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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116066
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】電力変換器
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/487 20070101AFI20240820BHJP
【FI】
H02M7/487
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023204994
(22)【出願日】2023-12-05
(31)【優先権主張番号】18/167,743
(32)【優先日】2023-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513132966
【氏名又は名称】ジーイー エナジー パワー コンバージョン テクノロジー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GE Energy Power Conversion Technology Ltd.
【住所又は居所原語表記】Thomson Houston Way, Off Technology Drive, Rugby, Warwickshire, CV21 1BD
(71)【出願人】
【識別番号】523455655
【氏名又は名称】ヴァージニア テック インテレクチュアル プロパティーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(72)【発明者】
【氏名】ジ・チョウ
(72)【発明者】
【氏名】チャン・リュウ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイッシュ・クマール・モトワニ
(72)【発明者】
【氏名】ドン・ドン
(72)【発明者】
【氏名】ローランドー・バーゴス
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電力変換器に関し、より具体的にはマルチレベルコンバータに関する。
【解決手段】少なくとも1つのレグであって、複数のスイッチングユニットと、複数の単方向電流スイッチと、第1の接続ノードと、第2の接続ノードとを含む第1のストリングであって、第1のバス及び第2のバスに動作可能に結合された第1のストリング、及び前記第1の接続ノード及び前記第2の接続ノードを通じて第1のストリングに動作可能に結合された第2のストリングであって、第2のストリングは、複数の単方向電流スイッチと、第4のバスに動作可能に結合された第4の接続ノードとを含む、第2のストリングを含む少なくとも1つのレグを含む電力変換器が提供される。電力変換器は、前記複数のスイッチングユニットのスイッチングを制御するように構成されたコントローラも含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのレグであって、
複数のスイッチングユニットと、複数の単方向電流スイッチと、第1の接続ノードと、第2の接続ノードとを含む第1のストリングであって、第1のバス及び第2のバスに動作可能に結合された第1のストリング、及び
前記第1の接続ノード及び前記第2の接続ノードを通じて第1のストリングに動作可能に結合された第2のストリングであって、第2のストリングは、複数の単方向電流スイッチと、第4のバスに動作可能に結合された第4の接続ノードとを含む、第2のストリング
を含む少なくとも1つのレグ、及び
前記複数のスイッチングユニットのスイッチングを制御するように構成されたコントローラ
を含む電力変換器。
【請求項2】
各単方向電流スイッチがダイオードを含む、請求項1に記載の電力変換器。
【請求項3】
各単方向電流スイッチは、
シリコン制御整流器、
逆並列ダイオードを伴うシリコン制御整流器、又は
シリコン制御整流器であって、シリコン制御整流器と同一の逆並列シリコン制御整流器を伴うシリコン制御整流器
を含む、請求項1に記載の電力変換器。
【請求項4】
前記複数のスイッチングユニットは、ハーフブリッジコンバータ、フルブリッジコンバータ、又はハイブリッドフルブリッジコンバータを含む、請求項1に記載の電力変換器。
【請求項5】
前記第1のストリングは、第1のブランチ及び第2のブランチを更に含み、前記第1のブランチは、第3の接続ノードを通じて前記第2のブランチに動作可能に結合されている、請求項1に記載の電力変換器。
【請求項6】
前記第3の接続ノードは第3のバスに動作可能に結合されている、請求項5に記載の電力変換器。
【請求項7】
前記第1のブランチは、前記第1のストリングの前記複数のスイッチングユニットのうちのスイッチングユニットの第1のセットと、前記第1のストリングの前記複数の単方向電流スイッチのうちの第1の単方向電流スイッチとを含み、前記第2のブランチは、前記第1のストリングの前記複数のスイッチングユニットのうちのスイッチングユニットの第2のセットと、前記第1のストリングの前記複数の単方向電流スイッチのうちの第2の単方向電流スイッチとを含み、
スイッチングユニットの前記第1のセットは、前記第1の接続ノード及び前記第3の接続ノードに動作可能に結合され、前記第1の接続ノードは、前記第1の単方向電流スイッチによって前記第1のバスに動作可能に結合され、
スイッチングユニットの前記第2のセットは、前記第2の接続ノード及び前記第3の接続ノードに動作可能に結合され、前記第2の接続ノードは、前記第2の単方向電流スイッチによって前記第2のバスに動作可能に結合される、請求項5に記載の電力変換器。
【請求項8】
前記第1のバスは正の直流バスを含み、前記第2のバスは負の直流バスを含む、請求項7に記載の電力変換器。
【請求項9】
前記第4の接続ノードは、交流相を含む第4のバスに動作可能に結合され、前記第1のバスと前記第2のバスとの間の電圧は、交流相の最大瞬時電圧よりも大きい、請求項8に記載の電力変換器。
【請求項10】
前記第1のブランチは、前記第1のストリングの前記複数のスイッチングユニットのうちのスイッチングユニットの第1のセットと、前記第1のストリングの前記複数の単方向電流スイッチのうちの第1の単方向電流スイッチとを含み、前記第2のブランチは、前記第1のストリングの前記複数のスイッチングユニットのうちのスイッチングユニットの第2のセットと、前記第1のストリングの前記複数の単方向電流スイッチのうちの第2の単方向電流スイッチとを含み、
スイッチングユニットの前記第1のセットは、前記第1のバス及び前記第1の接続ノードに動作可能に結合され、前記第1の単方向電流スイッチは、前記第1の接続ノード及び前記第3の接続ノードに動作可能に結合され、
スイッチングユニットの前記第2のセットは、前記第2のバス及び前記第2の接続ノードに動作可能に結合され、前記第2の単方向電流スイッチは、前記第2の接続ノード及び前記第3の接続ノードに動作可能に結合されている、請求項5に記載の電力変換器。
【請求項11】
前記第1のバスはあ正の直流バスを含み、前記第2のバスは負の直流バスを含む、請求項10に記載の電力変換器。
【請求項12】
前記第4の接続ノードは、交流相を含む第4のバスに動作可能に結合され、前記第1のバスと前記第2のバスとの間の電圧は、交流相の最大瞬時電圧よりも小さい、請求項11に記載の電力変換器。
【請求項13】
前記電力変換器の力率が0.87から1の間である、請求項12に記載の電力変換器。
【請求項14】
前記第2のストリングは、第1の部分及び第2の部分を含み、前記第1の部分は、前記第4の接続ノードを通じて前記第2の部分に動作可能に結合され、
前記第1の部分は、前記第2のストリングの前記複数の単方向電流スイッチのうちの第1の単方向電流スイッチを含み、前記第2の部分は、前記第2のストリングの前記複数の単方向電流スイッチのうちの第2の単方向電流スイッチを含み、
前記第1の単方向電流スイッチは、前記第1の接続ノード及び前記第4の接続ノードに動作可能に結合され、
前記第2の単方向電流スイッチは、前記第2の接続ノード及び前記第4の接続ノードに動作可能に結合される、請求項1に記載の電力変換器。
【請求項15】
前記コントローラは、前記1つ又は複数のレグの各レグを正の状態又は負の状態で動作させるように構成されている、請求項1に記載の電力変換器。
【請求項16】
電源、
負荷又は供給源、
電力変換器であって、
1つ又は複数のレグであって、前記1つ又は複数のレグの各レグは、
