(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115949
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】入庫システム及び入庫方法
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20240820BHJP
【FI】
B65G1/137 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021875
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】大西 晃
【テーマコード(参考)】
3F522
【Fターム(参考)】
3F522AA02
3F522BB01
3F522BB28
3F522BB32
3F522BB36
3F522BB37
3F522CC05
3F522DD05
3F522DD22
3F522DD32
3F522DD34
3F522EE16
3F522FF02
3F522FF04
3F522GG13
3F522GG16
3F522GG22
3F522GG45
3F522HH02
3F522HH12
3F522HH18
3F522HH22
3F522HH36
3F522JJ01
3F522JJ02
3F522KK02
3F522KK03
3F522KK05
3F522KK06
3F522LL41
3F522LL57
(57)【要約】
【課題】複数の荷物の入庫作業における作業者の負担を軽減することができる入庫システム及び入庫方法を提供する。
【解決手段】入庫システム1は、入荷パレットPaが置かれる第1ステーションA1と、第1ステーションA1に置かれた入荷パレットPa上の荷物群Gを構成する複数の荷物Bの各荷物IDを読み取る第1読取カメラ21と、入荷パレットPaに替わって荷物群Gを支持する保管パレットPbのパレットIDを読み取る第2読取カメラ22と、第1読取カメラ21及び第2読取カメラ22による2つの読み取り結果を紐づけて保管パレットPbに対する自動倉庫2への入庫指示を作成するコントローラ5と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から搬入され、それぞれに荷物IDが付された複数の荷物を自動倉庫へ入庫する入庫システムであって、
前記荷物IDが外側から読み取り可能な状態で前記複数の荷物が積み重ねられてなる荷物群を支持する入荷パレットが置かれるステーションと、
前記ステーションに置かれた前記入荷パレット上の前記荷物群を構成する前記複数の荷物のそれぞれの前記荷物IDを読み取る第1読取部と、
前記入荷パレットに替わって前記荷物群を支持する保管パレットのパレットIDを読み取る第2読取部と、
前記第1読取部による読み取り結果と前記第2読取部による読み取り結果とを紐づけて前記保管パレットに対する前記自動倉庫への入庫指示を作成するコントローラと、を備える、入庫システム。
【請求項2】
前記ステーションは、前記入荷パレットを回転させる回転テーブルを有し、
前記第1読取部は、前記回転テーブルによって回転させられる前記荷物群の少なくとも側方から前記荷物IDを読み取る、請求項1に記載の入庫システム。
【請求項3】
前記第1読取部による読み取り結果及び前記第2読取部による読み取り結果を表示する表示部を有し、
前記コントローラは、双方の読み取り結果の表示に基づき入庫を許可する旨の入力を受け付けた場合に入庫指示を作成する、請求項1又は2に記載の入庫システム。
【請求項4】
前記表示部は、前記第1読取部による読み取り結果として前記荷物群を構成する前記複数の荷物の個数を表示する、請求項3に記載の入庫システム。
【請求項5】
前記コントローラは、前記第1読取部による読み取り結果及び前記第2読取部による読み取り結果の表示に基づき入庫を禁止する旨の入力を受け付けた場合には入庫指示を作成せず、
前記荷物群は保管パレットに支持されて別のステーションへと搬送される、請求項3に記載の入庫システム。
【請求項6】
前記第2読取部は、前記荷物群が前記入荷パレットから前記保管パレットに載せ替えられる載せ替えエリアを読み取れる位置に配置されるか、又は前記載せ替えエリアの近傍エリアを読み取れる位置に配置されている、請求項1又は2に記載の入庫システム。
【請求項7】
外部から搬入され、それぞれに荷物IDが付された複数の荷物を自動倉庫へ入庫する入庫方法であって、
