(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115996
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】遊技場用システム
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20240820BHJP
【FI】
A63F7/02 350Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021955
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】近藤 芳充
(72)【発明者】
【氏名】小島 紹広
(72)【発明者】
【氏名】浅田 稜平
(72)【発明者】
【氏名】内藤 慎之介
(72)【発明者】
【氏名】川邊 保
(72)【発明者】
【氏名】衣斐 大祐
(72)【発明者】
【氏名】桜井 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】一柳 和也
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088EA45
2C088EB68
(57)【要約】
【課題】所謂最大MYを示す遊技情報を提示する場合に、瞬発力のある出玉感を演出し易くなる遊技情報を遊技者へ提示する。
【解決手段】例えば1営業日におけるセーフとアウトとの差数の最小値と最大値との差分を示す最大MYを特定し、1営業日において特定した複数の特賞期間を対象としたTY情報の内で最大となる最高TYを特定し、最大MYと最高TYとを比較可能なMYTY情報を表示するようにした。最大MYを示す遊技情報を提示する場合に、瞬発力のある出玉感を演出し易くなる遊技情報を遊技者へ提示することが可能となる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機における入賞に応じて付与された入賞付与価値と、遊技に応じて消費された消費価値との差数、及び通常状態よりも遊技者にとって有利な特別状態に移行してから通常状態に戻るまでの特賞に対応する特賞期間を、遊技機から送信される遊技信号により特定する遊技情報特定手段と、
前記差数の最小値と最大値との差分を示す最大MYを、予め設定されるMY特定期間を対象として特定する最大MY特定手段と、
前記特賞期間、及び前記特賞期間における差数の内、少なくとも何れかを示すTY情報を特賞期間単位で特定可能であり、前記MY特定期間において特定された複数の特賞期間を対象としたTY情報の内、最大となる最高TYを特定する最高TY特定手段と、
前記最大MYと前記最高TYとを比較可能な比較情報を出力する出力手段と、
を備える遊技場用システム。
【請求項2】
遊技機が非稼動であるか否かを判定する非稼動判定手段を備え、
前記出力手段は、対応する遊技機が非稼動である場合に前記比較情報を出力する請求項1に記載した遊技場用システム。
【請求項3】
前記出力手段は、前記最大MYとMY基準情報との比較結果、及び前記最高TYとTY基準情報との比較結果の内、少なくとも何れか一方により出力条件が成立した場合に前記比較情報を出力する請求項1又は2に記載した遊技場用システム。
【請求項4】
前記出力手段は、前記差数の推移を示し、前記MY特定期間における最小値と最大値との双方が含まれるグラフを出力可能であり、当該グラフにおける前記最高TYに対応する箇所を識別することで前記比較情報を出力する請求項1又は2に記載した遊技場用システム。
【請求項5】
前記出力手段は、前記グラフにおいて、前記最大MYの対象となる差数の最小値を示す最小値情報と最大値を示す最大値情報とを出力する請求項4に記載した遊技場用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技場用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
