、変動終了時点を含む変動中演出の終末期間における演出画像30の画像変位方向として、上記最終変動方向のそれぞれに対応するものが設定されているものとする。演出画像30が右上から左下に向かうように変位する「左下がり方向」(図13(a)(g)参照)、左上から右下に向かうように変位する「右下がり方向」(図13(c)参照)、上から下に向かうように上下方向に沿って変位する「真下方向」(図13(e)参照)の三態様が設けられているものとする。
【0072】
画像変位方向の「左下がり方向」、「右下がり方向」、「真下方向」は、それぞれ、組み合わせ表示態様の「左下がり態様」、「右下がり態様」、「V字態様」と対応関係にあるものとされる。なおこれは、図柄組み合わせを構成する三つの装飾図柄80のうち、変位する演出画像30が下がっていく方向(左下がりであれば「左」、右下がりであれば「右」、真下であれば「中」)側の装飾図柄80が最も下方に位置するようにした対応関係であるといえる。各変動中演出の終末期間においては、組み合わせ表示態様に対応する画像変位方向に変位する演出画像30が表示されることになる。なお、画像変位方向に変位する演出画像30が表示される期間は、図13に示されるように図柄組み合わせが表示される時点(変動終了時点)より前であってもよいし、図13とは異なり図柄組み合わせが表示される時点(変動終了時点)を含んでいてもよい。
【0073】
このようにすることで、変動中演出の終末期間における演出画像30の変位方向と、当否抽選結果を示す装飾図柄80の組み合わせ表示態様が関連する面白みのある演出形態とすることができる。また、はずれ変動が連続する場合において、毎変動、画像変位方向および最終変動方向が変化するようにすれば、先の変動とそれに続く後の変動の基本的態様(見え方)が常時変化していくことになるから、遊技者が飽きを感じてしまうおそれを低減することができる。
【0074】
〇具体例2-3
上記実施形態では、規定順で画像変位方向および変動開始方向が変化していくこと(上記実施形態の規定順は、『画像変位方向「左方向」/変動開始方向「左方向」』→『画像変位方向「下方向」/変動開始方向「下方向」』→『画像変位方向「右方向」/変動開始方向「右方向」』→『画像変位方向「左方向」/変動開始方向「左方向」』・・・である)ということを説明したが、当該規定順に反する事象が発生した場合(例えば、ある変動で図14(a)のような態様となり、次変動で図14(b-2)のような態様となった場合)には、規定順に沿った事象が発生した場合(例えば、ある変動で図14(a)のような態様となり、次変動で図14(b-1)のような態様となった場合)よりも、大当たり信頼度が高まるものとする。つまり、上記規定順で変化する「法則」が崩れることがいわゆるチャンスアップとして設定された構成とする。
【0075】
法則崩れは、『画像変位方向/変動開始方向』が連続する二変動で同じとなることが連続して発生することで示されるようにすると分かりやすい。つまり、先の変動と後の変動とで『画像変位方向/変動開始方向』に変化が生じない(図14(a)、(b-2)参照)ことが、後の変動に対応する当否抽選結果の大当たり信頼度が高まったことの示唆であるものとする。
【0076】
〇具体例2-4
上記実施形態では、対応関係にある画像変位方向と変動開始方向が「同方向」(表示領域911の近づく側縁が同じ)であることを説明したが、「逆方向」であるものが対応関係にある設定としてもよい。
【0077】
画像変位方向として、上記実施形態にて説明した「左方向」、「下方向」、「右方向」に加え、演出画像30が表示領域911の上側縁に次第に近づくように変位する「上方向」が設けられているものとする。また、変動開始方向として、上記実施形態にて説明した「左方向」、「下方向」、「右方向」に加え、三つの装飾図柄80が表示領域911の上側縁に次第に近づくように変位する「上方向」が設けられているものとする。これを前提とし、画像変位方向の「左方向」、「下方向」、「右方向」、「上方向」は、それぞれ、変動開始方向の「右方向」、「上方向」、「左方向」、「下方向」と対応関係にあるものとする。つまり、同じ変動中演出では、『画像変位方向「左方向」/変動開始方向「右方向」』(図15(b)参照)、『画像変位方向「下方向」/変動開始方向「上方向」』(図15(d)参照)、『画像変位方向「右方向」/変動開始方向「左方向」』(図15(f)参照)、『画像変位方向「上方向」/変動開始方向「下方向」』(図15(h)参照)となるようにする。
