(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116083
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】X線診断装置、X線診断システム及びX線診断方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/46 20240101AFI20240820BHJP
A61B 8/12 20060101ALI20240820BHJP
A61B 34/20 20160101ALI20240820BHJP
A61M 25/098 20060101ALI20240820BHJP
A61B 6/00 20240101ALI20240820BHJP
【FI】
A61B6/46 506B
A61B8/12
A61B34/20
A61M25/098
A61B6/00 503A
A61B6/00 520Z
A61B6/00 550A
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024014975
(22)【出願日】2024-02-02
(31)【優先権主張番号】P 2023021565
(32)【優先日】2023-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 早紀
(72)【発明者】
【氏名】小林 美輝
(72)【発明者】
【氏名】今川 和夫
(72)【発明者】
【氏名】相田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 瑞季
【テーマコード(参考)】
4C093
4C267
4C601
【Fターム(参考)】
4C093AA08
4C093AA25
4C093CA21
4C093CA34
4C093DA02
4C093EC16
4C093FA06
4C093FA19
4C093FA49
4C093FA53
4C093FA54
4C093FA55
4C093FF35
4C093FG13
4C267AA01
4C267BB43
4C267BB45
4C267BB63
4C267GG34
4C601DD14
4C601DD15
4C601EE16
4C601FE04
4C601FF11
4C601GA19
4C601GA20
4C601GA21
4C601KK24
4C601LL33
(57)【要約】
【課題】従来よりもX線使用量を減らした手技を行う。
【解決手段】実施形態に係るX線診断装置は、取得部、検出部、第1算出部及び表示制御部を備える。取得部は、被検体の体内に挿入された超音波カテーテルの検出器により収集された信号から生成された超音波画像データを順次取得する。検出部は、複数方向から撮像された複数のX線画像データを収集し、前記X線画像データ上の前記超音波カテーテル及び治療デバイスを検出する。第1算出部は、ロボットカテーテルシステムから受信した、前記超音波カテーテルに対するユーザの操作情報と、前記超音波画像データ上から検出される治療デバイスと、前記検出部の検出結果とに基づいて、前記X線画像データにおける、前記治療デバイスの現在の位置座標を算出する。表示制御部は、前記治療デバイスの前記現在の位置座標を含む位置情報を、前記X線画像データに重畳した表示用画像を表示する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の体内に挿入された超音波カテーテルの検出器により収集された信号から生成された超音波画像データを順次取得する取得部と、
複数方向から撮像された複数のX線画像データを収集し、前記X線画像データ上の前記超音波カテーテル及び治療デバイスを検出する検出部と、
ロボットカテーテルシステムから受信した、前記超音波カテーテルに対するユーザの操作情報と、前記超音波画像データ上から検出される治療デバイスと、前記検出部の検出結果とに基づいて、前記X線画像データにおける、前記治療デバイスの現在の位置座標を算出する第1算出部と、
前記治療デバイスの前記現在の位置座標を含む位置情報を、前記X線画像データに重畳した表示用画像を表示する表示制御部と、
を備える、X線診断装置。
【請求項2】
前記操作情報に基づいて前記X線画像データにおける前記超音波カテーテルの現在の位置座標を算出する第2算出部と、を備え、
前記表示制御部は、前記超音波カテーテルの現在の位置座標を含む位置座標を前記X線画像データに重畳した表示用画像を表示する、
請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項3】
前記操作情報は、前記超音波カテーテルの軸方向の送り量及び軸周りの回転量のうち、少なくとも一方を含む、
請求項2に記載のX線診断装置。
【請求項4】
前記検出部は、前記X線画像データにおける前記検出器を検出し、
前記第1算出部は、前記検出器の重心と、第1方向ベクトルと、第2方向ベクトルと、第3方向ベクトルと、に基づいて、前記超音波カテーテルの初期の先端位置座標を算出し、
前記超音波カテーテルの軸方向の送り量と、前記第1方向ベクトルと、前記超音波カテーテルの初期の先端位置座標と、に基づいて、前記超音波カテーテルの現在の位置座標を算出する、
請求項3に記載のX線診断装置。
【請求項5】
前記検出部は、前記X線画像データにおける前記治療デバイスの不透過性マーカーを検出し、
前記第2算出部は、前記第2方向ベクトルを基準とする、前記超音波カテーテルの軸方向の回転量との変化量と、前記第3方向ベクトルと、前記不透過性マーカーと、に基づいて、前記治療デバイスの現在の位置座標を算出する、
請求項4に記載のX線診断装置。
【請求項6】
前記超音波画像データから前記治療デバイスが検出されない場合は、再度のX線照射に係る報知、或いは、当該再度のX線照射の制御のうち、少なくとも一方を行う制御部と、を備える、
請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記治療デバイスと、前記超音波カテーテルと、を含む、それぞれの前記現在の位置座標に対応する位置を識別可能に表示する、
請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項8】
前記表示制御部は、それぞれの前記現在の位置座標に対応する位置をマークして表示する、
請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項9】
前記表示制御部は、収集した治療対象の画像データ情報をさらに重畳する、
請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項10】
前記表示制御部は、前記超音波画像データをさらに重畳する、
請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項11】
前記表示制御部は、前記超音波画像データの透明度を変更してさらに重畳する、
請求項10に記載のX線診断装置。
【請求項12】
前記表示制御部は、最新のX線画像データを取得すると、当該最新のX線画像データに基づく表示用画像を表示する、
