IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社コロナの特許一覧

<>
  • 特開-空調装置 図1
  • 特開-空調装置 図2
  • 特開-空調装置 図3
  • 特開-空調装置 図4
  • 特開-空調装置 図5
  • 特開-空調装置 図6
  • 特開-空調装置 図7
  • 特開-空調装置 図8
  • 特開-空調装置 図9
  • 特開-空調装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011600
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】空調装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/20 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
F24F1/0007 401D
F24F1/0007 401E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113738
(22)【出願日】2022-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(74)【代理人】
【識別番号】100192533
【弁理士】
【氏名又は名称】奈良 如紘
(72)【発明者】
【氏名】山崎 真吾
(72)【発明者】
【氏名】藤田 秀穂
【テーマコード(参考)】
3L051
【Fターム(参考)】
3L051BJ10
(57)【要約】
【課題】ファンの軸方向に移動するブラシを備えつつケースの大型化を抑制できる空調装置を提供すること。
【解決手段】払拭機構50は、ファン21とガイド面40との間に設けられファン21の軸線に沿って移動可能な移動体60と、移動体60に設けられておりファン21を清掃可能なブラシ76と、を備えている。ケースのなかのファン収納部33は、移動体60が移動する際に、ブラシ76がスライドするスライド部58を有している。スライド部58は、移動体60の移動に伴いブラシ76がファン21から離れるまでスイングするようにガイド可能である。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からの空気を取り入れ可能な空気取入口及び取り入れられた空気を外部へ吹出し可能な空気吹出口が開けられているケースと、回転することにより送風するファンと、前記ファンに付着した塵埃を払拭可能な払拭機構と、を備える空調装置において、
前記ケースは、前記ファンを収納しているファン収納部を有し、
前記ファン収納部は、前記ファンの外周の一部を囲っており前記ファンの送風する空気を前記空気吹出口に向かってガイドするガイド面を有し、
前記払拭機構は、前記ファンと前記ガイド面との間に設けられ前記ファンの軸線に沿って移動可能な移動体と、前記移動体を移動させる駆動源となるモータと、前記移動体に設けられておりファンを清掃可能なブラシと、を備え、
前記ブラシは、前記ファンの軸線に沿った方向を中心としてスイング可能に設けられており、
前記ファン収納部は、前記移動体が移動する際に、前記ブラシがスライドするスライド部を有しており、
前記スライド部は、前記移動体の移動に伴い前記ブラシが前記ファンから離れるまでスイングするようにガイド可能である空調装置。
【請求項2】
前記ブラシは、塵埃を払拭する毛が植え付けられた基部を備え、
前記ブラシの前記基部は、前記スライド部に対してスライド可能な請求項1に記載の空調装置。
【請求項3】
前記ブラシの前記基部の側面が前記移動体に接触可能な請求項2に記載の空調装置。
【請求項4】
前記ブラシが前記ファンへ近づく方向へスイングするように前記ブラシに力を与えるばねを備えている、請求項3に記載の空調装置。
【請求項5】
前記モータを覆っているモータケースを備え、
前記スライド部は、前記モータケースと一体化している請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケースの内部の塵埃を払拭する払拭機構を備えた空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等の室内の温度を調節するのに広く空調装置が用いられている。空調装置に関する従来技術として特許文献1に開示される技術がある。
