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特開2024-115963半導体モジュール及びサーボドライバ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115963
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】半導体モジュール及びサーボドライバ
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/34 20060101AFI20240820BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
H01L23/34 A
H05K7/20 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021896
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 周平
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA03
5E322AB01
5E322AB04
5E322FA04
5F136BA03
5F136BC01
5F136EA35
5F136EA43
5F136FA01
(57)【要約】
【課題】プリント基板の実装密度をより高めることができる半導体モジュールを提供する。
【解決手段】本半導体モジュールは、電子部品と、上記電子部品と接触面で接触し、上記接触面を介して上記電子部品から受ける熱を放熱するヒートシンクと、上記電子部品を上記ヒートシンクの上記接触面に固定する固定部品と、を備える。上記固定部品は、上記電子部品の側面に沿って配置される側壁と、上記側壁の下端部から上記接触面に向けて突出する爪部と、上記側壁の上端部から上記接触面に向けて上記電子部品を押し当てる押圧部と、を有する。上記ヒートシンクは、上記接触面の上記爪部に対応する位置に設けられ、上記爪部に係合する係合凹部を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品と、
前記電子部品と接触面で接触し、前記接触面を介して前記電子部品から受ける熱を放熱するヒートシンクと、
前記電子部品を前記ヒートシンクの前記接触面に固定する固定部品と、を備え、
前記固定部品は、前記電子部品の側面に沿って配置される側壁と、前記側壁の下端部から前記接触面に向けて突出する爪部と、前記側壁の上端部から前記接触面に向けて前記電子部品を押し当てる押圧部と、を有し、
前記ヒートシンクは、前記接触面の前記爪部に対応する位置に設けられ、前記爪部に係合する係合凹部を有する、
半導体モジュール。
【請求項2】
前記爪部の前記接触面側の端部には、前記爪部の側面から突出する突出部が形成され、
前記突出部の上側の面は、前記接触面に向けて漸近するように形成された傾斜面が形成され、
前記係合凹部には、前記係合凹部の内側面から突出し、前記傾斜面に係合する係合突出部が形成される、
請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項3】
前記側壁の内側面には、前記電子部品に向けて突出する第1の弾性部材が設けられる、
請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項4】
前記固定部品には、前記固定部品から前記電子部品に向けて突出する第1の棒状部材が形成され、
前記電子部品には前記第1の棒状部材に対応する位置に第1の孔部が形成され、
前記側壁によって形成される空間内に前記電子部品が収容されると、前記第1の棒状部材が前記第1の孔部に挿入される、
請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項5】
前記固定部品には、前記固定部品から前記ヒートシンクに向けて突出する第2の棒状部材が形成され、
前記ヒートシンクには、前記第2の棒状部材に対応する位置に第2の孔部が形成され、
前記固定部品が前記ヒートシンクに装着されると、前記第2の棒状部材が前記第2の孔部に挿入される、
請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の半導体モジュールを実装した、
サーボドライバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体モジュール及びサーボドライバに関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品には放熱のためヒートシンクが固定される。電子部品へのヒートシンクの固定には、ネジが用いられる(特許文献1-4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5623463号公報
【特許文献2】特開2010-178625号公報
【特許文献3】特許第6015405号公報
【特許文献4】特開2017-028060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子部品へのヒートシンクの固定にネジを用いる場合、電子部品を実装するプリント基板にはネジ穴があけられることになる。プリント基板上に形成される配線パターンは、当該ネジ穴を迂回して設けられることになるため、プリント基板の実装密度を高めることが困難であった。
【0005】
開示の技術の1つの側面は、プリント基板の実装密度をより高めることができる半導体モジュール及びサーボドライバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の技術の1つの側面は、次のような半導体モジュールによって例示される。本半導体モジュールは、電子部品と、上記電子部品と接触面で接触し、上記接触面を介して上記電子部品から受ける熱を放熱するヒートシンクと、上記電子部品を上記ヒートシンクの上記接触面に固定する固定部品と、を備える。上記固定部品は、上記電子部品の側面に沿って配置される側壁と、上記側壁の下端部から上記接触面に向けて突出する爪部と、上記側壁の上端部から上記接触面に向けて上記電子部品を押し当てる押圧部と、を有する。上記ヒートシンクは、上記接触面の上記爪部に対応する位置に設けられ、上記爪部に係合する係合凹部を有する。
【0007】
上記半導体モジュールであれば、ヒートシンクに電子部品を固定する際にネジを用いないため、電子部品を実装するプリント基板にヒートシンクを固定するためのネジ穴を設けなくともよい。そのため、電子部品を実装するプリント基板に形成される配線はヒートシンクを固定するためのネジ穴を迂回する必要が無くなるため、電子部品を実装するプリント基板の実装密度を高めることができる。
【0008】
上記半導体モジュールは、次の特徴を備えてもよい。上記爪部の上記接触面側の端部には、上記爪部の側面から突出する突出部が形成され、上記突出部の上側の面は、上記接触面に向けて漸近するように形成された傾斜面が形成され、上記係合凹部には、上記係合凹部の内側面から突出し、上記傾斜面に係合する係合突出部が形成される。このような傾斜面が係合突出部と係合することで電子部品をヒートシンクに押し付ける力が働くため、電子部品とヒートシンクとの密着性が高まる。そのため、本半導体モジュールによれば、電子部品の熱をより効率的にヒートシンクに伝えることができ、ひいては、電子部品の熱を
効率的に放熱できる。
【0009】
上記半導体モジュールは、次の特徴を備えてもよい。上記側壁の内側面には、上記電子部品に向けて突出する第1の弾性部材が設けられる。第1の弾性部材によって電子部品が押圧されることになるため、固定部品内において電子部品がより固定される。そのため、本半導体モジュールによれば、電子部品の振動に対する耐性をより高めることができる。
【0010】
上記半導体モジュールは、次の特徴を備えてもよい。上記固定部品には、上記固定部品から上記電子部品に向けて突出する第1の棒状部材が形成され、上記電子部品には上記第1の棒状部材に対応する位置に第1の孔部が形成され、上記側壁によって形成される空間内に上記電子部品が収容されると、上記第1の棒状部材が上記第1の孔部に挿入される。本半導体モジュールによれば、第1の棒状部材が第1の孔部に挿入されることで、電子部品と固定部品との相対的な位置関係を容易に決定できる。そのため、本半導体モジュールの製造がより容易になる。
【0011】
上記半導体モジュールは、次の特徴を備えてもよい。上記固定部品には、上記固定部品から上記ヒートシンクに向けて突出する第2の棒状部材が形成され、上記ヒートシンクには、上記第2の棒状部材に対応する位置に第2の孔部が形成され、上記固定部品が上記ヒートシンクに装着されると、上記第2の棒状部材が上記第2の孔部に挿入される。本半導体モジュールによれば、第2の棒状部材が第2の孔部に挿入されることで、ヒートシンクと固定部品との相対的な位置関係を容易に決定できる。そのため、本半導体モジュールの製造がより容易になる。