請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項13】
前記操作情報が所定以上にあるにもかかわらず、前記超音波画像データ上の前記治療デバイスの位置が変わらない場合は、再度のX線照射に係る報知、或いは、当該再度のX線照射の制御のうち、少なくとも一方を行う制御部と、を備える、
請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項14】
前記X線画像データから前記治療デバイスの初期の先端位置を特定する特定部と、を備え、
前記特定部は、
前記超音波画像データから前記治療デバイスの初期の先端位置を特定し、
前記X線画像データから特定した前記治療デバイスの初期の先端位置と、前記超音波画像データから特定した前記治療デバイスの初期の先端位置と、の位置関係について対応付けする、
請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項15】
被検体の体内に挿入された超音波カテーテルの検出器により収集された信号から生成された超音波画像データを順次取得する取得部と、
複数方向から撮像された複数のX線画像データを収集し、前記X線画像データ上の前記超音波カテーテル及び治療デバイスを検出する検出部と、
ロボットカテーテルシステムから受信した、前記超音波カテーテルに対するユーザの操作情報と、前記超音波画像データ上から検出される治療デバイスと、前記検出部の検出結果とに基づいて、前記X線画像データにおける、前記治療デバイスの現在の位置座標を算出する第1算出部と、
前記治療デバイスの前記現在の位置座標を含む位置情報を、前記X線画像データに重畳した表示用画像を表示する表示制御部と、
を備える、X線診断システム。
【請求項16】
X線診断装置で実行されるX線診断方法であって、
被検体の体内に挿入された超音波カテーテルの検出器により収集された信号から生成された超音波画像データを順次取得する取得ステップと、
複数方向から撮像された複数のX線画像データを収集し、前記X線画像データ上の前記超音波カテーテル及び治療デバイスを検出する検出ステップと、
ロボットカテーテルシステムから受信した、前記超音波カテーテルに対するユーザの操作情報と、前記超音波画像データ上から検出される治療デバイスと、前記検出ステップの検出結果とに基づいて、前記X線画像データにおける、前記治療デバイスの現在の位置座標を算出する第1算出ステップと、
前記治療デバイスの前記現在の位置座標を含む位置情報を、前記X線画像データに重畳した表示用画像を表示する表示制御ステップと、
を含む、X線診断装置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、X線診断装置、X線診断システム及びX線診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、X線診断装置(一例として、X線アンギオグラフィ装置)と、心腔内エコー(IntraCardiac Echocardiography:ICE)と、を併用した、左心耳閉塞等の構造学的心疾患の治療が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、手技時心臓内には閉塞用ステントを含んだカテーテルや、ICEカテーテルといった少なくとも2つのデバイスが入っている。X線透視はそれぞれのカテーテルを目的部位にナビゲートするときや治療デバイス(一例として、ステント等)を留置する際に主に使用される。ICEは、手技中において、絶えず使用されている。術者及び患者被ばく低減のニーズから、透視時間を極力減らしたい。
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、従来よりもX線使用量を減らした手技を行うことである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係るX線診断装置は、取得部、検出部、第1算出部及び表示制御部を備える。取得部は、被検体の体内に挿入された超音波カテーテルの検出器により収集された信号から生成された超音波画像データを順次取得する。検出部は、複数方向から撮像された複数のX線画像データを収集し、前記X線画像データ上の前記超音波カテーテル及び治療デバイスを検出する。第1算出部は、ロボットカテーテルシステムから受信した、前記超音波カテーテルに対するユーザの操作情報と、前記超音波画像データ上から検出される治療デバイスと、前記検出部の検出結果とに基づいて、前記X線画像データにおける、前記治療デバイスの現在の位置座標を算出する。表示制御部は、前記治療デバイスの前記現在の位置座標を含む位置情報を、前記X線画像データに重畳した表示用画像を表示する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係るX線診断システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るX線画像データの一例を示す模式図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るX線画像データ上に検出される被写体の一例を示す模式図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る方向ベクトルの一例を示す模式図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る方向ベクトルの一例を示す模式図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係るX線画像データ上に被写体の位置情報が重畳されたX線画像データの一例を示す模式図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係るロボットカテーテルシステムで行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施形態に係るX線診断装置で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、変形例に係る被写体の位置情報が重畳されたX線画像データの一例を示す模式図である。
【
図10】
図10は、変形例に係る位置情報が重畳されたX線画像データの一例を示す模式図である。
【
図11】
図11は、変形例に係るX線画像データ上に検出される被写体の一例を示す模式図である。
【
図12】
図12は、変形例に係る超音波画像データの一例を示す模式図である。
【
図13】
図13は、変形例に係るX線画像データ上に検出される被写体の現在位置を補正した位置情報の一例を示す模式図である。
【
図14】
図14は、変形例に係る被写体の位置情報が重畳されたX線画像データの一例を示す模式図である。
【
図15】
図15は、変形例に係る超音波画像データの一例を示す模式図である。
【
図16】
