IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日立産機システムの特許一覧

<>
  • 特開-診断システム、および処理装置 図1
  • 特開-診断システム、および処理装置 図2
  • 特開-診断システム、および処理装置 図3
  • 特開-診断システム、および処理装置 図4
  • 特開-診断システム、および処理装置 図5
  • 特開-診断システム、および処理装置 図6
  • 特開-診断システム、および処理装置 図7
  • 特開-診断システム、および処理装置 図8
  • 特開-診断システム、および処理装置 図9
  • 特開-診断システム、および処理装置 図10
  • 特開-診断システム、および処理装置 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115931
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】診断システム、および処理装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 51/00 20060101AFI20240820BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20240820BHJP
   F04B 49/10 20060101ALI20240820BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20240820BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
F04B51/00
G05B23/02 V
G05B23/02 302R
F04B49/10 331L
F04B49/10 331M
G06Q50/10
H04Q9/00 311J
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021846
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】光野 正志
(72)【発明者】
【氏名】中川 雄介
【テーマコード(参考)】
3C223
3H145
5K048
5L049
【Fターム(参考)】
3C223AA01
3C223AA23
3C223BA03
3C223CC02
3C223DD03
3C223EB01
3C223EB02
3C223EB07
3C223FF02
3C223FF03
3C223FF12
3C223FF33
3C223FF34
3C223FF35
3C223FF42
3C223FF52
3C223GG01
3H145AA14
3H145AA25
3H145AA42
3H145BA28
3H145CA03
3H145CA25
3H145DA04
3H145EA13
3H145EA48
3H145FA03
3H145FA20
3H145FA25
3H145FA27
5K048BA21
5K048BA34
5K048EB10
5K048EB11
5K048EB12
5K048FB10
5K048HA21
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】機器の稼働データから非効率的な稼働状態にある機器の異常についての診断を行う。
【解決手段】プロセッサとメモリとを有したコンピュータを用いて、監視対象の機器を診断する診断システムであって、プロセッサは、監視対象の機器に対して周期的に行われた制御と、当該制御に従って運転された機器の運転時間とを含む稼働データを受け取り、稼働データに含まれる制御と機器の運転時間とが所定の関係を満たすか否かの判断に基づいて、非効率的な稼働状態にある機器の異常についての診断を行う。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサとメモリとを有したコンピュータを用いて、監視対象の機器を診断する診断システムであって、
前記プロセッサは、
前記監視対象の機器に対して周期的に行われた制御と、当該制御に従って運転された前記機器の運転時間とを含む稼働データを受け取り、
前記稼働データに含まれる前記制御と前記機器の運転時間とが所定の関係を満たすか否かの判断に基づいて、非効率的な稼働状態にある前記機器の異常についての診断を行う、
ことを特徴とする診断システム。
【請求項2】
前記監視対象の機器は、圧縮機により構成され、
前記稼働データは、前記圧縮機が行う負荷運転および無負荷運転を切り替えることで、前記圧縮機が出力する圧力を下限圧力以上かつ上限圧力以下に制御する負荷制御と、前記無負荷運転が所定時間以上継続した場合に前記圧縮機を停止させ、前記圧力が所定値以下となった場合に前記圧縮機を再駆動する発停制御と、に関する前記圧縮機の制御に関する情報を含み、
前記プロセッサは、
前記稼働データに含まれる前記負荷運転と前記無負荷運転とを行った負荷回数または前記圧縮機を駆動する動力を停止して再駆動した発停回数の少なくとも一方と、前記圧縮機の運転時間と、に基づき、前記圧縮機の異常についての診断を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の診断システム。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記運転時間に対する発停回数が所定の条件を満たす場合、前記圧縮機が有する空気タンクの容量不足である旨の診断を行う、
