(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116091
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】光拡散シート、バックライトユニット、液晶表示装置、情報機器、及び積層光拡散シート
(51)【国際特許分類】
G02B 5/02 20060101AFI20240820BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20240820BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20240820BHJP
F21V 3/00 20150101ALI20240820BHJP
F21V 3/10 20180101ALI20240820BHJP
F21V 5/00 20180101ALI20240820BHJP
F21V 5/02 20060101ALI20240820BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20240820BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240820BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20240820BHJP
【FI】
G02B5/02 B
G02F1/13357
G02F1/1335
F21V3/00 320
F21V3/00 530
F21V3/10 330
F21V5/00 530
F21V5/02 400
F21S2/00 481
F21Y115:10
F21Y115:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024017623
(22)【出願日】2024-02-08
(31)【優先権主張番号】P 2023021437
(32)【優先日】2023-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000165088
【氏名又は名称】恵和株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】狩谷 憂
(72)【発明者】
【氏名】芝 悟志
【テーマコード(参考)】
2H042
2H291
2H391
3K244
【Fターム(参考)】
2H042BA02
2H042BA03
2H042BA04
2H042BA05
2H042BA12
2H042BA15
2H042BA20
2H291FA22X
2H291FA22Z
2H291FA31Z
2H291FA45Z
2H291FA46Z
2H291FA62Z
2H291FA83Z
2H291FA85Z
2H291FA86Z
2H291FC24
2H291FC33
2H291GA01
2H291GA04
2H291GA19
2H291LA21
2H391AA03
2H391AB04
2H391AB06
2H391AB08
2H391AB21
2H391AB34
2H391AB40
2H391AC03
2H391AC10
2H391AC25
2H391AC27
2H391AC32
2H391EA02
2H391EA13
3K244AA01
3K244AA02
3K244BA08
3K244BA28
3K244BA31
3K244BA48
3K244CA02
3K244DA01
3K244DA02
3K244GA01
3K244GA02
3K244GA04
3K244GA08
3K244GA17
3K244GB03
3K244GB13
3K244GB18
3K244GB19
3K244GC03
3K244GC13
3K244GC18
3K244GC19
3K244LA04
(57)【要約】
【課題】略逆多角錐状の複数の凹部が設けられた光拡散シートにおける凹部形成面の欠陥の視認性を抑制する。
【解決手段】光拡散シート43Bは、出光面又は入光面となる第1面102aに、略逆多角錐状の複数の凹部105を有する。第1面102aの反対側の第2面101aは、マット面であり、当該マット面の凹凸を被覆するように、光透過性樹脂、例えば光透過性インク106から構成される平坦化層、例えば平坦化印刷層103が設けられる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出光面又は入光面となる第1面に、略逆多角錐状の複数の凹部が設けられた光拡散シートであって、
前記第1面の反対側の第2面は、マット面であり、
前記マット面の凹凸を被覆するように、光透過性インクから構成される平坦化印刷層が設けられる
光拡散シート。
【請求項2】
前記平坦化印刷層の厚さは、5μm以上である
請求項1に記載の光拡散シート。
【請求項3】
前記平坦化印刷層に、複数の粒子が添加されている
請求項1に記載の光拡散シート。
【請求項4】
前記複数の粒子の平均粒径は、前記平坦化印刷層の厚さよりも大きい
請求項3に記載の光拡散シート。
【請求項5】
前記平坦化印刷層における前記光透過性インクに対する前記複数の粒子の質量比は、1%以上10%以下である
請求項3に記載の光拡散シート。
【請求項6】
前記複数の凹部は、略逆四角錐状に形成され、二次元マトリクス状に配列される
請求項1に記載の光拡散シート。
【請求項7】
前記マット面の前記凹凸の十点平均粗さRz(JIS B 0601-1994準拠)は、50μm以下である
請求項1に記載の光拡散シート。
【請求項8】
液晶表示装置に組み込まれ、複数の光源から発せられた光を表示画面に導くバックライトユニットであって、
前記表示画面と前記複数の光源との間に、請求項1~7のいずれか1項に記載の光拡散シートを備える
バックライトユニット。
【請求項9】
請求項8に記載のバックライトユニットと、
液晶表示パネルとを備える
液晶表示装置。
【請求項10】
請求項9に記載の液晶表示装置を備える情報機器。
【請求項11】
請求項1~7のいずれか1項に記載の光拡散シートと、
前記平坦化印刷層を挟んで前記光拡散シートと貼り合わされた他の光拡散シートと
を含む積層光拡散シート。
【請求項12】
出光面又は入光面となる第1面に、略逆多角錐状の複数の凹部が設けられた光拡散シートであって、
前記第1面の反対側の第2面は、マット面であり、