図16は、変形例に係るロボットカテーテルシステムで行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、X線診断装置の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において、既出の図に関して前述したものと同一または略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表されている場合もある。
【0009】
また、例えば、図面の視認性を確保する観点から、各図面の説明において主要な構成要素だけに参照符号を付し、同一または略同一の機能を有する構成要素であっても参照符号を付していない場合もある。
【0010】
(実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るX線診断システム100の構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、X線診断システム100は、X線診断装置10及びロボットカテーテルシステム30を備える。
【0011】
ロボットカテーテルシステム30は、リモートカテーテル及びリモートコンソールを有する。リモートカテーテルは、ロボットアーム、ICE(IntraCardiac Echocardiography)カテーテル及び閉塞用カテーテルを有する。リモートカテーテルは、リモートコンソールにより制御されて、ロボットアームを介して、被検体の所定の部位(例えば、患部等)に、ICEカテーテル及び閉塞用カテーテルを挿入する。ICEカテーテルは、例えば、ICEカテーテルが備えるトランスデューサで、被検体の心腔内を撮像する。ICEカテーテルは、超音波カテーテルの一例である。閉塞用カテーテルは、被検体の所定の部位を閉塞するデバイスである。閉塞用カテーテルは、治療デバイスの一例である。トランスデューサは、検出器の一例である。
【0012】
ロボットカテーテルシステム30は、ICEカテーテルの軸方向の送り量及び軸周りの回転量を、タイムスタンプ情報と共に、X線診断装置10に送信する。ロボットカテーテルシステム30に接続された超音波診断装置(図示せず)は、トランスデューサが収集した信号に基づいて、超音波画像データを生成し、X線診断装置10に送信する。なお、ロボットカテーテルシステム30は、超音波画像データを生成し、生成した超音波画像データを、タイムスタンプ情報と共に、X線診断装置10に送信しても良い。タイムスタンプ情報は、ロボットカテーテルシステム30を操作した操作時刻の情報を含む。
【0013】
X線診断装置10は、X線高電圧装置11、X線管12、X線絞り13、天板14、Cアーム15、X線検出器16、Cアーム回転・移動機構17、天板移動機構18、Cアーム・天板機構制御回路19、絞り制御回路20、処理回路21、入力インターフェース22、ディスプレイ23、記憶回路24及びデバイスインターフェース回路25を有する。X線診断装置10は、例えば、X線アンギオグラフィ(Angiography)装置である。
【0014】
X線高電圧装置11は、処理回路21による制御の下、高電圧を発生し、発生した高電圧をX線管12に供給する高電圧電源である。
【0015】
X線管12は、X線高電圧装置11から供給される高電圧を用いて、X線を発生する。X線絞り13は、絞り制御回路20による制御の下、X線管12が発生したX線を、被検体Pの関心領域(Region of Interest:ROI)に対して選択的に照射されるように絞り込む。
【0016】
天板14は、被検体Pを載せるベッドであり、図示しない寝台装置の上に配置される。また、図示しない寝台装置は、X線診断装置10に含まれるものとしても良いし、X線診断装置10外としても良い。なお、寝台装置は、X線診断装置10に含まれない場合でも、X線診断システム100に含まれるものとしても良い。なお、被検体Pは、X線診断装置10に含まれない。
【0017】
X線検出器16は、例えば、マトリクス状に配列された複数の検出素子を有するX線平面検出器(Flat Panel Detector:FPD)である。なお、X線検出器16は、シンチレータアレイ及び光センサアレイを有する間接変換型の検出器であってもよいし、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であっても構わない。
【0018】
一例として、X線検出器16の複数の検出素子の各々は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサと、シンチレータとを有する。各検出素子は、例えば、検出したX線を電荷に変換して蓄積し、蓄積した電荷を電圧または電流に変換して検出信号を生成する。X線検出器16は、検出信号を、処理回路21へ出力する。
【0019】
Cアーム15は、X線管12、X線絞り13及びX線検出器16を保持する。Cアーム回転・移動機構17は、支持器に設けられたモータ等を駆動することによって、Cアーム15を回転及び移動させるための機構である。天板移動機構18は、天板14を移動させるための機構である。例えば、天板移動機構18は、アクチュエータが発生させた動力を用いて、天板14を移動させる。
【0020】
Cアーム・天板機構制御回路19は、処理回路21による制御の下、Cアーム回転・移動機構17及び天板移動機構18を制御することで、Cアーム15の回転や移動、天板14の移動を調整する。絞り制御回路20は、処理回路21による制御の下、X線絞り13が有する絞り羽根の開度を調整することで被検体Pに対して照射されるX線の照射範囲を制御する。
【0021】
入力インターフェース22は、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路及び音声入力回路等によって実現される。入力インターフェース22は、処理回路21に接続されており、ユーザから受け取った入力操作を電気信号へ変換し処理回路21へと出力する。
【0022】
なお、入力インターフェース22はマウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路21へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース22の例に含まれる。
【0023】
ディスプレイ23は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD)、または有機ELディスプレイ(Organic Electro Luminescence Display:OELD)等であり、各種の情報を表示する。ディスプレイ23は、例えば、入力インターフェース22を介してユーザから各種指示や各種設定等を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示する。
【0024】
また、ディスプレイ23は、処理回路21によって生成された種々の画像を表示する。ディスプレイ23は、表示部の一例である。なお、入力インターフェース22とディスプレイ23とは、タッチパネルを形成しても良い。
【0025】
