(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115967
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】取引処理装置及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G07G 1/12 20060101AFI20240820BHJP
【FI】
G07G1/12 331Z
G07G1/12 321K
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021908
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】坪井 春樹
【テーマコード(参考)】
3E142
【Fターム(参考)】
3E142FA42
3E142GA13
3E142GA16
3E142KA16
(57)【要約】
【課題】 情報端末機器に障害が発生した場合でも、その情報端末機器を用いた操作に応じて処理されていた取引の処理を継続することを可能とする。
【解決手段】 実施形態の取引処理装置は、端末管理手段及び処理手段を備える。端末管理手段は、操作者による操作を受けるための情報端末機器とレジ号機の識別子との関連付けを変更可能に管理する。処理手段は、情報端末機器での操作に応じて定まる取引を、上記の操作がなされた情報端末機器に端末管理手段により関連付けられているレジ号機の識別子に関する取引として処理する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者による操作を受けるための情報端末機器とレジ号機の識別子との関連付けを変更可能に管理する端末管理手段と、
情報端末機器での操作に応じて定まる取引を、上記の操作がなされた情報端末機器に前記端末管理手段により関連付けられているレジ号機の識別子に関する取引として処理する処理手段と、
を具備する取引処理装置。
【請求項2】
前記端末管理手段は、情報端末機器の識別コードとレジ号機の識別子とを関連付けて記憶した記憶デバイスを、情報端末機器から指定されたレジ号機の識別子と、当該レジ号機の識別子を指定した情報端末機器の識別コードとを関連付けて記憶するように書き換える、
請求項1に記載の取引処理装置。
【請求項3】
レジ号機の識別子に関連付けて、当該のレジ号機で利用されるデバイスを管理するデバイス管理手段、をさらに備え、
前記処理手段は、操作がなされた情報端末機器に前記端末管理手段により関連付けられているレジ号機の識別子に前記デバイス管理手段により関連付けられているデバイスを、上記の操作に応じて定まる取引の処理に用いる、
請求項1に記載の取引処理装置。
【請求項4】
前記デバイス管理手段は、レジ号機の識別子とデバイスとの関連付けを、管理者による指示に応じて変更する、
請求項3に記載の取引処理装置。
【請求項5】
前記処理手段は、取引の処理に関して複数の機能を実現する処理を実行可能であり、
前記処理手段が実現可能な複数の機能のうちのいずれの実行を許容するかを、情報端末機器が使用され得る複数のシーンのそれぞれに関連付けて管理する機能管理手段と、
レジ号機の識別子と複数のシーンのいずれかとを関連付けて管理するシーン管理手段と、
をさらに備え、
前記処理手段は、操作がなされた情報端末機器に前記端末管理手段により関連付けられているレジ号機の識別子に前記シーン管理手段により関連付けられたシーンに関して許容するとして前記機能管理手段により管理されている機能を実現するための処理を実行する、
請求項1に記載の取引処理装置。
【請求項6】
前記機能管理手段は、前記処理手段が実現可能な複数の機能のうちの何れの実行を許容するかを、管理者による指示に応じて変更する、
請求項5に記載の取引処理装置。
【請求項7】
コンピュータを、
操作者による操作を受けるための情報端末機器とレジ号機の識別子との関連付けを変更可能に管理する端末管理手段と、
情報端末機器での操作に応じて定まる取引を、上記の操作がなされた情報端末機器に前記端末管理手段により関連付けられているレジ号機の識別子に関する取引として処理する処理手段と、
して機能させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、取引処理装置及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
POSシステムにおいては、操作者による操作を受けるためのPOS端末などの情報端末機器にて処理中の取引を管理している。このため、情報端末機器に障害が発生した場合には、当該の情報端末機器により管理されている処理を継続できなくなってしまう恐れがあった。
このような事情から、情報端末機器に障害が発生した場合でも、その情報端末機器を用いた操作に応じて処理されていた取引の処理を継続できることが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、情報端末機器に障害が発生した場合でも、その情報端末機器を用いた操作に応じて処理されていた取引の処理を継続することができる取引処理装置及び情報処理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の取引処理装置は、端末管理手段及び処理手段を備える。端末管理手段は、操作者による操作を受けるための情報端末機器とレジ号機の識別子との関連付けを変更可能に管理する。処理手段は、情報端末機器での操作に応じて定まる取引を、上記の操作がなされた情報端末機器に端末管理手段により関連付けられているレジ号機の識別子に関する取引として処理する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】一実施形態に係る取引処理システムの概略構成を示すブロック図。
【
図2】
図1中の取引処理装置の要部回路構成を表すブロック図。
【
図3】
図2中のレジ号機マスタに含まれる1つのデータレコードの構成を模式的に表す図。
【
図4】
図2中の機能制限テーブルに含まれる1つのデータレコードの構成を模式的に表す図。
【
図5】
図2中の管理テーブルに含まれる1つのデータレコードの構成を模式的に表す図。
【
図6】
図2中の取引データの構成を模式的に表す図。
【
図7】1つの情報端末機器をユーザインタフェースとして利用しながら取引処理装置が取引を処理する手順の一例を表したシーケンス図。
【
図8】ユーザインタフェースとして利用する情報端末機器を途中で交換しながら取引処理装置が取引を処理する手順の一例を表したシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態の一例について図面を用いて説明する。
図1は本実施形態に係る取引処理システムの概略構成を示すブロック図である。
なお
図1に表す取引処理システムの構成は、ある店舗に関してその店舗の運営ポリシーに適合させて構成された1つの具体例である。
【0008】
図1に表す取引処理システムは、取引処理装置1、情報端末機器2、入出力機器3、周辺機器4、簡易ドロワ5、決済端末6、管理端末7及び通信ネットワーク8を含む。そして取引処理装置1、情報端末機器2、入出力機器3、簡易ドロワ5、決済端末6及び管理端末7は、通信ネットワーク8を介して通信可能となっている。なお、取引処理装置1、情報端末機器2、入出力機器3、簡易ドロワ5、決済端末6及び管理端末7の通信ネットワーク8への接続は、有線接続及び無線接続のいずれであっても構わない。例えば、取引処理装置1、入出力機器3及び簡易ドロワ5は有線接続とし、情報端末機器2、決済端末6及び管理端末7は無線接続とすることが想定される。
【0009】
取引処理装置1は、情報端末機器2での操作者による操作に応じて、周辺機器4、簡易ドロワ5及び決済端末6を適宜に利用しながら取引を処理するための情報処理を行う。取引処理装置1は、購入する商品を登録する商品登録処理、登録された商品の会計を行う会計処理、あるいはその他の業務処理などのような従来のPOS端末において実行されていた処理を実行するためのアプリケーションプログラムを備える。取引処理装置1は、情報端末機器2からの操作者による操作に応じて、取引に関する様々な処理を実行する。
情報端末機器2は、操作者による操作を受けるためのユーザインタフェース機器である。情報端末機器2のハードウェアとしては、例えばタブレットコンピュータを用いることが想定される。情報端末機器2は、操作者による操作に応じて取引処理装置1、入出力機器3および周辺機器4と通信あるいは制御するためのユーザインタフェースを実現するアプリケーションプログラムを備える。
【0010】
入出力機器3には、それぞれ1つ又は複数の周辺機器4が適宜に接続される。入出力機器3は、接続されている周辺機器4が通信ネットワーク8を介した通信を行うためのインタフェース処理を行う。入出力機器3は、取引処理装置1及び情報端末機器2による周辺機器4への接続を制御する周辺機器制御装置として機能する。あるいは入出力機器3は取引処理装置1及び情報端末機器2による周辺機器4への接続を仲介する装置ということもできる。なお、本実施の形態においては入出力機器3を「IO BOX」と称する場合がある。
【0011】
図1の取引処理システムは、一例として、店舗において常設会計コーナー、サービスカウンタ、特設会計コーナー、売場などのロケーションに合わせたシステムが構築された例を示す。言い換えると、取引処理システムは、常設会計コーナー、サービスカウンタ、特設会計コーナー、売場などの会計シーンに合わせたシステムが構築される。
