(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115960
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】表示体および表示体の加工方法
(51)【国際特許分類】
B42D 25/328 20140101AFI20240820BHJP
B42D 25/324 20140101ALI20240820BHJP
B42D 25/435 20140101ALI20240820BHJP
【FI】
B42D25/328 100
B42D25/324
B42D25/435
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021893
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】香田 祖光
(72)【発明者】
【氏名】籠谷 彰人
(72)【発明者】
【氏名】内田 聡
(72)【発明者】
【氏名】飯野 晶嶺
【テーマコード(参考)】
2C005
【Fターム(参考)】
2C005HA02
2C005HB02
2C005HB03
2C005JB09
(57)【要約】
【課題】 目視確認によってのみ偽造、模造防止を実現するだけでなく、機械的な偽造、模造防止を組み合わせることで、偽造や模造を好適に抑止できる表示体を提供すること。
【解決手段】 実施形態の表示体は、レリーフ形成層と光反射層とが積層された積層体によって形成される表示体であって、積層体は、積層方向に直交する面に、第1領域と、第1領域を取り囲むように配置された第2領域とを含み、光反射層が部分的に除去されることによって、第1領域に第1識別情報が形成され、レリーフ形成層に形成された光位相変調構造によって、第2識別情報が発現される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レリーフ形成層と光反射層とが積層された積層体によって形成される表示体であって、
前記積層体は、積層方向に直交する面に、第1領域と、前記第1領域を取り囲むように配置された第2領域とを含み、
前記光反射層が部分的に除去されることによって、前記第1領域に第1識別情報が形成され、
前記レリーフ形成層に形成された光位相変調構造によって、第2識別情報が発現されることを特徴とする、表示体。
【請求項2】
前記第2領域に、第3識別情報が形成されたことを特徴とする、請求項1に記載の表示体。
【請求項3】
前記光反射層が部分的に除去されることは、前記光反射層が、前記積層方向に直交する面において、文字、記号、数字、幾何学パターン、彩紋パターンのうち、少なくとも何れかとして視認されるように、前記第1領域に属する前記光反射層が部分的に除去されることを含むことを特徴とする、請求項1に記載の表示体。
【請求項4】
前記光反射層が部分的に除去されることは、前記第2領域に属する前記光反射層が部分的に除去されることを含むことを特徴とする、請求項1に記載の表示体。
【請求項5】
前記積層方向に直交する面において、所定間隔で複数のマークを配置したことを特徴とする、請求項1に記載の表示体。
【請求項6】
前記光反射層が部分的に除去されることは、前記光反射層に対するエネルギービーム照射により実施されることを特徴とする、請求項1乃至5のうち何れか1項に記載の表示体。
【請求項7】
請求項2に記載の表示体を加工する方法であって、
前記第1領域へのエネルギービーム照射により、前記光反射層を部分的に除去することによって、前記第1識別情報を形成するプロセスと、
前記第1領域と前記第2領域との境界部と、前記第2領域22とのうち、少なくとも何れかにおいて、前記エネルギービーム照射により前記光反射層を部分的に除去することによって、前記第3識別情報を形成するプロセスと
を含むことを特徴とする、加工方法。
【請求項8】
前記第1識別情報を形成するプロセスの前に、前記第1領域と前記第2領域との境界部の形状を取得するプロセスを含み、
前記第1識別情報を形成するプロセスにおいて、前記境界部の形状を考慮して前記第1識別情報を形成し、
前記第3識別情報を形成するプロセスにおいて、前記境界部の形状を考慮して前記第3識別情報を形成すること
を特徴とする、請求項7に記載の加工方法。
【請求項9】
請求項5に記載の表示体を加工する方法であって、
前記マークの位置情報を取得し、取得された位置情報に基づいて前記表示体のゆがみ量を推測するプロセスと、
前記ゆがみ量を考慮して、前記第1領域へエネルギービームを照射し、前記光反射層を部分的に除去することによって、前記第1識別情報を形成するプロセスと、
前記ゆがみ量を考慮して、前記第1領域と前記第2領域との境界部と、前記第2領域22とのうち、少なくとも何れかにおいて、前記エネルギービームの照射により前記光反射層を部分的に除去することによって、第3識別情報を形成するプロセスと
を含むことを特徴とする、加工方法。
【請求項10】
前記第3識別情報を形成するプロセスの後に、前記マークを除去するプロセスを含むこと
