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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011602
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】インライン型ストレーナ
(51)【国際特許分類】
   B01D 35/02 20060101AFI20240118BHJP
   B01D 29/11 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
B01D35/02 A
B01D29/10 510C
B01D29/10 530A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113745
(22)【出願日】2022-07-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】513187645
【氏名又は名称】スリーエム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】奥野 秀郎
【テーマコード(参考)】
4D116
【Fターム(参考)】
4D116AA01
4D116BB01
4D116BC29
4D116DD06
4D116FF12B
4D116GG02
4D116QA05D
4D116QB03
4D116QB17
4D116QB19
4D116QB22
4D116QB44
4D116RR01
4D116RR21
4D116RR22
4D116UU01
4D116UU07
(57)【要約】
【課題】スクリーンの一部の部分に固形異物等が集中的に付着して堆積することをより確実に防ぐことができるインライン型ストレーナを提供する。
【解決手段】本発明のインライン型ストレーナでは、ハウジング9は、中空筒状に形成されて上下方向に延びる筒壁24と、筒壁24の上端を塞ぐ天壁25とを含む。濾過室8は、上方側に形成されて流入口6に連通する一次流路室39と、下方側に形成されて流出口7に連通する二次流路室40とに区分され、両室39・40の間には通孔38が開設される。スクリーン10は、上下端に開口を有する、上下方向に長い中空円筒状に形成された濾過筒33と、濾過筒33の下端開口を塞ぐ底蓋34とを備え、濾過筒33の上端に、液体の導入を許す導入口36が形成される。スクリーン10は、導入口36が通孔38に臨む姿勢で濾過室8内に配され、流出口7が濾過筒33の下半部に対峙する筒壁24に開設される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が流入する流入口(6)と、濾過後の液体が流出する流出口(7)と、流入口(6)から流出口(7)に至る濾過室(8)とを有するハウジング(9)と、
濾過室(8)内に設置されて、流入口(6)から流入した液体に対して濾過を行うスクリーン(10)と、
を備えるインライン型ストレーナにおいて、
ハウジング(9)は、中空筒状に形成されて上下方向に延びる筒壁(24)と、筒壁(24)の上端を塞ぐ天壁(25)とを含み、
濾過室(8)は、上方側に形成されて流入口(6)に連通する一次流路室(39)と、下方側に形成されて流出口(7)に連通する二次流路室(40)とに区分され、両室(39・40)の間には通孔(38)が開設されており、
スクリーン(10)は、上下端に開口を有する、上下方向に長い中空円筒状に形成された濾過筒(33)と、濾過筒(33)の下端開口を塞ぐ底蓋(34)とを備え、濾過筒(33)の上端に、液体の導入を許す導入口(36)が形成されており、
スクリーン(10)は、導入口(36)が通孔(38)に臨む姿勢で濾過室(8)内に配されており、
流出口(7)が濾過筒(33)の下半部に対峙する筒壁(24)に開設されていることを特徴とするインライン型ストレーナ。
【請求項2】
筒壁(24)の伸び方向を筒軸心(HC)と規定し、濾過筒(33)の伸び方向を筒軸心(SC)と規定したとき、両軸心(HC・SC)は一致しており、
二次流路室(40)を区画する筒壁(24)の内周面に、螺旋状に下り傾斜する旋回突起(43)が設けられている請求項1に記載のインライン型ストレーナ。
【請求項3】
流出口(7)から筒壁(24)の外周面に沿って回転しながら上り傾斜するように形成された接続管(44)を備え、
ハウジング(9)を上側から見たとき、接続管(44)の上り傾斜の回転方向と、螺旋状に形成される旋回突起(43)の下り傾斜の回転方向とが、同一の回転方向となるように構成されている請求項2に記載のインライン型ストレーナ。
【請求項4】
一次流路室(39)に連通する流入管(11)を備え、
流入管(11)の筒軸心(IC)は、筒壁(24)の筒軸心(HC)と直交しており、
ハウジング(9)を上側から見たとき、流入管(11)の筒軸心(IC)が、筒壁(24)の筒軸心(HC)から外れた位置を通るように構成されている請求項2に記載のインライン型ストレーナ。
【請求項5】
一次流路室(39)を区画する筒壁(24)に流入口(6)が設けられており、
