IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-自動販売機 図1
  • 特開-自動販売機 図2
  • 特開-自動販売機 図3
  • 特開-自動販売機 図4
  • 特開-自動販売機 図5
  • 特開-自動販売機 図6
  • 特開-自動販売機 図7
  • 特開-自動販売機 図8
  • 特開-自動販売機 図9
  • 特開-自動販売機 図10
  • 特開-自動販売機 図11
  • 特開-自動販売機 図12
  • 特開-自動販売機 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116042
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】自動販売機
(51)【国際特許分類】
   G07F 9/10 20060101AFI20240820BHJP
【FI】
G07F9/10 102A
G07F9/10 101C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022031
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】冨田 一宏
【テーマコード(参考)】
3E044
【Fターム(参考)】
3E044AA01
3E044CC08
3E044DB16
3E044FB01
3E044FB07
3E044FB11
3E044FB13
(57)【要約】
【課題】商品収容庫の前面開口部分が開放されなくても必要に応じて商品収容庫に外気を導入すること。
【解決手段】断熱構造である商品収容庫3の前面開口部分3bを開閉する態様で本体キャビネット2に回動可能に設けられた内扉30(下部内扉32)と、内扉30に設けられ、かつ商品収容庫3から払い出された商品が通過することを許容する商品搬出口33と、商品搬出口33を開閉する態様で内扉30に回動可能に設けられ、かつ常態においては商品搬出口33を閉成する一方、商品収容庫3から払い出された商品に押圧された場合には商品搬出口33を開成する商品搬出扉34とを備えた自動販売機1であって、商品搬出扉34を回動させて商品搬出口33を強制的に開成させる搬出扉開閉機構40を備えている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱構造である商品収容庫の前面開口部分を開閉する態様で自動販売機本体に回動可能に設けられた断熱扉と、
前記断熱扉に設けられ、かつ前記商品収容庫から払い出された商品が通過することを許容する商品搬出口と、
前記商品搬出口を開閉する態様で前記断熱扉に回動可能に設けられ、かつ常態においては前記商品搬出口を閉成する一方、前記商品収容庫から払い出された商品に押圧された場合には前記商品搬出口を開成する商品搬出扉と
を備えた自動販売機であって、
前記商品搬出扉を回動させて前記商品搬出口を強制的に開成させる搬出扉開閉機構を備えたことを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
前記搬出扉開閉機構は、前記自動販売機本体に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の自動販売機。
【請求項3】
前記断熱扉は、複数の商品収容庫の前面開口部分を開閉する態様で前記自動販売機本体に回動可能に設けられ、
前記商品搬出口は、各商品収容庫に対応して前記断熱扉に複数設けられ、
前記搬出扉開閉機構は、各商品搬出口に対応して複数設けられたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動販売機。
【請求項4】
前記複数の商品収容庫のうち、いずれかの商品収容庫の内部雰囲気を冷却しつつ残りの商品収容庫の内部雰囲気を加熱するヒートポンプ運転を行う場合、先に内部温度が目標温度に到達した商品収容庫に対応する搬出扉開閉機構を駆動させることにより、該商品収容庫に対応する商品搬出扉を回動させて商品搬出口を開成させる制御部を備えたことを特徴とする請求項3に記載の自動販売機。
【請求項5】
前記制御部は、前記搬出扉開閉機構を間欠駆動させることにより、前記商品搬出口を間欠的に開成させることを特徴とする請求項4に記載の自動販売機。
【請求項6】
前記制御部は、前記搬出扉開閉機構を駆動させて前記商品搬出口を開成させる場合に、該当する商品収容庫の内部に配設された送風手段の送風量を増大させることを特徴とする請求項4に記載の自動販売機。
【請求項7】