遊技場では遊技者に対して付与された遊技価値、所謂出玉をアピールするために出玉情報を提示している。例えば特許文献1では、遊技価値の増加が最大となる最大増加区間において増加した遊技価値である所謂最大MYを、対応期間において発生した大当り数と共に遊技者へ提示することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最大MYによれば、例えば1営業日のような比較的長い期間において遊技者が獲得した出玉状況を把握可能となるが、その一方、例えば大当り発生から通常状態に戻るまでの所謂特賞期間のような比較的短い期間において増加した遊技価値である所謂TYも出玉の瞬発力を図るために重要な指標となる。
【0005】
この場合、特賞期間は比較的短い期間であるため、最大MYの対象となる例えば1営業日のような比較的長い期間において複数回発生する場合もある。そのため、最大MYを提示する場合に、1回の特賞期間におけるTY、即ち、瞬発力のある出玉が、どの程度、最大MYに貢献したのかを把握することが難しく、瞬発力のあるTYが1回発生すれば最大MY分の出玉を得られるのかといった、瞬発力ある出玉感を演出することが難しかった。
【0006】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、その目的は、所謂最大MYを示す遊技情報を提示する場合に、瞬発力のある出玉感を演出し易くなる遊技情報を遊技者へ提示することが可能な遊技場用システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載した発明は、遊技機における入賞に応じて付与された入賞付与価値(例えばセーフ)と、遊技に応じて消費された消費価値(例えばアウト)との差数(例えば差玉)、及び通常状態よりも遊技者にとって有利な特別状態に移行してから通常状態に戻るまでの特賞に対応する特賞期間を、遊技機から送信される遊技信号により特定する遊技情報特定手段(例えば情報表示装置3)と、前記差数の最小値と最大値との差分を示す最大MYを、予め設定されるMY特定期間(例えば1営業日)を対象として特定する最大MY特定手段(例えば情報表示装置3)と、前記特賞期間、及び前記特賞期間における差数の内、少なくとも何れかを示すTY情報を特賞期間単位で特定可能であり、前記MY特定期間において特定された複数の特賞期間を対象としたTY情報の内、最大となる最高TYを特定する最高TY特定手段(例えば情報表示装置3)と、前記最大MYと前記最高TYとを比較可能な比較情報(例えばMYTY情報)を出力する出力手段(例えば情報表示装置3)と、を備える。
【0008】
このような構成によれば、入賞付与価値と消費価値との差数の最小値と最大値との差分を示す最大MYと、MY特定期間において特定された複数の特賞期間を対象としたTY情報の内で最大となる最高TYとを比較可能な比較情報を出力するようにしたので、最大MYを示す遊技情報を提示する場合に、瞬発力のある出玉感を演出し易くなる遊技情報を遊技者へ提示することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態における遊技場用システムの全体構成を概略的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、遊技場用システムの全体構成を概略的に示している。遊技場内には多数の遊技機1が設置されており、各遊技機1に対応して遊技装置2及び情報表示装置3(遊技情報特定手段、最大MY特定手段、最高TY特定手段、出力手段、非稼動判定手段に相当する)が設置されている。遊技装置2は遊技機1間に配置されており、情報表示装置3は遊技機1の上方に配置されている。遊技機1、遊技装置2及び情報表示装置3は、2台ずつ中継装置4と接続されている。中継装置4は、LAN5を介して管理装置6と接続されている。管理装置6は、遊技機側(遊技機1、遊技装置2等)から送信される遊技信号を受信して遊技機毎の遊技データを管理すると共に、会員登録されている会員毎の個人データも管理する。
【0011】
遊技場内には、POS端末、島端計数機、精算機(何れも図示せず)等も設置されており、これらPOS端末、島端計数機、精算機等もLAN5を介して管理装置6と接続されている。尚、
図1では図示を省略したが、実際には例えば数百台の遊技機1が管理装置6の管理対象となっている。管理装置6は、遊技場内の例えば事務室等に設置されており、遊技場の管理者が操作するキーボード7、モニタ8及びプリンタ(図示せず)等が接続されている。管理装置6は、遊技場内に設置されている遊技機1、遊技装置2等の稼動状況を管理する。
