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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011596
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/06 20060101AFI20240118BHJP
   H01L 29/861 20060101ALI20240118BHJP
   H01L 29/41 20060101ALI20240118BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20240118BHJP
   H01L 21/8232 20060101ALI20240118BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20240118BHJP
   H01L 21/338 20060101ALI20240118BHJP
   H01L 21/337 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
H01L29/06 301F
H01L29/91 D
H01L29/44 Y
H01L21/88 Z
H01L27/06 F
H01L27/04 P
H01L29/80 F
H01L29/80 E
H01L29/80 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113730
(22)【出願日】2022-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤江 周作
(72)【発明者】
【氏名】市川 大介
【テーマコード(参考)】
4M104
5F033
5F038
5F102
【Fターム(参考)】
4M104AA01
4M104BB01
4M104FF10
4M104FF11
5F033HH04
5F033MM21
5F033MM29
5F033UU03
5F033VV09
5F033WW01
5F033XX00
5F038AR09
5F038AR13
5F038AR23
5F038CA02
5F038CD12
5F102GA17
5F102GB01
5F102GC02
5F102GD04
5F102GJ03
5F102GL03
(57)【要約】
【課題】フィールド抵抗体の螺旋方向における電界強度のばらつきを低減することができる半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置1は、フィールド抵抗体20を含む。フィールド抵抗体20は、最内周部20aからの巻き数を基準にして複数の抵抗単位61~64に区分けしたときに、最内周部20aから最外周部20bに向かって複数の抵抗単位61~64の単位長さ当たりの電気抵抗値が段階的に低くなるように構成されている。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面を有する半導体チップと、
前記第1主面の表面部に形成された第1電位領域と、
前記第1電位領域から離れて前記第1主面の表面部に形成され、前記第1電位領域よりも低い電位に接続される第2電位領域と、
前記第1主面の表面部において前記第1電位領域と前記第2電位領域との間に形成された第1導電型のドリフト領域と、
前記第1主面上で前記ドリフト領域を被覆するフィールド絶縁膜と、
前記フィールド絶縁膜上において前記第1主面の法線方向から見た平面視において、前記第1電位領域と前記第2電位領域との間に複数回巻回された螺旋構造を有し、かつ、前記第1電位領域に電気的に接続された高電位側端部および前記高電位側端部よりも低い電位に電気的に接続された低電位側端部を有するフィールド抵抗体とを含み、
前記高電位側端部が前記螺旋構造の最内部および最外部の一方であり、前記低電位側端部が前記最内部および前記最外部の他方であり、
前記フィールド抵抗体は、前記最内部からの巻き数を基準にして複数の抵抗単位に区分けしたときに、前記最内部から前記最外部に向かって前記複数の抵抗単位の単位長さ当たりの電気抵抗値が段階的に低くなるように構成されている、半導体装置。
【請求項2】
前記複数の抵抗単位は、前記最内部から1巻き単位ずつ順に対応しており、
前記複数の抵抗単位の単位長さ当たりの電気抵抗値は、前記最内部から前記最外部へ向かって1巻き増えるごとに低くなるように構成されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記複数の抵抗単位は、前記最内部から前記螺旋構造の1巻き目の第1抵抗単位と、前記第1抵抗単位よりも外側の複数の外側抵抗単位とを含み、
前記第1抵抗単位全体の電気抵抗値に対する前記複数の外側抵抗単位それぞれの全体の電気抵抗値の誤差が±10%以内である、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記複数の抵抗単位は、前記最内部から前記螺旋構造の1巻き目の第1抵抗単位と、前記第1抵抗単位よりも外側の複数の外側抵抗単位とを含み、
前記高電位側端部と前記低電位側端部との間に電圧が印加されたときに、前記第1抵抗単位における電圧降下量に対する前記複数の外側抵抗単位のそれぞれにおける電圧降下量の誤差が±10%以内である、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記フィールド抵抗体は、前記最内部から前記最外部に向かう螺旋方向において、前記複数の抵抗単位の幅の平均値が段階的に大きくなるように構成されている、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記複数の抵抗単位は、第1抵抗単位と、前記螺旋方向において前記第1抵抗単位に連続する第2抵抗単位とを含み、
前記フィールド抵抗体は、前記平面視において前記螺旋方向に沿って延びる側縁を有し、
前記フィールド抵抗体の前記側縁は、前記平面視において、前記第1抵抗単位から前記第2抵抗単位に向かって前記フィールド抵抗体の幅が連続的に広くなるように傾斜している、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記フィールド抵抗体の一対の前記側縁が前記螺旋方向に沿って並んで延びており、
前記一対の側縁は、前記第1抵抗単位から前記第2抵抗単位に向かって互いに離れ、前記最外部へ向かって幅が広くなるテーパ形状を有する前記フィールド抵抗体を形成している、請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記フィールド抵抗体は、前記最内部において第1幅を有し、前記最外部において前記第1幅よりも広い第2幅を有しており、
前記フィールド抵抗体は、前記最内部から前記最外部に向かって、前記第1幅から前記第2幅へ連続的に幅が広くなる形状を有している、請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記フィールド抵抗体の前記螺旋構造は、前記螺旋構造を横切る方向において内側から外側に向かって一定のスペース幅を有している、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記フィールド抵抗体の前記螺旋構造は、前記螺旋構造を横切る方向において内側から外側に向かって段階的に増減するスペース幅を有している、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記複数の抵抗単位は、第1抵抗単位と、前記最内部から前記最外部へ向かう螺旋方向において前記第1抵抗単位に連続する第2抵抗単位とを含み、
前記フィールド抵抗体は、前記平面視において前記螺旋方向に沿って延びる側縁を有し、
前記第1抵抗単位と前記第2抵抗単位との間には、前記第1抵抗単位の幅と前記第2抵抗単位の幅との差に起因する段差が形成されており、
前記第1抵抗単位の前記側縁は、前記段差を介して前記第2抵抗単位の前記側縁につながっている、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記複数の抵抗単位は、それぞれ、前記フィールド抵抗体の一部の除去によって形成された除去部を含み、
前記フィールド抵抗体は、前記最内部から前記最外部に向かう螺旋方向において、前記複数の抵抗単位のそれぞれの前記除去部のトータル平面面積が段階的に小さくなるように構成されている、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記複数の抵抗単位は、第1抵抗単位と、前記螺旋方向において前記第1抵抗単位に連続する第2抵抗単位とを含み、
前記フィールド抵抗体は、前記平面視において前記螺旋方向に沿って延びる側縁を有し、
前記除去部は、前記平面視において前記側縁の一部が凹むことによって形成された切り欠き部を含み、
前記第1抵抗単位の前記切り欠き部は、前記第2抵抗単位の前記切り欠き部よりも広い幅を有している、請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第1電位領域は、前記第1主面の表面部に形成された第1導電型のドレイン領域を含み、
前記第2電位領域は、前記第1主面の表面部に互いに電気的に接続されるように形成された第1導電型のソース領域および前記ソース領域を挟む少なくとも一対の第2導電型のゲート領域を含むソース/ゲート領域を含み、
前記フィールド抵抗体の前記低電位側端部がグランド電位に電気的に接続され、
前記フィールド抵抗体の前記高電位側端部が前記ドレイン領域に電気的に接続されている、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記ドレイン領域は、前記フィールド抵抗体で取り囲まれた領域に形成され、
前記ソース/ゲート領域は、前記フィールド抵抗体の周囲の領域に形成されている、請求項14に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記フィールド抵抗体は、不純物を含有するポリシリコンにより形成されている、請求項1または2に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、半導体層、第1電極、第2電極、横型素子、LOCOS酸化膜および抵抗性フィールドプレートを含む半導体装置を開示している。第1電極は、半導体層の表面の上に形成されている。第2電極は、第1電極から間隔を空けて半導体層の表面の上に形成されている。横型素子は、半導体層の表面の表層部において第1電極および第2電極の間の領域に形成され、第1電極および第2電極に電気的に接続されている。LOCOS酸化膜は、半導体層の表面において横型素子を構成する各部を分離している。抵抗性フィールドプレートは、LOCOS酸化膜の上に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2013/075877号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の一実施形態は、フィールド抵抗体の螺旋方向における電界強度のばらつきを低減することができる半導体装置を提供する。
【0005】
本開示の一実施形態は、フィールド抵抗体の螺旋方向の長さの変動に伴う耐圧変動を抑制することができる半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る半導体装置は、第1主面を有する半導体チップと、前記第1主面の表面部に形成された第1電位領域と、前記第1電位領域から離れて前記第1主面の表面部に形成され、前記第1電位領域よりも低い電位に接続される第2電位領域と、前記第1主面の表面部において前記第1電位領域と前記第2電位領域との間に形成された第1導電型のドリフト領域と、前記第1主面上で前記ドリフト領域を被覆するフィールド絶縁膜と、前記フィールド絶縁膜上において前記第1主面の法線方向から見た平面視において、前記第1電位領域と前記第2電位領域との間に複数回巻回された螺旋構造を有し、かつ、前記第1電位領域に電気的に接続された高電位側端部および前記高電位側端部よりも低い電位に電気的に接続された低電位側端部を有するフィールド抵抗体とを含み、前記高電位側端部が前記螺旋構造の最内部および最外部の一方であり、前記低電位側端部が前記最内部および前記最外部の他方であり、前記フィールド抵抗体は、前記最内部からの巻き数を基準にして複数の抵抗単位に区分けしたときに、前記最内部から前記最外部に向かって前記複数の抵抗単位の単位長さ当たりの電気抵抗値が段階的に低くなるように構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一実施形態に係る半導体装置によれば、フィールド抵抗体の螺旋方向における電界強度のばらつきを低減することができる。
