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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116074
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20240820BHJP
【FI】
H01G4/30 513
H01G4/30 201C
H01G4/30 201M
H01G4/30 201N
H01G4/30 512
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024003511
(22)【出願日】2024-01-12
(31)【優先権主張番号】10-2023-0019938
(32)【優先日】2023-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジェ ジュン
(72)【発明者】
【氏名】カン、ジェオン モ
(72)【発明者】
【氏名】オー、セオン ミン
(72)【発明者】
【氏名】ノー、エオン ジュ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジン フワン
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC07
5E001AD02
5E001AF06
5E082AA01
5E082AB03
5E082BC19
5E082EE04
5E082EE13
5E082EE35
5E082EE50
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082GG10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】内部電極の折り曲げ部の角度を調節して積層型電子部品の耐湿信頼性を向上させ、また、デラミネーションが発生する現象を緩和する。
【解決手段】積層型電子部品において、第1内部電極121が、通常端面とも呼ばれる第3面に隣接する領域及び第2内部電極が第4面に隣接する領域において、折り曲げ部B1が形成されても、積層型電子部品の耐湿信頼性が低下しないように折り曲げ部の角度を制御する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層及び前記誘電体層を挟んで第1方向に交互に配置される第1内部電極及び第2内部電極を含み、前記第1方向に対向する第1面及び第2面、前記第1面及び前記第2面と連結され、第2方向に対向する第3面及び第4面、並びに前記第1面~前記第4面と連結され、第3方向に対向する第5面及び第6面を含む本体と、
前記第3面上に配置されて前記第1内部電極と連結される第1外部電極と、
前記第4面上に配置されて前記第2内部電極と連結される第2外部電極と、を含み、
前記第1内部電極は前記第3面と連結され、前記第4面と離隔して配置され、前記第2内部電極は前記第4面と連結され、前記第3面と離隔して配置され、
前記第1内部電極は、前記第3面に隣接する領域で折り曲げられた第1折り曲げ部を含み、前記第2内部電極は、前記第4面に隣接する領域で折り曲げられた第2折り曲げ部を含み、
前記第2方向と平行であり、前記第1内部電極又は前記第2内部電極と接する直線をL1、前記第1内部電極が前記第3面と接する地点と前記第1折り曲げ部とを連結した直線、又は前記第2内部電極が前記第4面と接する地点と前記第2折り曲げ部とを連結した直線をL2とし、前記L1とL2がなす鋭角をT、前記Tの平均値を
【数24】
とするとき、
【数25】
は0.1以上0.5以下を満たす、積層型電子部品。
【請求項2】
前記第1折り曲げ部及び前記第2折り曲げ部は、前記第1方向に折り曲げられた、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記第1内部電極及び前記第2内部電極の積層度は800層以上である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記第1折り曲げ部は、前記第2内部電極の前記第2方向の端と前記第3面との間に2以上配置され、前記第2折り曲げ部は、前記第1内部電極の前記第2方向の端と前記第4面との間に2以上配置される、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記L2は、前記第1内部電極が前記第3面と接する地点と、前記2以上の第1折り曲げ部のうち前記第3面に最も隣接する第1折り曲げ部とを連結した直線、又は前記第2内部電極が前記第4面と接する地点と、前記2以上の第2折り曲げ部のうち前記第4面に最も隣接する第2折り曲げ部とを連結した直線である、請求項4に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記第1折り曲げ部及び前記第2折り曲げ部は、前記第3方向に延びて配置される、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記第1内部電極が前記第3面と接する地点及び前記第2内部電極が前記第4面と接する地点は、前記L1と離隔して配置される、請求項4に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
前記2以上の第1折り曲げ部及び前記2以上の第2折り曲げ部は、前記L1を基準として前記第1方向の一側に配置される、請求項4に記載の積層型電子部品。
【請求項9】