【0078】
4)特定遊技状態での変動停止音
4-1)変動停止音の種類
変動中演出が終了した際には効果音(長くても1、2秒程度の短音とされる)である変動停止音がスピーカ65(図1参照)から出力される。なお、変動停止音が出力される期間は、変動停止時に出力されていると遊技者が認識できるような期間であれば変動終了時と若干ずれていてもよい。例えば、変動終了時の直前に出力されるものであってもよいし、変動終了直後に出力されるものであってもよい。
【0079】
特定遊技状態においては当該変動停止音が変化しうる。つまり、特定遊技状態用の変動停止音として複数種の変動停止音が設けられている。本実施形態では、第一変動停止音(以下、第一停止音と称することもある)(図16(b)参照)、第二変動停止音(以下、第二停止音と称することもある)(図16(c)参照)、第三変動停止音(以下、第三停止音と称することもある)(図16(d)参照)の三種が設けられている。
【0080】
本実施形態では、各変動停止音は、音量(音圧)が互いに異なるものである。音量は、第一停止音、第二停止音、第三停止音の順で大きくなる(第三停止音が最大である)。一方、本実施形態における各変動停止音は音の高さ(旋律(メロディ))は同じであるものである。図面においては、当該メロディを「ドン」の文字で、音量の違いを当該文字の大きさの違いにより表す。
【0081】
なお、遊技機が公知の音量調整手段(遊技者が調整可能なものであってもよいし、遊技者は調整できないが遊技店が調整可能なものであってもよい)を備えるものであるとしても、上記各変動停止音の音量の違いは当該音量調整手段によるものではない。音量調整手段により音量のレベル(段階)を上げれば、全ての変動停止音の音量が上がるから、各変動停止音の音量が互いに異なることは保たれる。同様に、音量調整手段により音量のレベル(段階)を下げれば、全ての変動停止音の音量が下がるから、各変動停止音の音量が互いに異なることは保たれる。つまり、音量調整手段を備えるとした場合における「各変動停止音の音量が互いに異なる」とは、音量調整手段による音量のレベルが同じであると仮定した場合に各変動停止音の音量が異なることをいうものとする。
【0082】
4-2)特定遊技状態の残回数と変動停止音の関係
上述した通り、本実施形態における特定遊技状態は、72回連続してはずれとなることが終了条件とされた(ST回数=72回である)ものである。本実施形態では、終了条件成立までに必要な当否抽選の実行回数(はずれ回数)である残回数(STの残り回数)に基づき変動停止音を制御する。残回数が20回を切るまで(特定遊技状態が開始されてから52回連続してはずれとなるまで)の第一期間においては第一停止音が出力される(図16(b)参照)。残回数が20回を切ってから10回を切るまで(特定遊技状態が開始されてから52回連続してはずれとなった後、10回連続してはずれとなるまで)の第二期間においては第二停止音が出力される(図16(c)参照)。残回数が10回を切ってから特定遊技状態が終了するまで(特定遊技状態が開始されてから62回連続してはずれとなった後、特定遊技状態が終了するまで)の第三期間においては第三停止音が出力される(図16(d)参照)。つまり、残回数が少なくなることで成立しうる停止音変更条件が成立することを契機として変動停止音の音量が大きくなるという変化が生じる。本実施形態では、当該停止音変更条件が、残回数が20回の状態で実行されるはずれ変動(特定遊技状態が開始されてから52回目のはずれ変動)が終了すること(第一停止音変更条件)、残回数が10回の状態で実行されるはずれ変動(特定遊技状態が開始されてから62回目のはずれ変動)が終了すること(第二停止音変更条件)であるということである。なお、特定遊技状態を通じて(大当たりに当選することなく特定遊技状態が終了したとした場合に)、停止音変更条件が一回のみ成立するものとしてもよいし、三回以上成立するものとしてもよい。設けられている変動停止音の種類は、特定遊技状態を通じて成立しうる「停止音変更条件の回数+1」とされていればよい。
