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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115926
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】包装シート巻き付け装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 19/26 20060101AFI20240820BHJP
   B65H 18/14 20060101ALI20240820BHJP
   B65H 16/02 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
B65H19/26
B65H18/14
B65H16/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021837
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101203
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100104499
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 達人
(72)【発明者】
【氏名】辻 裕司
(72)【発明者】
【氏名】山川 洋平
【テーマコード(参考)】
3F052
3F055
3F064
【Fターム(参考)】
3F052AA03
3F052BA10
3F052CA08
3F052DA01
3F055AA05
3F055CA01
3F055DA26
3F055EA09
3F055FA05
3F055FA13
3F064AA03
3F064CA03
3F064CA04
3F064CB06
3F064CC04
3F064DA01
3F064EA01
3F064EB06
3F064EB13
3F064FA04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】包装シートが薄い場合であっても、製品ロールに包装シートを巻き付けることができる包装シート巻き付け装置を提供する。
【解決手段】包装シートロールを回転自在に保持する包装シートロール保持部を備え、上包装シートを搬送する第1ユニットと、X軸方向に沿って包装シートを切断するカット機構、Y軸方向におけるカット位置で包装シートの始端部と巻取ロールとを接着テープで貼り付け、カット位置で包装シートの終端部と製品ロールとを接着テープで貼り付けるテープ貼り機構、カット位置までY軸方向に移動可能に支持する巻取ロール支持軸、製品ロールの表面を押圧可能なニップローラを備える第2ユニットと、回転自在に、かつ、カット位置において鉛直方向に移動可能に支持する製品回転軸を備える第3ユニットと、を有し、上記第1ユニットと、上記第2ユニットの少なくとも一方はY軸方向に移動可能である、包装シート巻き付け装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装シートロールから巻き出された包装シートを、巻取ロールに一旦巻き取り、前記巻取ロールに巻き取られた前記包装シートを前記巻取ロールから巻き出して製品ロールに巻き付けて製品ロールを包装する、包装シート巻き付け装置であって、
前記包装シートロールの回転軸が、水平面に平行なX軸と平行となるように、前記包装シートロールを回転自在に支持する包装シートロール保持部を備える第1ユニットと、
前記巻取ロールの回転軸が前記X軸と平行となるように、前記巻取ロールを回転自在に支持し、前記包装シートロールから巻き出された前記包装シートがカットされるカット位置と、前記カット位置から前記包装シートロール保持部に対して離間する位置である初期位置との間を、前記X軸と水平面で直角方向であるY軸方向に移動可能な巻取ロール支持軸、
前記包装シートロール保持部と、前記巻取ロール支持軸の前記初期位置との間に位置し、前記巻取ロールで所定の長さが巻き取られた前記包装シートを、前記カット位置で前記X軸方向に沿って切断するカット機構、
前記カット位置に配置され、前記包装シートの始端部を前記巻取ロールに接着テープで貼り付ける機能、および前記カット機構によりカットされた所定の長さの前記包装シートの終端部を前記製品ロールに接着テープで貼り付ける機能を有するテープ貼り機構、および
前記巻取ロール支持軸の前記初期位置と、前記カット位置との間に鉛直方向に移動可能に配置され、前記製品ロールの表面を押圧可能なニップローラを備える第2ユニットと、
前記製品ロールを回転自在に、かつ、前記カット位置において鉛直方向に移動可能に支持する製品ロール支持軸を備える第3ユニットと、を有し、