前記荷物IDが外側から読み取り可能な状態で前記複数の荷物が積み重ねられてなる荷物群を支持する入荷パレットを、ステーションに置く工程と、
前記ステーションに置かれた前記入荷パレット上の前記荷物群を構成する前記複数の荷物のそれぞれの前記荷物IDを第1読取部によって読み取る工程と、
前記入荷パレットから、パレットIDが付された保管パレットに前記荷物群を載せ替え、当該パレットIDを第2読取部によって読み取る工程と、
前記第1読取部による読み取り結果と前記第2読取部による読み取り結果とを紐づけて前記保管パレットに対する前記自動倉庫への入庫指示を作成する工程と、を含む、入庫方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、入庫システム及び入庫方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の物品をパレット上に積載し、そのパレットを自動倉庫内に格納するシステムが知られている。例えば特許文献1に記載された倉庫管理システムでは、トラックから下ろされた複数の物品に対し、作業者による検品作業が行われる。作業者は、物品に付されたバーコードをバーコードリーダで読み取り、無線通信端末によって、物品を特定するための物品情報が取得される。検品が完了した後、検品結果情報が倉庫管理装置に送信される。その後作業者は、倉庫管理装置からの指示に基づき、無線通信端末を用いて積載情報作成作業を行う。
【0003】
積載情報作成作業では、作業者が物品を順次パレット上に積載するが、その間、パレットに付されたバーコードと物品のそれぞれに付されたバーコードとがバーコードリーダによって読み取られる。これらの情報に基づき、無線通信端末において、パレット名、そのパレットに積載される複数の物品、及びそれら物品の数量が関連づけられる。倉庫管理装置では、作成された積載情報に基づいて、倉庫内の空きスペースが検索され、パレットの格納位置が決定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のシステムでは、物品の入庫作業に要する時間が長くなる傾向にあり、また作業者にかかる負担が大きかった。本開示は、入荷された複数の荷物(物品)の入庫作業における作業者の負担を軽減することができる入庫システム及び入庫方法を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、外部から搬入され、それぞれに荷物IDが付された複数の荷物を自動倉庫へ入庫する入庫システムであって、荷物IDが外側から読み取り可能な状態で複数の荷物が積み重ねられてなる荷物群を支持する入荷パレットが置かれるステーションと、ステーションに置かれた入荷パレット上の荷物群を構成する複数の荷物のそれぞれの荷物IDを読み取る第1読取部と、入荷パレットに替わって荷物群を支持する保管パレットのパレットIDを読み取る第2読取部と、第1読取部による読み取り結果と第2読取部による読み取り結果とを紐づけて保管パレットに対する自動倉庫への入庫指示を作成するコントローラと、を備える。
【0007】
この入庫システムでは、荷物群を支持する入荷パレットが、ステーションに置かれる。第1読取部によって、複数の荷物のそれぞれの荷物IDが読み取られる。その後荷物群は保管パレットに支持され、第2読取部によって保管パレットのパレットIDが読み取られる。これらの2つの読み取り結果が、コントローラによって紐づけられて入庫指示が作成されるので、作業者は、手動で各荷物の荷物IDを読む必要がない。また入荷パレットにIDが付されていなくても、荷物群が入荷パレットから保管パレットに載せ替えられた状態でパレットIDの読み取り及び紐づけがなされる。これら一連の処理により、入荷された複数の荷物の入庫作業における作業者の負担を軽減することができる。
【0008】
ステーションは、入荷パレットを回転させる回転テーブルを有し、第1読取部は、回転テーブルによって回転させられる荷物群の少なくとも側方から荷物IDを読み取ってもよい。複数の荷物は、それぞれの荷物IDが外側から読み取り可能な状態で入荷パレットに積み重ねられる。荷物群が回転させられる間、第1読取部は、すべての荷物IDを読み取ることができる。これにより、入荷された複数の荷物のすべての荷物IDを短時間で読み取ることができる。
【0009】
第1読取部による読み取り結果及び第2読取部による読み取り結果を表示する表示部を有し、コントローラは、双方の読み取り結果の表示に基づき入庫を許可する旨の入力を受け付けた場合に入庫指示を作成してもよい。この場合、入荷された荷物と保管パレットとの紐づけを確実に行うことができる。
