(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116051
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】音波デバイス(音波通信および水中タグ)と通信システム
(51)【国際特許分類】
H04B 11/00 20060101AFI20240820BHJP
G01S 5/22 20060101ALI20240820BHJP
B63C 11/00 20060101ALI20240820BHJP
B63C 11/48 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
H04B11/00 D
G01S5/22
B63C11/00 B
B63C11/48 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】27
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023033184
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】522196711
【氏名又は名称】有村 國孝
(72)【発明者】
【氏名】有村 國孝
【テーマコード(参考)】
5J083
【Fターム(参考)】
5J083AA05
5J083AB12
5J083AC31
5J083AD02
5J083AE07
5J083AF15
5J083AG09
5J083CA06
5J083DB04
5J083DB05
5J083DB07
(57)【要約】
【課題】何が何処でと云うのを広い海の中、水の中で見付けるのは不可能であった。
【解決手段】指向性のある音感素子を用いたり、ソナーを用いたり、複数の音感素子やパラボラ形集音面による受信により、音波の伝播時間や位相の割り出しより、距離や方向を知ることが出来る。
半導体(IC)によりパルスによるCode信号を発信し、搬送信号となる定められた基本信号f0を変調し、この電気信号をトランスデューサを介して振動を発生し音波となり、伝播した音波信号を音感素子や振動子を利用して電気信号に変えて受信し、Decodeし、元のID信号や定められた暗号信号、個別信号を検出し、以って多種類の種別を識別、判別することが出来るようにした。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中を伝送する周波数を特定の信号で変調した音波を発生する媒体を振動される音波デバイスを水中で動作させ、当該音波デバイスの存在を検出することにより、水中のデバイスを特定、発見できることを特徴とする音波デバイスと音波デバイスシステム。
【請求項2】
搬送周波数を固定または変化させたりして外乱や妨害を防ぎ、IDコードを含む特定の変調方式を用いて、音波信号に変換する音波デバイスが、海中や水中で発信するとき、その音波信号を受信あるいは受波し電気信号に変えて認識し、当該音波デバイスの存在を認識することを特徴とする音波デバイスと音波デバイスシステム。
【請求項3】
音波デバイスを呼び出すリーダに於いて、リーダ側から起動信号の音波を出し、音波デバイスをスリープ状態から動作状態に呼び起こし起動させることを特徴とする音波デバイスと音波デバイスシステム。
【請求項4】
周囲環境をセンシングするセンサを有し、このセンシングされる状況に対応する信号を送信することを特徴とする音波デバイスと音波デバイスシステム。
【請求項5】
音波デバイスは長距離用の比較的低い周波数で音波を動作する機能と、中距離用の中間の振動で音波を発生する機能と短距離用の短音波あるいは超音波を発生する機能を持ち、音波を切り換えて出力する機能を有することを特徴とする音波デバイスと音波デバイスシステム。
【請求項6】
音波デバイスに於いて、可能な限り認識信号となるコード変調を行い、音波信号が個々の音波デバイスによって異なる認識コードで変調を行い識別を可能とすることを特徴とする音波デバイスと音波デバイスシステム。
【請求項7】
音波デバイスは水(海水)に浸かると電源スイッチが入り、信号を発生したり、受信状態に入り、音波デバイスを起動させる機能を有することを特徴とする音波デバイスと音波デバイスシステム。
【請求項8】
音波デバイスは間欠的に信号を発生したり、電源をオンオフしたりすることを特徴とする音波デバイスと音波デバイスシステム。
【請求項9】