前記第1ユニットと、前記第2ユニットの少なくとも一方は前記Y軸方向に移動可能である、包装シート巻き付け装置。
【請求項2】
前記第1ユニットは、前記包装シートに張力を付与するための第1テンションロールを有する、請求項1に記載の包装シート巻き付け装置。
【請求項3】
前記第1ユニットは、包装シートを固定可能な第1固定機構を有する、請求項1に記載の包装シート巻き付け装置。
【請求項4】
前記第1ユニットは、昇降可能かつ前記包装シートを吸着可能な第1吸着機構を有する、請求項1に記載の包装シート巻き付け装置。
【請求項5】
前記第2ユニットは、包装シートを固定可能な第2固定機構を有する、請求項1に記載の包装シート巻き付け装置。
【請求項6】
前記第2ユニットは、昇降可能かつ前記包装シートを吸着可能な第2吸着機構を有する、請求項1に記載の包装シート巻き付け装置。
【請求項7】
前記包装シートは、アルミ蒸着フィルムである、請求項1に記載の包装シート巻き付け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、包装シート巻き付け装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、製品ロール等の被包装体に包装シートを巻き付ける巻き付け包装装置が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、中空円筒体の包装装置が開示されており、包装装置は、円筒体の中空部に進入して円筒体を搬送手段より持ち上げ回転させる支持機構、及び持ち上げた円筒体の外周を抱持するように巻きつく胴巻きベルト機構の組合せを含むことが記載されている。
【0004】
特許文献2には、一対のクレードルロール上に線材コイルを載置すると共に線材コイルを回転させつつ線材コイル幅より広い幅寸法を有する梱包用資材で該線材コイルを包み込み、その後該資材の余り部を絞り込んで線材コイル内径部へ押し込む線材コイル自動梱包方法において、線材コイル包み込み時に資材の尾端を包み込む前に検出して、線材コイルの回転を一時停止させて資材の尾端へテープ幅方向に接着代を残して接着テープを下側から貼付し、その後線材コイルの回転を再開させコイルの自重により残りの該接着代と包み込む梱包用資材を接着させる線材コイル自動梱包方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭58-082812号公報
【特許文献2】特開平6-345038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の装置は、例えば薄いシートを包装シートとして用いる場合、シート端をベルトと中空円筒体の間に垂らす際に、風などの影響によってシート端がはためき、シート端が折れた状態で製品にニップされる可能性がある。また、薄いシートの場合、垂らしたシート端がベルトに触れる同時に、隣接するベルト同士の隙間においてシートがたわんだ状態になり、そのままニップされる可能性がある。これにより製品幅方向にシートがしわやたるみを持った状態で包装される恐れがある。
【0007】
従って、このような薄い包装シートの巻き付け作業は人手作業によって行っているのが実情であり、熟練者と初心者の技能差などによる、品質のばらつきや作業時間の違いが生まれている。
【0008】
本開示は、上記問題に鑑みてなされた発明であり、包装シートが薄い場合であっても、製品ロールに包装シートを巻き付けることができる包装シート巻き付け装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、包装シートロールから巻き出された包装シートを、巻取ロールに一旦巻き取り、上記巻取ロールに巻き取られた上記包装シートを上記巻取ロールから巻き出して製品ロールに巻き付けて製品ロールを包装する、包装シート巻き付け装置であって、上記包装シートロールの回転軸が、水平面に平行なX軸と平行となるように、上記包装シートロールを回転自在に支持する包装シートロール保持部を備える第1ユニットと、上記巻取ロールの回転軸が上記X軸と平行となるように、上記巻取ロールを回転自在に支持し、上記包装シートロールから巻き出された上記包装シートがカットされるカット位置と、上記カット位置から上記包装シートロール保持部に対して離間する位置である初期位置との間を、上記X軸と水平面で直角方向であるY軸方向に移動可能な巻取ロール支持軸、上記包装シートロール保持部と、上記巻取ロール支持軸の上記初期位置との間に位置し、上記巻取ロールで所定の長さが巻き取られた上記包装シートを、上記カット位置で上記X軸方向に沿って切断するカット機構、上記カット位置に配置され、上記包装シートの始端部を上記