流入口(6)と向かい合う筒壁(24)と、この筒壁(24)に連続する天壁(25)との入隅部に、一次流路室(39)内の液体を二次流路室(40)に向かって案内する案内壁(42)が設けられている請求項1に記載のインライン型ストレーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を通す配管ラインに組み込まれて、液体中に含まれる固形異物等を濾し取るインライン型ストレーナに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に係るストレーナでは、流出口近傍のスクリーンを構成する濾過筒の部分に固形異物等(濾過残留物)が集中的に付着して堆積することを防ぐことを主たる目的とするが、同様の目的を有するストレーナは特許文献1に開示されている。特許文献1のストレーナでは、液体が流入する流入口と液体が流出する流出口とが同軸上に設けられており、これら流入口と流出口の間に濾過室(収容室)を有するハウジング(ストレーナ本体)が設けられている。濾過室の内部に設置されるスクリーン(ストレーナ)は、円筒形状に形成された濾過網と、濾過網の下端に配された円板状の底板とを備え、上方に開口を有する有底円筒状に形成されている。濾過室内に装着されたとき、スクリーンは、その上半部が流出口に臨んでいる。スクリーンの内部には、流体制御用の螺旋板が設けられており、スクリーンの内部に流入された流体は螺旋板に沿って旋回されながら下方に向かって流れるようになっており、これにより、濾過網の上方だけでなく濾過網の全体で濾過を行うことができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実願昭60-91902号(実開昭62-1714号)のマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、特許文献1のストレーナでは、スクリーンの内部に設けられた螺旋板により、ストレーナの内部に流入された流体を旋回させながら下方に向かって流すことで、濾過網の上方だけでなく濾過網の全体で濾過を行うようにしている。しかし、特許文献1の構成では、スクリーンの内部に螺旋板が設けられているため、当該螺旋板に固形異物等が付着しやすい。このように螺旋板に固形異物等が付着すると、スクリーンの内部における流体のスムーズな流れが当該螺旋板で阻害され、却ってスクリーンの上半部に固形異物等が集中的に付着して堆積するおそれがある。
【0005】
本発明は、スクリーンの一部の部分に固形異物等が集中的に付着して堆積することをより確実に防ぐことができるインライン型ストレーナを提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るインライン型ストレーナは、液体が流入する流入口6と、濾過後の液体が流出する流出口7と、流入口6から流出口7に至る濾過室8とを有するハウジング9と、濾過室8内に設置されて、流入口6から流入した液体に対して濾過を行うスクリーン10とを備える。ハウジング9は、中空筒状に形成されて上下方向に延びる筒壁24と、筒壁24の上端を塞ぐ天壁25とを含む。濾過室8は、上方側に形成されて流入口6に連通する一次流路室39と、下方側に形成されて流出口7に連通する二次流路室40とに区分され、両室39・40の間には通孔38が開設されている。スクリーン10は、上下端に開口を有する、上下方向に長い中空円筒状に形成された濾過筒33と、濾過筒33の下端開口を塞ぐ底蓋34とを備え、濾過筒33の上端に、液体の導入を許す導入口36が形成されている。そして、スクリーン10が、導入口36が通孔38に臨む姿勢で濾過室8内に配されており、流出口7が濾過筒33の下半部に対峙する筒壁24に開設されていることを特徴とする。
【0007】
筒壁24の伸び方向を筒軸心HCと規定し、濾過筒33の伸び方向を筒軸心SCと規定したとき、両軸心HC・SCは一致している。二次流路室40を区画する筒壁24の内周面に、螺旋状に下り傾斜する旋回突起43が設けられている。
【0008】
流出口7から筒壁24の外周面に沿って回転しながら上り傾斜するように形成された接続管44を備える。ハウジング9を上側から見たとき、接続管44の上り傾斜の回転方向と、螺旋状に形成される旋回突起43の下り傾斜の回転方向とが、同一の回転方向となるように構成されている。
【0009】
一次流路室39に連通する流入管11を備えており、流入管11の筒軸心ICは、筒壁24の筒軸心HCと直交しており、ハウジング9を上側から見たとき、流入管11の筒軸心ICが、筒壁24の筒軸心HCから外れた位置を通るように構成されている。
【0010】
一次流路室39を区画する筒壁24に流入口6が設けられており、流入口6と向かい合う筒壁24と、この筒壁24に連続する天壁25との入隅部に、一次流路室39内の液体を二次流路室40に向かって案内する案内壁42が設けられている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るインライン型ストレーナにおいては、スクリーン10が導入口36が濾過室8の一次流路室39と二次流路室40との間に形成された通孔38に臨む姿勢で配され、流出口7が濾過筒33の下半部に対峙する筒壁24に開設されている。これによれば、流出口7を介して一次流路室39内に送り込まれた液体は、導入口36からスクリーン10の濾過筒33内に流れ込み、下方側に向かいながら濾過筒33を通過して二次流路室40に至ったのち、流出口7から送出される。より詳しくは、スクリーン10内に流れ込んだ液体は、一部を濾過筒33を通過・流出させながら下方に向かい、最終的には流出口7に対峙する濾過筒33の下半部から二次流路室40内に送り出される。以上のように、本発明によれば、スクリーン10の濾過筒33の内部に、上方から下方に向かう液体の流れを形成することができるので、濾過筒33の一部の部分でのみ固形異物等が濾し取られることを抑えて、濾過筒33の上下方向の全体で固形異物等を濾し取ることができる。したがって、本発明によれば、スクリーン10の一部の部分にのみ固形異物等が集中的に付着して、当該部分に固形異物等が集中的に堆積することをより確実に防ぐことができる。
【0012】