デバイスインターフェース回路25は、ロボットカテーテルシステム30が送信したICEカテーテルの軸方向の送り量及び軸周りの回転量を取得し、取得したICEカテーテルの軸方向の送り量及び軸周りの回転量を記憶回路24へ格納する。デバイスインターフェース回路25は、ロボットカテーテルシステム30に接続された超音波診断装置が送信した超音波画像データを取得し、取得した超音波画像データを記憶回路24へ格納する。デバイスインターフェース回路25は、ICEカテーテルの軸方向の送り量及び軸周りの回転量を取得した時刻をICEカテーテルの軸方向の送り量及び軸周りの回転量に対応付けて格納してもよい。
【0026】
記憶回路24は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。例えば、記憶回路24は、X線診断装置10に含まれる回路で実行されるプログラムを記憶する。
【0027】
処理回路21は、記憶回路24からプログラムを読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。本実施形態の処理回路21は、取得機能211、生成機能212、収集機能213、検出機能214、判定機能215、制御機能216、特定機能217、第1算出機能218、第2算出機能219、重畳機能220、表示制御機能221及び受付機能222を備える。
【0028】
取得機能211は、取得部の一例である。生成機能212は、生成部の一例である。収集機能213は、収集部の一例である。検出機能214は、検出部の一例である。判定機能215は、判定部の一例である。制御機能216は、制御部の一例である。特定機能217は、特定部の一例である。第1算出機能218は、第1算出部の一例である。第2算出機能219は、第2算出部の一例である。重畳機能220は、重畳部の一例である。表示制御機能221は、表示制御部の一例である。受付機能222は、受付部の一例である。
【0029】
ここで、例えば、処理回路21の構成要素である取得機能211、収集機能213、検出機能214、判定機能215、制御機能216、特定機能217、第1算出機能218、第2算出機能219、重畳機能220、表示制御機能221及び受付機能222の各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路24に記憶されている。処理回路21は、プロセッサである。
【0030】
例えば、処理回路21は、プログラムを記憶回路24から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路21は、
図1の処理回路21内に示された各機能を有することとなる。
【0031】
なお、
図1においては単一のプロセッサにて、収集機能213、検出機能214、判定機能215、制御機能216、特定機能217、第1算出機能218、第2算出機能219、重畳機能220、表示制御機能221及び受付機能222にて行われる処理機能が実現されるものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路21を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。
【0032】
また、
図1においては単一の記憶回路24が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明したが、複数の記憶回路を分散して配置して、処理回路21は個別の記憶回路から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。
【0033】
上記説明では、「プロセッサ」が各機能に対応するプログラムを記憶回路から読み出して実行する例を説明したが、実施形態はこれに限定されない。「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。
【0034】
プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出して実行することで機能を実現する。一方、プロセッサがASICである場合、記憶回路24にプログラムを保存する代わりに、当該機能がプロセッサの回路内に論理回路として直接組み込まれる。
【0035】
なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサ毎に単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、
図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0036】
取得機能211は、デバイスインターフェース回路25を介して、ロボットカテーテルシステム30が送信したICEカテーテルの操作情報を取得する。ICEカテーテルの操作情報は、例えば、ICEカテーテルの軸方向の送り量及び軸周りの回転量のうち、少なくとも一方を含む。また、取得機能211は、デバイスインターフェース回路25を介して、超音波診断装置が送信した、被検体の体内に挿入されたトランスデューサにより収集された信号から生成された超音波画像データを順次取得する。取得機能211は、取得した、ICEカテーテルの軸方向の送り量及び軸周りの回転量と、超音波画像データと、を記憶回路24に格納する。
【0037】
生成機能212は、X線検出器16により検出された検出信号からX線画像データを生成し、生成したX線画像データを記憶回路24に格納する。例えば、生成機能212は、X線検出器16により検出された検出信号に対して、電流・電圧変換やA/D変換、パラレル・シリアル変換を行うことにより、X線画像データを生成する。
【0038】
また、生成機能212は、X線画像データに対してノイズ低減処理等の画像処理を施しても良い。本実施形態のX線画像データは、X線透視画像データであるとして説明するが、DA(Digital Angiography)画像等についても本実施形態は同様に適用可能である。
【0039】
収集機能213は、X線画像データを収集する。具体的には、収集機能213は、生成機能212が生成したX線画像データを収集する。ここで、
図2を用いて、収集機能213が収集するX線画像データについて説明する。
図2は、実施形態に係るX線画像データの一例を示す模式図である。
【0040】
収集機能213は、生成機能212が生成した複数のX線画像データを収集する。
図2には、X線画像データ41及びX線画像データ42を示す。X線画像データ41は、X線管12がZ軸方向に向けて被検体Pを撮像し、生成機能212が生成したX線画像データである。また、X線画像データ42は、X線管12がX軸方向に向けて被検体Pを撮像し、生成機能212が生成したX線画像データである。
【0041】
図1に戻る。検出機能214は、X線画像データ上の被写体を検出する。具体的には、検出機能214は、収集機能213が収集したX線画像データに描出された被写体を検出する。X線画像データに描出された被写体は、例えば、ICEカテーテルや閉塞用カテーテル等のデバイスである。より詳細には、検出機能214は、X線画像データに含まれる複数のフレームの各々に描出されたデバイスを、1フレーム毎に検出する。このようなデバイスは、医師の手技により被検体Pの血管に挿入される。
