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▶ 植田 眞弘の特許一覧

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  • 特開-浴槽の給排水口直結ホース 図1
  • 特開-浴槽の給排水口直結ホース 図2
  • 特開-浴槽の給排水口直結ホース 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116053
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】浴槽の給排水口直結ホース
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/00 20060101AFI20240820BHJP
   F24H 9/16 20220101ALI20240820BHJP
【FI】
A47K3/00 Z
F24H9/16 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023034094
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000189958
【氏名又は名称】植田 眞弘
(72)【発明者】
【氏名】植田 眞弘
【テーマコード(参考)】
2D005
【Fターム(参考)】
2D005FA00
(57)【要約】
【課題】風呂に湯を張る場合および浴槽内に高温の湯を継ぎ足す場合、給湯ボタンを押すと浴槽内の給水口(給湯口)から最初に冷水および低温の湯が出てくる。これはガス風呂のバーナー部またはエコキュートの貯湯タンクから浴槽の給水口に至る配管内に冷水が残っているためであるが、高温の湯を浴槽に張りたいときに冷水や低温の湯が浴槽内に入ってくれば、続いて高温の湯が入ってきても設定した湯温に達するのに時間がかかるし、エネルギーを無駄に使うことにもなる。これを改善する方法を見つけるのが課題である。
【解決手段】浴槽内の給水口(給湯口)と排水口とを直接柔軟性のあるホースでつなぎ、初期段階で浴槽内に入ってくる冷水および低温水を浴槽内に放出せずに、そのまま排水口から流し出す。十数秒待てば冷水および低温水が高温水に変わるので、その後はホースを取り外し通常の湯張りや足し湯を行なう。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟性を有し導水管として機能する筒状体の一端に風呂浴槽内の給水口を覆う椀状カップを装着し、他端に該排水口を覆う椀状カップを装着したことを特徴とする浴槽の給排水口直結ホース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風呂に湯を張る場合および浴槽内に高温の湯を継ぎ足す場合に使用する給水(湯)口(以下、給水口という)と排水口を直結するホースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から使用されてきたガス給湯器利用の風呂に加え、最近では夜間の低価格電力を利用するヒートポンプ付きのエコキュートが普及してきている。いずれの場合においても、風呂湯の供給装置の構造上、高温の湯を浴槽に張る場合には、ガスバーナー部あるいは貯湯タンクから浴槽の給水口に至る配管内に残っている冷水を最初に放出した後に高温の湯が供給されるしくみになっている。
【0003】
ところが、配管内の冷水を浴槽内に放出すれば、温度を上げようとしている風呂浴槽内の湯温はいったん下がるため、次に流入する高温の給湯によって風呂の湯温を上げる無駄な過程を経ることになる。本来ならば風呂の湯温を下げずに最初から高温の湯を注入するのが最良の方法であるのに、それができないために湯を沸かすエネルギーを無駄にするばかりか、湯温を適温にするまでに要する時間も長びいて使用する高温湯の量も多くなる。この現状の改善には、冷水を最初に放出する不合理な過程を取り除くことしかない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
以下に示す特許文献「自動風呂保温装置」は、風呂が設定温度に保たれているかを温度センサーで検出し、設定温度以下となったら追い炊き運転を開始するというもので、外気温や浴槽の設置環境に影響されずに常に安定した保温状態を維持することでランニングコストを低減しようとするものである。しかし、この装置といえども湯を入れる段階でバーナーまたは貯湯タンクから浴槽までの配管内に残る冷水の処理については言及しておらず不透明である。給水された冷水を浴槽の中に放出せず直接排水口に流すアイデアは、筆者が調べた範囲では先願としての存在を確認できなかった。
【特許文献1】特開2008-145046
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
浴槽内の湯温を適正に保つためには、風呂内に湯を張る第一段階においても、さらには湯を張ったのちに高温の湯を継ぎ足す第二段階においても、冷水を最初に供給することは不合理である。給湯を始める初期段階から冷水を排除して高温の湯を供給することが高温湯の有効利用につながり、かつエネルギーの削減の観点からも必要であると考え、この点に重点を置いて考案されたのが本発明である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために請求項1に記載のアイデアは、柔軟性を有し導水管として機能する筒状体の一端に風呂浴槽内の給水口を覆う椀状カップを装着し、他端に該排水口を覆う椀状カップを装着したことを特徴とする浴槽の給排水口直結ホースである。
【0007】
本発明の目指すところは、あくまでも浴槽内に給湯する初期段階で放出される冷水を浴槽内に流入させずに直接排水口に導いて排水させることである。給水口と排水口にホースをあてがう時間は、給水が始まり高温の湯に変わるまでの十数秒程度の短時間で十分で、その後水の供給は止まり高温の湯に変わるので、当該ホースは取り外してもよい。同時に浴槽の排水口を閉鎖し、給水口から浴槽への本来の湯の供給を開始する。
【0008】