ことを特徴とする請求項2に記載の診断システム。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記稼働データに含まれる前記圧縮機の1日の平均負荷率が一定以上高く、かつ吐出圧力が上限圧力に達しない場合、前記圧縮機のスペック不足である旨の診断を行う、
ことを特徴とする請求項2に記載の診断システム。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記運転時間に対する負荷回数が一定以上多い場合に、前記発停回数に関する判断を行う、
ことを特徴とする請求項3に記載の診断システム。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記運転時間に対する発停回数が所定の条件を満たさない場合であって、前記圧縮機の圧力設定が所定の閾値よりも一定以上狭い場合、前記圧力設定の改善が必要である旨の診断を行う、
ことを特徴とする請求項2に記載の診断システム。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記運転時間に対する発停回数が所定の条件を満たさない場合であって、前記圧縮機の圧力設定が所定の閾値よりも一定以上狭くない場合、フィルタ目詰まりである旨の診断を行う、
ことを特徴とする請求項2に記載の診断システム。
【請求項8】
前記プロセッサは、
前記稼働データに含まれる前記圧縮機の1日の平均負荷率が一定以上高くなく、かつ前記運転時間に対する発停回数が所定の条件を満たす場合、前記圧縮機からエア漏れの可能性がある旨の診断を行う、
ことを特徴とする請求項2に記載の診断システム。
【請求項9】
前記プロセッサは、
前記運転時間に対する負荷回数にかえて、前記運転時間に対する負荷時間が一定以上多いか否かの判断を行う、
ことを特徴とする請求項5に記載の診断システム。
【請求項10】
前記プロセッサは、
前記異常の診断が行われた圧縮機と運転状態が一定程度近似する圧縮機の前記稼働データと、前記異常の診断が行われた圧縮機の前記稼働データとを比較し、当該比較の結果と、前記診断の結果と、前記診断に基づく所定の改善案とを含む画面を表示装置に表示する、
ことを特徴とする請求項1に記載の診断システム。
【請求項11】
プロセッサとメモリとを有し、監視対象の機器を診断する処理装置であって、
前記プロセッサは、
前記監視対象の機器に対して周期的に行われた制御と、当該制御に従って運転された前記機器の運転時間とを含む稼働データを受け取り、
前記稼働データに含まれる前記制御と前記機器の運転時間とが所定の関係を満たすか否かの判断に基づいて、非効率的な稼働状態にある前記機器の異常についての診断を行う、
ことを特徴とする処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の監視対象機器を診断する診断システム、および処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化の進行に伴い、CO2の実質的な排出量ゼロを実現する脱炭素社会を実現する取り組みがなされている。産業用機器を常に監視するIoT(Internet of Things)クラウドを用いた遠隔監視システムにより、遠隔から機器の稼働状態や異常の発生有無を可視化するサービスの普及が進んでいる。しかし、CO2の排出が大きい産業用機器には、省エネルギーへの取り組みが要求されている。
【0003】
従来、機器の処理負荷を軽減する監視装置に関する技術として、特許文献1に開示された技術が知られている。この特許文献1には、処理負荷を軽減しつつ、モータ制御装置の半導体素子の余寿命を監視することができる圧縮機の監視システムに関する発明で、モータによって駆動されて気体を圧縮する圧縮機本体と、圧縮機本体の吐出側に設けられて圧縮気体の圧力を検出する圧力センサとを備え、モータコントローラ及び運転コントローラのうち少なくとも一方は、半導体素子の余寿命又は消費寿命が所定の閾値に達した場合に、その旨を表示する指令を表示装置へ出力することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-072708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、圧力センサで検出された圧力に基づいて負荷運転と無負荷運転を切り替える運転コントローラとを備え、モータを停止させることで圧縮機本体を停止させる技術は開示されている。しかしながら、監視対象の機器の非効率的な稼働を抽出する方法については記載がない。産業用機器のCO2削減を実現するには、機器の停止を制御するだけでなく、省エネルギーの観点を考慮した効率的な稼働が求められる。
【0006】
本発明の目的は、機器の稼働データから非効率的な稼働状態にある機器の異常についての診断を行う技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の好ましい一例は、プロセッサとメモリとを有したコンピュータを用いて、監視対象の機器を診断する診断システムであって、前記プロセッサは、前記監視対象の機器に対して周期的に行われた制御と、当該制御に従って運転された前記機器の運転時間とを含む稼働データを受け取り、前記稼働データに含まれる前記制御と前記機器の運転時間とが所定の関係を満たすか否かの判断に基づいて、非効率的な稼働状態にある前記機器の異常についての診断を行う、ことを特徴とする診断システムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、機器の稼働データから非効率的な稼働状態にある機器の異常についての診断を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施例の監視システムを示す構成図である。