【0003】
特許文献1に開示された空調装置は、ケースの内部の塵埃を払拭する払拭機構を備えている。払拭機構は、ケースに収納されており回転することにより室内に送風するファンと、このファンに接触可能に設けられファンを清掃するためのブラシと、を有する。
【0004】
この空調装置によれば、ブラシをファンに接触させた状態でファンを回転させることにより、ファンに付着した塵埃を除去することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-143961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
先行技術のようにブラシを用いてファンを清掃する払拭機構として、例えば、ファンの幅よりも小さい幅のブラシを採用し、ファンの軸線方向に沿ってブラシを移動させることが考えられる。
【0007】
ただし、ブラシをファンから離すためには、ファンの端面よりも外側へブラシを移動させる必要があり、ファンを収納する空間の幅を広く設定するとケースが大型化してしまう。
【0008】
本発明は、ファンの軸方向に移動するブラシを備えつつケースの大型化を抑制できる空調装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1に、外部からの空気を取り入れ可能な空気取入口及び取り入れられた空気を外部へ吹出し可能な空気吹出口が開けられているケースと、回転することにより送風するファンと、前記ファンに付着した塵埃を払拭可能な払拭機構と、を備える空調装置において、
前記ケースは、前記ファンを収納しているファン収納部を有し、
前記ファン収納部は、前記ファンの外周の一部を囲っており前記ファンの送風する空気を前記空気吹出口に向かってガイドするガイド面を有し、
前記払拭機構は、前記ファンと前記ガイド面との間に設けられ前記ファンの軸線に沿って移動可能な移動体と、前記移動体を移動させる駆動源となるモータと、前記移動体に設けられておりファンを清掃可能なブラシと、を備え、
前記ブラシは、前記ファンの軸線に沿った方向を中心としてスイング可能に設けられており、
前記ファン収納部は、前記移動体が移動する際に、前記ブラシがスライドするスライド部を有しており、
前記スライド部は、前記移動体の移動に伴い前記ブラシが前記ファンから離れるまでスイングするようにガイド可能である空調装置が提供される。
【0010】
第2に、好ましくは、第1に記載の空調装置であって、前記ブラシは、塵埃を払拭する毛が植え付けられた基部を備え、
前記ブラシの前記基部は、前記スライド部に対してスライド可能である。
【0011】
第3に、好ましくは、第1又は第2に記載の空調装置であって、前記ブラシの前記基部の側面が前記移動体に接触可能である。
【0012】
第4に、好ましくは、第1~第3のいずれかに記載の空調装置であって、前記ブラシが前記ファンへ近づく方向へスイングするように前記ブラシに力を与えるばねを備えている、請求項3に記載の空調装置。
【0013】
第5に、好ましくは、第1~第4のいずれかに記載の空調装置であって、前記モータを覆っているモータケースを備え、前記スライド部は、前記モータケースと一体化している。
【発明の効果】
【0014】
ケースは、移動体が移動する際にブラシがスライド可能なスライド部を有している。スライド部は、移動体の移動に伴いブラシがファンから離れるまでスイングするようにガイド可能である。即ち、スライド部によりファンからブラシを離すことができるため、ファン収納部を大型化せずに、ファンからブラシを離すことができる。ファンの軸方向に移動するブラシを備えつつケースの大型化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施例1による空調装置の模式図である。
図2図1に示された空調装置の室内機の斜視図である。
図3図2に示された室内機のケースと、ケースに収納されているファンを説明する図である。
図4】払拭機構の駆動機構を説明する図である。
