(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011605
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20240118BHJP
B60K 35/00 20240101ALI20240118BHJP
【FI】
B60R16/02 640D
B60R16/02 640K
B60K35/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113756
(22)【出願日】2022-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】山下 智志
(72)【発明者】
【氏名】栗田 和幸
(72)【発明者】
【氏名】奥村 和哉
(72)【発明者】
【氏名】堀田 直岐
(72)【発明者】
【氏名】川崎 優太
(72)【発明者】
【氏名】八塚 浩一
(72)【発明者】
【氏名】武井 祐
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 鷹人
(72)【発明者】
【氏名】藤本 和之
(72)【発明者】
【氏名】米田 彩美
(72)【発明者】
【氏名】石黒 皓幹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大翔
【テーマコード(参考)】
3D344
【Fターム(参考)】
3D344AA26
3D344AA27
3D344AB03
3D344AD01
(57)【要約】
【課題】エンジンの燃料消費量と電動モータのバッテリー消費量をエネルギー消費量に換算して表示する自動車がある。自動車は、走行距離に対するエネルギー消費量を表示する。然しながら、作業車両は、作業を行う運転条件に対するエネルギー消費量の把握が必要である。そこで、作業を行う運転条件に対する単位時間の燃料消費量や単位時間のバッテリー消費量の表示が行える作業車両を提供する。
【解決手段】表示体3を装備した作業車両において、表示体3が原動機としてエンジンを搭載したエンジン仕様とした場合にはエンジン仕様表示画面となって運転条件ごとの単位時間の燃料消費量を表示し、単位時間の燃料消費量から作業可能時間を表示し、電動モータ仕様とした場合には電動モータ仕様表示画面となって運転条件ごとの単位時間のバッテリー消費量を表示し、単位時間のバッテリー消費量から作業可能時間を表示する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示体(3)を装備した作業車両において、
該表示体(3)が原動機としてエンジンを搭載したエンジン仕様とした場合にはエンジン仕様表示画面となって運転条件ごとの単位時間の燃料消費量を表示し、該単位時間の燃料消費量から作業可能時間を表示し、
電動モータ仕様とした場合には電動モータ仕様表示画面となって運転条件ごとの単位時間のバッテリー消費量を表示し、該単位時間のバッテリー消費量から作業可能時間を表示することを特徴とする作業車両。
【請求項2】
制御装置がPTO回転数と速度設定により運転状態を自動で区分し、運転状態の区分毎に使用された単位時間の燃料消費量または単位時間のバッテリー消費量を算出して記録し、運転状態の区分を選択すると、表示体(3)が作業の開始と終了時刻、この間のPTO回転数と平均車速、単位時間の燃料消費量、単位時間のバッテリー消費量を表示することを特徴とする請求項1記載の作業車両。
【請求項3】
運転状態と圃場を選択することで、制御装置が圃場の作業するために必要な総燃料量または総バッテリー量を算出し、現在の作業機にある燃料残量またはバッテリー残量が不足する場合は、表示体(3)が作業前に補充指示の表示を行うことを特徴とする請求項1または請求項2記載の作業車両。
【請求項4】
エンジン仕様の燃料の供給口とバッテリー仕様のバッテリーへの電源コード(18)の取り出し口(10b)を車体の同じ側に設けたことを特徴とする請求項1記載の作業車両。
【請求項5】