前記複数の商品収容庫のうち内部雰囲気の温度設定を切り替える切替商品収容庫がある場合、該切替商品収容庫に対応する搬出扉開閉機構を駆動させることにより、該切替商品収容庫に対応する商品搬出扉を回動させて商品搬出口を開成させる制御部を備えたことを特徴とする請求項3に記載の自動販売機。
【請求項8】
前記制御部は、前記切替商品収容庫の内部温度が外気温度に近接するまで前記商品搬出口を開成させることを特徴とする請求項7に記載の自動販売機。
【請求項9】
前記制御部は、前記切替商品収容庫の内部に配設された送風手段を駆動させることを特徴とする請求項8に記載の自動販売機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば缶やペットボトル等の容器に入れられた飲料等を商品として販売する自動販売機が特許文献1に提案されている。そのような自動販売機では、前面開口部分が内扉と称される断熱扉により閉塞された断熱構造の商品収容庫に商品を収容し、該商品収容庫の内部雰囲気を所望の温度に調整することによって商品を所定の温度に保持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-123602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した自動販売機の内扉には、各商品収容庫に対応して商品搬出口が設けられるとともに、該商品取出口を開閉する商品搬出扉が設けられている。商品搬出扉は、常態においては商品搬出口を閉成する一方、商品収容庫から払い出された商品に押圧された場合には商品搬出口を開成して該商品が商品搬出口を通過することを許容している。
【0005】
このように商品収容庫は、略密閉構造となっており、前面開口部分が開放されない限り、外気を導入することができなかった。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みて、商品収容庫の前面開口部分が開放されなくても必要に応じて商品収容庫に外気を導入することができる自動販売機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る自動販売機は、断熱構造である商品収容庫の前面開口部分を開閉する態様で自動販売機本体に回動可能に設けられた断熱扉と、前記断熱扉に設けられ、かつ前記商品収容庫から払い出された商品が通過することを許容する商品搬出口と、前記商品搬出口を開閉する態様で前記断熱扉に回動可能に設けられ、かつ常態においては前記商品搬出口を閉成する一方、前記商品収容庫から払い出された商品に押圧された場合には前記商品搬出口を開成する商品搬出扉とを備えた自動販売機であって、前記商品搬出扉を回動させて前記商品搬出口を強制的に開成させる搬出扉開閉機構を備えたことを特徴とする。
【0008】
また本発明は、上記自動販売機において、前記搬出扉開閉機構は、前記自動販売機本体に設けられたことを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上記自動販売機において、前記断熱扉は、複数の商品収容庫の前面開口部分を開閉する態様で前記自動販売機本体に回動可能に設けられ、前記商品搬出口は、各商品収容庫に対応して前記断熱扉に複数設けられ、前記搬出扉開閉機構は、各商品搬出口に対応して複数設けられたことを特徴とする。
【0010】
また本発明は、上記自動販売機において、前記複数の商品収容庫のうち、いずれかの商品収容庫の内部雰囲気を冷却しつつ残りの商品収容庫の内部雰囲気を加熱するヒートポンプ運転を行う場合、先に内部温度が目標温度に到達した商品収容庫に対応する搬出扉開閉機構を駆動させることにより、該商品収容庫に対応する商品搬出扉を回動させて商品搬出口を開成させる制御部を備えたことを特徴とする。
【0011】
また本発明は、上記自動販売機において、前記制御部は、前記搬出扉開閉機構を間欠駆動させることにより、前記商品搬出口を間欠的に開成させることを特徴とする。
【0012】
また本発明は、上記自動販売機において、前記制御部は、前記搬出扉開閉機構を駆動させて前記商品搬出口を開成させる場合に、該当する商品収容庫の内部に配設された送風手段の送風量を増大させることを特徴とする。
【0013】
また本発明は、上記自動販売機において、前記複数の商品収容庫のうち内部雰囲気の温度設定を切り替える切替商品収容庫がある場合、該切替商品収容庫に対応する搬出扉開閉機構を駆動させることにより、該切替商品収容庫に対応する商品搬出扉を回動させて商品搬出口を開成させる制御部を備えたことを特徴とする。
【0014】
