(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116073
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】配車管理システム、配車管理方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/123 20060101AFI20240820BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20240820BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20240820BHJP
G16Y 40/10 20200101ALI20240820BHJP
【FI】
G08G1/123 A
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/10
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024002491
(22)【出願日】2024-01-11
(62)【分割の表示】P 2023021457の分割
【原出願日】2023-02-15
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度、国立研究開発法人情報通信研究機構、Beyond 5G研究開発促進事業「スマートモビリティプラットフォームの実現に向けたドローン・自動運転車の協調制御プラットフォームの研究開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】恋塚 葵
(72)【発明者】
【氏名】大岸 智彦
(72)【発明者】
【氏名】井戸上 彰
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA15
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB08
5H181BB13
5H181CC27
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF27
5H181FF33
5H181LL09
5H181MA07
5H181MA10
(57)【要約】
【課題】予約に応じて車両を運行するデマンド型の配車管理システムにおいて、乗合の配車と荷物の配送の配車の両方を実現すること。
【解決手段】予約に応じて車両を運行するデマンド型の配車管理システムにおいて、乗車場所を特定する情報と降車場所を特定する情報を含む乗車予約要求を受付け、荷物を受け取る店舗を特定する情報と配達場所を特定する情報を含む配送予約要求を受け付ける受付部と、乗車予約要求を受付けた場合は配車予定情報及び配送専用期間情報に基づいて乗車予約要求に対する配車計算を実行して配送専用期間に重複しない配車の情報を出力し、配送予約要求を受付けた場合は配車予定情報及び配送専用期間情報に基づいて配送予約要求に対する配車計算を実行して配送専用期間内の配車の情報を出力する配車処理部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予約に応じて車両を運行するデマンド型の配車管理システムにおいて、
配車予定を示す配車予定情報を記憶する配車予定情報記憶部と、
店舗ごとに配送専用期間を示す配送専用期間情報を記憶する配送専用期間情報記憶部と、
乗車要求ユーザーから、人が乗車する乗車場所を特定する情報と人が降車する降車場所を特定する情報とを含む乗車予約要求を受付け、
配送要求ユーザーから、荷物を受け取る前記店舗を特定する情報と荷物を配達する配達場所を特定する情報とを含む配送予約要求を受け付ける、受付部と、
前記受付部が乗車予約要求を受付けた場合は、前記配車予定情報及び前記配送専用期間情報に基づいて乗車予約要求に対する配車計算を実行し、乗車予約要求に対する配車計算の実行結果に基づいて配送専用期間に重複しない新たな配車の情報を出力し、
前記受付部が配送予約要求を受付けた場合は、前記配車予定情報及び前記配送専用期間情報に基づいて配送予約要求に対する配車計算を実行し、配送予約要求に対する配車計算の実行結果に基づいて配送専用期間内の新たな配車の情報を出力する、配車処理部と、
を備え、
前記配車処理部は、配送予約要求に対して、一の配送専用期間内の配車が得られなかった場合に、新たな配送専用期間を新設し、新設した配送専用期間内の新たな配車の情報を出力する、
配車管理システム。
【請求項2】
前記配車処理部は、配送に関する所定の受付締切時刻以降に前記受付部が受付けた乗車予約要求に対しては、配送専用期間に重複する新たな配車の情報を出力することが可能である、
請求項1に記載の配車管理システム。
【請求項3】
複数の前記店舗において配送専用期間が重複しない、
請求項1に記載の配車管理システム。
【請求項4】
複数の前記店舗において配送専用期間が同一である、
請求項1に記載の配車管理システム。
【請求項5】
一の配送専用期間に組み入れ可能な配車数に上限が設けられた、
請求項1に記載の配車管理システム。
【請求項6】
前記配車処理部は、配送予約要求に対して、配車が得られた場合に、前記店舗を経由する回数が最小である新たな配車の情報を出力する、
請求項1に記載の配車管理システム。
【請求項7】
前記配車処理部は、乗車予約要求又は配送予約要求を組み入れることができる既存の配車予定が見つかった場合に、既存の配車予定に当該要求を組み入れた結果の配車の情報を出力する、
請求項1に記載の配車管理システム。
【請求項8】
前記配車処理部は、
前記既存の配車予定が運行前である場合は前記既存の配車予定の全ての経由地及び拠点間のうちいずれかの経由地及び拠点間に乗車予約要求又は配送予約要求を組み入れ、
前記既存の配車予定が運行中である場合は前記既存の配車予定の全ての経由地及び拠点間のうち車両が未到着であるいずれかの経由地及び拠点間に乗車予約要求又は配送予約要求を組み入れる、
請求項7に記載の配車管理システム。
【請求項9】
前記配車処理部は、乗車予約要求又は配送予約要求を満たす配車が得られなかった場合に、当該要求の一部を変更して得られた新たな配車の情報を出力する、
請求項1に記載の配車管理システム。
【請求項10】
前記受付部は、前記配車予定情報に基づいて、車両が一の前記店舗に到着する予定時刻より一定時間だけ前の時刻を、前記一の前記店舗に関する配送予約要求の受付締切時刻に設定する、
請求項1に記載の配車管理システム。
【請求項11】
予約に応じて車両を運行するデマンド型の配車管理システムが実行する配車管理方法であって、
配車予定を示す配車予定情報を記憶する配車予定情報記憶ステップと、
店舗ごとに配送専用期間を示す配送専用期間情報を記憶する配送専用期間情報記憶ステップと、
乗車要求ユーザーから、人が乗車する乗車場所を特定する情報と人が降車する降車場所を特定する情報とを含む乗車予約要求を受付け、
配送要求ユーザーから、荷物を受け取る前記店舗を特定する情報と荷物を配達する配達場所を特定する情報とを含む配送予約要求を受け付ける、受付ステップと、
乗車予約要求を受付けた場合は、前記配車予定情報及び前記配送専用期間情報に基づいて乗車予約要求に対する配車計算を実行し、乗車予約要求に対する配車計算の実行結果に基づいて配送専用期間に重複しない新たな配車の情報を出力し、
配送予約要求を受付けた場合は、前記配車予定情報及び前記配送専用期間情報に基づいて配送予約要求に対する配車計算を実行し、配送予約要求に対する配車計算の実行結果に基づいて配送専用期間内の新たな配車の情報を出力する、配車処理ステップと、
を含み、
前記配車処理ステップは、配送予約要求に対して、一の配送専用期間内の配車が得られなかった場合に、新たな配送専用期間を新設し、新設した配送専用期間内の新たな配車の情報を出力する、
配車管理方法。
【請求項12】
予約に応じて車両を運行するデマンド型の配車管理システムのコンピュータに、
配車予定を示す配車予定情報を記憶する配車予定情報記憶ステップと、
店舗ごとに配送専用期間を示す配送専用期間情報を記憶する配送専用期間情報記憶ステップと、
乗車要求ユーザーから、人が乗車する乗車場所を特定する情報と人が降車する降車場所を特定する情報とを含む乗車予約要求を受付け、
配送要求ユーザーから、荷物を受け取る前記店舗を特定する情報と荷物を配達する配達場所を特定する情報とを含む配送予約要求を受け付ける、受付ステップと、
乗車予約要求を受付けた場合は、前記配車予定情報及び前記配送専用期間情報に基づいて乗車予約要求に対する配車計算を実行し、乗車予約要求に対する配車計算の実行結果に基づいて配送専用期間に重複しない新たな配車の情報を出力し、
配送予約要求を受付けた場合は、前記配車予定情報及び前記配送専用期間情報に基づいて配送予約要求に対する配車計算を実行し、配送予約要求に対する配車計算の実行結果に基づいて配送専用期間内の新たな配車の情報を出力する、配車処理ステップと、
を実行させ、
前記配車処理ステップは、配送予約要求に対して、一の配送専用期間内の配車が得られなかった場合に、新たな配送専用期間を新設し、新設した配送専用期間内の新たな配車の情報を出力する、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配車管理システム、配車管理方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数のユーザーのデマンドを満たすよう乗合を実現するオンデマンド交通が知られている。オンデマンド交通は、利用者が事前に予約することで、予約に合わせて運行する乗合型の公共交通サービスである。オンデマンド交通に関して、例えば特許文献1に記載された配車管理技術が知られている。特許文献1には、オンデマンド交通において、自動運転車を用いる場合などに特に必要となる、非サービス中の車両を拠点にて待機させる運行を実現するため、拠点からの出発や拠点への帰着を考慮したトリップ単位に基づく配車管理技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来の配車管理技術では、乗合の配車を実現できるが、乗合の配車と荷物の配送の配車の両方を実現することはできない。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、予約に応じて車両を運行するデマンド型の配車管理システムにおいて、乗合の配車と荷物の配送の配車の両方を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、予約に応じて車両を運行するデマンド型の配車管理システムにおいて、配車予定を示す配車予定情報を記憶する配車予定情報記憶部と、店舗ごとに配送専用期間を示す配送専用期間情報を記憶する配送専用期間情報記憶部と、乗車要求ユーザーから、人が乗車する乗車場所を特定する情報と人が降車する降車場所を特定する情報とを含む乗車予約要求を受付け、配送要求ユーザーから、荷物を受け取る前記店舗を特定する情報と荷物を配達する配達場所を特定する情報とを含む配送予約要求を受け付ける、受付部と、前記受付部が乗車予約要求を受付けた場合は、前記配車予定情報及び前記配送専用期間情報に基づいて乗車予約要求に対する配車計算を実行し、乗車予約要求に対する配車計算の実行結果に基づいて配送専用期間に重複しない新たな配車の情報を出力し、前記受付部が配送予約要求を受付けた場合は、前記配車予定情報及び前記配送専用期間情報に基づいて配送予約要求に対する配車計算を実行し、配送予約要求に対する配車計算の実行結果に基づいて配送専用期間内の新たな配車の情報を出力する、配車処理部と、を備え、前記配車処理部は、配送予約要求に対して、一の配送専用期間内の配車が得られなかった場合に、新たな配送専用期間を新設し、新設した配送専用期間内の新たな配車の情報を出力する、配車管理システムである。