【0010】
表示部は、第1読取部による読み取り結果として荷物群を構成する複数の荷物の個数を表示してもよい。作業者は、入荷された複数の荷物の個数を把握していることが多い。個数が表示部に表示されることで、入庫を許可してよいか否かの判断を確実かつ容易に行うことができる。
【0011】
コントローラは、第1読取部による読み取り結果及び第2読取部による読み取り結果の表示に基づき入庫を禁止する旨の入力を受け付けた場合には入庫指示を作成せず、荷物群は保管パレットに支持されて別のステーションへと搬送されてもよい。この場合、本来予定されていない、不適切な入庫を防止することができる。
【0012】
第2読取部は、荷物群が入荷パレットから保管パレットに載せ替えられる載せ替えエリアを読み取れる位置に配置されるか、又は載せ替えエリアの近傍エリアを読み取れる位置に配置されていてもよい。この場合、第1読取部による読み取りと、第2読取部による読み取りとの間の時間的な間隔が、比較的短くなる。よって、2つの読み取り結果を紐づける際のデータのずれが生じにくい。
【0013】
本開示の別の態様は、外部から搬入され、それぞれに荷物IDが付された複数の荷物を自動倉庫へ入庫する入庫方法であって、荷物IDが外側から読み取り可能な状態で複数の荷物が積み重ねられてなる荷物群を支持する入荷パレットを、ステーションに置く工程と、ステーションに置かれた入荷パレット上の荷物群を構成する複数の荷物のそれぞれの荷物IDを第1読取部によって読み取る工程と、入荷パレットから、パレットIDが付された保管パレットに荷物群を載せ替え、当該パレットIDを第2読取部によって読み取る工程と、第1読取部による読み取り結果と第2読取部による読み取り結果とを紐づけて保管パレットに対する自動倉庫への入庫指示を作成する工程と、を含む。
【0014】
この入庫方法によっても、上記した入庫システムにおける作用効果と同様、上記一連の工程により、入荷された複数の荷物の入庫作業における作業者の負担を軽減することができる。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、入荷された複数の荷物の入庫作業における作業者の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係る入庫システムを概略的に示す平面図である。
【
図2】
図2は、入庫システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、入荷パレット上における荷物の積載例を示す図である。
【
図4】
図4は、回転テーブルと第1読取部による第1読取工程を示す図である。
【
図5】
図5(a)~
図5(d)は、第1読取工程における4つの回転位置を示す平面図である。
【
図6】
図6(a)、
図6(b)及び
図6(c)は、それぞれ、第1読取工程、載せ替え工程、及び第2読取工程におけるパレット及び荷物の状態を示す側面図である。
【
図7】
図7は、表示部における入庫確認画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0018】
まず
図1を参照して、本実施形態に係る入庫システム1と、入庫システム1が適用される自動倉庫システムWについて説明する。
図1に示されるように、自動倉庫システムWは、複数の荷物Bの入庫、保管、出庫などを管理及び自動化するためのオートメーションシステムである。自動倉庫システムWは、例えば、複数の自動倉庫2と、複数のステーションA1,A2と、自動倉庫2のそれぞれとステーションA1,A2との間を接続して荷物Bを搬送するコンベア10と、複数の運搬車100とを備える。自動倉庫システムWは、例えば建屋(不図示)内に設置される。なお、自動倉庫システムWの一部(ステーション及び/又はコンベア等)が建屋の外部に設置されてもよい。
【0019】
各自動倉庫2は、例えば、荷物Bを格納するラック(保管棚)、軌道に沿って走行するスタッカクレーン等を有する。自動倉庫2では、例えば複数の荷物Bが、保管パレットPb上に積載された状態で保管される。コンベア10は、建屋内の倉庫又はステーションのレイアウトに応じて適宜に設置される。一例として、コンベア10は、各自動倉庫2に接続された入出庫コンベア3と、複数の入出庫コンベア3間を接続する搬送コンベア4と、搬送コンベア4とステーションA1,A2とを接続する第1コンベア6、第2コンベア7、入荷コンベア11及びパレット排出コンベア18等を有する。これらのコンベアは、複数の荷物Bを支持する保管パレットPb(又は入荷パレットPa)を搬送可能である。コンベアの型式は特に限定されないが、コンベアとして、例えばチェーンコンベア及び/又はローラコンベアが適用される。
