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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115938
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】蓄電デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/536 20210101AFI20240820BHJP
   H01M 50/103 20210101ALI20240820BHJP
   H01M 50/15 20210101ALI20240820BHJP
   H01M 50/176 20210101ALI20240820BHJP
   H01M 50/55 20210101ALI20240820BHJP
   H01M 50/54 20210101ALI20240820BHJP
   H01M 50/169 20210101ALI20240820BHJP
   H01G 11/78 20130101ALI20240820BHJP
【FI】
H01M50/536
H01M50/103
H01M50/15
H01M50/176
H01M50/55 101
H01M50/54
H01M50/169
H01G11/78
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021856
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】内田 陽三
【テーマコード(参考)】
5E078
5H011
5H043
【Fターム(参考)】
5E078AB02
5E078AB06
5E078HA01
5E078HA21
5E078HA23
5H011AA03
5H011BB03
5H011CC06
5H011DD13
5H043AA03
5H043AA05
5H043BA19
5H043CA04
5H043CA12
5H043EA07
5H043EA13
5H043EA32
5H043EA39
5H043HA06E
5H043HA16E
5H043HA17E
(57)【要約】
【課題】スペース効率の向上および電気抵抗の増加抑制を両立した蓄電デバイスを提供すること。
【解決手段】
本開示の蓄電デバイスは、幅広な矩形状の第1面12aと、一対の対向する第2面12b、12cと、一対の対向する第3面12d、12eと、開口12hを有する外装体12と、開口12hを封口する幅広な矩形状の封口板14と、を有するケース10を備える。正極22および負極24は、電極体20の捲回軸方向における一方の端部において突出する複数のタブ22t、24tを有し、第2面12bの一面に貫通孔18、19を有し、端子30,40は、貫通孔18、19に挿通され、電極体20の幅広面20aが、封口板14および第1面12aと対向し、かつ、タブ22t、24tが、第2面12bと対向するようにケース10の内部に配置され、端子30、40と、タブ22t、24tと、を繋ぐ金属接合部50を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺なシート状の正極と長尺なシート状の負極とがセパレータを介在させつつ、シート長手方向に捲回された電極体であって、一対の対向する幅広面を有する電極体と、
前記電極体を収容する六面体形状のケースであって、幅広な矩形状の第1面および該第1面に対向する開口と、前記第1面の外縁から前記開口に向かって延びる一対の対向する第2面と、前記第1面の外縁から前記開口に向かって延びる一対の対向する第3面を有する外装体と、前記開口を封口し、前記第1面に対向する幅広な矩形状の封口板と、を有するケースと、
前記電極体と電気的に接続される端子と、
を備える蓄電デバイスであって、
前記正極および前記負極は、いずれも前記電極体の捲回軸方向における一方の端部において、突出する複数のタブを有し、
前記第2面の一面に貫通孔を有し、
前記端子は、前記貫通孔に挿通され、
前記電極体は、前記幅広面が、前記封口板および前記第1面と対向し、かつ、前記タブが、前記端子が取り付けられた前記第2面と対向するように前記ケースの内部に配置され、
前記端子と、前記タブと、を繋ぐ金属接合部を有する、
蓄電デバイス。
【請求項2】
前記ケース内部に前記電極体が複数配置され、
前記金属接合部は複数の前記電極体の前記タブと、前記端子と、が接合されて形成される、