複数のスイッチングユニット、複数の単方向電流スイッチ、第1の接続ノード、及び第2の接続ノードを含む第1のストリングであって、前記第1のストリングは、第1のバス及び第2のバスに動作可能に結合される、第1のストリング、及び
前記第1の接続ノード及び前記第2の接続ノードを通じて前記第1のストリングに動作可能に結合された第2のストリングであって、前記第2のストリングは、複数の単方向電流スイッチと、第4のバスに動作可能に結合された第4の接続ノードとを含む、第2のストリング
を含む、1つ又は複数のレグ、及び
前記複数のスイッチングユニットのスイッチングを制御するように構成されたコントローラ
を含む、電力変換システム。
【請求項17】
前記コントローラは、ライン周期の間に前記第1のストリングに蓄積されたエネルギーを調整するように更に構成されている、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記第2のストリングは、第1の部分及び第2の部分を含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記第2のストリングの前記第1及び第2の部分は、交流相に動作可能に結合されている、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
電源、
負荷又は供給源、
電力変換器であって
1つ又は複数のレグであって、前記1つ又は複数のレグの各レグは、
複数のスイッチングユニット、複数の単方向電流スイッチ、第1の接続ノード、第2の接続ノード、及び第3の接続ノードを含む第1のストリングであって、前記第1のストリングは第1のバスと第2のバスとの間に動作可能に結合され、前記1つ又は複数のレグの前記第3の接続ノードは互いに動作可能に結合される、第1のストリング、及び
前記第1の接続ノード及び前記第2の接続ノードを通じて前記第1のストリングに動作可能に結合された第2のストリングであって、前記第2のストリングは、複数の単方向電流スイッチと、第4のバスに動作可能に結合された第4の接続ノードとを含む、第2のストリング
を含む、1つ又は複数のレグ、及び
前記複数のスイッチングユニットのスイッチングを制御するように構成されたコントローラ
を含む、電力変換システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に電力変換器に関し、より具体的にはマルチレベルコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文書US9,515,568は、複数のレグを含む電力変換器を開示しており、各レグは、第1のバスと中性点と第2のバスとを含む直流DCリンクに結合された第1のストリングと、第1のストリングに結合され、交流相に結合された第2のストリングとを含んでいる。
【0003】
第1のストリングは複数のダイオードを含み、第2のストリングは複数のサブモジュールを含み、各サブモジュールは複数の制御可能スイッチと少なくとも1つのエネルギー貯蔵デバイスとを含んでいる。
【0004】
この電力変換器は、DCリンク電圧がAC相の最大瞬時電圧よりも大きい場合(例えば、DCリンク電圧が24kVに等しく、ライン間(L-L)のAC電圧の二乗平均(RMS)値が13.8kVでAC相の最大瞬時電圧が11.27kVに等しい場合)に動作する。
【0005】
DCリンク電圧が可変であり、AC相の最大瞬時電圧よりも低いことが要求される用途(例えば、13.8kVのL-L AC RMS 電圧に対してAC相の最大瞬時電圧が11.27kVに等しく、DCリンク電圧が6kVのDCに等しい場合)では、参照された先行技術の電力変換器は動作しない。
【0006】
したがって、従来技術から既知の電力変換器に関する全ての欠点又は一部の欠点を改善することを提案する。
【発明の概要】
【0007】
本開示の態様に従って、電力変換器が提案される。
【0008】
電力変換器は、少なくとも1つのレグであって、複数のスイッチングユニットと、複数の単方向電流スイッチと、第1の接続ノードと、第2の接続ノードとを含む第1のストリングであって、第1のバス及び第2のバスに動作可能に結合された第1のストリング、及び前記第1の接続ノード及び前記第2の接続ノードを通じて第1のストリングに動作可能に結合された第2のストリングであって、第2のストリングは、複数の単方向電流スイッチと、第3のバスに動作可能に結合された第3の接続ノードとを含む、第2のストリングを含む少なくとも1つのレグを含む。前記電力変換器は、更に、前記複数のスイッチングユニットのスイッチングを制御するように構成されたコントローラを含む。
【0009】
本開示の更に別の態様によれば、電力変換システムが提案される。本システムは、電源、負荷、及び電力変換器を含んでいる。電力変換器は、1つ又は複数のレグを含んでいる。前記1つ又は複数のレグの各レグは、複数のスイッチングユニット、複数の単方向電流スイッチ、第1の接続ノード、及び第2の接続ノードを含む第1のストリングであって、前記第1のストリングは、第1のバス及び第2のバスに動作可能に結合される、第1のストリング、及び前記第1の接続ノード及び前記第2の接続ノードを通じて前記第1のストリングに動作可能に結合された第2のストリングであって、前記第2のストリングは、複数の単方向電流スイッチと、第4のバスに動作可能に結合された第4の接続ノードとを含む、第2のストリングを含んでいる。更に、本システムは、前記複数のスイッチングユニットのスイッチングを制御するように構成されたコントローラを含む。
【0010】
本開示の更に別の態様によれば、電力変換システムが提案される。本システムは、電源、負荷、及び電力変換器を含む。電力変換器は、1つ又は複数のレグを含む。前記1つ又は複数のレグの各レグは、複数のスイッチングユニット、複数の単方向電流スイッチ、第1の接続ノード、第2の接続ノード、及び第3の接続ノードを含む第1のストリングであって、前記第1のストリングは第1のバスと第2のバスとの間に動作可能に結合され、前記1つ又は複数のレグの前記第3の接続ノードは互いに動作可能に結合される、第1のストリング、及び前記第1の接続ノード及び前記第2の接続ノードを通じて前記第1のストリングに動作可能に結合された第2のストリングであって、前記第2のストリングは、複数の単方向電流スイッチと、第4のバスに動作可能に結合された第4の接続ノードとを含む、第2のストリングを含む。更に、本システムは、前記複数のスイッチングユニットのスイッチングを制御するように構成されたコントローラを含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
例示的な実施形態は、様々な構成要素の形態、及び構成要素の構造の形態をとることができる。例示的な実施形態は添付図面に示されており、図面全体を通じて、同様の参照数字は、様々な図面において対応する又は同様の部分を示す。図面は、単に実施形態を説明するためのものであり、本開示を限定するものとして解釈されるべきものではない。以下の利用可能な図面の説明を考慮すれば、本開示の新規な態様は、関連する技術分野の当業者には明らかである。
図1】電力変換のシステムの概略図である。
図2】本開示の態様による、図1のシステムで使用するための第1の例示的実施形態の電力変換器の一部の図である。
図3A】本開示の態様による第2の例示的実施形態の単方向電流スイッチを示す。
図3B】本開示の態様による逆並列ダイオードを有する第3の例示的実施形態の単方向電流スイッチを示す。
図3C】本開示の態様による第4の例示的実施形態の単方向電流スイッチであって、逆並列の同一の単方向電流スイッチを伴う単方向電流スイッチを示す。
図4】本開示の態様による第1の例示的な実施形態のスイッチングユニットを示す。
図5】本開示の態様による第2の例示的実施形態のスイッチングユニットを示す。
図6】本開示の態様による第3の例示的実施形態のスイッチングユニットを示す。
図7】本開示の態様による第1の例示的実施形態の制御可能スイッチを示す。
図8】本開示の態様による第2の例示的実施形態の制御可能スイッチを示す。
図9】本開示の態様による、図2に示す第1の例示的実施形態の電力変換器のレグの動作状態の概略図である。
図10】本開示の態様による、図2に示す第1の例示的実施形態の電力変換器のレグの図9とは異なる動作状態の概略図である。
図11】本開示の態様による、図1のシステムで使用される第1の例示的実施形態の三相電力変換器の概略図である。
図12図11のシステムで使用される、1ライン周期において互いに異なる3相の状態に対応する電圧波形の概略図である。