【0008】
本開示の一実施形態に係る半導体装置によれば、フィールド抵抗体の螺旋方向の長さの変動に伴う耐圧変動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る半導体装置の模式的な平面図である。
図2図2は、図1の領域IIの拡大図であって、フィールド抵抗体の螺旋構造を示す図である。
図3図3は、図2のIII-III線に沿う縦断面図である。
図4図4は、図3の一点鎖線IVにより囲まれた部分の拡大断面図である。
図5図5は、図2の一点鎖線Vにより囲まれた部分の拡大平面図である。
図6図6は、図5のVI-VI線に沿う縦断面図である。
図7図7は、図5のVII-VII線に沿う縦断面図である。
図8図8は、図5のVIII-VIII線に沿う縦断面図である。
図9図9は、前記フィールド抵抗体の第1形状パターンを示す図である。
図10図10は、図9のフィールド抵抗体の模式的な展開図である。
図11図11は、前記フィールド抵抗体の第2形状パターンを示す図である。
図12図12は、前記フィールド抵抗体の第3形状パターンを示す図である。
図13図13は、前記フィールド抵抗体の第4形状パターンを示す図である。
図14図14は、図11図13のフィールド抵抗体の模式的な展開図である。
図15図15は、前記フィールド抵抗体の第5形状パターンを示す図である。
図16図16は、図15のフィールド抵抗体の模式的な展開図である。
図17図17は、前記フィールド抵抗体の第6形状パターンを示す図であって、切り欠き部が形成されたフィールド抵抗体を示す図である。
図18図18は、前記フィールド抵抗体の第7形状パターンを示す図であって、切り欠き部が形成されたフィールド抵抗体を示す図である。
図19図19は、図17の一点鎖線XIVで囲まれた部分の拡大図である。
図20図20は、前記切り欠き部の第1形状パターンを示す図である。
図21図21は、前記切り欠き部の第2形状パターンを示す図である。
図22図22は、前記切り欠き部の第3形状パターンを示す図である。
図23図23は、サイズAで形成されたJFETを示す図である。
図24図24は、サイズBで形成されたJFETを示す図である。
図25図25は、サイズCで形成されたJFETを示す図である。
図26図26は、前記JFETのサイズと耐圧との関係をサイズごとに示すグラフである。
図27図27は、ドレイン側からの螺旋構造の巻き数と電圧降下との関係を示すグラフである。
図28図28は、JFETにおける各位置での電界強度を示す図である。
図29図29は、図28の一点鎖線で囲まれた部分の拡大図であって、サイズA~CのJFETの電界強度を比較するための図である。
図30図30は、電圧降下量の均一化の結果を示すグラフである。
図31図31は、電圧降下量の均一化前後の電界強度を比較するための図である。
図32図32は、前記JFETに代えてMISFETを備える前記半導体装置の模式的な断面図である。
図33図33は、前記JFETに代えてダイオードを備える前記半導体装置の模式的な断面図である。
図34図34は、多層構造で形成された前記フィールド抵抗体を説明するための図である。
図35図35は、図34の前記フィールド抵抗体の模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本開示の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
[半導体装置1の全体構成]
図1は、本開示の一実施形態に係る半導体装置1の模式的な平面図である。
【0012】
図1を参照して、半導体装置1は、直方体形状に形成されたシリコン製のチップ2(半導体チップ)を含む。チップ2は、一方側の第1主面3、他方側の第2主面4、ならびに、第1主面3および第2主面4を接続する第1~第4側面5A~5Dを有している。第1主面3および第2主面4は、それらの法線方向Zから見た平面視(以下、単に「平面視」という。)において四角形状に形成されている。また、第1主面3および第2主面4の法線方向Zは、チップ2の厚さ方向を含む。第1側面5Aおよび第2側面5Bは、第2方向Yに延び、第2方向Yに交差(具体的には直交)する第1方向Xに対向している。第3側面5Cおよび第4側面5Dは、第1方向Xに延び、第2方向Yに対向している。
【0013】
半導体装置1は、第1主面3に区画された複数のデバイス領域6を含む。複数のデバイス領域6の個数および配置は任意である。複数のデバイス領域6は、チップ2の内外の領域を利用して形成された機能デバイスをそれぞれ含む。機能デバイスは、半導体スイッチングデバイス、半導体整流デバイスおよび受動デバイスのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。機能デバイスは、半導体スイッチングデバイス、半導体整流デバイスおよび受動デバイスのうちの少なくとも2つが組み合わされた回路網を含んでいてもよい。
【0014】
半導体スイッチングデバイスは、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)、BJT(Bipolar Junction Transistor)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Junction Transistor)およびJFET(Junction Field Effect Transistor)のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。半導体整流デバイスは、pn接合ダイオード、pin接合ダイオード、ツェナダイオード、ショットキーバリアダイオードおよびファストリカバリーダイオードのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。受動デバイスは、抵抗、コンデンサ、インダクタおよびヒューズのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0015】
複数のデバイス領域6は、少なくとも1つ(この形態では1つ)のトランジスタ領域7を含む(図1の領域II参照)。トランジスタ領域7は、この形態ではJFET100(Junction Field Effect Transistor:接合型電界効果トランジスタ)を含む。JFET100は、この形態では、オフ状態において800V以上のドレイン電圧VDSが印加可能な高耐圧デバイスを含む。以下、トランジスタ領域7の構造が具体的に説明される。
【0016】
[トランジスタ領域7(JFET100)の基本構造]
図2は、図1の領域IIの拡大図であって、フィールド抵抗体の螺旋構造を示す図である。図3は、図2のIII-III線に沿う縦断面図である。図4は、図3の一点鎖線IVにより囲まれた部分の拡大断面図である。図5は、図2の一点鎖線Vにより囲まれた部分の拡大平面図である。図6は、図5のVI-VI線に沿う縦断面図である。図7は、図5のVII-VII線に沿う縦断面図である。図8は、図5のVIII-VIII線に沿う縦断面図である。
【0017】
図2図8を参照して、半導体装置1のトランジスタ領域7には、ドレイン・ソース間電圧VDSが、たとえば500V以上1500V以下(この形態では800V程度)のJFET100が形成されている。
【0018】
半導体装置1のチップ2は、p型の基板8と、基板8上に形成されたn型のエピタキシャル層9とを含む。基板8は、たとえばp型不純物濃度が比較的低い値に設定された高抵抗シリコン基板である。基板8のp型不純物濃度は、たとえば1.0×1013cm-3以上1.0×1014cm-3以下である。エピタキシャル層9のn型不純物濃度は、たとえば1.0×1015cm-3以上1.0×1016cm-3以下である。エピタキシャル層9の厚さは、たとえば、1μm以上10μm以下である。エピタキシャル層9の表面領域には、ドレイン領域10が形成されている。
【0019】
図2を参照して、ドレイン領域10は、平面視円環状に形成されている。ドレイン領域10は、エピタキシャル層9のn型不純物濃度よりも高いn型不純物濃度を有している。ドレイン領域10のn型不純物濃度は、たとえば1.0×1019cm-3以上1.0×1020cm-3以下である。ドレイン領域10の下方のエピタキシャル層9の表面領域には、n型のドレイン側ウェル領域11が形成されている。
【0020】
ドレイン側ウェル領域11は、ドレイン領域10の底部および側部を被覆しており、ドレイン領域10に沿って平面視円環状に形成されている。ドレイン側ウェル領域11は、エピタキシャル層9のn型不純物濃度よりも高くドレイン領域10のn型不純物濃度よりも低いn型不純物濃度を有している。ドレイン側ウェル領域11のn型不純物濃度は、たとえば1.0×1016cm-3以上1.0×1017cm-3以下である。
【0021】
エピタキシャル層9の表面領域には、さらに、互いに電気的に接続されるように間隔を空けて交互に配列されたn型のソース領域12およびp型のゲート領域13を含むソース/ゲート領域14が形成されている。ソース領域12は、電気的に浮遊状態とされており、ゲート領域13はグランドに電気的に接続されている。ドレイン領域10が、相対的に高い電位に接続される第1電位領域と称される場合、ソース/ゲート領域14は、ドレイン領域10よりも低い電位に接続される第2電位領域と称されてもよい。
【0022】
図2を参照して、ソース/ゲート領域14は、ドレイン領域10の周囲に形成されている。この形態では、チップ2は、第1方向Xにおいてドレイン領域10を挟んで対向する第1領域51および第2領域52と、第2方向Yにおいてドレイン領域10を挟んで対向する第3領域53および第4領域54とを含む。ソース/ゲート領域14は、第1領域51、第2領域52および第3領域53の3箇所に選択的に配置されている。第1領域51、第2領域52および第3領域53のソース/ゲート領域14は、ドレイン領域10の周方向に沿って互いに離れている。したがって、JFET100では、ドレイン領域10から第1方向Xの両方向(紙面左右方向)と、第2方向Yの一方向(紙面上方向)との3方向に電流経路が形成される。
ソース/ゲート領域14において、ソース領域12は、平面視四角形状に形成されており、ドレイン領域10のn型不純物濃度と略同一のn型不純物濃度を有している。一方、ゲート領域13は、平面視四角形状に形成されており、基板8のp型不純物濃度よりも高いp型不純物濃度を有している。ゲート領域13のp型不純物濃度は、たとえば1.0×1019cm-3以上1.0×1020cm-3以下である。
【0023】
図3図7を参照して、ソース/ゲート領域14は、ソース領域12の下方のエピタキシャル層9の表面領域に形成されたn型のソース側ウェル領域15と、ゲート領域13の下方のエピタキシャル層9の表面領域に形成されたp型のゲート側ウェル領域16とを含む。第1領域51、第2領域52および第3領域53それぞれのソース/ゲート領域14のソース側ウェル領域15およびゲート側ウェル領域16は、互いに物理的に離れている。これにより、第1領域51、第2領域52および第3領域53のソース/ゲート領域14は、互いに独立して形成されている。
【0024】
ソース側ウェル領域15は、ソース領域12の底部および側部を被覆しており、平面視においてソース領域12を一つずつ取り囲むように間欠的に形成されている。ソース側ウェル領域15は、ゲート側ウェル領域16よりもドレイン領域10側に張り出した張り出し部15aを有しており、平面視において四角形状に形成されている。ソース側ウェル領域15の底部は、エピタキシャル層9内に位置している。ソース側ウェル領域15は、ドレイン側ウェル領域11のn型不純物濃度と略同一のn型不純物濃度を有している。したがって、ソース側ウェル領域15は、ソース領域12のn型不純物濃度よりも低いn型不純物濃度を有している。
【0025】
一方、ゲート側ウェル領域16は、ゲート領域13の底部および側部を被覆しており、張り出し部15aを除くソース側ウェル領域15の三方の側部および底部と接するようにエピタキシャル層9に形成されている。ゲート側ウェル領域16は、張り出し部15aを除くソース側ウェル領域15の三方の側部および底部との間でpn接合部を形成している。
【0026】
より詳細には、ゲート側ウェル領域16は、隣り合うソース側ウェル領域15間でゲート領域13の底部および側部を被覆する第1領域16aと、ソース側ウェル領域15の張り出し部15aとは反対側において隣り合う第1領域16aを接続する第2領域16bと、第1領域16aおよび第2領域16bの下方に形成され、各ソース側ウェル領域15の底部と接する第3領域16cとを含む。
【0027】
この形態では、ゲート側ウェル領域16の第1領域16aおよび第2領域16bが同一のp型不純物濃度で形成されており、ゲート側ウェル領域16の第3領域16cが、第1領域16aおよび第2領域16bのp型不純物濃度よりも高いp型不純物濃度で形成されている。第1領域16aおよび第2領域16bのp型不純物濃度は、たとえば1.0×1017cm-3以上1.0×1018cm-3以下である。第3領域16cのp型不純物濃度は、たとえば1.0×1018cm-3以上1.0×1019cm-3以下である。