前記第1内部電極及び前記第2内部電極の平均厚さをte、前記誘電体層の平均厚さをtdとしたとき、teは1μm未満であり、tdは2.8μm未満である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項10】
前記第1内部電極及び前記第2内部電極の平均厚さをte、前記誘電体層の平均厚さをtdとしたとき、
td>2×teを満たす、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項11】
前記本体において、前記第1内部電極の前記第2方向の端から前記第4面の間、及び前記第2内部電極の前記第2方向の端から前記第3面の間を第1マージン部とするとき、前記第1マージン部の平均幅は70μm以上170μm以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項12】
前記本体において、前記第1内部電極及び前記第2内部電極が前記第1方向に重なる領域を容量形成部とするとき、
前記容量形成部の前記第1方向の一面及び他面にカバー部が配置され、
前記カバー部の平均厚さは70μm以上180μm以下である、請求項1から11のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項13】
前記本体において、前記第1内部電極及び前記第2内部電極が前記第1方向に重なる領域を容量形成部とするとき、
前記容量形成部の第3方向の一面及び他面に第2マージン部が配置され、
前記第2マージン部の平均幅は70μm以上170μm以下である、請求項1から11のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multilayer Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン及び携帯電話など、様々な電子製品の印刷回路基板に装着され、電気を充電又は放電させる役割を果たすチップ型のコンデンサである。
【0003】
電子製品の小型化、スリム化、多機能化に伴い、チップ部品も小型化が求められており、電子部品の実装も高集積化している。このような傾向に応じて実装される電子部品間の空間が最小化している。
【0004】
また、電装部品に対する業界の関心が高まり、セラミックキャパシタも自動車又はインフォテインメントシステムに使用されるための高容量、高信頼性、高強度特性が求められている。特に、自動車のADAS技術が高度化するにつれて、高容量、高信頼性の電装MLCCに対する需要が増えており、これに対する新たな技術開発が必要である。
【0005】
積層セラミックキャパシタのような積層型電子部品の静電容量を向上させるための一つの方法として、内部電極と誘電体層の積層度を向上させる試みがあった。この場合、内部電極が互いに異なる極性を有する外部電極に連結されるために、積層型電子部品の本体には内部電極の積層度の異なるマージン部が形成され、積層、圧着切断等の工程を経てマージン部に含まれる内部電極に折り曲げ部が形成されることができる。このような内部電極の折り曲げ部は、端に外部電極が形成される部分であるため、外部からの水分浸透に脆弱である可能性がある。したがって、内部電極に折り曲げ部が形成されることにより、積層型電子部品の耐湿信頼性が脆弱になるという問題点を解決する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明のいくつかの目的の一つは、内部電極に折り曲げ部が形成されることにより、積層型電子部品の耐湿信頼性が脆弱になるという問題点を解決することである。
【0007】
本発明のいくつかの目的の一つは、容量形成部とマージン部との内部電極積層度の差により内部電極及び誘電体層の接着力が低下することで、デラミネーションが発生するという問題点を緩和することである。
【0008】
但し、本発明の目的は上述の内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態による積層型電子部品は、誘電体層及び上記誘電体層を挟んで第1方向に交互に配置される第1内部電極及び第2内部電極を含み、上記第1方向に対向する第1面及び第2面、上記第1面及び第2面と連結され、第2方向に対向する第3面及び第4面、並びに第1面~第4面と連結され、第3方向に対向する第5面及び第6面を含む本体と、上記第3面上に配置されて上記第1内部電極と連結される第1外部電極と、上記第4面上に配置されて上記第2内部電極と連結される第2外部電極と、を含み、上記第1内部電極は上記第3面と連結され、上記第4面と離隔して配置され、上記第2内部電極は上記第4面と連結され、上記第3面と離隔して配置され、上記第1内部電極は、上記第3面に隣接する領域で折り曲げられた第1折り曲げ部を含み、上記第2内部電極は、上記第4面に隣接する領域で折り曲げられた第2折り曲げ部を含み、上記第2方向と平行であり、上記第1内部電極又は第2内部電極と接する直線をL1、上記第1内部電極が上記第3面と接する地点と上記第1折り曲げ部とを連結した直線、又は上記第2内部電極が上記第4面と接する地点と上記第2折り曲げ部とを連結した直線をL2とし、上記L1とL2がなす鋭角をT、上記Tの平均値を
【数1】
とするとき、
【数2】
は0.1以上0.5以下を満たす。
【発明の効果】
【0010】
本発明のいくつかの効果の一つは、内部電極の折り曲げ部の角度を調節して積層型電子部品の耐湿信頼性を向上させることである。
【0011】
本発明のいくつかの効果の一つは、内部電極の折り曲げ部の角度を調節して積層型電子部品にデラミネーションが発生する現象を緩和することである。
【0012】