また本発明は、上記自動販売機において、前記制御部は、前記切替商品収容庫の内部温度が外気温度に近接するまで前記商品搬出口を開成させることを特徴とする。
【0015】
また本発明は、上記自動販売機において、前記制御部は、前記切替商品収容庫の内部に配設された送風手段を駆動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、搬出扉開閉機構が、商品搬出扉を回動させて商品搬出口を強制的に開成させるので、商品収容庫の前面開口部分が開放されなくても必要に応じて商品収容庫に外気を導入することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の実施の形態である自動販売機の外観構成を示す正面図である。
図2図2は、本発明の実施の形態である自動販売機の内部構造を示す斜視図である。
図3図3は、本発明の実施の形態である自動販売機の内部構造を示す斜視図である。
図4図4は、本発明の実施の形態である自動販売機の内部構造を示す断面側面図である。
図5図5は、図3及び図4に示した搬出扉開閉機構を示す斜視図である。
図6図6は、図3及び図4に示した搬出扉開閉機構を示す分解斜視図である。
図7図7は、図3及び図4に示した搬出扉開閉機構を示す斜視図である。
図8図8は、図5~7に示した搬出扉開閉機構の動作を説明するための断面側面図である。
図9図9は、図5~7に示した搬出扉開閉機構の動作を説明するための断面側面図である。
図10図10は、本発明の実施の形態である自動販売機の特徴的な制御系を模式的に示すブロック図である。
図11図11は、図10に示した制御部が実施する搬出扉開閉制御(1)の処理内容を示すフローチャートである。
図12図12は、図10に示した制御部が実施する搬出扉開閉制御(2)の処理内容を示すフローチャートである。
図13図13は、図4に示した商品収納ラックを模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る自動販売機の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
図1~4は、それぞれ本発明の実施の形態である自動販売機を示すものであり、図1は外観構成を示す正面図であり、図2及び図3は、自動販売機の内部構造を示す斜視図であり、図4は、自動販売機の内部構造を示す断面側面図である。
【0020】
ここで例示する自動販売機1は、例えば缶やペットボトル等の容器に入れられた飲料等の商品を冷却、若しくは加熱した状態で販売するもので、自動販売機本体である本体キャビネット2を備えている。
【0021】
本体キャビネット2は、前面に開口(以下、前面開口ともいう)2aを有した直方状の形態を成すものである。この本体キャビネット2には、その内部に例えば2つの断熱仕切板2bによって仕切られた3つの独立した商品収容庫3が左右に並んだ態様で設けられている。この商品収容庫3は、商品を所望の温度に維持した状態で収容するためのもので、断熱構造を有している。
【0022】
上記商品収容庫3の収納域3aには、商品収納ラック4が配設されている。商品収納ラック4は、上下方向に沿って延在する蛇行状の商品収納通路4aを有するもので、商品収納通路4aに商品を収納する一方、商品販売指令が与えられた場合には最下位に位置する商品から払い出しを行うものである。本実施の形態では、複数の商品収納通路4aを有した商品収納ラック4が前後に配設されるようにしている。
【0023】
また商品収容庫3には、商品シュータ5及び背面ダクト6が設けられている。商品シュータ5は、商品収納ラック4の下方域に設けられている。この商品シュータ5は、多数の通気孔を有した平板状部材であり、商品収容庫3の後方から前方に向けて漸次低くなる態様で傾斜して配設されている。かかる商品シュータ5は、商品収納ラック4から払い出された商品を、前方に向けて転動させるものである。
【0024】
背面ダクト6は、商品収容庫3における背面側において、上記収納域3aと区画される導風路6aを構成するものである。この背面ダクト6は、上下方向に沿って延在するものであり、最上部は商品収納ラック4の中間高さレベルよりもやや上方側に位置している。
【0025】
この背面ダクト6においては、商品シュータ5よりも下方側となる部位に下側開口6bが設けられているとともに、商品シュータ5よりも上方側となる部位に上側開口6cが設けられている。
【0026】