【0012】
遊技機1は、盤面9に玉を発射する発射装置を構成する操作ハンドル10、上部受皿11、下部受皿12を有すると共に、盤面9に、液晶表示部13、普図入賞口14、第1始動口15、第2始動口16、大入賞口17等を有する。
【0013】
遊技機1は、以下に示す動作を行う。
(1)第1始動口15及び第2始動口16を備え、第1始動口15は入賞率が変動しない入賞口(所謂ヘソ入賞口)で、第2始動口16は入賞率が変動する入賞口(所謂電チュー)であり、第1始動口15又は第2始動口16への入賞(始動入賞)に応じて大当り抽選を行い、液晶表示部13において行う図柄変動にて抽選結果を報知し、その変動結果に応じて大当りとなる。
【0014】
(2)図柄変動中に始動入賞した場合には所定の保留上限値(例えば各4つ)まで図柄変動を累積的に保留し、図柄変動終了後に保留している図柄変動を開始する。尚、保留している図柄変動数(保留数)が上限値である状態で始動入賞した場合、図柄変動は保留され、両者の始動入賞に応じた図柄変動を保留している場合、第2始動口16に対応する保留を優先して消化する。
【0015】
(3)大当り抽選の当選確率(大当り確率)は1/310で、大当りがその後確変状態(確変)となる大当り(確変大当り)となる割合である確変率はヘソ入賞では40%であるのに対して電チューでは100%である。大当りが発生すると振分けられたラウンド(R)分だけ大入賞口17を開放する。ここで、ヘソ入賞では全てが4Rに振分けられる一方、電チュー入賞では10Rに60%、3Rに40%で振分けられる。尚、1Rの上限入賞数は10個、上限開放時間は30秒であり、上限入賞数又は上限開放時間の何れかが満たされた場合に1Rを終了する。
【0016】
(4)確変中は大当り確率が1/70に向上すると共に第2始動口16の入賞率が高くなる時短状態(時短)になる複合時短となり、大当り発生、100回の図柄変動が行われるまで継続する所謂STとなる。一方で、確変とならない通常大当りが発生した場合、120回の図柄変動が行われるまで継続する確変ではない時短(単独時短)となり、ST終了後は20回分の単独時短となり、総じて大当り後にSTと単独時短と何れが発生しても120回の図柄変動により大当りが発生しなければ通常状態に戻る。
【0017】
(5)第2始動口16は普図入賞口への入賞に応じて変動する普通図柄(普図)が当りとなった場合に入賞率の高い開放状態となる。この場合、普
図1回の変動時間は通常状態では30秒であり時短状態では3秒となる。又、開放時間は通常状態では0.3秒であり時短状態では5秒となる。即ち、時短状態では通常状態と比較して普図変動時間が短くなる一方、開放時間は長くなることで第2始動口16の入賞率が高くなる。
【0018】
(6)初期化条件成立(例えば大当り発生やラムクリア)後に所定数(1000回)の図柄変動を行うまで大当りとならなかった場合は所定数(1100回)の図柄変動を行うまで時短(天井時短、天時)となるが、確変にはならないので単独時短となる。ここで、天時を発生させるための図柄変動(天時S)は複合時短も含め確変中は加算対象にならないが、単独時短は確変ではないので加算対象となる。又、大当りが発生しないまま天時が終了した場合、それ以降に再度所定数(1000回)の図柄変動を行っても天時は発生しない。
【0019】
(7)大当り抽選同様に突然時短(突時)の抽選も行っており、当選した場合(当選確率=1/500)、所定数(1000回)の図柄変動を行うまで単独時短となる突時となる。即ち、一旦、突時が発生すれば突時が終了する図柄変動数を得れば天時Sが所定数に達するため、通常状態に戻ることなく天時へ遷移するが、突時の残り図柄変動数に関わらず天時Sが所定数に達した時点から天時が優先して発生する。このような遊技機以外に、確変中も加算対象となるような遊技機や、所謂ST機のような構成の単独時短が発生しない遊技機、或いは大当り確率が複数設けられ、設定により変更可能な遊技機といった例示した遊技機以外の遊技機を管理対象としても良い。
【0020】
遊技機1及び当該遊技機1に付設された周辺機器は、遊技者による玉の打込みや第1始動口15や第2始動口16への始動入賞等の遊技の進行に伴って、以下に示す遊技信号を出力する。