図1の取引処理システムは、その店舗の運営ポリシーに適合させてシステムが構成された1例である。ここで、常設会計コーナーはその店舗において常設され、通常の会計時において利用されるロケーションを意味する。常設会計コーナーには、会計時に利用するために常設されるシステムが構築される。サービスカウンタは店舗において、常設会計コーナーとは別の場所に位置し、通常の会計時以外において各種サービスを提供可能なロケーションを意味し、例えば、会員登録や配送依頼等のサービスを提供する際に利用するためのシステムが構築される。サービスカウンタのシステムは、会計処理及び返品処理を行う際に利用することもできる。特設会計コーナーは、店舗において通常時には利用されないが、混雑時やイベント時などにおいて臨時あるいは一時的に開設して会計時において利用されるロケーションを意味する。特設会計コーナーには、臨時あるいは一時的に会計時に利用するためのシステムが構築される。売場は、常設あるいは一時的に商品等が陳列され客が商品を見て回ることが可能なロケーションを意味する。常設会計コーナーには、サービスカウンタ、特設会計コーナーのシステムより簡易的な会計時に利用するためのシステムが構築される。売場におけるシステムは、例えば、店員が携帯可能なシステムとして構築されてもよい。
【0012】
周辺機器4は、取引の処理に関わる様々な処理を行うデバイスである。周辺機器4としては、自動釣銭機、ドロワ、決済端末、プリンタ、スキャナ、あるいはディスプレイなどのような様々な種類のデバイスが適宜に用いられ得る。なお周辺機器4の多くは、既存のPOS端末が装備するか、既存のPOS端末に外付けされる各種のデバイスである。
【0013】
図1に表す取引処理システムでは、店舗に設けられた常設会計コーナーに関しては、チェックアウトレーンのそれぞれに対応して1つの入出力機器3を設置し、かつ当該の入出力機器3に、同じチェックアウトレーンで取引を処理するに際して利用される周辺機器4を接続している。かくして
図1は、常設会計コーナーに2つのチェックアウトレーンを設定している場合である。また
図1に表す取引処理ステムでは、店舗に設けられたサービスカウンタに1つの入出力機器3を設置し、当該の入出力機器3に、サービスカウンタで取引を処理するに際して利用される周辺機器4を接続している。
【0014】
簡易ドロワ5は、容易に移動できるように簡易な構成とされたドロワである。
図1に表す取引処理システムでは、簡易ドロワ5は、店舗に一時的に設けられる特設会計コーナーで用いられる。
決済端末6は、各種の決済方法による決済のための処理を行う端末装置である。決済端末6は、1つの決済方法のみに対応するのでも構わないし、複数の決済方法に対応するのでも構わない。また、複数の決済端末6のそれぞれは、対応する決済方法が様々であっても構わない。決済端末6が対応する決済方法は、例えばクレジットカード決済、電子マネー決済、コード決済、プリペイド決済、デビット決済、金券決済などである。
図1に表す取引処理システムでは、決済端末6は、特設会計コーナー及び売場で用いられる。
【0015】
管理端末7は、
図1に表す取引処理システムの管理者による操作を受けるためのユーザインタフェースとして機能する情報処理装置である。管理端末7のハードウェアとしては、例えばタブレットコンピュータ、デスクトップコンピュータ又はラップトップコンピュータなどの汎用の情報処理装置を用いることが想定される。
【0016】
通信ネットワーク8は、インターネット、VPN(virtual private network)、LAN(local area network)、公衆通信網、移動体通信網などを、単独又は適宜に組み合わせて用いることができる。通信ネットワーク8としては、一例として、LANを用いる。ただし、通信ネットワーク8として、例えばLANとインターネットとを組み合わせて用い、取引処理装置1とその他の装置との通信はインターネットを介して行う形態とするなど、適宜に変更が可能である。かくして通信ネットワーク8には、ルータ及び伝送ケーブルなどのネットワーク機器が含まれ得る。
【0017】
図2は取引処理装置1の要部回路構成を表すブロック図である。
取引処理装置1は、プロセッサ11、メイン記憶ユニット12、補助記憶ユニット13、通信ユニット14及び伝送路15等を備える。プロセッサ11と、メイン記憶ユニット12、補助記憶ユニット13及び通信ユニット14とは、伝送路15を介して通信可能とされている。
【0018】
プロセッサ11、メイン記憶ユニット12及び補助記憶ユニット13を伝送路15で接続することによって、取引処理装置1を制御するための情報処理を行うコンピュータを構成する。
プロセッサ11は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ11は、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムなどの情報処理プログラムに従って、取引処理装置1としての各種の機能を実現するべく各部を制御するための情報処理を実行する。
【0019】
メイン記憶ユニット12は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メイン記憶ユニット12は、読み出し専用のメモリ領域と書き換え可能なメモリ領域とを含む。メイン記憶ユニット12は、読み出し専用のメモリ領域では上記の情報処理プログラムの一部を記憶する。またメイン記憶ユニット12は、プロセッサ11が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを読み出し専用のメモリ領域又は書き換え可能なメモリ領域で記憶する場合もある。メイン記憶ユニット12は、書き換え可能なメモリ領域を、プロセッサ11によるワークエリアとして使用する。
【0020】
補助記憶ユニット13は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。補助記憶ユニット13は、例えばEEPROM(electric erasable programmable read-only memory)、HDD(hard disc drive)、SSD(solid state drive)、あるいはその他の周知の各種の記憶デバイスを利用できる。補助記憶ユニット13は、プロセッサ11が各種の処理を行う上で使用するデータと、プロセッサ11での処理によって生成されたデータとを記憶する。補助記憶ユニット13は、上記の情報処理プログラムを記憶する場合もある。補助記憶ユニット13は、本実施形態では、情報処理プログラムの1つである取引処理プログラムPRAを記憶する。取引処理プログラムPRAは、店舗での商品売買に関する取引の処理に関して実行すべき後述する情報処理の手順について記述されたアプリケーションプログラムである。補助記憶ユニット13の記憶領域の一部は、レジ号機マスタDBA、機能制限テーブルTAA、管理テーブルTAB及び取引データDAAを記憶する領域として利用される。
【0021】
レジ号機マスタDBAは、レジ号機毎の構成を表したデータベースである。ここでレジ号機とは、一取引を取引処理装置が処理するに際して利用するデバイスの集合である。例えば
図1に表す取引処理システムでは、常設会計コーナー及びサービスカウンタに関しては、情報端末機器2の1つと、入出力機器3の1つと、この入出力機器3に接続された周辺機器4との集合により、1つのレジ号機が構成される。例えば
図1に表す取引処理システムでは、特設会計コーナーに関しては、情報端末機器2の1つと、簡易ドロワ5の1つと、決済端末6の1つとにより、1つのレジ号機が構成される。例えば
図1に表す取引処理システムでは、売場に関しては、情報端末機器2の1つと、決済端末6の1つとにより、1つのレジ号機が構成される。なお、
図1において情報端末機器2は、常設会計コーナー、サービスカウンタ、特設会計コーナー及び売場の何れにも属さないように図示しているが、実運用にあっては、常設会計コーナー、サービスカウンタ、特設会計コーナー及び売場のいずれかに持ち込まれて使用される。
【0022】
機能制限テーブルTAAは、取引の処理に際して実行され得る複数の機能のうちの一部に関し、いずれの機能の実行を許容するかをレジ号機が利用されるシーン(以下、会計シーンと称する)毎に表したデータテーブルである。
管理テーブルTABは、情報端末機器2がどのレジ号機で利用されているかを管理するためのデータテーブルである。
取引データDAAは、一取引の内容を表すデータである。
【0023】
通信ユニット14は、通信ネットワーク8を介したデータ通信を行うための通信処理を実行する。通信ユニット14としては、例えばLAN用の既存の通信デバイスを用いることができる。
伝送路15は、アドレスバス、データバス及び制御信号線等を含み、接続された各部の間で授受されるデータ及び制御信号を伝送する。
【0024】
取引処理装置1が実行する情報処理は、後述するように情報端末機器2での操作に応じて取引を処理するための処理であり、従って取引処理装置1は、情報端末機器2をクライアントとするサーバ装置として動作するものである。そして通信ネットワーク8としてLANのみを用いるならば、取引処理装置1はローカルサーバの態様で動作する。通信ネットワーク8として例えばLANとインターネットとを組み合わせて用い、取引処理装置1とその他の装置との通信はインターネットを介して行うならば、取引処理装置1はウェブサーバ、あるいはクラウドサーバの態様で動作する。
【0025】
図3はレジ号機マスタDBAに含まれる1つのデータレコードREAの構成を模式的に表す図である。
レジ号機マスタDBAは、取引処理システムに含まれるレジ号機のそれぞれに関連付けられた複数のデータレコードREAの集合である。データレコードREAは、複数のフィールドFAA,FAB,…を含む。フィールドFAAには、関連付けられたレジ号機の識別子としてのレジ号機コードがセットされる。フィールドFABには、関連付けられたレジ号機の名称がセットされる。フィールドFACには、関連付けられたレジ号機の利用シーンの識別子としてのシーンコードがセットされる。フィールドFACには、シーンコード及びその会計シーンの名称がセットされてもよい。フィールドFAD以降の各フィールドには、関連付けられたレジ号機に属する情報端末機器2以外の各種デバイスに関する入出力機器3に関する情報がセットされる。