を特徴とする、請求項9に記載の加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真偽判定や偽造防止に関わる表示体、および、その加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
個人情報を含む表示体として、パスポートや運転免許証などの各種ID(IDentification)カードが知られている。IDカードには、目視による個人情報の識別を行うために、顔画像や文字情報が表示されているものが多い。個人情報が単純に表示体上に印刷されているだけであると、容易に改ざんや偽造ができてしまう。
【0003】
表示体の偽造防止方法として、特許文献1には、ホログラム転写箔を表示体に付与することで、表示体の改ざん防止性を向上させることが記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、蛍光発光材料を用いて、可視光観察では透明で視認できないが、紫外光観察では視認できるように個人情報を付与することが記載されている。
【0005】
特許文献1に記載の偽造防止技術は、既に広く知られていることに加え、単純な虹色の回折光を射出するホログラムであれば、容易に偽造されてしまう。
【0006】
また、特許文献1、および特許文献2それぞれの偽造防止技術は、いずれにおいても固定情報は表示、表現できるが、オンデマンドあるいは動的な情報を形成することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6-67592号公報
【特許文献2】特許第3198324号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記事情を踏まえ、本発明は、目視確認によってのみ偽造、模造防止を実現するだけでなく、機械的な偽造、模造防止を組み合わせることで、偽造や模造を好適に抑止できる表示体、およびその加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明では、以下のような手段を講じる。
【0010】
第1の態様は、レリーフ形成層と光反射層とが積層された積層体によって形成される表示体であって、積層体は、積層方向に直交する面に、第1領域と、第1領域を取り囲むように配置された第2領域とを含み、光反射層が部分的に除去されることによって、第1領域に第1識別情報が形成され、レリーフ形成層に形成された光位相変調構造によって、第2識別情報が発現される、表示体である。
【0011】
第1の態様の表示体によれば、第1識別情報としてオンデマンドあるいは動的な情報を形成することが可能となる。また、目視確認可能な第2識別情報を表示することが可能となる。これら識別情報の組み合わせにより、真偽判定が可能となる。
【0012】
第2の態様は、第2領域に、第3識別情報が形成された第1の態様の表示体である。
【0013】
また、第3の態様は、光反射層が部分的に除去されることは、光反射層が、積層方向に直交する面において、文字、記号、数字、幾何学パターン、彩紋パターンのうち、少なくとも何れかとして視認されるように、第1領域に属する光反射層が、部分的に除去されることを含む、第1の態様の表示体である。
【0014】
さらに、第4の態様は、光反射層が部分的に除去されることは、第2領域に属する光反射層が部分的に除去されることを含む、第1の態様の表示体である。
【0015】
第2、第3、および第4の態様の表示体によれば、第2領域においても静的、あるいは、動的な第3識別情報を形成することが可能となるので、第1識別情報および第2識別情報と、第3識別情報とを組み合わせることで、真偽判定が可能となると同時に、真偽判定の複雑性が増し、偽造防止耐性を高めることも可能となる。
【0016】
第5の態様は、積層方向に直交する面において、所定間隔で複数のマークを配置した、第1の態様の表示体である。
【0017】
第5の態様の表示体によれば、後述する加工方法におけるオンデマンド加工精度を向上することが可能となる。
【0018】
第6の態様は、光反射層が部分的に除去されることは、光反射層に対するエネルギービーム照射により実施される、第1から第5の何れかの態様の表示体である。
【0019】
第6の態様の表示体によれば、第1領域と第2領域とを明確に区分することが可能となるとともに、第1領域のみを際立たせて表示さることも可能となる。
【0020】
第7の態様は、第2の態様の表示体を加工する方法であって、第1領域へのエネルギービーム照射により、光反射層を部分的に除去することによって、第1識別情報を形成するプロセスと、第1領域と第2領域との境界部と、第2領域22とのうち、少なくとも何れかにおいて、エネルギービーム照射により光反射層を部分的に除去することによって、第3識別情報を形成するプロセスとを含む、加工方法である。
【0021】
第7の態様の加工方法によれば、表示体に、第1識別情報としてオンデマンドあるいは動的な情報を形成することが可能となる。また、表示体に、第3識別情報を形成することも可能となる。これら識別情報の組み合わせにより、表示体の真偽判定が可能となる。
【0022】
第8の態様は、第1識別情報を形成するプロセスの前に、第1領域と第2領域との境界部形状を取得するプロセスを含み、第1識別情報を形成するプロセスにおいて、境界部の形状を考慮して第1識別情報を形成し、第3識別情報を形成するプロセスにおいて、境界部の形状を考慮して第3識別情報を形成する、第7の態様の加工方法である。