【0021】
アウト信号=消費玉を回収するアウトBOXから出力される消費価値(アウト)を特定可能な信号(稼動信号)である。消費(使用、打込、回収)玉10玉に対して1パルスが出力されるので、「アウト信号数×10」をアウトとして特定する。尚、遊技機1から出力される信号でも良い。
【0022】
セーフ信号=遊技機1から出力される入賞付与価値(セーフ)を特定可能な信号である。入賞に応じた払出10玉に対して1パルスが出力されるので、「セーフ信号数×10」をセーフとして特定する。尚、補給装置から出力される補給信号をセーフ信号としても良い。又、玉を実際に払出した際に出力される実セーフ信号と、入賞に応じて払出が予約された場合に出力される入賞セーフ信号とがあるが、入賞から出力までのタイムラグを極力省くため後者を採用することが望ましい。
【0023】
スタート信号=遊技機1から出力される始動入賞(S入賞)により変動(作動)する液晶表示部13(役物)におけるスタート処理(図柄変動、役物作動、単位遊技)、及びスタート(スタート処理数)を特定可能な信号である。図柄変動確定時に出力されるので、信号入力に応じてスタート処理を特定する。尚、始動入賞時に出力されるS入賞信号にて代用しても良い。
【0024】
大当り信号=遊技機1から出力される大当り期間を特定可能な信号である。大当り中にレベル出力される状態信号なので、大当り信号入力中を大当り中として特定する。
【0025】
特別状態信号=遊技機1から出力される特別状態(甘中)を特定可能な信号である。第2始動口16の入賞率が向上する特別状態中(時短中(複合時短含む))にレベル出力される状態信号なので、特別状態信号入力中を特別状態中として特定するが、確変であるかは特定不能。尚、大当り信号と特別状態信号の何れも入力していない期間を通常状態として特定する。
【0026】
確変信号=大当り確率が向上する確変中にレベル出力される状態信号である。出力する遊技機と出力しない遊技機とがある。
【0027】
遊技装置2は、遊技機1の遊技状態や遊技装置2の状態を示す状態表示灯18、紙幣が投入される紙幣投入口19、遊技者の顔を含む上半身を撮影するカメラを内蔵しているカメラ部20(
図1では保護カバーのみを図示)、遊技者からの操作入力を受付けると共に遊技の進行に伴って図柄変動回数(スタート)や大当り確率等の遊技データを表示するタッチパネル式の液晶表示部21、玉を払出すために操作される払出ボタン22、払出された玉が通過する払出ノズル23、会員カード61や一般カード62が挿入されるカード挿入口24、遊技機1の下部受皿12の下方に位置する着脱可能な計数受皿25等を有する。
【0028】
遊技装置2は、以下に示す動作を行う。
(1)貨幣を受付ける(貨幣受付処理)と、遊技機1と遊技装置2の双方に入金額が表示されると共に貸出1単位(例えば500円)分の貸出玉(対価付与価値)が遊技機1から払出され(対価付与処理、付与処理)、その対価付与処理に応じて入金額の表示が貸出玉の対価を除いた入金残高の表示となる。貨幣は複数回分の対価付与処理の対応分を受付可能である(例えば10000円まで)。
【0029】
(2)入金残高がある状態で遊技機1の貸出ボタンを押下(貸出操作、付与操作)すると、貸出1単位分の貸出玉が遊技機1から払出され、その対価分を入金残高から引落とす。又、所謂各台計数機能も備えており、遊技者が獲得した獲得玉を計数し、その計数した獲得玉を対価として再度玉を払戻すことも可能で、その払戻し分の対価を除いた玉数を持玉として特定可能である。
【0030】
(3)入金残高や持玉が残存する状態で遊技機1の返却ボタンを押下(発行操作を受付)すると、入金残高や持玉を特定可能な一般カードを発行する。尚、入金残高や持玉の一部を発行対象とする分割発行は説明の簡略化のため不可としたが、可能としても良い。
【0031】
(4)中継装置4とのシリアル通信(売上信号の受信)により貨幣受付処理や対価付与処理、入金残高や貸出玉数、入金額や貸出玉数や貸出玉の対価となる売上額、計数玉、持玉、払戻玉、及び一般カードの受付や発行処理を特定可能であるが、これらはパルス信号(例えば入金1000円毎に1パルス、売上100円毎に1パルス等)でも特定可能である。
【0032】