濾過室8に設置されたスクリーン10の筒軸心SCと、筒壁24の筒軸心HCとが一致していると、二次流路室40のうち濾過後の液体が流れるスクリーン10の外側周囲において、向かい合う濾過筒33の外面と筒壁24の内面との水平方向の間隔距離をスクリーン10のまわりで一定にすることができる。これにより、スクリーン10の外側周囲における二次流路室40の流路抵抗を周方向で略均一にすることができるので、二次流路室40において液体をよりスムーズに流動させることができる。加えて、二次流路室40を区画する筒壁24の内周面に、底壁26に向かって螺旋状に下り傾斜する旋回突起43が設けられていると、旋回突起43で濾過筒33を通過した液体に筒壁24の筒軸心HCのまわりに旋回する流れを生じさせて、当該液体を流出口7の側へとスムーズに流動させることができる。このように、スクリーン10の外側周囲における流路抵抗を略均一化するとともに、濾過筒33を通過した液体が流出口7の側へとスムーズに流動するようにしていると、スクリーン10の外側周囲の二次流路室40内において、液体の流れが乱れることを抑えることができるので、インライン型ストレーナ1の圧力損失を低減することができる。なお、液体は流路の大小で流速及び圧力が変動するので、濾過筒33の外面と筒壁24の内面との水平方向の離間距離がスクリーン10のまわりで大小に異なる場合には、流路抵抗が部分的に変化するため、スクリーン10の外側周囲における液体の流れが乱れる。
【0013】
流出口7から筒壁24の外周面に沿って回転しながら上り傾斜するように形成された接続管44を備え、ハウジング9を上側から見たとき、接続管44の上り傾斜の回転方向と、螺旋状に形成される旋回突起43の下り傾斜の回転方向とが、同一の回転方向となるように構成する。これによれば、旋回突起43によりスクリーン10の外側周囲で旋回する液体の回転方向と、流出口7から接続管44に向かう液体の回転方向とを一致させることができるので、流出口7から接続管44へ液体をスムーズに流動させることができる。したがって、接続管44において液体の流れが乱れることによる圧力損失を抑えることができる。
【0014】
一次流路室39に連通する流入管11を備えており、流入管11の筒軸心ICが、筒壁24の筒軸心HCと直交するように配されており、ハウジング9を上側から見たとき、流入管11の筒軸心ICが、筒壁24の筒軸心HCから外れた位置を通るように配されるように構成する。これによれば、筒壁24の筒軸心HCと直交する断面が円状に形成される一次流路室39(上方視で円状に形成される一次流路室39(図6参照))に対して接線方向から液体を流入させることができるので、一次流路室39における液体の流れを筒壁24の筒軸心HCのまわりに旋回する流れとすることができる。加えて、この流れが維持させたまま導入口36からスクリーン10の内側に液体を流入させることができる。以上より、スクリーン10の内側に旋回する液体の流れを形成することができるので、スクリーン10の内部に下方に向かう液体の流れを形成したことと相俟って、液体を濾過筒33の上下方向及び周方向の全体を通過させて、濾過筒33の全体で固形異物等を濾し取ることが可能となる。
【0015】
一次流路室39を区画する筒壁24に流入口6が設けられており、流入口6と向かい合う側の筒壁24と、この筒壁24に連続する天壁25との入隅部に、一次流路室39の液体を二次流路室40側に向かって案内する案内壁42が設けられていると、液体を一次流路室39から二次流路室40へとスムーズに流動させることができる。また、入隅部では液体が滞留しやすい傾向にあり、固形異物等が凝集して塊となることがあるが、入隅部に案内壁42を設けることで、入隅部における液体の滞留を防ぐことができるので、固形異物等が凝集した塊が形成されることを防止できる。なお、固形異物等が凝集した塊がスクリーン10に至ると、塊が濾過筒33に接触することによって異音が発生し、また濾過筒33の破損にも繋がる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係るインライン型ストレーナの要部の縦断正面図である。
図2】同インライン型ストレーナの正面図である。
図3】同インライン型ストレーナの平面図である。
図4】ハウジングの縦断正面図である。
図5図4におけるA-A線断面図である。
図6図4におけるB-B線断面図である。
図7】内部構造の分解正面図である。
図8】筒壁と天壁との連結部分を示す縦断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施形態) 本発明に係るインライン型ストレーナの実施形態を図1ないし図8に示す。本実施形態における前後、左右、上下とは、図1図3及び図5に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。図2に示すように、インライン型ストレーナ(以下単に「ストレーナ」と記す。)1は、左右方向に伸びる上流側の第1移送管2と下流側の第2移送管3との間に配されており、これら移送管2・3を含んで構成される配管ラインを流れる液体に対して濾過を行って、液体に含まれる固形異物等を除去する。第1移送管2と第2移送管3とは、その筒軸心が同軸上に配されている。
【0018】
図1に示すようにストレーナ1は、液体が流入する流入口6と、液体が流出する流出口7とを備え、内部に流入口6及び流出口7に連通する濾過室8が形成されるハウジング9と、濾過室8内に設置されて、流入口6から流入した液体に対して濾過を行うスクリーン10と、ハウジング9の左側に設けられて流入口6に連通する流入管11と、ハウジング9の右側に設けられて流出口7に連通する流出管12などを備える。
【0019】
図2に示すように、流入管11と流出管12とは左右水平方向に伸びている。流入管11の筒軸心ICと流出管12の筒軸心OCとは同軸上に配される。流入管11の左端と第1移送管2の右端のそれぞれにはフランジ15・16が設けられており、両者11・2のフランジ15・16を突き合わせたうえで、ボルト及びナットからなる締結具17で両フランジ15・16を締結固定することにより、流入管11と第1移送管2は連結される。同様に、流出管12の右端と第2移送管3の左端のそれぞれにはフランジ18・19が設けられており、両者12・3のフランジ18・19を突き合わせたうえで、ボルト及びナットからなる締結具20で両フランジ18・19を締結固定することにより、流出管12と第2移送管3は連結される。図2において符号21は、フランジ15・16間、及びフランジ18・19間の水密を図るパッキンである。