【0020】
運搬車100のそれぞれは、例えばフォークリフトである。運搬車100は、作業者によって運転されて、倉庫内を移動しながら入荷パレットPa及び入荷パレットPaに支持された複数の荷物Bを運搬する。以下の説明において、入荷パレットPa及び入荷パレットPa上の複数の荷物Bの全体を積載体Xaと呼ぶことがある。また保管パレットPb及び保管パレットPb上の複数の荷物Bの全体を積載体Xbと呼ぶことがある。
【0021】
自動倉庫システムWは、外部から搬入された複数の荷物Bを何れかの自動倉庫2へ入庫する入庫システム1を備える。入庫システム1は、複数のステーションA1,A2と、コンベア10と、コンベア10の途中に設けられた載せ替え装置14とを備える。入庫システム1において管理対象とされる荷物Bのそれぞれには、荷物IDが付されている。荷物IDが付される態様は特に限定されないが、例えば、荷物IDを示すバーコード等が印字されたIDステッカーS(
図3参照)が、直方体状の荷物Bの少なくとも何れか1つの側面に貼付されている。
【0022】
図2は、入庫システム1の構成を示すブロック図である。
図1及び
図2に示されるように、入庫システム1は、運搬車100の走行エリア付近に設置されて作業者によって操作される入庫操作装置30と、第1読取カメラ(第1読取部)21と、第2読取カメラ(第2読取部)22と、センサ類25とを備える。なお、入庫システム1は、自動倉庫システムW内の複数の自動倉庫2における入庫、保管、出庫などを統括的に制御する上位コントローラ5の一部の機能(荷物Bの入庫に係る機能)を含んでもよい。上位コントローラ5は、積載体Xb(保管パレットPb)に対する何れかの自動倉庫2への入庫指示を作成する。
【0023】
入庫操作装置30は、入庫コントローラ31を有する。入庫コントローラ31は、例えば、入荷コンベア11、第1ステーションA1における回転テーブル12(詳しくは後述される)、載せ替え装置14、第1コンベア6、第2コンベア7、及びパレット排出コンベア18のそれぞれを制御するコンベア制御部32と、第1読取カメラ21及び第2読取カメラ22において読み取られた情報(読み取り結果)を入力する読取情報入力部33と、入庫操作装置30に対する情報の入出力のための送受信部34とを含む。送受信部34における各機器、各カメラ、及び各センサ等との間の通信は、有線通信によって行われてもよいし、無線通信によって行われてもよい。入庫操作装置30は、さらに、第1読取カメラ21及び第2読取カメラ22において読み取られた情報(読み取り結果)を表示するタッチパネルディスプレイ(表示部)36(
図1及び
図7参照)を含む。
【0024】
上位コントローラ5は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等からなる電子制御ユニットである。また入庫操作装置30の入庫コントローラ31も、同様に、CPU等のプロセッサ、ROM及びRAM等からなる電子制御ユニットである。本実施形態の入庫システム1において、上位コントローラ5によって作成される入庫指示が、入庫コントローラ31によって作成されてもよい。その場合には、入庫コントローラ31は上位コントローラ5との間で情報通信を行いながら、各自動倉庫2における他の荷物Bの入庫状況などを参照して、これから入庫させる複数の荷物B(積載体Xb)についての入庫指示を作成する。
【0025】
入庫システム1では、
図1、
図3及び
図4に示されるように、運搬車100によって、複数の荷物Bが積み重ねられてなる荷物群Gが、入荷パレットPaに支持された状態(入荷パレットPa上に載置された状態)で運搬され、第1ステーションA1に置かれる。入荷パレットPaは、扁平な直方体形状を呈しており、側面に複数のフォーク穴Hを有する。入荷パレットPaには、パレットIDは貼付されていない。したがって、積載された複数の荷物Bの荷物IDを入荷パレットPaに紐づけることはできない。そこで、入庫システム1では2段階のID読み取り作業が行われる。
【0026】
第1段階の読み取りは、第1読取カメラ21によって行われる。より詳細には、第1読取カメラ21は、第1ステーションA1に置かれた入荷パレットPa上の荷物群Gを構成する複数の荷物Bのそれぞれの荷物IDを読み取る。
図1及び