【0083】
ここで、本実施形態では、第一期間、第二期間および第三期間は、演出モード(変動中演出のモチーフ等を司る要素をいう。演出モードが異なれば装飾図柄80の背景として表示される背景画像(図示省略)や変動中の背景楽曲(BGM)等、演出の基本的構成要素が異なることになる。当該演出モードは「(演出)ステージ」等とも称されるものである。)が異なるというものではない。すなわち、本実施形態は、演出モードの変化が発生するから、それに伴って変動停止音が変化するというものではない。よって、第一期間から第二期間に移行することを契機としてや、第二期間から第三期間に移行することを契機としては、背景画像や変動中の背景楽曲(BGM)が変化するものではない(演出モードの変化を表すような変化が生じるものではない)。具体的にいえば、残回数が20回の状態で実行される変動(先の変動)と、残回数の19回の状態で実行される変動(後の変動)とは変動停止音が第一停止音と第二停止音とで異なるが、先の変動から後の変動にかけて同じ背景画像および背景楽曲が継続的に出力される。同様に、残回数が10回の状態で実行される変動(先の変動)と、残回数の9回の状態で実行される変動(後の変動)とは変動停止音が第二停止音と第三停止音とで異なるが、先の変動から後の変動にかけて同じ背景画像が途切れることなく継続的に表示領域911に表示され続けるし、同じ背景楽曲が途切れることなく継続的にスピーカ65から出力される。つまり、停止音変更条件が成立することになる先の変動から後の変動にかけては基本的な演出の継続性は保たれるが、変動停止音の変化は生じるというものである。また、上記変動停止音(変動停止音の変化)は大当たり信頼度を示唆するものではない。すなわち、変動停止音は、変動中保留情報や変動前保留情報に対応する当否抽選結果の大当たり信頼度を示唆するものではなく、あくまで残回数に基づいて変化するものである。
【0084】
ただし、変動停止音の変化が生じるタイミングと、演出モードが変化するタイミングが偶然一致する(ある変動から次の変動に移行することで演出モードが変化し、ある変動と次の変動で変動停止音も異なる状況となる)可能性がある構成とすることを否定するわけではない。
【0085】
以上説明したように、本実施形態では、特定遊技状態の残回数に基づき変動停止音が変化するから、特定遊技状態が進行していること(残回数が少なくなっていること)を分かりやすく示すことができる。特に、本実施形態では、変動停止音は音量が大きくなる方向に変化するから、残回数が少なくなっていることが強調される(残回数が所定回数を切ることで変動停止音が変化して遊技者の緊迫感が高められる演出形態となる)。
【0086】
以下、上記特定遊技状態での変動停止音に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、可能な限りにおいて、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
【0087】
〇具体例3-1
各変動停止音の態様の違いを以下のようなものとする。各変動停止音は、一または二以上の単位音から構成されるものとする。例えば、単位音として所定の態様(旋律)を有するものが設定されているものとする(図面においては単位音を「ドン」で表す)。各変動停止音は単位音の数が異なるものとする。第一停止音は単位音を一回含む(「ドン」)ものであり(図17(b)参照)、第二停止音は単位音を二回含む(「ドン・ドン」)ものであり(図17(c)参照)、第三停止音は単位音を三回含む(「ドン・ドン・ドン」)ものである(図17(d)参照)とする。
【0088】
特定遊技状態において、第一停止音変更条件が成立するまでの第一期間では第一停止音が、第一停止音変更条件が成立した後、第二停止音変更条件が成立するまでの第二期間では第二停止音が、第二停止音変更条件が成立した後の第三期間では第三停止音が変動停止音として出力されるようにする(図17参照)。このようにすることで、特定遊技状態が進行すると単位音が増加する方向に変動停止音が変化することになるから、残回数が少なくなっていることが単位音の増加により強調される(緊迫感が高められる)という演出形態となる。