図5】ファンの軸線方向に沿った方向から見た払拭機構の断面図である。
図6図6Aは、ブラシ及びシートが取り付けられた移動体の斜視図である。図6Bは、移動体に対するブラシ及びシートの着脱を説明する図である。
図7】払拭機構の動作を説明する図である。
図8図8Aは、格納位置にある移動体を説明する図である。図8Bは、格納位置にある移動体の断面図である。
図9図9Aは、実施例2による空調装置の駆動力伝達部(ウォーム)を説明する図である。図9Bは、駆動力伝達部(ウォーム)の斜視図である。
図10図10Aは、モータケース及びモータを取り外した状態の格納位置にある移動体の斜視図である。図10Bは、駆動力伝達部に対する移動体の着脱を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図中Frは前、Rrは後、Leは左、Riは右、Upは上、Dnは下を示している。
【0017】
<実施例1>
図1には、実施例1による空調装置10が示されている。空調装置10は、屋内Inを冷却する冷房機能と、屋内Inを暖房する暖房機能と、を備えている。
【0018】
空調装置10は、屋外Ouに設けられた室外機11及び屋内Inに設けられた室内機20を備えている。室外機11と、室内機20とは、冷媒を循環させることができるよう互いに接続されている。以下、特に説明のない限り、冷媒の循環する方向は、冷房運転時を基準とする。
【0019】
室外機11は、冷房運転時及び暖房運転時における冷媒の循環する方向を切り替える四路切替弁12と、この四路切替弁12を通過した冷媒が流され冷媒を圧縮する圧縮機13と、この圧縮機13において圧縮され高温高圧となった冷媒が流れる室外熱交換器14と、この室外熱交換器14に向かって送風を行う室外ファン15と、室外熱交換器14を通過した冷媒を減圧する膨張弁16と、を備える。
【0020】
室内機20は、屋内Inにおいて壁Waに掛けて用いられる。室内機20のケース30は、支持板を介して壁Waに固定されている。左右方向に延びるケース30には、屋内Inの空気をケース30内に取り込み屋内Inへ送風を行うファン21と、このファン21が取り込んだ空気と熱交換を行う熱交換器27と、が収納されている。
【0021】
冷房運転時において、圧縮機13で高温高圧とされた冷媒は、室外熱交換器14において外気と熱交換を行い、熱を放出する。このとき、室外ファン15が作動することによって、外気を強制的に室外熱交換器14の外周に流し、熱交換を促す。室外熱交換器14を通過し熱を放出した冷媒は、膨張弁25において減圧され、温度が低下する。温度が低下した冷媒は、室内機20に送られる。
【0022】
室内機20のケース30には、ファン21が作動することにより空気が導入される。導入された空気は、熱交換器27の外周を通過し、屋内Inに送風される。熱交換器27には、室外機11において冷却された冷媒が供給されている。熱交換器27の外周を通過する空気は、冷媒と熱交換を行い、冷却される。屋内Inには、冷却された空気が送風される。
【0023】
暖房運転時には、四路切替弁12が冷媒の流路を切り替え、冷房運転時とは逆方向に冷媒を循環させる。
【0024】
図1及び図2を参照する。ケース30の上面には、外部(屋内In)からの空気を取り入れ可能な空気取入口31が開けられている。ケース30の前下部には、外部(屋内In)へ空気を吹出し可能な空気吹出口32が開けられている。空気吹出口32には、空気吹出口32を開閉可能であると共に、空気の吹き出す方向を上下方向に調整可能な上下ルーバー28が設けられている。
【0025】
図3を参照する。上下ルーバー28(図2参照)の後方には、空気の吹き出す方向を左右方向に調整可能な左右ルーバー29が設けられている。
【0026】
[ケースの収納部、ガイド面、側面]
ケース30は、ファン21を収納しているファン収納部33を有している。ファン収納部33は、ファン21の外周の一部を囲っておりファン21の送風する空気を空気吹出口32へ向かってガイドするガイド面40と、ファン21の両側の端面22,23の隣に位置している2つの側面34,35と、を有している。
【0027】