図4に示されるように、運搬車100によって、第1ステーションA1の入荷コンベア11上に積載体Xaが載置される。入荷パレットPaは、複数の荷物Bのそれぞれの荷物IDが外側から読み取り可能な状態で、荷物群Gを支持している。
図3及び
図4に示されるように、各荷物Bの側面に付されたIDステッカーSが、荷物群Gの何れかの側面に露出している。なお、荷物群Gを構成する複数の荷物Bは、互いに異なるあらゆるサイズを有してもよい。荷物群Gが全体として直方体又は立方体以外のいかなる形状を呈してもよい。複数の荷物は、既知の技術によって入荷パレットPa上に適宜に積み重ねられる。そしてすべての荷物Bの荷物IDを示すIDステッカーSが、全体として、荷物群Gの4つの側面に露出する。
【0027】
図1及び
図4に示されるように、第1読取カメラ21は、第1ステーションA1に置かれた入荷パレットPa上の荷物群Gの側方に配置される。第1読取カメラ21は、例えば、広角型の2次元対応バーコードリーダであって、その横向きの視野内に荷物群Gが収まるように設置されている。なお、第1読取カメラ21を補助するために第1読取カメラ21以外の別の場所に別の読取カメラが設けられてもよい。
【0028】
第1読取カメラ21による第1段階の読み取りについて更に詳しく説明する。第1ステーションA1は、入荷パレットPaを回転させる回転テーブル12を有する。回転テーブル12は、例えば、床面に設置されてその上部が鉛直軸を中心に回転可能であるベース部12a(
図4参照)と、ベース部12aから上方に突出するように設けられて積載体Xa(入荷パレットPa)を支持すると共に積載体Xaを所定の高さだけ昇降させるリフタ12b(
図1参照)とを含む。ベース部12aは、回転のためのモータ、及び、昇降のためのモータ等を内部に含み得る。なお、回転テーブル12としては、入荷コンベア11上に載置された積載体Xa(入荷パレットPa)を回転可能な他の機構が採用されてもよい。回転テーブル12は、例えば、回転可能なチェーンコンベアを有してもよいし、回転可能なローラコンベアを有してもよい。その場合、回転テーブル12が、入荷コンベア11の一部を構成してもよい。
【0029】
図5(a)~
図5(d)に示されるように、第1読取カメラ21は、回転テーブル12によって回転させられる荷物群Gの側方の所定位置から、各荷物Bの荷物IDを読み取る。第1読取カメラ21は、荷物群Gの第1側面F1に露出した1つ又は2以上の荷物IDを読み取り(
図5(a)参照)、次に荷物群Gの第2側面F2に露出した1つ又は2以上の荷物IDを読み取り(
図5(b)参照)、次に荷物群Gの第3側面F3に露出した1つ又は2以上の荷物IDを読み取り(
図5(c)参照)、最後に荷物群Gの第4側面F4に露出した1つ又は2以上の荷物IDを読み取る(
図5(d)参照)。回転テーブル12は、荷物群Gを90度ずつ回転させる毎に荷物群Gを停止させてもよいが、荷物群Gを連続的に360度回転させてもよい。
【0030】
上述した4回の読み取りを通じて、第1読取カメラ21は、荷物群Gを構成するすべての荷物Bの荷物IDを読み取る。第1読取カメラ21は、読み取り結果を示す情報を入庫操作装置30に送信する。
【0031】
第1段階の読み取りと第2段階の読み取りとの間に、載せ替え装置14による荷物群Gの載せ替えが行われる。第1読取カメラ21による読み取りが完了すると、コンベア制御部32は、入荷コンベア11を制御して、入荷パレットPa(積載体Xa)を載せ替え装置14へと搬送する。なお、入荷コンベア11には、積載体Xaの荷姿が所定範囲に収まっているか否かを検出する荷姿センサ13(
図1及び
図4参照)が設けられる。
【0032】
図1に示される載せ替え装置14はパレットチェンジャーである。別の観点からは、載せ替え装置14は、荷物群Gを構成する複数の荷物Bをバラすことなく、荷物群Gを入荷パレットPaから保管パレットPbへと移し替える。載せ替え装置14は、入荷パレットPaに積み付けられた荷物群Gの全体の形状や荷姿を変化させることなく、保管パレットPbへと荷物群Gを移し替える。移し替えが行われる間、複数の荷物Bの相対的な位置関係は不変である。
図1に示されるように、載せ替え装置14は、第1コンベア6から供給される保管パレットPbを順次受け入れる保管パレット供給部15と、入荷パレットPaから保管パレットPbに荷物群Gを載せ替える載せ替え部16と、積載体Xaから取り除かれた入荷パレットPaをパレット排出コンベア18へと排出する入荷パレット排出部17とを含む。載せ替え装置14は、第1ステーションA1及び第2ステーションA2と、第1コンベア6及び第2コンベア7との間に設置されている。載せ替え装置14としては、公知のあらゆるパレットチェンジャーが適用され得る。載せ替え装置14によって扱われる入荷パレットPa及び保管パレットPbは、例えば、平面視において同じ大きさ及び形状を有する。