音波デバイスは受信側が受信したと云う信号を受けとらない限り、発信信号を送り続けることを特徴とする音波デバイスと音波デバイスシステム。
【請求項10】
音波デバイスの発信号の単位を必ずしも1秒とせず数秒から数十秒とし、且つ、繰り返し同期を数十秒から数十分、数時間、数日とすることを特徴とする音波デバイスと音波デバイスシステム。
【請求項11】
人工の機器、船舶、標識、水路、海、水底、動植物、岩礁を認識することを特徴とする音波デバイスと音波デバイスシステム。
【請求項12】
音波デバイスの取付対象物に何らかのアクションを行いたいとき、あらかじめ分かっている識別番号の音波デバイスを呼び出し指示を与えることができることを特徴とする音波デバイスと音波デバイスシステム。
【請求項13】
船舶の転覆、水上陸上の事故等で水中に沈んだ人命の救助の目的で人体や衣服、ブイ、スマホ、潜水具のような持ち物に取り付けた音波デバイスからの発信信号を受けて、人命を助けたり、機材や材料を探索したりする目的を特徴とする音波デバイスと音波デバイスシステム。
【請求項14】
海(水)中に住む魚、貝類、甲殻類、哺乳類、動物、ヒドラ、その他の生物の調査、管理を行うことを特徴とする音波デバイスと音波デバイスシステム。
【請求項15】
トラフ、水中の地盤に取り付け、移動、変動を調査することを特徴とする音波デバイスと音波デバイスシステム。
【請求項16】
トラフの移動、海底鉱物、物体の特定のための位置情報やアドレスを与えることを特徴とする音波デバイスと音波デバイスシステム。
【請求項17】
音波デバイスの位置情報を得るために海上の船あるいは浮体にGPSを取り付け、このGPSによる位置確定と3個以上の海上(水上)における位置情報に基づき、音波デバイスの位置を音波で受信し位置を特定し、GPS電波による位置情報により特定された3つ以上の海上船(浮体)により音波デバイスの位置の確定を行うことを特徴とする音波デバイスと位置特定音波デバイスシステム。
【請求項18】
音波デバイスからの信号を水中の受信機器で中継し、水上(海上)の船舶で受信し存在を確認することが可能となることを特徴とする音波デバイスと音波デバイス中継システム。
【請求項19】
音波デバイスにおいて、あらかじめ定められた条件に対しては反応せず、それ以外の条件に対しては反応する条件を備えて、信号を送出することを特徴とする音波デバイスと音波デバイスシステム。
【請求項20】
大切な機関を守るため、異常な音や環境の変化に対して緊急信号を発生することを特徴とする音波デバイスと音波デバイスシステム。
【請求項21】
トラフの移動を検出し、その移動によって地震を予知することを特徴とする音波デバイスと音波デバイスシステム。
【請求項22】
トラフの移動と摩擦音による異常振動をセンサにより感知し、大地震の前兆を感知、準備を行うことにより地震の被害を最少にくい止めることを特徴とする音波デバイスと音波デバイスシステム。
【請求項23】
潜水艦や船の侵入を防ぐため、探知センサを備えた音波デバイスを配列し、この周辺または海中、海上を通過侵入する艦船が通過したことを知らせることを特徴とする音波デバイスと音波デバイスシステム。
【請求項24】
水中の音波デバイスの信号を含め、水中の通信用音波信号を水上の浮体や船に置かれた無線中継器を介して専用線やインターネットにアクセスするルータやゲートウェイを備えた、水中、空中万能となる音波デバイスと音波デバイススマート通信システム。
【請求項25】
船上、浮体、岩礁の建造物に取り付けられた海上からの信号を中継する中継器や変換器やルータやゲートウェイを備え、海中と海上の通信が可能となる音波デバイスと音波デバイス通信システム。
【請求項26】
陸上、空中で利用されている電波を浮体や船に中継器を備え、水中、海中との通信を可能とする送信受信可能な双方向電波、音波変換システムを備え、陸上、水中、空中との通信を可能とするスマートユニバーサル音波デバイスと総合通信システム。
【請求項27】
海上や水中に受送信機能を持つ中継器を積んだ潜水艇やドローンを設け、音波デバイスの信号を中継して、海上の機器に信号を送受信する音波デバイスと音波デバイス通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
陸上の空気中を伝播する電波を用いて判別を行うと同様に、水の中でも音波を使い、音波による通信と、IDを得ることができる音波デバイスを発明し実用化する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