運転席(16)を車体の左右いずれかに偏って設け、車体の運転席(16)側に燃料の供給口とバッテリーへの電源コード(18)の取り出し口(10b)を設けたことを特徴とする請求項1記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業用、土木用、建築用等の作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンの燃料消費量と電動モータのバッテリー消費量をエネルギー消費量に換算して表示する自動車がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動車は、走行距離に対するエネルギー消費量を表示する。然しながら、作業車両は、作業を行う運転条件に対するエネルギー消費量の把握が必要である。
【0005】
本発明では、そのような従来の作業車両の課題を考慮し、作業を行う運転条件に対する単位時間の燃料消費量や単位時間のバッテリー消費量の表示が行える作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、表示体3を装備した作業車両において、該表示体3が原動機としてエンジンを搭載したエンジン仕様とした場合にはエンジン仕様表示画面となって運転条件ごとの単位時間の燃料消費量を表示し、該単位時間の燃料消費量から作業可能時間を表示し、電動モータ仕様とした場合には電動モータ仕様表示画面となって運転条件ごとの単位時間のバッテリー消費量を表示し、該単位時間のバッテリー消費量から作業可能時間を表示する作業車両である。
【0007】
請求項1記載の発明によれば、表示体3が原動機としてエンジンを搭載したエンジン仕様とした場合にはエンジン仕様表示画面となって運転条件ごとの単位時間の燃料消費量を表示し、該単位時間の燃料消費量から作業可能時間を表示し、電動モータ仕様とした場合には電動モータ仕様表示画面となって運転条件ごとの単位時間のバッテリー消費量を表示し、該単位時間のバッテリー消費量から作業可能時間を表示するので、表示体3をエンジン仕様と電動モータ仕様で共用できる。
【0008】
また、運転条件ごとに燃料の単位時間の燃料消費量や単位時間のバッテリー消費量及び作業可能時間が認識できて、作業性及び作業効率の向上を図ることができる。
【0009】
請求項2記載の発明は、制御装置がPTO回転数と速度設定により運転状態を自動で区分し、運転状態の区分毎に使用された単位時間の燃料消費量または単位時間のバッテリー消費量を算出して記録し、運転状態の区分を選択すると、表示体3が作業の開始と終了時刻、この間のPTO回転数と平均車速、単位時間の燃料消費量、単位時間のバッテリー消費量を表示する請求項1記載の作業車両である。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の作用効果に加えて、制御装置がPTO回転数と速度設定により運転状態を自動で区分し、運転状態の区分毎に使用された単位時間の燃料消費量または単位時間のバッテリー消費量を算出して記録し、運転状態の区分を選択すると、表示体3が作業の開始と終了時刻、この間のPTO回転数と平均車速、単位時間の燃料消費量、単位時間のバッテリー消費量を表示するので、PTO回転数と平均車速から、ユーザはどのような条件で使用したかを想定でき、その運転状態と燃料またはバッテリーの単位時間消費量が容易にわかることで、作業効率を改善できる。
【0011】
請求項3記載の発明は、運転状態と圃場を選択することで、制御装置が圃場の作業するために必要な総燃料量または総バッテリー量を算出し、現在の作業機にある燃料残量またはバッテリー残量が不足する場合は、表示体3が作業前に補充指示の表示を行う請求項1または請求項2記載の作業車両である。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、請求項1または請求項2記載の発明の作用効果に加えて、運転状態と圃場を選択することで、制御装置が圃場の作業するために必要な総燃料量または総バッテリー量を算出し、現在の作業機にある燃料残量またはバッテリー残量が不足する場合は、表示体3が作業前に補充指示の表示を行うので、運転状態に合わせた各圃場別の燃料消費量またはバッテリー消費量を算出するので精度が高く、圃場の作業途中での燃料切れまたはバッテリー切れが適切に防止される。