【0023】
第8の態様の加工方法によれば、オンデマンドあるいは動的に形成される第1識別情報及び第3識別情報へ、表示体の形状等の特徴量を考慮することができる。これにより、真偽判定の複雑性を増し、偽造防止耐性の高い表示体を加工することが可能となる。
【0024】
第9の態様は、第5の態様の表示体を加工する方法であって、マークの位置情報を取得し、取得された位置情報に基づいて表示体のゆがみ量を推測するプロセスと、ゆがみ量を考慮して、第1領域へエネルギービームを照射し、光反射層を部分的に除去することによって、第1識別情報を形成するプロセスと、ゆがみ量を考慮して、第1領域と第2領域との境界部と、第2領域22とのうち、少なくとも何れかにおいて、エネルギービームの照射により光反射層を部分的に除去することによって、第3識別情報を形成するプロセスとを含む、加工方法である。
【0025】
第10の態様は、第3識別情報を形成するプロセスの後に、マークを除去するプロセスを含む、第9の態様の加工方法である。
【0026】
第9および第10の態様の加工方法によれば、マークの位置情報を取得し、それら位置情報を利用して、表示体のオンデマンド加工時の加工位置精度を向上させることが可能となる。また、オンデマンド加工後にマークを除去することで、表示体に対する高精度な追加工を困難とすることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、目視確認によってのみ偽造、模造防止を実現するだけでなく、読取装置等を用いた機械的な偽造、模造防止を組み合わせることで、偽造や模造を好適に抑止できる表示体、およびその加工方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る表示体が搭載された情報表示媒体の一例を示す平面図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る表示体が搭載された情報表示媒体の一例を示す断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る表示体が搭載された情報表示媒体の別の例を示す(a)平面図および(b)表示体の部分拡大図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る表示体が搭載された情報表示媒体の別の例を示す断面図である。
【
図5】
図5は、(a)表示体の平面図と、(b)、(c)第1領域における光反射層の一部を例示する拡大平面図である。
【
図6】
図6は、表示体の別の例を示す平面図である。
【
図7】
図7は、表示体のさらに別の例を示す平面図である。
【
図8】
図8は、規則的にマークが配置された表示体の一例を示す平面図である。
【
図9】
図9は、表示体および情報表示媒体に対する第1識別情報および第3識別情報の形成のためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照して説明する。図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明や、重複した説明は適宜省略する。
【0030】
(表示体の構成)
図1は、本発明の実施形態に係る表示体が搭載された情報表示媒体の一例を示す平面図である。
【0031】
情報表示媒体100は基材10を含み、基材10上には表示体20が配置されている。
【0032】
基材10上にはさらに、情報表示媒体100の所有者情報11、および所有者画像情報12も形成できる。
【0033】
所有者情報11は、情報表示媒体100の所有者に関する氏名、住所、生年月日、性別、出身国、出身地、個人識別番号、発行番号、発行日、登録情報、機械可読情報などといった所有者に関わる文字、数字、記号情報として形成できる。
【0034】
所有者画像情報12は、
図1のように情報表示媒体100の所有者の顔画像として形成することも、情報表示媒体100の所有者の指紋画像や虹彩画像などで形成することもできる。
【0035】
所有者画像情報12はさらに、所有者情報11を1次元コードや2次元コードに変換することで得られる画像情報で形成することもできる。
【0036】
また
図1では、所有者情報11および所有者画像情報12は、情報表示媒体100においてそれぞれ1箇所ずつ形成されているが、各情報11,12を、情報表示媒体100における複数箇所にも形成できる。複数箇所に形成される場合、各箇所において所有者情報11あるいは所有者画像情報12のすべて、あるいは一部と同じ情報を形成することもできる。
【0037】
図2は、本発明の実施形態に係る表示体が搭載された情報表示媒体の一例を示す断面図である。
【0038】
図2は、
図1に示す情報表示媒体100のA-A線に沿った断面図に相当する。
【0039】
基材10は、ベース基材15と、ベース基材15に埋め込まれた情報層13とからなる。ベース基材15の材料は、例えばポリカーボネート樹脂である。情報層13には、所有者情報11および所有者画像情報12が含まれる。