本発明の一態様は、上記の配車管理システムにおいて、前記配車処理部は、配送に関する所定の受付締切時刻以降に前記受付部が受付けた乗車予約要求に対しては、配送専用期間に重複する新たな配車の情報を出力することが可能である、配車管理システムである。
本発明の一態様は、上記の配車管理システムにおいて、複数の前記店舗において配送専用期間が重複しない、配車管理システムである。
本発明の一態様は、上記の配車管理システムにおいて、複数の前記店舗において配送専用期間が同一である、配車管理システムである。
本発明の一態様は、上記の配車管理システムにおいて、一の配送専用期間に組み入れ可能な配車数に上限が設けられた、配車管理システムである。
本発明の一態様は、上記の配車管理システムにおいて、前記配車処理部は、配送予約要求に対して、配車が得られた場合に、前記店舗を経由する回数が最小である新たな配車の情報を出力する、配車管理システムである。
本発明の一態様は、上記の配車管理システムにおいて、前記配車処理部は、乗車予約要求又は配送予約要求を組み入れることができる既存の配車予定が見つかった場合に、既存の配車予定に当該要求を組み入れた結果の配車の情報を出力する、配車管理システムである。
本発明の一態様は、上記の配車管理システムにおいて、前記配車処理部は、前記既存の配車予定が運行前である場合は前記既存の配車予定の全ての経由地及び拠点間のうちいずれかの経由地及び拠点間に乗車予約要求又は配送予約要求を組み入れ、前記既存の配車予定が運行中である場合は前記既存の配車予定の全ての経由地及び拠点間のうち車両が未到着であるいずれかの経由地及び拠点間に乗車予約要求又は配送予約要求を組み入れる、配車管理システムである。
本発明の一態様は、上記の配車管理システムにおいて、前記配車処理部は、乗車予約要求又は配送予約要求を満たす配車が得られなかった場合に、当該要求の一部を変更して得られた新たな配車の情報を出力する、配車管理システムである。
本発明の一態様は、上記の配車管理システムにおいて、前記受付部は、前記配車予定情報に基づいて、車両が一の前記店舗に到着する予定時刻より一定時間だけ前の時刻を、前記一の前記店舗に関する配送予約要求の受付締切時刻に設定する、配車管理システムである。
【0007】
本発明の一態様は、予約に応じて車両を運行するデマンド型の配車管理システムが実行する配車管理方法であって、配車予定を示す配車予定情報を記憶する配車予定情報記憶ステップと、店舗ごとに配送専用期間を示す配送専用期間情報を記憶する配送専用期間情報記憶ステップと、乗車要求ユーザーから、人が乗車する乗車場所を特定する情報と人が降車する降車場所を特定する情報とを含む乗車予約要求を受付け、配送要求ユーザーから、荷物を受け取る前記店舗を特定する情報と荷物を配達する配達場所を特定する情報とを含む配送予約要求を受け付ける、受付ステップと、乗車予約要求を受付けた場合は、前記配車予定情報及び前記配送専用期間情報に基づいて乗車予約要求に対する配車計算を実行し、乗車予約要求に対する配車計算の実行結果に基づいて配送専用期間に重複しない新たな配車の情報を出力し、配送予約要求を受付けた場合は、前記配車予定情報及び前記配送専用期間情報に基づいて配送予約要求に対する配車計算を実行し、配送予約要求に対する配車計算の実行結果に基づいて配送専用期間内の新たな配車の情報を出力する、配車処理ステップと、を含み、前記配車処理ステップは、配送予約要求に対して、一の配送専用期間内の配車が得られなかった場合に、新たな配送専用期間を新設し、新設した配送専用期間内の新たな配車の情報を出力する、配車管理方法である。
【0008】
本発明の一態様は、予約に応じて車両を運行するデマンド型の配車管理システムのコンピュータに、配車予定を示す配車予定情報を記憶する配車予定情報記憶ステップと、店舗ごとに配送専用期間を示す配送専用期間情報を記憶する配送専用期間情報記憶ステップと、乗車要求ユーザーから、人が乗車する乗車場所を特定する情報と人が降車する降車場所を特定する情報とを含む乗車予約要求を受付け、配送要求ユーザーから、荷物を受け取る前記店舗を特定する情報と荷物を配達する配達場所を特定する情報とを含む配送予約要求を受け付ける、受付ステップと、乗車予約要求を受付けた場合は、前記配車予定情報及び前記配送専用期間情報に基づいて乗車予約要求に対する配車計算を実行し、乗車予約要求に対する配車計算の実行結果に基づいて配送専用期間に重複しない新たな配車の情報を出力し、配送予約要求を受付けた場合は、前記配車予定情報及び前記配送専用期間情報に基づいて配送予約要求に対する配車計算を実行し、配送予約要求に対する配車計算の実行結果に基づいて配送専用期間内の新たな配車の情報を出力する、配車処理ステップと、を実行させ、前記配車処理ステップは、配送予約要求に対して、一の配送専用期間内の配車が得られなかった場合に、新たな配送専用期間を新設し、新設した配送専用期間内の新たな配車の情報を出力する、コンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、予約に応じて車両を運行するデマンド型の配車管理システムにおいて、乗合の配車と荷物の配送の配車の両方を実現することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係る配車管理システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】一実施形態に係るトリップの例を説明するための図である。
【
図3】一実施形態に係る配送専用期間の例を示す図である。
【
図4】一実施形態に係る配送専用期間の例を示す図である。
【
図5】一実施形態に係る配車処理の全体手順の一例を示すフローチャートである。
【
図6】一実施形態に係る送迎配車に関する配車判定方法の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図7】一実施形態に係る配車管理システムの動作の一例を示す図である。
【
図8】一実施形態に係る配車判定方法の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図9】一実施形態に係る配車判定方法の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図10】一実施形態に係る配車管理システムの動作の一例を示す図である。
【
図11】一実施形態に係る配車管理システムの動作の一例を示す図である。
【
図12】一実施形態に係る配車管理システムの動作の一例を示す図である。
【
図13】一実施形態に係る配送配車に関する配車判定方法の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図14】一実施形態に係る配送配車に関するトリップ選択処理の一例を示すフローチャートである。
【
図15】一実施形態に係るトリップ(配車)の出力例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。なお、下付き文字の例えば「a」を「_a」と表記する場合がある。
【0012】
図1は、一実施形態に係る配車管理システムの構成例を示すブロック図である。本実施形態に係る配車管理システム1は、デマンド型の交通管理システムである。デマンド型の交通管理システムでは、ユーザーの予約に応じて車両が運行される。
【0013】
本実施形態に係る配車管理システム1は、乗合により一車両に複数の人を乗せることができる配車(以下、送迎配車と称する)と、荷物を配送することができる配車(以下、配送配車と称する)とを行う。なお、送迎配車と配送配車を特に区別しないときは単に配車と称する場合がある。
【0014】
本実施形態では、トリップ単位に基づく配車管理が行われる。トリップとは、車両が拠点出発時刻に拠点を出発し、一又は複数のデマンドの経由地を通り、拠点帰着時刻に拠点に帰着するまでの一車両の一連の運行を言う。送迎配車においては、経由地は出発地(乗車場所)または目的地(降車場所)である。配送配車においては、経由地は出発地(荷物を受け取る店舗)または目的地(荷物を配達する配達場所)である。
【0015】
配車管理システム1は、端末装置20-1と、端末装置20-2と、端末装置20-3と、車載器30と、管理サーバ100とを備える。端末装置20-1と、端末装置20-2と、端末装置20-3と、車載器30と、管理サーバ100とは、ネットワークNWを介して接続される。ネットワークNWは、無線または有線による通信網である。このネットワークNWには、インターネットやイントラネットなどが含まれる。具体的には、ネットワークNWは、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)などによって構成される情報通信ネットワークである。このWANには、例えば、携帯電話網、PHS(Personal Handy-phone System)網、PSTN(Public Switched Telephone Network;公衆交換電話網)、専用通信回線網、およびVPN(Virtual Private Network)などが含まれる。
【0016】
端末装置20-1は、ユーザーが使用する。ユーザーは、端末装置20-1に対して車両を予約する操作を行う。
【0017】
送迎配車を予約するユーザー(乗車要求ユーザー)は、車両を予約する際に、送迎希望条件を指定する。送迎希望条件として、出発地(乗車場所)、目的地(降車場所)、希望時刻(出発地を出発する希望時刻(希望出発時刻))や目的地に到着する希望時刻(希望到着時刻))、乗車人数、相乗りの可否などがある。
【0018】
端末装置20-1は、乗車要求ユーザーの操作に基づいて、乗車予約情報(送迎デマンド)を含む、管理サーバ100を宛先とする乗車予約要求を作成する。乗車予約情報は、乗車要求ユーザーの送迎希望条件を示す情報を含む。端末装置20-1は、作成した乗車予約要求を管理サーバ100へ送信する。
【0019】