【0042】
ここで、
図3を用いて、検出機能214が検出する被写体について説明する。
図3は、実施形態に係るX線画像データ上に検出される被写体の一例を示す模式図である。
図3に示すX線画像データ41には、ICEカテーテル51及び閉塞用カテーテル61が示されている。検出機能214は、X線画像データ41内に描出されたICEカテーテル51及び閉塞用カテーテル61を検出する。また、検出機能214は、X線画像データ41内に描出されたICEカテーテルのトランスデューサ(検出器)を検出する。
【0043】
さらに、検出機能214は、ロボットカテーテルシステム30が生成した超音波画像データから閉塞用カテーテルの先端に存在する不透過性マーカーを検出する。具体的には、検出機能214は、取得機能211が取得した超音波画像データから閉塞用カテーテルの先端に存在する不透過性マーカーを検出する。
【0044】
図1に戻る。判定機能215は、超音波画像データ内に閉塞用カテーテルが検出されたかを判定する。具体的には、判定機能215は、検出機能214が超音波画像データに描出された被写体に含まれる、閉塞用カテーテルの先端に存在する不透過性マーカーを検出したかを判定する。
【0045】
制御機能216は、超音波画像データから閉塞用カテーテルが検出されない場合は、操作情報に基づいて、再度のX線照射に係る報知と、当該再度のX線照射の制御のうち、少なくとも一方を行う。例えば、制御機能216は、判定機能215が超音波画像データ内に閉塞用カテーテルが検出されないと判定した場合は、取得機能211が取得した操作情報に基づいて、再度のX線照射に係る報知と、当該再度のX線照射の制御のうち、少なくとも一方を行う。
【0046】
特定機能217は、ICEカテーテルの初期位置を特定する。具体的には、特定機能217は、検出機能214が検出したICEカテーテルの初期位置を特定する。例えば、特定機能217は、ICEカテーテル及び閉塞用カテーテルが同時に心腔内に入っているときに、X線透視またはワンショットで複数方向からX線を照射された場合に検出されたICEカテーテルの初期位置を特定する。
図3には、特定機能217が特定したICEカテーテルの初期位置52が示されている。
【0047】
また、特定機能217は、閉塞用カテーテルの初期位置を特定する。具体的には、特定機能217は、検出機能214が検出した閉塞用カテーテルの初期位置を特定する。例えば、特定機能217は、ICEカテーテル及び閉塞用カテーテルが同時に心腔内に入っているときに、X線透視またはワンショット撮影で複数方向からX線を照射された場合に検出された閉塞用カテーテルの初期位置を特定する。
図3には、特定機能217が特定した閉塞用カテーテルの初期位置62が示されている。
【0048】
第1算出機能218は、ICEカテーテルのトランスデューサ(検出器)からICEカテーテルの初期の先端位置座標を算出する。具体的には、第1算出機能218は、検出機能214が検出した、ICEのトランスデューサ(検出器)の重心と、複数の方向ベクトルに基づいて、ICEカテーテルの初期の先端位置座標を算出する。複数の方向ベクトルは、例えば、第1方向ベクトル、第2方向ベクトル及び第3方向ベクトルがある。
【0049】
ここで、
図4及び
図5を用いて、複数の方向ベクトルについて説明する。
図4及び
図5は、実施形態に係る方向ベクトルの一例を示す模式図である。
図4及び
図5には、ICEカテーテルのトランスデューサ31を示している。
【0050】
第1方向ベクトル71は、ICEカテーテルのトランスデューサ31を、X線画像データ上のトランスデューサ32に対して、平行な平面(
図4において、XY平面)に投影したときの方向ベクトルである。第2方向ベクトル72は、ICEカテーテルのトランスデューサ31の面33に垂直な方向ベクトル(法線ベクトル)である。第3方向ベクトル73は、ICEカテーテル重心位置34からみた閉塞用カテーテル先端位置35の相対位置ベクトルである。複数の方向ベクトルは、例えば、ステレオカメラの原理(三角法)等により算出される。
【0051】
また、第1算出機能218は、X線画像データにおける、ICEカテーテルの現在の位置座標を算出する。具体的には、第1算出機能218は、取得機能211が取得したICEカテーテルの操作情報に含まれる、ICEカテーテルの軸方向の送り量と、複数の方向ベクトルに含まれる第1方向ベクトルと、ICEカテーテルの初期の先端位置座標と、に基づいて、X線画像データにおける、ICEカテーテルの現在の位置座標を算出する。
【0052】
第2算出機能219は、X線画像データにおける、閉塞用カテーテルの現在の位置座標を算出する。具体的には、第2算出機能219は、第2方向ベクトルを基準とする、取得機能211が取得したICEカテーテルの操作情報に含まれる、ICEカテーテルの軸方向の回転量との変化量と、第3方向ベクトルと、不透過性マーカーと、に基づいて、X線画像データにおける、閉塞用カテーテルの現在の位置座標を算出する。
【0053】
図1に戻る。重畳機能220は、X線画像データに対して、ICEカテーテルの現在の位置座標及び閉塞用カテーテルの現在の位置座標を含む位置情報を重畳する。具体的には、重畳機能220は、生成機能212が生成したX線画像データに対して、第1算出機能218が算出したICEカテーテルの現在の位置座標と、第2算出機能219が算出した閉塞用カテーテルの現在の位置座標と、を含む位置情報を重畳する。
【0054】
ここで、
図6を用いて、重畳機能220が位置情報を重畳するX線画像データについて説明する。
図6は、実施形態に係る位置情報が重畳されたX線画像データの一例を示す模式図である。例えば、
図6は、上述した
図3に示すX線画像データ41上に被写体の現在位置座標を重畳したX線画像データの一例を示す模式図である。
【0055】
図6には、ICEカテーテルの現在の位置座標(現在の位置)53及び閉塞用カテーテルの現在の位置座標(現在の位置)63を含む位置情報が示されている。
図6に示すICEカテーテルの現在の位置座標53と、
図3に示すICEカテーテルの初期位置52を比較すると、ICEカテーテルの現在の位置座標53がICEカテーテルの初期位置52に対して、位置が変化していることがわかる。
【0056】
また、
図6に示す閉塞用カテーテルの現在の位置座標63と、
図3に示す閉塞用カテーテルの初期位置62を比較すると、閉塞用カテーテルの現在の位置座標63が閉塞用カテーテルの初期位置62に対して、位置が変化していることがわかる。
【0057】
これにより、X線診断装置10は、ICEカテーテルの現在の位置座標(現在の位置)53及び閉塞用カテーテルの現在の位置座標63を含む位置情報を算出することで、術者は、X線診断装置10による撮像を減らしたとしても、ICEカテーテル及び閉塞用カテーテルを把握することができるため、従来よりもX線使用量を減らした手技を行うことができる。
【0058】