【0026】
レジ号機マスタDBAは、例えば取引処理システムを構築する作業に際して、例えばその作業者によって取引処理システムの構成に適応して生成される。レジ号機マスタDBAは、取引処理システムの構成を変更する場合などにおけるメンテナンス作業によって更新されることはあるが、後述する取引処理に際しては更新されない。
【0027】
一例として、常設会計コーナーに設置されるレジ号機の1つが、入出力機器3に、周辺機器4として自動釣銭機、決済端末、プリンタ、スキャナ及びディスプレイを接続して構成されており、かつレジ号機コード及び名称として「0001」及び「常設対面セミセルフ_1」がそれぞれ設定されており、割り付けられた会計シーンのシーンコードが「A」であるとする。この場合に当該レジ号機に関連付けられたデータレコードREAのフィールドFAA,FAB,FACには、「0001」「常設対面セミセルフ_1」「A」がそれぞれセットされ、フィールドFAD,FAE,FAF,FAI,FAJ,FAKには上記の入出力機器3、自動釣銭機、決済端末、プリンタ、スキャナ及びディスプレイに関する情報がそれぞれセットされる。なお、この例の場合のフィールドFAG,FAHのように対応するデバイスが存在しないフィールドに関しては、ブランクとされても構わないし、あるいは予め定められたnull値がセットされても構わない。
【0028】
また別の一例として、特設会計コーナーに設置されるレジ号機の1つが、簡易ドロワ5及び決済端末6を含んで構成されており、かつレジ号機コード及び名称として「0005」及び「臨時レジ_2」がそれぞれ設定されており、割り付けられている会計シーンのシーンコードが「B」であるとする。この場合に当該レジ号機に関連付けられたデータレコードREAのフィールドFAA,FAB,FACには、「0005」「臨時レジ_2」「B」がそれぞれセットされ、フィールドFAE,FAFには上記の簡易ドロワ5及び決済端末6に関する情報がそれぞれセットされる。
【0029】
また別の一例として、売場で利用されるレジ号機の1つが、3つの決済端末を含んで構成されており、かつレジ号機コード及び名称として「0007」及び「売場_2」がそれぞれ設定されており、割り付けられている会計シーンのシーンコードが「C」であるとする。この場合に当該レジ号機に関連付けられたデータレコードREAのフィールドFAA,FAB,FACには、「0007」「売場_2」「C」がそれぞれセットされ、フィールドFAF,FAG,FAHには上記の3つの決済端末6に関する情報がそれぞれセットされる。
【0030】
図4は機能制限テーブルTAAに含まれる1つのデータレコードREBの構成を模式的に表す図である。
機能制限テーブルTAAは、予め定められた複数の会計シーンのそれぞれに関連付けられた複数のデータレコードREBの集合である。なお、複数の会計シーンは、レジ号機をどのようなシーンで利用するかの店舗毎の運営ポリシーなどに応じて、取引処理システムの管理者などによって適宜に定められる。データレコードREBは、フィールドFBA,FBB…を含む。フィールドFBAには、関連付けられた会計シーンのシーンコードがセットされる。フィールドFBBには、関連付けられた会計シーンの名称がセットされる。フィールドFBC以降の各フィールドには、取引処理により実現する各種の機能の実行を許容するか否かを表すフラグがセットされる。言い換えると、フィールドFBC以降の各フィールドには、シーンコードで区別される会計シーン別に各種の機能を有効とするか無効とするかの設定情報が生成あるいは編集される。
【0031】
一例として、「端末カメラスキャン」「現金支払」「インプリンタ」「振込」「対面セミセルフ」「買取」「返品」「ドロワ開放」「両替」「集金」「チケット発行」なる呼称の機能のそれぞれが制限の対象として予め定められている場合に、これら各機能に対してシーンコードが「A」、名称が「据置対面セミ」である会計シーンに関して、「無効」「有効」「無効」「有効」「有効」「有効」「無効」「無効」「有効」「有効」「有効」とされているならば、フィールドFBAには「A」がセットされるとともに、フィールドFBB~FBLにセットされる各フラグはそれぞれ「無効」「有効」「無効」「有効」「有効」「有効」「無効」「無効」「有効」「有効」「有効」を表す状態とされる。
機能制限テーブルTAAは、例えば取引処理システムを構築する作業に際して、例えばその作業者によって取引処理システムの運用ポリシーに適応して生成される。機能制限テーブルTAAは、取引処理システムの管理者などによる指示に応じて後述のように更新されることはあるが、後述する取引処理に際しては更新されない。
【0032】
なお、「端末カメラスキャン」は、情報端末機器2に備えられたカメラ26で商品バーコード等を取得する機能である。「現金支払」は、現金による支払登録のための機能である。この機能を用いる場合に店員は一例として、会計画面の支払方法選択欄から「現金」ボタンを選択し、テンキーを使用して預り金を入力し、現金での精算を実行する。「インプリンタ」は、カード会社及び支払い区分をレシートに印字する機能である。「振込」は、振込を可能とする機能である。「対面セミセルフ」は、客側の画面に案内を表示し、登録は店員操作に応じて、また決済は客操作に応じてそれぞれ行うセミセルフ運用を可能とする機能である。「買取」は、中古商品等の買い取りに関する処理を実行する機能である。「返品」は、商品の返品を受けるための処理を実行する機能である。「ドロワ開放」は、同じレジ号機に属するドロワの開閉を実行する機能である。「両替」は、両替のための処理を実行する機能である。「集金」は、自動釣銭機に収容されている貨幣の金種別での回収を可能とする機能である。「チケット発行」は、例えば、リフト券のようなチケットを販売する場合に、レジ号機に含められたチケットプリンタでチケットの印刷を行う機能である。
【0033】
図5は管理テーブルTABに含まれる1つのデータレコードRECの構成を模式的に表す図である。
管理テーブルTABは、取引処理システムに含まれるレジ号機のそれぞれに関連付けられた複数のデータレコードRECの集合である。データレコードRECは、フィールドFCA,FCB,FCCを含む。フィールドFCAには、関連付けられたレジ号機のレジ号機コードがセットされる。フィールドFCBには、関連付けられたレジ号機の状態を表すデータがセットされる。当該のデータは例えば、関連付けられたレジ号機が使用中であるか、未使用であるかを選択的に表す。フィールドFCCには、関連付けられたレジ号機で利用されている情報端末機器2の識別子としての端末機器コードがセットされる。
管理テーブルTABは、後述する取引処理に際して後述のように更新される。
【0034】
図6は取引データDAAの構成を模式的に表す図である。
取引データDAAは、取引処理装置1にて処理中の取引のそれぞれに関して生成されて補助記憶ユニット13に記憶される。かくして取引データDAAは、補助記憶ユニット13に1つも記憶されない場合もあれば、処理中の複数の取引のそれぞれに関して複数が同時に補助記憶ユニット13に記憶される場合もある。
【0035】
取引データDAAは、フィールドFDA,FDBを含む。取引データDAAは、フィールドFDC以降に任意の数のフィールドを含み得る。フィールドFDAには、該当の取引の識別子としての取引コードがセットされる。フィールドFDBには、該当の取引に関して使用されているレジ号機についてのレジ号機コードがセットされる。取引の対象となる商品(以下、取引商品と称する)として登録済みの商品がある場合には、当該の取引商品のそれぞれに関連付けたフィールドFDC,FDD,…が取引データDAAに追加される。フィールドFDC,FDD,…には、それぞれ別々の取引商品に関する商品データがセットされる。商品データには、該当の取引商品の識別子としての商品コード及び数量が含まれる。商品データには、例えば商品名、単価、割引情報などの別の様々な情報が含まれていてもよい。
取引データDAAは、後述する取引処理により適宜に生成され、更新される。
【0036】
さて、取引処理装置1のハードウェアとしては、例えば汎用のサーバ装置を用いることができる。そして取引処理装置1の譲渡は一般に、補助記憶ユニット13に取引処理プログラムPRAが記憶された状態にて行われる。しかし、取引処理プログラムPRAが補助記憶ユニット13に記憶されない状態、あるいは同種の別バージョンのアプリケーションプログラムが補助記憶ユニット13に記憶された状態のハードウェアと、取引処理プログラムPRAとが個別に譲渡されてもよい。そして、任意の作業者の操作に応じて、補助記憶ユニット13に取引処理プログラムPRAが書き込まれることによって、取引処理装置1が構成されてもよい。取引処理プログラムPRAの譲渡は、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリなどのようなリムーバブルな記録媒体に記録して、あるいはネットワークを介した通信により行うことができる。
【0037】
次に以上のように構成された取引処理システムの動作について、取引処理装置1の動作を中心に説明する。なお、以下に説明する処理の内容は一例であって、一部の処理の順序の変更、一部の処理の省略、あるいは別の処理の追加などは適宜に可能である。また、以下に説明する具体的な処理についても、同様の結果が得られる別の処理が適用されても構わない。
【0038】
(取引の処理)
図7は1つの情報端末機器2をユーザインタフェースとして利用しながら取引処理装置1が取引を処理する手順の一例を表したシーケンス図である。
店員は、未使用状態となっているレジ号機の使用を開始するに当たっては、使用されていない1つの情報端末機器2を起動する。そして、予め定められた操作によって、取引処理装置1へのアクセスを指示する。このアクセス指示を受けると情報端末機器2は、ACT201へと進む。なお、以下に説明する情報端末機器2の動作は、いずれもプロセッサ21による情報処理により実現される。