【0013】
請求項4記載の発明は、エンジン仕様の燃料の供給口とバッテリー仕様のバッテリーへの電源コード18の取り出し口10bを車体の同じ側に設けた請求項1記載の作業車両である。
【0014】
請求項5記載の発明は、運転席16を車体の左右いずれかに偏って設け、車体の運転席16側に燃料の供給口とバッテリーへの電源コード18の取り出し口10bを設けた請求項1記載の作業車両である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態にかかる作業車両の操縦パネルの平面図である。
【
図3】同作業車両の液晶モニタの作用説明用の側面図である。
【
図4】(A)、(B)同液晶モニタの表示画面である。
【
図5】(A)、(B)同作業車両の制御装置に記録された集計表である。
【
図6】(A)、(B)同液晶モニタの表示画面である。
【
図7】同作業車両の制御装置に記録された集計表である。
【
図12】本発明の実施形態にかかるコンバインの要部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態として、作業車両の一種である農業用のトラクタについて説明する。
【0017】
トラクタは、前後四輪駆動車両であって、車体の四隅部に左右前輪と左右後輪を備えている。
【0018】
左右前輪を支持する前輪軸ケースは前フレームの下側に取り付けられ、左右後輪を支持する後輪軸ケースはミッションケースの後部左右側面に取り付けられている。
【0019】
前フレームの中央上部にはボンネット内に原動機が搭載されている。
【0020】
トラクタは、原動機としてディーゼルエンジン(または、ガソリンエンジン)を搭載したエンジン仕様と電動モータを搭載した電動モータ仕様がある。
【0021】
エンジン仕様のトラクタの場合には、エンジン周辺機器としてエンジン制御装置、ラジエータ、エアクリーナ、燃料タンク及び尿素タンク等が配設されている。
【0022】
電動モータ仕様のトラクタの場合には、電動モータ周辺機器として電動モータ制御装置、バッテリー制御装置及びバッテリー等が配設されている。なお、電動モータ制御装置とバッテリー制御装置に換えてVCUでも良い。
【0023】
操縦部には、操縦パネル1、ハンドル2及び運転席が設けられ、ハンドル2を左右に回転させると、操向アクチュエータを作動させて左右前輪が左右に操向される。
【0024】
車体の後部には、昇降油圧シリンダで上下回動させる昇降装置が設けられ、該昇降装置にロータリ耕耘作業機等の各種作業機が装着される。
【0025】
原動機の回転動力は、主クラッチを経由してミッションケースに入力される。ミッションケースの入り口部には前後進クラッチが設けられ、伝動を入り切りすると共に前進と後進を切り替える構成となっている。また、前後進クラッチを経た動力は、左右前輪及び左右後輪を駆動する走行駆動力と外部取り出し動力のPTO駆動力の二系統に伝動分岐される。
【0026】
走行駆動力は、前後進変速部,主変速部,副変速装置からなる走行変速装置を経て後車輪軸ケースの後輪デフ装置に伝達され、左右後輪を駆動し、後車輪軸ケースには左右ブレーキ装置を設けている。また、走行変速装置で変速された後の動力は、2WD/4WD切換え装置を経由し、ミッションケースの前面部に取り出され、更に前輪伝動軸により前車軸ケース内の前輪デフ装置に伝動され、左右前輪を駆動する。
【0027】
また、PTO駆動力は、PTOクラッチとPTO変速装置を経由し、ミッションケースの背面部から後方に突出するPTO軸に取り出される。PTO軸の突出部にロータリ耕耘作業機等の各種作業機への伝動軸が着脱自在に伝動連結するようになっている。
【0028】
そして、トラクタは、操縦パネル1下方内部に設けた制御装置と、GNSSが設けられている。
【0029】