図1に戻る。表示制御機能221は、ディスプレイ23にGUI(Graphical User Interface)やX線画像を表示させる。例えば、表示制御機能221は、入力インターフェース22を介したユーザの操作に応じて、X線画像データを記憶回路24から読み出して、ディスプレイ23に出力する。また、例えば、表示制御機能221は、治療デバイスの現在の位置座標を含む位置情報を、X線画像データに重畳した表示用画像をディスプレイ23に出力(表示)する。さらに、例えば、表示制御機能221は、閉塞用カテーテルと、ICEカテーテルと、を含む、それぞれの現在の位置座標に対応する位置を識別可能に表示する。例えば、表示制御機能221は、閉塞用カテーテルと、ICEカテーテルと、を含む、それぞれの現在の位置座標に対応する位置をマーク(強調)して表示しても良い。また、例えば、表示制御機能221は、最新のX線画像データを取得すると、当該最新のX線画像データに基づく表示用画像を表示しても良い。
【0059】
受付機能222は、入力インターフェース22を介してユーザの操作を受け付ける。例えば、受付機能222は、撮像モードを選択するユーザの操作を受け付ける。また、受付機能222は、撮像の開始を指示するユーザの操作及び撮像の終了を指示するユーザの操作を受け付ける。
【0060】
次に、本実施形態に係るロボットカテーテルシステム30で行われる処理(手技)の流れについて説明する。
図7は、実施形態に係るロボットカテーテルシステム30で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0061】
まず、ロボットカテーテルシステム30は、被検体Pに対して、穿刺後の心房中壁にICEカテーテル及び閉塞用カテーテルを挿入する(ステップS101)。続いて、ロボットカテーテルシステム30は、被検体Pの左心房に造影剤を挿入し、造影X線画像データを生成(造影)する(ステップS102)。続いて、ロボットカテーテルシステム30は、被検体Pの左心房に対して、閉塞用デバイスを展開し、血管内に留置する(ステップS103)。
【0062】
続いて、ロボットカテーテルシステム30は、被検体Pから、ICEカテーテル及び閉塞用カテーテルを抜去する(ステップS104)。ステップS104が終了すると、本処理は終了する。また、ステップS101からステップS102、ステップS102からステップS103、及びステップS103からステップS104の各々のステップ間は、X線診断装置10の処理Aが実行される。
【0063】
続いて、本実施形態に係るX線診断装置10で行われる処理Aの流れについて説明する。
図8は、実施形態に係るX線診断装置10で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0064】
まず、X線管12は、被検体PにX線を照射する(ステップS201)。続いて、収集機能213は、X線画像データを収集する(ステップS202)。続いて、検出機能214は、収集機能213が収集したX線画像データ上のICEカテーテル及び閉塞用カテーテルを検出する(ステップS203)。続いて、特定機能217は、ICEカテーテル及び閉塞用カテーテルの初期の先端位置を特定する(ステップS204)。
【0065】
続いて、取得機能211は、超音波診断装置が送信した超音波画像データを順次取得する(ステップS205)。続いて、取得機能211は、ICEカテーテルの軸方向の送り量及び軸周りの回転量を取得する(ステップS206)。続いて、第1算出機能218は、ICEカテーテルの操作量からICEカテーテルの先端位置座標及び現在の先端位置座標を算出する(ステップS207)。
【0066】
判定機能215は、超音波画像データ内に閉塞用カテーテルが検出されたかを判定する(ステップS208)。ここで、判定機能215は、超音波画像データ内に閉塞用カテーテルが検出されないと判定する(ステップS208:No)と、ステップS209へ進む。他方で、判定機能215は、超音波画像データ内に閉塞用カテーテルが検出されると判定する(ステップS208:Yes)と、ステップS210へ進む。
【0067】
ステップS209において、制御機能216は、超音波画像データから閉塞用カテーテルが検出されない場合は、再度のX線照射に係る報知と、当該再度のX線照射の制御のうち、少なくとも一方を行う(ステップS209)。
【0068】
ステップS210において、特定機能217は、閉塞用カテーテルの現在の先端位置を特定する。続いて、第2算出機能219は、閉塞用カテーテルの現在の位置座標を算出する(ステップS210)。続いて、重畳機能220は、ICEカテーテル及び閉塞用カテーテルの位置をX線画像データに重畳する(ステップS211)。続いて、表示制御機能221は、重畳機能220により、位置情報が重畳されたX線画像データをディスプレイ23に出力する(ステップS212)。ステップS212が終了すると、本処理は終了する。
【0069】
以上のように、本実施形態に係るX線診断システム100によれば、ICEカテーテルの操作情報を取得し、X線画像データにおける、ICEカテーテルの現在の位置座標を算出し、超音波画像データ上から検出される治療デバイスと、操作情報と、に基づいて、X線画像データにおける、治療デバイスの現在の位置座標を算出する。そして、X線診断システム100は、ICEカテーテルの現在位置座標及び治療デバイスの現在の位置座標を、X線画像データに重畳し、出力する。
【0070】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、例えば、ロボットカテーテルシステムとICEを連携した手技において、X線診断の透視時間を減らすことができる。これにより、術者及び被検体はX線による被ばくを低減することができる。したがって、術者は、従来よりもX線使用量を減らした手技を行うことができる。また、X線使用量を減らした手技が行うことで、今後市場拡大が予想されるロボットカテーテルシステムの利用に対して、寄与することができる。
【0071】
また、例えば、ロボット操作は、術者が直接カテーテル操作する時と比較して直感的でないため、操作対象の現在位置把握のためにX線照射する時間が長くなる傾向がある。これにより、不要な被ばくに繋がる。本発明は、操作対象の現在座標の把握をX線照射することなく可能とするので、ロボット操作に置いて生じる不要な被ばくを軽減することができる。
【0072】
(変形例1)
上述の実施形態では、X線診断装置10は、X線画像データ上に、被写体(ICEカテーテル及び閉塞用カテーテル)の位置を重畳する形態について説明した。しかしながら、X線画像データ上に、被写体以外を重畳させてもよい。例えば、X線診断装置10は、収集した治療対象の画像データ情報を、X線画像データ上に、重畳させても良い。治療対象の画像データ情報とは、例えば、超音波画像データや、超音波画像の透明度を変化させた情報や、治療対象の輪郭等を含む情報である。
図9及び
図10は、変形例に係る位置情報が重畳されたX線画像データの一例を示す模式図である。
【0073】
例えば、術者は被検体Pの左心耳にステント(閉塞用カテーテル)を留置する場合、ステントと左心耳の位置関係を確認している。例えば、
図7に示す、ステップS102において、造影剤を流してX線撮影して得られた造影X線画像データに対し、X線診断装置10が備える処理回路21の検出機能214が左心房から左心耳までの輪郭を検出する。
