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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116047
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】床コーティング白化復元剤
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/00 20060101AFI20240820BHJP
   C09G 1/18 20060101ALI20240820BHJP
   C09D 5/00 20060101ALI20240820BHJP
   C09D 7/20 20180101ALI20240820BHJP
【FI】
C09D201/00
C09G1/18
C09D5/00
C09D7/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022044
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】390039712
【氏名又は名称】株式会社リンレイ
(74)【代理人】
【識別番号】100074181
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 明博
(74)【代理人】
【識別番号】100206139
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 匡
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 正行
【テーマコード(参考)】
4J038
【Fターム(参考)】
4J038CG141
4J038JA18
4J038JA25
4J038KA06
4J038KA13
4J038NA01
4J038NA06
4J038PA06
4J038PB05
4J038PC06
4J038PC08
4J038RA12
(57)【要約】
【課題】 アルコールが付着したことにより生じたコーティングの白化を簡易に修復してもとの状態へ復元可能な床コーティング白化復元剤を得る。
【解決手段】 上記の課題を解決するために、白化復元剤の組成をA成分としてアルコール類を50wt%~90wt%、B成分としてエチレングリコールモノアルキルエーテル、メトキシブタノール、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテル、ジプロピレングリコールアルキルエーテルから選択された1種又は複数種を10wt%~50wt%含有するものとした。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルコールを含有する液体により白化した合成樹脂エマルジョンを主たる成分とする床用コーティングが施工された床の、白化部分を補修して白化状態から復元する床コーティング白化復元剤であって、
A成分としてアルコール類を50wt%~90wt%含有し、
B成分としてエチレングリコールモノアルキルエーテル、メトキシブタノール、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテル、ジプロピレングリコールアルキルエーテルから選択された1種又は複数種を10wt%~50wt%含有する
ことを特徴とする床コーティング白化復元剤。
【請求項2】
前記A成分がエタノールであり、
前記B成分がエチレングリコールモノアルキルエーテル、メトシキブタノール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールアルキルエーテルから選択された1種または複数種であり、
前記B成分の配合量が40wt%以下であることを特徴とする請求項1に記載の床コーティング白化復元剤。
【請求項3】
前記A成分がエタノールであり、
前記B成分が3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール及びエチレングリコール-tert-ブチルエーテルであり、
前記B成分の配合量が50wt%以下であることを特徴とする請求項1に記載の床コーティング白化復元剤。
【請求項4】
前記A成分がエタノールであり、
前記B成分がエチレングリコール-tert-ブチルエーテル、3-メトキシ-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノールから選択された1種であり、
前記B成分の配合量が40wt%以下であることを特徴とする請求項1に記載の床コーティング白化復元剤。
【請求項5】
前記A成分がエタノールであり、
前記B成分がエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルから選択された1種であり、
前記B成分の配合量が30wt%以下であることを特徴とする請求項1に記載の床コーティング白化復元剤。
【請求項6】
前記A成分がエタノールであり、
前記B成分がジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルのいずれか1種であり、
前記B成分の配合量が20wt%以下であることを特徴とする請求項1に記載の床コーティング白化復元剤。
【請求項7】
前記A成分がメタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコールから選択された1種であり、
前記B成分が3-メトキシ-1-ブタノールであり、
前記B成分の配合量が30wt%以下であることを特徴とする請求項1に記載の床コーティング白化復元剤。
【請求項8】
前記A成分がn-プロピルアルコール、1-ブタノールのいずれか1種であり、
前記B成分が3-メトキシ-1-ブタノールであり、
前記B成分の配合量が20wt%以下であることを特徴とする請求項1に記載の床コーティング白化復元剤。
【請求項9】
前記A成分及び前記B成分の他に、水を35wt%以下含有することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の床コーティング白化復元剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルコールの付着により白化した床コーティングの白化部分を復元する床コーティング白化復元剤に関する。