【0040】
なお、
図2に示す例では、情報層13は、ベース基材15の界面に形成されている。情報層13を、ベース基材15の界面に形成する場合、一般的な印刷手法で形成可能である。また、後述するパルスレーザーなどのレーザーによるエネルギービーム照射によって、ベース基材15の界面に、情報層13を形成することもできる。
【0041】
一方、情報層13をベース基材15の内部に形成することもできる。情報層13をベース基材15の内部に形成することによって、情報層13に含まれる所有者情報11および所有者画像情報12を、ベース基材15の界面のみならず内部に形成することもできるし、それぞれ異なる位置に形成することもできる。
【0042】
情報層13を、ベース基材15の内部に形成する場合、ベース基材15へ、パルスレーザーなどのレーザーによるエネルギービームを照射することで形成できる。
【0043】
エネルギービーム照射には、パルスレーザーのようなレーザーを用いることができる。特に、赤外線波長領域のレーザーによるパルスレーザーが望ましいが、紫外線波長領域のレーザーによるパルスレーザーであってもよい。また、エネルギービーム照射対象物の吸収がある波長領域のレーザーが好適である。さらに、フェムト秒レーザーをエネルギービームとして利用し、多光子吸収現象を利用して材料の吸収を促し、印字、印刷することもできる。
【0044】
ベース基材15の材料には、前述したように、ポリカーボネート樹脂を用いることができる。ポリカーボネート樹脂は、パルスレーザーなどのレーザーによるエネルギービーム照射によって、熱で炭化するので、ベース基材15の内部に情報層13を形成することが可能となる。ベース基材15の材料としては、このように、エネルギービーム照射により印字できる材料、あるいは印刷できる材料であれば、ポリカーボネート樹脂に限定されない。
【0045】
表示体20は、レリーフ形成層31と光反射層32とが積層された積層体30によって形成される。積層体30は、積層方向に直交する面に、第1領域21と、第1領域21を取り囲むように配置された第2領域22とが含まれる。
【0046】
レリーフ形成層31には、光位相変調構造が形成されている。
【0047】
光反射層32は、その一部が、エネルギービーム照射等により部分的に除去された除去領域33となっている。このエネルギービーム照射時に、光反射層32のみが選択的に除去されて除去領域33になることが望ましいが、レリーフ形成層31の一部がエネルギービーム照射により同時に破壊されていてもよい。
【0048】
図1では、xy平面において、第1領域21は、角丸形状であり、第2領域22は、四角形形状で示されている。第1領域21および第2領域22のこれら形状は、一例であって、例えば、第1領域21、第2領域22ともに丸形状、楕円形状、多角形形状とするなど、第1領域21、第2領域22ともに任意の形状とできる。つまり、第1領域21、第2領域22ともに、直線形状、曲線形状およびそれらの組み合わせによって実現できる。
【0049】
図3は、本発明の実施形態に係る表示体が搭載された情報表示媒体の別の例を示す(a)平面図および(b)表示体の部分拡大図である。
【0050】
図3(a)、(b)は、第1領域21に第1識別情報23が形成された例を示している。この例では、第1識別情報23は、所有者画像情報12と同じ画像であるが、これに限定されない。例えば、第1識別情報23を、情報表示媒体100の所有者の生年月日や発行番号、発行日などの文字、数字情報のように、所有者画像情報12と異なる任意の情報とすることもできる。このような第1識別情報23は、複数の除去領域33の組み合わせにより形成できる。
【0051】
また、第1領域21から、第2識別情報を発現させることもできる。第2識別情報は、レリーフ形成層31に形成された光位相変調構造によって得られる光学効果によって実現される。
【0052】
レリーフ形成層31に形成された光位相変調構造としては、レリーフホログラム構造、計算機ホログラム構造(フーリエ変換ホログラム構造やキノフォーム構造)などが挙げられる。これら構造により、光の位相を変調し、回折、干渉、吸収、散乱、偏光制御などによって光学効果が得られる。第1領域21において得られるこのような光学効果を第2識別情報として利用する。
【0053】
ただし、光位相変調構造により、光を回折させ、虹色表現を有することで偽造防止性を保証する技術は、既に広く知られており、対偽造防止性が低くなっている。そこで、レリーフ形成層31の光位相変調構造には、第2識別情報として立体的な再生像を適用することが可能な計算機ホログラム構造を利用することが望ましい。なお、リップマン型の体積ホログラムをレリーフ形成層31として形成してもよい。これらリップマン型ホログラム、計算機ホログラムは、再生像を形成するための光学位相情報を微細構造としてフィルム状に形成可能である。
【0054】
ホログラム構造をリップマン型の体積ホログラムとした場合、光応答性のフォトポリマーに対し、実現したい第2識別情報に対応する再生像の物体光と、その物体光を再生するための参照光を照射し、その干渉縞をフォトポリマーに記録させることで、再生像を形成し、第2識別情報として利用することができる。
【0055】