本発明のホース両端の椀状カップを浴槽内の給水口および排水口にあてがう時間は、風呂に湯を張る初期段階の十数秒と高温足し湯を浴槽内に導き入れる十数秒程度の短時間であり、椀状カップの給排水口への接合はその短時間だけ手または足で押さえておくことで十分である。したがって該カップを仮留めしておく器具などを付ける必要性は少ない。ホースを給排水口にしっかりあてがいたいというのであれば、ホースの両端部またはどちらか一方の端部にホース押さえ具を取り付けてもよい。
【0009】
本発明で使用するホースは、給排水口の位置関係により曲げて使用する場合が多いので柔軟性のあるホースが求められるし、ホース直径は3~4cmで風呂湯の給排水が短時間に無理なく行なえる太さのものが望ましい。ホースの材質は合成樹脂、ゴム、布、金属などを問わないし、2種類以上の材質を組み合わせたものでも構わない。また浴槽内の給排水口間の距離は浴槽の種類により異なるので、ホースの長さはある程度余裕を持った長さが便利ではあるが、長すぎて急角度に曲げて使用したり、短すぎて給排水口のところで水漏れが起こったりするとスムーズな給排水ができないので、その辺を考慮して長さを決めることが必要である。
【0010】
ホースの両端に装着する椀状カップであるが、給水口に取り付けてある金具は給湯時に浴槽内に湯が飛び散るのを防いで放出方向をコントロールする役目を、また排水口の金具は足指などが直接吸い込まれないように保護する役目を担っているので、カップが給排水口の金具に接触してスムーズな給排水を邪魔しないように、あてがったときに周囲に余裕を持たせた大きさのカップとすることが大切である。
【0011】
給水口および排水口にあてがう椀状カップは、給水時と排水時にかなりの水圧を受けて水が飛び散ることも予想されるので、カップが浴槽壁面に当たる部分にゴムや合成樹脂などのパッキンを装着して対応することも一案として考えたい。
【発明の効果】
【0012】
風呂に湯を張るときまたは浴槽内に高温の湯を継ぎ足す場合、給水初期に給水口から出てくる冷水を浴槽内に放出するのをやめて直接排水口へ導くことにより、高温の湯が持つ温熱エネルギーを浴槽内の湯温を上げることだけに利用できる効果がある。言いかえるならば、いったん湯温を下げるという無駄な過程を排除できる点が本発明の核心部分となっている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】浴槽の給排水口直結ホースの外観斜視図である。
図2】本発明の使用状況を示す外観斜視説明図である。
図3】湯を張った浴槽へのホース装着状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、図1に示すごとく柔軟性のあるホース2の両端に給水口金具5にかぶせる椀状入カップ3と排水口金具6にかぶせる椀状出カップ4を取り付けた構造で、この使用方法についてはDAIKINエコキュートを例にとって説明する。
【0015】
風呂張りの仕方の説明は、該エコキュートのコントロール画面に沿って説明することとする。最初に浴槽7に湯を張るには、浴槽横のコントロール画面(図示省略)に示された「ふろ自動」ボタンを押すと、あらかじめ設定した温度と湯量で浴槽7に湯を張る動作に移る。するとすぐに給水口金具5の部分から冷水が出てくるので、「ふろ自動」ボタンを押すと同時に浴槽7の縁にある排水ボタン8をも押し、冷水を浴槽外に出す排水口が開く状態にする。そして浴槽の給排水口直結ホース1の両端についている椀状入カップ3を給水口金具5に、椀状出カップ4を排水口金具6に、それぞれ金具を覆うようにして被せ、出てきた冷水を浴槽7内に入れずに給水口5から直接排水口6に導く。この動作はどれ一つが欠けても冷水の排水がスムーズにできなくなるので、これらの動作を短時間内に手際よく確実に行なうことが必要である。
【0016】
浴槽7への湯張りが済んだら、次は入浴中に湯温が下がってきた場合の高温足し湯である。リモコン画面の「たし湯」を3秒間ほど長押しすると高温の湯が出るとの説明が流れ、給水口金具5からすぐに冷水が出てきて十数秒後に高温の足し湯に変わる。この際も上項と同じ動作を短時間内に行なって冷水を浴槽7外に捨て、高温水だけを浴槽7内に導くようにする。上項および本項の実施においては、給排水の勢いで椀状入カップ3や椀状出カップ4が外れそうになる場合があるので、ホース2の両端に手や足を軽く触れておくと確実にできる。
【0017】
浴槽7に湯を張る場合、あるいは張ってある湯に高温湯を継ぎ足す場合、先に述べたように給水口から貯湯タンクと浴槽間のホース内にたまっている冷水が最初に出てくるのは避けられない。筆者家のエコキュートで実測したところ、出てきた冷水は2.1リットル+低温水1.6リットルで冷水の水温は23℃、低温水は33℃であった(測定時は2月、ちなみにこのときの飲料水の水温は13℃)。この冷水をそのまま浴槽7に導いた場合には、浴槽7内の湯面9は上がって湯温は下がるが、しばらくして出てくる高温湯によって徐々に湯温が回復してくる。
【0018】
ちなみに、高温湯を継ぎ足したときの浴槽内の湯温は38℃であったが、出てきた冷水が混ざったことにより浴槽内全体の湯温は1度下がって37℃となった。わが家の浴槽に張る湯量は140~145リットルであり、この量の湯を1℃上げて元の湯温(38℃)に戻し、そこからさらに湯温を例えば40℃になるまで2℃ほど上げるとなると、これに要するエネルギー(エコキュートの場合は貯湯タンク内の湯量)は相当量となることが察せられる。
【0019】
給水口3からそのまま十数秒間給水していると、冷水が次第に湯に変わるので、そうなれば浴槽の給排水口直結ホース1を取り外してよい。と同時に、浴槽7上部の縁にある排水ボタン8を押し排水口金具6を閉じて排水を止めなければならない。そして浴槽の給排水口直結ホース1を取り外し、通常の給水状態に戻すと給水口金具5からは湯が浴槽7内に給湯され、湯が満たされることになる。以上述べた一連の動作は、すべてが完了するのに1分間もかからないほどの短時間であるが、確実に行なう必要がある。
【符号の説明】
【0020】
1・・・浴槽の給排水口直結ホース
2・・・ホース
3・・・椀状入カップ
4・・・椀状出カップ
5・・・給水口金具
6・・・排水口金具
7・・・浴槽
8・・・排水ボタン
9・・・湯面
図1
図2
図3