【0028】
ゲート側ウェル領域16の第1領域16aは、その底部がエピタキシャル層9内に位置しており、平面視において四角形状に形成されている。ゲート側ウェル領域16の第2領域16bは、その底部がエピタキシャル層9内に位置しており、平面視円環状に形成されている。ゲート側ウェル領域16の第3領域16cは、基板8とエピタキシャル層9との境界を横切るようにチップ2内およびエピタキシャル層9内に形成されている。
【0029】
ゲート側ウェル領域16の第3領域16cの底部は、基板8内に位置している。ゲート側ウェル領域16の第3領域16cは、第1領域16aおよび第2領域16bの各底部に加えて、ソース側ウェル領域15の底部に接するように平面視円環状に形成されている。このようにして、ゲート側ウェル領域16が、張り出し部15aを除くソース側ウェル領域15の側部および底部との間でpn接合部を形成している。
【0030】
ドレイン領域10およびソース領域12間を流れる電流は、ソース/ゲート領域14に所定の制御電圧を印加することによって制御される。より詳細には、ソース領域12に所定の制御電圧が印加されると、ソース側ウェル領域15とゲート側ウェル領域16とのpn接合部から空乏層が拡がり、ソース領域12およびソース側ウェル領域15が空乏化される。これにより、ドレイン領域10およびソース領域12間の電流経路が閉ざされるため、ドレイン領域10およびソース領域12間に電流が流れなくなる。
【0031】
これとは反対に、ソース領域12に対する制御電圧の印加が解除されると、ソース領域12およびソース側ウェル領域15の空乏化が解除される。これにより、ドレイン領域10およびソース領域12間の電流経路が開かれるため、ドレイン領域10およびソース領域12間に電流が流れるようになる。このようにして、ドレイン領域10およびソース領域12間を流れる電流が制御される。
【0032】
エピタキシャル層9の表面には、ドレイン領域10およびソース/ゲート領域14を選択的に露出させるフィールド絶縁膜55が形成されている。フィールド絶縁膜55は、LOCOS(Local Oxidation Of Silicon)膜を含む。このフィールド絶縁膜55には、ドレイン領域10に取り囲まれた領域を被覆する平面視略楕円形状の内側フィールド絶縁膜56と、ドレイン領域10とソース/ゲート領域14との間の領域を被覆する平面視円環状の外側フィールド絶縁膜57とが含まれる。外側フィールド絶縁膜57は、ソース側ウェル領域15の張り出し部15aおよびゲート側ウェル領域16のドレイン領域10側の端部を被覆するように形成されている。
【0033】
エピタキシャル層9における外側フィールド絶縁膜57の内周縁から外周縁までの領域がドリフト領域58である。ドリフト領域58の距離は、たとえば80μm以上200μm以下(この形態では、120μm程度)である。フィールド絶縁膜55の厚さは、たとえば5000Å以上15000Å以下(この形態では、8000Å程度)である。
【0034】
外側フィールド絶縁膜57上には、フィールド抵抗体20が配置されている。フィールド抵抗体20は、フィールドプレートと称されてもよい。フィールド抵抗体20は、ドレイン領域10とソース/ゲート領域14との間に配置され、平面視において螺旋状に複数回巻回された構成を有している。
【0035】
フィールド抵抗体20は、ドレイン領域10を中心として、当該ドレイン領域10側からソース/ゲート領域14側に向けて予め定めた巻回ピッチで巻回されている。巻回ピッチとは、具体的には、フィールド抵抗体20の延びる方向に直交する方向において、内側に位置するフィールド抵抗体20の一部分と外側に位置するフィールド抵抗体20の一部分との間の幅である。
【0036】
フィールド抵抗体20は、ドレイン領域10側に配置され、当該ドレイン領域10に電気的に接続された最内周部20aと、ソース/ゲート領域14側に配置され、グランドに電気的に接続された最外周部20bと、最内周部20aと最外周部20bとの間の本体部20cとを有している。フィールド抵抗体20は、ドレイン領域10およびグランド間において所定の電気抵抗値を有する抵抗体膜として機能する。フィールド抵抗体20の電気抵抗値は、たとえば20MΩ以上100MΩ以下(この形態では50MΩ程度)であってもよい。
【0037】
フィールド抵抗体20の最内周部20aとは、その内側にフィールド抵抗体20が存在しない部分であり、たとえば、後述する第2コンタクト37が接続される領域である。この形態では、第2コンタクト37がドレイン領域10の周囲に沿って環状に配列されており、フィールド抵抗体20における第2コンタクト37のコンタクト領域(最内周部20a)がフィールド抵抗体20の最も内側の一周分にほぼ相当する。一方で、第2コンタクト37の数が少ない場合、最内周部20aはフィールド抵抗体20の1/2周相当分、1/4周相当分等であってもよい。その場合、最内周部20aは、フィールド抵抗体20の「最内部」、「内側コンタクト部」および「内側端部」等と称されてもよい。
【0038】
フィールド抵抗体20の最外周部20bとは、その外側にフィールド抵抗体20が存在しない部分であり、たとえば、後述する第2コンタクト37が接続される領域である。この形態では、第6コンタクト43がドレイン領域10の周囲に沿って環状に配列されており、フィールド抵抗体20における第6コンタクト43のコンタクト領域(最外周部20b)がフィールド抵抗体20の最も外側の一周分にほぼ相当する。一方で、第6コンタクト43の数が少ない場合、最外周部20bはフィールド抵抗体20の1/2周相当分、1/4周相当分等であってもよい。その場合、最外周部20bは、フィールド抵抗体20の「最外部」、「外側コンタクト部」および「外側端部」等と称されてもよい。
【0039】
フィールド抵抗体20は、たとえば不純物添加によって導電性が付与されたポリシリコンを含む。ポリシリコンに添加される不純物は、燐であってもよい。この構成において、フィールド抵抗体20の最内周部20aおよび最外周部20bは、本体部20cよりも不純物濃度が高くされていることが好ましい。これにより、最内周部20aおよび最外周部20bに対するコンタクト抵抗を低減することができる。
【0040】
抵抗性のフィールド抵抗体20であれば、フィールド抵抗体20の電圧降下やフィールド抵抗体20を流れる電流を検出することにより、ドレイン領域10およびソース領域12間の電圧や、ドレイン領域10およびソース領域12間を流れる電流を検出することが可能となる。つまり、抵抗性のフィールド抵抗体20によれば、エピタキシャル層9等における電界の乱れを抑制したり局所的な電界集中の発生を抑制したりするというフィールド抵抗体20の本来の機能を備えながらも、電流を検出する機能を持たせることが可能となる。よって、フィールド抵抗体20を利用して検出された電圧値や電流値に基づいて、ソース/ゲート領域14に対する制御電圧を調整したり、半導体装置1そのものの制御方法を調整したりすることができ、半導体装置1の汎用性や利便性を効果的に高めることが可能となる。
【0041】
外側フィールド絶縁膜57上におけるソース/ゲート領域14とフィールド抵抗体20の最外周部20bとの間の領域には、グランドに電気的に接続された最外周グランド導電体膜21が配置されている。最外周グランド導電体膜21は、フィールド抵抗体20を取り囲む平面視環状とされている。最外周グランド導電体膜21は、ゲート領域13に電気的に接続されている一方で、フィールド抵抗体20とは機械的な接続はなく、当該フィールド抵抗体20から分離して形成されている。
【0042】
図5を参照して、最外周グランド導電体膜21は、平面視においてソース側ウェル領域15の張り出し部15aを横切っており、ソース側ウェル領域15の張り出し部15aと重なっている。最外周グランド導電体膜21は、不純物添加によって導電性が付与されたポリシリコンを含む。最外周グランド導電体膜21は、フィールド抵抗体20の最内周部20aおよび最外周部20bと同一の不純物濃度で形成されていることが好ましい。
【0043】
図3図4図6図7および図8を参照して、エピタキシャル層9上には、ドレイン領域10に電気的に接続されるドレインメタル30と、ゲート領域13に電気的に接続されるゲートメタル31と、ソース領域12に電気的に接続されるソースメタル32とが配置されている。なお、エピタキシャル層9上には、層間絶縁膜33が複数積層されており、ドレインメタル30、ゲートメタル31およびソースメタル32は、層間絶縁膜33内に選択的に形成されている。
【0044】
図3および図4を参照して、ドレインメタル30は、ドレイン領域10上に配置された第1ドレインメタル34と、第1ドレインメタル34上に配置された第2ドレインメタル35とを含む積層構造を有している。第1ドレインメタル34は、ドレイン領域10およびフィールド抵抗体20の最内周部20aと対向するように配置されている。第1ドレインメタル34は、第1コンタクト36を介してドレイン領域10に電気的に接続され、第2コンタクト37を介して、フィールド抵抗体20の最内周部20aに電気的に接続されている。第2ドレインメタル35は、第3コンタクト38を介して第1ドレインメタル34に電気的に接続されている。
【0045】
図3図4図6図7および図8を参照して、ゲートメタル31は、ゲート領域13上に配置された第1ゲートメタル39と、第1ゲートメタル39上に配置された第2ゲートメタル40とを含む積層構造を有している。第1ゲートメタル39は、ゲート領域13、最外周グランド導電体膜21およびフィールド抵抗体20の最外周部20bと対向するように配置されている。
【0046】
第1ゲートメタル39は、第4コンタクト41を介してゲート領域13に電気的に接続され、第5コンタクト42を介して最外周グランド導電体膜21に電気的に接続され、第6コンタクト43を介してフィールド抵抗体20の最外周部20bに電気的に接続されている。第2ゲートメタル40は、たとえばグランド電位を供給するためのグランド電極(図示せず)に電気的に接続されており、第7コンタクト44を介して第1ゲートメタル39に電気的に接続されている。これにより、ゲート領域13、フィールド抵抗体20の最外周部20bおよび最外周グランド導電体膜21が同電位(グランド電位)とされている。
【0047】
つまり、この形態では、ゲートメタル31(第1ゲートメタル39)が、エピタキシャル層9上において、ゲート領域13、フィールド抵抗体20の最外周部20bおよび最外周グランド導電体膜21が同電位(グランド電位)となるように、それらを共通に接続する接続部材とされている。
【0048】
図7および図8を参照して、ソースメタル32は、ソース領域12上に配置された第1ソースメタル45と、第1ソースメタル45上に配置された第2ソースメタル46とを含む積層構造を有している。第1ソースメタル45は、ソース領域12と対向するように配置されている。第1ソースメタル45は、第8コンタクト47を介してソース領域12に電気的に接続されている。第2ソースメタル46は、第9コンタクト48を介して第1ソースメタル45に電気的に接続されている。第2ソースメタル46は、定常時においては電気的に浮遊状態とされている。所定の制御電圧が第2ソースメタル46に印加されることによって、ドレイン領域10およびソース領域12間の電流の流れが制御される。
【0049】
図5図7を参照して、外側フィールド絶縁膜57上におけるフィールド抵抗体20の最外周部20bと最外周グランド導電体膜21との間に、グランドに電気的に接続された第2のグランド導電体膜50が形成されている。ゲート領域13、フィールド抵抗体20の最外周部20bおよび最外周グランド導電体膜21に加えて、第2のグランド導電体膜50が同電位(グランド電位)とされている。第2のグランド導電体膜50は、半導体装置1の耐圧を向上させる。
【0050】
第2のグランド導電体膜50は、フィールド抵抗体20の最外周部20bと最外周グランド導電体膜21との間で、フィールド抵抗体20を取り囲む平面視円環状に形成されている。第2のグランド導電体膜50は、平面視においてソース側ウェル領域15の張り出し部15aを横切っており、ソース側ウェル領域15の張り出し部15aと重なっている。この形態では、第2のグランド導電体膜50は、最外周グランド導電体膜21の内周に沿って当該最外周グランド導電体膜21と一体的に形成されている。このようにして、第2のグランド導電体膜50は、最外周グランド導電体膜21等と同電位とされている。
【0051】
このような構成において、エピタキシャル層9とソース側ウェル領域15の張り出し部15aとの境界は、平面視において、第2のグランド導電体膜50の内周縁とフィールド抵抗体20の最外周部20bとの間の領域に配置されている。したがって、フィールド抵抗体20の最外周部20bは、エピタキシャル層9とソース側ウェル領域15の張り出し部15aとの境界よりもドレイン領域10側に配置されている。