管理サーバ100は、端末装置20-1が送信した乗車予約要求を受信する。管理サーバ100は、車両を待機させる拠点の位置情報を記憶している。管理サーバ100は、受信した乗車予約要求に含まれる乗車予約情報を取得し、取得した乗車予約情報と、記憶している拠点の位置情報とに基づいて、第1拠点から、乗車場所と降車場所とを経由して、第1拠点または第2拠点までの経路を検索する。管理サーバ100は、経路の検索結果に基づいて、第1拠点を第1時刻に出発し、乗車場所と降車場所とを経由して第2時刻に第1拠点又は第2拠点に帰着するまでの車両の新規運行スケジュールを作成する。
【0020】
管理サーバ100は、作成した新規運行スケジュールと一又は複数の車両の各々の既存運行スケジュールとに基づいて、ユーザーの希望条件を満たす新規運行スケジュールの運行が可能であるか否かを判定する。このとき、管理サーバ100は、ユーザーの希望条件を満たす新規運行スケジュールの運行が不可能であると判定した場合には、当該希望条件に対して所定の条件変更を行ってから再度、新規運行スケジュールの運行が可能であるか否かを判定してもよい。
【0021】
管理サーバ100は、新規運行スケジュールの運行が可能であると判定した場合には、新規運行スケジュールを含む端末装置20-1を宛先とする、乗車予約応答を作成する。管理サーバ100は、作成した乗車予約応答を端末装置20-1へ送信する。端末装置20-1は、管理サーバ100が送信した乗車予約応答を受信し、受信した乗車予約応答に含まれる新規運行スケジュールを表示する。管理サーバ100は、当該乗車予約応答に対して端末装置20-1から新規運行スケジュールの確定を受信すると、当該新規運行スケジュールを確定した新規運行スケジュール(既存運行スケジュール)として記録する。
【0022】
配送配車を予約するユーザー(配送要求ユーザー)は、車両を予約する際に、配送希望条件を指定する。配送希望条件として、出発地(店舗)、目的地(配達場所)、希望時刻(出発地を出発する希望時刻(希望出発時刻)や目的地に到着する希望時刻(希望到着時刻))、荷物の個数などがある。
【0023】
端末装置20-1は、配送要求ユーザーの操作に基づいて、配送予約情報(配送デマンド)を含む、管理サーバ100を宛先とする配送予約要求を作成する。配送予約情報は、配送要求ユーザーの配送希望条件を示す情報を含む。端末装置20-1は、作成した配送予約要求を管理サーバ100へ送信する。
【0024】
管理サーバ100は、端末装置20-1が送信した配送予約要求を受信する。管理サーバ100は、受信した配送予約要求に含まれる配送予約情報を取得し、取得した配送予約情報と、記憶している拠点の位置情報とに基づいて、第1拠点から、店舗と配達場所とを経由して、第1拠点または第2拠点までの経路を検索する。管理サーバ100は、経路の検索結果に基づいて、第1拠点を第1時刻に出発し、店舗と配達場所とを経由して第2時刻に第1拠点又は第2拠点に帰着するまでの車両の新規運行スケジュールを作成する。
【0025】
管理サーバ100は、作成した新規運行スケジュールと一又は複数の車両の各々の既存運行スケジュールとに基づいて、ユーザーの希望条件を満たす新規運行スケジュールの運行が可能であるか否かを判定する。このとき、管理サーバ100は、ユーザーの希望条件を満たす新規運行スケジュールの運行が不可能であると判定した場合には、当該希望条件に対して所定の条件変更を行ってから再度、新規運行スケジュールの運行が可能であるか否かを判定してもよい。
【0026】
管理サーバ100は、新規運行スケジュールの運行が可能であると判定した場合には、新規運行スケジュールを含む端末装置20-1を宛先とする、配送予約応答を作成する。管理サーバ100は、作成した配送予約応答を端末装置20-1へ送信する。端末装置20-1は、管理サーバ100が送信した配送予約応答を受信し、受信した配送予約応答に含まれる新規運行スケジュールを表示する。管理サーバ100は、当該配送予約応答に対して端末装置20-1から新規運行スケジュールの確定を受信すると、当該新規運行スケジュールを確定した新規運行スケジュール(既存運行スケジュール)として記録する。
【0027】
また、管理サーバ100は、確定した新規運行スケジュールを含む車載器30を宛先とする、配車要求を作成する。管理サーバ100は、作成した配車要求を車載器30へ送信する。車載器30は、管理サーバ100が送信した配車要求を受信する。車載器30は、車載器30が搭載された車両VEが手動で運転する車両である場合には、受信した配車要求に含まれる新規運行スケジュールを表示する。車載器30は、車載器30が搭載された車両VEが自動運転車である場合には、受信した配車要求に含まれる新規運行スケジュールを車両VEの自動運転システムに出力する。
【0028】
以下、配車管理システム1に含まれる端末装置20-1と、端末装置20-2と、端末装置20-3と、車載器30と、管理サーバ100とについて順次説明する。
【0029】
(端末装置)
端末装置20-1、端末装置20-2、端末装置20-3は、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯電話、タブレット、スマートフォン、PHS(Personal Handy-phone System)またはPDA(Personal Digital Assistant)などによって実現される。
【0030】
端末装置20-1は、ユーザーUが携帯している携帯機器である。ユーザーUは、端末装置20-1を使用して、送迎配車又は配送配車を予約する。端末装置20-1は、配車予約アプリを使用する。配車予約アプリは、端末装置20-1にインストールされてもよいし、ウェブ(Web)アプリケーションでもよい。配車予約アプリは、端末装置20-1に対するユーザーの操作に基づいて、乗車予約情報又は配送予約情報を作成する。
【0031】
乗車予約及び配送予約には、即時予約と事前予約とが含まれる。即時予約は、今すぐ乗車又は配送を希望する場合であり、乗車場所又は店舗や降車場所又は配達場所などが指定される。乗車場所を特定する情報と降車場所を特定する情報との一例は、地名、場所を示す何らかの情報である。店舗を特定する情報の一例は、店舗名や店舗番号などである。配達場所を特定する情報の一例は、住所である。即時予約が行われた場合、乗車予約情報には、乗車場所、降車場所、乗車人数、相乗りの可否などを特定する情報が含まれる。即時予約が行われた場合、配送予約情報には、店舗、配達場所、荷物の個数などを特定する情報が含まれる。
【0032】
一方、事前予約は、出発時刻や到着時刻を希望する場合であり、乗車予約では乗車場所や降車場所や希望出発時刻や希望降車時刻などが指定され、配送予約では店舗や配達場所や希望出発時刻や希望到着時刻などが指定される。事前予約が行われた場合、乗車予約情報には、乗車場所、降車場所、希望時刻(希望出発時刻や希望到着時刻)、乗車人数、相乗りの可否などを特定する情報が含まれる。事前予約が行われた場合、配送予約情報には、店舗、配達場所、希望時刻(希望出発時刻や希望到着時刻)、荷物の個数などを特定する情報が含まれる。
【0033】
配車予約アプリは、端末装置20-1に乗車予約情報を含む、管理サーバ100を宛先とする乗車予約要求を作成させる。配車予約アプリは、端末装置20-1に作成させた乗車予約要求を管理サーバ100へ送信させる。配車予約アプリは、端末装置20-1に管理サーバ100が送信した乗車予約応答を受信させ、受信した乗車予約応答に含まれる乗車予約情報を処理させる。
配車予約アプリは、端末装置20-1に配送予約情報を含む、管理サーバ100を宛先とする配送予約要求を作成させる。配車予約アプリは、端末装置20-1に作成させた配送予約要求を管理サーバ100へ送信させる。配車予約アプリは、端末装置20-1に管理サーバ100が送信した配送予約応答を受信させ、受信した配送予約応答に含まれる配送予約情報を処理させる。
【0034】
端末装置20-2は、例えば車両の運転席に座る者COが利用する機器である。例えば、端末装置20-2は、カーナビのように運転席に固定されていてもよい。車両の運転席に座る者COの一例は、運転手である。ただし、車両が自動運転車の場合は車掌が端末装置20-2を利用してもよい。端末装置20-2は、運行アプリを使用する。運行アプリは、端末装置20-2にインストールされてもよいし、Webアプリケーションでもよい。
【0035】
運行アプリは、端末装置20-2に、管理サーバ100が送信する送迎配車の乗車場所を特定する情報、降車場所を特定する情報、経路情報などの車両の運行に関する情報を受信させる。運行アプリは、端末装置20-2に、受信させた車両の運行に関する情報に基づいて、表示部に表示させている地図上に乗車場所、降車場所、経路情報を表示させる。
運行アプリは、端末装置20-2に、管理サーバ100が送信する配送配車の店舗を特定する情報、配達場所を特定する情報、経路情報などの車両の運行に関する情報を受信させる。運行アプリは、端末装置20-2に、受信させた車両の運行に関する情報に基づいて、表示部に表示させている地図上に店舗、配達場所、経路情報を表示させる。
【0036】
運行アプリは、端末装置20-2に、車両の運行に関する処理を行わせる。運行アプリは、端末装置20-2において、表示部に表示させている地図上の乗車場所又は店舗、降車場所又は配達場所に該当する箇所が押された場合に、押された時刻を示す情報と押された箇所に該当する乗車場所若しくは店舗、又は降車場所若しくは配達場所を示す情報とを含む、管理サーバ100を宛先とする運行情報を作成させる。運行アプリは、端末装置20-2に、作成させた運行情報を管理サーバ100へ送信させる。
【0037】
端末装置20-3は、車両に乗車する者PAが利用する機器である。例えば、端末装置20-3は、カーナビのように運転席に固定されていてもよい。端末装置20-3は、普段スマートフォンやタブレットを携帯しないユーザーに利用させてもよい。端末装置20-3は、運行状況通知管理アプリを使用する。運行状況通知管理アプリは、端末装置20-3にインストールされてもよいし、Webアプリケーションでもよい。
【0038】
運行状況通知アプリは、端末装置20-3に、管理サーバ100が送信する送迎配車の乗車情報、降車情報、経路情報を受信させる。運行状況通知アプリは、端末装置20-3に、受信させたユーザーの乗車情報、降車情報、経路情報に基づいて、表示部に表示させている地図上に乗降場所と経路情報とを表示させる。
運行状況通知アプリは、端末装置20-3に、管理サーバ100が送信する配送配車の店舗情報、配達情報、経路情報を受信させる。運行状況通知アプリは、端末装置20-3に、受信させたユーザーの店舗情報、配達情報、経路情報に基づいて、表示部に表示させている地図上に店舗と配達場所と経路情報とを表示させる。
ただし、端末装置20-3が利用される環境によっては、プライバシーに配慮して、端末装置20-3に表示される内容が制限されてもよい。
【0039】
(車載器)
車載器30は、車両VEに搭載される。車載器30は、車載アプリを使用する。車載アプリは、車載器30にインストールされてもよいし、Webアプリケーションでもよい。車載アプリは、車載器30に車両VEの位置情報、CAN(Controller Area Network)データを管理サーバ100へ送信させる。車載器30は、搭載されている車両VEが自動運転車の場合にはその車両VEの自動運転システムと連携する。この場合、車載アプリは、車載器30に管理サーバ100が送信した経路情報を受信させ、受信させた経路情報を、自動運転システムへ出力する。