巻取ロールに接着テープで貼り付ける機能、および上記カット機構によりカットされた所定の長さの上記包装シートの終端部を上記製品ロールに接着テープで貼り付ける機能を有するテープ貼り機構、および上記巻取ロール支持軸の上記初期位置と、上記カット位置との間に鉛直方向に移動可能に配置され、上記製品ロールの表面を押圧可能なニップローラを備える第2ユニットと、上記製品ロールを回転自在に、かつ、上記カット位置において鉛直方向に移動可能に支持する製品ロール支持軸を備える第3ユニットと、を有し、上記第1ユニットと、上記第2ユニットの少なくとも一方は上記Y軸方向に移動可能である、包装シート巻き付け装置を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、薄い包装シートであっても、製品ロールに包装シートを巻き付けることが可能な包装シート巻き付け装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の包装シート巻き付け装置の一例を示す概略側面図である。
図2】本開示の包装シート巻き付け装置の一例を示す概略斜視図である。
図3】本開示の包装シート巻き付け装置の一例を示す概略上面図である。
図4】本開示の包装シート巻き付け装置の作動機構を説明する概略側面図である。
図5】本開示の包装シート巻き付け装置の作動機構を説明する概略側面図である。
図6】本開示の包装シート巻き付け装置の作動機構を説明する概略側面図である。
図7】本開示の包装シート巻き付け装置の作動機構を説明する概略側面図である。
図8】本開示の包装シート巻き付け装置の作動機構を説明する概略側面図である。。
図9】本開示の包装シート巻き付け装置の作動機構を説明する概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
下記に、図面等を参照しながら本開示の実施の形態を説明する。ただし、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、下記に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の形態に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表わされる場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0013】
本明細書において、ある部材の上に他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」、あるいは「下に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある部材に接するように、直上、あるいは直下に他の部材を配置する場合と、ある部材の上方、あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合との両方を含むものとする。また、本明細書において、ある部材の面に他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「面側に」または「面に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある部材に接するように、直上、あるいは直下に他の部材を配置する場合と、ある部材の上方、あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合との両方を含むものとする。
【0014】
以下、本開示の包装シート巻き付け装置について説明する。
図1は、本開示の包装シート巻き付け装置の一例を示す概略側面図である。図2は、図1に示す包装シート巻き付け装置の一例を示す概略斜視図である。図3は、図1に示す包装シート巻き付け装置の一例を示す概略上面図である。図1図3に示す包装シート巻き付け装置1は、包装シートロールR1から巻き出された包装シートSを、包装シートの幅以上の幅を有する巻取ロールR2に巻き取り、巻取ロールR2に巻き取られた包装シートSを、包装シートの幅より短い幅を有する製品ロールR3に巻き付ける装置である。
【0015】
本明細書の包装シート巻き付け装置は、包装シートロールR1、巻取ロールR2および製品ロールR3がX軸方向に平行に配置される。即ち、X軸方向は、包装シートの幅方向に相当する。また、本明細書においては、X軸方向と水平面において垂直な方向をY軸方向とする。
【0016】
包装シート巻き付け装置1は、第1ユニットU1、第2ユニットU2および第3ユニットU3を有する。図3においては、鉛直方向(Z軸方向)から見て、第3ユニットU3は、第1ユニットU1および第2ユニットU2と重複しないように位置している。また、図3においては、移動可能な部材の移動方向を点線で示している。