図13】本開示の態様による、図1のシステムで使用される第2の例示的実施形態の電力変換器の一部の斜視図である。
図14】本開示の態様による、図13の電力変換器の第2の例示的実施形態のレグの動作状態の概略図である。
図15】本開示の態様による、図13の電力変換器の第2の例示的実施形態のレグの図14とは異なる動作状態の概略図である。
図16】本開示の態様による、図1のシステムで使用される第2の例示的実施形態の三相電力変換器の概略図である。
図17図16のシステムで使用される、1ライン周期において互いに異なる3相の状態に対応する電圧波形の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書で使用される技術用語及び科学用語は、他に定義されない限り、本開示の属する技術分野における通常の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で使用される「第1」、「第2」などの用語は、いかなる順序、量、又は重要性を示すものではなく、或る要素を他の要素と区別するために使用される。また、「a(1つの)」及び「an(1つの)」という用語は、数量の限定を示しているのではなく、参照される複数の項目のうちの少なくとも1つの項目の存在を示している。「又は」という用語は、包括的であることを意味し、列挙された項目の1つ、一部、又は全てを意味する。本明細書における「including(含む、有する、備える)」、「comprising(含む、有する、備える)」又は「having(含む、有する、備える)」の使用及びそれらの用語の変化形は、それ以降に列挙される項目及びそれらの項目の均等物並びに追加の項目を包含することを意味する。「connected(接続された、結合された)」及び「coupled(接続された、結合された)」という用語は、物理的又は機械的な接続又は結合に限定されることはなく、直接的又は間接的であるかどうかにかかわらず、電気的な接続又は結合を含む。更に、「circuit(回路)」、「circuitry(回路、回路構成)」、及び「controller(コントローラ)」という用語は、単一の構成要素又は複数の構成要素のいずれかを含むことができ、これらの構成要素は、能動的及び/又は受動的であり、記載された機能を提供するために接続又は結合される。
【0013】
以下に詳細に説明するように、電力変換の例示的なシステム及び電力変換の方法の様々な実施形態が示されている。以下に記載する電力変換器及び電力変換方法を採用することにより、マルチレベルコンバータが提供される。一例において、電力変換器は、モジュール型マルチレベル整流器を含むことができる。
【0014】
図面を参照すると、図1には例として、電力を変換するシステム1が示されている。一実施形態では、電力を変換するためのシステム1は、電源2、電力変換器3、及び負荷又は供給源4を含むことができる。本明細書では、供給源という用語は、再生可能電源、非再生可能電源、発電機、グリッドなどを表すために使用される。一実施形態では、電源2は、電力変換器3の第1の端子(図示せず)に動作可能に結合することができる。電力変換器3の第2の端子(図示せず)は、負荷4(電気モータ駆動部や海中の負荷など)に動作可能に結合することができる。
【0015】
また、システム1は、コントローラ5を含むことができる。コントローラ5は、一実施形態において、電力変換器3の動作を制御するように構成することができる。一例として、コントローラ5は、電力変換器3の複数の半導体スイッチのスイッチングを制御することによって電力変換器3の動作を制御するように構成することができる。更に、一実施形態では、システム1は、遮断器、インダクタ、補償器、コンデンサ、整流器、リアクトル、フィルタなどの(これらに限定されることはない)他の回路構成要素(図示せず)を含むこともできる。
【0016】
図2を参照すると、図1に示す一例示的実施形態の電力変換器3の一部の概略図が示されている。特に、図2の実施形態では、電力変換器3の第1の実施形態のレグ6が示されている。
【0017】
レグ6は電力整流器(単相電力整流器、二相電力整流器、三相電力整流器、その他同等の多相電力整流器など)で使用することができる。
【0018】
電力変換器のレグ6は、第1のストリング7と第2のストリング8とを含むことができる。より詳細には、第1のストリング7は、第2のストリング8に動作可能に結合されてレグ6を形成することができる。更に、第1のストリング7は、第1のバス9に動作可能に結合された第1の接続部7aと、第2のバス10に動作可能に結合された第2の接続部7bとを含んでいる。一実施形態では、第1のバス9は正のDCバスを含み、第2のバス10は負のDCバスを含み、第1のバス9及び第2のバス10はDCリンクを形成する。第2のストリング8は、第1の接続ノード11及び第2の接続ノード12を通じて第1のストリング7に動作可能に結合することができる。また、第1のストリング7は、第3の接続ノード15を通じて第2のブランチ14に動作可能に結合された第1のブランチ13を含むことができる。第3の接続ノード15は、レグ6の第3の接続部7cを通じて第3のバス16に動作可能に結合することができる。
【0019】
同様に、第2のストリング8は、第4の接続ノード19を通じて第2の部分18に動作可能に結合された第1の部分17を含むことができる。
【0020】
第4の接続ノード19は、第4の接続部8aを通じて第4のバス20に動作可能に結合することができる。
【0021】
第4のバス20は交流AC位相である。
【0022】
更に、図2の本例では、第3のバス16は直流バスとすることができ、より詳細には、第1のバス9に対して負電位であり第2のバス10に対して正電位である中間DCバスとすることができる。一実施形態では、中間バスは、フローティングであってもよいし、接地されていてもよいし、高インピーダンス接地バスであってもよい。
【0023】
第1のストリング7は、複数のスイッチングユニット21と、少なくとも2つの単方向電流スイッチ22c、22dとを含むことができ、第2のストリング8は、少なくとも2つの単方向電流スイッチ22e、22fを含むことができる。
【0024】
スイッチングユニット21はコントローラ5によって制御される。
【0025】
各スイッチングユニット21は、第1の端部21aと第2の端部21bとを含んでおり、各単方向電流スイッチ22c、22d、22e、22fは、第1の接続部22aと第2の接続部22bとを含んでいる。
【0026】
第1のブランチ13は、第1のストリング7の複数のスイッチングユニットのうちのスイッチングユニット21の第1のセット23と、第1のストリング7の2つの単方向電流スイッチ22c,22dのうちの第1の単方向電流スイッチ22cとを含んでいる。
【0027】
同様に、第2のブランチ14は、第1のストリング7の複数のスイッチングユニットのうちのスイッチングユニット21の第2のセット24と、第1のストリング7の2つの単方向電流スイッチ22c,22dのうちの第2の単方向電流スイッチ22dとを含んでいる。
【0028】
第1及び第2のセット23、24のスイッチングユニット21の数は等しい。
【0029】
第1のブランチ13と第2のブランチ14の各ブランチは、更にインダクタ250を含むことができる。
【0030】
第1のセット23のスイッチングユニット21は直列に接続されており、1つのスイッチングユニット21の第1の端部21aは隣接するスイッチングユニット21の第2の端部21bに接続されている。
【0031】
第1のセット23のスイッチングユニット21の第1の残りの端部21aは、第1の接続ノード11及び第1の単方向電流スイッチ22cの出力部22bに接続され、第1のセット23のスイッチングユニット21の第2の残りの端部21bは、第1のブランチ13のインダクタ250の第1の端部に接続されている。
【0032】
スイッチングユニットの残りの端部は、当該スイッチングユニットの、他のスイッチングユニットの端部に接続されていない端部である。
【0033】
第1のブランチ13のインダクタ250の第2の端部は、第3の接続ノード15に接続されている。
【0034】
第1の単方向電流スイッチ22cの第1の接続部22aは、第1の接続部7aに動作可能に結合されている。
【0035】
第2のセット24のスイッチングユニット21は直列に接続されている。
【0036】
第2のセット24のスイッチングユニット21の第1の残りの端部21aは、第2のブランチ14のインダクタ250の第1の端部に接続され、第2のセット24のスイッチングユニット21の第2の残りの端部21bは、第2の接続ノード12に接続されている。