音波の反射波を受信して映像を映し出す魚群探知機等がある。
固有の魚や海底の反射物を識別するのではなく、個体や群による音波の反射を見ているのみである。
電波では主にUHF帯を用いた識別システムがあり、数10cmから100m前後までIDが取れるICタグやビーコンがある。然し、水中では電波は殆ど伝播しない。性能の良いICタグでも精々数拾cmである。ソナーは海中の音を聞き、これを聞き分ける目的のみである。
また、水中の動物の映像を水中ドローンを使って映し、この映像を音波を用いて、水上の音響通信装置で受信し水上で映像を確認するシステムも開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
ERRICSON
東北大学
IBM
導波管によるslotを利用
富士通
Omni-ID
Confidex
Sharp
三菱電機
村田製作所
DNP
Smart
Strip Lineによるアンテナを利用
筑波大 水中ドローン
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
海は広大で、船の転覆等により乗客が水中に放り出されたり、沈んでしまった場合、捜索が難しく、知床の観光船の遭難においても790隻の船艇と数百回の出動を行っても、まだ12人が行方不明であり、大変な費用をかけても見つけることはできないでいる。海難事故で失われている人命は後を絶たない。海中の障害物や機器、危険物、海底のトラフの移動等も今だ特定することが出来ていない。生物の追跡も不可能である。
地上と異なって海底や水底の探索は大変困難である。カメラを積んだ水中ドローンがあっても、海中を走り廻って何処に何があるかを探すことは無限の活動となり困難であり目的が異なる。
個々のIDを持つ音波デバイス、個々のIDがなくとも存在が分かる本発明の音波デバイスが実行されれば、何処に誰がと云う目的も得られ人の命を助けられる場合もあり、且つ、死亡後も捜索できる可能性もあり、動物、哺乳類、魚類の移動も特定コースにリーダを設置したり船等にリーダを設置し、トレースしたり、動物、魚、貝類の養殖をしたり、危険物の特定を行ったり、トラフに固定し移動を計測したり、水中が故に困難だったりした特定を可能にすることが出来るようになる。
これらの音波デバイスとレーザや光、映像、温度、振動、近接、水圧等のセンサと組み合わせるとより多くの用途が広げられる。
長距離の探索を行うには低周波(長波)振動を利用するばかりでなく、数秒、数拾秒の超低周波周期の振動を利用し、数キロ、数拾キロメートルをカバーし、中距離の探索を行うには数百Hz~数kHzを利用し、数百メートルの距離の探索を行う場合は短音波、超音波信号を使い、捜索範囲を徐々に狭めて、特定のターゲットを見つけ出すようにすることが出来る。
人命救助、水中機器、船舶の特定、使用目的は多岐にわたるが、海の生物の調査や行動の把握、管理に、防衛、進路、標識、トラフの移動計測等、海中、水中の特定に役立つ。
また、特定のパルス列のみを追跡することに特定の信号をより分け、また、想定される信号のみAIにより追跡選択することにより雑音となる不規則音、スクリュー音を排除することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
水中では空中より水の分子の密度が高いため空中では音速約330~340m/sの速度で伝播するのに対し、海中では音速約1480m/sで伝播するので、海中の方が音の伝播に向いているとともに陸上程の雑音が多くはない。まして、広い大洋や水深が増すとより雑音が少なくなる。
本発明は、音波デバイスにより個体や特定の場所をコード化してIDアドレスを付けこの信号を識別することにより、その特性や位置、方向等を知ることができる。音声によるベースバンドの通信や特定のコード化された信号の通信も可能となる。あいうえおやアルファベット、単語等はコード化してそれを復元することにより単純化を行うことができる。
指向性のある音感素子を用いたり、ソナーを用いたり、複数の音感素子やパラボラ形集音面による受信により、音波の伝播時間や位相の割り出しより、距離や方向を知ることが出来る。