請求項1に記載の蓄電デバイス。
【請求項3】
前記封口板と前記外装体が溶接された際に、前記電極体の幅広面が、前記封口板に押されるように構成される、
請求項1または2に記載の蓄電デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一対の対向する幅広面を有する電極体と、該電極体を収容するケースと、上記電極体と電気的に接続される端子と、を備えた蓄電デバイスが知られる。例えば、特許文献1には、電極体と、電池ケース(ケース)と、集電端子と、を備える電池(蓄電デバイス)であって、ケース内のスペース効率と電極集電体(タブ)部分の破損の抑制を目的とした技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-44958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者の鋭意検討によれば、上記した従来技術においては改善の余地があった。詳述すれば、上記した蓄電デバイスは、集電端子(以下、「集電体」ともいう。)を備えるため、部品点数が増加することで電気抵抗が増加する。
【0005】
ここに開示される技術は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、スペース効率の向上および電気抵抗の増加抑制を両立した蓄電デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示される蓄電デバイスは、長尺なシート状の正極と長尺なシート状の負極とがセパレータを介在させつつ、シート長手方向に捲回された電極体であって、一対の対向する幅広面を有する電極体と、該電極体を収容する六面体形状のケースであって、幅広な矩形状の第1面および該第1面に対向する開口と、上記第1面の外縁から上記開口に向かって延びる一対の対向する第2面と、上記第1面の外縁から上記開口に向かって延びる一対の対向する第3面を有する外装体と、上記開口を封口し、上記第1面に対向する幅広な矩形状の封口板と、を有するケースと、上記電極体と電気的に接続される端子と、を備える。ここで、上記正極および上記負極は、いずれも上記電極体の捲回軸方向における一方の端部において、突出する複数のタブを有し、上記第2面の一面に貫通孔を有し、上記端子は、上記貫通孔に挿通され、上記電極体は、上記幅広面が、上記封口板および上記第1面と対向し、かつ、上記タブが、上記端子が取り付けられた上記第2面と対向するように上記ケースの内部に配置され、上記端子と、上記タブと、を繋ぐ金属接合部を有する。
【0007】
かかる構成によれば、電極体のタブと端子は集電体を介さずに金属接合部によって直接電気的に接続されるため、電気抵抗の増加を抑制できる。さらに、上記した構成のケースを用いることにより、電極体を容易にケースに収容できる。これにより、電極体の体積をより大きくすることができる。電極体の体積を増やすことにより、ケース内における電極体の可動域が減少する。これにより、タブの破損リスクを好適に軽減することができる。従って、蓄電デバイスの容量の向上(高体積エネルギー密度化)と導通信頼性を両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態に係る蓄電デバイスを模式的に示す斜視図である。
図2図2は、図1のII-II線に沿う模式的な縦断面図である。
図3図3は、図1のIII-III線に沿う模式的な縦断面図である。
図4図4は、一実施形態に係る電極体の模式図である。
図5図5は、一実施形態に係る電極体収容工程及びタブ接合工程を説明する模式図である。
図6図6は、一実施例に係る封口板封止工程を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながらここに開示される技術に係る実施の形態を説明する。なお、本明細書において言及していない事柄であって、ここに開示される技術の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。ここに開示される技術は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、以下の図面においては、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明している。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。なお、本明細書において「A~B」として表現される数値範囲には、AおよびBが含まれるとともに、「好ましくはAより大きい」および「好ましくはBより小さい」の意を包含するものとする。