【0037】
第2のブランチ14のインダクタ250の第2の端部は、第3の接続ノード15に接続されている。
【0038】
2つの単方向電流スイッチ22のうちの第2の単方向電流スイッチ22dの第1の接続部22aは、第2の接続ノード12に接続され、2つの単方向電流スイッチ22のうちの第2の単方向電流スイッチ22dの第2の接続部22bは、第2の接続部7bに動作可能に結合されている。
【0039】
第1の部分17は、2つの単方向電流スイッチ22e,22fのうちの第1の単方向電流スイッチ22eを含んでおり、第2の部分18は、2つの単方向電流スイッチ22e,22fのうちの第2の単方向電流スイッチ22fを含んでいる。
【0040】
第1の単方向電流スイッチ22eの第1の接続部22aは第1の接続点11に動作可能に結合されており、第1の単方向電流スイッチ22eの第2の接続部22bは第4の接続ノード19に接続されている。
【0041】
第2の単方向電流スイッチ22fの第1の接続部22aは第4の接続ノード19に接続されており、第2の単方向電流スイッチ22fの第2の接続部22bは第2の接続点12に動作可能に結合されている。
【0042】
スイッチングユニット21は、完全に制御可能な複数の半導体スイッチとエネルギー貯蔵デバイスとの組み合わせとすることができる。
【0043】
図示されるように、第1の例示的実施形態の単方向スイッチ22c、22d、22e、22fでは、各単方向電流スイッチ22c、22d、22e、22fはダイオード25を含んでおり、ダイオード25のカソードは第1の接続部22aに接続されており、ダイオード25のアノードは第2の接続部22bに接続されている。
【0044】
ダイオード25は、シリコンダイオードであってもよいし、シリコンカーバイドダイオードであってもよい。
【0045】
ダイオード25を使用することで、レグのコストを大幅に削減し、信頼性を高めることができる。
【0046】
変形例では、図3Aに示されるように、各単方向電流スイッチ22c、22d、22e、22fは、シリコン制御整流器SCR26を含むことができ、SCR26のカソードは、第1の接続部22aに接続され、SCR26のアノードは、第2の接続部22bに接続され、SCR26のゲートは、コントローラ5に動作可能に結合されている。
【0047】
単方向電流スイッチ22c、22d、22e、22fにSCR26を実装すると、ダイオード25の実装と比較して、SCR26のスイッチングを制御することが可能になる。
【0048】
図3Bは、逆並列ダイオードを有する第2の例示的実施形態の単方向電流スイッチ22c、22d、22e、22fのブロック図である。
【0049】
各半導体スイッチ22c、22d、22e、22fは、逆並列ダイオード300とシリコン制御整流器(SCR)301とを含んでいる。
【0050】
逆並列ダイオード300のアノードとSCR301のカソードは、単方向電流スイッチ22c、22d、22e、22fの第1の接続部22aに接続されている。
【0051】
逆並列ダイオード300のカソードとSCR301のアノードは、単方向電流スイッチ22c、22d、22e、22fの第2の接続部22bに接続されている。
【0052】
SCR301のゲートはコントローラ5に接続されている。
【0053】
図3Cは、シリコン制御整流器(SCR)と同一の逆並列SCRとを有する第3の例示的実施形態の単方向電流スイッチ22c、22d、22e、22fのブロック図である。
【0054】
各半導体スイッチ22c、22d、22e、22fは、シリコン制御整流器(SCR)302と同一の逆並列SCR303とを含んでいる。
【0055】
逆並列SCR303のアノードとSCR302のカソードは、単方向電流スイッチ22c、22d、22e、22fの第1の接続部22aに接続されている。
【0056】
逆並列SCR303のカソードとSCR302のアノードは、単方向電流スイッチ22c、22d、22e、22fの第2の接続部22bに接続されている。
【0057】
SCR302のゲートと逆並列SCR303のゲートはコントローラ5に接続されている。
【0058】
図4は、第1の例示的実施形態のスイッチングユニット21を概略的に示している。
【0059】
現在考えられている構成では、スイッチングユニット21はハーフブリッジ変換器と呼ぶことができ、同一の2つの制御可能スイッチ27、28と、第1の端部290aと第2の端部290bとを含むエネルギー貯蔵デバイス290とを含んでいる。
【0060】
エネルギー貯蔵デバイス290は、複数のキャパシタのうちの少なくとも1つのキャパシタを含むことができる。
【0061】
各制御可能スイッチ27、28は、コントローラ5に接続された第1の端部27a、28a、第2の端部27b、28b、及びコマンド入力部27c、28cを含んでいる。
【0062】
第1の制御可能スイッチ27の第1の端部27aは、エネルギー貯蔵デバイス290の第1の端部290aに接続されている。
【0063】
第1の制御可能スイッチ27の第2の端部27b及び第2の制御可能スイッチ28の第1の端部28aは、スイッチングユニット21の第1の端部21aに接続されている。
【0064】
第2の制御可能スイッチ28の第2の端部28bは、エネルギー貯蔵デバイス290の第2の端部290b及びスイッチングユニット21の第2の端部21bに接続されている。
【0065】
更に、非限定的な一例では、第1の制御可能スイッチ27が作動し、第2の制御可能スイッチ28が作動しないようにすると、エネルギー貯蔵デバイス290が、第1の端部21aと第2の端部21bとの両端に電気的に現れる。その結果、エネルギー貯蔵デバイス290の両端の電荷は、第1の端部21a及び第2の端部21bの両端の電圧として現れる。あるいは、第2の制御可能スイッチ28が作動し、第1の制御可能スイッチ27が作動しないようにすると、エネルギー貯蔵デバイス290はシャントされ、それにより第1の端部21a及び第2の端部21bの両端がゼロ電圧になる。したがって、第1のストリング7の複数のスイッチングユニット21の制御可能スイッチ27、28のスイッチングを制御することによって、第1のストリング7にわたって発生する電圧を調整することができる。
【0066】
図5は、第2の例示的な実施形態のスイッチングユニット21を概略的に示している。
【0067】
現在考えられる構成では、スイッチングユニット21は、フルブリッジ変換器と呼ぶことができ、同一の制御可能スイッチ29、30、31、32と、第1の端部330a及び第2の端部330bを含むエネルギー貯蔵デバイス330とを含むことができる。
【0068】
エネルギー貯蔵デバイス330は、複数のキャパシタのうちの少なくとも1つのキャパシタを含むことができる。
【0069】
各制御可能スイッチ29、30、31、32は、第1の端部29a、30a、31a、32aと、第2の端部29b、30b、31b、32bと、コントローラ5に接続されたコマンド入力部29c、30c、31c、32cとを含んでいる。
【0070】
第1の制御可能スイッチ29の第1の端部29a及び第2の制御可能スイッチ30の第1の端部30aは、エネルギー貯蔵部33の第1の端部33aに接続されている。
【0071】
第3の制御可能スイッチ31の第2の端部31b及び第4の制御可能スイッチ32の第2の端部32bは、エネルギー貯蔵部33の第2の端部33bに接続されている。
【0072】
第1の制御可能スイッチ29の第2の端部29b及び第3の制御可能スイッチ31の第1の端部31aは、スイッチングユニット21の第1の端部21aに接続されている。
【0073】
第2の制御可能スイッチ30の第2の端部30b及び第4の制御可能スイッチ32の第1の端部32aは、スイッチングユニット21の第2の端部21bに接続されている。
【0074】
図から分かるように、図4に示された第1の例示的実施形態のスイッチングユニット21と比較して、図5に示された第2の例示的実施形態のスイッチングユニット21は、2つの制御可能スイッチが追加されている。
【0075】
一実施形態では、制御可能スイッチ29、30、31、32は、スイッチングユニット21の第1の端部21aと第2の端部21bとの間の電圧を調整するように制御される。
【0076】
第1の例示的実施形態のスイッチングユニット21とは逆に、第2の例示的実施形態のスイッチングユニット21は、スイッチングユニット21の第1の端部21aと第2の端部21bとの間に3つの電圧レベルを生成することができる。3つの電圧レベルは、ゼロ電圧レベル、正極性電圧レベル、及び負極性電圧レベルとすることができ、正極性電圧レベル及び負極性電圧レベルは、エネルギー貯蔵デバイス33に印加される電荷を表す。