半導体(IC)によりパルスによるCode信号を発信し、搬送信号となる定められた基本信号f0を変調し、この電気信号をトランスデューサを介して振動を発生し音波となり、伝播した音波信号を音感素子や振動子を利用して電気信号に変えて受信し、Decodeし、元のID信号や定められた暗号信号、個別信号を検出し、以って多種類の種別を識別、判別することが出来るようにしたもので、これを人命救助、船舶、乗物の特定、魚貝類の特定、追跡、トラフの移動、障害物や器物の特定等のマーカーとして応用するシステムとして用いることができる。音波の場合、伝達スピードや距離が短いため、できるだけコード化された文章や意味を用い、できるだけ短い単語で伝えることが望ましい。
【発明の効果】
【0006】
音の伝播の通信距離は大きく分けて超長波、長波、中波、短波、超短波信号の伝送によって異なってくる。低い周波数の長波は海の中でも数十キロメートルに及ぶ長距離まで届くと云われている。例えば50kmの距離を音が伝わるのは、水中で約1.5km/secとすると30秒以上の時間がかかる。更にcodeや記号、文章が入ると更に長くなる。従って、コードや内容を伝える場合は1サイクルを長くとらなければならない。長距離を探す場合には長波を周波数が低いのでCode数は少ししか取れないが、存在や方向がある程度特定できる。最初に探すには誰であるとか個々の名前まで分かる必要がない。周波数が中波となると伝播距離が短くなるが、ある程度のCode数を取れるので特定の数の識別が可能となる。
短波、超短波となると船の搭乗員全員等の識別が可能となる。例えば20kHzや40kHzの超音波を発生させ、これをID Codeで変調させることにより1万以上の個別識別が可能となる。ASK、FSK、PSK等のCode変調を行い、Decodeの方も、これに合わせた受信方法とDecode方法を取ればよい。振幅や周波数の違いを組み合わせること等も有効である。
また音波デバイスにセンサ信号が入力されるインターフェースを取り付けることによって、センサデータも送れるので取付物の状態や伝えたい情報や、水や海の中の情報や周辺情報を送ることができるようになるので、単なる個体識別のみでなく、特定の場所やIDとともにIDの状況や周囲の状況も知ることが出来る。
今迄誰が何処に沈んでいるのか分からなかった海中の捜査が本発明により可能となってくる。
超音波の場合、IDコードが付いているので誰かが分かるが、遠方や水深が深い場合には届かない。
長波は数十キロメートルまで届くので、人名の誰が、物の何れがと云うことが分からなくても、何がや、探すための目的物を特定することが出来る。
必要に応じて、デバイスに搭載する機能、長波による音波、中波による音波、短波による短音波、超音波による音波を使い分け、IDコードや識別コード切換、等、適宜に行い、夫々の目的に合わせることが出来る。
防衛上の機器や障害物の特定にも用いることが出来るし、巨大地震の基となるトラフの移動による亀裂や反撥による地震の発生の事前予知、生物の動き等にも役立てることが可能と予測される。長距離や水深の深い場合には、中継用の水中潜水艇等の中継装置を用いる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1(a)は、本発明の音波デバイス1と音波受信装置4と音波トランスデューサーあるいは音波による電気変換装置41と音波2を示す構成図である。
図1(b)は、本発明の音波デバイス1と音波受信装置4とトリガー用音波3を示す構成図である。
【
図2】
図2は、船5、Shに取り付けられた音波受信装置4が複数個取り付けられ、音の伝播時間の違いや位相の差を検出することにより、音波デバイスの距離や位置を知るためのシステムズを示す。この場合の船の位置情報はGPS等によって分かる。音波デバイスと船が近い場合で船がそれなりの大きさの場合にはシンプルな方法として役立つ。
【
図3】
図3は、数艘の船が夫々GPSを搭載し、夫々の位置情報を把握して、その位置情報を基にして更に夫々の船と音波デバイスとの位置関係を音の到達時間、距離、方向等を割り出すことによって音波デバイスの正確な位置を割り出し情報を得る方式、即ちシステム図を示す。広い海原での探索の想定を示し、複数の測位が出来ている船から音波デバイスからの信号を受信し、夫々の船で受信される音波信号の時間差や位相差、方向等を無線で連絡し、音波デバイスの位置を割り出す方式、即ちシステムを示す。且つ、得られた情報を地上のステーションに無線や衛星を介して伝送する。
【
図4】
図4は、深海を探索する潜水艇(例えば深海)に音波受信装置を積み、これで音波デバイスを探索する方式を示す。無人の水中ロボットやドローンによって探索、中継することが可能となる。
【
図5】