【0010】
本明細書において「蓄電デバイス」とは、充電と放電を行なうことができるデバイスをいう。蓄電デバイスには、一般にリチウムイオン電池やリチウム二次電池などと称される電池の他、リチウムポリマー電池、リチウムイオンキャパシタなどが包含される。二次電池とは、正負極間の電荷担体の移動に伴って繰り返しの充放電が可能な電池一般をいう。ここでは、蓄電デバイスの一形態として、リチウムイオン二次電池を例示する。
【0011】
<蓄電デバイス1>
図1は、一実施形態に係る蓄電デバイス1を模式的に示す斜視図である。図2は、図1中のII-II線に沿う模式的な縦断面図である。図3は、図1中のIII-III線に沿う模式的な縦断面図である。図3では、説明の便宜上、負極タブ24tの枚数を11枚で表しているが、これに限定されない。なお、以下の説明において、図面中の符号L、R、F、Rr、U、Dは、左、右、前、後、上、下(重力方向)を表す。また、図面中の符号Xは、蓄電デバイス1の短辺方向(厚み方向ともいう。)を示し、符号Yは、蓄電デバイス1の長辺方向を示し、符号Zは、鉛直方向(高さ方向ともいう。)を示す。ただし、これらは説明の便宜上の方向に過ぎず、蓄電デバイス1の設置形態を何ら限定するものではない。
【0012】
図1図2に示すように、蓄電デバイス1は、ケース10と、電極体20と、正極端子30と、負極端子40と、を備えている。図示は省略するが、蓄電デバイス1は、ここではさらに電解液を備えている。蓄電デバイス1は、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池であることが好ましい。
【0013】
ケース10は、例えば、電極体20を収容する六面体形状の部材である。図1図2に示すように、ケース10は、外装体12と、封口板14とを備えている。ケース10は、典型的には、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼等の金属製である。
【0014】
外装体12は、例えば、電極体20を内部に収容する、ケース10の本体である。外装体12は、図1図2に示すように、開口12hと、第1面12aと、一対の対向する第2面12b,12cと、一対の対向する第3面12d,12eを有している。この実施形態では、第1面12aは、幅広な矩形状であり、開口12hに対向している。また、一対の第2面12b,12cは、第1面12aの一対の対向する長辺から延びている。図1図2に示すように、下側の第2面12cは、蓄電デバイス1の底面を構成する。また、上側の第2面12bは、この底面に対向する上面であり、ここでは正極端子30および負極端子40の取付面である。また、一対の第3面12d,12eは、第1面12aの一対の対向する短辺から延びている。なお、本明細書において、「矩形状」とは、直線状の長辺と短辺とが曲線を介して互いに接合している形状、長辺および短辺の少なくとも一方が直線状ではなく、湾曲したり、凹凸になっていたり、屈曲して複数の直線あるいは曲線から構成されている形状、等を包含する。
【0015】
開口12hは、例えば、封口板14が装着される部位である。ここでは、開口12hは、一対の第2面12b,12cの上縁と、一対の第3面12d,12eの上縁とで囲まれることによって形成されており、幅広な矩形状である。図3に示すように、開口12hには、内縁に沿って凹んだ段差121が設けられている。ここでは、段差121に、封口板14が嵌め込まれている。また、外装体12の段差121に封口板14が溶接されることによって、外装体12と封口板14とが一体化され、ケース10が気密に封止される。
【0016】
図2に示すように、第2面12bには、排出弁123と、注液孔16と、第1端子取付部124と、第2端子取付部125と、が設けられている。排出弁123は、例えば、薄肉部である。ここでは、排出弁123は、ケース10内の圧力が所定値以上になったときに破断して、ケース10内のガスを外部に排出するように構成されている。注液孔16は、外装体12に封口板14を組み付けた後、ケース10の内部に電解液を注液するための貫通孔である。注液孔16は、ここでは、電解液の注液後に封止部材16aによって封止されている。第1端子取付部124は、例えば、正極端子30が取り付けられる部位である。図2に示された形態では、第1端子取付部124は、第2面12bから凹んだ段差である。第1端子取付部124の底には、正極端子30が挿通される貫通孔18が設けられている。第2端子取付部125は、例えば、負極端子40が取り付けられる部位である。図2に示された形態では、第2端子取付部125は、第2面12bから凹んだ段差である。第2端子取付部125の底には、負極端子40が挿通される貫通孔19が設けられている。