【0040】
(管理サーバ)
管理サーバ100は、通信部102と、受付部104と、配車処理部106と、経路検索部108と、記憶部110とを備える。
【0041】
管理サーバ100の各機能は、管理サーバ100がCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)及びメモリ等のコンピュータハードウェアを備え、CPUがメモリに格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。なお、管理サーバ100として、汎用のコンピュータ装置を使用して構成してもよく、又は、専用のハードウェア装置として構成してもよい。例えば、管理サーバ100は、パーソナルコンピュータ、サーバー、又は産業用コンピュータ等の装置によって実現されてもよい。例えば、管理サーバ100は、インターネット等の通信ネットワークに接続されるサーバコンピュータを使用して構成されてもよい。また、管理サーバ100の各機能はクラウドコンピューティングにより実現されてもよい。また、管理サーバ100は、単独のコンピュータにより実現するものであってもよく、又は管理サーバ100の機能を複数のコンピュータに分散させて実現するものであってもよい。また、管理サーバ100として、例えばWWWシステム等を利用してウェブサイトを開設するように構成してもよい。
【0042】
通信部102は、通信モジュールによって実現される。通信部102は、ネットワークNWを経由して、端末装置20-1、端末装置20-2、端末装置20-3、車載器30などの他の装置と通信を行う。通信部102は、端末装置20-1が送信した乗車予約要求や配送予約要求を受信する。また、通信部102は、配車処理部106が出力した乗車予約応答や配送予約応答を、端末装置20-1へ送信する。通信部102は、配車処理部106が出力した配車要求を、車載器30へ送信する。
【0043】
記憶部110は、例えば、RAM、ROM、HDD、フラッシュメモリ、又はこれらのうち複数が組み合わされたハイブリッド型記憶装置などにより実現される。記憶部110には、管理サーバ100により実行されるプログラム(配車管理アプリ)が記憶される。また、記憶部110には、車両を待機させる拠点の識別情報(以下「拠点ID」という)と、拠点の位置情報とが関連付けて記憶される。また、記憶部110には、管理サーバ100が車両の配車を行うために必要な様々なデータを保管する。例えば、記憶部110は、車両の配車を行うために必要なデータとして、デマンド情報110aと、車両情報110bと、ユーザー情報110cと、配送専用期間情報110dとを記憶する。本実施形態に係る記憶部110は、配車予定情報記憶部及び配送専用期間情報記憶部に対応する。
【0044】
デマンド情報110aは、ユーザーの識別情報(以下「ユーザーID」という)と当該ユーザー(乗車要求ユーザー)の端末装置20-1が送信した乗車予約要求に含まれる乗車予約情報と乗車予約の処理状態とを関連付けたデマンド関連情報を一又は複数有する。
デマンド情報110aは、ユーザーのユーザーIDと当該ユーザー(配送要求ユーザー)の端末装置20-1が送信した配送予約要求に含まれる配送予約情報と配送予約の処理状態とを関連付けたデマンド関連情報を一又は複数有する。
【0045】
車両情報110bは、車両の識別情報(以下「車両ID」という)と、車両の運行スケジュールを示す情報と、車両の収容人数を示す情報と、相乗りの可否を示す情報と、例えば、拠点IDなどの待機場所の拠点を示す情報と、休憩時間情報と、車掌情報と、現在地情報と、状態情報とを関連付けた車両関連情報を一又は複数有する。
本実施形態において、車両情報110bは、各車両の配車予定を示す配車予定情報に対応する。配車予定情報は、新規の配車が可能か否かを判断するための情報であって、既存運行スケジュールや収容人数や相乗りの可否などを含む情報である。
【0046】
ユーザー情報110cは、ユーザーの氏名を示す情報と、ユーザーの性別を示す情報と、ユーザーの年代を示す情報と、ユーザーの状態を示す情報とを関連付けたユーザー関連情報を一又は複数有する。
【0047】
配送専用期間情報110dは、店舗ごとに予め定められた配送専用期間を示す情報である。一の店舗に対しては、当該一の店舗の配送専用期間内のみに配車が可能である。配送専用期間は、例えば特定の日付や曜日、特定の時間帯などであってよい。例えば、配送専用期間は、特定の曜日の特定の時間帯であってよい。例えば、配送専用期間は、特定の日付の特定の時間帯であってよい。例えば、配送専用期間は、奇数日又は偶数日の特定の時間帯であってよい。例えば、配送専用期間は、毎日の特定の時間帯であってよい。例えば、配送専用期間は、特定の日付又は曜日の終日であってよい。
【0048】
図2は、本実施形態に係るトリップの一例を示す図である。
図2において、車両VEに対して、運行時間内に2つのトリップA,Bが設けられている。
図2の例は、2つの配送予約要求のデマンド1,2と、一つの乗車予約要求のデマンド3とが発生した場合の例である。デマンド1は、店舗(店1)から配達場所(D1)へ荷物を配送する配送デマンドである。デマンド2は、店舗(店1)から配達場所(D2)へ荷物を配送する配送デマンドである。デマンド3は、乗車場所(O3)から降車場所(D3)へ乗客を送迎する送迎デマンドである。
【0049】
トリップAは、配送のトリップである。トリップAは、車両VEが、出発拠点(BS)を出発して店舗(店1)へ向い、店舗(店1)で各配達場所D1,D2へ配達する荷物を受け取り、次いで配達場所D1へ向って荷物を配達し、次いで配達場所D2へ向って荷物を配達し、次いで到着拠点(BG)へ帰着する。このトリップAは、店舗(店1)の配送専用期間内に完了するように生成される。
トリップBは、送迎のトリップである。トリップBは、車両VEが、出発拠点(BS)を出発して乗車場所(O3)へ向い、乗車場所(O3)で乗客を乗せ、次いで降車場所(D3)へ向って乗客を降ろし、次いで到着拠点(BG)へ帰着する。このトリップBは、店舗(店1)の配送専用期間に重複しないように生成される。
【0050】
図3,
図4は、本実施形態に係る配送専用期間の例を示す図である。
図3の例では、複数の店舗において配送専用期間が重複しない。
図3において、店舗(店1)の配送専用期間と店舗(店2)の配送専用期間とは重複しない。
図4の例では、複数の店舗において配送専用期間が同一である。
図4において、店舗(店1)の配送専用期間と店舗(店2)の配送専用期間とは同一である。
【0051】
受付部104は、通信部102が受信した乗車予約要求を受け付け、受け付けた乗車予約要求に含まれる乗車予約情報を取得する。配車処理部106は、受付部104が取得した乗車予約情報に基づいて、記憶部110に記憶されているデマンド情報110a(送迎デマンド)を更新する。
受付部104は、通信部102が受信した配送予約要求を受け付け、受け付けた配送予約要求に含まれる配送予約情報を取得する。配車処理部106は、受付部104が取得した配送予約情報に基づいて、記憶部110に記憶されているデマンド情報110a(配送デマンド)を更新する。
【0052】
配車処理部106は、車両情報110b及び配送専用期間情報110dに基づいて乗車予約要求に対する配車計算を実行し、乗車予約要求に対する配車計算の実行結果に基づいて配送専用期間に重複しない配車の情報を出力する。配車処理部106は、乗車予約要求に対する配車計算において、乗車予約情報に示される乗車要求ユーザーの送迎希望条件を満たす配車が可能であるか否かを判定する。このとき、配車処理部106は、乗車要求ユーザーの送迎希望条件を満たす配車が不可能であると判定した場合には、当該送迎希望条件に対して所定の条件変更を行ってから再度、配車が可能であるか否かを判定してもよい。
【0053】
配車処理部106は、車両情報110b及び配送専用期間情報110dに基づいて配送予約要求に対する配車計算を実行し、配送予約要求に対する配車計算の実行結果に基づいて配送専用期間内の配車の情報を出力する。配車処理部106は、配送予約要求に対する配車計算において、配送予約情報に示される配送要求ユーザーの配送希望条件を満たす配車が可能であるか否かを判定する。このとき、配車処理部106は、配送要求ユーザーの配送希望条件を満たす配車が不可能であると判定した場合には、当該配送希望条件に対して所定の条件変更を行ってから再度、配車が可能であるか否かを判定してもよい。
【0054】
配車処理部106は、運行中のデマンドがない車両は指定された拠点にて待機することを前提として処理する。配車処理部106は、トリップ単位で運行管理を行う。
【0055】
図5を参照して本実施形態に係る配車処理の全体について説明する。
図5は、本実施形態に係る配車処理の全体手順の一例を示すフローチャートである。
【0056】
(ステップSP1) 配車処理部106は、受付部104が受付けた新規デマンドが送迎デマンドであるか又は配送デマンドであるかを判断する。送迎デマンドである場合はステップSP2に進み、配送デマンドである場合はステップSP3に進む。
【0057】
(ステップSP2) 配車処理部106は、各車両VEごとに送迎デマンドの配車計算(乗車予約要求に対する配車計算)を実行する。
【0058】
(ステップSP3) 配車処理部106は、各車両VEごとに配送デマンドの配車計算(配送予約要求に対する配車計算)を実行する。
【0059】
(ステップSP4) 配車処理部106は、全車両VE中、通常トリップが一つでも見つかったか否かを判断する。通常トリップが一つでも見つかった場合はステップSP5に進み、通常トリップが見つからなかった場合はステップSP6に進む。通常トリップとは、ユーザーの希望時刻(希望出発時刻や希望到着時刻)を変えずに配車の制約条件を全て満たしたトリップのことである。したがって、通常トリップは、ユーザーの希望時刻(希望出発時刻や希望到着時刻)を満たし且つ配車の制約条件を全て満たす。送迎配車の制約条件の一例は、配送専用期間に重複しない配車である。配送配車の制約条件の一例は、配送専用期間内の配車である。
【0060】
(ステップSP5) 配車処理部106は、通常トリップの中で、最小遅延コストのトリップ1つを最終的な配車として出力する。
【0061】
(ステップSP6) 配車処理部106は、近傍トリップの中で、希望時刻より前のもののうち最も希望時刻に近いものと、希望時刻より後のもののうち最も希望時刻に近いものとの最大2つを最終的な近傍トリップ(近傍配車)として出力する。近傍トリップとは、ユーザーの希望条件のうちいずれかの条件を変えることにより配車が可能になるトリップのことである。したがって、近傍トリップは、ユーザーの全ての希望条件は満たさない。
【0062】
以下、送迎配車と配送配車とに分けて配車処理を詳細に説明する。
【0063】