制御装置は、左右前輪を操向アクチュエータの作動にて左右操向して車体を自動操向制御し、走行変速装置を変速アクチュエータを作動させて自動変速制御し、2WD/4WD切換え装置を2WD/4WD切換えアクチュエータを作動させて2WD/4WDに自動切替え制御し、主クラッチ及び左右ブレーキ装置を主クラッチアクチュエータ及びブレーキアクチュエータにて作動させて車体の自動停止制御し、昇降油圧シリンダを作動させて昇降装置によりロータリ耕耘作業機を昇降制御し、PTOクラッチを作動させてロータリ耕耘作業機等の各種作業機の駆動を自動制御し、測位衛星からの信号を受信してGNSSにて位置情報を算出しながら作業経路に沿って自律走行して、自動的に耕耘作業等の各種作業をする。
【0030】
また、制御装置には、作業を行う圃場A、B、C及び納屋や自宅等を記録した地図データベースが登録されており、GNSSにて算出した位置情報にてトラクタが何れの圃場A、B、Cで作業を行っているか、納屋や自宅などへの移動中であるか等を認識する。
【0031】
図1に示すように、操縦パネル1は、各機器に設けたセンサからの信号を制御装置が受けて、各機器の状態や車速等を表示する一般的なものに加えて、中央に表示体3(実施形態は液晶モニタであり、以後、液晶モニタ3という)が設けられている。
【0032】
図2及び
図3に示すように、液晶モニタ3は、電動モータ4にて上下及び左右に回動される。
【0033】
ハンドル2には、液晶モニタ角度設定スイッチ5と液晶モニタ選択スイッチ6と方向及び確定スイッチ7が設けられている。
【0034】
そして、液晶モニタ角度設定スイッチ5を押すと液晶モニタ角度変更モードになり、方向及び確定スイッチ7の操作にて電動モータ4が作動し液晶モニタ3を上下及び左右に回動して角度変更ができる。
【0035】
例えば、方向及び確定スイッチ7の右スイッチを押す度に電動モータ4が所定量だけ作動して液晶モニタ3を所定量だけ右に回動し、中央の決定スイッチを押すと液晶モニタ角度変更モードが解除されて液晶モニタ3の角度が確定する。
【0036】
また、液晶モニタ選択スイッチ6を押すと液晶モニタ選択モードになり、方向及び確定スイッチ7の操作にて表示画面の変更ができる。
【0037】
即ち、液晶モニタ選択スイッチ6を押して液晶モニタ選択モードにして、方向及び確定スイッチ7の右スイッチ又は左スイッチを押すと、順次、表示画面が変更し、中央の決定スイッチを押して表示画面を確定する。
【0038】
図4は、上記操作にて確定した基本表示画面であり、(A)に示すエンジン仕様表示画面と(B)に示す電動モータ仕様表示画面がある。
【0039】
トラクタの生産時に原動機としてディーゼルエンジン(または、ガソリンエンジン)を搭載したエンジン仕様とした場合には、別途設けた原動機仕様切換えスイッチにて表示画面をエンジン仕様表示画面とする。
【0040】
この場合、基本表示画面は、(A)に示すエンジン仕様表示画面となる。
【0041】
また、トラクタの生産時に原動機として電動モータを搭載した電動モータ仕様とした場合には、原動機仕様切換えスイッチにて表示画面を電動モータ仕様表示画面とする。
【0042】
この場合、基本表示画面は、(B)に示す電動モータ仕様表示画面となる。
【0043】
(1)基本表示画面の(A)に示すエンジン仕様表示画面と(B)に示す電動モータ仕様表示画面について詳細に説明する。
【0044】
基本表示画面のエンジン仕様表示画面は、
図4(A)に示すように、各種センサの検出に基づいて制御装置が算出して、車速、PTO回転数、尿素水残量、燃料残量、時刻、速度設定、エンジン負荷率、単位時間燃料消費量、作業可能時間及び累積運転時間が表示される。
【0045】
特に、尿素水残量は、尿素タンクに設けた尿素水残量センサの検出値に基づいて制御装置が算出して尿素水の残量表示をする。
【0046】
燃料残量は、燃料タンクに設けた燃料残量センサの検出値に基づいて制御装置が算出して燃料の残量表示をする。
【0047】
速度設定は、走行変速装置の操作位置の検出にて、制御装置が算出して低速、中速及び高速の3つの運転条件として表示する。
【0048】
エンジン負荷率は、エンジン制御装置からのエンジン稼動データに基づいて制御装置が算出して表示する。
【0049】
単位時間燃料消費量は、エンジン制御装置からのエンジン稼動データ及び燃料残量センサの検出値に基づいて制御装置が算出して表示する。
【0050】