【0017】
第1ユニットU1は、包装シートロールR1を回転自在に保持する包装シートロール保持部11を備える。第2ユニットU2は、X軸方向に沿って包装シートSを切断するカット機構23、Y軸方向におけるカット位置Y1で包装シートSの始端部Sと巻取ロールR2とを接着テープで貼り付け、かつ、カット位置Y2で包装シートSの終端部Sと製品ロールR3とを接着テープで貼り付けるテープ貼り機構22、Y軸方向において、カット位置Y1に対して包装シートロール保持部11とは反対側に離間した初期位置に位置し、巻取ロールR2を回転自在かつ上記カット位置Y1までY軸方向に移動可能に支持する巻取ロール支持軸21、および、巻取ロール支持軸21とカット位置Y2との間に鉛直方向に移動可能に配置され、製品ロールR3の表面を押圧可能なニップローラ24を備える。第3ユニットU3は、製品ロールR3を回転自在に、かつカット位置Y2において鉛直方向に移動可能に支持する製品回転軸31を備える。また、第1ユニットU1および第2ユニットU2の少なくとも一方はY軸方向に移動可能である。
【0018】
図1図2および図3に示すように、第1ユニットU1は、搬送されている包装シートSを案内する複数のガイドロール12~14を有していてもよい。また、鉛直方向に移動可能であり、包装シートSの搬送時に包装シートSを下方に押し下げて張力を付与するための第1テンションロール15を有していてもよい。また、鉛直方向に移動可能であり、巻取ロールR2への巻取時に、包装シートSを上方に押し上げて張力を付与するための第2テンションロール16を有していてもよい。
【0019】
第1ユニットU1は、さらに、包装シートSを固定可能な第1固定機構17を有していてもよい。また、鉛直方向に昇降可能かつ包装シートSを吸着可能な第1吸着機構18を有していてもよい。
【0020】
第2ユニットU2は、鉛直方向に昇降可能かつ包装シートSを吸着可能な第2吸着機構28を有していてもよい。第2吸着機構28は、第1ユニットU1における吸着機構18と対となって配置されていてもよい。第2ユニットU2は、包装シートSを固定可能な第2固定機構27を有していてもよい。
【0021】
次に、本開示における包装シート巻き付け装置の作動機構について、詳述する。図4図9は、図1図2および図3に示す本開示における包装シート巻き付け装置1を用いて、包装シートSを製品ロールに巻き付ける様子を例示した概略側面図である。
【0022】
上述した図1は、前弾の製品ロールへの巻き付けが終了後、初期状態に復旧した包装シート巻き付け装置の概略側面図を示している。包装シートSは包装シートロールR1から巻き出され、ガイドロール12、13、14および第1テンションロール15、第2テンションロール16を通り、包装シートSの始端部S近傍が第1吸着機構18で吸着されている。
【0023】
次に、図4(a)に示すように、第1吸着機構18で包装シートSを吸着したまま、巻取ロールR2を、初期位置Y0から包装シートSの始端部S直上(Y軸方向におけるカット位置Y1)までY軸方向に移動させる。次に、テープ貼り機構22を上昇させ、カット位置Y1で包装シートSの始端部Sと巻取ロールR2とを接着テープで貼り合わせる。
【0024】
次に、図4(b)に示すように、テープ貼り機構22を下降させ、第1吸着機構18での包装シートの吸着を停止し、第1吸着機構18を下降させる。また、第2テンションロール16を上昇させ、包装シートSを押し上げて張力を付与する。
【0025】
次に、図5(a)に示すように第2テンションロール16により張力を付与した状態で、巻取ロールR2を回転させて、所望の長さの包装シートSを巻き取る。
【0026】
次に、図5(b)に示すように、包装シートSを巻き取った巻取ロールR2を初期位置Y0に戻しつつ、包装シートSを引き出す。次に、第2テンションロール16を下げる。
【0027】
次に、図6(a)に示すように、第1固定機構17および第2固定機構27で、包装シートSのカット位置の前後を固定する。さらに、第1吸着機構18および第2吸着機構28を、上昇させ、包装シートSを吸着して保持する。これにより、包装シートSが薄い場合にも、たわみや皺を更に抑制することができ、包装シートを精度良く切断することができる。
【0028】
次に、図6(b)に示すように、X軸方向に沿ってカット機構23で包装シートSを切断する。この際、図3に示すように、カット位置でカット機構23をX軸方向に移動させることによって、X軸方向に切断することが好ましい。
【0029】
次に、図7(a)に示すように、第1ユニットU1を、第2ユニットU2とは反対方向に移動させる。次に、製品ロールR3を、包装シートSの終端部S(Y軸方向におけるカット位置Y2)直上に下降させる。なお、図7においては、第2ユニットU2を固定して第1ユニットU1を移動しているが、第1ユニットU1を固定して第2ユニットU2を第1ユニットU1とは反対方向に移動させてもよい。