【0012】
開示の技術は、以上説明した半導体モジュールを実装したサーボドライバとして把握することも可能である。
【発明の効果】
【0013】
開示の技術によれば、プリント基板の実装密度をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施形態に係る半導体モジュールを電子部品側から見た斜視図の一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る半導体モジュールをヒートシンク側から見た斜視図の一例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る半導体モジュールの分解斜視図である。
図4図4は、実施形態に係るヒートシンクを上方向から見た図である。
図5図5は、実施形態に係る固定部品を例示する図である。
図6図6は、図1のA-A線断面における第2位置決め部付近を示す図である。
図7図7は、図2のB-B線断面における爪部付近を示す図である。
図8図8は、実施形態に係る半導体モジュールを実装したプリント基板の一例を示す図である。
図9図9は、実施形態に係る半導体モジュールが実装されるプリント基板の一例を示す図である。
図10図10は、比較例に係る半導体モジュールを実装したプリント基板の一例を示す図である。
図11図11は、比較例に係る半導体モジュールが実装されるプリント基板の一例を示す図である。
図12図12は、グリスの広がりについての検証結果を例示する図である。
図13図13は、第1変形例に係る半導体モジュールの一例を示す図である。
図14図14は、実施形態に係る半導体モジュールを実装したサーボドライバの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<適用例>
本適用例に係る半導体モジュール1は、例えば、図1に例示するように、ヒートシンク2、固定部品3及び電子部品4を備える。電子部品4は、固定部品3によってヒートシンク2に固定される。半導体モジュール1は略直方体形状である。なお、本明細書において、ヒートシンク2から電子部品4に向かう方向をX方向、X方向視における半導体モジュール1の短手方向をY方向、X方向視における半導体モジュール1の長手方向をZ方向とする。また、本明細書において、電子部品4からヒートシンク2に向かう方向を下方向、ヒートシンク2から電子部品4に向かう方向を上方向とする。
【0016】
固定部品3は、ヒートシンク2に電子部品4を固定する部品である。固定部品3は、矩形枠状に形成された側壁31を有する。側壁31は、電子部品4の側面を囲むように設けられる。また、側壁31によって形成される第2位置決め部35は、電子部品4の天面41がヒートシンク2に向けて露出するように形成される。側壁31には、図3に例示するように、側壁31の下端からヒートシンク2に向けて突出する爪部32が複数形成される。また、側壁31には、図1に例示するように、電子部品4を上方向からヒートシンク2の接触面221(図4参照)に向けて押し当てる押圧部33が形成される。
【0017】
電子部品4は、駆動されることで発熱する部品である。電子部品4は、天面41をヒートシンク2に向けた状態で、固定部品3の側壁31によって形成される開口部36内に収容される。開口部36内に収容された電子部品4は、背面42が固定部品3の押圧部33によって支持される。
【0018】
ヒートシンク2は、電子部品4の熱を放熱する放熱部品である。図3に例示するように、電子部品4の天面41と対向する電子部品対向面22は係合凹部23が設けられる。係合凹部23は、電子部品対向面22において固定部品3の爪部32に対応する位置に設けられる。そして、固定部品3の側壁31の下端部からヒートシンク2に向けて突出する爪部32が係合凹部23に係合するスナップフィットによって、電子部品4がヒートシンク2に固定される。
【0019】
本適用例によれば、ヒートシンク2に電子部品4を固定する際にヒートシンク2とプリント基板とを螺合するネジを用いないため、電子部品4を実装するプリント基板にヒートシンク2を固定するためのネジ穴を設けなくともよい。そのため、電子部品4を実装するプリント基板に形成される配線はヒートシンク2を固定するためのネジ穴を迂回する必要が無くなるため、電子部品4を実装するプリント基板の実装密度を高めることができる。