【0033】
第2コンベア7は、載せ替え装置14から搬送コンベア4へと積載体Xbを搬送する。第2コンベア7は、載せ替え部16に隣接する第2読取エリア7aを含む。第2読取エリア7aは、載せ替えエリア(又は載せ替え位置)である載せ替え部16の近傍エリアを読み取れる位置に配置されている。本明細書において、「近傍」とは、載せ替え部16の載せ替えテーブル16a(
図6(b)参照)と第2読取エリア7aとの間の距離が、保管パレットPbの大きさの3倍よりも小さいことを意味する。すなわち、載せ替え部16と第2読取エリア7aとの間に、読み取り対象物である保管パレットPb以外の物が置けないほどに、第2読取エリア7aは載せ替え部16に近い。載せ替えテーブル16aと第2読取エリア7aとの間の距離は、保管パレットPbの1つ分の大きさよりも小さくてもよい。
【0034】
第2段階の読み取りは、第2読取カメラ22によって行われる。より詳細には、第2読取カメラ22は、保管パレットPbの側面に付されたパレットIDを読み取る。
図6(b)に示されるように、保管パレットPbの側面には、例えば2つのフォーク穴H,Hの中間位置にID表示部Tが設けられている。ID表示部Tは、パレットIDを示すバーコード等を含む。1つの保管パレットPbに1つのみのID表示部Tが設けられてもよいし、1の保管パレットPbの複数の側面に複数のID表示部Tが設けられてもよい。
【0035】
第2読取カメラ22は、第2読取エリア7aに置かれた保管パレットPbの側方に配置される。載せ替え装置14の載せ替え部16は、ID表示部Tが第2読取カメラ22に対面するような向き(姿勢)で、積載体Xbを排出する。
図6(c)には、第2読取カメラ22から見た保管パレットPb(積載体Xb)が示されている。第2読取カメラ22は、例えば、広角型の2次元対応バーコードリーダであって、その横向きの視野内に保管パレットPbが収まるように設置されている。なお、第2読取カメラ22によって読み取るべき領域は1つのID表示部Tのみであるため、第2読取カメラ22の視野が第1読取カメラ21の視野より狭くてもよい。
【0036】
続いて、搬入された複数の荷物Bを自動倉庫2へ入庫する入庫方法について説明する。まず作業者が、入荷パレットPa(積載体Xa)を第1ステーションA1の入荷コンベア11上に移載する(第1ステーションA1に置く)。作業者は、タッチパネルディスプレイ36に表示された「バーコード読み取り開始」ボタン(不図示)を押下する。その後、入庫コントローラ31のコンベア制御部32は、回転テーブル12を回転させる。入庫コントローラ31は、回転テーブル12を回転させる間に、荷物群Gを構成する複数の荷物Bの各荷物IDを第1読取カメラ21に読み取らせる。続いて、コンベア制御部32は、荷物群Gを入荷パレットPaから保管パレットPbへと載せ替え、保管パレットPb(積載体Xb)を第2読取エリア7aへと送り出す。入庫コントローラ31は、第2読取エリア7a上にて停止した保管パレットPbのパレットIDを第2読取カメラ22に読み取らせる。
【0037】
入庫コントローラ31の読取情報入力部33は、第1読取カメラ21による読み取り結果及び第2読取カメラ22による読み取り結果を入力すると、その2つの読み取り結果をタッチパネルディスプレイ36に表示させる。例えば、
図7に示されるように、タッチパネルディスプレイ36に表示される画面は、荷物群Gを構成する複数の荷物Bの個数を表示する荷物個数表示部41と、保管パレットPbのパレットIDを表示するパレットID表示部42とを含む。作業者は、この読み取り結果を視認した上で、例えば荷物Bの個数が適切であると判断すると、タッチパネルディスプレイ36に表示された入庫可否操作部43のうちのOKボタン43aを押下する。このように、作業者は、読み取り結果がタッチパネルディスプレイ36に表示されている間(又は表示後であってもよい)に、OKボタン43aを押下する。入庫コントローラ31は、このように読み取り結果に基づき入庫を許可する旨の入力を受け付けると、入庫許可情報を上位コントローラ5へと送信する。入庫許可情報には、少なくとも、すべての荷物Bの荷物ID、荷物Bの個数、及びパレットIDが含まれる。
【0038】