図2】圧縮機の構成を示す図である。
図3】情報通信装置の構成を示す図である。
図4】機器情報データベースの構成例を示す図である。
図5】顧客情報データベースの構成例を示す図である。
図6】稼働データ管理テーブルの構成例を示す図である。
図7】本実施例の動作フローを示す図である。
図8】圧縮機診断処理の動作フローを示す図である。
図9】比較処理の動作フローを示す図である。
図10】データ可視化の出力例を示す図である。
図11】比較データの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の記載および図面は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略および簡略化がなされている。本発明は、他の種々の形態でも実施する事が可能である。特に限定しない限り、各構成要素は単数でも複数でも構わない。
【0011】
図面において示す各構成要素の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
【0012】
以下の説明では、「データベース」、「テーブル」、「リスト」等の表現にて各種情報を説明することがあるが、各種情報は、これら以外のデータ構造で表現されていてもよい。データ構造に依存しないことを示すために「XXテーブル」、「XXリスト」等を「XX情報」と呼ぶことがある。識別情報について説明する際に、「識別情報」、「識別子」、「名」、「ID」、「番号」等の表現を用いた場合、これらについてはお互いに置換が可能である。
【0013】
同一あるいは同様な機能を有する構成要素が複数ある場合には、同一の符号に異なる添字を付して説明する場合がある。ただし、これらの複数の構成要素を区別する必要がない場合には、添字を省略して説明する場合がある。
【0014】
また、以下の説明では、プログラムを実行して行う処理を説明する場合があるが、プログラムは、プロセッサ(例えばCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit))によって実行されることで、定められた処理を、適宜に記憶資源(例えばメモリ)および/またはインターフェースデバイス(例えば通信ポート)等を用いながら行うため、処理の主体がプロセッサとされてもよい。同様に、プログラムを実行して行う処理の主体が、プロセッサを有するコントローラ、装置、システム、計算機、ノードであってもよい。プログラムを実行して行う処理の主体は、演算部であれば良く、特定の処理を行う専用回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit))を含んでいてもよい。
【0015】
プログラムは、プログラムソースから計算機のような装置にインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布サーバまたは計算機が読み取り可能な記憶メディアであってもよい。プログラムソースがプログラム配布サーバの場合、プログラム配布サーバはプロセッサと配布対象のプログラムを記憶する記憶資源を含み、プログラム配布サーバのプロセッサが配布対象のプログラムを他の計算機に配布してもよい。また、以下の説明において、2以上のプログラムが1つのプログラムとして実現されてもよいし、1つのプログラムが2以上のプログラムとして実現されてもよい。
【0016】
(1)本実施の形態による診断システムの構成
図1は、本実施例における診断システムを含む監視システムの一例を示す構成図である。診断システムを含む監視システム1は、空気圧縮機などの複数の監視対象の機器の状態を監視するシステムである。図1に示すように、監視システム1は、1又は複数の工場等のサービス拠点2にそれぞれ設置された1又は複数の監視対象の一例である圧縮機3と、サービス拠点2を監視する監視センタ4に設置された情報処理装置5とが、インターネット等のネットワーク6を介して接続されて構成されている。以下では、監視対象となる機器の一例として圧縮機を例示するが、圧縮機と同様の運転に関する制御が行われる装置(例えば、ファンやブロワ等の送風機)にも適用可能である。
【0017】
各圧縮機3(図1では、圧縮機1から圧縮機nまでのn台のそれぞれ)は、各機器内の圧力や、それまでの累積の運転時間などの情報を、稼働データとしてネットワーク6を介して定期的又は不定期に情報処理装置5に送信する。また、圧縮機3は、何らかの測定値が閾値以上となった場合や、故障が発生した場合、及び、修理や点検が行われた場合などに、その内容に応じた警報や通知を、ネットワーク6を介して情報処理装置5に送信する。
【0018】
図2は、圧縮機3の構成を示す図である。圧縮機3は、圧縮した空気を排出する装置である。図2に示すように、圧縮機3は、圧縮機3の本体機構である圧縮機本体31、圧縮機本体31を駆動するための動力源である動力機構32、圧縮機3の吐出する空気の圧力である吐出圧力を検知して測定する圧力センサ33、圧縮機3が行う負荷運転および無負荷運転を切り替えることで圧縮機3が出力する吐出圧力を下限圧力以上かつ上限圧力以下に制御する負荷制御を行う負荷制御回路34、無負荷運転が所定時間以上継続した場合に圧縮機3を停止させ、吐出圧力が所定値以下となった場合に圧縮機3を再駆動する発停制御を行う発停制御回路35、圧縮機本体31により圧縮された空気を出力する出力装置36を備えて構成される。
【0019】