【0017】
封口板14は、例えば、開口12hを封口する平板状の部材である。このため、封口板14の形状は、開口12hの形状に応じた形状であるとよい。この実施形態では、封口板14は、幅広な矩形状である。ここでは、封口板14が開口12hに取り付けられると、封口板14は、第1面12aに対向する。
【0018】
電解液としては、従来公知において使用されているものを特に制限なく使用できる。一例として、非水系溶媒(有機溶媒)に支持塩(電解質塩)を溶解させた非水電解液が好ましく用いられる。非水系溶媒の一例として、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等のカーボネート系溶媒が挙げられる。支持塩の一例として、LiPF等のフッ素含有リチウム塩が挙げられる。電解液は、必要に応じて添加剤を含有してもよい。
【0019】
正極端子30は、電極体20の正極22と電気的に接続される部材である。図2に示すように、正極端子30は、貫通孔18に挿通され、外装体12の外側に露出している。ここでは、正極端子30は、軸部30aとベース部30bとを有している。軸部30aは、例えば、円筒状であり、貫通孔18に挿通される部位である。ベース部30bは、例えば、平板状であり、外装体12の外側表面(ここでは、第2面12b)に沿って配置される部位である。図2に示すように、正極端子30は、ここでは、かしめ加工によって外装体12の貫通孔18を囲む周縁部分にかしめられており、軸部30aの端部には、外装体12の内部にてかしめ部が形成されている。正極端子30は、金属製であることが好ましく、例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金からなることがより好ましい。なお、正極端子30は、ここに開示される「端子」の一例である。
【0020】
負極端子40は、電極体20の負極24と電気的に接続される部材である。図2に示すように、負極端子40は、貫通孔19に挿通され、外装体12の外側に露出している。ここでは、負極端子40は、軸部40aとベース部40bとを有している。軸部40aは、例えば、円筒状であり、貫通孔19に挿通される部位である。ベース部40bは、例えば、平板状であり、外装体12の外側表面(ここでは、第2面12b)に沿って配置される部位である。図2に示すように、負極端子40は、ここでは、かしめ加工によって外装体12の貫通孔19を囲む周縁部分にかしめられており、軸部40aの端部には、外装体12の内部にてかしめ部が形成されている。負極端子40は、金属製であることが好ましく、例えば銅または銅合金からなることがより好ましい。なお、負極端子40は、ここに開示される「端子」の一例である。
【0021】
正極端子30および負極端子40は、それぞれガスケット92および内部絶縁部材93によって外装体12と絶縁される。ガスケット92は、ここでは外装体12と正極端子30および負極端子40とを絶縁すると共に、貫通孔18、19をシール(閉鎖)する機能を有する。ガスケット92や内部絶縁部材93には、耐薬品性や耐候性に優れた材料が用いられるとよい。ガスケット92や内部絶縁部材93は、電気絶縁性を有し、弾性変形が可能な樹脂材料、例えば、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)等のフッ素化樹脂や、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、脂肪族ポリアミド等で構成されていてもよい。ガスケット92および内部絶縁部材93は、例えば、インサート成型により一体化していてもよい。
【0022】