【0089】
なお、変動停止音を構成する単位音の態様(旋律)は全て同じでなくてもよい。ただし、相対的に単位音が少ない変動停止音と単位音が多い変動停止音を比較した場合、単位音が多い変動停止音は、単位音が少ない変動停止音の全てを含むものとする。例えば、第一停止音は「ドン」、第二停止音は「ドン・カン」、第三停止音は「ドン・カン・タン」といった態様とする(第二停止音は第一停止音の全てを含み、第三停止音は第二停止音の全てを含む)。
【0090】
また、各変動停止音は、単位音の数が異なるだけでなく、上記実施形態にて説明した音量も異なるものとしてもよい。このようにすることで、各変動停止音の違いがより明確になるという利点がある。
【0091】
〇具体例3-2
上記実施形態にて説明した第一期間~第三期間は二以上の変動を含む期間であるから、各変動停止音は二以上の変動に亘って連続して出力されることになる。これとは異なり、特定遊技状態の少なくとも一部の対象期間(当該対象期間は、三つ以上の連続する変動を含む期間であるとする)において、一変動毎に変動停止音が変化する構成とする(図18参照)。つまり、対象期間においては、一回のはずれ変動が終了する度に停止音変更条件が成立する構成とする。なお、変動停止音が変化することは特定遊技状態の残回数が減少していることを遊技者に強調するものであるため、上記対象期間は特定遊技状態の最終変動を含む期間であることが好ましい。
【0092】
例えば、残回数が10回の状態から特定遊技状態の最終変動に至るまで、毎変動、変動停止音が変化するようにする(少なくとも10種の変動停止音(第一停止音~第十停止音)を用意する)。上記実施形態に即して言えば、対象期間においては、一変動が終了する度に、次第に音量が大きくなっていく変化が生じるようにする。このようにすることで、特定遊技状態の終了が近づいていることが毎変動の変動停止音の変化により強調されることになる。
【0093】
〇具体例3-3
変動停止音が出力されるとともに、当該変動停止音の種類に応じた画像(以下、効果画像40と称する)が表示されるものとする。上記実施形態のように、変動停止音として第一停止音、第二停止音、第三停止音の三種類が設けられているのであれば、それぞれに対応する効果画像40として、第一効果画像41(図19(b)参照)、第二効果画像42(図19(c)参照)、第三効果画像43(図19(d)参照)の三種(各効果画像40は互いに態様が異なるものである)が設けられたものとされる。変動停止音は装飾図柄80が変動を停止したことを示す音であるため、これとともに表示される効果画像40は変動を停止した装飾図柄80に付随するように表示されるものとすることが好ましい。本例のように「聴覚」に訴える演出を補うものとして「視覚」に訴える演出を実行するようにすることで、変動停止音が変化していることが変化画像によって強調されることになる。
【0094】
上記実施形態のように、停止音変更条件が成立する度に変動停止音の音量が大きくなる構成とするのであれば、効果画像40の変化もそれに応じたものとすることが好ましい。例えば、変動停止音が大きいものほど、対応する効果画像40も大きい(表示される範囲が広い)構成とする(図19(b)~(d)参照)。このようにすることで、変動停止音の音量の大きさが視覚的に強調されることになる。
【0095】
〇具体例3-4
上記実施形態は、特定遊技状態の残回数に基づいて変動停止音が変化しうるものであることを説明したが、変動が終了する度に残回数が減少し終了が近づく状態であれば、特定遊技状態以外のものを対象の状態として変動停止音が変化しうる構成とすることができる。
【0096】