【0020】
図1及び図4においてハウジング9は、中空円筒状に形成されて、筒軸心HCが上下垂直方向に配される筒壁24と、筒壁24の上端の開口を塞ぐ天壁25と、筒壁24の下端の開口を塞ぐ底壁26とを備え、これら壁24・25・26で囲まれる空間が濾過室8とされている。筒壁24の筒軸心HCは上下垂直方向に指向しているので、先の流入管11及び流出管12の筒軸心IC・OCは、筒壁24の筒軸心HCと直交している。天壁25は筒壁24の上端開口を開閉する蓋体として構成されており、筒壁24に対して着脱できるようになっている。筒壁24の上端開口は濾過室8の内部にアクセスするための出入口27とされており、筒壁24に天壁25を固定することで出入口27を閉塞することができる。また筒壁24から天壁25を分離することで出入口27を開放することができる。
【0021】
図2及び図3に示すように、出入口27の蓋体として構成される天壁25は、その四隅が筒壁24の上端に外向きに張り出し形成された略四角枠状のフランジ壁28に六角ボルトからなる締結ボルト29で締結されることで筒壁24に固定される。ユーザーは、スクリーン10の着脱或いは濾過室8内部の点検を行うときには、締結ボルト29を緩め操作し、筒壁24から天壁25を分離して出入口27を開放することで、ハウジング9の上側から濾過室8内にアクセスすることができる。スクリーン10の着脱或いは濾過室8内部の点検の終了後は、ユーザーは出入口27に天壁25を被せ付け、締結ボルト29を締め込み操作することで濾過室8を密封することができる。図1において、符号30は筒壁24の上端縁と天壁25との間の水密を図るパッキンである。
【0022】
図1に示すようにスクリーン10は、中空円筒状に形成されて、筒軸心SCが上下垂直方向に配される濾過筒33と、濾過筒33の下端開口を塞ぐ底蓋34と、濾過筒33の上端に設けられる固定リング35とを備え、上端に流入口6から濾過室8内に流入した液体を濾過筒33の筒内へと導入する導入口36を有する有底筒状に形成されている。濾過筒33は多数の微小孔を有するステンレスメッシュを素材とするものであり、全体が下窄まりのテーパー筒状に形成されている。底蓋34は平丸皿状に形成されており、濾過筒33の下端縁に対して外嵌状に一体的に固定されている。固定リング35は濾過室8に対するスクリーン10の固定に用いられるものであり、円環状に形成されて濾過筒33の上端縁に対して外嵌状に一体的に固定されている。濾過筒33は、その上下端に固定された固定リング35と底蓋34とにより形状が保持されている。
【0023】
濾過室8は、濾過前の液体が流れる上側の一次流路室39と、スクリーン10が配されて、濾過筒33の通過前後の液体が流れる下側の二次流路室40とに分割されている。筒壁24の上下方向の中央部よりやや上側の内周面には、円環状の固定座41が内向きに張り出し形成されており、固定座41よりも上側が一次流路室39とされ、固定座41よりも下側が二次流路室40とされる。一次流路室39を区画する筒壁24は、上下方向の外周寸法が均一なストレート筒状に形成され、二次流路室40を区画する筒壁24は、下窄まりのテーパー筒状に形成されている。これら一次流路室39と二次流路室40との間には、液体の流通を許す通孔38が形成されており、本実施形態では固定座41の内方が通孔38とされている。
【0024】
スクリーン10は、通孔38を介して二次流路室40内に落とし込まれることで、濾過室8内に設置される。このとき、固定リング35が固定座41で受け止められることで、スクリーン10の下方への移動限界が規制される。かかる設置状態において、スクリーン10の導入口36は、通孔38に臨んでいる。また、スクリーン10の筒軸心SCは、筒壁24の筒軸心HCと一致している。このように、スクリーン10の筒軸心SCと筒壁24の筒軸心HCとが一致するように両者10・24が配されていると、二次流路室40のうち濾過後の液体が流れるスクリーン10の外側周囲において、向かい合う濾過筒33の外面と筒壁24の内面との水平方向の離間距離をスクリーン10のまわりで一定にすることができる。
【0025】
図6に示すように、濾過室8への液体の流入を担う流入口6は、一次流路室39に臨む筒壁24に開設されている。具体的には、流入口6は、一次流路室39を区画する筒壁24の左後周面において、上下方向の中央に設けられている。左右方向に伸びる流入管11は流入口6に連通しており、ハウジング9を上側から見たとき、流入口6の中心を通る流入管11の筒軸心ICは、筒壁24の筒軸心HCから後側に外れた位置を通るように配されている。
【0026】
このように、流入管11の筒軸心ICが、筒壁24の筒軸心HCから外れた位置を通っていると、筒壁24の筒軸心HCと直交する断面が円状に形成される一次流路室39に対して接線方向から液体を流入させることができるので(図6参照)、筒壁24の内面に沿わせるように液体を案内して、一次流路室39内で筒壁24の筒軸心HCのまわりの旋回流を生じさせることができる。このように一次流路室39で旋回流とされた液体は、その流れ(旋回流)を維持したまま導入口36から濾過筒33内に流れ込む。このため、スクリーン10内においても液体に旋回する流れを付与することができる。本実施形態では、筒壁24の左後側に配された流入管11の筒軸心ICが、筒壁24の筒軸心HCの後側を通るように構成されているので(図6参照)、ハウジング9を上側から見たとき、一次流路室39内では時計まわり方向(右まわり方向)に旋回する流れが生じる。
【0027】