【0030】
次に、図7(b)に示すように、テープ貼り機構22を上昇させ、カット位置Y2で包装シートSの終端部Sを、接着テープで製品ロールR3に貼り合わせる。
【0031】
次に、図8(a)に示すように、テープ貼り機構22を下降させ、第2吸着機構28による吸着を停止し、第2吸着機構28を下降させる。
【0032】
次に、図8(b)に示すように、ニップローラ24で製品ロールR3の表面を押圧しつつ、製品ロールR3を回転させ、製品ロールR3に包装シートSを巻き取る。最後に、最初に貼った接着テープの始端部Sが巻取ロールR2から剥がれ、ニップローラ24で製品ロールR3に貼られる。
【0033】
次に、図9に示すように、ニップローラ24を下降させ、製品ロールR3から離す。さらに、製品ロールR3を鉛直方向に上昇させ、第3ユニットU3を次工程で使用する装置にY軸方向に移動させる。次に、第1ユニットU1を、第2ユニットU2側に移動させ、初期状態に戻す。
【0034】
例えば、従来の製品ロールに直接シートフィルムを巻き取る方式では、クラフト紙のようにコシがあるシートの場合、初弾、次弾と連続して巻き付けることが可能である。
しかしながら、アルミ蒸着フィルムのような薄い包装シートを、包装シートの幅未満の幅を有する製品ロールに巻き付けた場合、製品ロール幅より幅方向外側のシートにおいて、たわみや皺が発生し、包装シートの幅方向における端部が正常位置から幅方向内側へずれる場合がある。そのため、包装シートの切断が困難となる。また、次弾の製品の巻き付け時にも包装シートの位置ずれが発生する恐れがある。
【0035】
一方、本開示の包装シート巻き付け装置によれば、一時的に、包装に使用する長さの包装シートをシートフィルム幅と同幅以上の巻取ロールで巻き取り、切断する。従って、巻取ロールでの巻き取り時には、位置ずれを抑制することができ、包装シートの切断が容易となる。さらに、本開示の包装シート巻き付け装置によれば、製品ロールへの巻き付けは巻取ロールに一時的に巻き取った包装シートを使用することができる。従って、上流の包装シートとは縁切りされており、たるみや皺が発生しても、次弾の製品ロールの巻き付け時に悪影響を及ぼすことがない。そのため、本開示の包装シート巻き付け装置によれば、薄いフィルムであっても、製品ロールへの巻き付けを連続して行うことが可能である。
【0036】
また、特許文献1においては、三角筒形状、四角筒形状などの円筒形状以外の物品を包装することが困難であるという問題がある。また、特許文献2においては、製品を胴受けローラーで受けた状態で回転させるため、製品の自重が製品に加わることとなり、製品に圧痕ができる可能性がある。
【0037】
一方、本開示によれば、製品ロールを胴受け回転することなく、製品ロールを軸回転して包装シートを巻き付けることができるため、製品表面に圧痕などの傷をつけることなく、包装が可能である。また、円筒形状に関わらず、様々な形状の製品ロールへの巻き付けが可能である。
【0038】
以下、本開示における包装シート巻き付け装置の各構成及び特性について、詳細に説明する。
【0039】
本開示における包装シート巻き付け装置は、図1図2および図3に示すように、包装シートロールR1から巻き出された包装シートSを、巻取ロールR2に巻き取り、巻取ロールR2に巻き取られた包装シートSを、製品ロールR3に巻き付ける装置である。
【0040】
包装シート巻き付け装置1は、第1ユニットU1、第2ユニットU2および第3ユニットU3を有する。第1ユニットU1、第2ユニットU2および第3ユニットU3は、それぞれ独立しており、第1ユニットU1および第2ユニットU2の少なくとも一方はY軸方向に移動可能である。
【0041】
1.第1ユニット
本開示における第1ユニットは、包装シートロールR1を回転自在に保持する包装シートロール保持部を有する。図1に示すように、包装シートロール保持部11は、包装シートロールR1の胴部を支持する胴受けローラー11であることが好ましい。また、包装シートロールを回転自在に支持する回転軸であってもよい。
【0042】
図1に示すように、包装シートロール保持部11により保持される包装シートロールR1は、例えば、筒形の巻芯19を備え、この巻芯19に長尺の包装シートが巻回されてなるものが挙げられる。包装シートの幅(図3における長さL1)は、製品ロールの幅(図3における長さL3)よりも大きいことが好ましい。本開示によれば、包装シートの幅が製品ロールの幅よりも大きくても、上述した理由により、包装シートの位置ずれを抑制しつつ、製品ロールを包装することができる。包装シートとしては、樹脂フィルム上にアルミニウム蒸着層を有するアルミ蒸着フィルム、クラフト紙等が挙げられるが、アルミ蒸着フィルムであることが好ましい。防湿性に優れるためである。