【背景技術】
【0002】
床のつや出し等を目的として、アクリル系樹脂やウレタン系樹脂といった合成樹脂のエマルジョンを主成分としたコーティング剤を床面に塗布し、コーティングを形成することが行われている。
【0003】
このような合成樹脂を主成分とするコーティングは、水中にポリマーが均一に分散した合成樹脂エマルジョンの他、金属架橋を形成するための多価金属化合物やポリマーにより形成されるコーティングに柔軟性を持たせる可塑剤等を含む公知のコーティング剤により形成される。
【0004】
このようなコーティング剤には、アルコールを含む液体が付着するとその部分が白化し、床面の美観が損なわれるおそれがあるといった問題がある。具体的には、コーティングがアルコールを含む液体に触れると、液体のアルコール成分がコーティングを形成するポリマー粒子の間隙から内部に侵入してポリマー粒子の配列を乱す。この状態でアルコールが揮発してポリマー粒子が乱れた配列で再造膜すると、ポリマー粒子間に空間が生じるので、光の乱反射による白化が生じる。
【0005】
生じた白化部分の修復には、白化部分を剥離して新たにコーティング剤を塗布するといった作業が行われるが手間がかかる。そのため、新たなコーティングの白化に対する対応策が望まれている。特にアルコールを主成分とする消毒剤を多用する病院などではその要望は強い。また、近年は公共の場所に手の消毒剤が多数配されており、床コーティングの白化のリスクが高まっていることからその要望はますます高まっている。
【0006】
従来、床面の白化対応策の一つとして、例えば、化粧シートは、厚さ方向において順に、基材シートと、表面保護層とを少なくとも備える積層体から構成される化粧シートであって、前記表面保護層は、前記基材シート側から第2表面保護層と第1表面保護層とが順に隣接して積層されており、(1)前記第1表面保護層は、樹脂A及び樹脂Bの二種類の脂肪族ウレタンアクリレートを含む電離放射線硬化型樹脂を含有し、前記樹脂Aはイソシアヌレート骨格を有する脂肪族ウレタンアクリレートであり、前記樹脂Bはイソシアヌレート骨格を有さず、脂環骨格を有する脂肪族ウレタンアクリレートであり、(2)前記第1表面保護層は、ナノインデンテーション硬さが160MPa以上240MPa以下であり、(3)前記第2表面保護層は、ナノインデンテーション硬さが100MPa以上240MPa以下で、且つ、前記第1表面保護層よりもナノインデンテーション硬さが小さく、(4)前記第1表面保護層は、更に凹凸を有し、且つ前記凹凸の平均間隔Smが180μm以上400μm以下であり、最大高さRzが20μm以上50μm以下であり、静摩擦係数が0.37以上である、ことを特徴とする、といったものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
この従来技術によれば、アクリルを成分とするコーティングがエタノールに触れた場合の床面の白化を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008-297426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の化粧シートの場合、コーティング層の形成に手間がかかる。そのため、ショッピングセンターや病院といった広い面積に床面にコーティングを形成する必要がある場合には高コストになるといった問題がある。また、既にコーティングが施工されている床については、一度コーティングを剥がした後に化粧シートを施工する必要があり、やはり手間とコストが問題となる。
【0010】
本発明の発明者は、特許文献1に記載された発明とは異なり、コーティングの白化といった課題に対して、既に施工されたコーティングの白化を簡易に修復してもとの状態へ復元する手法について鋭意研究を重ね、本発明を為すに至った。
【0011】
本発明の目的とするところは、アルコールが付着したことにより生じたコーティングの白化を簡易に修復してもとの状態へ復元可能な床コーティング白化復元剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するため、本発明に係る床コーティング白化復元剤は、アルコールを含有する液体により白化した合成樹脂エマルジョンを主たる成分とする床用コーティングが施工された床の、白化部分を補修して白化状態から復元する床コーティング白化復元剤であって、A成分としてアルコール類を50wt%~90wt%、B成分としてエチレングリコールモノアルキルエーテル、メトキシブタノール、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテル、ジプロピレングリコールアルキルエーテルから選択された1種又は複数種を10wt%~50wt%含有することを特徴とする。
【0013】
本願発明は、前記A成分がエタノールであり、前記B成分がエチレングリコールモノアルキルエーテル、メトシキブタノール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールアルキルエーテルから選択された1種または複数種であり、前記B成分の配合量が40wt%以下とすることができる。
【0014】
本願発明は、前記A成分がエタノールであり、前記B成分が3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール及びエチレングリコール-tert-ブチルエーテルであり、前記B成分の配合量が50wt%以下とすることができる。
【0015】
本願発明は、前記A成分がエタノールであり、前記B成分がエチレングリコール-tert-ブチルエーテル、3-メトキシ-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノールから選択された1種であり、前記B成分の配合量が40wt%以下とすることができる。
【0016】
本願発明は、前記A成分がエタノールであり、前記B成分がエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルから選択された1種であり、前記B成分の配合量が30wt%以下とすることができる。
【0017】