ガイド面40は、ファン21の軸線Cが延びる方向に沿ってケース30の長手方向に亘って形成されている。ケース30のガイド面40と、2つの側面34,35と、ファン21とにより画定され、送風された空気が流れることが可能な空間を送風路36(図5参照)とする。
【0028】
[払拭機構]
図4及び図5を参照する。ケース30は、ケース30の内部(ファン21及びガイド面40)に付着した塵埃を払拭可能な払拭機構50を備えている。
【0029】
[駆動部]
払拭機構50の駆動部51は、後述する移動体60の駆動源であり通電することにより作動するモータ52と、モータ52の駆動力を伝達可能であり複数のギヤによって構成されるギヤ部53と、このモータ52に接続され移動体にモータ52の駆動力を伝達する駆動力伝達部54と、を有する。
【0030】
[駆動力伝達部]
駆動力伝達部54は、一部に平歯車が形成されておりギヤ部53により駆動して回転する駆動プーリ55と、駆動プーリ55と反対側(ファン21の軸方向を基準)に設けられた従動プーリ(図示なし)と、駆動プーリ55及び従動プーリに環状に架け渡された歯付きロープ56(シンクロメッシュロープ)と、を備えている。
【0031】
[伝達部収納部]
図4及び図5を参照する。ガイド面40には、ファン21に向かって開くように凹んでおり駆動力伝達部54が収納されている伝達部収納部41が形成されている。伝達部収納部41は、ファン21の軸線C方向に沿ってガイド面40の右端(後述する格納側)から左端(格納側の反対側)に亘り設けられている。送風路36の空気の流れ方向を基準として、ガイド面40のうち、伝達部収納部41よりも上流側の面を上流側ガイド面43とし、伝達部収納部41よりも下流側の面を下流側ガイド面44とする。
【0032】
伝達部収納部41はカバー42によって覆われている。カバー42の表面42aは、上流側ガイド面43と下流側ガイド面44とを滑らかに接続している(ガイド面40に対して突出したり、凹んでいたりせずに連なっている)。即ち、カバー42の表面42aは、上流側ガイド面43及び下流側ガイド面44と共にガイド面40の一部を構成している。カバー42の裏面42bは、伝達部収納部41へ向かって突出しカバー42を補強するリブ42cを有している。
【0033】
上流側ガイド面43とカバー42の表面42aとの間には、隙間Gが設定されている。隙間Gは、略同一の幅でファン21の軸線C方向に亘って形成されている。
【0034】
[移動体]
図5図6A及び図6Bを参照する。払拭機構50は、送風路36(ファン21とガイド面40との間)をファン21の軸線Cに沿って移動可能な移動体60を備えている。移動体60は、歯付きロープ56に接続され駆動部51が作動することによりファン21の軸線C方向に従動する従動部61と、従動部61から隙間Gを貫通して送風路36まで延びている一対の腕部62,62と、一対の腕部62,62に支持されガイド面40に沿って形成された支持部70と、が一体となり構成されている。
【0035】
換言すると、移動体60のうち、従動部61は伝達部収納部41に収納された部位であり、支持部70は、送風路36に位置している部位であり、一対の腕部62,62は、従動部61と支持部70とを接続する部位である。なお、一対の腕部62,62を廃して、支持部70と従動部61とをガイド面40を挟んで磁石によって連結してもよい。
【0036】
リブ42cが第2ガイドローラに接触可能な位置に形成されている場合には、カバー42を補強するためのリブ42cによって、第2ガイドローラをガイドすることが可能となる。
【0037】
[従動部]
従動部61は、伝達部収納部41の上面又は下面に対して転がり可能な第1ガイドローラ64と、リブ42c又は伝達部収納部41に対して転がり可能な第2ガイドローラ63と、を備えている。
【0038】
[支持部]
図6Bを参照する。支持部70は、送風路36の空気の流れ方向が長手方向となる矩形の枠状を呈している。支持部70は、一対の腕部62,62に支持されている一対の縦枠部71,71と、一対の縦枠部71,71の上端同士を接続している上枠部73と、一対の縦枠部71,71の下端同士を接続している下枠部74と、が一体となり構成されている。
【0039】
[払拭部]