【0074】
そして、重畳機能220が
図9に示すX線画像データ41において、ICEカテーテル51の現在位置53及び閉塞用カテーテル61の現在位置63と共に、左心房から左心耳の輪郭81を重畳し、表示制御機能221は、輪郭81が重畳されたX線画像データを出力しても良い。
【0075】
また、例えば、特定機能217が他のX線画像データから左心耳とステントを認識できるビューを特定し、重畳機能220が
図10に示すX線画像データ41において、ICEカテーテル51の現在位置53及び閉塞用カテーテル61の現在位置63と共に、ロボットカテーテルシステム30が生成した超音波画像データ43を重畳し、表示制御機能221は、超音波画像データ43が重畳されたX線画像データを出力しても良い。これにより、術者は、ステントと左心耳の位置関係を確認することができる。
【0076】
(変形例2)
上述の実施形態では、X線診断装置10が備える取得機能211は、ロボットカテーテルシステム30が送信したICEカテーテルの軸方向の送り量及び軸周りの回転量を取得する形態について説明した。これらはそれぞれICEカテーテル軸方向の前進後退、ICEカテーテルを含むトランスデューサの軸周りの回転量に対応するが、取得機能211が取得する情報はこれらに限定されない。
【0077】
例えば、ICEカテーテルの先端が前後左右等の方向に屈曲する場合は、その屈曲部の長さ及び屈曲角度をロボットカテーテルシステム30から取得しても良い。また、例えば、ICEカテーテルがたわんだ場合を認識し、ICEカテーテルの位置が正しくない可能性があるとして、再撮像する等を出力する形態であっても良い。具体的には、X線診断装置10は、超音波画像データでは心腔以外は白く映るため、心筋や弁にICEカテーテルの先端と、閉塞用カテーテルの先端が衝突したことを検出できる。
【0078】
そのため、X線診断装置10は、X線管12が撮像したX線画像データ上に表示されているICEカテーテルと、閉塞用カテーテルとの距離と、ロボットカテーテルシステム30が生成した超音波画像データ上でのICEカテーテルと、閉塞用カテーテルとの距離とで明らかにずれが生じている場合は、ICEカテーテルの位置が正しくない可能性があると認識する。
【0079】
これにより、X線診断装置10は、ICEカテーテルがたわんだ場合を認識し、ICEカテーテルの位置が正しくない可能性があるとして、再撮像する等を出力することができる。なお、X線診断装置10が再撮像した場合は、上述した処理Aを実行する。
【0080】
(変形例3)
上述の実施形態では、
図6に示すように、ICEカテーテルの現在位置53及び閉塞用カテーテルの現在位置63がそれぞれ同じ色で表示されている。例えば、ロボットカテーテルシステム30が生成した超音波画像データ上で心筋や弁に各々のカテーテル先端が衝突する可能性がある場合、違う色で表示してぶつかる危険性があることがわかるようにしてもいい。超音波画像データでは心腔以外は白く映るため、超音波画像データ上で心筋や弁にカテーテル先端が衝突するか否かは、例えば、画像レベルで判断しても良い。
【0081】
(変形例4)
上述の実施形態において、第1方向ベクトル71及び第2方向ベクトル72は、ICEのトランスデューサや閉塞用カテーテルの先端に備える不透過性マーカーを検出することによって定めても良いし、閉塞用カテーテルの先端だけでなくICEカテーテル及び閉塞用カテーテル全体の曲線に滑らかに繋がるように第1方向ベクトル71及び第2方向ベクトル72を定めても良い。
【0082】
また、上述の実施形態において、第3方向ベクトルは、
図3に示すICEカテーテルの初期位置52及び閉塞用カテーテルの初期位置62が重畳されたX線画像データ41から定めても良いし、X線画像データ41から閉塞用カテーテルを検出して、閉塞用カテーテルからみたICEカテーテルの相対位置ベクトルを定めても良い。
【0083】
(変形例5)
上述の実施形態では、ICEカテーテルの送り量がICEカテーテル先端の位置座標変化に対応する形態について説明したが、これに限定されない。
図11は、変形例に係るX線画像データ上に検出される被写体の一例を示す模式図である。
図12は、変形例に係る超音波画像データの一例を示す模式図である。
図13は、変形例に係るX線画像データ上に検出される被写体の現在位置を補正した位置情報の一例を示す模式図である。
【0084】
例えば、心腔内で拍動の血流による押し出しで、ロボットカテーテルシステム30の操作とは、意図せずICEカテーテルや閉塞用カテーテルが曲がったり、揺れたりする可能性がある。その場合、
図3に示すX線画像データ41を1心拍分撮像して、心位相に対する位置座標の変化を
図11に示すICEカテーテルの第1先端54や、閉塞用カテーテルの第2先端55を算出し、現在の先端位置を重畳する場合に、心電図と同期して、
図13に示す位置座標変化分だけ補正しても良い。
【0085】
また、
図12に示すロボットカテーテルシステム30が生成した、1心拍分の位置変化が最大となる2つの超音波画像データを重畳した超音波画像データ44に基づいて、心位相に対する位置座標の変化を第4ベクトル47及び第5ベクトル48を算出し、現在の先端位置を重畳する場合に、心電図と同期して、
図13に示す位置座標変化分だけ補正しても良い。
【0086】
(変形例6)
以下、変形例6に係るX線診断装置10について説明するが、変形例6では、実施形態との相違点を中心にして説明し、実施形態との共通点について説明を省略する。変形例6の説明では、実施形態とは同一部分に同一の符号を付して説明する。
【0087】
例えば、変形例6に係るX線診断装置10は、X線画像データ上の閉塞用カテーテルの初期の先端位置と、超音波画像データ上の閉塞用カテーテルの初期の先端位置と、の位置関係について対応付けしても良い。変形例6に係る処理回路21の機能について以下に説明する。
【0088】
取得機能211は、超音波診断装置が送信した超音波画像データを取得する。具体的には、取得機能211は、デバイスインターフェース回路25を介して、超音波診断装置が送信した、被検体の体内に挿入されたトランスデューサにより収集された信号から生成された超音波画像データを取得する。
【0089】
特定機能217は、ICEカテーテル及び閉塞用カテーテルの初期の先端位置と、ICEカテーテルの向きを特定する。具体的には、特定機能217は、検出機能214が検出したICEカテーテル及び閉塞用カテーテルの初期の先端位置と、収集機能213が収集したX線画像データからICEカテーテルの向きを特定する。
【0090】
また、特定機能217は、超音波画像データ上の閉塞用カテーテルの初期の先端位置を特定する。具体的には、特定機能217は、取得機能211が取得した超音波画像データから、超音波画像データ上の閉塞用カテーテルの初期の先端位置を特定する。
【0091】
さらに、特定機能217は、X線画像データから特定した閉塞用カテーテルの初期の先端位置と、超音波画像データから特定した閉塞用カテーテルの初期の先端位置と、の位置関係について対応付けする。
【0092】
ここで、特定機能217が対応付けする、X線画像データから特定した閉塞用カテーテルの初期の先端位置と、超音波画像データから特定した閉塞用カテーテルの初期の先端位置と、の位置関係について、