【0052】
[フィールド抵抗体20の形状パターンの説明]
次に、図9図21を参照して、フィールド抵抗体20の形状パターンについて詳細な説明を加える。なお、図9図21のフィールド抵抗体20は、フィールド抵抗体20の形状パターンの明瞭化のため、図1図8で描かれたフィールド抵抗体20をさらに模式化している。図9図21のフィールド抵抗体20と、図1図8のフィールド抵抗体20との縮尺等は必ずしも一致していないことを付記しておく。たとえば、図9図21では、フィールド抵抗体20の最内周部20aおよび最外周部20bは、それぞれ、フィールド抵抗体20の1巻きに対して比較的に短く形成された内側端部20dおよび外側端部20eとして描かれている。
<第1形状パターン>
図9は、フィールド抵抗体20の第1形状パターンを示す図である。図10は、図9のフィールド抵抗体20の模式的な展開図である。図10は、図9のフィールド抵抗体20の幅の変化を詳細に説明するための図であり、図9との縮尺等は一致していないことを付記しておく。
【0053】
図9を参照して、フィールド抵抗体20は、ドレイン領域10を中心として、当該ドレイン領域10側からソース/ゲート領域14側に向けて複数回巻回された構成を有している。フィールド抵抗体20の巻き数は、図9では4巻きであるが、特に制限はない。JFET100のサイズによって異なるが、たとえば、フィールド抵抗体20の巻き数は、10巻き以上40巻き以下、好ましくは、15巻き以上30巻き以下であってもよい。フィールド抵抗体20の巻き数は、たとえば、所定の基準線59から、ドレイン領域10の周囲を取り囲むように一周したフィールド抵抗体20が再び基準線59に戻るまでの部分の数であってもよい。基準線59は、フィールド抵抗体20の最内周部20aと本体部20cとの境界65からフィールド抵抗体20を横切る方向に引いたラインであってもよい。
【0054】
この形態では、フィールド抵抗体20は、最内周部20aからの巻き数を基準にして、複数の抵抗単位に区分けすることができる。図9のフィールド抵抗体20の巻き数が4巻きであるので、当該フィールド抵抗体20は、最内周部20aから順に、第1抵抗単位61、第2抵抗単位62、第3抵抗単位63および第4抵抗単位64を含んでいてもよい。フィールド抵抗体20の巻き数が4巻きを超える場合、フィールド抵抗体20は、n個(n=自然数)の抵抗単位を含んでいてもよい。つまり、フィールド抵抗体20は、第1抵抗単位61、第2抵抗単位62、第3抵抗単位63、第4抵抗単位64、第5抵抗単位・・・第n抵抗単位を含んでいてもよい。
【0055】
フィールド抵抗体20の螺旋方向(最内周部20aから最外周部20bに向かう方向)において隣り合う抵抗単位の境界67,68,69は、基準線59に設定されていてもよい。境界67は、第1抵抗単位61と第2抵抗単位62との境界であり、境界68は、第2抵抗単位62と第3抵抗単位63との境界であり、境界69は、第3抵抗単位63と第4抵抗単位64との境界であってもよい。
【0056】
図9のフィールド抵抗体20の巻回ピッチは、第1ピッチP1、第2ピッチP2および第3ピッチP3を含んでいてもよい。第1ピッチP1は、第1抵抗単位61と第2抵抗単位62との間のスペース幅であり、第2ピッチP2は、第2抵抗単位62と第3抵抗単位63との間のスペース幅であり、第3ピッチP3は、第3抵抗単位63と第4抵抗単位64との間のスペース幅であってもよい。この形態では、巻回ピッチは、フィールド抵抗体20を横切る方向において内側から外側に向かって一定である。言い換えれば、P1=P2=P3である。第1~第3ピッチP1~P3は、たとえば、1μm以上3μm以下であってもよい。
【0057】
図9および図10を参照して、フィールド抵抗体20は、フィールド抵抗体20の螺旋方向において最内周部20aから最外周部20bに至るまで、一定の幅W1を有している。フィールド抵抗体20の本体部20cは、最内周部20aとの境界65において幅W1を有し、かつ最外周部20bとの境界66において幅W1を有しており、境界65から境界66までの全体にわたって、第1抵抗単位61、第2抵抗単位62、第3抵抗単位63および第4抵抗単位64のいずれもが、一定の幅W1を有している。幅W1は、たとえば、1μm以上3μm以下であってもよい。
【0058】
より具体的には、フィールド抵抗体20は、螺旋方向に沿って並んで延びる一対の側縁70を有している。一対の側縁70は、内側の側縁70aおよび外側の側縁70bを含んでいてもよい。この形態では、一対の側縁70が最内周部20aから最外周部20bに至るまで互いに平行に延びることによって、一定の幅W1を有するフィールド抵抗体20が形成されている。
【0059】
フィールド抵抗体20の螺旋方向の長さに関して、複数の抵抗単位61~64を比較すると、相対的に内側に配置されている内側抵抗単位の長さは、相対的に外側に配置されている外側抵抗単位の長さよりも長くなる。この形態では、第1抵抗単位61の長さをL1、第2抵抗単位62の長さをL2、第3抵抗単位63の長さをL3、第4抵抗単位64の長さをL4とすると、L1<L2<L3<L4が成り立つ。
<第2~第4形状パターン>
図11図13は、それぞれ、フィールド抵抗体20の第2~第4形状パターンを示す図である。図14は、図11図13のフィールド抵抗体20の模式的な展開図である。図14は、図11図13のフィールド抵抗体20の幅の変化を詳細に説明するための図であり、図11図13との縮尺等は一致していないことを付記しておく。
【0060】
この形態では、フィールド抵抗体20は、最内周部20aから最外周部20bに向かう螺旋方向において、複数の抵抗単位61~64の幅の平均値が段階的に大きくなるように構成されている。より具体的には、図14に示すように、フィールド抵抗体20の一対の側縁70が、螺旋方向において、最外周部20bへ近づくにしたがって互いに離れている。これにより、フィールド抵抗体20は、境界65から境界66に向かって連続的に幅が広くなるテーパ形状を有している。たとえば、フィールド抵抗体20は、境界65において幅W2を有し、境界67において幅W3を有し、境界68において幅W4を有し、幅69において幅W5を有し、境界66において幅W6を有している。テーパ形状のフィールド抵抗体20では、W2<W3<W4<W5<W6である。第1抵抗単位61の幅はW2からW3の間で漸増し、第2抵抗単位62の幅はW3からW4の間で漸増し、第3抵抗単位63の幅はW4からW5の間で漸増し、第4抵抗単位64の幅はW5からW6の間で漸増する。幅W2~幅W6は、たとえば、1μm以上3μm以下の範囲であり、かつW2<W3<W4<W5<W6を満たしていてもよい。
【0061】
フィールド抵抗体20のピッチに関して、図11の形態では、第1~第3ピッチP1~P3は、フィールド抵抗体20を横切る方向において内側から外側に向かって段階的に減少している。したがって、P1>P2>P3である。図12の形態では、第1~第4ピッチP1~Pは、フィールド抵抗体20を横切る方向において内側から外側に向かって段階的に増加している。したがって、P1<P2<P3である。図13の形態では、図9の形態と同様に、第1~第3ピッチP1~P3は、フィールド抵抗体20を横切る方向において内側から外側に向かって一定である。したがって、P1=P2=P3である。
<第5形状パターン>
図15は、フィールド抵抗体20の第5形状パターンを示す図である。図16は、図15のフィールド抵抗体20の模式的な展開図である。図16は、図15のフィールド抵抗体20の幅の変化を詳細に説明するための図であり、図15との縮尺等は一致していないことを付記しておく。
【0062】
この形態では、フィールド抵抗体20は、最内周部20aから最外周部20bに向かう螺旋方向において、複数の抵抗単位61~64の幅の平均値が段階的に大きくなるように構成されているが、図11図13のフィールド抵抗体20とは異なる形状パターンを有している。たとえば、図11図13のフィールド抵抗体20の幅が連続的に広くなるのに対し、図15のフィールド抵抗体20の幅は、段階的に広くなる。図15および図16の形態では、フィールド抵抗体20の幅は、螺旋方向において隣り合う抵抗単位の境界を最外周部20b側に跨ぐたびに、段階的に広くなる。各抵抗単位の幅は一定であってもよい。つまり、第1抵抗単位61、第2抵抗単位62、第3抵抗単位63および第4抵抗単位64は、それぞれ、一定の幅W7、W8、W9およびW10(W7<W8<W9<W10)を有している。幅W7~幅W10は、たとえば、1μm以上3μm以下の範囲であり、かつW7<W8<W9<W10を満たしていてもよい。
【0063】
図16を参照して、境界67、境界68および境界69には、それぞれ、螺旋方向に隣り合う抵抗単位の幅の差に起因する複数の段差が形成されている。複数の段差は、第1段差71、第2段差72および第3段差73を含んでいてもよい。第1段差71は幅W7と幅W8との差に起因する段差であり、第2段差72は幅W8と幅W9との差に起因する段差であり、第3段差73は幅W9と幅W10との差に起因する段差である。フィールド抵抗体20の一対の側縁70は、第1~第3段差71~73を介して、最内周部20aから最外周部20bまで連続している。
【0064】
第1~第3段差71~73は、それぞれ、内側の側縁70aおよび外側の側縁70bに1つずつ形成されている。むろん、第1~第3段差71~73は、それぞれ一対ずつ形成されていなくてもよく、たとえば、内側の側縁70aまたは外側の側縁70bに選択的に形成されていてもよい。この場合、第1~第3段差71~73は、全てが内側の側縁70aまたは外側の側縁70bに形成されていなくてもよい。たとえば、螺旋方向において、第1~第3段差71~73が、一方の側縁70(たとえば、内側の側縁70a)および他方の側縁70(たとえば、外側の側縁70b)に交互に形成されていてもよい。
【0065】
フィールド抵抗体20のピッチに関して、図15の形態では、第1~第3ピッチP1~P3は、フィールド抵抗体20を横切る方向において内側から外側に向かって段階的に減少している。したがって、P1>P2>P3である。図示は省略するが、この形態での第1~第4ピッチP1~Pは、図12に示すようにP1<P2<P3であってもよいし、図13に示すようにP1=P2=P3であってもよい。
<第6および第7形状パターン>
図17は、フィールド抵抗体20の第6形状パターンを示す図である。図18は、フィールド抵抗体20の第7形状パターンを示す図である。図19は、図17の一点鎖線XIVで囲まれた部分の拡大図である。
【0066】
この形態では、フィールド抵抗体20の第1~第3ピッチP1~P3は、図9の形態と同様に、フィールド抵抗体20を横切る方向において内側から外側に向かって一定である。したがって、P1=P2=P3である。また、フィールド抵抗体20は、図9のフィールド抵抗体20と同様に、螺旋方向において最内周部20aから最外周部20bに至るまで、一定の幅W1を有している。
【0067】
図9の形態とは異なり、図17および図18のフィールド抵抗体20には、フィールド抵抗体20が部分的に除去されることによって複数の切り欠き部74が形成されている。各切り欠き部74は、平面視において、フィールド抵抗体20を分断せず、選択的に凹部を形成する。これにより、フィールド抵抗体20は、螺旋方向において選択的に狭い幅を有する部分を有している。たとえば、図19を参照して、フィールド抵抗体20は、幅W1が維持された第1部分75と、切り欠き部74によって幅W1よりも狭い幅を有する第2部分76とを一体的に有していてもよい。
【0068】
この形態では、複数の切り欠き部74は、内側の側縁70aおよび外側の側縁70b
のうち内側の側縁70aに選択的に形成されている。むろん、複数の切り欠き部74は、外側の側縁70bに選択的に形成されていてもよいし、内側の側縁70aおよび外側の側縁70bの両方に形成されていてもよい。この場合、複数の切り欠き部74は、螺旋方向において、一方の側縁70(たとえば、内側の側縁70a)および他方の側縁70(たとえば、外側の側縁70b)に交互に形成されていてもよい。
【0069】
第1抵抗単位61、第2抵抗単位62、第3抵抗単位63および第4抵抗単位64には、それぞれ、少なくとも1つの切り欠き部74が形成されている。各抵抗単位に形成される切り欠き部74の数は、各抵抗単位に要求される電気抵抗値によって異なるが、図17の形態では、第1抵抗単位61、第2抵抗単位62、第3抵抗単位63および第4抵抗単位64に同数ずつ(図17では、2つずつ)の切り欠き部74が形成されている。
【0070】