支持部70に対して払拭部80が取り付けられている。払拭部80は、支持部70の枠を塞ぐことが可能な矩形の板状の本体部81を備えている。本体部81は、上枠部73に対して差し込み可能な差込部82と、下枠部74に係止可能な係止部83と、を有している。一対の縦枠部71,71は、本体部81を支持可能な支持縁72,72を有している。
【0040】
[シート]
本体部81は、ガイド面40に接触してガイド面40に付着した塵埃を払拭可能なシート84を備えている。シート84は、不織布やスポンジ等によって構成することができる。
【0041】
[ブラシ]
本体部81は、ファン21の外周縁24(図5参照)に接触して外周縁24に付着した塵埃を払拭可能なブラシ76を備えている。ブラシ76は、本体部81に対してスイング可能に設けられている。スイングの中心線はファン21の軸線Cに沿った方向である。ブラシ76は、ファン21の塵埃を払拭する樹脂製の毛77が植え付けられた基部78を備えている。
【0042】
[ばね]
ブラシ76は、引張りばね79(ばね)を備えている。引張りばね79の一端はブラシ76の基部78に固定されており、引張りばね79の他端は本体部81に固定されている。引張りばね79は、ブラシ76がファン21へ近づく方向へスイングするようにブラシ76に力を与えている。
【0043】
[払拭機構の動作]
図4及び図7を参照する。空調装置10は、例えば、運転停止信号を受けた後や操作者の操作による清掃指示信号を受けた際に払拭機構50による清掃を開始する。
【0044】
モータ52が作動すると、ギヤ部53及び駆動プーリ55が回転する。駆動プーリ55が回転すると、歯付きロープ56に接続された移動体60が左右方向に移動する。
【0045】
ガイド面40にはシート84が接触し、ファン21にはブラシ76が接触している。この状態で移動体60が隙間Gに沿って移動することにより、ガイド面40に付着した塵埃はシート84により払拭され、ファン21に付着した塵埃もブラシ76によって払拭される。このとき、ファン21を回転(図5において反時計回り方向)させておくことによりファン21の外周縁24の全体を清掃することができる。なお、清掃中のブラシ76の基部78の底面(図示なし)は本体部81に接触している。
【0046】
移動体60はシート84とブラシ76の両方を有している。このため、ブラシ76によってファン21からガイド面40に塵埃を落とし、シート84によって払拭することができる。
【0047】
払拭機構50の空気流れ下流側に左右ルーバー29(図3参照)が設置されているので、ファン21とガイド面40との間の送風路36に手を入れて清掃することが困難であることから、ガイド面40に沿って移動可能な払拭機構50を設けることで、簡易にガイド面40に付着した塵埃を除去できる。
【0048】
[移動体の格納位置]
図3及び図8Aを参照する。払拭機構50による清掃が終了すると、移動体60が格納される。払拭機構50の停止中に、移動体60が格納される位置を格納位置とする。移動体60の格納位置は、ファン21の軸線C方向を基準として送風路36の端部36aに設定されている。
【0049】
以下、ファン21の軸線C方向を基準として、移動体60が格納されている側を格納側(右側)とする。なお、格納位置は、格納側の反対側(左側)の端部36b(図3参照)であってもよい。
【0050】
[モータの位置]
モータ52(図4参照)は、送風路36の格納側の端部36aに位置しているが、送風路36の反対側の端部36bに位置していても良い。換言すると、移動体60の格納位置と、モータ52の位置とは互いに反対側であってもよい。
【0051】
[基板収納部の位置]
ケース30は、モータ52を制御可能な制御基板(図示なし)を収納している基板収納部37を有している。基板収納部37は、ファン収納部33に対して格納側(右側)に形成されている。
【0052】
[モータケース]
図8Aを参照する。モータ52(図4参照)と、ギヤ部53と、駆動プーリ55とは、モータケース57により覆われている。モータケース57は、ガイド面40に沿うように形成されておりモータ52の上方を覆っている上壁部57aと、上壁部57aの左側の縁からガイド面40へ向かって延びておりモータ52の左側方を覆っている側壁部57bとが、が一体となり構成されている。上壁部57aの右側の縁は、ファン収納部33の格納側の側面34に接触している。側面34は、モータ52の右側方を覆っているともいえる。