但し、本発明の多様かつ有益な利点及び効果は上述の内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態による積層型電子部品を概略的に示す斜視図である。
図2図1のI-I'線に沿った断面図である。
図3図1のII-II'線に沿った断面図である。
図4】本発明の一実施例による本体を分解して示す分解斜視図である。
図5図2のA領域を拡大して模式化した模式図である。
図6】一実施例に対応する図1のI-I'線に沿った断面図である。
図7図6のA'領域を拡大して模式化した模式図である。
図8】一実施例によるL1直線を決定する方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して本発明の実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさ等は、より明確な説明のために誇張されることがあり、図面上の同じ符号で示される要素は同じ要素である。
【0015】
そして、図面において本発明を明確に説明するために、説明と関係のない部分は省略し、図面に示した各構成の大きさ及び厚さは説明の便宜上、任意に示しているため、本発明は必ずしも図示したものに限定されない。なお、同一思想の範囲内の機能が同一である構成要素に対しては、同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」と言うとき、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0016】
図面において、第1方向は、誘電体層を挟んで第1内部電極及び第2内部電極が交互に配置される方向又は厚さT方向、上記第1方向と垂直な方向である第2方向及び第3方向のうち、上記第2方向は長さL方向、上記第3方向は幅W方向と定義することができる。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態による積層型電子部品を概略的に示す斜視図であり、図2は、図1のI-I'線に沿った断面図であり、図3は、図1のII-II'線に沿った断面図であり、図4は、本発明の一実施例による本体を分解して示す分解斜視図であり、図5は、図2のA領域を拡大して模式化した模式図であり、図8は、一実施例によるL1直線を決定する方法を示す模式図である。
【0018】
以下では、図1図5図8を参照して本発明の一実施形態による積層型電子部品100について詳細に説明する。
【0019】
本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、誘電体層111及び上記誘電体層を挟んで第1方向に交互に配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含み、上記第1方向に対向する第1面1及び第2面2、上記第1面及び第2面と連結され、第2方向に対向する第3面3及び第4面4、並びに第1面~第4面と連結され、第3方向に対向する第5面5及び第6面6を含む本体110と、上記第3面上に配置されて上記第1内部電極と連結される第1外部電極131と、上記第4面上に配置されて上記第2内部電極と連結される第2外部電極132と、を含み、上記第1内部電極は上記第3面と連結され、上記第4面と離隔して配置され、上記第2内部電極は上記第4面と連結され、上記第3面と離隔して配置され、上記第1内部電極は、上記第3面に隣接する領域で折り曲げられた第1折り曲げ部B1を含み、上記第2内部電極は、上記第4面に隣接する領域で折り曲げられた第2折り曲げ部B2を含み、上記第2方向と平行であり、上記第1内部電極又は第2内部電極と接する直線をL1、上記第1内部電極が上記第3面と接する地点P1と上記第1折り曲げ部とを連結した直線、又は上記第2内部電極が上記第4面と接する地点P2と上記第2折り曲げ部とを連結した直線をL2とし、上記L1とL2がなす鋭角をT、上記Tの平均値を
【数3】
とするとき、
【数4】
は0.1以上0.5以下を満たす。
【0020】
本体110は、誘電体層111及び誘電体層111と交互に配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含む。
【0021】
本体110の具体的な形状に特に限定はないが、図示のように本体110は六面体形状又はこれと類似の形状からなることができる。焼成過程で本体110に含まれたセラミック粉末の収縮により、本体110は完全な直線を有する六面体形状ではないが、実質的に六面体形状を有することができる。
【0022】
本体110は、第1方向に互いに対向する第1面1及び第2面2、上記第1面1及び第2面2と連結され、第2方向に互いに対向する第3面3及び第4面4、第1面1及び第2面2と連結され、第3面3及び第4面4と連結され、第3方向に互いに対向する第5面5及び第6面6を有することができる。
【0023】
本体110を形成する複数の誘電体層111は焼成された状態であって、隣接する誘電体層111間の境界は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、上記誘電体層111を形成する原料は、十分な静電容量が得られる限り特に限定されない。例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料、又はチタン酸ストロンチウム系材料などを使用することができる。上記チタン酸バリウム系材料は、BaTiO系セラミック粉末を含むことができ、上記セラミック粉末の例示として、BaTiO、BaTiOにCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)等が一部固溶した(Ba1-xCa)TiO(0<x<1)、Ba(Ti1-yCa)O(0<y<1)、(Ba1-xCa)(Ti1-yZr)O(0<x<1、0<y<1)又はBa(Ti1-yZr)O(0<y<1)等が挙げられる。