【0043】
包装シートの厚さの下限値としては、例えば、20μm以上であることが好ましく、40μm以上尾であることがより好ましい。本開示においては、薄い包装シートであっても、包装シートの位置ずれを抑制しつつ、製品ロールを包装することができる。一方、包装シートの厚さの上限値としては、150μm以下であることが好ましく、特に150μm以下であることが好ましい。
【0044】
本開示における第1ユニットは、図1図2および図3に示すように、搬送されている包装シートSを案内する複数のガイドロール12、13、14を備えていてもよい。ガイドロールは、通常、回転軸方向がX軸方向となるように配置されている。ガイドロールの数は、2以上であることが好ましく、3以上であることが好ましい。ガイドロール12、13、14は、例えば、第1支持部W1に固定されて配置されていることが好ましい。
【0045】
第1ユニットは、図1図2及び図3に示すように、包装シートSを下方に押し下げて張力を付与するための第1テンションロール15を有していてもよい。第1テンションロール15は、例えば、第1支持部W1に昇降可能に配置されていることが好ましい。また、巻取ロールR2に包装シートを巻き取る際(図4(b))に、包装シートSを上方に押し上げて張力を付与するための第2テンションロール16を有することが好ましい。第2テンションロール16を有することにより、包装シートが薄い場合にも巻取ロールR2に包装シートを巻き取る際に、包装シートのたるみや皺を抑制することができる。第2テンションロール16は、例えば、第1支持部W1に昇降可能に配置されていることが好ましい。
【0046】
第1ユニットは、図1図2及び図3に示すように、包装シートSを固定可能な第1固定機構17を有することが好ましい。包装シートの切断時に、第1固定機構17によって包装シートの切断位置の前後を固定することができ、薄い包装シートであっても、精度良く切断することができる。また、第1ユニットU1が第1テンションロール15を有する場合には、包装シートの切断後には、包装シートSが包装シートロールR1に巻き戻される方向に張力が働く。そのため、包装シートの切断後には、第1固定機構17によって包装シートの巻き戻りを抑制することができる。
【0047】
図1図2及び図3に示すように、第1固定機構17は、第1ユニットにおけるX軸方向の両端部に配置されていることが好ましい。図1に示すように、第1固定機構17は、例えば、エアシリンダ17aと、エアシリンダ17aの作動により下方に突出する押圧部17bと、固定部17cと、を有する。エアシリンダ17aによる押圧力により、押圧部17bと固定部17cとの間に、包装シートSが把持され、固定される。
【0048】
第1ユニットは、鉛直方向に移動可能かつ包装シートを吸着可能な第1吸着機構18を有することが好ましい。第1吸着機構18は、第1ユニットにおけるX軸方向の中心からX軸方向の外側にずれた位置に配置されていることが好ましい。第1吸着機構18および後述する第2吸着機構28を有することにより、切断箇所近傍を押さえて張った状態とすることできるため、薄い包装シートSであっても切断を精度良く行うことができる。吸着機構としては、包装シートを吸着保持可能な公知の部材を用いることができる。例えば、吸着面を負圧状態にすることで包装シートを吸着して保持することできるとともに、吸着面を大気圧状態にすることで吸着を解除することができる吸着パッドを用いることができる。
【0049】
第1ユニットは、Y軸方向に沿って、第2ユニットU2とは反対側に移動可能であることが好ましい。製品ロールへの包装シートの巻き付け前に、第1ユニットと第2ユニットとの間隔を開けることができ、カット位置における製品ロールの下降を容易に行うことができ、製品ロールへの巻き付けを容易に行うことができる。
【0050】
2.第2ユニット
本開示における第2ユニットは、第1ユニットよりも、包装シートの搬送方向の下流側に位置する。
【0051】
第2ユニットU2は、Y軸方向におけるカット位置Y1で包装シートSの始端部Sと巻取ロールR2とを接着テープで貼り付け、かつ、同じ位置であるカット位置Y2で包装シートSの終端部Sと製品ロールR3とを接着テープで貼り付けるテープ貼り機構22を有する。図4(a)に示すように、テープ貼り機構22は、カット位置Y1に移動した巻取ロールR2に、包装シートの始端部Ssを接着テープで貼り付ける。また、図7(b)に示すように、包装シートSを切断してできた終端部Sを、カット位置Y2において下降した製品ロールR3に接着テープで貼り付ける。テープ貼り機構によって、包装シートの始端部を巻取ロールに貼り付け、かつ、終端部を製品ロールに貼り付けることで、包装シートを製品ロールに密着して巻き付けることができる。