また、図17の形態では、螺旋方向において、複数の抵抗単位61~64のそれぞれの切り欠き部74のトータル平面面積が段階的に小さくなるように、フィールド抵抗体20が構成されている。図19を参照して、複数の抵抗単位61~64における各切り欠き部74の平面面積は、切り欠き部74によって除去された面積S1~S4に相当する。図17の形態では、複数の抵抗単位61~64に同数ずつの切り欠き部74が形成されているので、各切り欠き部74の長さを一定にしつつ、幅を調整することによってトータル平面面積の差を設けている。たとえば、図19に示すように、第1抵抗単位61、第2抵抗単位62、第3抵抗単位63および第4抵抗単位64の順に、切り欠き部74の幅が段階的に狭くされている。
【0071】
この形態では、第1抵抗単位61の切り欠き部74の幅をW11、第2抵抗単位62の切り欠き部74の幅をW12、第3抵抗単位63の切り欠き部74の幅をW13、第4抵抗単位64の切り欠き部74の幅をW14とすると、W11>W12>W13>W14が成り立つ。したがって、各抵抗単位61~64の第2部分76の幅に関して、W21<W22<W23<W24が成り立つ。W21は第1抵抗単位61の第2部分76の幅であり、W22は第2抵抗単位62の第2部分76の幅であり、W23は第3抵抗単位63の第2部分76の幅であり、W24は第4抵抗単位64の第2部分76の幅である。
【0072】
幅W11~幅W14は、たとえば、0.5μm以上1μm以下の範囲であり、かつW11>W12>W13>W14を満たしていてもよい。幅W21~幅W24は、たとえば、0.5μm以上1μm以下の範囲であり、かつW21<W22<W23<W24を満たしていてもよい。
【0073】
これにより、第1抵抗単位61の切り欠き部74のトータル平面面積S1T(=S1×切り欠き部74の数)、第2抵抗単位62の切り欠き部74のトータル平面面積S2T(=S2×切り欠き部74の数)、第3抵抗単位63の切り欠き部74のトータル平面面積S3T(=S3×切り欠き部74の数)および第4抵抗単位64の切り欠き部74のトータル平面面積S4T(=S4×切り欠き部74の数)を比較すると、S1T>S2T>S3T>S4Tが成り立つ。
【0074】
一方、図18の形態では、複数の抵抗単位61~64に同じ長さおよび幅を有する切り欠き部74が形成されているので、複数の抵抗単位61~64ごとの切り欠き部74の数を調整することによってトータル平面面積の差を設けている。たとえば、第1抵抗単位61、第2抵抗単位62、第3抵抗単位63および第4抵抗単位64の順に、切り欠き部74の数が段階的に少なくされている。たとえば、図18では、第1抵抗単位61の切り欠き部74が4つであり、第2抵抗単位62の切り欠き部74が3つであり、第3抵抗単位63の切り欠き部74が2つであり、第4抵抗単位64の切り欠き部74が1つである。
【0075】
次に、図20図22を参照して、切り欠き部74の形状パターンのバリエーションを説明する。図20図22は、それぞれ、図17および図18の切り欠き部74の第1~第3形状パターンを示す図である。
【0076】
切り欠き部74は、フィールド抵抗体20の側縁70の一部を凹ませることによって形成される形状であれば特に制限されないが、たとえば、図20図22に示す形状が挙げられる。
【0077】
図20の第1形状パターンでは、切り欠き部74は、平面視略四角形状に形成されている。切り欠き部74の形成により、フィールド抵抗体20の側縁70は、凹み側縁77と、本体側縁78とを含んでいてもよい。凹み側縁77は、平面視において切り欠き部74の内部の側縁である。本体側縁78は、凹み側縁77に連続し、螺旋構造の輪郭を描く側縁である。平面視略四角形状の切り欠き部74では、凹み側縁77は、さらに、螺旋方向に沿って延びる縦側縁79と、螺旋方向に交差する方向に延びる一対の横側縁80とを含んでいる。
【0078】
本体側縁78は、一対の横側縁80に対して直交している。本体側縁78と一対の横側縁80との交差部に形成された角部81は、曲線部によって形成された頂部82を有している。言い換えれば、角部81の頂部82は、ラウンド形状を有している。縦側縁79は、一対の横側縁80に対して直交している。縦側縁79と一対の横側縁80との交差部に形成された角部83は、曲線部によって形成された頂部84を有している。言い換えれば、角部83の頂部84は、ラウンド形状を有している。このように、側縁の交差部をラウンド形状にすることによって、交差部(図20では、角部81,83)における電界集中を抑制することができる。
【0079】
次に、図21の第2形状パターンでは、切り欠き部74は、平面視略三角形状に形成されている。平面視略三角形状の切り欠き部74では、一対の凹み側縁77が、三角形の2辺を形成している。
【0080】
本体側縁78は、凹み側縁77に対して90°を超える角度θ1で交差している。θ1は、たとえば、100°以上150°以下であってもよい。本体側縁78と凹み側縁77との交差部に形成された角部85は、曲線部によって形成された頂部86を有している。言い換えれば、角部85の頂部86は、ラウンド形状を有している。一対の凹み側縁77同士は、90°を超える角度θ2で交差している。θ2は、たとえば、100°以上150°以下であってもよい。一対の凹み側縁77の間の交差部に形成された角部87は、曲線部によって形成された頂部88を有している。言い換えれば、角部87の頂部88は、ラウンド形状を有している。このように、側縁の交差部の角度θ1および角度θ2を90°を超える角度とし、かつ交差部の形状をラウンド形状にすることによって、交差部(図21では、角部85,87)における電界集中を一層抑制することができる。
【0081】
次に、図22の第3形状パターンでは、切り欠き部74は、平面視略半楕円形状に形成されている。平面視略半楕円形状の切り欠き部74では、曲線状の凹み側縁77が、楕円の周縁を形成している。
【0082】
本体側縁78は、凹み側縁77に対して90°を超える角度θ3で交差している。θ3は、たとえば、100°以上150°以下であってもよい。本体側縁78と凹み側縁77との交差部に形成された角部89は、曲線部によって形成された頂部90を有している。言い換えれば、角部89の頂部90は、ラウンド形状を有している。このように、側縁の交差部の角度θ3を90°を超える角度とし、かつ凹み側縁77を全体的に曲線状にすることによって、交差部(図21では、角部89)および切り欠き部74内部での電界集中を一層抑制することができる。
【0083】
[JFET100のサイズ違いに起因する耐圧変動の分析]
図23図25は、それぞれ、サイズA~Cで形成されたJFET100の模式的な平面図である。
【0084】
前述の通り、各デバイス領域6には、半導体スイッチングデバイス、半導体整流デバイスおよび受動デバイス等の様々なデバイスが形成される。デバイスのサイズは、各デバイスに要求される設計値に応じて適宜調整される。たとえば、大電流を流す仕様では、デバイスのサイズを大きくして電流経路を広くする場合がある。前述のJFET100であれば、3箇所に設けられたソース/ゲート領域14のうち、フィールド抵抗体20の第1方向Xの両側のソース/ゲート領域14のサイズを第2方向Yに沿って大きくすることによって、第1方向Xに沿って流れるJFET100の電流経路を大きく確保することができる。これにより、大電流を流すことが可能なJFET100を提供することができる。
【0085】
図23図25を参照して、サイズA、サイズBおよびサイズCのJFET100では、第2方向Yにおけるソース/ゲート領域14の長さLA~LCの大小関係が、LA>LB>LCである。これにより、サイズA~Cの大小関係は、サイズA>サイズB>サイズCと定義できる。図23図25では、第1方向XにおけるJFET100のサイズは同じである。つまり、サイズA~CのJFET100の残り1つのソース/ゲート領域14の第1方向Xにおける長さを比べると、互いに同じである。
【0086】
JFET100のサイズ変化に伴い、ソース/ゲート領域14とドレイン領域10との間に配置されたフィールド抵抗体20のサイズが変化する。上記のように、サイズC、サイズBおよびサイズAの順にJFET100が大きくなるにしたがって、フィールド抵抗体20のサイズも大きくなる。フィールド抵抗体20のサイズは、フィールド抵抗体20の1巻き当たりの長さを比較することによって大小関係を求めることができる。たとえば、サイズAのJFET100は、サイズBおよびサイズCのJFET100に比べて第2方向Yのサイズが大きい。したがって、ドレイン領域10(図2の最内周部20a)から数えたフィールド抵抗体20の位置の序数が同じであれば、当該位置のフィールド抵抗体20の1巻き当たりの長さは、サイズBおよびサイズCにJFET100に比べて、サイズAのJFET100の方が大きくなる。
【0087】
たとえば、サイズAのJFET100におけるフィールド抵抗体20の3巻き目の長さは、サイズBのJFET100におけるフィールド抵抗体20の3巻き目の長さよりも長い。同様に、サイズBのJFET100におけるフィールド抵抗体20の3巻き目の長さは、サイズCのJFET100におけるフィールド抵抗体20の3巻き目の長さよりも長い。
【0088】
次に、サイズA~CのJEFT100のそれぞれの耐圧をシミュレーションで求めたところ、図26の結果が得られた。図26は、JFET100のサイズと耐圧との関係をサイズごとに示すグラフである。図26の横軸は、JFET100のサイズを示しており、左側ほど小さいサイズであり、右側ほど大きいサイズである。図26の縦軸は、JFET100の耐圧を示しており、上側ほど耐圧が高く、下側ほど耐圧が低い。図26では、各サイズA~CのJFET100の耐圧を複数の条件でシミュレーションし、条件ごとのプロットによって示している。図26を参照して、条件ごとに各サイズA~CのJFET100の耐圧にばらつきがあるものの、JFET100のサイズが小さくなるにしたがって、耐圧が低下する傾向であることが分かった。
【0089】
次に、サイズAおよびCのJEFT100のフィールド抵抗体20の電圧降下について分析した。具体的には、各フィールド抵抗体20のドレイン側(最内周部20a側)からの螺旋構造の巻き数と、電圧降下量との関係をシミュレーションで求めたところ、図27の結果が得られた。シミュレーションでは、フィールド抵抗体20のソース側(最外周部20b)をグランド電位に固定し、ドレイン側(最内周部20a)に正の電圧を印加する設定とした。また、フィールド抵抗体20の巻き数が17巻きである条件を設定した。
【0090】
図27は、ドレイン側からの螺旋構造の巻き数と電圧降下との関係を示すグラフである。図27の横軸は、各フィールド抵抗体20のドレイン側(最内周部20a側)からの螺旋構造の巻き数を示しており、ドレイン側から何巻き目かを示す。図27の縦軸は、フィールド抵抗体20の一周ごとの電圧降下量を示している。
【0091】
図27を参照して、サイズAのJFET100とサイズCのJFET100とを比較すると、サイズCのJFET100の方が、フィールド抵抗体20の内側と外側との電圧降下量の差が大きくなることが分かった。たとえば図27では、サイズAのJFET100の1巻き目と17巻き目の電圧降下量の差が14V(=60V-46V)であるのに対し、サイズCのJFET100の1巻き目と17巻き目の電圧降下量の差が26V(=66V-40V)であった。このような電圧降下量の差は、たとえば、電界強度の差として現れる。電界強度の差について、図28および図29を参照して説明を加える。
【0092】
図28は、JFET100における各位置での電界強度を示す図である。図28の横軸は、ソース-ドレイン間におけるJFET100の各位置を示しており、左側ほどソース/ゲート領域14に近く、右側ほどドレイン領域10に近い位置である。図28の縦軸は、JFET100の電界強度の大きさを示している。図28では、サイズA~CのJFET100の電界強度を1つのグラフで示すことによって、JFET100における電界強度分布の包括的な傾向を示している。図28のグラフでは、上側を向く複数のピークP1および下側を向く複数のピークP2が交互に現れている。ピークP1の位置は、フィールド抵抗体20が配置された位置である。たとえば、最も高いピークP1は、ドレイン側(最内周部20a側)から17巻き目のフィールド抵抗体20が配置された位置である。
【0093】
図29は、図28の一点鎖線で囲まれた部分の拡大図であって、サイズA~CのJFET100の電界強度を比較するための図である。図29では、サイズA~CのJFET100の電界強度の差をミクロな視点で示している。図29のグラフにおいて、ピークPAはサイズAのJFET100の電界強度のピークであり、ピークPBはサイズBのJFET100の電界強度のピークであり、ピークPCはサイズCのJFET100の電界強度のピークである。
【0094】
図28および図29を参照して、各サイズA~CのJFET100ともに、ソース側で電界強度が大きくなる傾向があることが共通している。一方、サイズA、サイズBおよびサイズCの順にJFET100のサイズが小さくなるにしたがって、電界強度のピークが大きくなることが分かった。
【0095】
[JFET100のサイズ違いに起因する耐圧変動を抑制する対策の一例]