【0025】
また、上記誘電体層111を形成する原料は、チタン酸バリウム(BaTiO)などのパウダーに、本発明の目的に応じて様々なセラミック添加剤、有機溶剤、結合剤、分散剤などを添加することができる。
【0026】
本体110は、本体110の内部に配置され、第1内部電極121及び第2内部電極122が第1方向に重なる領域である容量形成部Acを含むことができる。
【0027】
容量形成部Acは、キャパシタの容量形成に寄与する部分であって、誘電体層111を挟んで複数の第1内部電極121及び第2内部電極122を繰り返し積層して形成することができる。
【0028】
一実施例において、上記容量形成部Acの第1方向の一面には上部カバー部112が配置されることができ、上記容量形成部Acの第1方向の他面には下部カバー部113を含むことができる。
【0029】
上記上部カバー部112及び下部カバー部113は、単一の誘電体層又は2つ以上の誘電体層を容量形成部Acの上下面にそれぞれ厚さ方向に積層して形成することができ、基本的に物理的又は化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0030】
上記上部カバー部112及び下部カバー部113は内部電極を含まず、誘電体層111と同じ材料を含むことができる。
【0031】
すなわち、上記上部カバー部112及び下部カバー部113はセラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)系セラミック材料を含むことができる。
【0032】
カバー部112、113の厚さは特に限定する必要はない。但し、積層型電子部品の高容量化のためにカバー部112、113の平均厚さは70μm以上180μm以下であることが好ましい。ここで、カバー部112、113の平均厚さは、第1カバー部112及び第2カバー部113のそれぞれの平均厚さを意味することができる。
【0033】
カバー部112、113の平均厚さは第1方向のサイズを意味することができ、容量形成部Acの上部又は下部において等間隔の5個の地点で測定したカバー部112、113の第1方向のサイズを平均した値であることができる。
【0034】
一実施例において、上記容量形成部Acの第3方向の一面及び他面には第2マージン部M2が配置されることができる。
【0035】
図3を参照すると、第2マージン部M2は、上記本体110の第3方向(幅方向)に対向する面に配置されることができる。
【0036】
第2マージン部M2は、図3に示すように、第1内部電極121及び第2内部電極122の両端と本体110の境界面との間の第3方向領域を意味することができる。
【0037】
第2マージン部M2は、基本的に物理的又は化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0038】
第2マージン部M2は、セラミックグリーンシート上にマージン部が形成される箇所を除き、導電性ペーストを塗布して内部電極を形成することにより形成されたものであってもよい。
【0039】
また、内部電極121、122による段差を抑制するために、積層後の内部電極が本体の第5面5及び第6面6に露出するように切断した後、単一の誘電体層又は2つ以上の誘電体層を容量形成部Acの両側面に第3方向(幅方向)に積層して第2マージン部M2を形成することもできる。
【0040】
一方、第2マージン部M2の平均幅は特に限定する必要はない。但し、積層型電子部品の高容量化のために、第2マージン部M2の平均幅は70μm以上170μm以下であることが好ましい。
【0041】
第2マージン部M2の平均幅は、第2マージン部M2の第3方向の平均サイズを意味することができ、容量形成部Acの側面において等間隔の5個の地点で測定した第2マージン部M2の第3方向のサイズを平均した値であることができる。
【0042】
内部電極121、122は、誘電体層111と第1方向に交互に配置される。内部電極121、122は、第1内部電極121及び第2内部電極122を含むことができる。第1内部電極121及び第2内部電極122は、本体110を構成する誘電体層111を挟んで互いに対向するように交互に配置され、本体110の第3面3及び第4面4にそれぞれ連結されることができる。具体的に、第1内部電極121の一端は第3面に連結され、第2内部電極122の一端は第4面に連結されることができる。すなわち、一実施例において、内部電極121、122は、第3面3又は第4面4と接することができる。
【0043】
図2に示すように、第1内部電極121は第4面4と離隔し、第3面3を介して露出し、第2内部電極122は第3面3と離隔し、第4面4を介して露出することができる。本体の第3面3には第1外部電極131が配置されて第1内部電極121と連結され、本体の第4面4には第2外部電極132が配置されて第2内部電極122と連結されることができる。
【0044】
すなわち、第1内部電極121は第2外部電極132とは連結されず、第1外部電極131と連結され、第2内部電極122は第1外部電極131とは連結されず、第2外部電極132と連結される。したがって、第1内部電極121は第4面4において一定距離離隔して形成され、第2内部電極122は第3面3において一定距離離隔して形成されることができる。このとき、第1内部電極121及び第2内部電極122は、中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離されてもよい。