【0039】
ACT201として情報端末機器2は、取引処理装置1に対して通信ネットワーク8を介してアクセスする。
取引処理装置1にてプロセッサ11は、情報端末機器2からの上記のアクセスを受けると、取引処理プログラムPRAに基づく情報処理(以下、取引処理と称する)を開始する。以下に説明する取引処理装置1の動作は、いずれも当該の取引処理により実現される。
【0040】
ACT101として取引処理装置1は、ログイン画面の表示を情報端末機器2に対して指示する。
ACT202として情報端末機器2は、上記の指示に応じてログイン画面を例えばタッチパネル25に表示させる。ログイン画面は、操作者認証のための情報を操作者に入力させるための画面である。店員は、予め定められた操作者認証のための認証情報を情報端末機器2に入力するための予め定められたログイン操作を行う。このログイン操作を受けると情報端末機器2は、ACT203へと進む。
【0041】
ACT203として情報端末機器2は、入力された認証情報の通知を伴って、ログインを取引処理装置1に対して要求する。この要求を受けると取引処理装置1は、ACT102へと進む。
ACT102として取引処理装置1は、通知された認証情報に基づいて情報端末機器2の操作者が情報端末機器2の利用権限を持った店員であることを認証する。そして取引処理装置1は、認証に成功したならば、ACT103へと進む。
【0042】
ACT103として取引処理装置1は、選択画面の表示を情報端末機器2に対して指示する。この指示を受けると情報端末機器2は、ACT204へと進む。
ACT204として情報端末機器2は、上記の指示に応じて選択画面を例えばタッチパネル25に表示させる。選択画面は、情報端末機器2を適用するレジ号機を店員に選択させるための画面である。取引処理装置1は、選択画面には例えば、レジ号機マスタDBAに含まれるデータレコードに関連付けられているレジ号機の一覧を表し、それらレジ号機のうちの1つの指定を受ける画面とする。
【0043】
店員は、情報端末機器2を適用するレジ号機を決定し、当該のレジ号機を指定するための予め定められた操作を情報端末機器2にて行う。この操作に応じて情報端末機器2は、ACT205へと進む。
ACT205として情報端末機器2は、上記のように指定されたレジ号機のレジ号機コードを取引処理装置1に対して通知する。この通知を受けると取引処理装置1は、ACT104へと進む。
【0044】
ACT104として取引処理装置1は、上記のように指定されたレジ号機に情報端末機器2を関連付けるべく管理テーブルTABを更新する。このときに取引処理装置1にてプロセッサ11は例えば、管理テーブルTABから、通知されたレジ号機コードがフィールドFCAにセットされているデータレコードRECを探し出す。そしてプロセッサ11は例えば、該当のデータレコードRECのフィールドFCBにセットされているデータが「未使用」を表すならば「使用中」を表すデータに書き換えるとともに、フィールドFCCに情報端末機器2の端末機器コードをセットする。
【0045】
かくして取引処理装置1では、管理テーブルTABを用いて、情報端末機器とレジ号機コードとの関連付けを管理している。つまり取引処理プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ11が実行することによって、プロセッサ11を中枢部分とするコンピュータは端末管理手段として機能する。
【0046】
ACT105として取引処理装置1は、上記のように指定されたレジ号機に属する各種のデバイスに関する周辺機器データ及び機能制限データを情報端末機器2に対して送信する。
周辺機器データは、各デバイスと通信するための接続情報を少なくとも含む。周辺機器データは、各デバイスの種類、デバイス名、あるいはどのような機能を備えるかを表したデータなど、そのデバイスを取引の処理に際して用いるに当たって必要となる各種のデータを含む。取引処理装置1は例えば、レジ号機マスタDBAから、通知されたレジ号機コードがフィールドFAAにセットされているデータレコードREAを探し出す。そして取引処理装置1は例えば、該当のデータレコードREAのフィールドFAD以降の各フィールドにセットされている情報から予め定められた情報を取り出して、それら情報を含む情報として接続情報を生成する。取引処理装置1は生成した接続情報を含む周辺機器データを情報端末機器2に対して送信する。
【0047】
機能制限データは、指定されたレジ号機の会計シーンに関する機能制限の設定を表したデータである。取引処理装置1は例えば、レジ号機マスタDBAを参照して、上記のように指定されたレジ号機の会計シーンのシーンコードを判定する。そして取引処理装置1は例えば、該当のシーンコードがフィールドFBAにセットされているデータレコードREBを機能制限テーブルTAAから探し出す。さらに取引処理装置1は例えば、該当のデータレコードREBをそのまま含むデータとして機能制限データを生成する。取引処理装置1は生成した機能制限データを情報端末機器2に対して送信する。この周辺機器データ及び機能制限データを受けると情報端末機器2はACT206へと進む。
【0048】
ACT206として情報端末機器2は、周辺機器データを利用して、各種デバイスとの通信を可能とするための接続処理を行う。
ACT207として情報端末機器2は、登録画面を例えばタッチパネル25に表示させる。登録画面は、取引商品の登録状況を店員に確認させるための画面である。つまり登録画面は例えば、取引商品の一覧を表す。また登録画面は、取引商品の登録を行うことができる画面である。ただし、ここではまだ取引商品が1つも登録されていないので、登録画面は、当該一覧には取引商品の情報を表さない。
【0049】
店員は、客から取引商品の登録を要望されたならば、その客が購入しようとしている商品の1つを取引商品として登録するよう指示するための予め定められた操作を情報端末機器2にて行う。ここで店員が行う操作は例えば、商品に表示されているバーコードを、周辺機器4として備えられたスキャナ又は情報端末機器2に備えられたカメラなどを用いてスキャンさせるための操作である。ただし情報端末機器2は、上述のように受信した機能制限データに基づき、端末カメラスキャン機能が無効とされているならば、情報端末機器2に備えられたカメラを用いたバーコードスキャンは行わせない。店員が行う操作は例えば、商品コードを直接入力する操作であってもよいし、商品を示すあらかじめ設定された商品のプリセットキーを選択する操作であってもよい。ここで店員が行う操作は例えば、既存のPOSシステムで行われている他の様々な操作であって構わない。この操作に応じて情報端末機器2は、商品を識別するための商品コードを取得し、ACT208へと進む。
【0050】
ACT208として情報端末機器2は、指定された商品の商品コードの通知を伴って、商品登録を取引処理装置1に対して要求する。この要求を受けると取引処理装置1は、ACT106へと進む。
ACT106として取引処理装置1は、新たな取引データDAAを生成する。つまり取引処理装置1にてプロセッサ11は例えば、他の取引を識別するための取引コードとは異なる新たな取引コードを予め定められたルールに従って決定し、この取引コードをフィールドFDAにセットするとともに、情報端末機器2が関連付けられているレジ号機コードをフィールドFDBにセットし、通知された商品コードをフィールドFDCにセットした取引データDAAを生成し、補助記憶ユニット13に記憶させる。
【0051】
ACT107として取引処理装置1は、登録画面の更新を情報端末機器2に対して指示する。つまり取引処理装置1は、上記のように登録した取引商品を一覧に表すよう登録画面を更新するように指示する。具体的には取引処理装置1は例えば、この更新を指示するための指示データを情報端末機器2へ送信する。取引処理装置1は、指示データには、上記のように生成した取引データDAAを含める。この指示を受けると情報端末機器2は、ACT209へと進む。
【0052】
ACT209として情報端末機器2は、上記の指示に応じて登録画面を更新する。具体的には情報端末機器2は例えば、上記の指示データに含まれた取引データDAAのフィールドFDC以降にセットされている各商品データに含まれる商品名などの情報を取引商品の一覧に表すように登録画面を更新する。
【0053】
なお取引処理装置1は、取引データDAAに含まれる情報のうちの各商品データのみを指示データに含めるのでも構わない。
また取引処理装置1は、取引データDAA又は商品データは指示データに含めずに、取引データDAAを情報端末機器2から閲覧するためのURL(uniform resource locator)のような情報を指示データに含めるのでも構わない。そしてこの場合には情報端末機器2は、当該情報に基づいて取引データDAAを閲覧の上で、登録画面を更新する。
【0054】
また取引処理装置1は、更新後の取引データDAAに基づき取引商品の一覧を表した登録画面を表した画面データを生成し、この画面データを指示データに含めるか、あるいはこの画面データを閲覧するためのURLのような情報を指示データに含めるのでも構わない。そしてこの場合には情報端末機器2は、指示データに含まれる画面データが表す登録画面をタッチパネル25に表示させるか、あるいは指示データに含まれるURLのような情報に基づくセクセスに対して取引処理装置1から閲覧可能となる登録画面をタッチパネル25に表示させる。
【0055】
こののち店員は、客が購入しようとする商品の全てを取引商品とするべく、取引商品の変更を指示するための予め定められた操作を情報端末機器2にて行う。なお取引商品の変更とは、取引商品の追加、すなわち新たな商品の登録、削除及び点数変更などである。ここで店員が行う操作は、例えば既存のPOSシステムで行われている操作と同様であって構わない。この変更指示を受けると情報端末機器2は、ACT210へと進む。
【0056】