本願発明は、前記A成分がエタノールであり、前記B成分がジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルのいずれか1種であり、前記B成分の配合量が20wt%以下とすることができる。
【0018】
本願発明は、前記A成分がメタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコールから選択された1種であり、前記B成分が3-メトキシ-1-ブタノールであり、前記B成分の配合量が30wt%以下とすることができる。
【0019】
本願発明は、前記A成分がn--プロピルアルコール、1-ブタノールのいずれか1種であり、前記B成分が3-メトキシ-1-ブタノールであり、前記B成分の配合量が20wt%以下とすることができる。
【0020】
本願発明は、前記A成分及び前記B成分の他に、水を35wt%以下含有することができる。
【発明の効果】
【0021】
本願発明に係る床コーティング白化復元剤によれば、合成樹脂エマルジョンを主たる成分とする床用コーティングが施工された床にアルコールを含む液体が付着してできた白化部分に塗布することにより、白化を修復して美観を回復することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本願発明に係る床コーティング白化復元剤を実施するための形態の一例を説明する。
【0023】
本発明に係る床コーティング白化復元剤は、アルコール類からなるA成分と、エチレングリコールモノアルキルエーテル、メトキシブタノール、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテル、ジプロピレングリコールアルキルエーテルから選択された1種又は複数種からなるB成分を含有する。
【0024】
A成分であるアルコール類としては、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、n-プロピルアルコール、1-ブタノールから選択された1種または複数種を含むものとすることができる。
【0025】
A成分とB成分の配合比率は、A成分が50wt%~90wt%、B成分が10wt%~50wt%である。本願発明の効果はA成分とB成分とのみで生じるが、必要に応じて防腐剤、安定剤、消毒剤等の他の成分を含むものとすることができる。
【0026】
A成分とB成分の選択と配合比率の好適な例としては以下のものが挙げられる。
【0027】
A成分をエタノールとし、B成分をエチレングリコールモノアルキルエーテル、メトシキブタノール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールアルキルエーテルから選択された1種または複数種とし、B成分の配合量を40wt%以下とする。
【0028】
A成分をエタノールとし、B成分を3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール及びエチレングリコール-tert-ブチルエーテルとし、B成分の配合量を50wt%以下とする。
【0029】
A成分をエタノールとし、B成分をエチレングリコール-tert-ブチルエーテル、3-メトキシ-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノールから選択された1種とし、B成分の配合量を40wt%以下とする。
【0030】
A成分をエタノールとし、B成分をエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルから選択された1種とし、B成分の配合量を30wt%以下とする。
【0031】
A成分をエタノールとし、B成分をジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルのいずれか1種とし、B成分の配合量を20wt%以下とする。
【0032】
A成分をメタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコールから選択された1種とし、B成分を3-メトキシ-1-ブタノールとし、B成分の配合量を30wt%以下とする。
【0033】
A成分をn-プロピルアルコール、1-ブタノールのいずれか1種とし、B成分を3-メトキシ-1-ブタノールとし、B成分の配合量を20wt%以下とする。
【0034】
本願発明に係る床コーティング白化復元剤は、コーティングの白化部分に噴霧又は滴下し、放置する。このようにすることにより、乱れた配列で造膜したポリマー粒子を膨潤させ、ポリマー粒子の配列を乱れの少ない状態に戻して再造膜させることができ、コーティングの白化部分を修復し美観を回復することができる。
【0035】
本願発明に係る床コーティング剤は、一般に「フロアーポリッシュ」と呼ばれ、床材の保護や美感の向上を目的として塗布される。コーティング剤は主成分であるアクリル系樹脂やウレタン系樹脂といった合成樹脂のエマルジョンの他、金属架橋を形成するための多価金属化合物やポリマーにより形成されるコーティングに柔軟性を持たせる可塑剤等を含む公知のコーティング剤により形成される。
【実施例0036】
以下、本発明を実施例の性能試験の結果により更に具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0037】
性能試験は、次のように行った。
【0038】
<試験板の作成>
コンポジションビニル床タイル(東リ株式会社製「マチコV MV-33」)を洗浄、乾燥し、コーティング剤(株式会社リンレイ社製「プロバランスネクスト」)を2回塗付してコーティングを施したタイルを用意した。コーティング剤の塗布には、塗布具としてガーゼを使用し、1回の塗布量を10mL/m2とした。また、1回目の塗布と2回目の塗布間隔を45分とした。コーティング剤を塗布してから24時間経過した後に、タイル上のコーティングにアルコール系手指消毒剤(「ゴージョージャパン株式会社製「ゴージョーIHS-N」」を0.5ml滴下し、室温(23℃)下でアルコール系手指消毒剤を3時間乾燥させ、コーティング表面を水道水で洗い流し、室温下にて24時間乾燥させて、コーティングが白化した白化復元性評価の試験板を得た。
【0039】
<試験方法>