【0045】
このとき、本体110において、第1内部電極121の第2方向の端から第4面4の間、第2内部電極122の第2方向の端から第3面3の間を第1マージン部M1とすることができる。
【0046】
図4を参照すると、本体110は、第1内部電極121が印刷されたセラミックグリーンシートと、第2内部電極122が印刷されたセラミックグリーンシートとを交互に積層した後、焼成して形成することができる。
【0047】
内部電極121、122を形成する材料は特に限定されず、電気伝導性に優れた材料を使用することができる。例えば、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、錫(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち一つ以上を含むことができる。
【0048】
また、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、錫(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち一つ以上を含む内部電極用導電性ペーストをセラミックグリーンシートに印刷して形成することができる。上記内部電極用導電性ペーストの印刷方法としては、スクリーン印刷法又はグラビア印刷法などを使用することができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0049】
外部電極131、132は、本体110の第3面又は第4面に配置されることができる。具体的に、第1外部電極131は第3面3上に配置されて第1内部電極121と連結され、第2外部電極132は第4面4上に配置されて第2内部電極122と連結される。
【0050】
本実施形態では、積層型電子部品100が2つの外部電極131、132を有する構造について説明しているが、外部電極131、132の個数や形状などは、内部電極121、122の形態やその他の目的に応じて変更することができる。
【0051】
一方、外部電極131、132は、金属などのように、電気伝導性を有するものであれば、如何なる物質を使用して形成されてもよく、電気的特性、構造的安定性などを考慮して具体的な物質が決定されてもよく、さらに多層構造を有してもよい。
【0052】
例えば、外部電極131、132は、本体110に配置される電極層及び電極層上に形成されためっき層を含むことができる。
【0053】
電極層に対するより具体的な例を挙げると、電極層は、導電性金属及びガラスを含む焼成電極であってもよく、導電性金属及び樹脂を含む樹脂系電極であってもよい。
【0054】
また、電極層は、本体上に焼成電極及び樹脂系電極が順次形成された形態であってもよい。また、電極層は、本体上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されてもよく、焼成電極上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されたものであってもよい。
【0055】
電極層に含まれる導電性金属としては、電気伝導性に優れた材料を使用することができるが、特に限定されない。例えば、導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)及びそれらの合金のうち一つ以上であってもよい。
【0056】
めっき層は実装特性を向上させる役割を果たす。めっき層の種類は特に限定されず、Ni、Sn、Pd及びこれらの合金のうち一つ以上を含むめっき層であってもよく、複数の層で形成されてもよい。
【0057】
めっき層に対するより具体的な例を挙げると、めっき層は、Niめっき層又はSnめっき層であってもよく、電極層上にNiめっき層及びSnめっき層が順次形成された形態であってもよく、Snめっき層、Niめっき層及びSnめっき層が順次形成された形態であってもよい。また、めっき層は、複数のNiめっき層及び/又は複数のSnめっき層を含むこともできる。
【0058】
図2を参照すると、第1内部電極121は、第3面3に隣接する領域で折り曲げられた第1折り曲げ部B1を含み、第2内部電極2は、第4面4に隣接する領域で折り曲げられた第2折り曲げ部B2を含む。
【0059】
積層型電子部品の静電容量を向上させるための一つの方法として、内部電極と誘電体層の積層度を向上させる試みがあった。この場合、内部電極が互いに異なる極性を有する外部電極に連結されるために、積層型電子部品の本体には内部電極の積層度の異なるマージン部が形成され、積層、圧着切断等の工程を経てマージン部に含まれる内部電極に折り曲げ部が形成されることができる。このような内部電極の折り曲げ部は、端に外部電極が形成される部分であるため、外部からの水分浸透に脆弱である可能性がある。したがって、内部電極に折り曲げ部が形成されることにより、積層型電子部品の耐湿信頼性が脆弱になる可能性がある。
【0060】
そこで、本発明では、第1内部電極が第3面3に隣接する領域及び第2内部電極が第4面4に隣接する領域において折り曲げ部が形成されても、積層型電子部品100の耐湿信頼性が低下しないように折り曲げ部の角度を制御しようとする。
【0061】
図5は、図2のA領域を拡大して模式化した模式図であり、図8は、一実施例によるL1直線を決定する方法を示す模式図である。
【0062】
図5では、第2内部電極122が第4面4に隣接する領域で第2折り曲げ部B2を含むものとしてのみ示されているが、以下の説明は、第1内部電極121が第3面3に隣接する領域で第1折り曲げ部B1を含む領域においても同様に理解することができる。