【0077】
図6は、第3の例示的実施形態のスイッチングユニット21を概略的に示している。
【0078】
現在考えられている構成では、スイッチングユニット21は、ハイブリッドフルブリッジ変換器と呼ぶことができ、同一の制御可能スイッチ33、34と、2つのダイオード35、36と、第1の端部370a及び第2の端部370bを含むエネルギー貯蔵デバイス370とを含むことができる。
【0079】
エネルギー貯蔵デバイス370は、複数のキャパシタのうちの少なくとも1つのキャパシタを含むことができる。
【0080】
各制御可能スイッチ33、34は、第1の端部33a、34aと、第2の端部33b、34bと、コントローラ5に接続されたコマンド入力部33c、34cとを含んでいる。
【0081】
第1の制御可能スイッチ33の第1の端部33aと、第1のダイオード35のアノードは、スイッチングユニット21の第1の端部21aに接続されている。
【0082】
第2の制御可能スイッチ34の第2の端部34b及び第2のダイオード36のカソードは、スイッチングユニット21の第2の端部21bに接続されている。
【0083】
第1のダイオード35のカソード及び第2の制御可能スイッチ34の第1の端部34aは、エネルギー貯蔵デバイス370の第1の端部370aに接続されている。
【0084】
第2のダイオード36のアノード及び第1の制御可能スイッチ33の第2の端部33bは、エネルギー貯蔵デバイス370の第2の端部370bに接続されている。
【0085】
各制御可能スイッチ27、28、29、30、31、32、33、34は、完全に制御可能な半導体スイッチを含むことができ、このような半導体スイッチには、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、電界効果トランジスタ(FET)、ゲートターンオフサイリスタ、絶縁ゲート整流サイリスタ(IGCT)、注入強化ゲートトランジスタ(IEGT)、炭化ケイ素ベースのスイッチ、窒化ガリウムベースのスイッチ、ガリウムヒ素ベースのスイッチ、又はそれらの均等物が含まれる。
【0086】
各制御可能スイッチ27、28、29、30、31、32、33、34は、パワーダイオードであって、完全に制御可能な半導体スイッチに組み込まれ、完全に制御可能な半導体スイッチに逆並列のパワーダイオードを更に含むことができる。組み込まれたパワーダイオードは、フリーホイール経路を提供することができる。パワーダイオードは、フリーホイールダイオードと呼ぶこともできる。
【0087】
図7は、第1の例示的実施形態の制御可能スイッチ27、28、29、30、31、32、33、34を概略的に示している。
【0088】
制御可能スイッチ27、28、29、30、31、32、33、34は、パワーダイオード39と絶縁ゲートバイポーラトランジスタIGBT38とを含んでいる。
【0089】
トランジスタ38のドレインとパワーダイオード39のカソードは、制御可能スイッチ27、28、29、30、31、32、33、34の第1の端部27a、28a、29a、30a、31a、32a、33a、34aに接続されている。
【0090】
トランジスタ38のソースとパワーダイオード39のアノードは、制御可能スイッチ27、28、29、30、31、32、33、34の第2の端部27b、28b、29b、30b、31b、32b、33b、34bに接続されている。
【0091】
トランジスタ38のゲートは、制御可能スイッチ27、28、29、30、31、32、33、34のコマンド入力部27c、28c、29c、30c、31c、32c、33c、34cに接続されている。
【0092】
図8は、第2の例示的実施形態の制御可能スイッチ27、28、29、30、31、32、33、34を概略的に示している。
【0093】
制御可能スイッチ27、28、29、30、31、32、33、34は、パワーダイオード40とワイドバンドギャップ半導体41(炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)のトランジスタなど)とを含んでいる。
【0094】
トランジスタ41のドレインとパワーダイオード40のカソードは、制御可能スイッチ27、28、29、30、31、32、33、34の第1の端部27a、28a、29a、30a、31a、32a、33a、34aに接続されている。
【0095】
トランジスタ41のソースとパワーダイオード40のアノードは、制御可能スイッチ27、28、29、30、31、32、33、34の第2の端部27b、28b、29b、30b、31b、32b、33b、34bに接続されている。
【0096】
トランジスタ41のゲートは、制御可能スイッチ27、28、29、30、31、32、33、34のコマンド入力部27c、28c、29c、30c、31c、32c、33c、34cに接続されている。
【0097】
図9及び図10は、本開示の態様による、電力整流器のレグ(図2のレグ6など)の異なる動作状態を概略的に示している。
【0098】
図9は、第1の動作状態における図2のレグ6を概略的に示している。
【0099】
図2の第1のストリング7の第1のブランチ13及び図2の第1のストリング7の第2のブランチ14は、それぞれ、電圧源Vp42及びVn43、インダクタ44及び45、並びにダイオードD1、D2、D3、D4によって表すことができる。
【0100】
電圧源Vp42及びVn43は、それぞれ、第1のストリング7のスイッチングユニットの第1のセット及び第2のセットを表す。
【0101】
ダイオードD1、D2、D3、D4は、それぞれ、単方向電流スイッチ22c、22d、22e、22fを表す。
【0102】
更に、第1のバス9における電圧は、+Vdc/2として表すことができ、第2のバス10における電圧は、-Vdc/2として表すことができる。一例として、第1のバス9における+Vdc/2の電圧及び第2のバス10における-Vdc/2の電圧は、仮想接地に対する電圧とすることができる。また、第3のバス16における電圧はVmidとして表すことができ、第4のバス20における交流AC相における電圧はVacとして表すことができる。一実施形態では、第3のバス16は接地バスとすることができ、したがって、電圧Vmidをゼロとする。
【0103】
交流AC相は符号50が付されている。
【0104】
第1のバス9と第2のバス10との間のDCリンクの電圧Vdcは、交流相電圧VacのAC相の最大瞬時電圧よりも大きい。
【0105】
図9に示されているように、第1の動作状態の間、ダイオードD2及びD3は順方向にバイアスされており導通状態であり、ダイオードD1及びD4は逆方向にバイアスされており導通状態ではない。
【0106】
ダイオードD3が導通することによって、電圧源Vpを通じて交流相50と第3のバス16との間に第1の電流路46が提供される。同様に、ダイオードD2が導通することによって、電圧源Vnを通じて第2のバス10と第3のバス16との間に第2の電流路47が提供される。
【0107】
その結果、第1のストリング7は、負の状態で第2のバス10と第3のバス16との間に動作可能に結合することができる。更に、第1及び第2の電流路46、47が確立されている間、第2のバス10及び第3のバス16の電圧は、第1のストリング7の複数のスイッチングユニット(図2のスイッチングユニット21など)に対応する完全に制御可能な半導体スイッチのスイッチングによって決まる。
【0108】
第2のバス10には直流電流Idcが流れ、交流相50にはAC相電流Iacが流れる。同様に、第3のバス16には、ダイオードD2を通じてDC電流Iac+Idcが流れる。
【0109】
同様に、図10には、第2の動作状態におけるレグ6の概略図が示されている。第2の状態において、ダイオードD1及びD4は順方向にバイアスされており導通状態であり、ダイオードD2及びD3は逆方向にバイアスされており導通状態ではない。ダイオードD1が導通することによって、第3のバス16と第1のバス9との間に第3の電流路48を提供することができる。同様に、ダイオードD4が導通することによって、第3のバス16と交流相50との間に第4の電流路49を提供することができる。したがって、第1のストリング7は、正の状態で第1のバス9と第3のバス16との間に動作可能に結合することができる。第1の状態と同様に、交流相50を流れる交流相電流Iacは、第1のバス9及び第3のバス16をそれぞれ流れる2つのDC電流Idc及びIac+Idcによって供給される。
【0110】