図3は、情報処理装置5の構成を示す図である。情報処理装置5は、各圧縮機3の機器状態を監視して診断する機能を有するサーバであり、上記診断システムを構成するサーバである。図3に示すように、情報処理装置5は、CPU10、メモリ11、補助記憶装置12、ネットワークインタフェース13、入力装置14及び出力装置15を備えて構成される。
【0020】
CPU10は、情報処理装置5の動作を統括的に制御するプロセッサである。また、メモリ11は、不揮発性の記憶素子からなる図示しないROM(Read Only Memory)と、揮発性の記憶素子からなる図示しないRAM(Random Access Memory)とから構成される。ROMには、BIOS(Basic Input Output System)などの不変のプログラムが格納される。また、RAMは、DRAM(Dynamic RAM)などから構成され、CPU10のワーキングメモリとして利用される。メモリ11が記憶する情報については後述する。
【0021】
補助記憶装置12は、ハードディスク装置やSSD(Solid State Drive)などの大容量かつ不揮発性の記憶装置から構成される。補助記憶装置12には、各種プログラムや、長期間保存すべき各種データが格納される。補助記憶装置12に格納されたプログラムやデータが、分析サーバの起動時や必要時に補助記憶装置12からメモリ11にロードされる。CPU10が、メモリ11にロードされたプログラムを実行することにより、後述のような情報処理装置5全体としての各種処理が実行される。
【0022】
ネットワークインタフェース13は、例えばNIC(Network Interface Card)から構成され、ネットワーク6(図1)を介した監視対象の各圧縮機3との通信時におけるインターフェースとして機能する。
【0023】
入力装置14は、例えばマウスやキーボードなどから構成され、ユーザが情報処理装置5に対する各種の操作入力を行うために利用される。また、出力装置15は、例えば液晶パネル、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、及び/又はプリンタなどから構成され、必要な情報を表示、又は印刷などにより出力するために利用される。なお、入力装置14及び出力装置15は、これらが一体化したタッチパネルなどから構成されていてもよい。
【0024】
本システムに記憶され、あるいは処理に用いられる様々なデータは、CPUがメモリまたは記憶装置から読み出して利用することにより実現可能である。また、各機能部(例えば、データ入力部21、診断部22、比較部23、データ出力部24、データ可視化部25)は、CPUが記憶装置に記憶されている所定のプログラムをメモリにロードして実行することにより実現可能である。
【0025】
上述した所定のプログラムは、記憶媒体から、あるいはネットワークから、記憶装置に記憶(ダウンロード)され、それから、メモリ上にロードされて、CPUにより実行されるようにしてもよい。また、記憶媒体から、あるいは通信装置を介してネットワークから、メモリ上に直接ロードされ、CPUにより実行されるようにしてもよい。
【0026】
以下では、本システムの機能が、ある1つのサーバにより行われる場合を例示するが、これらの機能の全部または一部が、クラウドのような1または複数のコンピュータに分散して設けられ、ネットワークを介して互いに通信することにより同様の機能を実現してもよい。本システムを構成する各部が行う具体的な処理については、フローチャートを用いて後述する。
【0027】
続いて、メモリ11に記憶される情報について説明する。図3に示すように、メモリ11は、データ入力部21、診断部22、比較部23、データ出力部24、データ可視化部25、機器情報DB26を有する。これらの各部は、プログラムやモジュールといった、CPU10が実行可能なソフトウェアにより構成される。
【0028】
図4は、機器情報DB(データベース)の構成例を示す図である。機器情報DB206は、顧客情報管理テーブル27、稼働データ管理テーブル28を有する。
【0029】
図5は、顧客情報管理テーブルの構成例を示す図である。顧客情報管理テーブル27は、サービス拠点2で圧縮機3を使用している企業や団体等のユーザを管理するためのテーブルである。図5に示すように、顧客情報管理テーブル27は、圧縮機3を使用するユーザ名を示す顧客名27A、圧縮機3の設置場所を示す設置場所27B、圧縮機3を識別するための製造番号27C、圧縮機3の種類を示す型式27Dが記録されている。図5では、例えば、企業である「株式会社A」では、「xx県○○市」のサービス拠点2に、製造番号「XXX1234」、型式「Aモデル」で識別される圧縮機3を設置していることを示している。ここでは1台の圧縮機3について例示するが、サービス拠点2の広さや環境に応じた数の圧縮機3が登録されている。
【0030】
図6は、稼働データ管理テーブルの構成例を示す図である。稼働データ管理テーブル28は、圧縮機3の稼働実績を示す稼働データを管理するためのテーブルである。図6に示すように、稼働データ管理テーブル28は、上述した製造番号(および型式)28A、稼働データの取得日時28B、稼働データに含まれる項目(1~n)28C、当該項目の数値(1~n)28Dが記録されている。図6では、例えば、製造番号「XXX1234(型式Aモデル)」で識別される圧縮機3は、「2019/5/13 9:00」において、発停回数「2512」回、吐出圧力「0.65」MPa、上限圧力「0.78」MPa、復帰圧力「0.6」MPa、負荷回数「121600」回、負荷時間「2537」時間、運転時間「500」時間といった各項目および値を含む稼働データが取得されたことを示している。
【0031】