【0063】
図5を参照すると、第2方向と平行であり、第2内部電極121、122に接する直線をL1、第2内部電極122が第4面4と接する地点P2と第2折り曲げ部B2とを連結した直線をL2と定義することができる。
【0064】
より具体的に、上記L1は図8のように、容量形成部Acにおいて第1内部電極121又は第2内部電極122を第2方向にn等分した第1方向の直線(D1、D2、D3…Dn)と第2方向に平行な直線が第1内部電極121又は第2内部電極122と同時に出会う地点(G1、G2、G3…Gn)が0.8×n個以上になるように、第2方向に平行な直線を調整して設定されることができる。また、L2は、第2折り曲げ部B2の第1方向の最高点と、第2内部電極122が第4面4と接する地点のうち第1方向の最高点とを連結した直線であることできる。
【0065】
本発明の一実施形態では、L1とL2がなす鋭角をTとし、上記Tの平均値を
【数5】
とするとき、
【数6】
は0.1以上0.5以下を満たす。これにより、積層型電子部品100の耐湿信頼性を向上させることができる。
【数7】
が0.1未満の場合、外部からの水分浸透の経路を十分に遮断できず、積層型電子部品の耐湿信頼性を向上させる効果がやや不足することがある。
【数8】
が0.5を超える場合、折り曲げ部B1、B2の折り曲げが過度になり、本体110を形成する切断過程で切断面に沿ってデラミネーションが発生する可能性があり、容量形成部Acと第1マージン部M1との段差が過度に増加し、第1マージン部M1に含まれる内部電極121、122及び誘電体層111の間にデラミネーションが発生する可能性がある。このようなデラミネーションは、積層型電子部品100の耐湿信頼性を低下させることがある。したがって、本発明の一実施形態では、折り曲げ部B1、B2の角度を適切に調節して外部からの水分の浸透経路を十分に遮断しながらも、切断又は段差によるデラミネーションの発生を抑制して積層型電子部品100の耐湿信頼性を向上させることができる。
【0066】
上記Tの平均値
【数9】
を測定する方法は特に限定されない。例えば、
【数10】
値は、積層型電子部品100の第3方向の中心部まで値を研磨して第1方向及び第2方向の断面を露出及び研磨した後、第1内部電極121及び第2内部電極122のうち第1方向の最上端に位置する内部電極と最下端に位置する内部電極との間を第1方向に5等分した後、1/5地点と4/5地点の間に位置する任意の5個以上の第2内部電極121の第2折り曲げ部B2において、走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)で測定したT値の算術平均値であることができる。このような
【数11】
値の測定は、第1内部電極121の第1折り曲げ部B1に対して同様の方法で測定し、平均値をとることによりさらに一般化することができる。
【0067】
上記
【数12】
値を調節する方法は特に限定されない。積層型電子部品100の本体110を製造する積層及び圧着過程において、圧力、時間、積層度、バインダーの組成、温度などを調節する方法を使用することができる。
【0068】
第1折り曲げ部B1及び第2折り曲げ部B2が折り曲げられる方向は特に限定されない。一例として、第1折り曲げ部B1及び第2折り曲げ部B2は、第1方向への積層、切断及び圧着工程を経て第1方向に折り曲げられてもよい。
【0069】
一実施例において、第1内部電極121及び第2内部電極122の積層度は800層以上であってもよい。積層型電子部品の静電容量を確保するための一つの手段として、第1内部電極121及び第2内部電極122の積層度を向上させる方法がある。しかしながら、積層度が高くなるにつれて、容量形成部Acと第1マージン部M1に含まれる内部電極の個数の差による段差がさらに激しくなる可能性がある。しかし、本発明の一実施形態では、
【数13】
が0.1以上0.5以下を満たすように調節するため、内部電極の積層度が800層以上である場合のように、容量形成部ACと第1マージン部M1との段差が激しくなる場合でも、積層型電子部品100の耐湿信頼性を向上させることができる。すなわち、一実施例により、第1内部電極121及び第2内部電極122の積層度が800層以上である場合、本発明による耐湿信頼性の向上効果はさらに顕著になり得る。
【0070】
図6は、一実施例に対応する図1のI-I'線に沿った断面図であり、図7は、図6のA'領域を拡大して模式化した模式図である。
【0071】
図6及び図7を参照すると、第1折り曲げ部B1は、第2内部電極122の第2方向の端と第3面3との間に2以上配置され、第2折り曲げ部B2は、第1内部電極121の第2方向の端と第4面4との間に2以上配置されることができる。これにより、内部電極の第2方向の端と第3面又は第4面との間の領域における誘電体層111と第1内部電極121及び第2内部電極122との接着力を向上させることができるため、積層型電子部品100の耐湿信頼性をさらに向上させることができる。
【0072】
一方、折り曲げ部B1、B2が2以上形成される場合、折り曲げ部のうち、第3面3又は第4面4に最も隣接する折り曲げ部の角度が耐湿信頼性に最も大きい影響を与える可能性がある。したがって、第3面3又は第4面4に最も隣接する折り曲げ部の角度を調節することが、積層型電子部品100の耐湿信頼性の向上に有効であり得る。
【0073】