そして、上記下側開口6bの前方側には庫内熱交換器7a及び庫内送風ファン8が設けられている。庫内熱交換器7aは、下側開口6bの前方側に配設されており、商品収容庫3の下部の機械室9に配置された圧縮機7b、庫外熱交換器7c及び膨張機構7dとともに冷凍サイクル7を構成しており、自身の周囲を通過する空気と自身を通過する空気とを熱交換させて該空気を所望の温度に調整するものである。庫内送風ファン8は、駆動することにより商品収容庫3の内部空気を収納域3aと導風路6aとの間で循環させる循環手段である。
【0027】
上記本体キャビネット2には、外扉10及び内扉30が設けられている。外扉10は、本体キャビネット2の前面開口2aを覆うためのもので、本体キャビネット2の一側縁部に開閉可能に配設されている。
【0028】
外扉10の前面右側中程には、ポップアップハンドル11が設けられており、外扉10を閉塞した状態で施錠される。外扉10の前面上方部には、展示室12が設けられており、販売可能な商品の商品見本13が展示されている。また商品見本13と対応するように、商品選択ボタン14が設けられている。商品選択ボタン14は、選択ボタンスイッチの他、販売可能ランプ及び売切ランプを備えており、商品選択ボタン14の押下操作により商品が選択される。
【0029】
また展示室12の下方となる外扉10の中程には、硬貨投入口15、紙幣挿入口16、一体型表示器17、返却レバー18が設けられている。硬貨投入口15は、硬貨を受け付けるための開口であって、硬貨投入口15から投入された硬貨は、外扉10の背面に配設された図示せぬコインメカニズムに収容される。紙幣挿入口16は、紙幣を受け付けるための開口であって、紙幣挿入口16から挿入された紙幣は、外扉10の背面に配設された図示せぬビルバリデータに収容される。一体型表示器17は、販売中、釣銭切、準備中、お札中止の他、投入金額等の各種情報を表示するためのものである。返却レバー18は、取引の中断を指示するためのものであって、返却レバー18が操作されると、取引が中断され、釣銭等が硬貨返却口19に放出される。
【0030】
外扉10の下方となる位置には、商品取出口20が設けられている。商品取出口20は、販売された商品を取り出すための開口であり、商品取出扉21により開閉されるものである。
【0031】
内扉30は、本体キャビネット2と外扉10との間に配設された断熱構造を有した断熱扉である。内扉30は、商品収容庫3の前面開口部分3bを覆うことにより、商品収容庫3を断熱するもので、本実施の形態である内扉30は、商品収容庫3の前面開口部分3bの上部を覆う上部内扉31と、商品収容庫3の前面開口部分3bの下部を覆う下部内扉32とにより構成されている。
【0032】
上部内扉31は、外扉10の背面に取り付けられ、外扉10とともに開閉されるようになっている。一方、下部内扉32は、本体キャビネット2の左側縁に支承され、外扉10とは独立して開閉されるようになっている。従って、商品を補充するために外扉10を開放すれば、商品収容庫3の前面開口部分3bの上部が露出するものの、前面開口部分3bの下部は下部内扉32によって覆われた状態を持続することになる。
【0033】
下部内扉32には、各商品収容庫3に対応するように商品搬出口33が設けられている。商品搬出口33は、上縁が支承された商品搬出扉34によって閉塞されている。この商品搬出扉34は、常態においては商品搬出口33を閉塞しており、商品収納ラック4から払い出されて商品シュータ5を転動した商品に押圧されることにより、前方に向けて回動して商品搬出口33を開成させるものである。これにより商品は、商品搬出口33を通過し、その後に商品取出口20を通じて取出可能な状態となる。
【0034】
ところで、商品収容庫3のうち中央の商品収容庫(以下、中庫ともいう)3と右側の商品収容庫(以下、右庫ともいう)3には、搬出扉開閉機構40が設けられている。すなわち、搬出扉開閉機構40は、本体キャビネット2に設けられている。
【0035】
図5及び図6は、それぞれ図3及び図4に示した搬出扉開閉機構40を示すもので、図5は斜視図、図6は分解斜視図である。
【0036】
これら図5及び図6に示すように、搬出扉開閉機構40は、機構本体部41とレバー43とを備えて構成されている。機構本体部41は、左右一対のケース41a,41bを有しており、右側のケース41bの前面には、作動用開口41cが形成されている。このような機構本体部41は、取付金42を介して商品収容庫3の下部、より詳細には、商品搬出口33の後方側であって左方部分に取り付けられている。
【0037】