【0020】
<実施形態>
以下、図面を参照して実施形態についてさらに説明する。図1は、実施形態に係る半導体モジュール1を電子部品4側から見た斜視図の一例を示す図である。図2は、実施形態に係る半導体モジュール1をヒートシンク2側から見た斜視図の一例を示す図である。図3は、実施形態に係る半導体モジュール1の分解斜視図である。半導体モジュール1は、適用例で説明した通り、ヒートシンク2、固定部品3及び電子部品4を備える。
【0021】
電子部品4は、例えば、パワーモジュール、プロセッサ等である。電子部品4は、背面42側に突出する複数の端子43を有する。電子部品4は、例えば、プリント基板上に形成される配線に端子43が接続されて使用される。電子部品4のZ方向の両端の夫々には、位置決め孔44が設けられる。
【0022】
ヒートシンク2は、電子部品4の天面41が接触する接触面221とは反対側の面に複数のフィン21を備える。図4は、実施形態に係るヒートシンク2を上方向から見た図である。ヒートシンク2の上方向には、固定部品3に収容された電子部品4の天面41に対向する電子部品対向面22に、電子部品4の天面41に接触する接触面221が形成される。接触面221には、例えば、グリスが塗布されることで、接触面221と天面41との熱伝導性が高められる。電子部品対向面22及び接触面221は、例えば、X方向視において矩形に形成される。電子部品対向面22の四隅の夫々には、位置決め孔24が設けられる。また、電子部品対向面22のZ方向の両端の夫々、及び、電子部品対向面22のZ方向の中央かつY方向の両端の夫々には、係合凹部23が設けられる。
【0023】
固定部品3は、側壁31、爪部32、押圧部33、第1位置決め部34及び第2位置決め部35を有する。図5は、実施形態に係る固定部品3を例示する図である。固定部品3において側壁31の下方には、側壁31からヒートシンク2に向かって突出する爪部32及び第1位置決め部34が設けられる。また、側壁31の下方には、側壁31の内側面から開口部36に向けて突出する下方支持部37が設けられる。側壁31の上方には、側壁31から電子部品4に向かって突出する第2位置決め部35が設けられる。
【0024】
第1位置決め部34は、ヒートシンク2の位置決め孔24に対応する位置に設けられる。固定部品3がヒートシンク2に取り付けられると、第1位置決め部34は位置決め孔24に挿入される。第1位置決め部34が位置決め孔24に挿入されることで、固定部品3とヒートシンク2との相対的な位置関係が決定される。
【0025】
第2位置決め部35は、電子部品4の位置決め孔44に対応する位置に設けられる。電子部品4が開口部36に収容されると、第2位置決め部35は位置決め孔44に挿入される。第2位置決め部35が位置決め孔44に挿入されることで、固定部品3と電子部品4との相対的な位置関係が決定される。
【0026】
押圧部33は、側壁31を形成する4つの辺の夫々に設けられる。押圧部33は、側壁31から開口部36方向に若干突出しており、開口部36に収容された電子部品4を上方向から支持する。
【0027】
図6は、図1のA-A線断面における第2位置決め部35付近を示す図である。固定部品3に収容された電子部品4は天面41のうちの側壁31側を下方から下方支持部37によって支持される。すなわち、固定部品3に収容された電子部品4は、上方からは押圧部33によって支持され、下方からは下方支持部37によって支持されることで、固定部品3から抜け落ちることが抑制される。また、ヒートシンク2の電子部品対向面22には電子部品4の天面41に向けて突出する接触面221が形成される。接触面221が天面41に向けて突出することで、下方支持部37の厚さによってヒートシンク2と電子部品4との隙間が形成されることが抑制される。すなわち、接触面221が電子部品対向面22から天面41に向けて突出することで、電子部品4の天面41とヒートシンク2の接触面221とを密着させることができる。
【0028】