これらの各項目の値は、図2に示した圧縮機3の各部から得られる。例えば、発停回数は、発停制御回路35が記録する、発停制御された圧縮機3の発動および停止する回数である。また、吐出圧力は、負荷制御回路34が記録する、圧縮機3が行う負荷運転および無負荷運転を切り替えることで圧縮機3が出力する吐出圧力である。上限圧力は、負荷制御回路34が設定する、上記吐出圧力の上限値である。また、復帰圧力は、負荷制御回路34が設定する、発動状態における上記吐出圧力の下限値に達するまでに必要となる吐出圧力である。負荷回数は、負荷制御回路34が記録する、圧縮機本体31が再駆動されて上記吐出圧力の下限値以上となった回数である。また、負荷時間は、負荷制御回路34が記録する、圧縮機3が再駆動されて上記吐出圧力の下限値以上となった時間である。運転時間は、発停制御回路35が記録する、発停制御圧縮機3が発動している時間である。
【0032】
圧縮機3は、負荷運転および無負荷運転を切り替えることで、出力する吐出圧力を下限圧力以上かつ上限圧力以下に制御する負荷制御を行う負荷制御を行い、無負荷運転が所定時間以上継続した場合に動作を停止させ、吐出圧力が所定値以下となった場合に再駆動する発停制御を行う。これらの負荷制御や発停制御は、圧縮機の運転において繰り返し行われる制御である。本実施例では、稼働データ管理テーブル28において、圧縮機3の周期的な稼働状態に関する稼働データが記録される。そのため、図6では、例えば、製造番号「XXX1234(型式Aモデル)」の圧縮機の場合、「2019/5/13 9:00」を起点とするある一定の期間における発停回数、吐出圧力、上限圧力、復帰圧力、負荷回数、負荷時間、運転時間が記録される。これらの値については、例えば、出た入力部30が、圧縮機3から受け取った稼働データに対する統計処理(例えば、平均値の算出、上記ある一定の期間における運転時間の集計等)を行って、稼働データ管理テーブル28に格納すればよい。
【0033】
このように、本実施例では、発停制御や負荷制御といった圧縮機の運転において繰り返し行われる制御を対象として、そのような制御のパターンを分析する。そして、当該分析の結果に応じて、例えば、非効率な稼働をしている圧縮機について、そのような制御を行う頻度を変化させるなど、圧縮機に対する省エネを促すための改善策を提案する。非効率な稼働の一例としては、発停制御や負荷制御において得られた各種の稼働データの値(図6では、項目1~7に対する数値1~7)が所定の範囲外となっている稼働が挙げられる。そして、圧縮機に対して周期的に行われている圧力設定や駆動(再駆動)などの制御について、設定の見直しや無駄な駆動を減らす、といった提案を行う。以下、具体的な処理について説明する。
【0034】
図7は、本実施例の動作フローを示す図である。データ入力部21は、図1に示すサービス拠点2に配置された各圧縮機3から、顧客情報と稼働データを受け取る。データ入力部21は、入力された顧客情報と稼働データを機器情報DB26に格納し、診断部22に出力する(S701)。具体的には、データ入力部21は、顧客情報を顧客情報管理テーブル27に格納し、稼働データを稼働データ管理テーブル28に格納する。
【0035】
診断部22は、機器情報DB26に格納された顧客情報に紐付く情報を取得する(S702)。具体的には、診断部22は、図8に示す圧縮機診断処理の動作フローに従い、診断結果を決定し、顧客情報と診断結果とを、比較部23に出力する。
【0036】
比較部23は、図9に示す比較処理の動作フローに従い、顧客情報及び稼働データと、診断結果及び比較結果を、データ出力部24に出力する(S703)。
【0037】
データ出力部24は、比較部23から取得した顧客情報及び稼働データと、診断結果及び比較結果に従い、可視化する内容をデータ可視化部25に出力する(S704)。
【0038】
データ可視化部25は、データ出力部24から取得した顧客情報及び稼働データと、診断結果及び比較結果を、図10に示すように、顧客名51、対象機器名52、設置場所53、製造番号54、コメント55、診断結果56、比較結果57、省エネ改善案58を含む出力結果として出力する(S705)。出力結果は、図示しないプリンタ等の印刷装置からレポートのような印刷物として出力される形態でも良いし、出力装置15の画面に出力されるブラウザ上で表示する形態でも良い。
【0039】
図8は、圧縮機診断処理の動作フローを示す図である。前述した通り、診断部22は、機器情報DB26の顧客情報管理テーブル27に格納された、顧客名27A、設置場所27B、製造番号27C、型式27Dと、稼働データ管理テーブル28に格納された製造番号28A、取得日時28B、項目(1~n)28C、数値(1~n)28Dを取得する(S001)。具体的には、診断部22は、顧客情報管理テーブル27に格納されたデータのうち、取得した顧客情報と一致するデータが、顧客名が「株式会社A」、設置場所が「XX県○○市」、製造番号が「XXX1234」、型式「Aモデル」のデータである場合、これらの情報を読み取り、稼働データ管理テーブル28から製造番号「XXX1234」および型式「Aモデル」に紐付いたデータとして取得する。例えば、診断部22は、取得日時が「2019/5/13 9:00」、発停回数が「2512」回、吐出圧力が「0.65」MPa、上限圧力が「0.78」MPa、復帰圧力が「0.6」MPa、負荷回数が「121600」回、負荷時間「2537」時間、運転時間が「500」時間のデータを取得する。
【0040】