また、第2識別情報からの物体光の光学位相情報を予め計算機にて計算し、その光学位相情報を空間光位相変調器にて表示させ、その空間光位相変調器を透過あるいは反射した光を物体光として、リップマン型の体積ホログラムを形成してもよい。
【0056】
ホログラム構造が計算機ホログラムである場合、実現したい第2識別情報を形成するための光学位相情報を、予め計算機にて計算し、その光学位相情報を実現するための微細凹凸構造をレーザー描画装置、あるいは電子線描画装置、イオンビーム描画法を用いて形成し、その微細凹凸構造を原版として、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂あるいは光硬化性樹脂が塗工されたフィルム材料に押し当て複製することで、ホログラムフィルムを得ることができる。この場合、レリーフ形成層31として、上記のような熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、あるは光硬化性樹脂が対応する。
【0057】
光反射層32としては、ホログラムフィルムに形成された微細凹凸構造から形成される再生像を形成する回折光の明るさを向上させるために、微細凹凸構造を形成したホログラムフィルムに対し、アルミ(Al)や金(Au)、銀(Ag)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)といった金属材料で形成することが望ましい。こうすることで、第2識別情報を実現する再生像の明るさが向上し、目視観察時に明確に視認でき、真偽判別をより容易にする。
【0058】
図3(b)は、表示体20の一例を示す平面図であるが、
図3(a)における表示体20とは異なり、第1領域21の形状は、第1識別情報23の形状に合わせて形成されている。こうすることで、第1領域21と第2領域22とを明確に切り分けた表現が可能となる。この場合、光反射層32として金属材料を利用すると、第1領域21を第1識別情報23と略同一な形状し、かつ、第2領域22の光反射層32をすべて除去することで、情報表示媒体100の限られた面積において、効率的に情報を提示することが可能となる。
【0059】
なお、光反射層32は、前述したように金属材料で形成ができるが、金属材料だけでなく、二酸化チタン(TiO2)やジルコニア(ZrO2)、硫化亜鉛(ZnS)、酸化アルミニウム(Al2O3)といった光透過性のある無機材料によって形成することもできる。これによって、表示体20と情報層13とが重畳した際、表示体20を通して情報層13を目視観察することが可能となる。
【0060】
光反射層32に、金属材料を用いる場合、真空蒸着法やスパッタリング法といったドライコーティング技術によって形成できるが、無機材料で形成する場合、上記ドライコーティング技術に加え、ゾルゲル法などのウェットコーティング技術によって形成できる。
【0061】
図4は、本発明の実施形態に係る表示体が搭載された情報表示媒体の別の例を示す断面図である。
【0062】
図4に示す情報表示媒体100Aは、表示体20がある側の界面(すなわち、図中上面)に保護層16を設けた点が、
図2に示す情報表示媒体100とは異なる。
【0063】
このような保護層16を設けることで、表示体20を保護することが可能となる。また、表示体20を内包できるので、表示体20へ形成されている除去領域33、第1識別情報23、さらには情報層13への追加工や改ざん防止も可能となる。例えば、情報表示媒体100Aおよび表示体20に対する偽造模造時に破壊行為があった場合、同時に表示体20および情報層13も破壊されることになるので、偽装模造行為があったことを容易に判定できる。
【0064】
また、図示していないが、光反射層32とベース基材15あるいは情報層13との界面において、表示体20をベース基材15、または情報層13と密着させるための接着層を設けてもよい。さらには、各層の密着性を向上させるために、各層間にプライマー層等を設けてもよい。
【0065】
図5は、(a)表示体の平面図と、(b)、(c)第1領域における光反射層の一部を例示する拡大平面図である。
【0066】
図5(a)に示すように、表示体20のxy平面は、第1領域21と、第1領域21を取り囲むように配置された第2領域22とに区分される。表示体20は、
図2および
図4に例示するように、レリーフ形成層31と光反射層32とが積層されている。
【0067】
図5(b)および
図5(c)は、
図5(a)の第1領域21における光反射層32の一部を例示する拡大平面図である。
図5(b)、
図5(c)には、第1領域21を形成するセル領域21a,21b,21c,21dに属する光反射層32に、除去領域33が形成された状態が例示されている。
【0068】
ここで、
図5(b)では、除去領域33の形状が直線と曲線との組み合わせで形成されているが、
図5(c)では、除去領域33の形状が曲線のみで形成されている。
【0069】
図5(b)のような直線と曲線との組み合わせで形成される形状の除去領域33は、エネルギービームを連続的に照射することによって形成される。一方、
図5(c)のような曲線のみで形成される形状の除去領域33は、エネルギービームを非連続的に照射することによって形成される。