上位コントローラ5は、入庫許可情報を受け付けると、保管パレットPb(積載体Xb)に対する何れかの自動倉庫2への入庫指示を作成する。上位コントローラ5は、第1読取カメラ21による読み取り結果と第2読取カメラ22による読み取り結果とを紐づけて、保管パレットPbに対する何れかの自動倉庫2への入庫指示を作成する。上位コントローラ5は、入庫指示において、自動倉庫2の系統又は各自動倉庫2における保管状況などを適宜参照して、適切に入庫指示を作成する。上位コントローラ5は、作成した入庫指示に基づいて保管パレットPbを搬送し、所定の自動倉庫2に入庫させる。
【0039】
なお、入庫指示の作成後、入庫が開始されるまでの間に、タッチパネルディスプレイ36において作業者に対する承認を求めるメッセージ(例えば、「入庫を開始しますか?」等)及び承認可否ボタンが表示されてもよい。またタッチパネルディスプレイ36には、荷物群Gを構成する複数の荷物Bの詳細情報を閲覧するための荷物情報詳細ボタン46が表示されてもよい。また、作業者は、タッチパネルディスプレイ36のみを参照して入庫作業を進める態様に限られず、例えば、タッチパネルディスプレイ36の2次元コード表示部47に表示されたQRコード(登録商標)等の2次元コードを携帯型の端末で読み取り、当該端末を操作することで入庫作業を進めてもよい。
【0040】
一方、例えば、タッチパネルディスプレイ36に表示された荷物Bの個数が予定された個数と一致しない等の理由により、第1読取カメラ21による読み取り結果及び/又は第2読取カメラ22による読み取り結果が不適切であると判断されると、作業者は、NGボタン43bを押下する。入庫コントローラ31は、読み取り結果に基づき入庫を禁止する旨の入力を受け付けると、入庫禁止情報を上位コントローラ5へと送信する。それと同時に、コンベア制御部32は、第2コンベア7、載せ替え装置14及びパレット排出コンベア18を制御して、保管パレットPb(積載体Xb)を第2ステーションA2へと搬送する。なお、パレット排出コンベア18には、積載体Xb(又は積載体Xa)の荷姿が所定範囲に収まっているか否かを検出する荷姿センサ13(
図1参照)が設けられる。
【0041】
本実施形態の入庫システム1では、荷物群Gを支持する入荷パレットPaが、第1ステーションA1に置かれる。第1読取カメラ21によって、複数の荷物Bのそれぞれの荷物IDが読み取られる。その後荷物群Gは保管パレットPbに支持され、第2読取カメラ22によって保管パレットPbのパレットIDが読み取られる。これらの2つの読み取り結果が、上位コントローラ5によって紐づけられて入庫指示が作成されるので、作業者は、手動で各荷物Bの荷物IDを読む必要がない。また入荷パレットPaにIDが付されていなくても、荷物群Gが入荷パレットPaから保管パレットPbに載せ替えられた状態でパレットIDの読み取り及び紐づけが自動的になされる。これら一連の処理により、入荷された複数の荷物Bの入庫作業における作業者の負担を軽減することができる。
【0042】
複数の荷物Bは、それぞれの荷物IDが外側から読み取り可能な状態で入荷パレットPaに積み重ねられる。荷物群Gが回転テーブル12によって回転させられる間、第1読取カメラ21は、すべての荷物IDを一括して読み取ることができる。これにより、入荷された複数の荷物Bのすべての荷物IDを短時間で読み取ることができる。
【0043】
タッチパネルディスプレイ36における2つの読み取り結果の表示に基づき入庫を許可する旨の入力がなされ、入庫指示が作成される。これにより、入荷された荷物Bと保管パレットPbとの紐づけを確実に行うことができる。
【0044】
作業者は、入荷された複数の荷物Bの個数を把握していることが多い。荷物Bの個数がタッチパネルディスプレイ36に表示されることで、入庫を許可してよいか否かの判断を確実かつ容易に行うことができる。
【0045】
タッチパネルディスプレイ36における2つの読み取り結果の表示に基づき入庫を禁止する旨の入力がなされると、入庫指示は作成されない。荷物群Gは保管パレットPbに支持されて第2ステーションA2へと搬送される。これにより、本来予定されていない、不適切な入庫を防止することができる。
【0046】
第2読取カメラ22が、載せ替え部16の近傍エリアである第2読取エリア7a読み取れる位置に配置されている。これにより、第1読取カメラ21による読み取りと、第2読取カメラ22による読み取りとの間の時間的な間隔が、比較的短くなっている。よって、2つの読み取り結果を紐づける際のデータのずれが生じにくい。