以上、図23図29を用いた分析結果から、フィールド抵抗体20の螺旋構造のサイズが小さいほど、螺旋構造の1巻き分での電圧降下量が大きくなるため(図27参照)、フィールド抵抗体20の内側と外側との電圧降下量の差が大きくなることが分かった。その結果、螺旋構造の最内周部20aから最外周部20bまでの経路において、電界強度に大きなばらつきが生じる場合がある(図29参照)。つまり、フィールド抵抗体の螺旋構造のサイズの変動によって電界強度の変動が生じている。これが、図26に示した耐圧変動の要因の一つであると考えられる。
【0096】
そこで、この耐圧変動を抑制する対策の一例として、本開示では、フィールド抵抗体20の形状パターンとして、前述の図11図22に示した第2~第7形状パターンを適用する。
【0097】
第2~第5形状パターンでは、図11図16に示したように、フィールド抵抗体20は、最内周部20aから最外周部20bに向かう螺旋方向において、複数の抵抗単位61~64の幅の平均値が段階的に大きくなるように構成されている。一方、第6および第7形状パターンでは、図17図22に示したように、フィールド抵抗体20が部分的に除去されることによって複数の切り欠き部74が形成されている。
【0098】
このように、所定の規則に従って、フィールド抵抗体20の幅を変化させるか、または、フィールド抵抗体20に切り欠き部74を形成する。これにより、フィールド抵抗体20は、螺旋構造の最内周部20aから最外周部20bに向かって、複数の抵抗単位61~64の単位長さ当たりの電気抵抗値が段階的に低くなるように構成されている。
【0099】
第2~第5形状パターンでは、最外周部20bに近づくにしたがってフィールド抵抗体20の幅が広くなるので、たとえば、第4抵抗単位64の単位長さ当たりの電気抵抗値は、第1~第3抵抗単位63の単位長さ当たりの電気抵抗値よりも低くなる。より具体的には、第1抵抗単位61、第2抵抗単位62、第3抵抗単位63および第4抵抗単位64の順に段階的に幅を広くすることによって、複数の抵抗単位61~64の単位長さ当たりの電気抵抗値は、最内周部20aから最外周部20bへ向かって1巻き増えるごとに低くなるように構成されている。
【0100】
また、第6および第7形状パターンでは、最外周部20bに近づくにしたがって段階的に切り欠き部74の幅が小さくなるか、切り欠き部74の数が減るので、たとえば、第4抵抗単位64の幅の平均値が、第1~第3抵抗単位63の幅の平均値よりも大きくなる。したがって、第4抵抗単位64の単位長さ当たりの電気抵抗値は、第1~第3抵抗単位63の単位長さ当たりの電気抵抗値よりも低くなる。
【0101】
フィールド抵抗体20の複数の抵抗単位61~64を比較すると、相対的に内側に配置されている内側抵抗単位の長さは、相対的に外側に配置されている外側抵抗単位の長さよりも長くなる。各抵抗単位61~64の電気抵抗値は長さに比例するので、内側抵抗単位および外側抵抗単位の単位長さ当たりの電気抵抗値が互いに同じでは、相対的に長い外側抵抗単位の電気抵抗値が内側抵抗単位よりも大きくなる。
【0102】
これに対し、第2~第7形状パターンでは、フィールド抵抗体20は、螺旋構造の最内周部20aから最外周部20bに向かって、複数の抵抗単位61~64の単位長さ当たりの電気抵抗値が段階的に低くなるように構成されている。これにより、螺旋構造の最外周部20bに近い抵抗単位(たとえば、第4抵抗単位64)の電気抵抗値を下げることができる一方、螺旋構造の最内周部20aに近い抵抗単位(たとえば、第1抵抗単位61)の電気抵抗値を上げることができる。
【0103】
相対的に外側の抵抗単位の電気抵抗値を相対的に内側の抵抗単位の電気抵抗値に近づけることができるので、複数の抵抗単位61~64のそれぞれの長さに関わらず、複数の抵抗単位61~64の電気抵抗値を互いに近づけることができる。たとえば、第1抵抗単位61全体の電気抵抗値に対する、他の複数の抵抗単位62~64それぞれの全体の電気抵抗値の誤差が±10%以内であることが好ましい。
【0104】
これにより、螺旋構造の最内周部20aから最外周部20bまでの全体経路における電圧降下量の均一化を図ることができる。その結果、フィールド抵抗体20の螺旋方向における電界強度のばらつきを低減することができる。したがって、フィールド抵抗体20の螺旋方向の長さの変動に伴う耐圧変動を抑制することができる。次に、この効果を、図30および図31を参照して確認する。
【0105】
図30は、サイズAのJFET100において、ドレイン側からの螺旋構造の巻き数と電圧降下との関係を示すグラフである。図30では、フィールド抵抗体20の形状パターンとして、図9の第1形状パターンおよび図11の第2形状パターンを採用し、それぞれの結果を示している。図30の横軸は、各フィールド抵抗体20のドレイン側(最内周部20a側)からの螺旋構造の巻き数を示しており、ドレイン側から何巻き目かを示す。図30の縦軸は、フィールド抵抗体20の一周ごとの電圧降下量を示している。
【0106】
図31は、JFET100における各位置での電界強度を示す図であり、図30の結果を反映している。図31の横軸は、ソース-ドレイン間におけるJFET100の各位置を示しており、左側ほどソース/ゲート領域14に近く、右側ほどドレイン領域10に近い位置である。図31の縦軸は、JFET100の電界強度の大きさを示している。図31のグラフにおいて、ピークPA1は第1形状パターンのJFET100の電界強度のピークであり、ピークPA2はJFET100の電界強度のピークである。
【0107】
図30および図31から明らかなように、第2形状パターンを採用したJFET100では、螺旋構造の最内周部20aから最外周部20bまでの全体経路における電圧降下量の均一化を図ることができることが分かった。たとえば、第2形状パターンでは、1巻き目の第1抵抗単位61における電圧降下量に対して、2~17巻き目の抵抗単位のそれぞれにおける電圧降下量の誤差が±10%以内である。その結果、図31に示すように、フィールド抵抗体20の螺旋方向における電界強度のばらつきを低減することができる。たとえば、ソース側の電界強度のピークをPA1に比べてPA2に下がる一方、ドレイン側の電界強度のピークをPA1に比べてPA2に上がっている。これにより、ソース側の電界強度のピークとドレイン側の電界強度のピークとを近づけることができ、全体で電界強度のバランスをとる状態に変化することが分かった。
【0108】
[トランジスタ領域7(MISFET200)の構造]
図32は、JFET100に代えてMISFET200を備える半導体装置1の模式的な断面図である。図32において、図4に対応する構造には同一の参照符号が付され、重複する説明は省略または簡略化される。また、図32では、明瞭化のため、半導体装置1の構造をさらに簡略化して示している。
【0109】
図32のMISFET200では、高電位側のドレイン領域10に対する低電位側の領域として、p型のボディ領域201が形成されている。ボディ領域201は、第1主面3の表面部に形成されている。ボディ領域201は、1.0×1015cm-3以上1.0×1018cm-3以下のp型不純物濃度を有していてもよい。ボディ領域201は、基板8に接続され、基板8を同電位に固定している。
【0110】
ボディ領域201の表面部には、n型のソース領域202を含む。ソース領域202は、ボディ領域201の内側に形成され、ドリフト領域58との間でMISFETのチャネル領域203を形成する。ソース領域202は、ドリフト領域58よりも高いn型不純物濃度を有している。ソース領域202のn型不純物濃度は、1.0×1018cm-3以上1.0×1021cm-3以下であってもよい。ソース領域202のn型不純物濃度は、ドレイン領域10のn型不純物濃度と等しいことが好ましい。
【0111】
ボディ領域201の表面部には、ソース領域202とは異なる領域に形成されたp型のコンタクト領域204が形成されている。コンタクト領域204は、ボディ領域201の外側に形成され、ソース領域202を挟んでチャネル領域203に対向している。コンタクト領域204は、ボディ領域201よりも高いp型不純物濃度を有している。コンタクト領域204のp型不純物濃度は、1.0×1018cm-3以上1.0×1021cm-3以下であってもよい。
【0112】
第1主面3には、チャネル領域203を被覆するゲート絶縁膜205を含む。ゲート絶縁膜205は、フィールド絶縁膜55の厚さ未満の厚さを有し、フィールド絶縁膜55に接続されている。ゲート絶縁膜205の厚さは、10nm以上200nm以下であってもよい。ゲート絶縁膜205は、この形態では、酸化シリコンからなる。
【0113】
ゲート絶縁膜205上には、ゲート電極206が形成されている。ゲート電極206は、フィールド抵抗体20とほぼ等しい厚さを有し、フィールド抵抗体20と同一の材料(つまり、導電性ポリシリコン)を含む。ゲート電極206は、ゲート絶縁膜205を挟んでドリフト領域58およびチャネル領域203に対向している。ゲート電極206は、ゲート絶縁膜205の上からフィールド絶縁膜55の上に引き出された引き出し部207を有している。
【0114】
ソース領域202およびコンタクト領域204は、ソースコンタクト208を介して、ソースメタル209に電気的に接続されている。ソースコンタクト208およびソースメタル209は、層間絶縁膜33内に選択的に形成されている。
【0115】
フィールド抵抗体20の最外周部20bは、フィールドコンタクト210を介して、フィールドメタル211に電気的に接続されている。フィールドコンタクト210およびフィールドメタル211は、層間絶縁膜33内に選択的に形成されている。フィールドメタル211は、ソースメタル209と一体的に形成されていてもよい。MISFET200では、ソースメタル209およびフィールドメタル211は、グランド電位に固定されていてもよい。
【0116】
以上、この形態によれば、JFET100に代えてMISFET200を含む半導体装置1を提供できる。JFET100に代えてMISFET200が採用された場合であっても、JFET100に対して述べられた効果と同様の効果が奏される。
【0117】
[トランジスタ領域7(ダイオード300)の構造]
図33は、JFET100に代えてダイオード300を備える半導体装置1の模式的な断面図である。図33において、図4および図32に対応する構造には同一の参照符号が付され、重複する説明は省略または簡略化される。また、図33では、明瞭化のため、半導体装置1の構造をさらに簡略化して示している。
【0118】
図33のダイオード300では、ドレイン側ウェル領域11に代えてn型のカソードウェル領域301を含み、ドレイン領域10に代えてn型のカソード領域302を含む。カソードウェル領域301およびカソード領域302は、前述のドレイン側ウェル領域11およびドレイン領域10と同様の形態でそれぞれ形成されている。
【0119】
ダイオード300では、ボディ領域201に代えてp型のアノードウェル領域303を含み、ソース領域202およびコンタクト領域204に代えてp型のアノード領域304を含む。アノードウェル領域303は、前述のボディ領域201と同様の形態で形成されている。アノード領域304は、アノードウェル領域303の表面部に形成されている。アノード領域304は、アノードウェル領域303のp型不純物濃度を超えるp型不純物濃度を有している。アノード領域304のp型不純物濃度は、1.0×1018cm-3以上1.0×1021cm-3以下であってもよい。
【0120】
ダイオード300は、ドレインメタル30に代えて、カソードメタル305を含む。カソードメタル305は、前述のドレインメタル30と同様の形態で形成されており、カソードコンタクト306を介して、カソード領域302に電気的に接続されている。カソードメタル305は、フィールド抵抗体20の最外周部20bに電気的に接続されていてもよい。
【0121】
ダイオード300は、ソースメタル209に代えて、アノードメタル307を含む。アノードメタル307は、前述のソースメタル209と同様の形態で形成されており、アノードコンタクト308を介して、アノード領域304に電気的に接続されている。アノードメタル307は、フィールド抵抗体20の最内周部20aに電気的に接続されていてもよい。
【0122】
以上、この形態によれば、JFET100に代えてダイオード300を含む半導体装置1を提供できる。JFET100に代えてダイオード300が採用された場合であっても、JFET100に対して述べられた効果と同様の効果が奏される。
【0123】
[フィールド抵抗体20の多層構造]
図34は、多層構造で形成されたフィールド抵抗体20を説明するための図である。図35は、図34のフィールド抵抗体20の模式的な平面図である。図34および図35において、それぞれ、図4および図11に対応する構造には同一の参照符号が付され、重複する説明は省略または簡略化される。
【0124】