一実施例において、第1折り曲げ部B1及び第2折り曲げ部B2が2以上形成される場合、L2をより具体的に定義した。図7を参照すると、L2は、第2内部電極122が第4面4と接する地点P2と、2以上の第2折り曲げ部B2のうち第4面4に最も隣接する第2折り曲げ部とを連結した直線であることができる。これを2以上の第1折り曲げ部B1にも同様に適用すると、L2は、第1内部電極121が第3面3と接する地点P1と、2以上の第1折り曲げ部B1のうち第3面3に最も隣接する第1折り曲げ部とを連結した直線、又は第2内部電極122が第4面4と接する地点P2と、2以上の第2折り曲げ部B2のうち第4面4に最も隣接する第2折り曲げ部とを連結した直線であることができる。
【0074】
一実施例において、第1折り曲げ部B1は、第2内部電極122の第2方向の端と第3面3との間に2以上配置され、第2折り曲げ部B2は、第1内部電極121の第2方向の端と第4面4との間に2以上配置される場合、第2内部電極が第4面4と接する地点P2は、第2方向と平行であり、内部電極121、122と接する直線であるL1と離隔して配置されることができる。このような構造は、第1内部電極121と第3面3との間にも適用可能である。すなわち、第1内部電極121が第3面3と接する地点は、上記L1と離隔して配置されることができる。一方、一実施例において、上記2以上の第1折り曲げ部B1及び第2折り曲げ部B2は、上記L1を基準として第1方向の一側に配置されてもよい。
【0075】
このとき、L2は、第4面4に最も隣接する第2折り曲げ部B2の第1方向の最低点と、第2内部電極122が第4面4と接する地点のうち第1方向の最低点とを連結した直線であることができる。
【0076】
一方、本発明の図2、5、6、7では、特定の第1方向及び第2方向の断面において第1折り曲げ部B1及び第2折り曲げ部B2が第1方向に折り曲げられたことを表現しているが、これはいずれか一つの断面でのみ折り曲げ部B1、B2が形成されることを意味するものではない。すなわち、第1折り曲げ部B1及び第2折り曲げ部B2は第3方向に延びて配置されてもよく、より好ましくは、誘電体層111と内部電極121、122との接触面積を向上させるために、第2折り曲げ部B1、B2は、第3方向に連続的に延びて配置されてもよい。
【0077】
第1内部電極121及び第2内部電極122の平均厚さ及び誘電体層111の平均厚さは様々な値を有することができる。具体的に、IT用積層型電子部品の場合、第1内部電極121及び第2内部電極122の平均厚さ及び誘電体層111の平均厚さはそれぞれ0.35μm以下であることができ、高電圧電装用積層型電子部品の場合、IT用積層型電子部品よりも第1内部電極121及び第2内部電極122の平均厚さ及び誘電体層111の平均厚さが大きい値を有することができる。
【0078】
一般的に、高電圧電装用積層型電子部品は、高電圧環境下での絶縁破壊電圧の低下による信頼性の低下が主なイシューである。一実施例では、第1内部電極121及び第2内部電極122の平均厚さをte、誘電体層111の平均厚さをtdとしたとき、td>2×teを満たすことで、内部電極121、122間の距離である誘電体層111の厚さtdを増加させて絶縁破壊電圧特性を向上させることができる。
【0079】
一方、第1内部電極121及び第2内部電極122の平均厚さ及び誘電体層111の平均厚さの絶対値は特に限定されない。一実施例において、第1内部電極121及び第2内部電極122の平均厚さをte、誘電体層111の平均厚さをtdとしたとき、teは1μm未満であり、tdは2.8μmであることができる。
【0080】
上記誘電体層111の平均厚さtdは、上記第1内部電極121及び第2内部電極122の間に配置される誘電体層111の第1方向の平均サイズを意味することができる。一方、本体110が複数の誘電体層111を含む場合、誘電体層111の平均厚さtdは、複数の誘電体層111のうち少なくとも一つの平均厚さを意味することができる。
【0081】
誘電体層111の平均厚さtdは、本体110の長さ及び厚さ方向(L-T)の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)でイメージをスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされたイメージにおいて、一つの誘電体層を長さ方向に等間隔である30個の地点でその厚さを測定し、平均値を測定することができる。上記等間隔である30個の地点は容量形成部Acで指定することができる。また、このような平均値の測定を10個の誘電体層に拡張して平均値を測定すると、誘電体層の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0082】
上記内部電極121、122の平均厚さteは、内部電極121、122の第1方向の平均サイズを意味することができる。一方、本体110が複数の内部電極121、122を含む場合、内部電極121、122の平均厚さtdは、複数の内部電極121、122のうち少なくとも一つの平均厚さを意味することができる。
【0083】
内部電極121、122の平均厚さは、本体110の長さ及び厚さ方向(L-T)の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)でイメージをスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされたイメージにおいて、一つの内部電極を長さ方向に等間隔である30個の地点でその厚さを測定し、平均値を測定することができる。上記等間隔である30個の地点は容量形成部Acで指定することができる。また、このような平均値の測定を10個の内部電極に拡張して平均値を測定すると、内部電極の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0084】