ACT210として情報端末機器2は、上記の操作に応じて取引商品の変更を取引処理装置1に対して要求する。この要求を受けると取引処理装置1は、ACT108へと進む。
ACT108として取引処理装置1は、上記の変更要求に応じて、ACT107で生成した取引データDAAを更新する。
【0057】
ACT109として取引処理装置1は、登録画面の更新を情報端末機器2に対して指示する。つまり取引処理装置1は、上記のように更新した取引データDAAに登録済みの取引商品を一覧に表すよう登録画面を更新するようにACT107と同様に指示する。この指示を受けると情報端末機器2は、ACT211へと進む。
ACT211として情報端末機器2は、ACT207と同様に、上記の指示に応じて登録画面を更新する。
以降、店員が変更指示のための操作を繰り返せば、取引処理装置1及び情報端末機器2は、ACT210、ACT108、ACT109及びACT211と同様の処理を繰り返す。
【0058】
店員は、客が購入しようとする商品の全てを取引商品として登録し終えたならば、会計を指示するための予め定められた操作を情報端末機器2にて行う。例えば、店員は情報端末機器2にて小計キーあるいは支払方法選択キーを操作する。支払方法選択キーは小計キーが選択された後に選択されるとしてもよいし、小計キーの操作を不要としてもよい。小計キーあるいは支払方法選択キーは、取引商品の登録を完了させるための操作キーである。支払方法選択キーは選択された支払方法による会計処理を実行することを宣言するための操作キーである。支払方法選択キーが示す支払方法は、現金のほか、決済端末6が対応する決済方法を含んでよい。この指示に応じて情報端末機器2は、ACT212へと進む。
ACT212として情報端末機器2は、会計処理を取引処理装置1に対して要求する。この要求を受けると取引処理装置1は、ACT110へと進む。
【0059】
ACT110として取引処理装置1は、またACT213として情報端末機器2は、互いに協働して、取引商品に関する代金を計算し、当該代金を決済するための会計処理を実行する。会計処理は、情報端末機器2で指定される支払方法を適用して実行される。会計処理は、例えば自動釣銭機等を利用して代金を決済する現金決済を含む。会計処理は、例えば決済端末を利用して代金を決済するための処理を含む。会計処理の詳細は、例えば既存のPOS端末などで行われているのと同様な処理であって構わない。
【0060】
会計処理を終えると、情報端末機器2はACT214へと進む。
ACT214として情報端末機器2は、取引商品の情報を含まない新たな登録画面を例えばタッチパネル25に表示させる。なお、情報端末機器2は、取引処理装置1からの指示に応じて登録画面を表示させるのでも構わない。そして取引処理装置1及び情報端末機器2はこの後、新たな取引に関する店員操作が情報端末機器2にて行われたならば、ACT106及びACT208以降の処理を上述のように繰り返し、当該の新たな取引を処理する。
【0061】
以上のように取引処理装置1にてプロセッサ11は、今回の処理対象となる取引を、情報端末機器2が関連付けられているレジ号機コードに関する取引として処理する。つまり取引処理プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ11が実行することによって、プロセッサ11を中枢部分とするコンピュータは処理手段として機能する。
【0062】
取引処理装置1により処理した取引に関する履歴データを取引処理装置1により生成するのであれば、当該履歴データには、各取引に用いられたレジ号機を識別可能なようにレジ号機コードを含めておくことが好ましい。また、取引処理装置1とは別の情報処理装置によって履歴データが生成されるのであれば、その履歴データにレジ号機コードを含めることを可能とするべく、取引処理装置1は、上記の情報処理装置に取引の結果を通知するためのデータにレジ号機コードを含めることが好ましい。
【0063】
店員は、何らかの事情で、情報端末機器2に関して、現状のレジ号機での使用を終了する必要が生じたならば、関連付けの解除指示のための予め定められた操作を情報端末機器2にて行う。この指示に応じて情報端末機器2は、ACT215へと進む。
ACT215として情報端末機器2は、関連付け解除を取引処理装置1に対して要求する。この要求を受けると取引処理装置1は、ACT111へと進む。
【0064】
ACT111として取引処理装置1は、情報端末機器2に関する関連付けを解除するべく管理テーブルTABを更新する。このときに取引処理装置1にてプロセッサ11は例えば、管理テーブルTABから、解除を要求した情報端末機器2の端末機器コードがフィールドFCCにセットされているデータレコードRECを探し出す。そしてプロセッサ11は例えば、該当のデータレコードRECのフィールドFCBにセットされているデータを「未使用」を表すデータに書き換えるとともに、フィールドFCCにセットされた端末機器コードを削除する。
【0065】
ACT112として取引処理装置1は、関連付けを解除した旨を情報端末機器2に通知する。
この後には、上記の情報端末機器2により取引処理装置1に再度アクセスし、別のレジ号機コードを指定すれば、情報端末機器2は上記とは別のレジ号機のユーザインタフェース機器として動作する。
【0066】
(情報端末機器2の交換)
さて、レジ号機コード「0001」に対して、端末機器コードが「01」である情報端末機器2が関連付けられているとする。そして取引処理装置1と、端末機器コードが「01」である情報端末機器2とが、例えばACT210、ACT108、ACT109及びACT211と同様の処理を繰り返す状態にあるときに、情報端末機器2に障害が発生し、上述の動作を継続することができなくなったとする。
この場合に情報端末機器2が交換される手順について、以下に説明する。
【0067】
図8はユーザインタフェースとして利用する情報端末機器2を途中で交換しながら取引処理装置1が取引を処理する手順の一例を表したシーケンス図である。
ここでは、取引処理装置1と端末機器コードが「01」である情報端末機器2との間で、ACT109及びACT211までは、
図7と同様に手順が進んでいることとする。そして端末機器コードが「01」である情報端末機器2が、変更指示又は会計指示を待ち受けている状態において、それ以降の処理を継続できなくなったこととする。
【0068】
この場合に店員は、例えば端末機器コードが「02」である別の情報端末機器2に対して、取引処理装置1へのアクセスを指示する。このアクセス指示を受けると端末機器コードが「02」である情報端末機器2は、取引処理装置1とともに以下の様に手順を進める。
取引処理装置1及び情報端末機器2は、ACT121,ACT122,ACT123及びACT221,ACT222,ACT223,ACT224として、
図7中のACT101,ACT102,ACT103及びACT201,ACT202,ACT203,ACT204と同様の処理を行う。
【0069】
店員は、選択画面においてレジ号機コード「0001」を指定する。これに応じて情報端末機器2は、ACT225へと進む。
ACT225として情報端末機器2は、上記のように指定されたレジ号機のレジ号機コード「0001」を取引処理装置1に対して通知する。この通知を受けると取引処理装置1は、ACT124へと進む。
【0070】
ACT124として取引処理装置1は、
図7中のACT104と同様に、上記のように指定されたレジ号機に情報端末機器2を関連付けるべく管理テーブルTABを更新する。なお取引処理装置1は、この場合に管理テーブルTABにてフィールドFCAに「0001」がセットされているデータレコードRECのフィールドFCCには、既に「01」がセットされているが、これを「02」に書き換える。また取引処理装置1は、該当のデータレコードRECのフィールドFCBには、既に「使用中」を表すデータがセットされているので、そのままとする。
【0071】
ACT125として取引処理装置1はACT105と同様に、上記のように指定されたレジ号機に属する各種のデバイスに関する周辺機器データ及び機能制限データを情報端末機器2に対して送信する。
ACT126として取引処理装置1は、レジ号機コード「0001」がフィールドFDBにセットされている取引データDAAに基づく取引商品の一覧を表した登録画面の表示を、ACT107などと同様にして情報端末機器2に対して指示する。
ACT226として情報端末機器2は、周辺機器データを利用して、各種デバイスとの通信を可能とするための接続処理を行う。
ACT227として情報端末機器2は、上記の表示指示に応じて登録画面を例えばタッチパネル25に表示させる。
【0072】
こののちに店員が、取引商品の変更を指示するための前述の操作を、端末機器コードが「02」である情報端末機器2にて行うと、当該の情報端末機器2は、ACT228へと進む。
ACT228として情報端末機器2は、上記の操作に応じて取引商品の変更を取引処理装置1に対して要求する。この要求を受けると取引処理装置1は、ACT127へと進む。
ACT127として取引処理装置1は、上記の変更要求に応じて、ACT107で生成した取引データDAA、つまり端末機器コードが「01」である情報端末機器2からの要求に応じて生成した取引データDAAを更新する。
【0073】
ACT128として取引処理装置1は、登録画面の更新を端末機器コードが「02」である情報端末機器2に対して指示する。この指示を受けると情報端末機器2は、ACT229へと進む。
ACT229として情報端末機器2は、上記の指示に応じて登録画面を更新する。
以降、店員が変更指示のための操作を端末機器コードが「02」である情報端末機器2にて繰り返せば、取引処理装置1及び情報端末機器2は、ACT228、ACT127、ACT128及びACT229と同様の処理を繰り返す。