図8に示すように、流入口6と向かい合う側の筒壁24と、この筒壁24に連続する天壁25との入隅部には、一次流路室39の液体を二次流路室40側(下側)に向かって案内する案内壁42が設けられている。案内壁42は、流入口6に向かい合う筒壁24側に連続する天壁25の下面に設けられており、本実施形態では、天壁25の右半部の下面に形成されている。案内壁42は半円筒状に下向きに突出形成されており、その内周面は四分円弧状に形成される。一次流路室39に流入した液体は、案内壁42の内周面で下向きに偏向案内され、二次流路室40側へ向かう流勢が増強される。
【0028】
図4及び図5に示すように、二次流路室40を区画する筒壁24の内周面には、底壁26に向かって螺旋状に下り傾斜する旋回突起43が突出形成されている。旋回突起43は、その断面が筒壁24の筒軸心HCに向かって突出する偏平な裾拡がり状の突起であり、ハウジング9を上側から見たとき、時計まわり方向(右まわり方向)に進むにつれて、底壁26側に下り傾斜する螺旋状に形成されている。このように筒壁24に旋回突起43が形成されていると、上下方向に隣り合う旋回突起43・43どうしの間に形成される凹面により液体を案内することで、一次流路室39内で発生された旋回流の流勢を維持し、或いは増強することができる。
【0029】
濾過室8から液体が流出する流出口7は、濾過筒33の下半部と対峙する筒壁24に開設されている。具体的には、流出口7は、二次流路室40を区画する筒壁24の左後周面において、当該筒壁24の下端から二次流路室40の上下方向の中央よりもやや上側に至って開設されている。また、流出口7は、濾過室8に設置されたスクリーン10の上下方向の中央部から下側に臨んでいる。
【0030】
図3及び図4において符号44は、一端が流出口7に連通し、他端が流出管12に連通する接続管44を示す。接続管44は、筒壁24の後半部側の外周面に膨出形成されており、流出口7から流出管12に向かって筒壁24の外周面に沿って時計まわり方向(右まわり方向)に回転しつつ上り傾斜するように形成されている。ハウジング9を上側から見たとき、接続管44の上り傾斜の回転方向は、螺旋状に形成される旋回突起43の下り傾斜の回転方向と同一の回転方向に設定されている。接続管44の流出管12側の端部は、流出管12の基端部の下面に接続されている。
【0031】
濾過室8に設置されたスクリーン10は、スクリーン保持構造で着脱可能に保持されている。図1においてスクリーン保持構造は、固定リング35を固定座41と協同して上下方向に挟持する押えプレート47と、押えプレート47を固定座41に向かって付勢するねじりコイルばねからなる押圧ばね48と、スクリーン10の底蓋34の下面に設けられる第1ボス49と、筒壁24の底壁26の上面に設けられて、第1ボス49と内外に嵌合する第2ボス50などで構成される。第1ボス49は円筒状に形成され、第2ボス50は、第1ボス49が内嵌する円筒状に形成されており、両ボス49・50が嵌合することにより、筒壁24に対する底蓋34の前後及び左右方向の位置ずれが規制される。
【0032】
図7に示すように押えプレート47は、押圧ばね48を受け止める内リング51と、固定リング35に接触する外リング52と、放射状に設けられて内外のリング51・52を連結する複数の架橋片53とを備えている。内外のリング51・52は同心状のリング体からなり、押えプレート47には、両リング51・52と隣り合う架橋片53・53とで囲まれる貫通状の通液孔54が複数形成されている。一次流路室39の液体は、通液孔54を通って導入口36から濾過筒33の内部に至る。
【0033】
押圧ばね48は、同ばね48の上側に配される、中空円筒状の押え軸55とともに、天壁25の下面と内リング51の上面との間に設置される。図1に示すように、押え軸55はその上端が天壁25で受け止められており、押圧ばね48の付勢力は、押えプレート47を介して固定リング35に作用される。固定リング35は、前記付勢力により固定座41と外リング52とで上下方向に挟持され、筒壁24に対するスクリーン10の上下方向の位置ずれが規制される。以上より、スクリーン10は、内外に嵌合する第1及び第2のボス49・50で前後及び左右方向の位置が保持され、固定リング35を挟持する固定座41及び外リング52で上下方向の位置が保持された状態で、濾過室8の二次流路室40内に設置される。
【0034】
スクリーン10の内部には、濾過筒33の内面に付着した濾過残留物を掻き落とす清掃ブラシ58が設けられている。図7に示すように、清掃ブラシ58は、スクリーン10の筒軸心SCと一致する方向に伸びるブラシ軸59と、ブラシ軸59の外周面に設けられ、濾過筒33の内面に接触する3列(複数)の毛束列60とを備える。各毛束列60は、上下方向に並ぶ複数の束状の単位毛束61で構成されている。また、各毛束列60は、清掃ブラシ58を上側から見たとき、単位毛束61が下側に行くにつれてその先端がブラシ軸59のまわりにずれる、螺旋状に配されている。本実施形態では、各毛束列60は、その単位毛束61の先端が、下側に行くにつれて時計まわり方向(右まわり方向)に回転する螺旋状とされている。
【0035】
一次流路室39における液体の旋回方向と、旋回突起43により生じるスクリーン10の外側周囲における液体の旋回方向は、同一方向であることが好ましい。これは、液体の旋回方向が異なると、流れに乱れが生じて、ストレーナ1の圧力損失が増大することに拠る。なお、本実施形態のように、螺旋状に配される単位毛束61の回転方向が、旋回突起43による液体の旋回方向と同じ方向に設定されていると、各毛束列60に沿って液体を流すことができるので、二次流路室40内において液体の流勢が損なわれることが効果的に防ぐことができる。
【0036】
清掃ブラシ58は、ハウジング9の上側外部に配されたハンドル62で操作することができる。ハンドル62は、ブラシ軸59の上端から同軸上に設けられ、ハウジング9の外部まで上向きに伸びるハンドル軸63と、ハンドル軸63の上端部に設けられる操作ハンドル64などで構成される。ハンドル軸63はブラシ軸59よりも小径の軸体からなり、図1に示すように、内リング51の内孔、押圧ばね48の内側、押え軸55の筒内、及び天壁25に上下貫通状に形成される軸孔65を介してハウジング9の外部に連出される。