なお、カット位置Y1およびカット位置Y2は、通常は同一の位置となるが、異なる位置であってもよい。
【0052】
テープ貼り機構は、昇降可能であることが好ましい。また、X軸方向に移動可能であることが好ましい。この場合、テープ貼合時には、テープ貼り機構を上昇させ、接着テープの端部を包装シートのX軸方向における一端に貼りつけ、X軸方向における他端に向かって接着テープを貼りながら移動させることによって、包装シートの端辺に接着テープを貼り付けることができる。また、テープ貼り機構は、特に図示しないが、接着テープロール、接着テープを切断するためのテープカッター、および接着テープを押圧するためのニップロールを有することが好ましい。
【0053】
第2ユニットU2は、包装シートSを切断するカット機構23を有している。カット機構は、カッター刃が用いられることが好ましい。また、X軸方向に移動可能であることが好ましい。この場合、切断時以外においては、カット機構は、他の部材や包装シートと干渉しないように、X軸方向の端に配置されていることが好ましい。切断時には、X軸方向における一端からX軸方向における他方に向かって移動させることによって、包装シートを切断することができる。
【0054】
第2ユニットU2は、巻取ロール支持軸21とカット位置Y2との間に鉛直方向に移動可能に配置され、製品ロールR3の表面を押圧可能なニップローラ24を有する。巻取ロールから製品ロールに包装シートを巻き付けていくと、最後に、包装シートの始端部Sに貼られた接着テープが巻取ロールR2から剥がれる。製品ロールへの巻き付け時(製品ロールの回転時)に、ニップローラ24で製品ロールの表面を押圧することにより、剥がれた接着テープの始端部Sが製品ロールに密着して貼り付けられ、包装シートの端辺を製品ロールに接着することができる。即ち、巻取ロールへの巻取時に使用した接着テープを、製品ロールへの巻き付け時にも、再度使用することができる。
【0055】
第2ユニットU2は、切断位置Y1に対して包装シートロール保持部11とは反対側に位置し、巻取ロールR2を回転自在かつ初期位置Y0からカット位置Y1までY軸方向に移動可能に支持する巻取ロール支持軸21を有する。巻取ロール支持軸21は、両側が、第2支持部W2に移動可能に支持されていることが好ましい。巻取ロール支持軸21は、手動で回転させてもよいし、駆動装置により回転させてもよい。
【0056】
巻取ロールR2は、製品ロールR3を包装するのに必要な長さの包装シートを一時的に巻き取る部材である。巻取ロールR2の幅(図3における長さL2)は、通常、包装シートの幅(図3における長さL1)より広い。具体的には、巻取ロールR2の幅が包装シートの幅より5mm以上広いことが好ましく、特に10mm以上広いことが好ましい。
【0057】
第2ユニットU2は、包装シートSを固定可能な第2固定機構27を有していてもよい。第2ユニットU2は、鉛直方向に昇降可能かつ包装シートSを吸着可能な第2吸着機構28を有していてもよい。第2固定機構および第2吸着機構としては、それぞれ、上述した第1固定機構および第1吸着機構と同様のものが挙げられる。第2固定機構27および第2吸着機構28を有することにより、包装シートSが薄い場合であっても、包装シートの切断を精度良く行うことができる。
【0058】
本開示においては、第1ユニットU1および第2ユニットU2の少なくとも一方はY軸方向に移動可能である。これにより、製品ロールへの包装シートの巻き付け前に、第1ユニットと第2ユニットとの間隔を開けることができる。本開示においては、第1ユニットU1が移動可能であり、第2ユニットU2が固定されていることが好ましい。この場合、図2に示すように、第1ユニットU1に含まれる部材を支持する第1支持部W1に、車輪が取り付けられていることが好ましい。
【0059】
また、製品ロールへの包装シートの巻き付け前に、第1ユニットと第2ユニットとの間隔を開けることができればよいため、第2ユニットU2が移動可能であり、第1ユニットU1が固定されていてもよい。この場合、第2ユニットU2に含まれる部材を支持する第2支持部W2に、車輪が取り付けられていることが好ましい。第1ユニットU1および第2ユニットU2の両方がY軸方向に移動可能であってもよい。
【0060】
3.第3ユニット
第3ユニットU3は、製品ロールR3を、回転自在に、かつ、カット位置Y2において鉛直方向に移動可能に支持する製品回転軸31を備える。製品回転軸31は片側が第3支持部W3に鉛直方向に移動可能に支持されていることが好ましい。片側が支持されていることにより、次工程で使用する装置への装着を容易とすることができる。また、第3ユニットU3は、Y軸方向に移動可能であることが好ましい。次工程で使用する装置への移動が容易となるためである。さらに、第3ユニットU3は、X軸方向に移動可能であることが好ましい。第3ユニットU3がX軸方向に移動可能であることにより、包装後の製品ロールを製品回転軸から抜くことが容易となるためである。第3ユニットU3が移動可能である場合、第3支持部W3は車輪が取り付けられていることが好ましい。