この結果、端末機器コードが「01」である情報端末機器2での操作に応じて処理されていて中断されている取引処理が、端末機器コードが「02」である情報端末機器2での操作に応じて継続して実行されることになる。つまり、端末機器コードが「01」である情報端末機器2の復旧を待たずして、中断していた取引処理を再開することができる。
【0074】
(レジ号機マスタDBAの編集)
ところで、上記の取引の処理についての説明では言及していないが、上記の処理に際して、例えばレシートをプリントするためにプリンタを動作させるなど、周辺機器4、簡易ドロワ5及び決済端末6の制御が行われる。なお、この制御は、取引処理装置1から通信ネットワーク8を介して、あるいは情報端末機器2から通信ネットワーク8を介して行われる。そしてこの制御のために取引処理装置1は、レジ号機マスタDBAにより各レジ号機の構成を管理するとともに、利用可能な周辺機器に関する周辺機器データを情報端末機器2に送っている。つまり取引処理プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ11が実行することによって、プロセッサ11を中枢部分とするコンピュータは、情報端末機器2の周辺機器として利用されるデバイスを、レジ号機マスタDBAを利用して管理するデバイス管理手段として機能する。
このため、レジ号機の構成を変更する場合には、レジ号機マスタDBAを更新することが必要となる。
【0075】
取引処理装置1にてプロセッサ11は、管理端末7からのアクセスを受けて、レジ号機マスタDBAの編集が要求された場合には、取引処理プログラムPRAに基づいてレジ号機マスタDBAの編集のための情報処理(以下、レジ号機編集処理と称する)を実行する。なお、取引処理とレジ号機編集処理とは、それぞれ別々の情報処理プログラムに基づいて実行されるのでも構わない。図示は省略するが、プロセッサ11は、管理端末7の操作者がレジ号機マスタDBAを編集することの権限を有する管理者であることの認証処理を行い、当該の認証に成功した場合に限ってレジ号機編集処理を開始することが好ましい。
なお管理端末7から取引処理装置1へのアクセスは、例えば汎用のウェブブラウザを用いて行うことが想定される。しかしながら、取引処理装置1へのアクセスのための専用のアプリケーションが用いられても構わない。
【0076】
図9はレジ号機編集処理のフローチャートである。
ACT301としてプロセッサ11は、レジ号機一覧画面の表示を管理端末7に対して指示を応答する。この指示に応じて管理端末7は、レジ号機一覧画面を表示する。レジ号機一覧画面は、レジ号機マスタDBAに含まれるデータレコードREAのそれぞれが関連付けられたレジ号機の一覧を表す画面である。レジ号機一覧画面は、レジ号機マスタDBAの編集の開始を指示するための画面でもある。
【0077】
図10はレジ号機一覧画面の一例を表す図である。
図10に表すレジ号機一覧画面は、レジ号機マスタDBAに7つのデータレコードREAが含まれている場合、つまり7つのレジ号機が設定されている状態での一例である。レジ号機一覧画面は、同一行に並べて、1つのレジ号機についてのレジ号機コード及び名称と、会計シーンのシーンコード及び名称とを文字列により表す。またレジ号機一覧画面は、各行にボタンBUAを表す。ボタンBUAは、同じ行に表されたレジ号機に関する編集を開始することの指示を受けるためのソフトキーである。
【0078】
管理者は、レジ号機一覧画面に表されたレジ号機の中から編集するべきレジ号機を選び出す。そして管理者は、そのレジ号機に対応するボタンBUAをタップする等の予め定められた操作により編集の対象とするレジ号機を指定する。管理端末7は、このような指定がなされたならば、指定されたレジ号機のレジ号機コードを取引処理装置1に対して通知する。
【0079】
プロセッサ11は、
図9中のACT301としての表示指示を終えたならば、ACT302へと進む。
ACT302としてプロセッサ11は、レジ号機の1つが指定されるのを待ち受ける。そしてプロセッサ11は、上記のようにレジ号機コードが管理端末7から通知されたならばACT302にてYESと判定し、ACT303へと進む。
【0080】
ACT303としてプロセッサ11は、編集内容を一時的に記録するための編集データを生成する。プロセッサ11は例えば、レジ号機マスタDBAに含まれるデータレコードREAのうちの編集対象のレジ号機に関連付けられたデータレコードREAをコピーして編集データとする。
ACT304としてプロセッサ11は、構成編集画面の表示を管理端末7に対して指示を応答する。この指示に応じて管理端末7は、構成編集画面を表示する。構成編集画面は、上記の指定されたレジ号機の構成に関する設定の編集のための操作を受ける画面である。構成編集画面は、レジ号機マスタDBAに含まれるデータレコードREAに関し、レジ号機コードに対応付けられるフィールドFAB,FAC,…の情報を編集するための画面である。
【0081】
図11は構成編集画面の一例を表す図である。
構成編集画面は、編集対象のレジ号機の構成に関する設定状況を表示エリアARAに表す。また構成編集画面は、ボタンBUB,BUC,BUDを表す。ボタンBUBは、編集対象のレジ号機の構成に関する設定を削除することを指示するためのソフトキーである。ボタンBUCは、編集を取り止めてレジ号機一覧画面の表示状態に戻ることを指示するためのソフトキーである。ボタンBUDは、表示エリアARAに表されている設定を保存することを指示するためのソフトキーである。
【0082】
プロセッサ11は、
図9中のACT304としての表示指示を終えたならば、ACT305へと進む。
ACT305としてプロセッサ11は、編集のための操作がなされたことが通知された否かを確認する。そしてプロセッサ11は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT306へと進む。
ACT306としてプロセッサ11は、戻りが要求されたか否かを確認する。そしてプロセッサ11は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT307へと進む。
ACT307としてプロセッサ11は、編集内容の保存が要求されたか否かを確認する。そしてプロセッサ11は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT308へと進む。
ACT308としてプロセッサ11は、編集対象のレジ号機の削除が要求されたか否かを確認する。そしてプロセッサ11は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT305へと戻る。
かくしてプロセッサ11は、ACT305~ACT308としては、編集操作、戻り要求、保存要求及び削除要求のいずれかがなされるのを待ち受ける。
【0083】
さて、管理者は管理端末7にて、例えば構成編集画面の表示エリアARA内に表されたラジオボタンのタップ、あるいは表示エリアARA内に表された文字列を編集するための予め定められた操作など、編集対象のレジ号機の構成に関する諸設定を変更するための予め定められた操作を行う。
【0084】
例えば、レジ号機名称は、直接テキストを入力することで名称を設定可能とする。会計シーンは、予め用意されている会計シーンを選択形式で設定可能とする。なお、構成編集画面には、機能制限テーブルTAAにて各会計シーンに関連付けられたデータレコードRECのフィールドFBA,FBBにセットされるシーンコード及びシーン名称を並べて「A:据置対面セミ」のように表している。IOBOX接続及びIOBOXアドレスには、入出力機器3の接続の「あり」又は「なし」設定と、「あり」の場合の接続設定情報とがセットされる。釣銭機接続及び機種には釣銭機接続の「あり」又は「なし」設定と、ありの場合の機種とがセットされる。決済端末接続及び決済端末アドレスには、決済端末の接続の「あり」又は「なし」設定と、「あり」の場合の接続設定情報とがセットされる。決済端末が複数接続される場合には、決済端末接続と決済端末アドレスとが複数セットされる。プリンタ接続及びプリンタ名と、スキャナ接続及びスキャナ名とには、同様に「あり」または「なし」設定と、「あり」の場合のデバイス名あるいは接続設定情報とが設定される。
【0085】
管理端末7は、このような操作の内容の通知を伴って、設定の変更を取引処理装置1に対して要求する。この要求を受けるとプロセッサ11は、ACT305にてYESと判定し、ACT309へと進む。
ACT309としてプロセッサ11は、上記の操作に応じて編集データを更新する。
【0086】
ACT310としてプロセッサ11は、更新後の編集データが表す設定状況を表すべく構成編集画面を更新するように管理端末7に対して指示する。そしてプロセッサ11はこののち、ACT305~ACT308の待ち受け状態に戻る。管理端末7は、上記の指示に応じて表示している構成編集画面を更新する。
【0087】
管理者は、編集対象のレジ号機の構成に関する諸設定の変更を取り止めるならば、例えば構成編集画面に表されたボタンBUCをタップするなどの予め定められた操作により戻りを指示する。この指示に応じて管理端末7は、戻りを取引処理装置1に対して要求する。この要求を受けるとプロセッサ11は、ACT306にてYESと判定し、ACT301へと戻って以降の処理を前述と同様にやり直す。
【0088】
管理者は、編集結果を保存するならば、例えば構成編集画面に表されたボタンBUDをタップするなどの予め定められた操作により保存を指示する。この指示に応じて管理端末7は、保存を取引処理装置1に対して要求する。この要求を受けるとプロセッサ11は、ACT307にてYESと判定し、ACT311へと進む。
【0089】
ACT311としてプロセッサ11は、編集の内容を反映するべくレジ号機マスタDBAを更新する。プロセッサ11は例えば、編集対象のレジ号機に関連付けられたデータレコードREAを、編集データによって上書きする。そしてプロセッサ11はこののち、ACT301へと戻って以降の処理を前述と同様にやり直す。
【0090】