【0070】
なお、エネルギービームを非連続的に照射した場合であっても、その照射位置の間隔が狭ければ、
図5(c)のような直線的な除去領域33を形成できる。また、完全に非連続的な照射パターンによって除去領域33を形成することもできる。
【0071】
図5(b)および
図5(c)に例示するように、セル領域21a,21b,21c,21dに属するレリーフ形成層31において、異なる光位相変調構造が形成されている場合、除去領域33の形成面積の相違により、それぞれの光位相変調構造により形成される光学効果を変調させることが可能である。また、セル領域21a,21b,21c,21dに属するレリーフ形成層31それぞれにおいて連続的な光位相変調構造が形成されている場合においても、除去領域33を形成することで、第1識別情報23の諧調表現や変調表現が可能となる。
【0072】
セル領域21a,21b,21c,21dそれぞれに属するレリーフ形成層31における異なる光位相変調構造の例として、セル領域21a,21b,21c,21dそれぞれにおいて、特定の呈色を有する立体再生像を形成する場合がある。例えば、セル領域21aでは赤、セル領域21bでは緑、セル領域21cでは青の呈色を有する立体再生像を形成するような光位相変調構造がレリーフ形成層31に形成されている場合、各セル領域21a,21b,21c,21dに形成される除去領域33の面積に応じて、赤、青、緑の呈色強度を変調できる。これにより、第1識別情報23の色階調表現が可能となる。
【0073】
また、
図5(b)、
図5(c)では、第1領域21における除去領域33およびセル領域21a,21b,21c,21dを、図中y方向に長い縦長に形成しているが、これは一例であって、例えば、逆に図中x方向に長い横長に形成してもよい。また、
図5(b)、
図5(c)のようにセル領域21a,21b,21c,21dを明確に区切らなくてもよく、セル領域21a,21b,21c,21dを連続して形成してもよい。
【0074】
除去領域33は、図中x方向における長さが、10μm以上、500μm以下であることが望ましい。より好ましくは、50μm以上、300μm以下であることが望ましい。図中x方向の長さは、照射するエネルギービームの種類によって異なる。エネルギービームとして、フェムト秒レーザーを利用した場合、非常に高解像度で光反射層32を除去することが可能となる。
【0075】
【0076】
図6においても、表示体20のxy平面は、第1領域21と、第1領域21を取り囲むように配置された第2領域22とに区分される。表示体20は、
図2および
図4に例示するように、レリーフ形成層31と光反射層32とが積層されている。
【0077】
しかしながら、
図6に示す表示体20において、第1領域21はxy平面において四角形形状であるが、第2領域22に、はみ出し領域24が形成されている。このはみ出し領域24は、例えば、積層体30を、ベース基材15に貼付や、転写する際に発生するバリやカケに相当する。
【0078】
はみ出し領域24は、積層体30をベース基材15へ形成する際のバリやカケであった場合、ランダムに形成される。このランダム性は、第3識別情報として利用できる。
【0079】
はみ出し領域24の形状のランダム性を、第3識別情報として利用する場合、形状のエッジ検出を利用することが望ましい。エッジ検出には、ソーベル法やキャニー法、ラプラシアン法のいずれかを用いることができる。あるいは、予め作成された情報処理モデルを利用してエッジ検出をしてもよい。
【0080】
または、エッジ検出を利用せず、第2領域22を単位領域に分割し、その単位領域内において、はみ出し領域24が占める面積率を算出し、この面積率を第3識別情報としてもよい。
【0081】
また、はみ出し領域24を、エネルギービーム照射によって、追加工あるいはオンデマンド加工することで得られた形状を、第3識別情報として使用することもできる。
【0082】
これらによって、情報表示媒体100の所有者情報に紐づけられたはみ出し領域24の形状を、第3識別情報として使用することにより、偽造防止耐性を高めることができる。
【0083】
【0084】
図7に示す表示体20では、
図6に示すはみ出し領域24に属する光反射層32が、エネルギービーム照射により除去されている.。はみ出し領域24を除去することで、第1領域21と第2領域22とを明確に区別し、視認性を向上させることが可能となる。
【0085】
また、
図7では第1領域21をxy平面における四角形形状としているが、第1領域21の形状は、特定の形状に限定されず、第1領域21に含まれる第1識別情報23の最外周の形状に合わせ、第2領域22の光反射層32を除去し、除去領域33を形成してもよい。
【0086】
また、上述のように、第1領域21における除去領域33およびそれ以外の残存領域において、文字、記号、数字、幾何学パターン、彩紋パターン状となっていてもよい。こうすることで、文字、記号、数字、幾何学パターン、彩紋パターン等を視認できるようになり、第1領域21の外周部をより際立たせることが可能となる。
【0087】
図8は、規則的にマークが配置された表示体の一例を示す平面図である。
【0088】
表示体20は、
図2のようにベース基材15に貼付される場合、または、