[送迎配車]
送迎配車に関する配車処理について説明する。
配車処理部106は、送迎配車に関する情報として、乗車予約情報に含まれる乗車場所を特定する情報と降車場所を特定する情報とを経路検索部108へ出力する。
経路検索部108は、配車処理部106が送迎配車に関する情報として出力した乗車場所を特定する情報と降車場所を特定する情報とを取得する。経路検索部108は、記憶部110に記憶されている車両を待機させる拠点の拠点IDと、拠点の位置情報とを関連付けた情報とを取得する。経路検索部108は、取得した乗車場所を特定する情報と降車場所を特定する情報と、車両を待機させる拠点IDと、拠点の位置情報とを関連付けた情報とに基づいて、乗車場所へ配車する車両が待機している拠点の拠点IDと、その車両が降車場所の後に向かう拠点の拠点IDとを選択する。乗車場所へ配車する車両が待機している拠点と降車場所の後に向かう拠点とは同じであってもよいし、異なってもよい。以下、乗車場所へ配車する車両が待機している拠点として第1拠点が選択され、降車場所の後に向かう拠点として第2拠点が選択された場合について説明を続ける。ここで、第1拠点と、第2拠点とは、記憶部110に記憶されている。
【0064】
経路検索部108は、取得した乗車場所を特定する情報と降車場所を特定する情報と、車両を待機させる第1拠点の拠点IDと、第1拠点の位置情報とを関連付けた情報とに基づいて、第1拠点から、乗車場所と降車場所とを経由して、第2拠点へ向かう経路(ルート)を検索し、その経路で第1拠点から、乗車場所と降車場所とを経由して、第2拠点へ向かった場合に要する時間を導出する。
【0065】
例えば、経路検索部108は、第1拠点から、乗車場所と降車場所とを経由して、第2拠点へ最短距離で巡回する経路を検索し、その経路で第1拠点から、乗車場所と降車場所とを経由して、第2拠点へ向かった場合に要する時間を導出する。例えば、経路検索部108は、第1拠点から乗車場所へ向かった場合に要する時間と、乗車場所から降車場所へ向かった場合に要する時間と、降車場所から第2拠点へ向かった場合に要する時間を導出する。経路検索部108は、経路を検索した結果を示す情報と要する時間を導出した結果を示す情報とを配車処理部106へ出力する。
【0066】
配車処理部106は、経路検索部108が出力した経路を検索した結果を示す情報と要する時間を導出した結果を示す情報とを取得する。配車処理部106は、取得した経路を検索した結果を示す情報と要する時間を導出した結果を示す情報等に基づいて、配車が可能であるか否かを判定する。
【0067】
図6を参照して本実施形態に係る送迎配車に関する配車判定方法を説明する。
図6は、本実施形態に係る送迎配車に関する配車判定方法の手順の一例を示すフローチャートである。
【0068】
配車処理部106は、全車両のそれぞれに対して、
図6の処理を実行する。
【0069】
(ステップS1) 配車処理部106は、新規デマンド単体でトリップの形成が可能であるかを判定する。具体的には、配車処理部106は、新規デマンド単体で形成したトリップを想定したときに、新規デマンド単体で形成したトリップが時系列的に既存トリップと重複する部分がないかを判定する。配車処理部106は、時系列的に既存のトリップと重複する部分がないと判定した場合に、新規のデマンド単体でトリップの形成が可能であると判定する。
以下、配車処理部106が時系列的に既存のトリップと重複する部分がないかを判定する処理について説明する。
【0070】
図7は、本実施形態に係る配車管理システムの動作の一例を示す図である。
図7は、トリップの一例を示す。
図7に示されるトリップは、車両は時刻t_O1minから時刻t_O1maxの間に乗車場所O1に到着し、時刻t_O1maxに乗車場所O1を出発しなければならないとする。また、車両は時刻t_D1minから時刻t_D1maxの間に降車場所D1に到着しなければならないとする。TWは、乗車場所を出発する時刻と出発する時刻から所定の時間前の時刻との間の時間である。TWをデマンドの乗車場所(出発地)にて待機可能な時間と定義する。TRは、降車場所への到着を保証する時刻(追加遅延があっても遅くともこの時刻には到着する)とその時刻から所定の時間前の時刻との間の時間である。TRは、今後追加挿入されると想定されるトリップによる遅延を吸収するための時間であり、到着までのゆとり時間と定義する。式(1)と、式(2)とが成り立つ。
t_O1max-t_O1min=TW (1)
t_D1max-t_D1min=TR (2)
式(1)から条件t_O1の制約条件はt_O1min≦t_O1≦t_O1maxとなる。式(2)からt_D1の制約条件はt_D1min≦t_D1≦t_D1maxとなる。
【0071】
図8に、ステップS1の処理の手順の一例を示す。
図8を参照してステップS1の処理を説明する。
【0072】
(ステップS101) 配車処理部106は、車両情報110bに基づいて、出発拠点(BS)及び到着拠点(BG)を決定する。
【0073】
(ステップS102) 配車処理部106は、新規デマンド単体でトリップを形成したときの各時刻(t_BS、t_O1、t_D1、t_BG)を算出する。この各時刻の算出方法は、即時予約の場合と事前予約の場合とで異なる。
【0074】
(即時予約の場合)
即時予約の場合、車両が最短で拠点を出発可能な時刻をt_BSとし、残りのt_O1、t_D1、t_BGは、経路検索部108が出力した各地点間の移動時間をt_BSに順次加算していくことでトリップを形成する。このとき、配車処理部106は、t_O1maxをこの時点のt_O1とし、t_D1minをこの時点のt_D1とする。
なお、即時予約の場合、トリップ生成時において、拠点出発時刻t_BSは、予約確定想定時刻「現在時刻+配車確定猶予時間」よりも後の時刻にする。この即時予約における拠点出発時刻の制約条件は、車両が予定時刻通りに拠点を出発するために必要な条件である。
【0075】
(事前予約の場合)
事前予約の場合、新規デマンド単体でのトリップの形成ができるか否かに関して、希望出発時刻が指定された場合と、希望到着時刻が指定された場合とに分けて説明する。
希望出発時刻が指定された場合、配車処理部106は、希望出発時刻をt_O1とし、時刻t_O1に乗車地点O1に到着するための拠点の出発時刻をt_BSとする。残りの時刻t_D1、t_BGは即時予約の場合と同様に、経路検索部108が出力した各地点間の移動時間を時刻t_BSに順次加算していくことでトリップを形成する。
希望到着時刻が指定された場合、配車処理部106は、希望到着時刻をt_D1maxとし、到着時刻t_D1maxによって定まるt_D1minの時刻をt_D1とする。残りの時刻t_BS、t_O1、t_BGは即時予約の場合と同様に、経路検索部108が出力した各地点間の移動時間を時刻t_D1から順に減算していくことでトリップを形成する。
【0076】
以上から、即時予約が指定された場合と事前予約が指定された場合とのいずれの場合も、新規デマンド単体でのトリップ形成は
図7の時系列関係で表されることが分かる。
【0077】
(ステップS103) 配車処理部106は、形成された新規デマンド単体トリップが制約条件一覧を全て満たすかを判定する。
【0078】
送迎配車に関する制約条件一覧を以下に示す。
【0079】
(制約条件a)
既存トリップの時間帯と重複していないこと。配車処理部106は、新規デマンド単体トリップのt_BS~t_BGの時間帯が既存トリップの時間帯と重複していないことを判定する。
【0080】
(制約条件b)
車両の運行時間外の時間帯や休憩時間や配送専用期間と重複していないこと。配車処理部106は、新規デマンド単体トリップのt_BS~t_BGの時間帯が車両の運行時間外の時間帯や休憩時間や配送専用期間と重複していないことを判定する。
【0081】
(制約条件c)
車両の乗車定員を超過していないこと。配車処理部106は、車両毎に定められている乗車定員を超過した乗車を行うトリップではないことを判定する。
【0082】
(制約条件d)
相乗り拒否の要求が含まれたデマンドのトリップである場合、相乗り拒否の設定が行われていること。配車処理部106は、相乗り拒否の要求が含まれたデマンドのトリップである場合に、当該デマンドの乗車人数が乗車定員未満であっても乗車定員分の乗車人数に設定することで、相乗り拒否を実現する。
【0083】
(制約条件e)
車両が拠点で待機している時間(拠点待機時間)が所定時間確保されていること。配車処理部106は、拠点待機時間が所定時間確保されていることを判定する。なお、この制約条件eはオプションであり必須ではない。
【0084】
(ステップS104) 配車処理部106は、制約条件一覧が全て満たされる場合、新規デマンド単体トリップでの配車が可能であると判定する。
【0085】
(ステップS105) 配車処理部106は、制約条件一覧の制約条件が一つでも満たされない場合、新規デマンド単体トリップでの配車が不可能であると判定する。
【0086】
説明を
図6に戻す。
ステップS1の結果、新規デマンド単体トリップでの配車が可能である場合(ステップS1、YES)、ステップS5に進む。一方、新規デマンド単体トリップでの配車が不可能である場合(ステップS1、NO)、ステップS2に進む。
【0087】
(ステップS2) 配車処理部106は、ステップS1で仮生成した新規デマンド単体トリップと時系列的に重複する既存トリップが存在するかを判定する。この判定の結果、該当する既存トリップが存在する場合(ステップS2、YES)、ステップS3に進む。一方、該当する既存トリップが存在しない場合(ステップS2、NO)、ステップS6に進む。
【0088】
(ステップS3) 配車処理部106は、ステップS1で仮生成した新規デマンド単体トリップのデマンドについて、当該新規デマンド単体トリップと時系列的に重複する既存トリップへ新規デマンド挿入が可能かを判定する。
【0089】
図9に、ステップS3の処理の手順の一例を示す。
図9を参照してステップS3の処理を説明する。
【0090】
(ステップS201) 配車処理部106は、既存トリップへの新規デマンドの挿入を逐次最適挿入法の考え方に基づいて、既存デマンドの順序を変えずに新規デマンドの挿入場所を決定する。ここでの一例として、既存トリップ内に「N-1」個の既存デマンドがあり、新たにN番目のデマンドを挿入する場合について説明を続ける。
【0091】
なお、既存トリップに新規デマンドを挿入する挿入場所の決定方法として、以下に示す挿入場所決定方法の例が挙げられる。
(挿入場所決定方法の例) 本例では、既存トリップが運行中であるか否かによって、新規デマンドを挿入可能な場所を変える。既存トリップが運行前である場合は、既存トリップの全ての経由地及び拠点間に新規デマンドを挿入可能である。一方、既存トリップが運行中である場合は、既存トリップの全ての経由地及び拠点間のうち車両VEが未到着である経由地及び拠点間に新規デマンドを挿入可能である。なお、運行の安全性を考慮し、最後の経由地と車両VEが帰着する拠点との間のみに新規デマンドを挿入可能としてもよい。
【0092】