図7は、図2のB-B線断面における爪部32付近を示す図である。係合凹部23には、係合凹部23の内側面から爪部32に向けて突出する係合突出部231が形成される。また、爪部32の先端部には、爪部32の先端側の側面から係合凹部23の内側面に向けて突出する突出部322が形成される。突出部322は、固定部品3がヒートシンク2に装着された状態において、下方から係合凹部23に接する位置に設けられる。突出部322の上側の面には、爪部32の電子部品4側からヒートシンク2に向けてヒートシンク2に漸近するように傾斜する傾斜面321が形成される。このような傾斜面321が係合突出部231と係合することで、電子部品4の天面41をヒートシンク2の接触面221に
押し付ける力が働くようになる。
【0029】
(実装例)
以上説明した実施形態に係る半導体モジュール1をプリント基板に実装する場合、例えば、以下のようになる。図8は、実施形態に係る半導体モジュール1を実装したプリント基板5の一例を示す図である。図9は、実施形態に係る半導体モジュール1が実装されるプリント基板5の一例を示す図である。図8及び図9では、プリント基板5上に形成される配線パターンの図示は省略している。半導体モジュール1では、電子部品4のヒートシンク2に対する固定は固定部品3によって実現されている。そのため、ヒートシンク2をネジによってプリント基板5に螺合しなくともよい。そのため、図9に例示するように、プリント基板5にはヒートシンク2を固定するためのネジ穴は設けられない。プリント基板5には、電子部品4の天面41を接続する被接続端子51と、所望の配線パターンが形成されればよい。
【0030】
(比較例)
図10は、比較例に係る半導体モジュール600を実装したプリント基板601の一例を示す図である。図11は、比較例に係る半導体モジュール600が実装されるプリント基板601の一例を示す図である。図10及び図11では、プリント基板601上に形成される配線パターンの図示は省略している。半導体モジュール600は、ヒートシンク602がネジ603によってプリント基板601に螺合されることで、ヒートシンク602が電子部品に固定される。プリント基板601には、図11に例示されるように、ネジ603を挿通するためのネジ穴604が形成されることになる。そのため、プリント基板601上の配線パターンは、ネジ穴604を迂回して形成されることになる。
【0031】
(実施形態の効果)
上記の通り、比較例では、ネジ穴604を迂回してプリント基板601上の配線パターンを形成することになる。一方、実装例では、ネジ穴604が形成されないため、比較例と比較して、より高い実装密度でプリント基板5上に配線パターンを形成できる。そのため、実施形態に係る半導体モジュール1によれば、プリント基板5の実装密度をより高めることができる。
【0032】
また、本実施形態では、爪部32の突出部322には傾斜面321が形成される。そして、傾斜面321は、係合突出部231と係合する。傾斜面321の傾斜により、電子部品4をヒートシンク2に押し付ける力が働く。そのため、本実施形態によれば、電子部品4とヒートシンク2との密着性を高め、ひいては、電子部品4の熱を効率的に放熱できる。
【0033】
また、本実施形態では、電子部品4が固定部品3に収容されるときには、第2位置決め部35が位置決め孔44に挿通される。換言すれば、第2位置決め部35が位置決め孔44に挿通されるように電子部品4と固定部品3との相対位置を決めることで、容易に電子部品4を固定部品3に収容できる。そのため、本実施形態によれば、半導体モジュール1の製造がより容易になる。
【0034】
また、本実施形態では、固定部品3がヒートシンク2に装着されるときには、第1位置決め部34が位置決め孔24に挿通される。換言すれば、第1位置決め部34が位置決め孔24に挿通されるように固定部品3とヒートシンク2との相対位置を決めることで、容易に固定部品3をヒートシンク2に装着できる。そのため、本実施形態によれば、半導体モジュール1の製造がより容易になる。
【0035】
<グリスの広がりについて>
実施形態に係る半導体モジュール1の放熱性能を検証するため、ヒートシンク2の接触面221に塗布するグリスの広がりについて検証を行ったので、結果について説明する。図12は、グリスの広がりについての検証結果を例示する図である。図12では、実施形態に係る半導体モジュール1、比較例に係る半導体モジュール600の夫々について検証を行った。また、半導体モジュール600については、ネジ603の締め付けトルクを「1N・cm」、「3N・cm」及び「68N・cm」の3パターンについて検証を行った。なお、「68N・cm」は電子部品4のメーカーによって規定された締め付けトルクである。また、「1N・cm」は、半導体モジュール600について温度上昇試験を行った結果、締め付けトルク「68N・cm」と同等の放熱性能が確認された締め付けトルクである。