診断部22は、取得したこれらの稼働データに対し、運転時間に対して負荷回数が多いか否かを判断する(S10)。診断部22は、所定の判断基準(負荷回数/運転時間≧83.33[回/時間])より多いと判断した場合(S10;YES)、さらに、運転時間に対して発停回数が多いか否か(発停回数/運転時間≧3[回/時間])を判断する(S11)。S11では、運転時間に対して負荷回数が多いか否かを判断しているが、運転時間に対して負荷時間が多いか否かを判断してもよい。この場合も、所定の判断基準(負荷時間/運転時間)が所定の閾値以上であるか否かに基づいて判断すればよい。
【0041】
診断部22は、運転時間に対して発停回数が多いと判断した場合は(S11;YES)、診断結果A(空気タンクの容量不足)と判断し、その結果を出力する(S111)。一方、診断部22は、運転時間に対して発停回数が多くないと判断した場合は(S11;NO)、さらに、圧力設定が狭いか否か(閾値となる幅である0.10MPa未満)を判断する(S12)。
【0042】
診断部22は、圧力設定が狭いと判断した場合は(S12;YES)、診断結果B1(圧力設定の改善)と判断し、その結果を出力する(S121)。一方、診断部22は、圧力設定が狭くないと判断した場合は(S12;NO)、診断結果B2(フィルタ目詰まり)と判断し、その結果を出力する(S122)。
【0043】
診断部22は、S10において、取得した稼働データに対し、上記所定の判断基準より多くないと判断した場合(S10;NO)、さらに、負荷率が高いか否かを判断(S13)する。
【0044】
診断部22は、負荷率が所定の判断基準(平均負荷率≧50[%/日])より高いと判断した場合は(S13;YES)、さらに、吐出圧力が上限圧力に到達したか否かを判断する(S14)。診断部22は、吐出圧力が上限圧力に到達していたと判断した場合(S14;YES)、診断結果D(圧縮機のスペック不足)と判断し、その結果を出力する(S141)。一方、診断部22は、吐出圧力が上限圧力に到達していないと判断した場合(S14;NO)、正常と判断し、その結果を出力する(S142)。
【0045】
また、診断部22は、S13において、負荷率が所定の判断基準より高くないと判断した場合は(S13;NO)、さらに、運転時間に対して発停回数が多いか否かを判断する(S15)。診断部22は、発停回数が所定の判断基準(発停回数/運転時間≧3[回/時間])より多いと判断した場合(S15;YES)、診断結果C(エア漏れの可能性あり)と判断し、その結果を出力する(S151)。一方、診断部22は、発停回数が上記所定の判断基準より多くないと判断した場合は(S15;NO)、正常と判断し、その結果を出力する(S152)。
【0046】
具体的には、診断部22は、製造番号が「XXX1234」により識別される圧縮機3の場合、発停回数が「2512」回、吐出圧力が「0.65」MPa、上限圧力が「0.78」MPa、復帰圧力が「0.6」MPa、負荷回数が「121600」回、負荷時間が「2537」時間、運転時間が「500」時間である。そのため、この処理では、負荷回数/運転時間=243.2[回/時間](S10でYES)、発停回数/運転時間=5.24[回/時間](S11でYES)となり、診断部22は、診断結果A(空気タンクの容量不足)と判断する。
【0047】
図9は、比較処理の動作フローを示す図である。前述したとおり、比較部23は、診断部22から診断結果を取得し、診断部22から取得した顧客情報と診断結果に基づく情報を、機器情報DB26から取得する(S002)。
【0048】
比較部23は、診断部31から取得した診断結果を確認し(S20)、型式と運転時間を確認する(S21)。圧縮機3は、発動、停止といった制御を周期的に繰り返して運転されるため、比較部23は、所定期間において圧縮機が発動している運転時間を確認する。
【0049】
比較部23は、機器情報DB26から型式が一致及び運転時間が同じ程度の稼働データを、比較対象として取得する(S22)。上記運転時間が同じ程度とは、例えば、診断対象となった圧縮機の運転時間に対して所定の範囲(±50時間)であることを意味する。
【0050】
比較部23は、前述した圧縮機診断処理を実行した診断結果を取得し、取得した当該診断結果とS22で取得した稼働データとを比較し、その比較結果を出力する(S23)。例えば、比較部23は、S22において比較対象として取得した圧縮機3(比較対象A)の稼働データと、S20で確認した診断結果が得られた圧縮機3の稼働データとを比較する。比較部23は、S20で確認した診断結果が得られた圧縮機3の稼働データと比較対象Aの稼働データとを比較すると、上記診断結果が得られた圧縮機3の運転時間は「550」時間であり、比較対象Aと比べて50時間多いが「正常」の診断結果が出ている、という比較結果を出力する。あるいは、比較部23は、S20で確認した診断結果が得られた圧縮機3の稼働データとS22において比較対象として取得した他の圧縮機3(比較対象B)の稼働データとを比較すると、上記診断結果が得られた圧縮機3の運転時間は「450」時間であり、比較対象Aと比べて50時間少ないが「フィルタ目詰まり」の診断結果が出ている、という比較結果を出力する。
【0051】
図10は、本実施例において出力されるデータを可視化した画面の例を示す図である。当該画面の画面構成50は、顧客名51、対象機器名52、設置場所53、製造番号54、コメント55、診断結果56、比較結果57、省エネ改善案58を含む。
【0052】
顧客名51は、S701において入力され、データ出力部24から出力された顧客情報に含まれる顧客名を表示する領域である。当該領域には、例えば、顧客名「株式会社A」が表示される。
【0053】
対象機器名52は、上記顧客情報に含まれる圧縮機3の製造番号を表示する領域である。当該領域には、例えば、製造番号「XXX1234」が表示される。この場合、製造番号ではなく、当該製造番号に紐づけられる型式や、図示しない製品名を表示してもよい。