管理者は、編集対象のレジ号機を削除するならば、例えば構成編集画面に表されたボタンBUBをタップするなどの予め定められた操作により削除を指示する。この指示に応じて管理端末7は、削除を取引処理装置1に対して要求する。この要求を受けるとプロセッサ11は、ACT308にてYESと判定し、ACT312へと進む。
【0091】
ACT312としてプロセッサ11は、編集対象のレジ号機に関連付けられたデータレコードREAをレジ号機マスタDBAから削除する。そしてプロセッサ11はこののち、ACT301へと戻って以降の処理を前述と同様にやり直す。プロセッサ11は、ACT312を実行するのに先立って、削除を実行して構わないかの確認を促すための画面を管理端末7にて表示させて、削除実行を指示する操作が管理端末7にて行われたことが確認できた場合に限ってACT312へと進むようにしても構わない。
【0092】
なおプロセッサ11は、新しいレジ号機に関する設定の追加を指示する操作が管理端末7にて行われたことに応じて、予め定められたデフォルト設定を表す編集データを生成した上で、ACT305以降の処理を実行するようにしてもよい。ただしプロセッサ11はこの場合、ACT311においては、編集データを新規のデータレコードREAとしてレジ号機マスタDBAに追加する。
【0093】
(機能制限テーブルの編集)
上記の取引の処理の説明においては実行されていない別の各種の機能の実行が、情報端末機器2での店員による実行指示に応じて、あるいは別の処理に際して予め定められた実行条件が成立したことに応じて、必要となる場合がある。このとき、取引処理装置1又は情報端末機器2は、機能制限テーブルTAA又は通知された機能制限データを参照して、情報端末機器2の会計シーンに関して無効とされている機能については実行しない。つまり取引処理プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ11が実行することによって、プロセッサ11を中枢部分とするコンピュータは、各種の機能の実行を許容するかを機能制限テーブルTAAを用いて管理する機能管理手段として機能する。
なおプロセッサ11は、上記の情報端末機器2の会計シーンとしては、情報端末機器2が管理テーブルTABで関連付けられているレジ号機コードに対してレジ号機マスタDBAにて関連付けられているシーンコードで識別される会計シーンとして判定する。つまり取引処理プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ11が実行することによって、プロセッサ11を中枢部分とするコンピュータは、レジ号機コードと会計シーンとの関連付けを、レジ号機マスタDBAを利用して管理するシーン管理手段として機能する。
機能制限テーブルTAAは、前述のように店舗毎の運営ポリシーに応じて定められるものであり、当該運営ポリシーの変更などに伴って更新することが必要となる場合がある。
【0094】
取引処理装置1にてプロセッサ11は、管理端末7からのアクセスを受けて、機能制限テーブルTAAの編集が要求された場合には、取引処理プログラムPRAに基づいて機能制限テーブルTAAの編集のための情報処理(以下、機能設定編集処理と称する)を実行する。なお、取引処理と機能設定編集処理とは、それぞれ別々の情報処理プログラムに基づいて実行されるのでも構わない。図示は省略するが、プロセッサ11は、管理端末7の操作者が機能制限テーブルTAAを編集することの権限を有する者であることの認証処理を行い、当該の認証に成功した場合に限って機能設定編集処理を開始することが好ましい。
【0095】
図12は機能設定編集処理のフローチャートである。
ACT401としてプロセッサ11は、機能設定一覧画面の表示を管理端末7に対して指示する。この指示に応じて管理端末7は、機能設定一覧画面を表示する。機能設定一覧画面は、会計シーン毎の機能制限の設定状況の一覧を表す画面である。
【0096】
図13は機能設定一覧画面の一例を表す図である。
図13に表す機能設定一覧画面は、機能制限テーブルTAAに5つのデータレコードREBが含まれている場合、つまり5つの会計シーンが設定されている状態での一例である。機能設定一覧画面は、同一行に並べて、会計シーンコード及び名称と、当該会計シーンについての各種機能の有効/無効を文字列により表すとともに、ボタンBUEを表す。ボタンBUEは、機能制限の設定の編集を開始することの指示を受けるためのソフトキーである。
【0097】
管理者は、機能設定一覧画面に表された会計シーンの中から編集するべき会計シーンを選び出す。そして管理者は、その会計シーンに対応するボタンBUEをタップする等の予め定められた操作により編集の対象とする会計シーンを指定する。管理端末7は、このような指定がなされたならば、指定された会計シーンのシーンコードを取引処理装置1に対して通知する。
【0098】
プロセッサ11は、
図12中のACT401としての表示指示を終えたならば、ACT402へと進む。
ACT402としてプロセッサ11は、会計シーンの1つが指定されるのを待ち受ける。そしてプロセッサ11は、上記のようにシーンコードが管理端末7から通知されたならばACT402にてYESと判定し、ACT403へと進む。
【0099】
ACT403としてプロセッサ11は、編集内容を一時的に記録するための編集データを生成する。プロセッサ11は例えば、機能制限テーブルTAAに含まれるデータレコードREBのうちの編集対象の会計シーンに関連付けられたデータレコードREBをコピーして編集データとする。
【0100】
ACT404としてプロセッサ11は、機能設定画面の表示を管理端末7に対して指示する。この指示に応じて管理端末7は、機能設定画面を表示する。機能設定画面は、上記の指定された会計シーンについての機能制限に関する設定の編集のための操作を受ける画面である。
【0101】
図14はシーン別の機能設定画面の一例を表す図である。
機能設定画面は、編集対象の会計シーンについての機能制限に関する設定状況を表示エリアARBに表す。また機能設定画面は、ボタンBUF,BUG,BUHを表す。ボタンBUFは、編集対象の会計シーンを削除することを指示するためのソフトキーである。ボタンBUGは、編集を取り止めて機能設定一覧画面の表示状態に戻ることを指示するためのソフトキーである。ボタンBUHは、表示エリアARBに表されている設定を保存することを指示するためのソフトキーである。
【0102】
プロセッサ11は、
図12中のACT404としての表示指示を終えたならば、ACT405へと進む。
ACT405としてプロセッサ11は、編集のための操作がなされたことが通知された否かを確認する。そしてプロセッサ11は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT406へと進む。
ACT406としてプロセッサ11は、戻りが要求されたか否かを確認する。そしてプロセッサ11は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT407へと進む。
ACT407としてプロセッサ11は、編集内容の保存が要求されたか否かを確認する。そしてプロセッサ11は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT408へと進む。
ACT408としてプロセッサ11は、編集対象のレジ号機の削除が要求されたか否かを確認する。そしてプロセッサ11は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT405へと戻る。
かくしてプロセッサ11は、ACT405~ACT408としては、編集操作、戻り要求、保存要求及び削除要求のいずれかがなされるのを待ち受ける。
【0103】
さて、管理者は管理端末7にて、例えば機能設定画面の表示エリアARB内に表されたラジオボタンのタップなど、編集対象の会計シーンについての機能制限に関する諸設定を変更するための予め定められた操作を行う。管理端末7は、このような操作の内容の通知を伴って、設定の変更を取引処理装置1に対して要求する。この要求を受けるとプロセッサ11は、ACT405にてYESと判定し、ACT409へと進む。
ACT409としてプロセッサ11は、上記の操作に応じて編集データを更新する。
【0104】
ACT410としてプロセッサ11は、更新後の編集データが表す設定状況を表すべく機能設定画面を更新するように管理端末7に対して指示する。そしてプロセッサ11はこののち、ACT405~ACT408の待ち受け状態に戻る。管理端末7は、上記の指示に応じて表示している機能設定画面を更新する。
【0105】
管理者は、編集対象の会計シーンについての機能制限に関する諸設定の変更を取り止めるならば、例えば機能設定画面に表されたボタンBUGをタップするなどの予め定められた操作により戻りを指示する。この指示に応じて管理端末7は、戻りを取引処理装置1に対して要求する。この要求を受けるとプロセッサ11は、ACT406にてYESと判定し、ACT401へと戻って以降の処理を前述と同様にやり直す。
【0106】
管理者は、編集結果を保存するならば、例えば機能設定画面に表されたボタンBUHをタップするなどの予め定められた操作により保存を指示する。この指示に応じて管理端末7は、保存を取引処理装置1に対して要求する。この要求を受けるとプロセッサ11は、ACT407にてYESと判定し、ACT411へと進む。
【0107】
ACT411としてプロセッサ11は、編集の内容を反映するべく機能制限テーブルTAAを更新する。プロセッサ11は例えば、編集対象の会計シーンに関連付けられたデータレコードREBを、編集データによって上書きする。そしてプロセッサ11はこののち、ACT401へと戻って以降の処理を前述と同様にやり直す。
【0108】