【0036】
図12では、接触面221にグリスを塗布した状態(図中では、「塗布状態」と記載)と、ヒートシンク2に電子部品4を固定した後に、電子部品4をヒートシンク2から外したときにおけるグリスの広がった状態(図中では、「広がり状態」と記載)が例示される。グリスは、実施形態及び比較例のいずれにおいても、電子部品4の天面41の四隅夫々に対応する位置に塗布される。図12を参照すると、実施形態に係る半導体モジュール1における「広がり状態」は、比較例に係る半導体モジュール600においてネジ603の締め付けトルクを「1N・cm」に設定した場合と同等となっている。そのため、実施形態に係る半導体モジュール1の放熱性能は、電子部品4の実運用上問題無いものと考えられる。
【0037】
<第1変形例>
以上説明した実施形態に係る半導体モジュール1に対し、電子部品4の振動を抑制するリブを固定部品3に設けた第1変形例について説明する。図13は、第1変形例に係る半導体モジュール1Aの一例を示す図である。半導体モジュール1Aは、固定部品3Aに振動抑制リブ38が設けられる点で、実施形態に係る半導体モジュール1とは異なる。振動抑制リブ38は、例えばゴム等の弾性部材で形成される。振動抑制リブ38は、固定部品3Aの側壁31の内側面において、Z方向の両端部から開口部36に収容された電子部品4に向けて突出するように設けられる。振動抑制リブ38の大きさは、電子部品4とが開口部36に収容されると、振動抑制リブ38が弾性変形して縮む程度に設定される。開口部36内に収容された電子部品4は、Z軸方向の両端から振動抑制リブ38によって押圧されることになる。
【0038】
<振動に対する耐性について>
第1変形例に係る半導体モジュール1Aの振動に対する耐性について検証したので、結果について説明する。本検証では、比較のため、半導体モジュール1において爪部32から突出部322を省略した構成「比較構成(1)」、比較形態(1)に振動抑制リブ38を追加した構成「比較構成(2)」及び第1変形例に係る半導体モジュール1Aについて検証を行った。本検証において、比較構成(1)及び比較構成(2)では、電子部品4をヒートシンク2に押し付ける力は79Nであった。また、半導体モジュール1Aでは、電子部品4をヒートシンク2に押し付ける力は107Nであった。半導体モジュール1Aでは、突出部322に傾斜面321が形成されることで、電子部品4をヒートシンク2に押し付ける力が改善されたものと考えられる。本検証では、比較構成(1)、比較構成(2)及び半導体モジュール1Aについて、XYZ方向に1.8Gの振動を5-300Hzの周波数で12掃引行った。
【0039】
本検証の結果、比較構成(1)では電子部品4の端子43の破損が確認された。一方、比較構成(2)及び半導体モジュール1Aでは、電子部品4の端子43について破損は確認されなかった。そのため、振動抑制リブ38が設けられることで振動に対する耐性が向上することが理解できる。
【0040】
ここで、比較構成(2)について振動耐性の限界を確認するため掃引回数をさらに増加させたところ、15掃引の時点で電子部品4の端子43の破損が確認された。一方、半導体モジュール1Aでは、18掃引行っても端子43の破損は確認されなかった。これは、突出部322の傾斜面321による電子部品4をヒートシンク2に押し付ける力が改善の効果と考えられる。すなわち、第1変形例に係る半導体モジュール1Aによれば、ネジによってヒートシンク2とプリント基板5とを螺合しなくとも、より振動耐性の高い半導体モジュール1Aを実現できる。
【0041】
<その他の変形>
実施形態において、固定部品3に第2位置決め部35が設けられたが、第2位置決め部35は省略されてもよい。また、実施形態において第2位置決め部35は2か所に設けられたが、第2位置決め部35は1か所または3か所以上に設けられてもよい。実施形態において押圧部33は側壁31を形成する4辺夫々に設けられたが、押圧部33は、例えば、側壁31において対向する2辺の夫々に設けられてもよい。実施形態において第1位置決め部34は4つ設けられたが、第1位置決め部34は3つ以下でもよいし、5つ以上であってもよい。
【0042】