【0054】
設置場所53は、上記顧客情報に含まれる圧縮機3が設置されている場所を表示する領域である。当該領域には、例えば、設置場所「xx県○○市」が表示される。
【0055】
製造番号54は、上記顧客情報に含まれる圧縮機3の製造番号を表示する領域である。当該領域には、例えば、製造番号「XXX1234」が表示される。
【0056】
コメント55は、システムの管理者等が、当該画面において診断結果や比較結果を確認した際に入力される領域である。例えば、診断結果や比較結果を見た管理者が、これらの結果を受けて、過去の経験に基づく判断により、対応すべき時期「○月△日までに交換することが望ましい」といったコメントを入力する。データ可視化部25は、入力されたコメントを、例えば、顧客情報管理テーブル27に記憶されている顧客名「株式会社A」、設置場所「xx県○○市」、製造番号「XXX1234」を含むデータに対応付けて記録する。これにより、圧縮機3の担当者は、当該顧客に対して取るべき時期や方針を容易に把握することができる。
【0057】
診断結果56は、図8に示した圧縮機診断処理の結果を表示する領域である。当該領域には、例えば、「診断結果A(空気タンクの容量不足)」といった旨の文言が表示される。
【0058】
比較結果57は、図9に示した比較処理の結果を表示する領域である。当該領域には、S23において説明したように、例えば、比較結果「運転時間は「550」時間であり、比較対象Aと比べて50時間多いが「正常」の診断結果が出ている」といった旨の文言が表示される。
【0059】
省エネ改善案58は、診断結果56や比較結果57を受けた圧縮機3に対して、エネルギー効率を高めたり、エネルギーを省力化するためのアドバイスを表示する領域である。当該領域には、例えば、「圧力の上限値を下げる」、「無駄な駆動を減らす」といった旨の文言が表示される。当該文言は、あらかじめ管理者が、診断結果および比較結果に対応付けて、上記アドバイスを図示しない改善案データとして機器情報DB26に保持しておき、診断部22や比較部23が上記改善案データを読み出して、後述する比較用データに記憶させればよい。
【0060】
図11は、図9に示したS23において、比較部23が比較処理に用いる比較用データの一例を示す図である。比較用データは、図9に示したS23において、比較部23が、診断結果を受けた圧縮機の稼働データと、当該圧縮機と同じ型式及び運転時間の圧縮機についての稼働データとを比較するためのワークテーブルである。比較用データは、図8に示した圧縮機診断処理や図9に示した比較処理を実行する都度、診断部22や比較部23により作成される。
【0061】
図11に示すように、比較用データ1101は、診断結果として出力された診断対象となった圧縮機3についての比較用データであるレコード1102、比較結果として出力された比較対象となった圧縮機3についての比較用データであるレコード1103、1104を含む。これらのレコードは、種別1101A、顧客名1101B、設置場所1101C、製造番号1101D、型式1101E、運転時間1101F、診断結果1101G、省エネ改善案1101Hを含む。種別1101Aは、診断対象となった圧縮機であるか、あるいは比較対象となった圧縮機であるかを識別するための情報である。また、顧客名1101B、設置場所1101C、製造番号1101D、型式1101E、運転時間1101F、診断結果1101G、省エネ改善案1101Hは、図5図6に示した各情報と同様の情報であり、それぞれ、図8の圧縮機診断処理や図9の比較処理で取得された情報である。
【0062】
図11では、例えば、診断対象となった製造番号「XXX1234」の圧縮機についてのレコード1102と、比較対象となった製造番号「XXX9988」および「XXX9876」の2つの圧縮機についてのレコード1103、1104とが、出力すべきデータとして比較用データ1101に記憶されていることがわかる。データ出力部24は、比較用データ1101をデータ可視化部25に出力し、その後、データ可視化部25により、図10に示した画面が出力装置15に出力され、診断結果に対する省エネ改善案が提示される。この例では、診断対象となった製造番号「XXX9988」の圧縮機の診断結果が「空気タンクの容量不足」であるため、「無駄な駆動を減らす」という省エネ改善案が提示されていることがわかる。
【0063】
このように、データ出力部24は、診断部22および比較部23が記憶した、診断結果を含む上記比較用データを読み出し、S701で入力された顧客情報とともにデータ可視化部25に出力する。さらに、データ可視化部25は、データ出力部24から受け取ったこれらのデータを、出力装置15に出力することにより、図10に示した画面が表示される。これにより、機器の稼働データから非効率的な稼働状態にある機器を抽出し、可視化することが出来る。
【0064】
以上説明したように、本実施例における診断システムでは、図7のS702、図8等を用いて説明したように、プロセッサとメモリとを有したコンピュータ(情報処理装置5)を用いて、監視対象の機器(例えば、圧縮機や送風機)を診断する診断システムにおいて、上記プロセッサは、上記監視対象の機器に対して周期的に行われた制御(例えば、後述する負荷制御や発停制御のような上記機器に対する制御)と、当該制御に従って運転された上記機器の運転時間とを含む稼働データを受け取り、上記稼働データに含まれる上記制御と上記機器の運転時間とが所定の関係(例えば、圧縮機の場合には、図8のS10、S11の処理)を満たすか否かの判断に基づいて、非効率的な稼働状態にある上記機器の異常についての診断を行う。これにより、機器の稼働データから非効率的な稼働状態にある機器の異常についての診断を行うことができる。その結果、省エネルギーの観点を考慮しつつ、機器を効率的に稼働させることができるようになる。