レバー43は、図6では上下方向が長手方向となる形状を有しており、上端部に形成された軸支孔43aを左側のケース41aに設けられた軸部41dが挿通することにより、該軸部41dの中心軸回りに回動可能なものである。またレバー43の上端部に形成されたレバーピン43bが、左側のケース41aの内部にて軸部41dに貫通されて設けられたダンパ44の連結孔44aに挿入されている。ダンパ44は、伝達ギア45を介して左側のケース41aの外側に設けられたモータ等の開閉駆動部46に連係されている。かかるダンパ44は、レバー43に作用する外力が自身に伝達することにより過大なトルク(所定の大きさのトルク)が生じた場合に空転する緩衝部材である。上記開閉駆動部46は、後述する制御部60から与えられる指令により駆動するものである。
【0038】
そのような搬出扉開閉機構40は、図5に示したように、常態においては、レバー43自身の自重により該レバー43が最も後方に回動して機構本体部41の内部に配置された収納姿勢となる。その一方、搬出扉開閉機構40は、開閉駆動部46が駆動する場合、図7に示すようにレバー43が前方に回動して作動用開口41cから前方に向けて突出する突出姿勢となる。そして、開閉駆動部46が駆動停止する場合には、レバー43が後方に回動して図5に示す収納姿勢となる。
【0039】
かかる搬出扉開閉機構40は、収納姿勢となる場合、図8に示すように、商品搬出扉34には作用しない。従って、商品搬出扉34は、商品収納ラック4(商品収容庫3)から払い出された商品に押圧されない限り、商品搬出口33を閉成している。
【0040】
一方、搬出扉開閉機構40は、突出姿勢となる場合、図9に示すように、レバー43が商品搬出扉34に当接して該商品搬出扉34を開く方向に回動させて商品搬出口33を開成させる。つまり、搬出扉開閉機構40は、商品搬出扉34を回動させて商品搬出口33を強制的に開成させるものである。
【0041】
図10は、本発明の実施の形態である自動販売機1の特徴的な制御系を模式的に示すブロック図である。この図10に示すように、自動販売機1は、自販機制御部50、庫内温度センサ52及び制御部60を備えている。
【0042】
自販機制御部50は、自動販売機1の販売動作や冷却加熱動作の各種動作を統括して制御するものである。この自販機制御部50には、例えばリモコン等の自動販売機1の各種設定等の入力を行う入力部51が電気的に接続されている。ここで冷却加熱動作としては、すべての商品収容庫3の庫内熱交換器7aを蒸発器として作用させることで各商品収容庫3の内部雰囲気を冷却する冷却運転や、中庫3及び右庫3の少なくとも一方の庫内熱交換器7aを凝縮器として作用させて内部雰囲気を加熱しつつそれ以外の商品収容庫3の庫内熱交換器7aを蒸発器として作用させて冷却する冷却加熱運転(ヒートポンプ運転)を行わせる動作である。
【0043】
庫内温度センサ52は、各商品収容庫3に設けられている。この庫内温度センサ52は、商品収容庫3における収納域3aの内部温度(庫内温度)を検出し、検出信号としてその旨を制御部60に送出するものである。
【0044】
制御部60は、自販機制御部50及び庫内温度センサ52と通信可能に電気的に接続されているとともに、庫内送風ファン駆動部8a、開閉駆動部46と通信可能に電気的に接続されている。ここで庫内送風ファン駆動部8aは、庫内送風ファン8の駆動源であり、制御部60から与えられる指令に応じて庫内送風ファン8を駆動させるものである。
【0045】
そのような制御部60は、電気的に接続された記憶部61に記憶されたプログラムやデータにしたがって庫内送風ファン8や搬出扉開閉機構40の動作を制御するものである。尚、制御部60は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置にプログラムを実行させること、すなわち、ソフトウェアにより実現してもよいし、IC(Integrated Circuit)等のハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェア及びハードウェアを併用して実現してもよい。
【0046】
以上のような構成を有する自動販売機1では、自販機制御部50が中庫3及び右庫3のいずれかの内部雰囲気を加熱するヒートポンプ運転を行う場合に、制御部60は、次のような搬出扉開閉制御(1)を実施する。
【0047】
図11は、図10に示した制御部60が実施する搬出扉開閉制御(1)の処理内容を示すフローチャートである。
【0048】
この搬出扉開閉制御(1)において制御部60は、各庫内温度センサ52からの各庫内温度の入力の有無を判断する(ステップS101)。各庫内温度の入力がない場合(ステップS101:No)、制御部60はかかる処理を繰り返す。
【0049】