そして、速度設定(運転条件)が低速、中速または高速の何れかから変更された場合には、表示をリセットして変更後の低速、中速または高速の各々の単位時間燃料消費量を表示する。
【0051】
作業可能時間は、速度設定がされた低速、中速または高速の単位時間燃料消費量に応じて燃料残量センサの検出値に基づいて制御装置が算出して表示する。
【0052】
基本表示画面の電動モータ仕様表示画面は、
図4(B)に示すように、各種センサの検出に基づいて制御装置が算出して、車速、PTO回転数、バッテリー残量、補機バッテリー残量、時刻、速度設定、モータ負荷率、単位時間バッテリー消費量、作業可能時間及び累積運転時間が表示される。
【0053】
特に、バッテリー残量及び補機バッテリー残量(以後、両者合わせてバッテリー残量という)は、バッテリー制御装置からのバッテリー管理データに基づいて制御装置が算出して表示をする。
【0054】
速度設定は、走行変速装置の操作位置の検出にて、制御装置が算出して低速、中速及び高速の3つの運転条件として表示する。
【0055】
モータ負荷率は、電動モータ制御装置(または、VCU)からの電動モータ稼動データに基づいて制御装置が算出して表示する。
【0056】
単位時間バッテリー消費量は、バッテリー制御装置からのバッテリー管理データに基づいて制御装置が算出して表示する。
【0057】
そして、速度設定(運転条件)が低速、中速または高速の何れかから変更された場合には、表示をリセットして変更後の低速、中速または高速の各々の単位時間バッテリー消費量を表示する。
【0058】
作業可能時間は、速度設定がされた低速、中速または高速の単位時間バッテリー消費量に応じてバッテリー制御装置からのバッテリー残量値に基づいて制御装置が算出して表示する。
【0059】
以上要するに、液晶モニタ3は、トラクタの生産時にエンジン仕様とした場合にはエンジン仕様表示画面とし、電動モータ仕様とした場合には電動モータ仕様表示画面とすることにより、両仕様で共用できる。
【0060】
また、エンジン仕様表示画面の場合には、燃料の単位時間燃料消費量を表示し、該単位時間燃料消費量から作業可能時間を表示することができる。
【0061】
電動モータ仕様表示画面の場合には、バッテリーの単位時間バッテリー消費量を表示し、該単位時間バッテリー消費量から作業可能時間を表示することができる。
【0062】
また、速度設定(運転条件)ごとに燃料の単位時間の燃料消費量や単位時間のバッテリー消費量及び作業可能時間が認識できて、作業性及び作業効率の向上を図ることができる。
【0063】
(2)PTO回転数と速度設定(車速)により運転状態を自動で区分し、運転状態の区分毎に使用された単位時間の燃料消費量または単位時間のバッテリー消費量を算出し記録し、運転状態の区分を選択すると、作業の開始と終了時刻、この間のPTO回転数と平均車速、単位時間の燃料消費量、単位時間のバッテリー消費量を表示する液晶モニタ3の表示例について説明する。
【0064】
先ず、電動モータ仕様表示画面について説明する。
【0065】
即ち、路上走行や各種作業を行うと、
図5(A)に示すように、制御装置には、運転状態とその作業時間が集計されて記録される。
【0066】
そして、制御装置は、運転状態を自動で区分し、運転状態毎の作業時間、PTO回転数、平均車速、バッテリーの単位時間消費量を算出して、
図5(B)に示すように集計して記録する。
【0067】
液晶モニタ選択スイッチ6を押して液晶モニタ選択モードにして、方向及び確定スイッチ7の右スイッチ又は左スイッチを押して電動モータ仕様表示画面の基本表示画面から
図6(A)に示す運転状態画面に変更し、中央の決定スイッチを押して表示画面を確定する。
【0068】
そして、確認したい運転状態の欄をタップすると、
図6(B)に示すように、その運転状態での作業時間、PTO回転数、平均車速、バッテリーの単位時間消費量を表示する。
【0069】
PTO回転数と平均車速から、ユーザはどのような条件で使用したかを想定でき、その運転状態とバッテリーの単位時間消費量が容易にわかることで、作業効率を改善できる。
【0070】
次に、エンジン仕様表示画面について説明する。