【0037】
ハンドル軸63は、天壁25に対して回転可能且つ上下動不能に支持されている。詳しくは、天壁25部分のハンドル軸63には環状のカラー溝66が凹み形成されており、このカラー溝66に半円環状の一対のカラー67がハンドル軸63を挟むように嵌め込まれることにより、ハンドル軸63は天壁25に対して回転は可能に、また上下動は不能に支持される。一対のカラー67は、天壁25の上面に固定ボルト68で固定されるカラー押え69で固定される。操作ハンドル64は、ハンドル軸63を間にして反対方向に伸びる一対の棒体を備え、ハンドル軸63に対して着脱することができる。図8において、符号70は、操作ハンドル64をハンドル軸63に固定するための固定ねじであり、符号71は、ハンドル軸63と軸孔65との隙間をシールするシールリングである。
【0038】
ストレーナ1は、清掃ブラシ58で掻き落とされた濾過残留物を液体とともにハウジング9の外部に排出するためのドレインライン73を備えている。ドレインライン73は、上下に接続される上排出流路74と下排出流路75とで構成されて、スクリーン10の内部からハウジング9の下側外部に至るように形成されている。ドレインライン73の終端、つまり下排出流路75の下流端には、同ライン73を開閉するドレインバルブ76が設けられている。
【0039】
上排出流路74は、底蓋34の上面から第1ボス49の下面に至る上下貫通状の孔からなる。また、下排出流路75は、第2ボス50の上面から底壁26の下面に突出形成されたバルブボス77の下面に至る上下貫通状の孔からなる。バルブボス77部分の下排出流路75の内面は雌ねじ孔とされている。ドレインライン73を構成する上排出流路74と下排出流路75とは、第1ボス49と第2ボス50とが嵌合することにより接続される。本実施形態では、底蓋34に上排出流路74が形成されているので、濾過筒33の下端開口は、底蓋34、第1および第2のボス49・50、底壁26、及びドレインバルブ76が協働して塞ぐように構成されている。なお、ドレインライン73を設けないストレーナ1においては、底蓋34で濾過筒33の下端開口を塞ぐことができる。
【0040】
ドレインバルブ76は、バルブボス77に対して下側からねじ込み装着されており、レバー78を手動で回動することで内部の弁体を操作することができる。図2に示すようにレバー78が水平姿勢にあるとき、ドレインバルブ76の弁体は同バルブ76内の流路を閉じる閉姿勢にある。当該水平姿勢からレバー78を下方に向けて回動させるにつれ、ドレインバルブ76の弁体を同バルブ76内の流路を開く開姿勢側へ操作することができる。レバー78が水平姿勢から90度回動された垂直姿勢とされたとき、ドレインバルブ76の弁体は全開状態とされる。
【0041】
液体はストレーナ1内を以下のように流れ、液体中の固形異物等が除去される。配管ラインを流れ流入管11を介して流入口6から濾過室8の一次流路室39に流れ込んだ液体は、一次流路室39で筒壁24の筒軸心HCのまわりに旋回する流れとされ、さらに案内壁42で下側の二次流路室40側に案内されてスクリーン10の導入口36へと至る。旋回する流れが維持されたままスクリーン10の導入口36から濾過筒33内へと導入された液体は、流出口7側、すなわち二次流路室40を下側に流動しつつ、その流れの遠心力で濾過筒33を通過し、含まれる固形異物等が濾し取られる。スクリーン10の外側周囲を流れる濾過後の液体は、旋回突起43で旋回する流れが維持、或いは増強されて流出口7へと至る。流出口7へと至った液体は、接続管44を通って流出管12へと流動し、再び配管ラインを流れる。
【0042】
配管ラインは、定期的にストレーナ1を含む配管ラインの構成部材の点検及び清掃が実施される。このような定期的な点検及び清掃は、配管ラインの稼働を停止して実施するので、ストレーナ1を分解し清掃することが可能となる。分解によるストレーナ1の清掃は、締結ボルト29を緩め操作して天壁25の固定を解除し、筒壁24から天壁25を分離する。このとき、天壁25に支持されるハンドル62とともに清掃ブラシ58、ハンドル軸63が挿通される押えプレート47、押圧ばね48、及び押え軸55も同時にハウジング9から取り出される。また、ハウジング9から押えプレート47が取り出されたことにより、同プレート47による挟持が解除されたスクリーン10をハウジング9から取り出すことができる。
【0043】
天壁25とともに一体的に構成されている各部材は、固定ねじ70を緩め操作してハンドル軸63から操作ハンドル64を分離し、固定ボルト68を緩め操作して天壁25からカラー押え69及びカラー67を分離することにより、天壁25、清掃ブラシ58が連結されたハンドル軸63、操作ハンドル64、押えプレート47、押圧ばね48、および押え軸55の各部材に分解することができる。分解された各部材を清掃したのち、逆の手順でハウジング9に対して各部材を取り付けることにより分解による清掃は完了する。
【0044】
ドレインライン73を備える本実施形態のストレーナ1は、通常の稼働状態においても簡易的にスクリーン10の清掃を行うことができる。まず、水平姿勢にあるレバー78をゆっくりと下方に回動させ、ドレインバルブ76の弁体を徐々に開姿勢側へと操作する。ドレインバルブ76から液体が排出され始めた時点で、操作ハンドル64をハンドル軸63のまわりに回転操作し、清掃ブラシ58で濾過筒33の内面に固着した固形異物等を掻き落とす。掻き落とされた濾過残留物は、ドレインライン73を介して液体とともにハウジング9の外部へと排出される。排出される液体中に濾過残留物が確認できなくなればスクリーン10の簡易的な清掃は完了し、あとはレバー78を水平姿勢へと回動させてドレインライン73を閉じてスクリーン10の清掃を終了する。このとき、予めドレインバルブ76の下方にバケツ等を配し、当該バケツ等でドレインライン73から排出された固形異物等を含む液体を受けるとよい。