【0047】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られない。例えば、第2読取カメラ22が、保管パレットPb上に積載された複数の荷物Bの一部の荷物IDを読み取ることにより、荷物群Gの整合性を確認してもよい。また、荷物群G(又は積載体Xb)の重量や出庫頻度に基づいて、上位コントローラ5は、荷物群G(又は積載体Xb)の保管位置を決定してもよい。
【0048】
第2読取カメラ22が、載せ替え装置14の載せ替え部16に位置する保管パレットPbのパレットIDを読み取ってもよい。すなわち、第2読取カメラ22が、パレットの載せ替え部16(載せ替えエリア)を読み取れる位置に配置されてもよい。回転テーブル12が省略されてもよい。その場合、すべての荷物Bの荷物IDを自動的に読み取るため、第1ステーションA1の周囲に複数の第1読取部(カメラ等)が設置されてもよい。
【0049】
入庫操作装置30のタッチパネルディスプレイ36が省略されてもよい。作業者又は作業者以外の別のユーザが、監視室において入庫可否を判断及び操作してもよい。
【0050】
本発明の一態様の構成要件は以下の通りに記載される。
[1]
外部から搬入され、それぞれに荷物IDが付された複数の荷物を自動倉庫へ入庫する入庫システムであって、
前記荷物IDが外側から読み取り可能な状態で前記複数の荷物が積み重ねられてなる荷物群を支持する入荷パレットが置かれるステーションと、
前記ステーションに置かれた前記入荷パレット上の前記荷物群を構成する前記複数の荷物のそれぞれの前記荷物IDを読み取る第1読取部と、
前記入荷パレットに替わって前記荷物群を支持する保管パレットのパレットIDを読み取る第2読取部と、
前記第1読取部による読み取り結果と前記第2読取部による読み取り結果とを紐づけて前記保管パレットに対する前記自動倉庫への入庫指示を作成するコントローラと、を備える、入庫システム。
[2]
前記ステーションは、前記入荷パレットを回転させる回転テーブルを有し、
前記第1読取部は、前記回転テーブルによって回転させられる前記荷物群の少なくとも側方から前記荷物IDを読み取る、[1]に記載の入庫システム。
[3]
前記第1読取部による読み取り結果及び前記第2読取部による読み取り結果を表示する表示部を有し、
前記コントローラは、双方の読み取り結果の表示に基づき入庫を許可する旨の入力を受け付けた場合に入庫指示を作成する、[1]又は[2]に記載の入庫システム。
[4]
前記表示部は、前記第1読取部による読み取り結果として前記荷物群を構成する前記複数の荷物の個数を表示する、[3]に記載の入庫システム。
[5]
前記コントローラは、前記第1読取部による読み取り結果及び前記第2読取部による読み取り結果の表示に基づき入庫を禁止する旨の入力を受け付けた場合には入庫指示を作成せず、
前記荷物群は保管パレットに支持されて別のステーションへと搬送される、[3]又は[4]に記載の入庫システム。
[6]
前記第2読取部は、前記荷物群が前記入荷パレットから前記保管パレットに載せ替えられる載せ替えエリアを読み取れる位置に配置されるか、又は前記載せ替えエリアの近傍エリアを読み取れる位置に配置されている、[1]~[5]の何れか一つに記載の入庫システム。
[7]
外部から搬入され、それぞれに荷物IDが付された複数の荷物を自動倉庫へ入庫する入庫方法であって、
前記荷物IDが外側から読み取り可能な状態で前記複数の荷物が積み重ねられてなる荷物群を支持する入荷パレットを、ステーションに置く工程と、
前記ステーションに置かれた前記入荷パレット上の前記荷物群を構成する前記複数の荷物のそれぞれの前記荷物IDを第1読取部によって読み取る工程と、
前記入荷パレットから、パレットIDが付された保管パレットに前記荷物群を載せ替え、当該パレットIDを第2読取部によって読み取る工程と、
前記第1読取部による読み取り結果と前記第2読取部による読み取り結果とを紐づけて前記保管パレットに対する前記自動倉庫への入庫指示を作成する工程と、を含む、入庫方法。
【符号の説明】
【0051】
1…入庫システム、2…自動倉庫、5…上位コントローラ、12…回転テーブル、14…載せ替え装置、21…第1読取カメラ(第1読取部)、22…第2読取カメラ(第2読取部)、30…入庫操作装置、31…入庫コントローラ、36…タッチパネルディスプレイ(表示部)、41…荷物個数表示部、42…パレットID表示部、43…入庫可否操作部、A1…第1ステーション、A2…第2ステーション(別のステーション)、B…荷物、G…荷物群、Pa…入荷パレット、Pb…保管パレット、S…IDステッカー、T…ID表示部、W…自動倉庫システム。