電極体20は、例えば、正極22と負極24とを有する、蓄電デバイス1の発電要素である。図4は、一実施形態に係る電極体20の模式図である。図4に示すように、電極体20は、長尺なシート状の正極22と長尺なシート状の負極24とがセパレータ23を介在させつつ、シート長手方向LDに捲回された、捲回電極体である。電極体20は、例えば、正極22と負極24とセパレータ23とを捲回して筒状体とし、かかる筒状体をプレス成形することによって作製されうる。このため、電極体20は、扁平形状であり、一対の幅広面20aを有する(図2および図3参照)。1つの外装体12の内部に配置される電極体20の数は特に限定されず、2個以上(複数)であってもよいし、1個であってもよい。図3に示すように、ここでは、2個の電極体が外装体12の内部に配置されている。
【0023】
図2および図3に示すように、電極体20は、捲回軸方向WDと蓄電デバイス1の鉛直方向(上下方向)とが略平行になるように、外装体12に収容されている。この実施形態では、電極体20の捲回軸WLは、第1面12aと第3面12d,12eと封口板14と略平行になり、かつ、第2面12b,12cと略垂直である。また、電極体20の幅広面20aは、第1面12aと封口板14とに対向している。また、電極体20の一方の端面は第2面12bと対向しており、他方の端面は第2面12cと対向している。電極体20の端面は、ここでは、正極22と負極24とセパレータ23との積層面であり、開放面である。なお、電極体20は、絶縁性の樹脂シートから構成される図示しない電極体ホルダに覆われた状態でケース10の内部に収容されてもよい。
【0024】
図4に示すように、正極22は、長尺な帯状の正極集電箔22c(例えばアルミニウム箔)と、正極集電箔22cの少なくとも一方の表面上に固着された正極活物質層22aとを有する。特に限定するものではないが、正極22の捲回軸方向WDにおける一方の側縁部には、必要に応じて、保護層22pが設けられていてもよい。なお、正極活物質層22aの構成材料と保護層22pの構成材料としては、この種の蓄電デバイス(この実施形態では、リチウムイオン二次電池)において用いられるものが特に制限なく用いられてよい。
【0025】
正極集電箔22cの捲回軸方向WDの一方の端部(図4の上端部)には、複数の正極タブ22tが設けられている。複数の正極タブ22tは、捲回軸方向WDの一方の端部(図4の上端部)に向かって突出している。複数の正極タブ22tは、正極22の長手方向LDに沿って間隔を置いて(間欠的に)設けられている。正極タブ22tは、正極集電箔22cの一部であり、正極集電箔22cの正極活物質層22aが形成されていない部分(活物質層未形成部)である。図4に示された実施形態では、正極タブ22tの基端側には、保護層22pが設けられている。この実施形態では、複数の正極タブ22tは、セパレータ23よりも捲回軸方向WDに突出している。正極タブ22tの形状やサイズは、例えば正極端子30に接続される状態を考慮し、その形成位置等によって、適宜調整することができる。複数の正極タブ22tは捲回軸方向WDの一方の端部(図4の上端部)で積層され、正極タブ群を構成する。このため、各々の正極タブ22tの高さ(捲回軸方向WDにおける長さ)と、各々の正極タブ22tの幅(長手方向LDにおける長さ)とは、同じでなくてもよい。正極タブ22tは、ここに開示される「タブ」の一例である。
【0026】
図4に示すように、負極24は、長尺な帯状の負極集電箔24c(例えば銅箔)と、負極集電箔24cの少なくとも一方の表面上に固着された負極活物質層24aとを有する。なお、負極活物質層24aの構成材料としては、この種の蓄電デバイス(この実施形態では、リチウムイオン二次電池)において用いられるものが特に制限なく用いられてよい。
【0027】
負極集電箔24cの捲回軸方向WDの一方の端部(図4の上端部)には、複数の負極タブ24tが設けられている。複数の負極タブ24tは、捲回軸方向WDの一方の端部(図4の上端部)に向かって突出している。複数の負極タブ24tは、負極24の長手方向LDに沿って間隔を置いて(間欠的に)設けられている。負極タブ24tは、負極集電箔24cの一部であり、負極集電箔24cの負極活物質層24aが形成されていない部分(活物質層未形成部)である。この実施形態では、複数の負極タブ24tは、セパレータ23よりも捲回軸方向WDに突出している。負極タブ24tの形状やサイズは、例えば負極端子40に接続される状態を考慮し、その形成位置等によって、適宜調整することができる。例えば、複数の負極タブ24tは捲回軸方向WDの一方の端部(図4の上端部)で積層され、負極タブ群を構成する。このため、各々の負極タブ24tの高さ(捲回軸方向WDにおける長さ)と、各々の負極タブ24tの幅(長手方向LDにおける長さ)とは、同じでなくてもよい。正極タブ22tは、ここに開示される「タブ」の一例である。