【0045】
以上のように、本実施形態のストレーナ1では、スクリーン10を導入口36が濾過室8の一次流路室39と二次流路室40との間に形成された通孔38に臨む姿勢で配し、加えて流出口7を濾過筒33の下半部に対峙する筒壁24に開設したので、スクリーン10の内部に、上方から下方に向かう液体の流れを形成することができる。このように、スクリーン10の内部に、上方から下方に向かう液体の流れを形成することができると、濾過筒33の一部の部分でのみ固形異物等が濾し取られることを抑えて、濾過筒33の上下方向の全体で固形異物等を濾し取ることができるので、濾過筒33の一部の部分にのみ固形異物等が集中的に付着して、当該部分に固形異物等が集中的に堆積することをより確実に防ぐことができ、さらに濾過残留物によって濾過筒33に局所的な目詰まりが早期に生じることを防ぐことができる。以上より、本実施形態のストレーナ1によれば、濾過筒33に局所的な目詰まりが早期に生じることを防ぐことができるので、清掃を実施するサイクルを長期化することができ、メンテナンスの手間及び配管ラインの稼働率の低下を抑えることができる。
【0046】
濾過室8に設置されたスクリーン10の筒軸心SCを、筒壁24の筒軸心HCと一致するように配したので、二次流路室40のうち濾過後の液体が流れるスクリーン10の外側周囲において、向かい合う濾過筒33の外面と筒壁24の内面との水平方向の離間距離をスクリーン10のまわりで一定にすることができ、スクリーン10の外側周囲における二次流路室40の流路抵抗を周方向で略均一にすることができる。加えて、二次流路室40を区画する筒壁24の内周面に、底壁26に向かって螺旋状に下り傾斜する旋回突起43を設けたので、旋回突起43で濾過筒33を通過した液体に筒壁24の筒軸心HCのまわりに旋回する流れを生じさせて、当該液体を流出口7の側へとスムーズに流動させることができる。このように、スクリーン10の外側周囲における流路抵抗を略均一化し、さらに濾過筒33を通過した液体が流出口7の側へとスムーズに流動するようにすると、スクリーン10の外側周囲の二次流路室40において、液体の流れが乱れることを防ぐことができるので、インライン型ストレーナ1における圧力損失を低減することができる。
【0047】
流出口7と流出管12とを、流出口7から流出管12に向かって筒壁24の外周面に沿って回転しつつ上り傾斜するように形成された接続管44を介して連通し、ハウジング9を上側から見たとき、接続管44の上り傾斜の回転方向と、螺旋状に形成される旋回突起43の下り傾斜の回転方向とを、同一の回転方向となるように構成した。これによれば、旋回突起43によりスクリーン10の外側周囲で旋回する液体の回転方向と、流出口7から流出管12に向かう接続管44の回転方向とを一致させることができるので、流出口7から接続管44を介して流出管12へと液体をスムーズに流動させることができる。したがって、接続管44において液体の流れが乱れることによる圧力損失を抑えることができる。
【0048】
一次流路室39に連通する流入管11を備えており、流入管11の筒軸心ICが、筒壁24の筒軸心HCと直交するように配されており、ハウジング9を上側から見たとき、流入管11の筒軸心ICが、筒壁24の筒軸心HCから外れた位置を通るように配されるように構成した。これによれば、筒壁24の筒軸心HCと直交する断面が円状に形成される一次流路室39(上方視で円状に形成される一次流路室39(図6参照))に対して接線方向から液体を流入させることができるので、一次流路室39における液体の流れを筒壁24の筒軸心HCのまわりに旋回する流れとすることができる。加えて、この流れが維持されたまま導入口36からスクリーン10の内側に液体を流入させることができる。以上より、スクリーン10の内側に旋回する液体の流れを形成することができるので、スクリーン10の内部に下方に向かう液体の流れを形成したことと相俟って、液体を濾過筒33の上下方向及び周方向の全体を通過させて、濾過筒33の全体で固形異物等を濾し取ることが可能となる。
【0049】
一次流路室39を区画する筒壁24に流入口6が設けられており、流入口6と向かい合う側の筒壁24と、この筒壁24に連続する天壁25との入隅部に、一次流路室39の液体を二次流路室40側に向かって案内する案内壁42を設けたので、液体を一次流路室39から二次流路室40へとスムーズに流動させることができる。また、入隅部では液体が滞留しやすい傾向にあり、固形異物等が凝集して塊となることがあるが、入隅部に案内壁42を設けることで、入隅部における液体の滞留を防ぐことができるので、固形異物等が凝集した塊が形成されることを防止できる。なお、固形異物等が凝集した塊がスクリーン10に至ると、塊が濾過筒33に接触することによって異音が発生し、また濾過筒33の破損にも繋がる。
【0050】
スクリーン10の内部に、ハウジング9の外部に配されたハンドル62で操作されて、濾過筒33の内面に付着した濾過残留物を掻き落とす清掃ブラシ58を設けるとともに、スクリーン10の一次側からハウジング9の外部に至るように形成されるドレインライン73と、ドレインライン73を開閉するドレインバルブ76とを設けたので、配管ラインを停止することなく濾過筒33の内面に付着した濾過残留物をストレーナ1の外部に排出することができる。したがって、ハウジング9からスクリーン10を取り出すことなく、スクリーン10を清掃することができる。
【0051】
上記実施形態では、スクリーン10の濾過筒33を下窄まりのテーパー筒状としたが、濾過筒33はストレート筒状、下拡がりのテーパー筒状に形成することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 インライン型ストレーナ
6 流入口
7 流出口
8 濾過室
9 ハウジング
10 スクリーン
11 流入管
12 流出管
24 筒壁
25 天壁
26 底壁
33 濾過筒