【0071】
即ち、路上走行や各種作業を行うと、制御装置には、運転状態とその作業時間が集計されて記録される。
【0072】
そして、制御装置は、運転状態を自動で区分し、運転状態毎の作業時間、PTO回転数、平均車速、燃料の単位時間消費量を算出して記録する。
【0073】
液晶モニタ選択スイッチ6を押して液晶モニタ選択モードにして、方向及び確定スイッチ7の右スイッチ又は左スイッチを押してエンジン仕様表示画面の基本表示画面から運転状態画面に変更し、中央の決定スイッチを押して表示画面を確定する。
【0074】
そして、確認したい運転状態の欄をタップすると、その運転状態での作業時間、PTO回転数、平均車速、燃料の単位時間消費量を表示する。
【0075】
PTO回転数と平均車速から、ユーザはどのような条件で使用したかを想定でき、その運転状態と燃料の単位時間消費量が容易にわかることで、作業効率を改善できる。
【0076】
(3)運転状態と圃場を選択することで、圃場の作業するために必要な総燃料量または総バッテリー量を算出し、現在の作業機にある燃料残量またはバッテリー残量が不足する場合は、補充指示の表示を作業前に行う液晶モニタ3の表示例について説明する。
【0077】
先ず、電動モータ仕様表示画面について説明する。
【0078】
即ち、路上走行や各種作業を行うと、
図7に示すように、制御装置には、運転状態と圃場とその必要電力量(バッテリー量)と残バッテリー(残電力量)による作業可否が算出されて記録される。
【0079】
液晶モニタ選択スイッチ6を押して液晶モニタ選択モードにして、方向及び確定スイッチ7の右スイッチ又は左スイッチを押して電動モータ仕様表示画面の基本表示画面から
図8に示す運転状態と圃場の選択画面に変更し、中央の決定スイッチを押して表示画面を確定する。
【0080】
そして、確認したい運転状態と圃場の欄をタップすると、
図7の記録情報から
図9に示すように、補充指示の表示(補充不要であれば、OKの表示)がされる。
【0081】
運転状態に合わせた各圃場別の電力消費(バッテリー消費)を算出するので精度が高く、圃場の作業途中でのバッテリー切れが適切に防止される。
【0082】
次に、エンジン仕様表示画面について説明する。
【0083】
即ち、路上走行や各種作業を行うと、制御装置には、運転状態と圃場とその必要燃料量と残燃料量による作業可否が算出されて記録される。
【0084】
液晶モニタ選択スイッチ6を押して液晶モニタ選択モードにして、方向及び確定スイッチ7の右スイッチ又は左スイッチを押してエンジン仕様表示画面の基本表示画面から運転状態と圃場の選択画面に変更し、中央の決定スイッチを押して表示画面を確定する。
【0085】
そして、確認したい運転状態と圃場の欄をタップすると、記録情報から補充指示の表示(補充不要であれば、OKの表示)がされる。
【0086】
運転状態に合わせた各圃場別の燃料消費を算出するので精度が高く、圃場の作業途中での燃料切れが適切に防止される。
【0087】
(4)
図10に示すように、左右前輪用の左右前輪駆動モータと左右後輪用の左右後輪駆動モータを設けた電動モータ仕様のトラクタの場合には、各車輪の回転数を液晶モニタ3にて表示する。
【0088】
即ち、液晶モニタ選択スイッチ6を押して液晶モニタ選択モードにして、方向及び確定スイッチ7の右スイッチ又は左スイッチを押して電動モータ仕様表示画面の基本表示画面から
図10に示す各車輪の回転数の表示画面に変更し、中央の決定スイッチを押して表示画面を確定する。
【0089】
各車輪の回転数は、電動モータ制御装置(または、VCU)からの各電動モータ稼動データに基づいて制御装置が算出して表示する。
【0090】
なお、複数(実施形態では、4個)の電動モータがあるので、順次各電動モータの回転数を表示していくが、異常発生時には、
図11に示すように異常発生の電動モータの状態を回転異常と割り込みで表示させる。
【0091】
(5)操縦部の運転席に着座した操縦者が車体前方を向いて操縦をしている際に視認するヘッドアップディスプレイと操縦者の視線を監視するカメラを設ける(操縦部がキャビンの場合には、フロントガラス右上部位置に設ける)。