図5は、水中潜水艇を用いて、音波デバイスや情報を収集したり、通常水中を撮影する水中ドローンを用いて、海に潜らせ、このドローンに音波受信装置を装備し海中に沈んだ対象物に取り付けられた音波デバイスを探索し、この情報を水上の母船、浮体に伝送する方式を示す。すでに実施されておりこの水中ロボットに音波デバイスとの通信機能を追加した場合で、探索と映像、両用が可能となる。
【
図6】
図6は、船の位置を得るGPS信号による測位のみでなく、海底(水底)の音波デバイスから得られた情報や信号を衛星を通じてクラウドに上げ、インターネットで情報が可視化できるシステムとする実施例を示す。発見した情報を更に大出力の音波、光等で水上の船舶や浮体に中継する。
【
図7】
図7は、航空機、ヘリコプター、ドローン、船舶等から音波受信センサ装置を積んだブイまたは小形無人船舶を海上に撒き、音波デバイスを探知する方式を示す。一部の中継用受信装置は海中(水中)に潜って、音波デバイス信号を受信中継する。受信された信号は探索用航空機、ヘリコプター、ドローン、船舶等に無線、光等によって伝達される。
【
図8】
図8は、音波デバイスおよびリーダ装置の構成の実施例を示す。
【
図9】
図9(a)は、センサデータを音波デバイスに送り、音波デバイス周辺のデータまたは特定の場所で得られたデータを音波デバイスから送る機能を有する説明図である。
図9(b)は、この信号を中継する中継器の機能を示す。中継用潜水艇に積まれる。
【
図10】
図10は、音波リーダ、デコーダ側から応答要求信号(起動信号)を出し、音波デバイスを起動させる方式を示す。
【
図11】
図11は、音波振動子を同相または位相器を用いて複数個配列したり、パラボラ反射面による集音をしたり、同相または位相を変えるか、自在に受信素子を機械的に回転させ音波デバイスからの方向を探知し受信する方法を示す。
【
図12】
図12は、音波デバイスを腕に巻き付ける方法(a)と救命胴衣に取り付ける方法(c)と取り付ける対象物の実施例を示す。
図12(f)は、夫々の対象物の音波デバイスを探し出す中継器を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明を図に従って説明する。
【0009】
図1(a)は、本発明の水中音波デバイス(スマートタグ)1の振動子から発信された信号2が受信用振動発電素子4やソナーによって検出され、到来方向の時間差や位相差によって方向や距離も分析されdecodingされIDの識別や信号の判別到来方向等の検出がされることの説明図である。トランスデューサは小電力でも大きな振動が得られるチタン酸バリウム、フェライト、水晶、マイクロフォン等がある。
図1(b)は、受信装置4から応答を指令する信号を水中スマートタグに送り、待ち状態(スリーピングモード)のスマートタグを起動して応答を促す方式を示す。従ってスマートタグ1は、受信器側4の信号によって起動されることになる。それまでは待機状態を続ける。この場合、スマートタグは受信状態も必要となるので、小形化や低価格には不向きであるが、スマートタグの性能が向上し受信機能が向上すれば可能となる。
呼び起こされたスマートタグからは応答信号やID信号2や情報が返されて来る。
スマートタグは超音波信号をID codeで振幅変調する方式により、信号波を受信することにより、誰が、どんなものか、どれが等と云った識別が可能となるため、例えば水中に沈んだ人間や物が誰か、何か、どれが等の識別が可能となる。
超音波(数十kHz)の場合、到達距離に限度があるので、中距離(100m~)、長距離(数十km)の伝達には向いていない。従って、変調code数が少なくなる即ち個別識別数が少なくなるが、距離を優先して中距離、長距離の音波伝送が可能となるように中波音波(数kHz~数100Hz)、長波音波(数Hz~数100Hz)を用いるようにする。超長波あるいは超低周波による長距離通信も実現する。
また、水中(海中)に入った時、始めて動作するように、水が浸透したときにスイッチが入るようにし、常時は電池電源13の消費がないようにする。電池の容量は大きい方が望ましいが、1W~10W/hのもので足りない場合は、コンデンサーに蓄電し瞬時に高出力を出す方法もある。
変調方式はロードスイッチングのようにASK変調が簡単であるが、バッテリーの電源をできるだけセーブするため、バッテリー出力を間欠的にオンオフし、信号を間欠的に送る。
ASK、FSKやPSKによる変調方式、検波方式を組み合わせてもよい。