DCリンク電圧がAC相の最大瞬時電圧より大きいことが要求される用途では、レグ6が必要とする部品点数はは先行技術から既知のレグより少ないので、レグ6は、先行技術から既知のレグよりも、単純で、信頼性が高く、効率が良く、電力密度が高い。
【0111】
更に、レグ6のスイッチングユニット21を制御するための制御方法及びハードウェアは、従来技術から既知のレグのスイッチングユニットを制御するための制御方法及びハードウェアよりも簡単である。
【0112】
図11は、図2に示されたレグ6と同一の3つのレグ61、62、63を含む第1の実施形態の三相電力変換器60を概略的に示している。
【0113】
三相電力変換器60は電力整流器とすることができる。
【0114】
各レグ61、62、63は、第1のバス64に動作可能に結合された第1の接続部61a、62a、63aと、第2のバス65に動作可能に結合された第2の接続部61b、62b、63bと、第3のバス1000に動作可能に結合することができる第3の接続部61c、62c、63cとを含んでいる。
【0115】
第3のバス1000は、フローティングポイントを形成してもよいし、接地バス若しくは高インピーダンス接地バスを形成してもよい。
【0116】
第1のバス64と第2のバス65は、DC端子を形成することができる。
【0117】
第1のバス64は正のDCバスであるが、第2のバス65は負のDCバスである。
【0118】
各レグ61、62、63は、更に、第4のバス66、67、68に接続された第4の接続部61d、62d、63dを含んでいる。
【0119】
第4のバス66、67、68の各バスは、三相交流システムの異なる交流(AC)相とすることができる。
【0120】
三相交流システムは、電力変換器60に電力を供給するグリッドとすることができる。
【0121】
DC端子の両端に、又は第1のバス64と第2のバス65との間に、負荷又は電源69を動作可能に結合することができる。
【0122】
負荷又は電源69は、電気モータ駆動装置、電力変換器、エネルギー貯蔵デバイス、又は電気負荷を含むことができる。
【0123】
更に、電力整流器は、コントローラ(図5のコントローラ5など)に動作可能に結合することができる。
【0124】
コントローラ5は、第1のストリングにおける複数のスイッチングユニットのスイッチングを制御することができる。一例では、レグ61、62、63の第1のストリングにおけるスイッチングユニットのスイッチングは、変調技術に基づいたものであってもよい。変調技術としては、パルス幅変調技術、空間ベクトル変調などがある。更に、コントローラは、第2のバス65に対して第1のバス64に印加される直流電圧の発生を支援するように構成することができる。また、コントローラは、ライン周期の間、レグ61、62、63の第1のストリングに蓄積されたエネルギーのバランスをとり、調整するように構成することができる。
【0125】
本明細書で使用される用語であるライン周期は、AC電圧周期とすることができる。一実施形態では、コントローラは遠隔地に配置することができる。
【0126】
図12は、1ライン周期における3つの交流相66、67、68の異なる動作状態に対応する電圧波形を示す図である。
【0127】
三相66、67、68に対応する電圧波形は、AC相66に対応する第1の電圧波形70、AC相67に対応する第2の電圧波形71、及びAC相68に対応する第3の電圧波形72を含んでいる。
【0128】
現在考えられている構成では、ライン周期は6つの区間73、74、75、76、77、78に分割することができる。
【0129】
また、6つの区間73、74、75、76、77、78は、所望の出力を生成するために対応するスイッチングパターンを有することができる。アライン周期の、各区間に対応する部分の間、その区間では、1つ又は2つのレグが正の状態にあり、他のレグが負の状態にある。
【0130】
更に、3つのAC相66、67、68のライン周期は、6つの移行部分79、80、81、82、83、84を含むことができる。本明細書で使用される移行部分という用語は、レグ61、62、63の少なくとも1つがある状態から別の状態に移行する部分を表すために使用される。非限定的な一例では、移行部分80において、AC相66に関連するレグ61の状態が正の状態から負の状態に変化する(第1の電圧波形70)。
【0131】
区間73において、AC相66(第1の電圧波形70)に関連するレグ61及びAC相67(第2の電圧波形71)に関連するレグ62は正の状態であり、AC相68(第3の電圧波形72)に関連するレグ63は負の状態である。
【0132】
また、AC相66に関連するレグ61及びAC相67に関連するレグ62は、第2のバス65と第3のバス1000との間で互いに並列に動作可能に結合することができる。特に、AC相66に関連する第2のブランチ及びAC相67に関連する第2のブランチは、対応する第1のストリング及び第2のストリングのダイオードD2及びD3を通じて、第2のバス65と第3のバス1000との間で互いに並列に動作可能に結合することができる。
【0133】
更に、AC相68に関連するレグ63は、第3のバス1000と第1のバス64との間に動作可能に結合することができる。特に、AC相68に関連する第1のストリング及び第2のストリングに対応するダイオードD1及びD4は、順方向にバイアスされ、導通を開始することができる。
【0134】
図12を引き続き参照すると、区間73の後に移行部分80が続く。移行部分80では、AC相67に関連するレグ62は正の状態を継続し、AC相68に関連するレグ63は負の状態を継続する。しかし、AC相66に関連するレグ61は正の状態から負の状態に移行する。AC相66に関連する第1のストリング及び第2のストリングのダイオードD1及びD4は順方向にバイアスされて導通を開始し、AC相66に関連する第1のストリング及び第2のストリングのダイオードD2及びD3は逆方向にバイアスされて導通を停止することができる。
【0135】
同様に、区間74では、レグ62は正の状態であり、レグ61、63は負の状態である。
【0136】
区間75では、レグ61は負の状態であり、レグ62及び63は正の状態である。
【0137】
区間76では、レグ63は正の状態であり、レグ61、62が負の状態である。
【0138】
区間77では、レグ62は負の状態であり、レグ61、63は正の状態である。
【0139】
区間78では、レグ62、63は負の状態であり、レグ61は正の状態である。
【0140】
コントローラ5は、ライン周期の間、第1のストリング7に蓄えられたエネルギーを調整する。
【0141】
図13は、図1の電力変換器3の一部の第2の例示的実施形態を図示したものである。特に、図13の実施形態では、電力変換器3の第2の実施形態のレグ6が示されている。
【0142】
電力変換器のレグ6は、第2の実施形態の第1のストリング7と第2のストリング8とを含むことができる。
【0143】
第2の実施形態の第1のストリング7は、第1のバス9に動作可能に結合することができる第1の接続部7aと、第2のバス10に動作可能に結合することができる第2の接続部7bと、第3のバス16に動作可能に結合することができる第3の接続部7cとを含んでいる。
【0144】
第2の実施形態の第1のストリング7は、第1の接続ノード11、第2の接続ノード12、及び第3の接続部7cに動作可能に結合された第3の接続ノード15を更に含むことができる。
【0145】
第2の実施形態の第1のストリング7は、第3の接続ノード15を通じて第4のブランチ85bに動作可能に結合された第3のブランチ85aを含むことができる。
【0146】
第2のストリング8は、第1の接続ノード11及び第2の接続ノード12を通じて、第2の実施形態の第1のストリング7に動作可能に結合することができる。
【0147】
第2の実施形態の第1のストリング7は、上記のように、複数のスイッチングユニット21及び少なくとも2つの単方向電流スイッチ22g、22hを含むことができる。
【0148】
第3のブランチ85aは、第2の実施形態の第1のストリング7の複数のスイッチングユニットのうちのスイッチングユニット21の第1のセット86と、第2の実施形態の第1のストリング7の2つの単方向電流スイッチ22g,22hのうちの第1の単方向電流スイッチ22gとを含んでいる。
【0149】
同様に、第4のブランチ85bは、第2の実施形態の第1のストリング7の複数のスイッチングユニットのうちのスイッチングユニット21の第2のセット87と、第2の実施形態の第1のストリング7の2つの単方向電流スイッチ22g,22hのうちの第2の単方向電流スイッチ22hとを含んでいる。
【0150】