例えば、「10回転以内に〇〇せよ」といったミッションモード(表示される回転数以内に〇〇が発生した場合には大当たりが確定する演出モード)が公知である。このようなミッションモードに移行した場合において、ミッションモードが終了するまでの残回数(残りの変動数)に基づき変動停止音が変化しうるものとする。残回数が10回~4回までは第一変動停止音が、3回から終了までは第二変動停止音が出力されるといったように、残回数がある閾値に到達することで停止音変更条件が成立するものとし、それを契機として変動停止音が変化するようにする。
【0097】
5)以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0098】
上記実施形態にて説明した事項は、ぱちんこ遊技機特有の構成を利用した点を除いて、回胴式遊技機等その他の遊技機にも適用することが可能である。
【0099】
上記実施形態では、当否抽選結果の態様として大当たりおよびはずれが設定され、大当たりとなることで大当たりが獲得される(大当たり遊技が実行される)ものであるが、いわゆる小当たり経由により大当たりが獲得できるものとしてもよい。このように小当たり経由で大当たりが獲得できる遊技性(小当たり当選時に開放される特典領域(V領域)に遊技球を進入させることで大当たりが得られるいわゆる「二種遊技機」の遊技性)を備えたもの自体は周知であるため詳細な説明を省略するが、例えば小当たりに当選した場合、(遊技機の故障や遊技者が指示通り遊技を行わない等のイレギュラーな事象が発生した場合を除き)それが大当たりの獲得に繋がるという設定(実質的に小当たり当選と大当たり当選が同一視できる設定)である設定とするのであれば、上記実施形態にて説明した大当たりの当選とは、小当たりに当選することを含む(「大当たり」は「小当たり」に読み替えることができる)ものとする。
【0100】
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
【0101】
・手段1-1
所定の動作を行うことが可能な可動体と、切替時点前の前半部分および当該切替時点後の後半部分に区分けされ、当該前半部分および後半部分の長さが毎回変化しうる特定演出を実行する演出実行手段と、を備え、前記後半部分の長さがT1時間以上である場合には、当該後半部分にて前記可動体を動作させる演出ではない基本演出および前記可動体を動作させる可動演出が実行され、前記後半部分の長さが前記T1時間未満である場合には、当該後半部分にて前記基本演出は実行されるものの前記可動演出は実行されないことを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、後半部分の長さがT1時間以上となる場合には可動演出が実行されるから、後半部分が間延びしていると遊技者が感じるおそれを低減することができる。
【0102】
・手段1-2
前記後半部分の長さがT2時間以上である場合には、当該後半部分にて前記基本演出、前記可動演出、および前記基本演出とは異なる演出であって前記可動体を動作させる動作させる演出ではない付加演出が実行されることを特徴とする手段1-1に記載の遊技機。ただし、T2>T1であるとする。
このように、後半部分がさらに長くなる場合には、基本演出とは異なる付加演出が実行されるようにすることもできる。
【0103】
・手段1-3
前記基本演出と前記付加演出との間で、前記可動演出が実行されることを特徴とする手段1-2に記載の遊技機。
このようにすることで、付加演出と基本演出が可動演出によって明確に「分断」されるため、後半部分の演出が変化に富んだものとなり、後半部分を長いと遊技者が感じてしまうおそれがより低まる。
【0104】
・手段2-1
当否抽選結果を報知するための複数種の装飾図柄が表示される表示領域を有する表示手段と、前記表示領域にて前記装飾図柄が複数の変動を開始する変動開始時点から、当否抽選結果に応じた図柄組み合わせが構築されて当該変動が停止する変動停止時点までの変動中演出を実行する演出実行手段と、を備え、前記変動中演出にて、前記装飾図柄ではない画像であって、複数の画像変位方向のいずれかに向かって変位する演出画像が表示されることがあり、前記演出画像が表示される前記変動中演出における前記装飾図柄の表示態様を、前記画像変位方向に対応したものとする画像対応制御が実行可能であることを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、演出図柄の変位方向と、装飾図柄の表示態様が関連する面白みのある演出形態が実現される。