【0053】
[移動体の格納方法]
モータケース57の上壁部57aの縁には、移動体60が格納位置(右側)へ向かって移動する際に、ブラシ76の基部78がスライドするスライド部58が形成されている。スライド部58は、ファン21に接触しているブラシ76がファン21から離れるまで、ブラシ76がスイングするようにガイド可能である。
【0054】
スライド部58は、例えば、ファン21の軸線C方向に対して斜めに直線状に延びているが、曲線状であってもよい。なお、スライド部58は、例えば、ケース収納部33に支持されておりモータケース57とは別体の部材の一部であってもよい。
【0055】
[格納位置におけるブラシの位置]
図8Bを参照する。移動体60が格納位置にあるとき、ブラシ76の基部78の側面78aが移動体60(支持部70の縦枠部71,71)に接触している。即ち、ブラシ76は完全に倒れている。
【0056】
[実施例1の効果]
以下に説明する実施例1の効果は、以下に説明する実施例2においても発揮される。
【0057】
図3及び図8Aを参照する。移動体60の格納位置は、ファン21の軸線C方向を基準として送風路36の端部36aに設定されている。そのため、移動体60は送風路36を流れる空気の抵抗となりにくい。
【0058】
加えて、ケース30は、移動体60が格納位置(右側)へ向かって移動する際にブラシ76の基部78がスライド可能なスライド部58を有している。スライド部58は、移動体60の移動に伴いブラシ76がファン21から離れるまでスイングするようにガイド可能である。即ち、ファン21の軸方向へブラシ76を単に移動させるのではなく、スライド部58によりファン21からブラシ76を離すことができるため、ファン収納部33をファン21の軸方向へ大型化せずに、ファン21からブラシ76を離すことができる。本実施例では、移動体60が格納位置にあるとき、ブラシ76がファン21の端面22(図3参照)から突出していないようにスライド部58の位置を設定しているが、ブラシ76の一部が端面22から突出するようにスライド部58の位置を格納側へ寄せても良い(ブラシ76全体が端面22から突出しない限り、実施例の効果が奏しているといえる)。
【0059】
なお、移動体60の移動に伴いブラシ76がファン21から離れる方向へスイングすると、ファン21の外周縁24に対するブラシ76の侵入量が少なくなり、ファン21とブラシ76の接触音を小さくできる。
【0060】
加えて、スライド部58は、モータケース57の上壁部57aの縁に形成されている。即ち、スライド部58はモータケース57と一体化しており、部品点数を減らせる。
【0061】
加えて、ブラシ76の基部78はスライド部58に対してスライド可能である。ブラシ76の毛77がスライド部58をスライドするように設定してもよいが、ブラシ76の基部78がスライドするほうがブラシ76のスイングが滑らかとなる。
【0062】
加えて、移動体60が格納位置にあるとき、ブラシ76の基部78の側面78aが移動体60(支持部70の縦枠部)に接触している。ブラシ76は、移動体60に対して完全に倒れているため、送風路36を流れる空気の抵抗となりにくい。さらに、ブラシ76は、完全に倒れていることによりファン21に接触しておらず、騒音を防止できる。
【0063】
加えて、ブラシ76は、ブラシ76がファン21へ近づく方向へスイングするようにブラシ76に力を与える引張りばね79を備えている。格納位置にあるブラシ76の自重により、ブラシ76をファン21に近づく方向へスイングするように設定してもよいが、引張りばね79を用いることによリ、ブラシ76をより確実にスイングさせることができる。
【0064】
図4を参照する。モータ52は、送風路36の格納側の端部36aに位置している。格納位置にある移動体60と、モータ52とは互いに近くに位置している。ケース30の格納側のみで払拭機構50のメンテナンスが可能となり、メンテナンスしやすい。
【0065】
図3を参照する。基板収納部37は、ファン収納部33に対して格納側(右側)に形成されている。即ち、モータ52のすぐ近くに制御基板が位置している。ケース30の格納側のみで払拭機構50及び制御基板のメンテナンスが可能となり、メンテナンスしやすい。モータ52と制御基板との配線も短くできる。