図34および図35のフィールド抵抗体20は、層間絶縁膜33内に、第1抵抗層91と、第2抵抗層92とを含む多層構造を有している。第1抵抗層91および第2抵抗層92は、フィールド絶縁膜55上にこの順に形成されている。第1抵抗層91は下層と称され、第2抵抗層92は上層と称されてもよい。また、フィールド抵抗体20の多層構造は、第1抵抗層91および第2抵抗層92のさらに上に形成された第3抵抗層、第4抵抗層等の複数の抵抗層を含んでいてもよい。
【0125】
第1抵抗層91は、この形態では多層構造の下層であり、フィールド絶縁膜55上に形成され、層間絶縁膜33に被覆されている。第2抵抗層92は、この形態では多層構造の上層であり、層間絶縁膜33内において第1抵抗層91よりも上に形成されている。第1抵抗層91と第2抵抗層92とは、フィールドコンタクト93を介して互いに電気的に接続されている。
【0126】
第1抵抗層91と第2抵抗層92と境界94は、特に制限されないが、たとえば、平面視で隣り合う複数の抵抗単位61~64の境界67~69であることが好ましい。図35では、第1抵抗層91と第2抵抗層92との境界94は、第2抵抗単位62と第3抵抗単位63との境界68に設定されている。境界94が複数の抵抗単位61~64の境界67~69のいずれか一つに一致していれば、各抵抗単位61~64の電気抵抗値を簡単に調整することができる。たとえば、第1抵抗単位61および第2抵抗単位62を含む第1抵抗層91を相対的に狭い幅で、第3抵抗単位63および第4抵抗単位64を含む第2抵抗層92を第1抵抗層91よりも相対的に広い幅で、それぞれ独立した成膜工程およびエッチング工程によって形成することができる。
【0127】
本開示の実施形態について説明したが、本開示は他の形態で実施することもできる。
【0128】
たとえば、フィールド抵抗体20における複数の抵抗単位61~64の単位長さ当たりの電気抵抗値を段階的に低くする構成として、フィールド抵抗体20の幅を変化させる構成、およびフィールド抵抗体20に切り欠き部74を形成する構成とは異なる構成を採用してもよい。
【0129】
たとえば、フィールド抵抗体20は、螺旋構造の最内周部20aから最外周部20bに向かって、複数の抵抗単位61~64の不純物濃度が段階的に高くなるように構成されていてもよい。ポリシリコンの不純物濃度が高いほど電気抵抗値を低減できるので、フィールド抵抗体20における複数の抵抗単位61~64の単位長さ当たりの電気抵抗値を段階的に低くすることができる。
【0130】
また、複数の抵抗単位61~64を互いに異なる材料により形成し、相対的に最外周部20bに近い抵抗単位の材料に、相対的に最内周部20aに近い抵抗単位の材料よりも低い電気抵抗率を有する材料を採用してもよい。たとえば、第2抵抗単位62を、第1抵抗単位61よりも低い電気抵抗率を有する材料により形成してもよい。これにより、フィールド抵抗体20における複数の抵抗単位61~64の単位長さ当たりの電気抵抗値を段階的に低くすることができる。
【0131】
以上、本開示の実施形態は、すべての点において例示であり限定的に解釈されるべきではなく、すべての点において変更が含まれることが意図される。
【0132】
この明細書および図面の記載から以下に付記する特徴が抽出され得る。
【0133】
[付記1-1]
第1主面(3)を有する半導体チップ(2)と、
前記第1主面(3)の表面部に形成された第1電位領域(10,304)と、
前記第1電位領域(10,304)から離れて前記第1主面(3)の表面部に形成され、前記第1電位領域(10,304)よりも低い電位に接続される第2電位領域(14,202,302)と、
前記第1主面(3)の表面部において前記第1電位領域(10,304)と前記第2電位領域(14,202,302)との間に形成された第1導電型のドリフト領域(58)と、
前記第1主面(3)上で前記ドリフト領域(58)を被覆するフィールド絶縁膜(55)と、
前記フィールド絶縁膜(55)上において前記第1主面(3)の法線方向から見た平面視において、前記第1電位領域(10,304)と前記第2電位領域(14,202,302)との間に複数回巻回された螺旋構造を有し、かつ、前記第1電位領域(10,304)に電気的に接続された高電位側端部(20a,20d)および前記高電位側端部(20a,20d)よりも低い電位に電気的に接続された低電位側端部(20b,20e)を有するフィールド抵抗体(20)とを含み、
前記高電位側端部(20a,20d)が前記螺旋構造の最内部(20a,20d)および最外部(20b,20e)の一方であり、前記低電位側端部(20b,20e)が前記最内部(20a,20d)および前記最外部(20b,20e)の他方であり、
前記フィールド抵抗体(20)は、前記最内部(20a,20d)からの巻き数を基準にして複数の抵抗単位(61~64)に区分けしたときに、前記最内部(20a,20d)から前記最外部(20b,20e)に向かって前記複数の抵抗単位(61~64)の単位長さ当たりの電気抵抗値が段階的に低くなるように構成されている、半導体装置(1)。
【0134】
この構成によれば、フィールド抵抗体(20)は、螺旋構造の最内部(20a,20d)からの巻き数を基準にして複数の抵抗単位(61~64)に区分けされる。たとえば、螺旋構造の1巻き分のフィールド抵抗体(20)、または複数巻き分のフィールド抵抗体(20)を1つの抵抗単位(61~64)として、フィールド抵抗体(20)を複数の区分けすることができる。区分けされた複数の抵抗単位(61~64)を比較すると、相対的に内側に配置されている内側抵抗単位(61~63)の長さは、相対的に外側に配置されている外側抵抗単位(62~64)の長さよりも長くなる。各抵抗単位(61~64)の電気抵抗値は長さに比例するので、内側抵抗単位(61~63)および外側抵抗単位(62~64)の単位長さ当たりの電気抵抗値が互いに同じでは、相対的に長い外側抵抗単位(62~64)の電気抵抗値が内側抵抗単位(61~63)よりも大きくなる。とりわけ、フィールド抵抗体(20)の螺旋構造のサイズが小さいほど、螺旋構造の1巻き分での電圧降下量が大きくなるため、内側抵抗単位(61~63)と外側抵抗単位(62~64)との間の電圧降下量の差が大きくなる。その結果、螺旋構造の最内部(20a,20d)から最外部(20b,20e)までの経路において、電界強度に大きなばらつきが生じる場合がある。つまり、フィールド抵抗体(20)の螺旋構造のサイズの変動によって電界強度の変動が生じ、結果として耐圧も変動する場合がある。
【0135】
そこで、本開示の実施形態では、フィールド抵抗体(20)は、螺旋構造の最内部(20a,20d)から最外部(20b,20e)に向かって、複数の抵抗単位(61~64)の単位長さ当たりの電気抵抗値が段階的に低くなるように構成されている。これにより、螺旋構造の最外部(20b,20e)に近い抵抗単位(62~64)の電気抵抗値を下げることができる一方、螺旋構造の最内部(20a,20d)に近い抵抗単位(61~63)の電気抵抗値を上げることができる。外側抵抗単位(62~64)の電気抵抗値を内側抵抗単位(61~63)の電気抵抗値に近づけることができるので、螺旋構造の最内部(20a,20d)から最外部(20b,20e)までの全体経路における電圧降下量の均一化を図ることができる。その結果、フィールド抵抗体(20)の螺旋方向における電界強度のばらつきを低減することができる。したがって、フィールド抵抗体(20)の螺旋方向の長さの変動に伴う耐圧変動を抑制することができる。
【0136】
[付記1-2]
前記複数の抵抗単位(61~64)は、前記最内部(20a,20d)から1巻き単位ずつ順に対応しており、
前記複数の抵抗単位(61~64)の単位長さ当たりの電気抵抗値は、前記最内部(20a,20d)から前記最外部(20b,20e)へ向かって1巻き増えるごとに低くなるように構成されている、付記1-1に記載の半導体装置(1)。
【0137】
この構成によれば、螺旋構造の1巻き分のフィールド抵抗体(20)が1つの抵抗単位(61~64)である。そのため、複数巻き分のフィールド抵抗体(20)が1つの抵抗単位である場合に比べて、螺旋方向において電気抵抗値が急激に変化することを抑制することができる。その結果、高電位側端部(20a,20d)から低電位側端部(20b,20e)に向かって電流をスムーズに流すことができる。
【0138】
[付記1-3]
前記複数の抵抗単位(61~64)は、前記最内部(20a,20d)から前記螺旋構造の1巻き目の第1抵抗単位(61)と、前記第1抵抗単位(61)よりも外側の複数の外側抵抗単位(62~64)とを含み、
前記第1抵抗単位(61)全体の電気抵抗値に対する前記複数の外側抵抗単位(62~64)それぞれの全体の電気抵抗値の誤差が±10%以内である、付記1-1または付記1-2に記載の半導体装置(1)。
【0139】
[付記1-4]
前記複数の抵抗単位(61~64)は、前記最内部(20a,20d)から前記螺旋構造の1巻き目の第1抵抗単位(61)と、前記第1抵抗単位(62~64)よりも外側の複数の外側抵抗単位(62~64)とを含み、
前記高電位側端部(20a,20d)と前記低電位側端部(20b,20e)との間に電圧が印加されたときに、前記第1抵抗単位(61)における電圧降下量に対する前記複数の外側抵抗単位(62~64)のそれぞれにおける電圧降下量の誤差が±10%以内である、付記1-1または付記1-2に記載の半導体装置(1)。
【0140】
[付記1-5]
前記フィールド抵抗体(20)は、前記最内部(20a,20d)から前記最外部(20b,20e)に向かう螺旋方向において、前記複数の抵抗単位(61~64)の幅(W2~W10)の平均値が段階的に大きくなるように構成されている、付記1-1~付記1-4のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
【0141】
この構成によれば、各抵抗単位(61~64)の幅(W2~W10)の平均値を変更することで、各抵抗単位(61~64)の単位長さ当たりの電気抵抗値を簡単に調整することができる。
【0142】
[付記1-6]
前記複数の抵抗単位(61~64)は、第1抵抗単位(61~63)と、前記螺旋方向において前記第1抵抗単位(61~63)に連続する第2抵抗単位(62~64)とを含み、
前記フィールド抵抗体(20)は、前記平面視において前記螺旋方向に沿って延びる側縁(70)を有し、
前記フィールド抵抗体(20)の前記側縁(70)は、前記平面視において、前記第1抵抗単位(61~63)から前記第2抵抗単位(62~64)に向かって前記フィールド抵抗体(20)の幅が連続的に広くなるように傾斜している、付記1-5に記載の半導体装置(1)。
【0143】
この構成によれば、第1抵抗単位(61~63)の側縁(70)と第2抵抗単位(62~64)の側縁(70)とが滑らかに連続するので、第1抵抗単位(61~63)と第2抵抗単位(62~64)との境界部における電流の滞留を抑制することができる。これにより、第1抵抗単位(61~63)と第2抵抗単位(62~64)との境界部での発熱を抑制できるので、信頼性の高い半導体装置(1)を提供することができる。
【0144】
[付記1-7]
前記フィールド抵抗体(20)の一対の前記側縁(70)が前記螺旋方向に沿って並んで延びており、
前記一対の側縁(70)は、前記第1抵抗単位(61~63)から前記第2抵抗単位(62~64)に向かって互いに離れ、前記最外部(20b,20e)へ向かって幅が広くなるテーパ形状を有する前記フィールド抵抗体(20)を形成している、付記1-6に記載の半導体装置(1)。
【0145】
[付記1-8]
前記フィールド抵抗体(20)は、前記最内部(20a,20d)において第1幅(W2)を有し、前記最外部(20b,20e)において前記第1幅(W2)よりも広い第2幅(W6)を有しており、
前記フィールド抵抗体(20)は、前記最内部(20a,20d)から前記最外部(20b,20e)に向かって、前記第1幅(W2)から前記第2幅(W6)へ連続的に幅が広くなる形状を有している、付記1-5~付記1-7のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
【0146】
この構成によれば、螺旋構造の最内部(20a,20d)から最外部(20b,20e)に向かってフィールド抵抗体(20)の幅が連続的に広くなる。これにより、各抵抗単位(61~64)の内部を最内部(20a,20d)からの距離に応じた複数の抵抗領域に細分化し、当該抵抗領域ごとに電気抵抗値を調整することができる。
【0147】
[付記1-9]
前記フィールド抵抗体(20)の前記螺旋構造は、前記螺旋構造を横切る方向において内側から外側に向かって一定のスペース幅(P1~P3)を有している、付記1-1~付記1-8のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
【0148】
[付記1-10]
前記フィールド抵抗体(20)の前記螺旋構造は、前記螺旋構造を横切る方向において内側から外側に向かって段階的に増減するスペース幅(P1~P3)を有している、付記1-1~付記1-8のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