(ステップS202) 配車処理部106は、既存トリップの出発拠点BSの出発時刻t_BSを基準にして、N番目のデマンドの乗車場所(出発地)O_Nと降車場所(目的地)D_Nとを新たな経由地として挿入する場合の各時刻を算出する。
【0093】
ここで、N番目のデマンドの乗車場所(出発地)O_Nと降車場所(目的地)D_Nとを新たな経由地として挿入する場合の各時刻の算出について、即時予約の場合と、事前予約において希望出発時刻が指定された場合と、事前予約において希望到着時刻が指定された場合との3通りに分けて説明する。但し、各経由地の出発時刻は以下のように定める。
出発拠点:t_BS
出発地:t_O<t_Omaxのときは、t_Omax
t_Omax<=t_Oのときは、t_O
目的地:t_D
【0094】
(即時予約の場合)
図10を参照して即時予約の場合を説明する。配車処理部106は、t_ONを乗車場所O_Nの一つ前の経由地の出発時刻に移動時間を加算して算出し、t_DNを降車場所D_Nの一つ前の経由地の出発時刻に移動時間を加算して算出する。配車処理部106は、t_ONmaxをこの時点のt_ONとし、t_DNminをこの時点のt_DNと定める。
【0095】
(事前予約において希望出発時刻が指定された場合)
図11を参照して事前予約において希望出発時刻が指定された場合を説明する。配車処理部106は、希望出発時刻をt_ONmaxに設定する。配車処理部106は、t_ONを乗車場所O_Nの一つ前の経由地の出発時刻に移動時間を加算して算出し、t_DNを降車場所D_Nの一つ前の経由地の出発時刻に移動時間を加算して算出する。
【0096】
(事前予約において希望到着時刻が指定された場合)
図12を参照して事前予約において希望到着時刻が指定された場合を説明する。配車処理部106は、希望到着時刻をt_DNmaxに設定する。配車処理部106は、t_ONを乗車場所O_Nの一つ前の経由地の出発時刻に移動時間を加算して算出し、t_DNを降車場所D_Nの一つ前の経由地の出発時刻に移動時間を加算して算出する。
【0097】
(ステップS203) 配車処理部106は、出発拠点BSと最初の経由地との間への新規デマンド挿入(乗車場所O_N及び降車場所D_Nの挿入)があるかを確認する。この確認の結果、出発拠点BSと最初の経由地との間への新規デマンド挿入がある場合にはステップS207へ進み、そうではない場合にはステップS204へ進む。
【0098】
(ステップS204) 配車処理部106は、既存トリップへの新規デマンド挿入により制約条件一覧を全て満たすかを判定する。この判定の結果、制約条件一覧が全て満たされる場合にはステップS205へ進み、そうではない場合にはステップS206へ進む。
【0099】
(ステップS205) 配車処理部106は、制約条件一覧が全て満たされる場合、既存トリップへ新規デマンド挿入を行った結果のトリップを出力する。
【0100】
(ステップS206) 新規デマンドの挿入場所が他にある場合にはステップS201へ戻り、そうではない場合には
図9の処理を終了する。
【0101】
(ステップS207) 配車処理部106は、出発拠点BSと最初の経由地との間への新規デマンド挿入がある場合、拠点出発時刻t_BSを所定の時間幅Tshiftだけ早めて各時刻を再度算出する。
【0102】
(ステップS208) 配車処理部106は、制約条件一覧を全て満たすかを判定する。この判定の結果、制約条件一覧が全て満たされる場合にはステップS205へ進み、そうではない場合にはステップS209へ進む。
【0103】
(ステップS209) 配車処理部106は、ステップS207-S208の繰り返し回数が所定値M_shift以下であるか判定する。この判定の結果、所定値M_shift以下である場合にはステップS207へ戻る。一方、所定値M_shift超過である場合にはステップS206へ進む。これにより、配車処理部106は、制約条件一覧が全て満たされるトリップが見つかるまで、時間幅Tshiftだけ拠点出発時刻t_BSを早めて各時刻を算出する操作を最大M_shift回実行する。
【0104】
説明を
図6に戻す。
ステップS3の結果、ステップS1で仮生成した新規デマンド単体トリップのデマンドについて、当該新規デマンド単体トリップと時系列的に重複する既存トリップへ新規デマンド挿入が可能である場合には(ステップS3、YES)ステップS4に進み、そうではない場合には(ステップS3、NO)ステップS8に進む。
【0105】
(ステップS4) 配車処理部106は、ステップS3(ステップS205)で出力されたトリップ(配車)の中から、最小遅延コストであるトリップ(配車)を選定する。遅延コストの算出方法の一例を以下に示す。
【0106】
(即時予約の場合)
遅延コスト=「新規デマンドの到着時刻」-「現在時刻」+「既存デマンドの追加遅延の総和」
【0107】
(事前予約の場合)
遅延コスト=「新規デマンドの到着時刻」-「新規デマンドの出発時刻」+「既存デマンドの追加遅延の総和」
【0108】
但し、既存デマンドの追加遅延とは、既存トリップへの新規デマンド挿入によって新たに生じる既存デマンドの遅延のことを指す。
【0109】
(ステップS5) 配車処理部106は、ステップS4で決定されたトリップを通常トリップとして出力する。この後、
図6の処理を終了する。通常トリップとは、ユーザーの希望時刻(希望出発時刻や希望到着時刻)を変えずに制約条件一覧を全て満たしたトリップのことである。したがって、通常トリップは、ユーザーの希望時刻(希望出発時刻や希望到着時刻)を満たし且つ制約条件一覧を全て満たす。
【0110】
(ステップS6) 配車処理部106は、ステップS1で仮生成した新規デマンド単体トリップと時系列的に重複する既存トリップが存在しない場合(ステップS2、NO)、ユーザーの希望出発時刻と希望到着時刻とのうち少なくとも一方を所定の時間幅でずらしてから再度、新規デマンド単体トリップでの配車が可能であるかを判定する。ここでの一例として希望出発時刻をずらす場合を挙げて説明する。配車処理部106は、希望出発時刻を時間的に前か後ろに所定の時間幅Tnearでi回分(「Tnear」×iだけ)ずらしてから、上記ステップS1を再度実行する。iは予め設定される正の整数、i=1,2,・・・,N)である。配車処理部106は、iの最小値「1」から最大値「N」まで順次設定しながら、希望出発時刻を時間的に前か後ろに「Tnear」×iだけずらしてから上記ステップS1の実行を繰り返す。例えば、「Tnear=10分」であり、「N=2」である場合には、まず「希望出発時刻を前に10分ずらしてから上記ステップS1を実行する」、次いで「希望出発時刻を後ろに10分ずらしてから上記ステップS1を実行する」、次いで「希望出発時刻を前に20分ずらしてから上記ステップS1を実行する」、最後に「希望出発時刻を後ろに20分ずらしてから上記ステップS1を実行する」の合計4回、上記ステップS1が繰り返し実行される。このステップS1の繰り返し実行において、希望出発時刻を前にずらす場合と希望出発時刻を後ろにずらす場合とでそれぞれに、新規デマンド単体トリップでの配車が可能であると判定されたときにはステップS6を終了する。なお、即時予約の場合は、拠点出発時刻に関する制約条件から、希望出発時刻を後へずらすのみとし、希望出発時刻を前にずらすことは行わない。
【0111】
ステップS6の結果、新規デマンド単体トリップでの配車が可能である場合(ステップS6、YES)、ステップS7に進む。一方、新規デマンド単体トリップでの配車が不可能である場合(ステップS6、NO)、ステップS10に進む。
【0112】
(ステップS7) 配車処理部106は、ステップS6で配車が可能であると判定された新規デマンド単体トリップを近傍トリップとして出力する。この後、
図6の処理を終了する。近傍トリップとは、ユーザーの希望条件のうちいずれかの条件を変えることにより配車が可能になるトリップのことである。したがって、近傍トリップは、ユーザーの全ての希望条件は満たさない。
【0113】
(ステップS8) 配車処理部106は、ステップS1で仮生成した新規デマンド単体トリップのデマンドについて、当該新規デマンド単体トリップと時系列的に重複する既存トリップへ新規デマンド挿入が不可能である場合(ステップS3、NO)、ステップS3で新規デマンド挿入を試みた既存トリップの中に、新規デマンドの制約条件となるユーザーの希望条件「乗車場所(出発地)、降車場所(目的地)、希望時刻(希望出発時刻、希望到着時刻)、乗車人数、相乗り拒否」以外の制約条件を満たすトリップがあるかを判定する。この判定の結果、該当トリップがある場合には(ステップS8、YES)、ステップS9へ進む。一方、該当トリップがない場合には(ステップS8、NO)、ステップS10へ進む。
【0114】
(ステップS9) 配車処理部106は、ステップS8で発見された既存トリップを近傍トリップとして出力する。この後、
図6の処理を終了する。
【0115】
ステップS9で出力される近傍トリップについて説明する。ステップS9で出力される近傍トリップは、ユーザーの希望条件「希望時刻(希望出発時刻、希望到着時刻)、乗車場所(出発地)、降車場所(目的地)、乗車人数、相乗り拒否」の全ては満たさないが、当該満たさない希望条件を変えれば、新規デマンド挿入が可能になる既存トリップである。したがって、ステップS9で出力される近傍トリップは、当該満たさない希望条件を変えることによって配車が可能になることをユーザーに提案することができるトリップである。以下に、ユーザーの希望条件の変更を試みる処理について説明する。
【0116】
(希望時刻が満たされない場合)
配車処理部106は、上記ステップS6と同様に、ユーザーの希望出発時刻と希望到着時刻とのうち少なくとも一方を所定の時間幅でずらしてから再度、既存トリップへの新規デマンド挿入が可能であるかを判定する。この判定の結果、既存トリップへの新規デマンド挿入が可能である場合に、当該希望時刻を変更した後のトリップを近傍トリップとして出力する。
【0117】
(乗車場所(出発地)又は降車場所(目的地)が満たされない場合)
配車処理部106は、ユーザーの希望条件の乗車場所(出発地)が既存トリップ(既存の配車)の出発地から所定の距離以内にあるか、又はユーザーの希望条件の降車場所(目的地)が既存トリップの目的地から所定の距離以内にあるときには、当該希望条件の出発地と目的地とのうち少なくとも一方を既存トリップと同じに変更してから再度、既存トリップへの新規デマンド挿入が可能であるかを判定する。この判定の結果、既存トリップへの新規デマンド挿入が可能である場合に、当該出発地又は目的地を変更した後のトリップを近傍トリップとして出力する。
【0118】
(乗車人数が満たされない場合)
配車処理部106は、既存トリップ(既存の配車)の乗車人数にユーザーの希望条件の乗車人数を加算すると乗車定員超過であるときには、当該希望条件の乗車人数を減らしてから再度、既存トリップへの新規デマンド挿入が可能であるかを判定する。この判定の結果、既存トリップへの新規デマンド挿入が可能である場合に、当該乗車人数を減らした後のトリップを近傍トリップとして出力する。