【0066】
図6Bを参照する。本体部81はブラシ76及びシート84を備えている。この本体部81は、移動体60の支持部70に対して着脱可能である。これにより、シート84及びブラシ76は、それぞれ移動体60に対して着脱可能である。なお、実施例1及び以下に説明する実施例2では、本体部81は、ブラシ76及びシート84を備えているが、本体部81は、ブラシ76のみを備えていてもよい。
【0067】
<実施例2>
図9A及び図9Bには、実施例2による空調装置10Aが示されている。実施例1の空調装置10と共通する構成については、実施例1と同一の符号を付すると共に説明は省略する。
【0068】
実施例2では、実施例1の駆動力伝達部54(歯付きロープ56、駆動プーリ55)(図4参照)に代えて、伝達部収納部41Aに収納されており、ギヤ部53(図4参照)により駆動可能なウォーム59が採用されている。移動体60Aの従動部61Aは、ウォーム59に噛み合うラックギア65を含む。
【0069】
モータ52(図6参照)が作動すると、ケース30の幅方向に亘って設けられているウォーム59(駆動力伝達部)が回転する。従動部61Aは、ウォーム59に噛み合うラックギア65を有しているため、ウォーム59が回転することにより、移動体60Aは左右方向に移動する。
【0070】
図9Aを参照する。移動体60のラックギア65は、ウォーム59の上方に位置した状態でウォーム59と噛み合っている。
【0071】
図10A及び図10Bを参照する。伝達部収納部41は、格納側の端部を除いて、カバー42によって覆われている。即ち、伝達部収納部41の格納側の端部には開口45が形成されている。この開口45の幅は、移動体60の従動部61の幅よりも広く設定されている。
【0072】
上記の構成により、格納位置にある移動体60を前方にスライドさせると、ウォーム59とラックギア65の?み合いが外れて、伝達部収納部41がカバー42に覆われた状態で、格納位置にある移動体60をウォーム59から取り外すことができる。同様にして、ウォーム59に対して移動体60を取付可能である。したがって、伝達部収納部41がカバー42に覆われた状態で、格納位置にある移動体60は、ウォーム59(駆動力伝達部54)に対して着脱可能である。
【0073】
図6Bに戻る。実施例1の空調装置10においても歯付きロープ56(駆動力伝達部)に対する格納位置にある移動体60の着脱は可能である。支持部70から払拭部80が外されると、支持部70の枠のなかからねじ91の頭部が露出する。ねじ91の頭部は前方を向いている。即ち、ねじ91の軸部(図示なし)は前後方向(ケース30の奥行き方向)へ延びている。従動部61と歯付きロープ56の両端56a,56aとは、前後方向に互いに重ね合わされてねじ91により固定されている。ねじ91を外すと、歯付きロープ56の両端56a,56aと移動体60との固定が解かれる。その後に、移動体60を前方へ移動させると、歯付きロープ56から移動体60を外すことができる。
【0074】
図5を参照する。シート84の下流側端部84aは、ブラシ76の毛77とファン21の外周縁24との接触する部位の鉛直下方に位置している。そのため、シート84の下流側端部84aは、ファン21に付着していた塵埃を確実に払拭することができる。
【0075】
なお、本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は、実施例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の空調装置は、家庭用のエアコン装置に好適である。
【符号の説明】
【0077】
10…空調装置
21…ファン
22…ファンの格納側の端面
23…ファンの反対側の端面
30…ケース
31…空気取り入れ口
32…空気吹出口
33…ファン収納部
40…ガイド面
50…払拭機構
52…モータ
57…モータケース
58…スライド部
60…移動体
76…ブラシ
77…ブラシの毛
78…ブラシの基部、78a…基部の側面
C…ファンの軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10