一方、一実施例において、上記本体において、上記第1内部電極の上記第2方向の端から上記第4面の間、及び上記第2内部電極の上記第2方向の端から上記第3面の間を第1マージン部M1とするとき、第1マージン部の平均幅は70μm以上170μm以下であることができる。これにより、積層型電子部品100の耐湿信頼性を向上させるとともに、十分な静電容量を確保することができる。
【0085】
(実施例)
下記の耐湿信頼性の評価に使用されたサンプルは、次のような方法により設けた。
【0086】
まず、チタン酸バリウム粉末、有機溶媒としてエタノール、バインダーとしてポリビニルブチラールを混合し、これをボールミリングしてセラミックスラリーを製造し、これを用いてセラミックグリーンシートを製造した。
【0087】
その後、セラミックグリーンシート上にニッケルを含有する内部電極用導電性ペーストを印刷して内部電極を形成し、これを積層したグリーン積層体を試験番号別に圧力及び温度条件を異ならせて等圧圧縮成形(isostatic pressing)を行った。
【0088】
圧着されたグリーン積層体を切断してグリーンチップを作製し、切断されたグリーンチップを大気雰囲気下で340℃で60時間以上保持する脱バインダー工程を経た後、グリーンチップを1100℃以上で焼結して焼結チップを製造した。焼結は還元雰囲気下で行い、内部電極の酸化を防止した。
【0089】
焼結チップの外部に銅粉末及びガラス粉末を含む外部電極用ペーストを用いて電極層を形成し、電極層上には電気めっきによりニッケルめっき層及び錫めっき層を形成した。
【0090】
上記方法により製造された積層型電子部品について、次のように特性を評価した。
【0091】
上記等圧圧縮成形の過程における圧力及び温度を調節して
【数14】
値を調節し、
【数15】
値による耐湿信頼性の評価を行って表1に示した。耐湿信頼性の評価は、各試験番号当たり積層型電子部品750個のサンプルに対して85℃、相対湿度85%、1.5Vrの環境で15時間の間行い、絶縁抵抗の値が最初値から10^7倍減少したサンプルを不良品と判定した。
【0092】
【数16】
の確認は、各試験番号当たり750個のサンプルから30個のサンプルを選別して
【数17】
を測定し、これらの平均値をとることで行った。具体的に、サンプルの第3方向の中心部まで研磨して第1方向及び第2方向の面を露出させた後、第1内部電極121及び第2内部電極122のうち、第1方向の最上端に位置する内部電極と最下端に位置する内部電極との間を第1方向に5等分した領域において走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)を用いてTをそれぞれ測定し、算術平均値を計算した。1個のサンプルで測定した
【数18】
値を30個のサンプルにおいて同様に行い、さらに平均値をとり、tan値をとった。このとき、内部電極の折り曲げ部が複数個形成された場合には、本体の第3面又は第4面に最も隣接する折り曲げ部に対してTを測定した。
【0093】
【表1】
【0094】
試験番号1~5を参照すると、
【数19】
値が0.1以上0.5である場合、耐湿信頼性に優れることが確認できる。
【0095】
試験番号6~10を参照すると、
【数20】
値が0.5を超える場合、耐湿信頼性の向上効果が低下し、
【数21】
値が増加するにつれて耐湿信頼性が低下することが確認できる。これは、
【数22】
値が0.5を超えることにより、切断又は段差によるデラミネーションが発生した結果であると予想される。
【0096】
したがって、本発明の一実施形態のように、
【数23】
値を0.1以上0.5以下に調節することにより、積層型電子部品100の耐湿信頼性を向上させることができることが確認できる。
【0097】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述した実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定するものとする。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で、当技術分野における通常の知識を有する者により様々な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属すると言える。
【0098】
また、本発明で使用される「一実施例」という表現は、互いに同じ実施例を意味するものではなく、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されたものである。しかし、上記提示された一実施例は、他の一実施例の特徴と結合して実現されることを排除しない。例えば、特定の一実施例で説明された事項が他の一実施例に説明されていなくても、他の一実施例においてその事項と反対又は矛盾する説明がない限り、他の一実施例に関連する説明として理解することができる。
【0099】
本発明で使用される用語は、単に一実施例を説明するために使用されたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。このとき、単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味ではない限り、複数の表現を含む。
【符号の説明】
【0100】
100:積層型電子部品
110:本体
111:誘電体層
112、113:カバー部
M1:第1マージン部
M2:第2マージン部
121:第1内部電極
122:第2内部電極
131:第1外部電極
132:第2外部電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8