図2に示すように、情報表示装置3は、呼出表示時やボーナス中等にイルミネーション演出を行うイルミネーション部26、各種遊技情報等を表示する表示領域27、表示領域の表示内容を変更する等の操作を受付ける各種操作釦28を備える。表示領域27は、液晶表示により各表示部29~35に区分されており、通常状態時では
図2に例示しているように各表示部29~35を区分して情報表示を行う。表示領域27は、第1表示部29にて営業日単位の大当り数、第2表示部30にて営業日単位の初当り(通常状態にて発生した大当り)数、第3表示部31にて大当り数の内訳(ラウンドの大小別)、第4表示部32にて初期化条件成立後(営業開始や特別状態の終了等により成立)からのスタート(図柄変動数)、第5表示部33にて大当り単位のスタート履歴グラフ、第6表示部34にて遊技者の持玉(獲得遊技媒体数)、第7表示部35にて遊技機1の機種名を表示している。各種操作釦28により表示内容が切替わり、例えば第1表示部29において所謂差玉(差数=セーフ-アウト)の推移を示すスランプグラフのような他の情報も表示する。
【0033】
図3は、第1表示部29において表示内容を切替えた場合におけるMYTY情報(比較情報に相当する)の表示例を示す。第1表示部29は、MYTY情報を表示する際には、表示領域を、スランプグラフ表示部29a、最大MY幅表示部29b、最大MY表示部29cに区分して各種遊技情報を表示する。
【0034】
スランプグラフ表示部29aには、差数の最下点(最小値)と最上点(最大値)との双方が含まれるスランプグラフを表示すると共に、スランプグラフの起点(差数が「0」)を示す起点ラインL1、差数の最下点を示す差数最下点ラインL2(最小値情報に相当する)、差数の最上点を示す差数最上点ラインL3(最大値情報に相当する)を表示する。この場合、例えばスランプグラフの一部を赤色で表示し、起点ラインL1を黄色で表示し、差数最下点ラインL2及び差数最上点ラインL3を橙色で表示する等して識別表示する。スランプグラフにあって後述する最高TYに対応した箇所を、例えば緑色にて最高TY識別部として他の箇所と識別表示すると共に、上記した各ラインL1~L3とも識別表示する。最高TY識別部を識別表示するための色は例示した緑色に限らず、青色や紫色等の例示した色以外であっても良い。
図3では、スランプグラフにあって最高TY識別部(例えば緑色の部分)を破線G2にて示すと共に他の箇所(例えば赤色の部分)を実線G1にて示している。
【0035】
最大MY幅表示部29bには、差数最下点ラインL2から差数最上点ラインL3までの差分に相当するアイコンIを表示し、差数最下点ラインL2から差数最上点ラインL3までの差分をアピールして表示する。即ち、差数最下点ラインL2から差数最上点ラインL3までの差分に応じてアイコンIを上下方向に可変表示し、差分が多いほどアイコンIを上下方向に長く表示し、最大MYの数値が大きいことをアピールして表示する。
【0036】
特賞について説明する。特賞とは通常状態において発生した大当り(所謂初当り)から通常状態に戻るまでの状態であり、当該特賞と判定される期間が特賞期間となる。ここで、天井時短や突然時短のように大当りを介さずに通常状態から特別状態が発生する場合もあるので、通常状態から特別状態が発生した場合に初当り同様に特賞の開始と判定しても良い。
【0037】
TYは、特賞期間中の差数を示す。特賞が上記した通りであることから、スランプグラフを表示する対象期間(例えば1営業日、MY特定期間に相当する)中に複数の特賞が発生し得る。したがって、対象期間内で発生した特賞を対象として特賞単位でTYを特定し、その内で最大値を示すTYを最高TYとして特定する。最高TYとして特定されるにはTY下限値(例えば「3000」、TY基準情報に相当する)に達していることが条件(出力条件)となっており、上記した条件を満たしたTYが最高TYとなり、上記した通り、スランプグラフ上の対応する箇所を最高TY識別部として識別表示すると共に、最高TYの数値(本日最高獲得 3200玉)をスランプグラフの上方の最高TY表示部29dにて表示する。最高TY表示部29dは、スランプグラフの上方に限らず、スランプグラフの表示を妨げない位置に表示すれば良い。
【0038】