図14及び
図15を用いて説明する。
【0093】
図14は、変形例6に係る被写体の位置情報が重畳されたX線画像データの一例を示す模式図である。
図15は、変形例6に係る超音波画像データの一例を示す模式図である。
図14には、初期のX線画像データ91、ICEカテーテル92と、閉塞用カテーテル93を示す。
図15には、初期の超音波画像データ94、トランスデューサ95と、閉塞用カテーテル96を示す。
【0094】
例えば、特定機能217は、
図14に示す初期のX線画像データ91から、ICEカテーテル92と、閉塞用カテーテル93の距離L1を算出する。また、例えば、特定機能217は、
図15に示す初期の超音波画像データ94から、トランスデューサ95と、閉塞用カテーテル96の距離L2を算出する。そして、特定機能217は、算出した距離L1と距離L2との関係を紐づけ、X線画像データ上の見かけの距離と、超音波画像データ上の距離を対応付ける。
【0095】
図16は、変形例6に係るロボットカテーテルシステムで行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0096】
ステップS301において、取得機能211は、超音波診断装置が送信した超音波画像データを取得する(ステップS301)。ステップS302において、特定機能217は、ICEカテーテル及び閉塞用カテーテルの初期の先端位置と、ICEカテーテルの向きを特定する(ステップS302)。
【0097】
ステップS303において、特定機能217は、超音波画像データ上の閉塞用カテーテルの初期の先端位置を特定する(ステップS303)。ステップS304において、特定機能217は、X線画像データから特定した閉塞用カテーテルの初期の先端位置と、超音波画像データから特定した閉塞用カテーテルの位置と、の位置関係について対応付けする(ステップS304)。
【0098】
これにより、X線診断装置10は、X線画像データ上の閉塞用カテーテルの初期の先端位置と、超音波画像データ上の閉塞用カテーテルの初期の先端位置と、の位置関係について対応付けすることができる。
【0099】
また、例えば、X線診断装置10は、ICEカテーテルがたわんだ場合を認識し、ICEカテーテルの位置が正しくない可能性がある場合、X線画像データから特定した閉塞用カテーテルの初期の先端位置と、超音波画像データから特定した閉塞用カテーテルの位置と、の位置関係について対応付けすることで、ロボットカテーテルシステムとICEを連携した手技において、X線診断の透視時間を減らすことができる。これにより、術者及び被検体はX線による被ばくを低減することができる。
【0100】
(変形例7)
例えば、ICEカテーテルの送り量が一定値以上ある場合、ICEカテーテルと閉塞用カテーテルの相対位置が変化することが想定される。この相対位置の変化は、超音波画像データ上の閉塞用カテーテルの位置変化により確認することができる。しかしながら、超音波画像データ上の閉塞用カテーテルの位置が変わらない場合は、ICEカテーテル、或いは、閉塞用カテーテルのどちらかが血管内でたわんで血管内を移動できていないとことが想定される。つまり、この事象は、ロボットカテーテルシステム30において、ICEカテーテルを動かしているにもかかわらず、超音波画像データが変わらない場合である。
【0101】
したがって、制御機能216は、操作情報が所定以上あるにも関わらず、超音波画像データ上の閉塞用カテーテルの位置が変わらない場合は、再度のX線照射の報知、或いは、再度のX線照射のうち制御のうち少なくとも一方を行う。或いは、制御機能216は、操作情報が所定以上あるにも関わらず、超音波画像データ上の閉塞用カテーテルの位置が、対応付けた位置関係とは異なる場所である場合は、再度のX線照射の報知、或いは、再度のX線照射の制御のうち少なくとも一方を行ってもよい。
【0102】
さらに、取得機能211は、再度のX線画像データを取得すると、特定機能217は、当該X線画像上のICEカテーテル、或いは、閉塞用カテーテルの位置を再び特定することができる。表示制御機能221は、この特定結果に基づいて、ICEカテーテル、或いは、閉塞用カテーテルの位置が修正された位置について、X線画像データに重畳してもよい。
【0103】
これにより、X線診断装置10は、ICEカテーテル、或いは、閉塞用カテーテルのどちらかに血管内のたわみが生じた場合も、位置を精度良く算出することができる。これにより、術者は、ロボットカテーテルシステムとICEを連携した手技をより精度良く行うことができる。さらには、術者は、従来よりもX線による被ばくを低減した手技をすることができる。
【0104】
(変形例8)
上述の実施形態では、超音波カテーテルは、ICEカテーテルである形態について説明したが、ICEカテーテル以外にも、IVUS(Intravascular Ultrasound)カテーテルに対して適用しても良い。この場合の超音波カテーテルの特徴は、血管内カテーテルであり、超音波ビュー範囲が比較的狭いこと等が挙げられる。
【0105】
(変形例9)
例えば、ICEカテーテルの超音波ビュー領域は比較的狭いため、術者の観察対象(治療デバイスや臓器)が超音波ビュー領域から外れやすいことがある。したがって、術者が治療デバイスを進行させると超音波ビューから外れるので、治療デバイスの進行と共に、ICEカテーテルを移動させる必要がある。このとき、本発明は、被ばくを低減しつつ、ICEカテーテルの現在位置を表示するため、被ばくと体内を傷つけてしまう恐れの2つの被検体の負担をより減らしたICEカテーテルの移動を実現できる。
【0106】
(変形例10)
上述の実施形態では、左心耳閉塞の手技に関する形態について説明したが、左心耳閉塞以外にも、僧帽弁や他の弁に対応する治療支援に対して適用しても良い。
【0107】
なお、本明細書において扱う各種データは、典型的にはデジタルデータである。
【0108】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、従来よりもX線使用量を減らした手技を行うことができる。
【0109】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0110】
10 X線診断装置
11 X線高電圧装置
12 X線管
13 X線絞り
14 天板
15 Cアーム
16 X線検出器
17 Cアーム回転・移動機構
18 天板移動機構
19 Cアーム・天板機構制御回路
20 絞り制御回路
21 処理回路
22 入力インターフェース
23 ディスプレイ
24 記憶回路
25 デバイスインターフェース回路
30 ロボットカテーテルシステム
31 トランスデューサ(検出器)
41 X線画像データ
51 ICEカテーテル
61 閉塞用カテーテル(治療デバイス)
100 X線診断システム
211 取得機能
212 生成機能
213 収集機能
214 検出機能
215 判定機能
216 制御機能
217 特定機能
218 第1算出機能
219 第2算出機能
220 重畳機能
221 表示制御機能
222 受付機能
P 被検体