【0119】
(相乗り拒否が満たされない場合)
配車処理部106は、ユーザーの希望条件の相乗り拒否を相乗り許可に変更してから再度、既存トリップへの新規デマンド挿入が可能であるかを判定する。この判定の結果、既存トリップへの新規デマンド挿入が可能である場合に、相乗り拒否を相乗り許可に変更した後のトリップを近傍トリップとして出力する。
【0120】
(ステップS10) 配車処理部106は、ユーザーの希望条件を変更しても配車が不可能な場合には(ステップS6がNO、又はステップS8がNO)、配車が不可能であることを出力する。
【0121】
以上が送迎配車に関する配車判定方法の説明である。
【0122】
[配送配車]
配送配車に関する配車管理方法を説明する。
配車処理部106は、配送配車に関する情報として、配送予約情報に含まれる店舗を特定する情報と配達場所を特定する情報とを経路検索部108へ出力する。
経路検索部108は、配車処理部106が配送配車に関する情報として出力した店舗を特定する情報と配達場所を特定する情報とを取得する。経路検索部108は、記憶部110に記憶されている車両を待機させる拠点の拠点IDと、拠点の位置情報とを関連付けた情報とを取得する。経路検索部108は、取得した店舗を特定する情報と配達場所を特定する情報と、車両を待機させる拠点IDと、拠点の位置情報とを関連付けた情報とに基づいて、店舗へ配車する車両が待機している拠点の拠点IDと、その車両が配達場所の後に向かう拠点の拠点IDとを選択する。店舗へ配車する車両が待機している拠点と配達場所の後に向かう拠点とは同じであってもよいし、異なってもよい。以下、店舗へ配車する車両が待機している拠点として第1拠点が選択され、配達場所の後に向かう拠点として第2拠点が選択された場合について説明を続ける。ここで、第1拠点と、第2拠点とは、記憶部110に記憶されている。
【0123】
経路検索部108は、取得した店舗を特定する情報と配達場所を特定する情報と、車両を待機させる第1拠点の拠点IDと、第1拠点の位置情報とを関連付けた情報とに基づいて、第1拠点から、店舗と配達場所とを経由して、第2拠点へ向かう経路(ルート)を検索し、その経路で第1拠点から、店舗と配達場所とを経由して、第2拠点へ向かった場合に要する時間を導出する。
【0124】
例えば、経路検索部108は、第1拠点から、店舗と配達場所とを経由して、第2拠点へ最短距離で巡回する経路を検索し、その経路で第1拠点から、店舗と配達場所とを経由して、第2拠点へ向かった場合に要する時間を導出する。例えば、経路検索部108は、第1拠点から店舗へ向かった場合に要する時間と、店舗から配達場所へ向かった場合に要する時間と、配達場所から第2拠点へ向かった場合に要する時間を導出する。経路検索部108は、経路を検索した結果を示す情報と要する時間を導出した結果を示す情報とを配車処理部106へ出力する。
【0125】
配車処理部106は、経路検索部108が出力した経路を検索した結果を示す情報と要する時間を導出した結果を示す情報とを取得する。配車処理部106は、取得した経路を検索した結果を示す情報と要する時間を導出した結果を示す情報等に基づいて、配車が可能であるか否かを判定する。
【0126】
図13を参照して本実施形態に係る配送配車に関する配車判定方法を説明する。
図13は、本実施形態に係る配送配車に関する配車判定方法の手順の一例を示すフローチャートである。
【0127】
配車処理部106は、全車両のそれぞれに対して、
図13の処理を実行する。
【0128】
(ステップS301) 配車処理部106は、配送予約要求時に配送要求ユーザーから指定された店舗O1の配送専用期間(指定配送専用期間)を確認する。配送専用期間の指定は、配送予約情報に含められてもよいし、配送予約情報とは別個に取得されてもよい。例えば、受付部104が配送予約情報に示される店舗O1の配送専用期間を端末装置20-1へ提示し、配送要求ユーザーが提示された配送専用期間を確認し、端末装置20-1が確認された配送専用期間を管理サーバ100へ通知してもよい。
【0129】
(ステップS302) 配車処理部106は、指定配送専用期間内に既存トリップが存在するか否かを判断する。当該既存トリップは、店舗O1の配送配車に関する既存トリップである。既存トリップが存在しない場合はステップS303へ進み、既存トリップが存在する場合はステップS304へ進む。
【0130】
(ステップS303) 配車処理部106は、新規デマンド単体でトリップの形成が可能であるかを判定する。具体的には、配車処理部106は、新規デマンド単体で形成したトリップを想定したときに、新規デマンド単体で形成したトリップが指定配送専用期間内にあり且つ時系列的に既存トリップと重複する部分がないかを判定する。配車処理部106は、指定配送専用期間内にあり且つ時系列的に既存トリップと重複する部分がないと判定した場合に、新規のデマンド単体でトリップの形成が可能であると判定する。
【0131】
ステップS303の処理の手順は上記した
図8と同様である。
図8を参照してステップS303の処理を説明する。
【0132】
(ステップS101) 配車処理部106は、車両情報110bに基づいて、出発拠点(BS)及び到着拠点(BG)を決定する。
【0133】
(ステップS102) 配車処理部106は、新規デマンド単体でトリップを形成したときの各時刻(t_BS、t_O1、t_D1、t_BG)を算出する。時刻t_BSは車両VEが拠点BSを出発する時刻、時刻t_O1は車両VEが店舗O1に到着する時刻、時刻t_D1は車両VEが配達場所D1に到着する時刻、時刻t_BGは車両VEが拠点BGに帰着する時刻、である。全ての時刻t_BS、t_O1、t_D1、t_BGが指定配送専用期間である店舗O1の配送専用期間内であることが、新規デマンド単体でトリップの形成が可能であることの条件である。各時刻の算出方法を以下に示す。
【0134】
指定配送専用期間の開始時刻以降で車両が最短で拠点を出発可能な時刻をt_BSとし、残りのt_O1、t_D1、t_BGは、経路検索部108が出力した各地点間の移動時間をt_BSに順次加算していくことでトリップを形成する。これにより、可能な限り配送専用期間内の先頭からトリップを詰めていき、配送配車の効率向上を図ることができる。
【0135】
なお、トリップ生成時において、拠点出発時刻t_BSは、予約確定想定時刻「現在時刻+配車確定猶予時間」よりも後の時刻にする。この拠点出発時刻の制約条件は、車両が予定時刻通りに拠点を出発するために必要な条件である。
【0136】
(ステップS103) 配車処理部106は、形成された新規デマンド単体トリップが制約条件一覧を全て満たすかを判定する。
【0137】
配送配車に関する制約条件一覧を以下に示す。
【0138】
(制約条件a)
既存トリップの時間帯と重複していないこと。配車処理部106は、新規デマンド単体トリップのt_BS~t_BGの時間帯が既存トリップの時間帯と重複していないことを判定する。
【0139】
(制約条件b)
全ての時刻t_BS、t_O1、t_D1、t_BGが指定配送専用期間(店舗O1の配送専用期間)内であること。配車処理部106は、新規デマンド単体トリップのt_BS~t_BGの時間帯が指定配送専用期間(店舗O1の配送専用期間)内であることを判定する。
【0140】
(ステップS104) 配車処理部106は、制約条件一覧が全て満たされる場合、新規デマンド単体トリップでの配車が可能であると判定する。
【0141】
(ステップS105) 配車処理部106は、制約条件一覧の制約条件が一つでも満たされない場合、新規デマンド単体トリップでの配車が不可能であると判定する。
【0142】
説明を
図13に戻す。
ステップS303の結果、新規デマンド単体トリップでの配車が可能である場合(ステップS303、YES)、ステップS306に進む。一方、新規デマンド単体トリップでの配車が不可能である場合(ステップS303、NO)、ステップS307に進む。
【0143】
(ステップS304) 配車処理部106は、指定配送専用期間内に存在する既存トリップへ新規デマンド挿入が可能かを判定する。当該既存トリップは、店舗O1の配送配車に関する既存トリップである。
【0144】
ステップS304の処理の手順は上記した
図9と同様である。
図9を参照してステップS304の処理を説明する。
【0145】
(ステップS201) 配車処理部106は、既存トリップへの新規デマンドの挿入を逐次最適挿入法の考え方に基づいて、既存デマンドの順序を変えずに新規デマンドの挿入場所を決定する。ここでの一例として、既存トリップ内に「N-1」個の既存デマンドがあり、新たにN番目のデマンドを挿入する場合について説明を続ける。
【0146】
なお、既存トリップに新規デマンドを挿入する挿入場所の決定方法として、以下に示す挿入場所決定方法の例が挙げられる。
(挿入場所決定方法の例) 本例では、既存トリップが運行中であるか否かによって、新規デマンドを挿入可能な場所を変える。既存トリップが運行前である場合は、既存トリップの全ての経由地及び拠点間に新規デマンドを挿入可能である。一方、既存トリップが運行中である場合は、既存トリップの全ての経由地及び拠点間のうち車両VEが未到着である経由地及び拠点間に新規デマンドを挿入可能である。なお、運行の安全性を考慮し、最後の経由地と車両VEが帰着する拠点との間のみに新規デマンドを挿入可能としてもよい。
【0147】
(ステップS202) 配車処理部106は、既存トリップの出発拠点BSの出発時刻t_BSを基準にして、N番目のデマンドの配達場所D_Nを新たな経由地として挿入する場合の各時刻を算出する。
【0148】
ここで、N番目のデマンドの配達場所D_Nを新たな経由地として挿入する場合の各時刻の算出について、即時予約の場合と、事前予約において希望到着時刻が指定された場合との3通りに分けて説明する。但し、各経由地の出発時刻は以下のように定める。
出発拠点:t_BS
店舗O1:t_O1
配達場所D_N:t_DN
【0149】
(即時予約の場合)
配車処理部106は、t_DNを配達場所D_Nの一つ前の経由地の出発時刻に移動時間を加算して算出する。
【0150】
(事前予約において希望到着時刻が指定された場合)
配車処理部106は、希望到着時刻をt_DNに設定する。
【0151】
(ステップS203) 配車処理部106は、店舗O1と最初の経由地(配達場所)との間への新規デマンド挿入(配達場所D_Nの挿入)があるかを確認する。この確認の結果、店舗O1と最初の経由地(配達場所)との間への新規デマンド挿入がある場合にはステップS207へ進み、そうではない場合にはステップS204へ進む。
【0152】
(ステップS204) 配車処理部106は、既存トリップへの新規デマンド挿入により配送配車に関する制約条件一覧を全て満たすかを判定する。この判定の結果、配送配車に関する制約条件一覧が全て満たされる場合にはステップS205へ進み、そうではない場合にはステップS206へ進む。
【0153】