【0028】
セパレータ23は、正極22の正極活物質層22aと、負極24の負極活物質層24aと、を絶縁する部材である。セパレータ23は、この実施形態では、電極体20の外表面を構成している。セパレータ23としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂からなる樹脂製の多孔性シートが用いられる。
【0029】
図4に示すように、電極体20では、セパレータ23の下端P3が最も下側であり、次いで負極24の下端P2があり、正極22の下端P1が最も上側にある。各シートの幅(図4では、捲回軸方向WDにおける長さ。ただし、正極タブ22tおよび負極タブ24tを除く。)は、セパレータ23、負極24、正極22の順に大きい。
【0030】
ここに開示される蓄電デバイス1では、電極体20は、幅広面20aが封口板14および第1面12aと対向し、かつ、正極タブ22tおよび負極タブ24tが、正極端子30および負極端子40が取り付けられた第2面12bと対向するようにケース10の内部に配置される。そして、正極タブ22tは、正極端子30(具体的には軸部30a)と金属接合部50によって接合される。同様に、負極タブ24tは負極端子40(具体的には軸部40a)と金属接合部50によって接合される。金属接合部50は、例えば、タブと端子(ここでは、正極タブ22tと正極端子30、および、負極タブ24tと負極端子40。)が溶融し凝固することにより相互に接合された部位である。
【0031】
なお、ここに開示される蓄電デバイス1に用いる外装体12は幅広な矩形状の開口12hを有する。このため、正極タブ22tと正極端子30、および、負極タブ24tと負極端子40がそれぞれ集電体を介することなく、金属接合部50によって電気的に接続することができる。換言すれば、電極体20と正極端子30及び負極端子40とが直接電気的に接続される。従って、蓄電デバイス1の電気抵抗の増加を抑制することができる。金属接合部50は、例えば、レーザ溶接、超音波接合、抵抗溶接等によって好適に形成することができる。
【0032】
また、外装体12は幅広な矩形状の開口12hを有するため、電極体20を容易に外装体12内部に収容することができる。従って、従来のケースを用いた蓄電デバイス(特許文献1参照)と比較して、電極体20を収容するために必要なクリアランスが小さくなる。これにより、電極体20の体積をより大きくすることができる。また、電極体20の体積を増やすことにより、ケース10内における電極体20の可動域が減少する。これにより、正極タブ22tおよび負極タブ24tの破損リスクを好適に軽減することができる。従って、蓄電デバイス1の容量の向上(高体積エネルギー密度化)と導通信頼性を両立することができる。
【0033】
いくつかの好ましい態様では、図3に示すように、ケース10(外装体12)内部に電極体20が複数配置され、金属接合部50は複数の電極体20の正極タブ22tおよび負極タブ24tと、正極端子30および負極端子40と、が接合されて形成される。かかる構成によれば、より好適に容量の向上した蓄電デバイス1の提供が実現される。なお、本実施形態では蓄電デバイス1は2個の電極体20を備えるが、これに限定されず、電極体20は3個以上あっても良い。
【0034】
いくつかの好ましい態様では、ケース10内において、封口板14と電極体20の幅広面20aのうち封口板14と対向する面(複数の電極体20がケース10内に収容されている場合は、封口板14と対向する電極体20の幅広面20a)とが当接する。換言すれば、電極体20を収容し、封口板14と外装体12が溶接された際に、電極体20の幅広面20aが、封口板14に押されるように構成される。かかる構成によれば、蓄電デバイス1の使用時に振動や衝撃等が加わった場合も、ケース10内における電極体20の移動が規制される。これにより、より好適に正極タブ22tおよび負極タブ24tの損傷リスクを低減することができる。従って、導通信頼性がより向上した蓄電デバイス1の提供が可能となる。なお、蓄電デバイス1がかかる態様をとる場合、電極体20の幅広面20aのうち、例えば、おおよそ70%以上が封口板14と当接し、おおよそ80%以上が封口板14と当接することが好ましい。
【0035】
<蓄電デバイス1の製造方法>