センサの置かれた環境やリーダの置かれた環境により選択するとよい。
深い海に対応するためには水圧に耐える振動子や回路を保護する円形構造としなければならない。
例えばマイクロフォン磁界を横切るコイルの振動やチタン酸バリューム振動子、水晶等があり、素子を平面状に配列したフェーズドアレー構造やパラボラ面で集音したり、同相で励振することにより、指向性を持たせることや特定のパルス列で強力な信号を作ることが出来る。
水中の音波デバイスの反応を検出するために最初は超長波や長波音波の発振や特定構造のインパルスによりリーダ4で検出させ、中波音波で徐々に水中音波デバイスとの距離を縮め、近づくに従って高周波超音波の検出できる範囲に近づき、IDコードで変調された超音波発振をする水中スマートタグに近づくとともにIDコードが付加された信号を検波することによって個の識別を行うことが出来る。
最初は個のコードが分からなくても水中スマートタグの存在と方向が分かればよく、だんだんと近づくことによって超音波を検出することにより、個の識別を行うようにする。
例えば、1~50秒おきに超低周波、低周波音波、中音波、短音波、超音波と切り換えてこれをサイクルし、5分間なり、30分間この動作を繰り返したり、特定の時間や適切な時間で動作することを繰り返しバッテリーを節約する。
【0010】
図2は、本発明の音波デバイス1が海中にあり音波を発生していると、比較的大きな船から複数の音波受信装置を水中に下げ夫々の受信装置に受信される時間や位相を測ることによって到達時間の違いや位相の違いによって発信源の位置を割り出すことが出来る。少なくとも3つ以上の受信装置4(s)が必要である。音の速度は海中で約1.480m/sであり、音の到達時間の差によって三角法で距離や方向が特定できる。船上にはGPSを積んでいるので地球上の緯度、経度を割り出すことが出来る。
【0011】
図3には、比較的小形の観測船を複数備え、夫々の船はGPS受信器と音波受信装置を備えており、夫々の船はGPSにより自船のポジションが分かり、また水中の音波デバイスからの受信を行っているので船の定点観測が可能となるとともに水中の音波デバイスの位置もGPSと同じ原理で観測船に到達する音波の時間差や位相差によって音波デバイスの位置を知ることが出来る実施例を示す。これらの情報を地上のステーション9に送り対応を検討する。音波デバイスからの信号を受け位置を把握するためには、少なくとも3艘以上の観測船が必要となる。
【0012】
図4には、有人潜水艇61、例えば“深海”に取り付けられた受音装置4(SRX場合によってはSTXも備える)によって音波デバイス1の信号を受信し更にパラボラ面の音波アンテナを備えた潜水艇を介して海上の母船に音波通信21等で連絡する方法もある。潜水艇61は信号2の受信のみならず場所や状態等を映し出す映像も撮影する。潜水艇からの信号21は情報を受信できるのみならず母船を含め
図3と同様(5,52,53)3艘以上の船からの信号を
図3と同じように受信すれば、測位も可能となり、母船に戻った時には映像を含め周囲の状況観測結果を連絡可能とする実施例である。
【0013】
図5には、有人、無人に限らず、信号ケーブル(信号、制御、電源、映像、観測データ、その他)で母船につながれたロボット潜水艇62に積まれた機器、リーダ、映像制御機器、観測機、等の信号を船上Shで観測することにより音波デバイスを発見、周囲状況を含め把握できるシステムの実施例を示す。
【0014】
図6は、
図5のような潜水艇を使ってもよいし、音波デバイスからの音波が受信できる距離において、探索船Sh1、Sh2、Sh3に設備された音波受信装置SRX1、SRX2、SRX3に受信された音波デバイス1、STXの信号を受信し、これを水上の母船や浮体に別途設置された音波、光等の通信方式による信号をSTRXを介して通信することにより夫々の船にGPSの測位システムを積んでいるので音波デバイスからの信号を分析することにより海中(水中)の位置を割り出すことが出来る実施例を示す。この結果を例えばStarLink等を経由してクラウドに上げ、どこで音波デバイスが沈んでいるかを探すことができ、且つ、本部でもその情報をつかむことができる実施例を示す。
【0015】
図7は、水中に事故あるいは不明な場所に沈んだ音波デバイスを航空機、ヘリコプター、ドローン、船等によって運ばれたリーダは、信号付浮体を数個あるいは数十個海上に撒くことにより、そのうちの何個かの浮体からの音波デバイス受信確認信号を受けることにより、音波デバイスの存在を広い海の中から探知できるようにしたシステムの実施例である。音波デバイスを受信した浮体からは赤信号を発信したり、色マークを海上に流したり、上空や海上の観測者に知らせるようにする。