一方、各庫内温度の入力がある場合(ステップS101:Yes)、制御部60は、記憶部61から各商品収容庫3の目標温度を読み出し、庫内温度が目標温度に達した商品収容庫3があるか否かを判断する(ステップS102)。
【0050】
庫内温度が目標温度に達した商品収容庫3がない場合(ステップS102:No)、制御部60は、後述する処理を実施することなく、手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0051】
庫内温度が目標温度に達した商品収容庫3がある場合(ステップS102:Yes)、制御部60は、該当する商品収容庫3に対応する開閉駆動部46に駆動指令を与え、搬出扉開閉機構40を駆動させるとともに(ステップS103)、該当する商品収容庫3の庫内送風ファン駆動部8aに指令を与えて、庫内送風ファン8の送風量を増大させる(ステップS104)。これにより、搬出扉開閉機構40は、図9に示すように突出姿勢となって該当する商品搬出扉34を開く方向に回動させ、商品搬出口33を開成させる。
【0052】
このように搬出扉開閉機構40を駆動させつつ庫内送風ファン8の送風量を増大させた制御部60は、予め決められた所定時間の経過待ちとなる(ステップS105)。ここでステップS105における所定時間としては、該当する商品収容庫3の庫内温度を所定温度(例えば1~5℃程度)だけ上昇又は下降させるのに十分な時間である。
【0053】
所定時間が経過した場合(ステップS105:Yes)、制御部60は、ステップS104で送風量を増大させた庫内送風ファン8の庫内送風ファン駆動部8aに指令を与えて該庫内送風ファン8の送風量を低減させる(ステップS106)。
【0054】
そして、制御部60は、ステップS103で駆動させた搬出扉開閉機構40の開閉駆動部46に駆動停止指令を与えて該搬出扉開閉機構40を駆動停止にさせ(ステップS107)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。これにより、搬出扉開閉機構40は、収納姿勢となる。
【0055】
また上記自動販売機1においては、入力部51を通じての入力操作の結果、いずれかの商品収容庫3の温度設定が冷却温度と加熱温度との間で切り替わったことが自販機制御部50から与えられた場合、すなわち、複数の商品収容庫3のうち温度設定を切り替える切替商品収容庫3がある場合、制御部60は、次のような搬出扉開閉制御(2)を実施する。
【0056】
図12は、図10に示した制御部60が実施する搬出扉開閉制御(2)の処理内容を示すフローチャートである。尚、説明の前提として、庫内送風ファン8や圧縮機7bは駆動停止しているものとする。
【0057】
この搬出扉開閉制御(2)において制御部60は、切替商品収容庫3に対応する開閉駆動部46に駆動指令を与え、搬出扉開閉機構40を駆動させる(ステップS201)。これにより、搬出扉開閉機構40は、図9に示すように、突出姿勢となって該当する商品搬出扉34を開く方向に回動させ、商品搬出口33を開成させる。
【0058】
このように搬出扉開閉機構40を駆動させた制御部60は、予め決められた所定時間の経過待ちとなる(ステップS202)。ここでステップS202における所定時間としては、切替商品収容庫3の庫内温度を外気温度に近接させるのに十分な時間であることが好ましい。
【0059】
所定時間が経過した場合(ステップS202:Yes)、制御部60は、ステップS201で駆動させた搬出扉開閉機構40の開閉駆動部46に駆動停止指令を与えて該搬出扉開閉機構40を駆動停止にさせ(ステップS203)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。これにより、搬出扉開閉機構40は、収納姿勢となる。
【0060】
以上説明したように、本発明の実施の形態である自動販売機1によれば、搬出扉開閉機構40が、駆動することにより商品搬出扉34を回動させて商品搬出口33を強制的に開成させるので、商品収容庫3の前面開口部分3bが開放されなくても必要に応じて商品収容庫3に外気を導入することができる。特に、搬出扉開閉機構40が本体キャビネット2に設けられているので、該搬出扉開閉機構40の配線処理が容易なものとなり、配線の噛み込み等のトラブルの発生を抑制することができる。
【0061】
上記自動販売機1によれば、複数の商品収容庫3のうち、いずれかの商品収容庫3の内部雰囲気を冷却しつつ残りの商品収容庫3の内部雰囲気を加熱するヒートポンプ運転を行う場合、制御部60が、先に庫内温度が目標温度に達した商品収容庫3に対応する搬出扉開閉機構40を駆動させることにより、該商品収容庫3に対応する商品搬出扉34を回動させて商品搬出口33を開成させるので、商品収容庫3の庫内温度を目標温度から離反させてヒートポンプ運転を継続させることができ、結果的に、消費電力の低減化を図ることができる。