蓄電デバイス1は、上記したようなケース10(外装体12および封口板14)と、電極体20(1個、または複数。ここでは、2個。)と、電解液と、正極端子30と、負極端子40と、を用意し、例えば、端子組付け工程と、電極体収容工程と、金属接合部形成工程と、封口板封止工程と、注液工程と、を典型的にはこの順序で含む製造方法によって製造することができる。蓄電デバイス1の製造方法は、上記したようなケース10および電極体20を用いて、電極体収容工程と、金属接合部形成工程と、封止工程と、を行うことで特徴付けられる。それ以外の製造プロセスは従来同様であってよい。また、ここに開示される製造方法は、任意の段階でさらに他の工程を含んでもよい。
【0036】
(端子組付け工程)
端子組付け工程では、外装体12の第2面12bに、正極端子30と、負極端子40とガスケット92と、内部絶縁部材93と、を組み付ける。負極端子40は、例えば、かしめ加工(リベッティング)によって外装体12の第2面12bに固定することができる。かしめ加工は、負極端子40と外装体12の第2面12bとの間にガスケット92を挟み、さらに外装体12の第2面12bと負極端子40の軸部40aとの間に絶縁部材80を挟んで行われる(図8参照)。これにより、負極端子40の軸部40aの端部がかしめられる。このようなかしめ加工によって、ガスケット92と内部絶縁部材93とが圧縮され、負極端子40と外装体12の第2面12bと内部絶縁部材93とが外装体12の第2面12bに一体に固定されるとともに、貫通孔19がシールされる。なお、正極端子30側の組付け方法も、上記した負極端子40側の組付け方法と同様であってよい。また、端子組付け工程は、これに限定されず、例えば、外装体12の第2面12bと正極端子30および負極端子40と、ガスケット92と内部絶縁部材93とをインサート成型によって一体化してもよい。
【0037】
(電極体収容工程)
電極体収容工程では、電極体20を外装体12内に収容する。図5は、一実施形態に係る電極体収容工程及びタブ接合工程を説明する模式図である。図5では、接合予定部50a(金属接合部50の形成予定部)を仮想線で示す。この時、電極体20の一方の幅広面20aが第1面12aと対向し、かつ、正極タブ22tおよび負極タブ24tが、正極端子30および負極端子40の取り付けられた第2面12bと対向するように、電極体20が配置される。ここでは、正極タブ22tは湾曲し、かつ、正極端子30の軸部30aと対向するように配置される。同様に、負極タブ24tは湾曲し、かつ、負極端子40の軸部40aと対向するように配置される。なお、電極体20を複数有する蓄電デバイス1を製造する場合、タブ接合工程を挟んで、複数回に分けて電極体収容工程を実施することができる。本実施形態では、図5に示すように、2個の電極体20のうち、まず1個の電極体20について、電極体収容工程を行う。その後、タブ接合工程を経て、残りの1個の電極体20について、電極体収容工程を行う。
【0038】
(タブ接合工程)
タブ接合工程では、複数の正極タブ22tと正極端子30、および、複数の負極タブ24tと負極端子40を電気的に接合する。ここでは、レーザ溶接による接合方法を例に説明するが、これに限定されず、例えば上記した接合方法を用いてよい。具体的には、まず、図5に示すように、負極端子40の軸部40aに電極体20の負極タブ24tを重ねるように配置する。この時、負極端子40の軸部40aに重ねやすくするために負極タブ24tを折り曲げてもよい。蓄電デバイス1が複数の電極体20を有する場合、図3および図5に示すように、更に他方の電極体20の負極タブ24tを一方の負極タブ24tに重ねてもよい。そして、負極端子40の軸部40aに負極タブ24tが重ねられた状態で、レーザを接合予定部50aに走査する。これにより、金属接合部50が形成され、負極端子40と負極タブ24tとが電気的に接続される。なお、正極タブ22tと正極端子30の接合方法も、上記した負極タブ24tと負極端子40の接合方法と同様であってよい。また、図5では、説明の便宜上外装体12の第3面12eが下側となっているがこれに限定されない。タブ接合工程においては、接合方法や接合に用いる治具に応じて、金属接合部50が形成しやすい角度に外装体12を傾けた状態でタブ接合工程を行うことができる。
【0039】
(封口板封止工程)