【0149】
[付記1-11]
前記複数の抵抗単位(61~64)は、第1抵抗単位(61~63)と、前記最内部(20a,20d)から前記最外部(20b,20e)へ向かう螺旋方向において前記第1抵抗単位(61~63)に連続する第2抵抗単位(62~64)とを含み、
前記フィールド抵抗体(20)は、前記平面視において前記螺旋方向に沿って延びる側縁(70)を有し、
前記第1抵抗単位(61~63)と前記第2抵抗単位(62~64)との間には、前記第1抵抗単位(61~63)の幅と前記第2抵抗単位(62~64)の幅との差に起因する段差(71~73)が形成されており、
前記第1抵抗単位(61~63)の前記側縁(70)は、前記段差(71~73)を介して前記第2抵抗単位(62~64)の前記側縁(70)につながっている、付記1-5に記載の半導体装置(1)。
【0150】
この構成によれば、第1抵抗単位(61~63)と第2抵抗単位(62~64)との間が段差によって明確に区分けされている。これにより、第1抵抗単位(61~63)と第2抵抗単位(62~64)との境界部を簡単に定義できるので、第1抵抗単位(61~63)および第2抵抗単位(62~64)それぞれにおける単位長さ当たりの電気抵抗値を簡単に算出することができる。
【0151】
[付記1-12]
前記複数の抵抗単位(61~64)は、それぞれ、前記フィールド抵抗体(20)の一部の除去によって形成された除去部(74)を含み、
前記フィールド抵抗体(20)は、前記最内部(20a,20d)から前記最外部(20b,20e)に向かう螺旋方向において、前記複数の抵抗単位(61~64)のそれぞれの前記除去部(74)のトータル平面面積が段階的に小さくなるように構成されている、付記1-1~付記1-4のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
【0152】
この構成によれば、たとえばフィールド抵抗体(20)のトリミング等で除去部(74)の数やサイズを調整することによって、各抵抗単位(61~64)の電気抵抗値を所望の値に簡単に設定することができる。
【0153】
[付記1-13]
前記複数の抵抗単位(61~64)は、第1抵抗単位(61~63)と、前記螺旋方向において前記第1抵抗単位(61~63)に連続する第2抵抗単位(62~64)とを含み、
前記フィールド抵抗体(20)は、前記平面視において前記螺旋方向に沿って延びる側縁(70)を有し、
前記除去部(74)は、前記平面視において前記側縁(70)の一部が凹むことによって形成された切り欠き部(74)を含み、
前記第1抵抗単位(61~64)の前記切り欠き部(74)は、前記第2抵抗単位(62~64)の前記切り欠き部(74)よりも広い幅(W11~W13)を有している、付記1-12に記載の半導体装置(1)。
【0154】
[付記1-13-2]
前記フィールド抵抗体(20)の側縁(70)は、前記平面視において前記切り欠き部(74)の内部の凹み側縁(77)と、前記凹み側縁(77)に連続し、前記螺旋構造の輪郭を描く本体側縁(78)とを含み、
前記凹み側縁(77)と前記本体側縁(78)とは90°以上の角度(θ1,θ3)を有する角部(81,85,89)を介して交差している、付記1-13に記載の半導体装置(1)。
【0155】
この構成によれば、角部(81,85,89)の角度が90°以上であるため、角部(81,85,89)を比較的に鈍った形状にすることができる。これにより、角部(81,85,89)における電界集中を抑制することができる。
【0156】
[付記1-13-3]
前記角部(81,85,89)は、前記凹み側縁(77)と前記本体側縁(78)とを接続する曲線部により形成された頂部(82,86,90)を含む、付記1-13-2に記載の半導体装置(1)。
【0157】
この構成によれば、角部(81,85,89)の頂部(82,86,90)が曲線部により形成されているので、角部(81,85,89)における電界集中を一層抑制することができる。
【0158】
[付記1-13-4]
前記フィールド抵抗体(20)は、前記螺旋方向において前記最内部(20a,20d)から前記最外部(20b,20e)まで、前記除去部(74)の形成箇所を除いて一定の幅(W1)を有している、付記1-12~付記1-13-3のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
【0159】
この構成によれば、除去部(74)の数やサイズに基づいて、各抵抗単位(61~64)における単位長さ当たりの電気抵抗値を簡単に算出することができる。
【0160】
[付記1-14]
前記第1電位領域(10,304)は、前記第1主面(3)の表面部に形成された第1導電型のドレイン領域(10)を含み、
前記第2電位領域(14,202,302)は、前記第1主面(3)の表面部に互いに電気的に接続されるように形成された第1導電型のソース領域(12)および前記ソース領域(12)を挟む少なくとも一対の第2導電型のゲート領域(13)を含むソース/ゲート領域(14)を含み、
前記フィールド抵抗体(20)の前記低電位側端部(20b,20e)がグランド電位に電気的に接続され、
前記フィールド抵抗体(20)の前記高電位側端部(20a,20d)が前記ドレイン領域(10)に電気的に接続されている、付記1-1~付記1-13のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
【0161】
[付記1-15]
前記ドレイン領域(10)は、前記フィールド抵抗体(20)で取り囲まれた領域に形成され、
前記ソース/ゲート領域(14)は、前記フィールド抵抗体(20)の周囲の領域に形成されている、付記1-14に記載の半導体装置(1)。
【0162】
[付記1-15-2]
前記半導体チップ(2)は、前記螺旋構造を横切る第1方向(X)において前記ドレイン領域(10)を挟んで対向する第1領域(51)および第2領域(52)と、前記第1方向(X)に直交する第2方向(Y)において前記ドレイン領域(10)を挟んで対向する第3領域(53)および第4領域(54)とを含み、
前記ソース/ゲート領域(14)は、前記第1領域(51)、前記第2領域(52)および前記第3領域(53)の3箇所に選択的に配置されている、付記1-15に記載の半導体装置(1)。
【0163】
[付記1-16]
前記第1電位領域(10,304)は、前記第1主面(3)の表面部に形成された第1導電型のドレイン領域(10)を含み、
前記第2電位領域(14,202,302)は、前記第1主面(3)の表面部に形成された第2導電型のボディ領域(201)、および前記ボディ領域(201)の表面部に形成された第1導電型のソース領域(202)を含み、
前記ドリフト領域(58)は、前記第1主面(3)の表面部において前記ドレイン領域(10)および前記ボディ領域(201)の間の領域に形成され、
前記フィールド抵抗体(20)の前記低電位側端部(20b,20e)がグランド電位に電気的に接続され、
前記フィールド抵抗体(20)の前記高電位側端部(20a,20d)が前記ドレイン領域(10)に電気的に接続されている、付記1-1~付記1-13のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
【0164】
[付記1-17]
前記第1電位領域(10,304)は、前記第1主面(3)の表面部に形成された第2導電型のアノード領域(304)を含み、
前記第2電位領域(14,202,302)は、前記第1主面(3)の表面部に形成された第1導電型のカソード領域(302)を含み、
前記フィールド抵抗体(20)の前記低電位側端部(20b,20e)がグランド電位に電気的に接続され、
前記フィールド抵抗体(20)の前記高電位側端部(20a,20d)が前記アノード領域(304)に電気的に接続されている、付記1-1~付記1-13のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
【0165】
[付記1-18]
前記フィールド抵抗体(20)は、不純物を含有するポリシリコンにより形成されている、付記1-1~付記1~17のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
【0166】
[付記1-19]
前記フィールド抵抗体(20)は、前記最内部(20a,20d)から前記最外部(20b,20e)に向かう螺旋方向において、前記複数の抵抗単位(61~64)の不純物濃度が段階的に高くなるように構成されている、付記1-18に記載の半導体装置(1)。
【0167】
[付記1-20]
前記複数の抵抗単位(61~64)は、第1抵抗単位(61~63)と、前記最内部(20a,20d)から前記最外部(20b,20e)に向かう螺旋方向において前記第1抵抗単位(61~63)に連続する第2抵抗単位(62~64)とを含み、
前記第2抵抗単位(62~64)は、前記第1抵抗単位(61~63)の材料よりも低い電気抵抗率を有する材料により形成されている、付記1-1~付記1-17のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
【0168】
[付記1-21]
前記第1主面(3)上に積層された層間絶縁膜(33)を含み、
前記フィールド抵抗体(20)は、前記フィールド絶縁膜(55)上に形成され、前記層間絶縁膜(33)に被覆された第1抵抗層(91)と、前記層間絶縁膜(33)内において前記第1抵抗層(91)よりも上に形成され、前記第1抵抗層(91)に電気的に接続された第2抵抗層(92)とを含み、
前記第1抵抗層(91)と前記第2抵抗層(92)との境界部(94)は、前記平面視で隣り合う前記複数の抵抗単位(61~64)の境界部(67~69)を含む、付記1-1~付記1-20のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
【符号の説明】
【0169】
1 :半導体装置
2 :チップ
3 :第1主面
4 :第2主面
5A :第1側面
5B :第2側面
5C :第3側面
5C :第4側面
5D :第4側面
6 :デバイス領域
7 :トランジスタ領域
8 :基板
9 :エピタキシャル層
10 :ドレイン領域
11 :ドレイン側ウェル領域
12 :ソース領域
13 :ゲート領域
14 :ゲート領域
15 :ソース側ウェル領域
15a :張り出し部
16 :ゲート側ウェル領域
16a :第1領域
16b :第2領域
16c :第3領域
20 :フィールド抵抗体
20a :最内周部
20b :最外周部
20c :本体部
20d :内側端部
20e :外側端部
21 :最外周グランド導電体膜
30 :ドレインメタル
31 :ゲートメタル
32 :ソースメタル
33 :層間絶縁膜
34 :第1ドレインメタル
35 :第2ドレインメタル
36 :第1コンタクト
37 :第2コンタクト
38 :第3コンタクト
39 :第1ゲートメタル
40 :第2ゲートメタル
41 :第4コンタクト
42 :第5コンタクト
43 :第6コンタクト
44 :第7コンタクト
45 :第1ソースメタル
46 :第2ソースメタル
47 :第8コンタクト
48 :第9コンタクト
50 :第2のグランド導電体膜
51 :第1領域
52 :第2領域
53 :第3領域
54 :第4領域
55 :フィールド絶縁膜
56 :内側フィールド絶縁膜
57 :外側フィールド絶縁膜
58 :ドリフト領域
59 :基準線
61 :第1抵抗単位
62 :第2抵抗単位
63 :第3抵抗単位
64 :第4抵抗単位
65 :境界
66 :境界
67 :境界
68 :境界
69 :境界
70 :側縁
70a :側縁
70b :側縁
71 :第1段差
72 :第2段差
73 :第3段差
74 :切り欠き部
75 :第1部分
76 :第2部分
77 :凹み側縁
78 :本体側縁
79 :縦側縁
80 :横側縁
81 :角部
82 :頂部
83 :角部
84 :頂部
85 :角部
86 :頂部
87 :角部
88 :頂部
89 :角部
90 :頂部
91 :第1抵抗層
92 :第2抵抗層
93 :フィールドコンタクト
94 :境界
201 :ボディ領域
202 :ソース領域
203 :チャネル領域
204 :コンタクト領域
205 :ゲート絶縁膜
206 :ゲート電極
207 :引き出し部
208 :ソースコンタクト
209 :ソースメタル
210 :フィールドコンタクト
211 :フィールドメタル
300 :ダイオード
301 :カソードウェル領域
302 :カソード領域
303 :アノードウェル領域
304 :アノード領域
305 :カソードメタル
306 :カソードコンタクト
307 :アノードメタル
308 :アノードコンタクト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図35