【0105】
・手段2-2
前記変動開始時点を含む所定期間中に、前記装飾図柄は複数の変動開始方向のいずれかに向かって変動するものであり、前記画像対応制御は、前記変動開始方向を、前記画像変位方向に対応したものとする制御であることを特徴とする手段2-1に記載の遊技機。
このようにすることで、変動開始時の装飾図柄の変位方向が、演出図柄の変位方向と関連するという演出形態が実現される。
【0106】
・手段2-3
前記変動終了時点にて表示される前記図柄組み合わせは、当該図柄組み合わせを構成する複数の前記装飾図柄の少なくともいずれかの表示位置が異なる複数の組み合わせ表示態様のうちのいずれかとされるものであり、前記画像対応制御は、前記組み合わせ表示態様を、前記画像変位方向に対応したものとする制御であることを特徴とする手段2-1に記載の遊技機。
このようにすることで、当否抽選結果を示す図柄組み合わせの表示態様が、演出図柄の変位方向と関連するという演出形態が実現される。
【0107】
・手段3-1
複数種の装飾図柄が変動を開始してから当否抽選結果に応じた態様で停止するまでの変動中演出を実行する演出実行手段と、当否抽選結果が当たりとなることを目指して遊技する遊技状態として、通常遊技状態および当該通常遊技状態よりも有利な特定遊技状態を設定することが可能な遊技状態設定手段と、前記特定遊技状態における前記変動中演出にて、前記装飾図柄が変動を停止する際に変動停止音を出力する音出力手段と、を備え、前記特定遊技状態は、規定回数連続して当否抽選結果がはずれとなる終了条件が成立した場合には終了するものであり、前記終了条件が成立するまでに必要な当否抽選の実行回数である残回数に基づき、複数種の前記変動停止音のうちのいずれが出力されるのかが決定されることを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、特定遊技状態が進行していることを、変動停止音の変化により分かりやすく示すことができる。
【0108】
・手段3-2
複数種の前記変動停止音は、音量が互いに異なるものであり、前記残回数が少なくなることで成立しうる停止音変更条件が成立することを契機として、音量が大きくなる方向に前記変動停止音が変化することを特徴とする手段3-1に記載の遊技機。
このようにすることで、特定遊技状態の終了が近づいていることに対する緊迫感が、変動停止音の音量が大きくなることで表現された演出形態となる。
【0109】
・手段3-3
複数種の前記変動停止音は、一または二以上の単位音から構成されるものであって、当該単位音の数が互いに異なるものであり、前記残回数が少なくなることで成立しうる停止音変更条件が成立することを契機として、前記単位音の数が多くなる方向に前記変動停止音が変化することを特徴とする手段3-1に記載の遊技機。
このようにすることで、特定遊技状態の終了が近づいていることに対する緊迫感が、変動停止音を構成する単位音の増加により表現された演出形態となる。
【0110】
・手段3-4
前記変動中演出中には前記音出力手段より背景楽曲が出力され、先の変動中演出にて出力される前記変動停止音と当該先の変動中演出に続く後の変動中演出にて出力される前記変動停止音の種類が異なるときでも、当該先の変動中演出から当該次の変動中演出にかけて前記背景楽曲が継続的に出力される場合があることを特徴とする手段3-1から手段3-3のいずれかに記載の遊技機。
変動停止音の変化は、あくまで残回数が少なくなっていることを示すものであるから、背景楽曲が継続的に出力されるような状況においても発生しうるようにするとよい。
【符号の説明】
【0111】
1 遊技機
10 突発画像
15 付加画像
20 可動体
30 演出画像
40 効果画像(41~43 第一効果画像~第三効果画像)
65 スピーカ
80 装飾図柄
91 表示装置
911 表示領域
図1
図2
図3
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