封口板封止工程では、外装体12の開口12hと封口板14によって封止する。図6は、一実施例に係る封口板封止工程を説明する模式図である。図6では、説明の便宜上、封口板14の押圧方向について白抜き矢印で、また、レーザLの走査経路について仮想線で示す。図6に示すように、外装体12の開口12hに封口板14を嵌めた封口板14を外装体12の第1面12a方向(図6の白抜き矢印方向)に押し込む。そして、封口板14が外装体12の第1面12a方向に押し込まれた状態を保持したまま、封口板14と外装体12とを封止する。これにより、最も封口板14に近い電極体20のうち、封口板14と対向する幅広面20aとが当接した状態で、外装体12の開口12hが封口板14によって封止される。これにより、より好適に正極タブ22tおよび負極タブ24tの損傷リスクを低減することができる。ここでは、封口板14の周縁(ここでは、図6の仮想線方向。)に沿ってレーザLを走査する。しかし、封止方法はこれに限定されない。
【0040】
封口板封止工程における、封口板14の押圧強さは、特に限定されず、ケース10の材質や厚み、サイズによって適宜変更し得るが、例えば10kN以上であり得る。
【0041】
(注液工程)
注液工程では、注液孔16から電解液をケース10内部に注入する。その後、注液孔16を封止部材16aで塞ぐことにより、ケース10を密閉する。以上のようにして、蓄電デバイス1を製造することができる。
【0042】
蓄電デバイス1は各種用途に利用可能であるが、蓄電デバイス1の容量の大容量化が要求される用途、また、使用時に振動や衝撃の外力が加わり得る用途、典型的には、各種の車両、例えば、乗用車、トラック等に搭載されるモータ用の動力源(駆動用電源)として好適に用いることができる。車両の種類は特に限定されないが、例えば、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)、ハイブリッド自動車(HEV)、電気自動車(BEV)等が挙げられる。
【0043】
以上、ここに開示される技術におけるいくつかの実施形態について説明したが、上記実施形態は一例に過ぎない。ここに開示される技術は、他にも種々の形態にて実施することができる。ここに開示される技術は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。請求の範囲に記載の技術には、上記に例示した実施形態を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、上記した実施形態の一部を他の変形態様に置き換えることも可能であり、上記した実施形態に他の変形態様を追加することも可能である。また、その技術的特徴が必須なものとして説明されていなければ、適宜削除することも可能である。
【0044】
以上の通り、ここで開示される技術の具体的な態様として、以下の各項に記載のものが挙げられる。
項1:長尺なシート状の正極と長尺なシート状の負極とがセパレータを介在させつつ、シート長手方向に捲回された電極体であって、一対の対向する幅広面を有する電極体と、上記電極体を収容する六面体形状のケースであって、幅広な矩形状の第1面および該第1面に対向する開口と、上記第1面の外縁から上記開口に向かって延びる一対の対向する第2面と、上記第1面の外縁から上記開口に向かって延びる一対の対向する第3面を有する外装体と、上記開口を封口し、上記第1面に対向する幅広な矩形状の封口板と、を有するケースと、上記電極体と電気的に接続される端子と、を備える蓄電デバイスであって、上記正極および上記負極は、いずれも上記電極体の捲回軸方向における一方の端部において、突出する複数のタブを有し、上記第2面の一面に貫通孔を有し、上記端子は、上記貫通孔に挿通され、上記電極体は、上記幅広面が、上記封口板および上記第1面と対向し、かつ、上記タブが、上記端子が取り付けられた上記第2面と対向するように上記ケースの内部に配置され、上記端子と、上記タブと、を繋ぐ金属接合部を有する、蓄電デバイス。
項2:上記ケース内部に上記電極体が複数配置され、上記金属接合部は複数の上記電極体の上記タブと、上記端子と、が接合されて形成される、項1に記載の蓄電デバイス。
項3:上記封口板と上記外装体が溶接された際に、上記電極体の幅広面が、上記封口板に押されるように構成される、項1または2に記載の蓄電デバイス。
【符号の説明】
【0045】
1 蓄電デバイス
10 ケース
12 外装体
12a 第1面
12b、12c 第2面
12d、12e 第3面
12h 開口
14 封口板
18、19 貫通孔
20 電極体
22 正極
22t 正極タブ
23 セパレータ
24 負極
24t 負極タブ
30 正極端子
40 負極端子
50 金属接合部
92 ガスケット
93 内部絶縁部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6