この試験板の白化部分に表1~表10に記載の実施例及び比較例の組成物を0.2ml滴下し、室温下にて乾燥させた。乾燥後白化復元の度合いを目視での官能評価及び色彩色差計(コニカミノルタ株式会社製「CR-400」)を使用してL*を測定することにより行った。なお、L*とは明度を表す指標であり、数値が大きいほど明るい(白い)色調である事を意味する。白化していないコーティングのL*は22.3~22.4、白化している(組成物滴下前の)コーティングのL*は33.5~34.5である。
【0040】
<目視による官能評価>
目視による官能評価は次の評価基準により行った。
〇:白さが消え、白化前の状態に復元する
△:白さが緩和され、美感が回復する
▲:白さがわずかに緩和する
×:変化が見られない
【0041】
<L*の測定による評価>
色彩色差計を用いたL*の測定による評価は次のように行った。
〇:24未満
△:24以上26未満
▲:26以上28未満
×:28以上
【0042】
また以上の白化復元の評価に加えて、白化復元剤の実用性を調べるため、組成物の滴下後、目視にて組成物が完全に乾燥するまでの時間を測定し、その乾燥性を評価した。また、組成物滴下後、その滴下箇所を指で触れた際に粘着性が消失する時間をタック消失時間とし、これを測定して易タック消失性を評価した。乾燥が不十分の状態やタックが残った状態では、コーティングに汚れが付着しやすいといった問題があることから、乾燥時間及びタック消失時間は短いほど実用性に優れたものとなる。乾燥性と易タック消失性の評価は次の評価基準で行った。
<乾燥性評価基準>
〇:20分未満
△:20分以上40分未満
▲:40分以上60分未満
×:60分以上
<易タック消失性評価基準>
〇:5分未満
△:5分以上10分未満
▲:10分以上20分未満
×:20分以上
【0043】
以上の試験結果を表1~表10に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
【表4】
【0048】
【表5】
【0049】
【表6】
【0050】
【表7】
【0051】
【表8】
【0052】
【表9】
【0053】
【表10】
【0054】
表1に記載の試験結果では、A成分としてエタノールを90wt%含有し、B成分としてエチレングリコールモノアルキルエーテル、メトキシブタノール、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテル、ジプロピレングリコールアルキルエーテルから選択された1種又は複数種を10wt%含有した組成物を床コーティング白化復元剤として使用することにより、コーティングの白化部分が復元されることが示された。
【0055】
表2~表4に記載の試験結果では、前記A成分がエタノールであり、前記B成分が3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール及びエチレングリコール-tert-ブチルエーテルであり、前記B成分の配合量が50wt%以下である床コーティング白化復元剤、前記A成分がエタノールであり、前記B成分がエチレングリコール-tert-ブチルエーテル、3-メトキシ-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノールから選択された1種であり、前記B成分の配合量が40wt%以下である床コーティング白化復元剤、前記A成分がエタノールであり、前記B成分がエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルから選択された1種であり、前記B成分の配合量が30wt%以下である床コーティング白化復元剤、前記A成分がエタノールであり、前記B成分がプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルのいずれか1種であり、前記B成分の配合量が20wt%以下である組成物を床コーティング白化復元剤として使用することにより、コーティングの白化部分が復元されることが示された。
【0056】
表5に記載の試験結果では、エタノール以外のアルコールを含有した組成物を床コーティング白化復元剤として使用しても、コーティングの白化部分が復元されることが示された。
【0057】
表6に記載の試験結果では、B成分として3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノールとエチレングリコール-tert-ブチルエーテルを含有した組成物の試験結果に基づき、B成分としてエチレングリコールモノアルキルエーテル、メトキシブタノール、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテル、ジプロピレングリコールアルキルエーテルから選択された複数種を含有した組成物を床コーティング白化復元剤として使用することにより、コーティングの白化部分が復元されることが示された。
【0058】
表7に記載の試験結果では、A成分としてエタノール、メタノール又はイソプロピルアルコールを含有し、B成分として3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール及びエチレングリコール-tert-ブチルエーテルを含有した組成物を床コーティング白化復元剤として使用することにより、コーティングの白化部分が復元されることが示された。
【0059】
表8に記載の試験結果では、A成分としてエタノール及びメタノールを含有し、B成分として3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール又はエチレングリコール-tert-ブチルエーテルを含有した含有した組成物を床コーティング白化復元剤として使用することにより、コーティングの白化部分が復元されることが示された。
【0060】
表9の試験結果では、A成分としてエタノール及びメタノールを含有し、B成分として3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール及びエチレングリコール-tert-ブチルエーテルを含有した組成物を床コーティング白化復元剤として使用することにより、コーティングの白化部分が復元されることが示された。
【0061】
表10の試験結果では、A成分としてエタノールを含有し、B成分として3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノールを含有した組成物が、水を35wt%以下含むものであっても、床コーティング白化復元剤として使用することにより、コーティングの白化部分が復元されることが示された。