管理者は、編集対象の会計シーンを削除するならば、例えば機能設定画面に表されたボタンBUFをタップするなどの予め定められた操作により削除を指示する。この指示に応じて管理端末7は、削除を取引処理装置1に対して要求する。この要求を受けるとプロセッサ11は、ACT408にてYESと判定し、ACT412へと進む。
【0109】
ACT412としてプロセッサ11は、編集対象の会計シーンに関連付けられたデータレコードREBを機能制限テーブルTAAから削除する。そしてプロセッサ11はこののち、ACT401へと戻って以降の処理を前述と同様にやり直す。プロセッサ11は、ACT412を実行するのに先立って、削除を実行して構わないかの確認を促すための画面を管理端末7にて表示させて、削除実行を指示する操作がお管理端末7にて行われたことが確認できた場合に限ってACT412へと進むようにしても構わない。
【0110】
なおプロセッサ11は、新しい会計シーンの追加を指示する操作が管理端末7にて行われたことに応じて、予め定められたデフォルト設定を表す編集データを生成した上で、ACT405以降の処理を実行するようにしてもよい。ただしプロセッサ11はこの場合、ACT411においては、編集データを新規のデータレコードREBとして機能制限テーブルTAAに追加する。
【0111】
以上のように取引処理装置1は、情報端末機器2とレジ号機コードとの関連付けを管理しておき、情報端末機器2での操作に応じて定まる取引を、当該の情報端末機器2が関連付けられたレジ号機コードに関する取引として処理している。かくして、レジ号機コードに関連付ける情報端末機器2を変更することにより、1つの取引に関する操作を受けるために用いる情報端末機器2を変更することが可能であり、情報端末機器に障害が発生した場合でも、その情報端末機器を用いた操作に応じて処理されていた取引の処理を継続することができる。
【0112】
また取引処理装置1は、レジ号機マスタDBAを用いて各レジ号機で用いられるデバイスをレジ号機コードに関連付けて管理しており、かつレジ号機マスタDBAを管理者による指示に応じて適宜に更新する。これにより、レジ号機の構成を容易に変更することが可能である。
【0113】
また取引処理装置1は、複数の機能のうちのいずれの実行を許容するかを、機能制限テーブルTAAを用いて会計シーン毎に管理しており、かつ機能制限テーブルTAAを管理者による指示に応じて適宜に更新する。これにより、会計シーン毎での実行を許容する機能の制限を容易に変更することが可能である。
【0114】
この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
レジ号機マスタDBA、機能制限テーブルTAA、管理テーブルTAB及び取引データDAAの少なくとも1つは、取引処理装置1の外部に設けられた記憶デバイスに記憶されても構わない。
【0115】
機能制限テーブルTAAでの設定により使用が制限され得る機能を実行するか否かの判断は、取引処理装置1にてプロセッサ11が行っても構わない。例えば、端末カメラスキャン機能の利用が制限される場合であっても、情報端末機器2においては情報端末機器2に備えられたカメラによるバーコードスキャンは許容する。そしてこのバーコードスキャンに応じての登録要求を受けた場合に取引処理装置1にて、登録要求を拒否するようにしても構わない。
【0116】
取引処理装置1に、例えばタッチパネルなどのユーザインタフェースデバイスを設けて、このユーザインタフェースデバイスを用いて編集のためのユーザインタフェースを行っても構わない。
【0117】
周辺機器4、簡易ドロワ5及び決済端末6は、通信ネットワーク8を介すること無く、取引処理装置1又は情報端末機器2に対して直接的に有線接続又は無線接続されても構わない。ただし、この場合は、取引処理装置1に接続された機器の制御を取引処理装置1にて行い、情報端末機器2に接続された機器の制御を情報端末機器2にて行う。
【0118】
図1に表す取引処理システムは、常設会計コーナーとサービスカウンタにおいては、周辺機器4が入出力機器3を介して通信ネットワーク8に接続され、簡易ドロワ5及び決済端末6が直接的に通信ネットワーク8に接続される例である。しかしながら、各機器をどのように通信ネットワーク8に接続するかは、適宜に変更が可能である。
【0119】
取引処理装置1は、例えば
図7におけるACT205などで通知されたレジ号機コードで識別されるレジ号機が「使用中」である場合には、エラーとして処理しても構わない。つまり取引処理装置1は例えば、通知されたレジ号機コードがフィールドFCAにセットされているデータレコードRECのフィールドFCBにセットされているデータが「使用中」を表すならば、エラー通知あるいは使用中である旨の通知を情報端末機器2へと返す。そしてこの場合に情報端末機器2は、指定されたレジ号機が使用中であることを表す画面をタッチパネル25にて表示させる。
【0120】
取引処理装置1あるいは情報端末機器2は、選択画面にて、使用中であるレジ号機を選択できないようにしてもよい。具体的には、例えば取引処理装置1又は情報端末機器2は、フィールドFCBにセットされているデータが「未使用」を表しているデータレコードRECを管理テーブルTABから抽出して、該当のデータレコードRECが関連付けられているレジ号機のみを選択肢として表した画面として選択画面を生成する。あるいは、例えば取引処理装置1又は情報端末機器2は、管理テーブルTABの全てのデータレコードRECがそれぞれ関連付けられたレジ号機の一覧を表すものの、フィールドFCBにセットされているデータが「使用中」を表しているデータレコードRECに関連付けられたレジ号機に関しては、グレーアウトにするなど選択できないようにした画面として選択画面を生成する。
【0121】
取引処理装置1は、情報端末機器2の状態を監視するか、あるいは情報端末機器2から取引処理装置1への通信ログ等を監視することにより、各レジ号機が正常に動作しているかを確認し、正常に動作しており、かつ「使用中」であるレジ号機を選択画面にて選択できないようにしても構わない。この際、取引処理装置1は、正常に動作していない「使用中」のレジ号機について異常が発生している旨を、そのレジ号機で利用されているのとは別の情報端末機器2にて表示させてもよい。
【0122】
取引処理装置1は、情報端末機器2で指定されたレジ号機が「使用中」である場合、指定されたレジ号機に先に関連付けられていた情報端末機器2(本段落の説明において、以下、第1情報端末機器と称する)に替えて、当該レジ号機の指定がなされた情報端末機器2(本段落の説明において、以下、第2情報端末機器と称する)を強制的に関連付けるようにしてもよい。この際、第1情報端末機器へ取引処理装置1から問い合わせを行い、否定されなかった場合に第2情報端末機器へ切り替えるようにしてもよい。具体的には、取引処理装置1から問い合わせを行った際に「使用中」の第1情報端末機器に許可を求めるポップアップ等の問い合わせ画面を表示させ、店員が問い合わせ画面を操作することにより、第1情報端末機器から許可の応答が検知された場合に第1情報端末機器から第2情報端末機器に切り替えるとしてもよい。また、否定されなかった場合には、例えば、第2情報端末機器からレジ号機の指定があった場合に、取引処理装置1から第1情報端末機器へ問い合わせを行ったものの、第1情報端末機器において障害等が発生して応答不可である場合や操作者が不在であった場合などにより、第1情報端末機器より一定期間経過しても応答がなかった場合を含む。なお、上述のように情報端末機器2が正常に動作しているかを確認可能なように構成する場合、正常に動作していないことが把握できている「使用中」のレジ号機については、第1情報端末機器へ問い合わせを行うことなく、第2情報端末機器に切り替えるとしてもよい。
【0123】
機能制限テーブルTAAに含まれるデータレコードREBに、例えば「店舗単位」「店舗グループ」「全店共通」といった適用範囲を表すデータをセットするフィールドを追加しても構わない。そして、同じ会計シーンについての機能設定を、それら複数の適用範囲に関して設定可能としても構わない。「店舗単位」は、例えば複数の店舗のそれぞれに関連付けて個別に機能設定を設定可能であり、かつ関連付けられた店舗のみが適用範囲であることを表す。「店舗グループ」は、複数の店舗をいくつかのグループに振り分けて定められた複数の店舗グループのそれぞれに関連付けて個別に機能設定を設定可能であり、かつ関連付けられた店舗グループに属する店舗のみが適用範囲であることを表す。「全店共通」は、1つのみの機能設定の適用範囲が全店舗であることを表す。なお、同じ会計シーンに対して複数の適用範囲が定められている場合には、予め定められた優先順位に従って適用範囲を選択することとする。例えば優先順位は、「店舗単位」>「店舗グループ単位」>「全店共通」のように定められる。そして、同じグループに属するA店及びB点の2店舗が存在し、当該のグループに関して機能設定がなされているとともに、A店に関しては店舗単位での機能設定がなされ、B店に関しては店舗単位での機能設定がなされていないとするならば、A店はA店に関する店舗単位での機能設定を適用し、B店はB店が属するグループに関する店舗グループでの機能設定を適用する。
【0124】
処理の対象とする取引は、商品の売買に限らず、別の様々な取引であって構わない。
【0125】
情報処理によりプロセッサ11が実現する各機能は、その一部又は全てをロジック回路などのようなプログラムに基づかない情報処理を実行するハードウェアにより実現することも可能である。また上記の各機能のそれぞれは、上記のロジック回路などのハードウェアにソフトウェア制御を組み合わせて実現することも可能である。
【0126】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0127】
1…取引処理装置、2…情報端末機器、3…入出力機器、4…周辺機器、5…簡易ドロワ、6…決済端末、7…管理端末、8…通信ネットワーク、11…プロセッサ、12…メイン記憶ユニット、13…補助記憶ユニット、14…通信ユニット、15…伝送路。