第1及び第2のセット86、87のスイッチングユニット21の数は等しい。
【0151】
第3のブランチ85a及び第4のブランチ85bの各ブランチは、インダクタ88を更に含むことができる。
【0152】
第1のセット86のスイッチングユニット21は直列に接続されており、スイッチングユニット21の第1の端部21aは、隣接するスイッチングユニット21の第2の端部21bに接続されている。
【0153】
第1のセット86のスイッチングユニット21の第1の残りの端部21aは、第1の接続部7aに接続され、第1のセット86のスイッチングユニット21の第2の残りの端部21bは、第3のブランチ85aのインダクタ88の第1の端部に接続されている。
【0154】
第3のブランチ85aのインダクタ88の第2の端部は、第1の単方向電流スイッチ22gの第1の接続部22a及び第1の接続ノード11に接続されている。
【0155】
第1の単方向電流スイッチ22gの第2の接続部22bは、第3の接続ノード15に動作可能に結合されている。
【0156】
第2のセット87のスイッチングユニット21は直列に接続されている。
【0157】
第2のセット87のスイッチングユニット21の第1の残りの端部21aは、第4のブランチ85bのインダクタ88の第1の端部に接続され、第2のセット87のスイッチングユニット21の第2の残りの端部21bは、第2の接続部7bに接続されている。
【0158】
第4のブランチ85bのインダクタ88の第2の端部は、第2の単方向電流スイッチ22hの第2の接続部22b及び第2の接続ノード12に接続されている。
【0159】
第2の単方向電流スイッチ22gの第1の接続部22aは、第3の接続ノード15に動作可能に結合されている。
【0160】
図14は、図13の第2の実施形態のレグ6の第1の動作状態を概略的に示している。
【0161】
図13の第1のストリング7の第3のブランチ85a及び図13の第1のストリング7の第4のブランチ85bは、電圧源Vp2 90及びVn2 91、インダクタ92及び93、並びにダイオードD3、D4、D5、D6によって表すことができる。
【0162】
電圧源Vp2及びVn2は、それぞれ、第1のストリング7のスイッチングユニットの第1のセット及び第2のセットを表している。
【0163】
ダイオードD3、D4、D5、D6は、それぞれ単方向電流スイッチ22e、22f、22g、22hを表している。
【0164】
更に、第1のバス9における電圧は、+Vdc2/2として表すことができ、第2のバス10における電圧は、-Vdc2/2として表すことができる。一例として、第1のバス9における+Vdc2/2の電圧及び第2のバス10における-Vdc2/2の電圧は、仮想接地に対する電圧とすることができる。また、第3のバス16における電圧はVmidとして表すことができ、第4のバス20の交流AC相における電圧はVacとして表すことができる。一実施形態では、第3のバス16は接地バスとし、したがって、電圧Vmidをゼロとすることができる。
【0165】
交流AC相には符号50が付されている。
【0166】
第1のバス9と第2のバス10と間のDCリンクの電圧Vdc2は、交流相電圧Vac間のAC相の最大瞬時電圧よりも小さい。
【0167】
図14に示されているように、第1の動作状態の間、ダイオードD3及びD6は順方向にバイアスされて導通しており、ダイオードD4及びD5は逆方向にバイアスされており、導通していない。
【0168】
ダイオードD3が導通すると、電圧源Vp2を通じて、交流相50と第1のバス9との間に、第1の電流路94が形成される。同様に、ダイオードD6が導通すると、電圧源Vn2を通じて、第2のバス10と第3のバス16との間に、第2の電流路95が形成される。
【0169】
その結果、第1のストリング7は、正の状態で第1のバス9と第3のバス16との間に動作可能に結合することができる。更に、第1及び第2の電流路94、95が確立されている間、第1のバス9と第3のバス16との間の電圧は、第1のストリング7の複数のスイッチングユニット(例えば、図13のスイッチングユニット21)に対応する完全に制御可能な半導体スイッチのスイッチングに依存する値である。
【0170】
第2のバス10には直流電流Idcが流れ、交流相50にはAC相電流Iacが流れる。
【0171】
同様に、図15は、第2の実施形態のレグ6の第2の動作状態の概略図である。第2の状態では、ダイオードD4及びD5は順方向バイアスされ導通しており、ダイオードD3及びD6は逆方向にバイアスされ、導通していない。ダイオードD4が導通すると、第2のバス10と交流相50との間に第3の電流路96が形成される。同様に、ダイオードD5が導通すると、第3のバス16と第1のバス9との間に第4の電流路97が形成される。従って、第1のストリング7は、負の状態で第2のバス10と第3のバス16との間に動作可能に結合することができる。
【0172】
第1のバス9には直流電流Idcが流れ、第2のバス10にはAC相電流Iacが流れる。
【0173】
第2の実施形態のレグ6は、AC-DC変換/AC-DC整流の用途であって、DCリンク電圧がAC相の最大瞬時電圧よりも小さく、DCリンク電圧が整流器の大部分の用途を占める力率0.87から1の整流器の用途に適用されるAC-DC変換/AC-DC整流の用途に適している。
【0174】
図16は、図13に示された第2の実施形態のレグ6と同一の3つのレグ100、101、102を含む第2の実施形態の三相電力変換器60を概略的に示している。
【0175】
各レグ100、101、102は、第1のバス103に動作可能に結合された第1の接続部100a、101a、102aと、第2のバス104に動作可能に結合された第2の接続部100b、101b、102bと、第3のバス105に動作可能に結合することができる第3の接続部100c、101c、103cとを含んでいる。
【0176】
第3のバス105は、フローティングポイントを形成してもよいし、接地されてもよいし、高インピーダンス接地バスを形成してもよい。
【0177】
第1のバス103及び第2のバス104は、DC端子を形成することができる。
【0178】
第1のバス103は正のDCバスであるのに対し、第2のバス104は負のDCバスである。
【0179】
各レグ100、101、102は、第4のバス106、107、108に接続された第4の接続部100d、101d、102dを更に含んでいる。
【0180】
第4のバス106、107、108の各バスは、3相ACシステムの異なる交流(AC)相とすることができる。
【0181】
三相ACシステムは、電力変換器60に電力を供給するグリッドとすることができる。
【0182】
負荷又は供給源109は、DC端子に、又は第1のバス103と第2のバス104との間に動作可能に結合することができる。
【0183】
負荷又は供給源109は、電気モータ駆動部、電力変換器、エネルギー貯蔵部、又は電気負荷を含むことができる。
【0184】
更に、電力整流器は、コントローラ(図5のコントローラ5など)に動作可能に結合することができる。
【0185】
コントローラは、第1のストリングの複数のスイッチングユニットのスイッチングを制御することができる。一実施例では、レグ100、101、102の第1のストリングにおけるスイッチングユニットのスイッチングは、変調技術に基づいたものとすることができる。変調技術としては、パルス幅変調技術、空間ベクトル変調などがある。更に、コントローラは、第2のバス104に対する第1のバス103の直流電圧の生成を支援するように構成することができる。また、コントローラは、ライン周期の間、レグ100、101、102の第1のストリングに蓄積されたエネルギーのバランスをとり、調整するように構成することができる。
【0186】
本明細書で使用される用語であるライン周期は、AC電圧周期とすることができる。一実施形態では、コントローラは、遠隔地に配置することができる。
【0187】
図17は、1ライン周期における3つのAC相100、101、102の異なる動作状態に対応する電圧波形を示す図である。
【0188】
三相106、107、108に対応する電圧波形は、AC相106に対応する第1の電圧波形110、AC相107に対応する第2の電圧波形111、及びAC相108に対応する第3の電圧波形112を含んでいる。
【0189】
現在考えられている構成では、ライン周期は6つの区間113、114、115、116、117、118に分割される。
【0190】
また、6つの区間113、114、115、116、117、118は、所望の出力を生成するための対応するスイッチングパターンを有することができる。ライン周期の、各区間に対応する部分において、当該区間は、1つ又は2つのレグが正の状態であり、他のレグが負の状態である。