(ステップS205) 配車処理部106は、配送配車に関する制約条件一覧が全て満たされる場合、既存トリップへ新規デマンド挿入を行った結果のトリップを出力する。
【0154】
(ステップS206) 新規デマンドの挿入場所が他にある場合にはステップS201へ戻り、そうではない場合には
図9の処理を終了する。
【0155】
(ステップS207) 配車処理部106は、店舗O1と最初の経由地(配達場所)との間への新規デマンド挿入がある場合、拠点出発時刻t_BSを所定の時間幅Tshiftだけ早めて各時刻を再度算出する。但し、拠点出発時刻t_BSを早める限界は、店舗O1の配送専用期間の開始までである。
【0156】
(ステップS208) 配車処理部106は、配送配車に関する制約条件一覧を全て満たすかを判定する。この判定の結果、配送配車に関する制約条件一覧が全て満たされる場合にはステップS205へ進み、そうではない場合にはステップS209へ進む。
【0157】
(ステップS209) 配車処理部106は、ステップS207-S208の繰り返し回数が所定値M_shift以下であるか判定する。この判定の結果、所定値M_shift以下である場合にはステップS207へ戻る。一方、所定値M_shift超過である場合にはステップS206へ進む。これにより、配車処理部106は、配送配車に関する制約条件一覧が全て満たされるトリップが見つかるまで、時間幅Tshiftだけ拠点出発時刻t_BSを早めて各時刻を算出する操作を最大M_shift回実行する。
【0158】
説明を
図13に戻す。
ステップS304の結果、既存トリップへ新規デマンド挿入が可能である場合には(ステップS304、YES)ステップS305に進み、そうではない場合には(ステップS304、NO)ステップS307に進む。
【0159】
(ステップS305) 配車処理部106は、ステップS304(ステップS205)で出力されたトリップ(配送配車)の中から、最小遅延コストであるトリップ(配送配車)を選定する。遅延コストの算出方法の一例を以下に示す。
【0160】
(即時予約の場合)
遅延コスト=「新規デマンドの到着時刻」-「現在時刻」+「既存デマンドの追加遅延の総和」
【0161】
(事前予約の場合)
遅延コスト=「新規デマンドの到着時刻」-「新規デマンドの出発時刻」+「既存デマンドの追加遅延の総和」
【0162】
但し、既存デマンドの追加遅延とは、既存トリップへの新規デマンド挿入によって新たに生じる既存デマンドの遅延のことを指す。
【0163】
(ステップS306) 配車処理部106は、ステップS303又はS305で決定されたトリップを通常トリップとして出力する。この後、
図6の処理を終了する。通常トリップとは、ユーザーの希望時刻(希望出発時刻や希望到着時刻)を変えずに配送配車に関する制約条件一覧を全て満たしたトリップのことである。したがって、通常トリップは、ユーザーの希望時刻(希望出発時刻や希望到着時刻)を満たし且つ配送配車に関する制約条件一覧を全て満たす。
【0164】
(ステップS307) 配車処理部106は、配車が不可能であることを出力する。
【0165】
なお、配送配車についても上述した送迎配車と同様に、配車処理部106は、近傍トリップを出力してもよい。配送配車に関する近傍トリップは、配送配車に関する制約条件一覧を全て満たすが、ユーザーの希望時刻(希望出発時刻や希望到着時刻)を満たさないトリップである。
また、配車処理部106は、
図14に示される配送配車に関するトリップ選択処理を実行してもよい。
図14を参照して本実施形態に係る配送配車に関するトリップ選択処理を説明する。
【0166】
(ステップS401) 配車処理部106は、抽出したトリップにおいて通常トリップが一つでも見つかったか否かを判断する。この判断の結果、通常トリップが一つでも見つかった場合はステップS402に進み、通常トリップが一つも見つからなかった場合はステップS403に進む。
【0167】
(ステップS402) 配車処理部106は、抽出した通常トリップの中で、最小遅延コストのうち、店舗O1への立寄り回数が最小のトリップ一つを最終的な配送配車(通常トリップ)として出力する。
【0168】
(ステップS403) 配車処理部106は、抽出した近傍トリップの中で、希望時刻(例えば配達場所への希望到着時刻)より前のもので最も当該希望時刻に近いトリップのうち、店舗O1への立寄り回数が最小のトリップと、当該希望時刻より後のもので最も当該希望時刻に近いトリップのうち、店舗O1への立寄り回数が最小のトリップの、最大二つのトリップを最終的な配送配車(近傍トリップ)として出力する。
【0169】
なお、配車処理部106は、配送予約要求に対して、一の配送専用期間内の配送配車が得られなかった場合に、当該一の配送専用期間とは異なる他の配送専用期間内の配送配車の情報を出力してもよい。例えば、配車処理部106は、店舗O1に関する配送予約要求に対して、店舗O1の既存の配送専用期間内の配送配車が得られなかった場合に、店舗O1の配送専用期間を新たに設定し、当該新たに設定した店舗O1の配送専用期間内の配送配車の情報を出力してもよい。新たに設定される配送専用期間は、運行時間内であって、既存トリップや休憩時間に重複していない時間帯に動的に生成される。
【0170】
また、配車処理部106は、配送予約要求に対して、一の配送専用期間内の配車が得られなかった場合に、当該一の配送専用期間を延長し、延長した当該一の配送専用期間内の配車の情報を出力してもよい。例えば、配車処理部106は、店舗O1に関する配送予約要求に対して、店舗O1の既存の配送専用期間内の配送配車が得られなかった場合に、当該既存の配送専用期間を延長し、延長した当該既存の配送専用期間内の配車の情報を出力してもよい。配送専用期間の延長時間には上限が設けられてもよい。
【0171】
なお、一の配送専用期間に組み入れ可能な配車数には上限が設けられてもよい。例えば、配車処理部106は、店舗O1に関する配送予約要求に対して、店舗O1の配送専用期間に組み入れる配車数を、所定の上限数に制限してもよい。配送専用期間に組み入れる配車数の上限は、店舗ごとに設定されてもよいし、全店舗共通に設定されてもよい。
【0172】
以上が配送配車に関する配車判定方法の説明である。
【0173】
なお、配車処理部106は、配送に関する所定の受付締切時刻以降に受付部104が受付けた乗車予約要求に対しては、乗車予約要求に対する配車計算の実行結果に基づいて配送専用期間に重複する配車の情報をさらに出力してもよい。例えば、受付部104は、店舗O1の商品注文締切時刻までは配送予約要求のみ受け付けるが、商品注文締切時刻以降は乗車予約要求も受付可にしてもよい。配車処理部106は、店舗O1の商品注文締切時刻以降に受付部104により受付けられた乗車予約要求に対しては、店舗O1の配送専用期間に重複する送迎配車を出力してもよい。
また、受付部104は、車両情報110b(配車予定情報)配車予定情報に基づいて、車両が一の店舗に到着する予定時刻より一定時間だけ前の時刻を、当該一の店舗に関する配送予約要求の受付締切時刻に設定してもよい。例えば、受付部104は、車両情報110b(配車予定情報)配車予定情報に基づいて店舗O1に関する配送配車の車両VEが店舗O1に到着する予定時刻を取得し、取得した予定時刻より一定時間だけ前の時刻を、店舗O1に関する配送予約要求の受付締切時刻に設定してもよい。
【0174】
図15に最終的なトリップ(配車)の出力例を示す。
図15には本実施形態の一例として送迎配車の出力例を示すが、配送配車についても同様である。
【0175】
図15(1)の例では、車両1の配車処理によって通常トリップAが出力され、車両2の配車処理によって近傍トリップB,C,Dが出力される。この場合、通常トリップAが存在するので、通常トリップAが最終的なトリップ(配車)として出力される。
【0176】
図15(2)の例では、車両1の配車処理によって近傍トリップA,Bが出力され、車両2の配車処理によって近傍トリップC,D,Eが出力される。この場合、通常トリップが存在しない。このため、ユーザーの希望出発時刻「14時00分」よりも時間的に前で最も希望出発時刻「14時00分」に近い近傍トリップC(出発予定「13時50分」)と、ユーザーの希望出発時刻「14時00分」よりも時間的に後で最も希望出発時刻「14時00分」に近い近傍トリップB(出発予定「14時05分」)と、が最終的なトリップ(配車)として出力される。
【0177】
配車処理部106は、最終的に出力されたトリップ(配車)の情報と、当該トリップ(配車)で配車が可能であることを示す情報とを含む、端末装置20-1を宛先とする乗車予約応答を作成する。配車処理部106は、作成した乗車予約応答を通信部102へ出力する。これにより、ユーザーに対して、当該トリップ(配車)によれば配車が可能であることが通知される。ユーザーに通常トリップが通知された場合、ユーザーは、自己の希望条件が全て満たされている配車が可能であることを認識する。一方、ユーザーに近傍トリップが通知された場合、ユーザーは、自己の希望条件のうち、通知された配車の情報に示される希望条件の変更を承諾すれば、配車が可能であることを認識する。
【0178】
一方、配車処理部106は、全車両について配車が不可能であることが出力された場合、配車が不可能であることを示す情報を含む、端末装置20-1を宛先とする乗車予約応答を作成する。配車処理部106は、作成した乗車予約応答を通信部102へ出力する。これにより、ユーザーに対して、配車が不可能であることが通知される。
【0179】
上述した実施形態によれば、予約に応じて車両を運行するデマンド型の配車管理システムにおいて、乗合の配車(送迎配車)と荷物の配送の配車(配送配車)の両方を実現することができるという効果が得られる。
【0180】
また、配送配車は、店舗への立寄りが抑制され、最小1回の店舗立寄りで済ますことができるので、店舗側と車両オペレータ側双方の負担を軽減する効果が得られる。さらに、配送デマンドを1トリップに集約できるので、全体の車両稼働時間を大幅に削減する効果が得られる。
【0181】
なお、これにより、例えばオンデマンド交通サービスにおける総合的なサービス品質の向上を実現することができることから、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る」に貢献することが可能となる。
【0182】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0183】
また、上述した各装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0184】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0185】
1…配車管理システム、20-1,20-2,20-3…端末装置、30…車載器、100…管理サーバ、102…通信部、104…受付部、106…配車処理部、108…経路検索部、110…記憶部、110a…デマンド情報、110b…車両情報(配車予定情報)、110c…ユーザー情報、110d…配送専用期間情報、VE…車両、NW…ネットワーク