34 底蓋
36 導入口
38 通孔
39 一次流路室
40 二次流路室
42 案内壁
43 旋回突起
44 接続管
HC ハウジングの筒軸心
IC 流入管の筒軸心
SC スクリーンの筒軸心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-09-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明に係るインライン型ストレーナは、液体が流入する流入口6と、濾過後の液体が流出する流出口7と、流入口6から流出口7に至る濾過室8とを有するハウジング9と、ハウジング9の左側に設けられて流入口6に連通する流入管11と、ハウジング9の右側に設けられて流出口7に連通する流出管12と、一端が流出口7に連通し、他端が流出管12に連通する接続管44と、濾過室8内に設置されて、流入口6から流入した液体に対して濾過を行うスクリーン10とを備える。ハウジング9は、中空筒状に形成されて上下方向に延びる筒壁24と、筒壁24の上端を塞ぐ天壁25とを含む。濾過室8は、上方側に形成されて流入口6に連通する一次流路室39と、下方側に形成されて流出口7に連通する二次流路室40とに区分され、両室39・40の間には通孔38が開設されている。スクリーン10は、上下端に開口を有する、上下方向に長い中空円筒状に形成された濾過筒33と、濾過筒33の下端開口を塞ぐ底蓋34とを備え、濾過筒33の上端に、液体の導入を許す導入口36が形成されている。スクリーン10が、導入口36が通孔38に臨む姿勢で濾過室8内に配されている。流出口7は、濾過筒33の下半部に対峙する二次流路室40を区画する筒壁24の左後周面に部分的に開設されるとともに、当該左後周面を除く濾過筒33の下半部に対峙する筒壁24の周面、および濾過筒33の上半部に対峙する筒壁24の全周面には流出口7は設けられておらず、接続管44が、筒壁24の外周面に沿って回転しつつ上り傾斜するように、当該筒壁24の後半部の外周面に膨出形成されていることを特徴とする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
ウジング9を上側から見たとき、接続管44の上り傾斜の回転方向と、螺旋状に形成される旋回突起43の下り傾斜の回転方向とが、同一の時計まわり方向になるように構成されている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
入管11の筒軸心ICは、筒壁24の筒軸心HCと直交しており、ハウジング9を上側から見たとき、流入管11の筒軸心ICが、筒壁24の筒軸心HCから外れた位置を通るように構成されている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が流入する流入口(6)と、濾過後の液体が流出する流出口(7)と、流入口(6)から流出口(7)に至る濾過室(8)とを有するハウジング(9)と、
ハウジング(9)の左側に設けられて流入口(6)に連通する流入管(11)と、
ハウジング(9)の右側に設けられて流出口(7)に連通する流出管(12)と、
一端が流出口(7)に連通し、他端が流出管(12)に連通する接続管(44)と、
濾過室(8)内に設置されて、流入口(6)から流入した液体に対して濾過を行うスクリーン(10)と、
を備えるインライン型ストレーナにおいて、
ハウジング(9)は、中空筒状に形成されて上下方向に延びる筒壁(24)と、筒壁(24)の上端を塞ぐ天壁(25)とを含み、
濾過室(8)は、上方側に形成されて流入口(6)に連通する一次流路室(39)と、下方側に形成されて流出口(7)に連通する二次流路室(40)とに区分され、両室(39・40)の間には通孔(38)が開設されており、
スクリーン(10)は、上下端に開口を有する、上下方向に長い中空円筒状に形成された濾過筒(33)と、濾過筒(33)の下端開口を塞ぐ底蓋(34)とを備え、濾過筒(33)の上端に、液体の導入を許す導入口(36)が形成されており、
スクリーン(10)は、導入口(36)が通孔(38)に臨む姿勢で濾過室(8)内に配されており、
流出口(7)は、濾過筒(33)の下半部に対峙する二次流路室(40)を区画する筒壁(24)の左後周面に部分的に開設されるとともに、当該左後周面を除く濾過筒(33)の下半部に対峙する筒壁(24)の周面、および濾過筒(33)の上半部に対峙する筒壁(24)の全周面には流出口(7)は設けられておらず、
接続管(44)が、筒壁(24)の外周面に沿って回転しつつ上り傾斜するように、当該筒壁(24)の後半部の外周面に膨出形成されていることを特徴とするインライン型ストレーナ。
【請求項2】
筒壁(24)の伸び方向を筒軸心(HC)と規定し、濾過筒(33)の伸び方向を筒軸心(SC)と規定したとき、両軸心(HC・SC)は一致しており、
二次流路室(40)を区画する筒壁(24)の内周面に、螺旋状に下り傾斜する旋回突起(43)が設けられている請求項1に記載のインライン型ストレーナ。
【請求項3】
ウジング(9)を上側から見たとき、接続管(44)の上り傾斜の回転方向と、螺旋状に形成される旋回突起(43)の下り傾斜の回転方向とが、同一の時計まわり方向になるように構成されている請求項2に記載のインライン型ストレーナ。
【請求項4】
入管(11)の筒軸心(IC)は、筒壁(24)の筒軸心(HC)と直交しており、
ハウジング(9)を上側から見たとき、流入管(11)の筒軸心(IC)が、筒壁(24)の筒軸心(HC)から外れた位置を通るように構成されている請求項2に記載のインライン型ストレーナ。
【請求項5】
一次流路室(39)を区画する筒壁(24)に流入口(6)が設けられており、
流入口(6)と向かい合う筒壁(24)と、この筒壁(24)に連続する天壁(25)との入隅部に、一次流路室(39)内の液体を二次流路室(40)に向かって案内する案内壁(42)が設けられている請求項1に記載のインライン型ストレーナ。