【0016】
図8は、音波デバイス1と音波信号受信装置4の機能の実施例のブロック図を示す。音波デバイスは人間に取り付ける場合には小形化を必要とするが、機器に取り付けるときはそれ程重要視する必要がない。人間の場合には小形の電池、長寿命電池、リチュウム電池等の1次電池や2次電池を用いる。目的や対象物によって、瞬間出力を1W~10W程度あるいはそれ以上の出力を出す必要がある。
人間等が浸水したときに自動的に電源が入るように浸水スイッチを設けてもよいし、自動、手動でスイッチをオンにして間欠的に信号回路を動作させることにより、電池の消費を抑え長時間用いることができる。
沈んでいる場所が深い所では超音波SHが届かない所があるので長波ないしは超低周波音波や低周波音波Lを用いたり、中波中間周波音波Mを用いたり、短波高周波音波Hを用いたりして、音波が受信装置(リーダ)を持つ船舶や水中ロボットに届くようにする。
これらの周波数の制御や選択をCPUで制御する。
超音波SHや短波高周波音波HにID信号等のcode信号で変調し識別ができるようにして、この信号をドライバーや増幅器により音響振動子(変換器)により電気信号を音の振動に換え水を振動させる。電気は電池によって動作させ、リチューム電池やマグネシュウム電池等を用いる。出力も1W~100W程度のものを用いた方が遠方に届く。用途によって種々の電池を用いるとよい。
【0017】
図9(a)は、音波デバイスにセンサを設け、温度、圧力、振動等の情報を発生させて音波信号で伝送する場合の説明図である。
図9(b)は、中継器の説明図である。中継器はフィードバックを考慮して周波数変換を行った方がよい。深さに応じて周波数を変えて特定することも行うことができる。
【0018】
図10は、音波信号受信装置の方から音波デバイスの方に信号を送り、待機状態(スリーピング状態)の音波デバイスを起動し音波デバイスを活動状態にする場合のトランスポンダーの説明図である。
【0019】
図11(a)は、音波受信用受信振動子を配列し、平面に配列した場合、同相または位相を設けて配置し正対方向あるいは斜め方向に指向性を作り、音波デバイスの信号を受信し易くする方法の実施例である。同図では5素子の縦横に振動子を配列した場合の実施例である。
送信、受信(送波、受波)ともに同様である。
センサ振動子が円筒に並べられ水平面無指向性とし、数本このセンサ振動子を配列する方法もある。
図11(b)に示す。
図11(c)(d)(e)は、平面配列の振動子アレイやパラボラ面を下方ないしは斜めに向けて回転させ、指向性の方向により音波デバイスの音の方向を探る場合を示す説明図である。
【0020】
図12は、音波デバイスの取付方法や取付位置、取付対象物等の実施例を示す。
人間の腕に取り付ける実施例(a)、救命胴衣等の装着物に取り付ける実施例(b)、スマホ等の携帯物に取り付ける実施例(c)、防衛機器や障害物に取り付ける実施例(d)、海上、海中に生息する魚、貝類、甲殻類、動物、海中に備える網やケーブルに取り付ける実施例(e)、音波デバイスを追跡し探索する中継器デバイス(f)等を示す。
【産業上の利用可能性】
【0021】
水中の通信は、ほぼ不可能であり近距離ではレーザー光や電気の流れ、磁気等が用いられている。音の反射を利用するレーダ装置等があるが、単に反射の映像を映すに過ぎない。
本発明により、水中に没した生物、人や物等を識別し、場所まで特定することができ、人命救助、防衛、漁業の危険回避等、今迄知ることが出来なかった広い水中の世界を知ることが出来るようになるので多くの産業に役立つことが出来る。
【符号の説明】
【0022】
1 音波デバイス
2 音波デバイスよりの信号音波
3 リーダ側よりのコマンド信号、起動信号等
4 リーダ側、音波送受信器
41 電気信号音波変化トランスデューサ、アンテナ(音波→電気信号、電気信号→音波)
41a 平面形アンテナ、単指向性またはフェーズドアレイ可変指向性
41b 全方向指向性
41c 単指向性パラボラ反射鏡による集音装置
5 海上送受信機、GPS等を備える船舶
21 中継船よりのup Link
31 中継船へのdown Linkコマンド、制御信号等
61 独立走行潜水艇(深海、水中ドローン等)
62 ケーブル付き探査用ロボット潜水艇