【0092】
そして、制御装置は、カメラの映像にて操縦者が前方から視線をずらしたことを検出すると自動的に速度を落としながら直進アシストを行う。
【0093】
同時に、制御装置は、ヘッドアップディスプレイにモニタ情報を見て下さいと表示する。
【0094】
最後に、エンジン仕様とバッテリー仕様で互換性を持たせた表示体3(液晶モニタ3)を装備した作業車両において、エンジン仕様の燃料の供給口とバッテリー仕様のバッテリーへの電源コードの取り出し口は、車体の同じ側に設ける。
【0095】
また、運転席が左右いずれかに偏った構成の場合は、車体の運転席側に燃料の供給口とバッテリーへの電源コードの取り出し口を設ける。
【0096】
<他の実施態様>
【0097】
(1)
図12は、作業車両がコンバインである場合のバッテリーへの電源コード18の取り出し口10bの実施形態を示す。
【0098】
コンバインは、車台10の下部側に土壌面を走行する左右一対の走行クローラ11を張設した走行装置12を配設すると共に、該車台10上の左右に、フィードチェンに挟持して搬送供給される穀稈を脱穀選別処理する脱穀装置と、その穀粒を一時貯留するグレンタンク13と、このグレンタンク13に貯留された穀粒を機外へ排出する排穀オーガ14を配設している。排穀オーガ14は、穀粒の排出時にオーガ昇降シリンダを作動して起伏する。
【0099】
脱穀装置の前方に、前端側から未刈穀稈を分草する分草体と、分草した穀稈を引き起こす引起部と、引き起こした穀稈を刈り取る刈刃部と、刈り取った穀稈を掻き込むと共に搬送途中において扱深さを調節して前記フィードチェンへ引き継ぎを行う供給調節搬送部等を有する刈取装置を、刈取昇降シリンダにより土壌面に対して昇降自在なるよう車台10の前端部へ懸架配設して構成する。
【0100】
刈取装置の後側上部にコンバインの操作制御を行う操作装置15と、操縦者が座る運転席16を設け、この運転席16の下方側に電動モータ17と電動モータ制御装置とバッテリー制御装置と48Vバッテリーを搭載し、後方側に前記グレンタンク13を配置している。
【0101】
そして、48Vバッテリーの電源コード18は、車台10を構成する右側の角パイプ10a内を通して機体右側後方に向けて延び、右側の角パイプ10a後端の開口である取り出し口10bから延び出ている。
【0102】
なお、右側の角パイプ10a後部から電源コード18が出る部位である取り出し口10bは、グレンタンク13を外側方に開ける回動支点19の延長線上としている。
【0103】
従って、グレンタンク13を回動支点19まわりに外側方に開ける際に、電源コード18が不用意に引っ張られたり捻じれたりすることが防止できる。
【0104】
また、電源コード18の取り出し口10bから延び出た部分は、不使用時にグレンタンク13右側面の傾斜と保護カバーの間に前方に向けて折り曲げて収納する。
【0105】
(2)
図13は、作業車両がコンバインである場合のバッテリーへの電源コード18の取り出し口10bの他の実施形態を示す。
【0106】
即ち、排穀オーガ14先端部の排出口14a近くには、コードを収納するコードリール20を設けている。
【0107】
そして、48Vバッテリーの電源コード18は、車台10を構成する右側の角パイプ10a内を通して機体右側後方に向けて延び、取り出し口10bから出てグレンタンク13から排出する穀粒を移送する縦排出筒21に沿って上方に延び、排穀オーガ14に沿って先端部に設けたコードリール20に至り、コードリール20から排穀オーガ14先端部の前方に向けて延びている。
【0108】
そして、コードリール20は電動モータにて回転し、排穀オーガ14が延びるのに同期して電動モータが回転して排穀オーガ14に沿って延びる電源コード18の長さを自動調節する。
なお、作業車両の操作制御を行う操作装置15の電源を、12Vの低圧バッテリーとした場合は、48VバッテリーからDC/DCコンバータにより電圧変換され、充電される構成であり、48Vバッテリーの電源コード18が充電コードを兼ねることになる構成である。
【符号の説明】
【0109】
3 表示体(液晶モニタ)
10b 取り出し口
16 運転席
18 電源コード