差数最下点ラインL2と差数最上点ラインL3との差分が最大MYとなり(例えば差数最下点が「-1300」、差数最上点が「4120」であれば、最大MYは「5420」となる)、上記した通り、スランプグラフにおいて最高TY識別部として識別表示すると共に、最大MY幅表示部29bにおいても当該幅分をアピールして表示する。又、最大MYの数値(本日最高玉数 5420玉)を最大MY表示部29cにて表示する。
【0039】
最大MYについて説明する。最大MYは上記した通り差数の最下点と最上点との差分を示すが、遊技者が獲得した持点の最大を示すため、最下点以降の最上点が対象となる。例えば差数が最下点に達した時点では最上点はグラフ起点となるが、最下点より以前は最大の対象とならず、最下点以降が最上点の対象となる。尚、頻度は低いものの最上点に達した後、更に最下点を更新する場合も想定されるが、この場合、新たなMYとして特定され、最高TY同様により最大の値を示すMYが最大MYとして特定される。この場合、差数最下点ラインL2や差数最上点ラインL3も特定された最大MYに対応すべく更新される。
【0040】
最大MYにもMY下限値(例えば「5000」、MY基準情報に相当する)が設けられ、当該MY下限値に達することが最大MYとして特定する条件(出力条件)となる。上記した条件を満たさない場合には
図3のような表示を行わず、
図2に示すような表示やスランプグラフだけといった他の表示となる(仮に最高TYだけが条件を満たしても非表示となる)。又、
図3は次の遊技者に出玉をアピールするために非稼動の特定(例えばアウト信号が所定期間検知できない場合)も条件となっている。
【0041】
又、表示する場合のレイヤの優先順は、優先度が高い順に、差数最下点ラインL2及び差数最上点ラインL3、最高TY識別部、スランプグラフ、最高TY表示部29d、その他背景や起点ラインL1等となり、最高TY表示部29dとスランプグラフとが重なる場合にはスランプグラフを優先して表示する。更に、最高TY識別部と最高TY表示部29dについては、遊技者に強調するために点滅のような特別な識別表示を行う。
【0042】
以上に説明した実施形態によれば、次のような作用効果を得ることができる。遊技場用システムにおいて、例えば1営業日におけるセーフとアウトとの差数の最小値と最大値との差分を示す最大MYを特定し、1営業日において特定した複数の特賞期間を対象としたTY情報の内で最大となる最高TYを特定し、最大MYと最高TYとを比較可能なMYTY情報を表示するようにしたので、最大MYを示す遊技情報を提示する場合に、瞬発力のある出玉感を演出し易くなる遊技情報を遊技者へ提示することが可能となる。
【0043】
対応する遊技機1が非稼動である場合にMYTY情報を表示するようにしたので、次の遊技者に対して出玉感を提示し易くなる。
【0044】
最大MYがMY下限値に達することや最高TYがTY下限値に達することを条件としてMYTY情報を表示するようにしたので、出玉感を演出し難く、遊技者に対してアピールが難しいような出玉情報の報知を排除することが可能となる。
【0045】
MYTY情報をスランプグラフにより出力し、スランプグラフにおける最高TYに対応する箇所を識別表示することでMYTY情報を表示するようにしたので、スランプグラフにより最高TYの発生時期や最大MYに示す割合を把握し易くなる。
【0046】
スランプグラフにおいて、最大MYの対象となる差玉の最小値(差数の最下点)を示す差数最下点ラインL2と、差玉の最大値(差数の最上点)を示す差数最上点ラインL3とを表示するようにしたので、スランプグラフにおける最大MYの対応箇所を把握し易くなり、最大MYとスランプグラフとを対応付けし易くなる。
【0047】
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形又は拡張したり、各変形例を上記した実施形態と組み合わせたり各変形例を組み合わせたりしてどのように組み合わせても良いし、適宜、採用しない構成を設けても良い。
【0048】
TY情報として特賞期間中の差数を例示したが、特賞中は差数が増える傾向にあるので特賞期間を特定するだけでも最大MYに対する貢献度を把握可能である。したがって、特賞期間中の差数に代えて、或いは追加して特賞期間自体をTY情報として取扱っても良い。この場合、TY基準情報として例えば30分といった時間情報を対象とすれば良い。