【0065】
また、図7S702図8等において説明したように、上記監視対象の機器は、圧縮機(圧縮機3)により構成され、上記稼働データ(稼働データ管理テーブル28の各レコード)には、上記圧縮機が行う負荷運転および無負荷運転を切り替えることで、上記圧縮機が出力する圧力を下限圧力以上かつ上限圧力以下に制御する負荷制御と、上記無負荷運転が所定時間以上継続した場合に上記圧縮機を停止させ、上記圧力が所定値以下となった場合に上記圧縮機を再駆動する発停制御と、に関する上記圧縮機の制御に関する情報を含み、上記プロセッサは、上記稼働データに含まれる上記負荷運転と上記無負荷運転とを行った負荷回数または上記圧縮機を駆動する動力を停止して再駆動した発停回数の少なくとも一方と、上記圧縮機の運転時間と、に基づき、上記圧縮機の異常についての診断を行う。これにより、監視対象の機器が圧縮機である場合について非効率的な稼働状態にある機器の異常についての診断を行うことができる。
【0066】
また、図8のS11;YES、診断結果A等において説明したように、上記プロセッサは、上記運転時間に対する発停回数が所定の条件(例えば、発停回数/運転時間≧3[回/時間])を満たす場合、上記圧縮機が有する空気タンクの容量不足である旨の診断を行う。これにより、上記運転時間に対する発停回数が所定の条件(例えば、発停回数/運転時間≧3[回/時間])を満たす場合に、上記空気タンクの容量不足である異常を知らせることができる。
【0067】
また、図8のS13、S14、診断結果D等において説明したように、上記プロセッサは、上記稼働データに含まれる上記圧縮機の1日の平均負荷率が一定以上高く(例えば、平均負荷率≧50[%/日])、かつ吐出圧力が上限圧力(例えば、「0.78」MPa)に達しない場合、上記圧縮機のスペック不足である旨の診断を行う。これにより、上記圧縮機の1日の平均負荷率が一定以上高く、かつ吐出圧力が上限圧力に達しない場合に、上記圧縮機のスペック不足である異常を知らせることができる。
【0068】
また、図8のS10;YES、S11等において説明したように、上記プロセッサは、上記運転時間に対する負荷回数が一定以上多い場合に(例えば、負荷回数/運転時間≧83.33[回/時間])、上記発停回数に関する判断を行う。これにより、運転時間に対して負荷回数が一定以上多い場合に、発停回数に関する判断を行うことができ、効率よく発停回数に関する判断を行うことができる。
【0069】
また、図8のS12;YES、診断結果B1等において説明したように、上記プロセッサは、上記運転時間に対する発停回数が所定の条件を満たさない場合であって、上記圧縮機の圧力設定が所定の閾値よりも一定以上狭い場合(例えば、閾値となる幅である0.10MPa未満である場合)、上記圧力設定の改善が必要である旨の診断を行う。これにより、上記運転時間に対する発停回数が所定の条件を満たさず、かつ上記圧縮機の圧力設定が所定の閾値よりも一定以上狭い場合に、上記圧力設定の改善が必要である旨を促すことができる。
【0070】
また、図8のS12;NO、診断結果B2等において説明したように、上記プロセッサは、上記運転時間に対する発停回数が所定の条件を満たさない場合であって、上記圧縮機の圧力設定が所定の閾値よりも一定以上狭くない場合、フィルタ目詰まりである旨の診断を行う。これにより、上記運転時間に対する発停回数が所定の条件を満たさず、かつ上記圧縮機の圧力設定が所定の閾値よりも一定以上狭くない場合に、フィルタ目詰まりである旨の異常を知らせることができる。
【0071】
また、S15;YES、診断結果C等において説明したように、上記プロセッサは、上記稼働データに含まれる上記圧縮機の1日の平均負荷率が一定以上高くなく、かつ上記運転時間に対する発停回数が所定の条件を満たす場合(発停回数/運転時間≧3[回/時間])、上記圧縮機からエア漏れの可能性がある旨の診断を行う。これにより、上記稼働データに含まれる上記圧縮機の1日の平均負荷率が一定以上高くなく、かつ上記運転時間に対する発停回数が所定の条件を満たす場合に、上記圧縮機からエア漏れの可能性がある旨の異常を知らせることができる。
【0072】
また、図8のS10等において説明したように、上記プロセッサは、上記運転時間に対する負荷回数にかえて、上記運転時間に対する負荷時間が一定以上多いか否かの判断を行ってもよい。これにより、運転時間に対して負荷時間が一定以上多い場合に、発停回数に関する判断を行うことができ、負荷回数の場合と同様、効率よく発停回数に関する判断を行うことができる。
【0073】
また、図9、10、11等において説明したように、上記プロセッサは、上記異常の診断が行われた圧縮機と運転状態が一定程度近似する圧縮機の上記稼働データと、上記異常の診断が行われた圧縮機の上記稼働データとを比較し、当該比較の結果と、上記診断の結果と、上記診断に基づく所定の改善案とを含む画面を表示装置(出力装置15)に表示する。これにより、非効率的な稼働状態にある機器についての診断結果や他の同種の機器との比較結果に応じた改善案を提示することができる。
【符号の説明】
【0074】
1:監視システム
2:サービス拠点
3:圧縮機
4:監視センタ
5:情報処理装置(診断システム)
25:機器情報DB
21:データ入力部
22:診断部
23:データ出力部
24:データ可視化部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11