実施形態において爪部32の突出部322には傾斜面321が形成されたが、傾斜面321は省略されてもよい。なお、第1変形例における「振動に対する耐性について」でも説明したように、突出部322に傾斜面321が形成されることで電子部品4をヒートシンク2に押し付ける力が改善され、ひいては、半導体モジュール1の振動耐性も向上する。
【0043】
また、本実施形態に係る半導体モジュール1や第1変形例に係る半導体モジュール1Aは、様々な機器に搭載できる。図14は、実施形態に係る半導体モジュール1を実装したサーボドライバ400の一例を示す図である。プリント基板5の実装密度を高められる半導体モジュール1がサーボドライバ400に実装されることで、サーボドライバ400の小型化や多機能化が容易になる。半導体モジュール1や半導体モジュール1Aは、例えば、サーボドライバ400の他、産業用ロボット、パーソナルコンピュータ等にも搭載できる。
【0044】
以上で開示した実施形態や変形例はそれぞれ組み合わせることができる。
【0045】
(付記1)
電子部品(4)と、
前記電子部品(4)と接触面(221)で接触し、前記接触面(221)を介して前記電子部品(4)から受ける熱を放熱するヒートシンク(2)と、
前記電子部品(4)を前記ヒートシンク(2)の前記接触面(221)に固定する固定部品(3)と、を備え、
前記固定部品(3)は、前記電子部品(4)の側面に沿って配置される側壁(31)と、前記側壁(31)の下端部から前記接触面(221)に向けて突出する爪部(32)と、前記側壁(31)の上端部から前記接触面(221)に向けて前記電子部品(4)を押し当てる押圧部(33)と、を有し、
前記ヒートシンク(2)は、前記接触面(221)の前記爪部(32)に対応する位置に設けられ、前記爪部(32)に係合する係合凹部(23)を有する、
半導体モジュール。
(付記2)
前記爪部(32)の前記接触面(221)側の端部には、前記爪部(32)の側面から突出する突出部(332)が形成され、
前記突出部(332)の上側の面は、前記接触面(221)に向けて漸近するように形成された傾斜面(331)が形成され、
前記係合凹部(23)には、前記係合凹部(23)の内側面から突出し、前記傾斜面(331)に係合する係合突出部(231)が形成される、
付記1に記載の半導体モジュール。
(付記3)
前記側壁(31)の内側面には、前記電子部品(4)に向けて突出する第1の弾性部材(38)が設けられる、
付記1または2に記載の半導体モジュール。
(付記4)
前記固定部品(3)には、前記固定部品(3)から前記電子部品(4)に向けて突出する第1の棒状部材(35)が形成され、
前記電子部品(4)には前記第1の棒状部材(35)に対応する位置に第1の孔部(44)が形成され、
前記側壁(31)によって形成される空間内に前記電子部品(4)が収容されると、前記第1の棒状部材(35)が前記第1の孔部(44)に挿入される、
付記1から3のうちのひとつに記載の半導体モジュール。
(付記5)
前記固定部品(3)には、前記固定部品(3)から前記ヒートシンク(2)に向けて突出する第2の棒状部材(34)が形成され、
前記ヒートシンク(2)には、前記第2の棒状部材(34)に対応する位置に第2の孔部(24)が形成され、
前記固定部品(3)が前記ヒートシンク(2)に装着されると、前記第2の棒状部材(34)が前記第2の孔部(24)に挿入される、
付記1から4のいずれかひとつに記載の半導体モジュール。
(付記6)
付記1から5のいずれかひとつに記載の半導体モジュール(1、1A)を実装した、
サーボドライバ。
【符号の説明】
【0046】
1・・半導体モジュール
1A・・半導体モジュール
2・・ヒートシンク
3・・固定部品
3A・・固定部品
4・・電子部品
5・・プリント基板
21・・フィン
22・・電子部品対向面
23・・係合凹部
24・・位置決め孔
31・・側壁
32・・爪部
33・・押圧部
34・・第1位置決め部
35・・第2位置決め部
36・・開口部
37・・下方支持部
38・・振動抑制リブ
41・・天面
42・・背面
43・・端子
44・・位置決め孔
51・・被接続端子
221・・接触面
231・・係合突出部
321・・傾斜面
322・・突出部
400・・サーボドライバ
600・・半導体モジュール
601・・プリント基板
602・・ヒートシンク
603・・ネジ
604・・ネジ穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14