【0191】
更に、3つのAC相106、107、108のライン周期は、6つの移行部分119、120、121、122、123、124を含むことができる。本明細書で使用される移行部分という用語は、レグ100、101、102のうちの少なくとも1つのレグがある状態から別の状態に移行する間の部分を表すために使用される。
【0192】
非限定的な一例では、移行部分120において、AC相106に関連するレグ100の状態が正の状態から負の状態に変化する(第1の電圧波形110)。
【0193】
区間113では、AC相106に関連するレグ100(第1の電圧波形110)とAC相107に関連するレグ101(第2の電圧波形111)が正の状態であり、AC相108に関連するレグ102(第3の電圧波形112)が負の状態である。
【0194】
また、AC相106に関連するレグ100及びAC相107に関連するレグ101は、第2のバス104と第3のバス105との間で互いに並列に動作可能に結合することができ、AC相106及びAC相107は、第1のバス103に動作可能に結合することができる。
【0195】
特に、AC相106に関連する第4のブランチ及びAC相107に関連する第4のブランチは、ダイオードD6が順方向にバイアスされて導通し始めることにより、第2のバス104と第3のバス105との間で互いに並列に動作可能に結合することができ、AC相106及びAC相107は、レグ100、101のダイオードD3が順方向にバイアスされて導通し始めることにより、第1のバス103に動作可能に結合することができる。
【0196】
更に、AC位相108に関連するレグ102は、第3のバス105と第1のバス103との間に動作可能に結合することができる。
【0197】
特に、AC相108に関連する第3のブランチは、ダイオードD5が順方向にバイアスされて導通を開始することによって、第1のバス103と第3のバス105との間に動作可能に結合され、AC相108は、レグ102のダイオードD4が順方向にバイアスされて導通を開始することによって、第2のバス104に動作可能に結合することができる。
【0198】
図17を引き続き参照すると、区間113の後に移行部分120が続く。移行部分120では、AC相107に関連するレグ101は正の状態を継続し、AC相108に関連するレグ102は負の状態を継続する。
【0199】
しかし、AC相106に関連するレグ100は、正の状態から負の状態に移行する。
【0200】
AC相106に関連する第1のストリング及び第2のストリングのダイオードD5及びD4は、順方向にバイアスされて導通を開始することができ、AC相106に関連する第1のストリング及び第2のストリングのダイオードD3及びD6は逆方向にバイアスされて導通を停止することができる。
【0201】
同様に、区間114では、レグ101は正の状態であり、レグ100及び102は負の状態である。
【0202】
区間115では、レグ101及び102は正の状態であり、レグ100は負の状態である。
【0203】
区間116では、レグ102は正の状態にあり、レグ100及び101は負の状態である。
【0204】
区間117では、レグ100及び102は正の状態であり、レグ101は負の状態である。
【0205】
区間118では、レグ100は正の状態であり、レグ101、102は負の状態である。
【0206】
コントローラ5は、ライン周期の間、第1のストリング7に蓄えられたエネルギーを調整する。
【0207】
図2に示された第1の実施形態のレグ6と図13に示された第2の実施形態のレグ6は、交流AC相に供給される広範囲のAC電圧(非限定的な例として、0~13.8kVの間)及びDCリンクの広範囲のDC電圧(非限定的な例として、0~24kVの間)に対して、交流AC相電圧がDCリンクのDC電圧より大きいか小さい場合に、モジュール式マルチレベル電力変換器ソリューションのセットを提供する。
【0208】
本明細書では、例示的な実施形態は特定の用途について記載されているが、本開示はこれに限定されないことを理解すべきである。本明細書で提供された教示を利用できる当業者は、当該技術分野及び本開示が重要な有用性を有する追加の分野の範囲内で、追加の用途、変更、及び実施形態を認識する。
【0209】
本明細書の記載は、当業者が本開示を理解する又は使用することができるように提供されている。本開示の様々な修正形態は当業者には明らかであり、本明細書で定義される一般的な原理は、本開示の範囲から逸脱することなく他の変形例に適用することができる。したがって、本開示は、本明細書に記載された実施例及び設計に限定されるものではなく、本明細書に開示された原理及び新規な特徴と一致する最も広い範囲が与えられるべきである。
【符号の説明】
【0210】
1 システム
2 電源
3 電力変換器
4 負荷
5 コントローラ
6 レグ
7 第1のストリング
7a 第1の接続部
7b 第2の接続部
7c 第3の接続部
8 第2のストリング
8a 第4の接続部
9 第1のバス
10 第2のバス
11 第1の接続ノード
12 第2の接続ノード
13 第1のブランチ
14 第2のブランチ
15 第3の接続ノード
16 第3のバス
17 第1の部分
18 第2の部分
19 第4の接続ノード
20 第4のバス
21 スイッチングユニット
21a 第1の端部
21b 第2の端部
22 単方向電流スイッチ
22a 第1の接続部
22b 第2の接続部
22c 第1の単方向電流スイッチ
22d 第2の単方向電流スイッチ
22e 第1の単方向電流スイッチ
22f 第2の単方向電流スイッチ
22g 第1の単方向電流スイッチ
22h 第2の単方向電流スイッチ
23 第1のセット
24 第2のセット
25 ダイオード
27 第1の制御可能スイッチ
27a 第1の端部
27b 第2の端部
27c コマンド入力部
28 第2の制御可能スイッチ
28a 第1の端部
28b 第2の端部
29 第1の制御可能スイッチ
29a 第1の端部
29b 第2の端部
29c コマンド入力部
30 第2の制御可能スイッチ
30a 第1の端部
30b 第2の端部
31 第3の制御可能スイッチ
31a 第1の端部
31b 第2の端部
32 第4の制御可能スイッチ
32a 第1の端部
32b 第2の端部
33 エネルギー貯蔵デバイス
33 第1の制御可能スイッチ
33a 第1の端部
33b 第2の端部
33c コマンド入力部
34 第2の制御可能スイッチ
34a 第1の端部
34b 第2の端部
35 第1のダイオード
36 第2のダイオード
38 トランジスタ
39 パワーダイオード
40 パワーダイオード
41 トランジスタ
44 インダクタ
46 第1の電流路
47 第2の電流路
48 第3の電流路
49 第4の電流路
50 交流相
60 三相電力変換器
60 電力変換器
61 レグ
61a 第1の接続部
61b 第2の接続部
61c 第3の接続部
61d 第4の接続部
62 レグ
63 レグ
64 第1のバス
65 第2のバス
66 第4のバス
69 電源
70 第1の電圧波形
71 第2の電圧波形
72 第3の電圧波形
73 区間
74 区間
75 区間
76 区間
77 区間
78 区間
79 移行部分
80 移行部分
85a 第3のブランチ
85b 第4のブランチ
86 第1のセット
87 第2のセット
88 インダクタ
92 インダクタ
94 第1の電流路
95 第2の電流路
96 第3の電流路
97 第4の電流路
100 レグ
100a 第1の接続部
100b 第2の接続部
100c 第3の接続部
100d 第4の接続部
101 レグ
102 レグ
103 第1のバス
104 第2のバス
105 第3のバス
106 第4のバス
106 三相
108 AC位相
109 供給源
110 第1の電圧波形
111 第2の電圧波形
112 第3の電圧波形
113 区間
114 区間
115 区間
116 区間
117 区間
118 区間
119 移行部分
120 移行部分
250 インダクタ
290 エネルギー貯蔵デバイス
290a 第1の端部
290b 第2の端部
300 逆並列ダイオード
301 シリコン制御整流器(SCR)
302 シリコン制御整流器(SCR)
330 エネルギー貯蔵デバイス
330a 第1の端部
330b 第2の端部
370 エネルギー貯蔵デバイス
370a 第1の端部
370b 第2の端部
1000 第3のバス
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【外国語明細書】