図4のようにベース基材15と保護層16との間に内装される場合、いずれにおいても伸縮や回転などのゆがみが発生する。そのゆがみが、エネルギービーム照射によるオンデマンド加工時における位置合わせ精度の低下につながる。そこで、表示体20のレリーフ形成層31のxy平面の全面にわたって、
図8に例示されるように、規則的にマーク40を配置する。
図8に示す例では、図中x方向およびy方向にそれぞれ一定ピッチでマーク40を配置している。
【0089】
マーク40を表示体20に予め形成しておくことで、表示体20がベース基材15へ貼付、あるいはベース基材15と保護層16に内装される場合、どれほどゆがみが発生したのかを、マーク40の位置情報を取得することで推測することが可能となる。
【0090】
また、マーク40は、第1領域21に第1識別情報23を形成した後、そのまま残していてもよいが、第1領域21から除去することが好ましい。除去することで、第1識別情報23の視認性向上につながるとともに、偽造模造者による表示体20および第1領域21への高精度に位置合わせされた追加工を防止することが可能となる。
【0091】
マーク40の大きさとしては、幅が50μm以上、1000μm以下が望ましい。これは、目視観察時にマーク40が見えない大きさとしたいためである。一方、目視観察時にマーク40が見えてもよい場合、マーク40の大きさは、第1識別情報23の邪魔にならない大きさとする。
【0092】
図9は、表示体および情報表示媒体に対する第1識別情報および第3識別情報の形成のためのフローチャートである。
【0093】
特に、
図9(a)は、表示体20へ第1識別情報23を形成するプロセス200と、表示体20へ第3識別情報を形成するプロセス201とを含むフローチャートである。
【0094】
プロセス200では、第1領域21へのエネルギービーム照射により、光反射層32を部分的に除去することによって、第1識別情報23を形成する。
【0095】
プロセス201では、第1領域21と第2領域22との境界部と、第2領域22とのうち、少なくとも何れかにおいて、エネルギービーム照射により光反射層32を部分的に除去することで、第3識別情報を形成する。
【0096】
なお、プロセス200とプロセス201との順序を逆にしてもよい。
【0097】
図9(b)は、
図9(a)に示すプロセス200の前に、プロセス202を、
図9(a)に示すプロセス201の後に、プロセス203を追加したフローチャートである。
【0098】
プロセス202では、情報表示媒体100に形成されている個別情報、例えば、情報層13に含まれる所有者情報11や所有者画像情報12が取得される。これによって、第1識別情報23と情報層13の情報とを紐づけて形成することが可能となる。
【0099】
また、第1識別情報23中に、情報層13に記載された文字や、数字情報の暗号化情報や、1次元または2次元コード情報を形成することもできる。暗号化は、公開鍵暗号方式で実施できる。また、ハイブリッド暗号方式ともできる。さらには、暗号化の際にハッシュ関数を利用することもできる。
【0100】
プロセス203では、データベースへ情報が蓄積される。プロセス203において、上述した情報層13に含まれる個別情報、第1識別情報23、および第3識別情報をそれぞれ紐づけて、特定のデータベースに蓄積することで、表示体20および情報表示媒体100が模造、偽造、改ざんされた場合、データベースと照合することで、真偽判定できるようになる。
【0101】
データベースへ蓄積する情報としては、表示体20あるいは情報表示媒体100の製造時に割り振られる製造番号やロット番号、通し番号などとできる。また、例えば情報表示媒体100がパスポートであった場合は、パスポート番号、運転免許証であった場合には免許証番号など、独自に割り振られている番号とも紐づけてもよい。
【0102】
図9(c)は、
図9(a)に示すプロセス200の前に、プロセス204を追加したフローチャートである。
【0103】
プロセス204では、第1領域21と第2領域22との境界部の形状が取得される。これにより、表示体20が予め有している境界部の形状や、はみ出し領域24の形状が取得され、プロセス200において、境界部の形状や、はみ出し領域24の形状を考慮して第1識別情報23が形成される。
【0104】
また、プロセス201では、境界部形状や、はみ出し領域24の追加工により第3識別情報を形成することが可能となる。
【0105】
プロセス201ではさらに、境界部の形状およびはみ出し領域24をすべて除去したり、あるいは文字、数字、記号、彩紋パターン、幾何学パターン等を形成することもできる。
【0106】
このようにして、プロセス204において取得された境界部の形状による物理的なランダム情報を、第1識別情報や第3識別情報の形成に反映することによって、表示体20及び情報表示媒体100の耐偽造性を向上できる。
【0107】
図9(d)は、
図9(a)に示すプロセス200の前に、プロセス205を、
図9(a)に示すプロセス201の後に、プロセス206を追加したフローチャートである。
【0108】
プロセス205では、表示体20に形成されている各マーク40の位置情報が取得され、取得された各マーク40の位置情報に基づいて表示体20のゆがみ量が推測される。