スランプグラフにより最高TYや最大MYを示すことを例示したが、
図3における最高TY表示部29dや最大MY表示部29cのように数値だけで報知しても良いし、数値を報知せずスランプグラフにより最高TYや最大MYを示すだけで報知しても良い。
【0049】
対象となる遊技機1としてパチンコ遊技機を例示したが、スロットマシンを対象としても良い。この場合、特賞期間は、ARTのような特別状態が継続し、通常状態に戻るまでの期間としても良いし、例えばボーナス終了後の所定ゲーム数内に次のボーナスが発生するといった所謂連荘が継続した期間とする等しても良い。
【0050】
対応する遊技機1が非稼動中であることを条件としてMYTY情報を報知することを例示したが、対応する遊技機1が稼動中に報知しても良いし、何らかの切替操作を条件として報知しても良い。
TY下限値やMY下限値を設けて、当該下限値に達していることを最高TYや最大MYの特定条件としたが、このような下限値に関わらず特定や報知をしても良い。つまり、対象期間における最高のTY又は最大のMYであることのみを条件として最高TYや最大MYを特定しても良い。更に、最高TYと最大MYとの何れか一方のみを対象として下限値を設けても良い。又、最高TYと最大MYとの双方が下限値による条件を満たしている場合にMYTY情報を報知することを例示したが、何れか一方が条件を満たしている場合に報知しても良い。
【0051】
下限値に達していることを条件として最高TYや最大MYを特定する構成を例示したが、最高TYや最大MYを報知しなければ、特定自体は行うが報知しないような構成を採用しても良い。
MY特定期間である所定期間として1営業日を例示したが、例えば3営業日や1週間といった1営業日以外の期間を所定期間としても良いし、例えば午前中の期間や10時間といった期間を採用すれば1営業日単位で所定期間を特定する必要性もない。
【0052】
非稼動の特定方法としてアウト信号が所定期間検知できない場合を例示したが、他にスタート信号のような他の信号を対象としても良いし、例えば遊技装置2に撮像手段を設けて画像判定により遊技者が存在しないことで非稼動を特定しても良く、遊技されていないことを特定するための非稼動条件が成立すれば周知のどのような構成を採用しても良い。
【0053】
遊技機1の上方に配置される情報表示装置3にて表示する構成を例示したが、遊技装置2のように遊技機1間に設けられる情報表示装置3、或いは島端に設けられる集合情報表示装置に適用することもできる。
関連する設定情報は、予め設定されていれば遊技場の管理者が任意に設定しても良いし、管理装置6の製造メーカにて設定しても良いし、外部(例えばチェーン店本部や遊技機メーカ等)の管理サーバからダウンロードして設定しても良い。
【0054】
例示した全ての遊技情報は、入力した信号により直接的に特定しても良いし、演算式を利用して間接的に特定しても良い。又、機種としては、メーカ単位やスペック単位等、遊技機の種類を示せばどのような区分としても良い。
数値、桁数、項目等は例示であり、どのような数値を採用しても良い。又、演算式については単なる例示であり、例示した演算式と同様の値を示す、或いは同様の意義を持つ演算値を演算するのであれば、どのような演算式を採用しても良い。
【0055】
以下と未満についてはどちらを採用しても良く、「達していない」等の表現は以下或いは未満となった場合の何れにも対応する表現となる。以上と超過についても同様で、「達している」等の表現は双方に対応する表現となる。又、液晶表示を例示したが、有機EL等の他の表示方法を採用しても良い。
【0056】
対象となる遊技機1として玉やメダルといった遊技媒体を払出す従来の払出式の遊技機を例示したが、持点や遊技点のように遊技媒体を払出さず得点を付与する形式の所謂スマート遊技機を対象としても良い。この場合、払出対象となる遊技媒体や付与対象となるポイントの両者を包含すべく、適宜遊技価値との表現を採用している。
【0057】
情報表示装置3が行う処理の一部を管理装置6、遊技装置2、或いは中継装置4等にて行っても良いし、情報表示装置3のみで全てを構成しても良い。
【符号の説明】
【0058】
図面中、1は遊技機、3は情報表示装置(遊技情報特定手段、最大MY特定手段、最高TY特定手段、出力手段、非稼動判定手段)である。