【0061】
本開示における製品ロールは、回転軸によって回転自在に支持される製品である。製品ロールの形状としては、例えば、円筒形状、三角筒形状、四角筒形状等が挙げられる。中でも、円筒状の巻き芯と、巻き芯に巻回された製品フィルムと、を備える製品ロールであることが好ましい。
【0062】
製品ロールの幅(図3における長さL3)は、包装シートの幅L1よりも小さいことが好ましい。製品ロールの幅L3に対する包装シートの幅L1の割合(L1/L3)は、例えば、1.0より大きく、1.1以上であってもよく、1.3以上であってもよい。一方、上記割合(L1/L3)は、例えば、1.6以下であってもよいし、1.5以下であってもよい。
【0063】
本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
【0064】
このように、本開示においては、例えば、以下の発明が提供される。
【0065】
[1]
包装シートロールから巻き出された包装シートを、巻取ロールに一旦巻き取り、上記巻取ロールに巻き取られた上記包装シートを上記巻取ロールから巻き出して製品ロールに巻き付けて製品ロールを包装する、包装シート巻き付け装置であって、
上記包装シートロールの回転軸が、水平面に平行なX軸と平行となるように、上記包装シートロールを回転自在に支持する包装シートロール保持部を備える第1ユニットと、
上記巻取ロールの回転軸が上記X軸と平行となるように、上記巻取ロールを回転自在に支持し、上記包装シートロールから巻き出された上記包装シートがカットされるカット位置と、上記カット位置から上記包装シートロール保持部に対して離間する位置である初期位置との間を、上記X軸と水平面で直角方向であるY軸方向に移動可能な巻取ロール支持軸、
上記包装シートロール保持部と、上記巻取ロール支持軸の上記初期位置との間に位置し、上記巻取ロールで所定の長さが巻き取られた上記包装シートを、上記カット位置で上記X軸方向に沿って切断するカット機構、
上記カット位置に配置され、上記包装シートの始端部を上記巻取ロールに接着テープで貼り付ける機能、および上記カット機構によりカットされた所定の長さの上記包装シートの終端部を上記製品ロールに接着テープで貼り付ける機能を有するテープ貼り機構、および
上記巻取ロール支持軸の上記初期位置と、上記カット位置との間に鉛直方向に移動可能に配置され、上記製品ロールの表面を押圧可能なニップローラを備える第2ユニットと、
上記製品ロールを回転自在に、かつ、上記カット位置において鉛直方向に移動可能に支持する製品ロール支持軸を備える第3ユニットと、を有し、
上記第1ユニットと、上記第2ユニットの少なくとも一方は上記Y軸方向に移動可能である、包装シート巻き付け装置。
【0066】
[2]
上記第1ユニットは、包装シートに張力を付与するための第1テンションロールを有する、[1]に記載の包装シート巻き付け装置。
【0067】
[3]
上記第1ユニットは、包装シートを固定可能な第1固定機構を有する、[1]または[2]に記載の包装シート巻き付け装置。
【0068】
[4]
上記第1ユニットは、昇降可能かつ上記包装シートを吸着可能な第1吸着機構を有する、[1]から[3]までのいずれかに記載の包装シート巻き付け装置。
【0069】
[5]
上記第2ユニットは、包装シートを固定可能な第2固定機構を有する、[1]から[4]までのいずれかに記載の包装シート巻き付け装置。
【0070】
[6]
上記第2ユニットは、昇降可能かつ上記包装シートを吸着可能な第2吸着機構を有する、[1]から[5]までのいずれかに記載の包装シート巻き付け装置。
【0071】
[7]
上記包装シートは、アルミ蒸着フィルムである、[1]から[6]までのいずれかに記載の包装シート巻き付け装置。
【符号の説明】
【0072】
U1 … 第1ユニット
U2 … 第2ユニット
U3 … 第3ユニット
R1 … 包装シートロール
R2 … 巻取ロール
R3 … 製品ロール
11 … 包装シートロール保持部
12,13,14… ガイドロール
15,16 … テンションロール
17 … 第1固定部材
18 … 第1吸着部材
22 … テープ貼り機構
23 … カット機構
24 … ニップローラ
27 … 第2固定部材
28 … 第2吸着部材
31 … 回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9