【0062】
しかも、制御部60は、搬出扉開閉機構40を駆動させて商品搬出口33を開成させる場合に、該当する商品収容庫3の内部に配設された庫内送風ファン8の送風量を増大させるので、商品収容庫3の庫内温度を目標温度から早期に離反させることができるとともに、商品搬出口33を開成させておくことによる弊害、すなわち虫等の侵入を抑制することができる。
【0063】
上記自動販売機1によれば、複数の商品収容庫3のうち内部雰囲気の温度設定を切り替える切替商品収容庫3がある場合、制御部60が、該切替商品収容庫3に対応する搬出扉開閉機構40を駆動させることにより、該切替商品収容庫3に対応する商品搬出扉34を回動させて商品搬出口33を開成させるので、切替商品収容庫3の内部雰囲気を外部に排出することができ、該切替商品収容庫3の庫内温度を早期に外気温度に近接させることが可能になる。これにより、切替時間の低減化と切替に要する消費電力量の低減化を図ることができる。
【0064】
ところで、図13に示すように、上記商品収納ラック4においては、商品を収納する商品収納通路4aの左右幅寸法を調整するための可動側板4bが設けられているのが一般的である。中庫3及び右庫3においては、搬出扉開閉機構40(機構本体部41)が商品搬出口33の後方側であって左方部分に設けられているので、可動側板4bの位置を設定する調整穴4cは、最も左方の調整穴4cであっても可動側板4bが搬出扉開閉機構40の右側に配置されるように形成されていることが好ましい。
【0065】
これによれば、商品の収納本数を低減させることを抑制でき、しかも商品が搬出扉開閉機構40に干渉することによる商品詰まりの発生を防止することができる。
【0066】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0067】
上述した実施の形態では、商品収容庫3及び商品搬出口33が複数設けられていることで搬出扉開閉機構40も複数設けられていたが、本発明においては、商品収容庫、商品搬出口及び搬出扉開閉機構が単数であってもよい。
【0068】
上述した実施の形態では、搬出扉開閉制御(1)において搬出扉開閉機構40を駆動させて庫内送風ファン8の送風量を増大させていたが、本発明においては、搬出扉開閉機構を間欠駆動させることにより、商品搬出口を間欠的に開成させるようにしてもよい。これによっても、商品収容庫3の庫内温度を目標温度から早期に離反させてヒートポンプ運転を継続させることができるとともに、商品搬出口33を開成させておくことによる弊害、すなわち虫等の侵入を抑制することができる。
【0069】
上述した実施の形態では、搬出扉開閉制御(1)において、搬出扉開閉機構40の駆動及び庫内送風ファン8の送風量の増大を所定時間が経過するまで行っていたが、本発明においては、商品収容庫の内部温度が目標温度から離隔した基準温度に到達するまで搬出扉開閉機構の駆動及び庫内送風ファンの送風量の増大を行うようにしてもよい。
【0070】
上述した実施の形態では、搬出扉開閉制御(2)において、搬出扉開閉機構40を駆動させていたが、本発明においては、搬出扉開閉機構の駆動だけでなく、切替商品収容庫の庫内送風ファンを駆動させるようにしてもよい。これによれば、切替商品収容庫の内部雰囲気を外部により強力に排出することができ、該切替商品収容庫の庫内温度を早期に外気温度に近接させることが可能になる。
【0071】
上述した実施の形態では、搬出扉開閉制御(2)において、搬出扉開閉機構40の駆動を所定時間が経過するまで行っていたが、本発明においては、切替商品収容庫の内部温度を検出し、その検出結果が外気温度に近接するまで搬出扉開閉機構の駆動を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1…自動販売機、2…本体キャビネット、3…商品収容庫、3b…前面開口部分、4…商品収納ラック、5…商品シュータ、6…背面ダクト、7…冷凍サイクル、7a…庫内熱交換器、8…庫内送風ファン、8a…庫内送風ファン駆動部、10…外扉、30…内扉、31…上部内扉、32…下部内扉、33…商品搬出口、34…商品搬出扉、40…搬出扉開閉機構、41…機構本体部、43…レバー、46…開閉駆動部、50…自販機制御部、51…入力部、52…庫内温度センサ、60…制御部、61…記憶部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13