【0109】
そして、プロセス200において、第1識別情報23を形成する際、およびプロセス201において第3識別情報を形成する際には、このゆがみ量が考慮される。これによって、高精度に位置合わせされた第1識別情報23および第3識別情報を形成することが可能となる。
【0110】
プロセス206では、表示体20に形成されているマーク40が除去される。また、マーク40を除去する際、第1識別情報23を形成する除去領域33と組み合わせることで、マーク40が形成されていたことをカモフラージュできる。さらには、マーク40を完全に除去するのではなく、一部を残存させたままでもよい。マーク40を除去する理由は、上述のように高精度に位置合わせされた追加工を防止するためである。したがって、マーク40の除去は、高精度な追加工を防げる程度であればばよい。
【0111】
なお、プロセス206はオプションであり、実施しなくても、すなわち、マーク40を除去しなくてもよい。
【0112】
なお、
図9(b)、(c)、(d)に示すフローチャートも一例であり、最終的に表示体20および情報表示媒体100を取得できるのであれば、
図9(a)のプロセス200とプロセス201との順序を逆にしてもよいのと同様に、
図9(b)、(c)、(d)に示すフローチャートもまた、各プロセスの順序を前後させてもよい。
【0113】
情報表示媒体100には、例えばICメモリ機能を搭載できる。更には、無線通信用のアンテナも搭載できる。これにより、ICメモリ中に、上述した各識別情報、暗号化に用いる公開鍵、境界部の形状情報、情報層13に含まれる個別情報などを記録させることができる。またそれに加えて、無線通信により、真偽判定装置と通信を行い、ICメモリ中に記録されている情報との比較により、真偽判定することも可能となる。
【0114】
また、表示体20に、第1領域21および第2領域22に加えて、さらに新たに定義される第3領域(図示せず)を追加し、この第3領域に、さらなる識別情報を形成し、真偽判定に利用してもよい。
【0115】
例えば、このような第3領域に、情報表示媒体100に対する真偽判定、あるいは偽造防止判定が実施されるごとに、追加工を行うことによって変更される第3識別情報を記録してもよい。また、この追加工に関する情報を1つのブロックとして、データーサーバに、所有者情報とともに時系列的に紐付けて記録および管理することによって、ブロックチェーン技術との紐付けを行い、偽造防止耐性をより強固にすることも可能となる。
【0116】
次に実施例について説明する。
【実施例0117】
実施例1では、前述したような実施形態に係る表示体を実現するために、先ず、赤、緑、青の呈色を有する再生像が、セルにおいて分割配置(短軸方向長さ50μm)されるように計算機ホログラム構造を計算し、電子ビーム描画装置を用いて計算機ホログラム構造を有する原版を形成した。
【0118】
その後、光硬化性樹脂が塗工されたPETフィルムに対し、原版を押し当て、UV光を照射することで、光硬化性樹脂へ計算機ホログラム構造を賦形し、光反射層32としてアルミを厚さ50nmとなるように蒸着することによって、表示体20を得た。
【0119】
このように得られた表示体20によれば、赤、緑、青の呈色を有する再生像が混在して白~明灰色の再生像を目視観察時に確認することができた。
【0120】
次に、この表示体20を、ポリカーボネートを主剤とするカード基材の表面に転写し、その後計算機ホログラム構造が形成されている領域に対し、セル分割配置に合わせて、予め決められた位置およびパターンに沿ってレーザーマーキングを行った。このレーザーマーキングには、波長1064nmのYVO4レーザーを用いた。
【0121】
同時に、カード基材に対してもレーザーマーキングを行い、黒色の文字、絵柄情報を印字形成した。その後、表示体20へ位置合わせされたパターンをレーザーマーキングすることで、光反射層32のアルミのみを部分的に除去し、除去領域33を形成した。そして、除去領域33の面積に依存する諧調表現によって、赤、緑、青の色バランスを制御でき、これによって、フルカラーの画像情報を目視で観察できることを確認した。
【0122】
さらには、このようなオンデマンドなレーザーマーキングにより、表示体20へ顔画像をカラーで形成し、形成後、その周囲における光反射層32に対し、同様にレーザーマーキングによって彩紋パターンを形成し、顔画像の周辺部を装飾できることも確認できた。
実施例1で説明したレーザーマーキングを表示体20に対して実施する前に、位置合わせ用撮像装置(図示せず)を用いて、表示体20に形成された位置合わせ用のマーク40の座標位置を検出し、それら座標位置から、表示体20のゆがみ量を推定し、そのゆがみ量をレーザーマーキングパターンへ反映し、表示体20へレーザーマーキングを行った。
以上、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら説明したが、本発明はかかる構成に限定されない。特許請求の範囲の発明された技術的思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の技術的範囲に属するものと了解される。