前記マット面の凹凸を被覆するように、光透過性樹脂から構成される平坦化層が設けられる
光拡散シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光拡散シート、バックライトユニット、液晶表示装置、情報機器、及び積層光拡散シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンやタブレット端末等の各種情報機器の表示装置として、液晶表示装置(以下、液晶ディスプレイということもある)が広く利用されている。液晶ディスプレイのバックライトとしては、光源が液晶パネルの背面に配置される直下型方式が主流となっている。
【0003】
直下型バックライトでは、LED(Light Emitting Diode)等の光源からの光を拡散させて画面全体に亘って輝度や色度の均一性を上げるために、光拡散シートが使用される。特許文献1には、逆ピラミッド状の複数の凹部が設けられた光拡散シート(以下、ピラミッドシートということもある)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のピラミッドシートには、特に厚さが120μm程度以下の薄型のピラミッドシートの場合には、凹部形成面の欠陥が表示画面上で視認されやすいという問題がある。
【0006】
本開示は、略逆多角錐状の複数の凹部が設けられた光拡散シートにおける凹部形成面の欠陥の視認性を抑制できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するために、本願発明者は、ピラミッドシートの凹部形成面の欠陥の視認性について種々の検討を行ったところ、凹部形成面の反対面をマット面にすると、当該反対面を平坦面とした場合と比べて、凹部形成面の欠陥の視認性が低下することを見出した。これは、マット面での光散乱の影響であると推測される。一方、本願発明者がピラミッドシートの輝度及び輝度均一性について調べたところ、凹部形成面の反対面をマット面にすると、当該反対面を平坦面とした場合と比べて、表示画面での輝度及び輝度均一性が低下することが分かった。
【0008】
本願発明者は、さらに検討を重ねた結果、ピラミッドシートの凹部形成面の反対面をマット面とすると共に当該マット面を光透過性インクにより被覆して平坦化することによって、マット面が露出したピラミッドシートと場合と比べて、輝度及び輝度均一性が向上することを見出した。
【0009】
本開示に係る光拡散シートは、以上の知見に基づくものであり、具体的には、出光面又は入光面となる第1面に、略逆多角錐状の複数の凹部が設けられた光拡散シートであって、前記第1面の反対側の第2面は、マット面であり、前記マット面の凹凸を被覆するように、光透過性インクから構成される平坦化印刷層が設けられる。
【0010】
本開示に係る光拡散シートによると、略逆多角錐状の凹部が設けられた凹部形成面の欠陥の視認性をマット面によって抑制することができる。また、マット面を被覆するように平坦化印刷層が設けられるため、マット面が露出した場合と比べて、輝度及び輝度均一性を向上させることができる。
【0011】
尚、本開示において、「光拡散シート」は、板状の「光拡散板」や膜状の「光拡散フィルム」を包含するものとする。
【0012】
本開示に係る光拡散シートにおいて、前記平坦化印刷層の厚さは、5μm以上であってもよい。このようにすると、比較的表面粗さが大きいマット面でも平坦化印刷層によって平坦化することができる。
【0013】
本開示に係る光拡散シートにおいて、前記平坦化印刷層に、複数の粒子が添加されていてもよい。このようにすると、光拡散シートの製造時に傷つきや貼り付き等が生じにくくなる。例えば、シートをロールに巻き取る際に、シート同士が接触する面積が大きいため、シート表面に干渉模様や圧着痕等が生じる問題や、凹部形成面と印刷面とが貼り付き、両者をはがす際に傷が生じてしまう問題等の発生を抑制することができる。従って、量産性を向上させることができる。
【0014】
本開示に係る光拡散シートにおいて、前記複数の粒子の平均粒子径は、前記平坦化印刷層の厚さよりも大きくてもよい。このようにすると、光拡散シートの製造時に傷つきや貼り付き等がより一層生じにくくなる。
【0015】
本開示に係る光拡散シートにおいて、前記平坦化印刷層における前記光透過性インクに対する前記複数の粒子の質量比は、1%以上10%以下であってもよい。このようにすると、輝度や輝度均一性の低下を抑制しつつ、光拡散シートの製造時における傷つきや貼り付きの発生を抑制することができる。
【0016】
本開示に係る光拡散シートにおいて、前記複数の凹部は、略逆四角錐状に形成され、二次元マトリクス状に配列されてもよい。このようにすると、優れた輝度均一性を発揮する光拡散シートを高精度で製造することができる。
【0017】
本開示に係る光拡散シートにおいて、前記マット面の前記凹凸の十点平均粗さRz(JIS B 0601-1994準拠)が50μm以下であれば、光透過性インクの印刷により、前記マット面の凹凸を被覆して平坦化できる。
【0018】
本開示に係るバックライトユニットは、液晶表示装置に組み込まれ、複数の光源から発せられた光を表示画面に導くバックライトユニットであって、前記表示画面と前記複数の光源との間に、前述の本開示に係る光拡散シートを備える。
【0019】
本開示に係るバックライトユニットによると、前述の本開示に係る光拡散シートを備えるため、輝度及び輝度均一性を向上させつつ、光拡散シートにおける凹部形成面の欠陥の視認性を抑制することができる。
【0020】
本開示に係る液晶表示装置は、前述の本開示に係るバックライトユニットと、液晶表示パネルとを備える。
【0021】
本開示に係る液晶表示装置によると、前述の本開示に係るバックライトユニットを備えるため、輝度及び輝度均一性を向上させつつ、光拡散シートにおける凹部形成面の欠陥の視認性を抑制することができる。
【0022】
本開示に係る情報機器は、前述の本開示に係る液晶表示装置を備える。
【0023】
本開示に係る情報機器によると、前述の本開示に係る液晶表示装置を備えるため、輝度及び輝度均一性を向上させつつ、光拡散シートにおける凹部形成面の欠陥の視認性を抑制することができる。
【0024】
本開示に係る積層光拡散シートは、前述の本開示に係る光拡散シートと、当該光拡散シートと前記平坦化印刷層を挟んで貼り合わされた他の光拡散シートとを含む。
【0025】
本開示に係る積層光拡散シートによると、前述の本開示に係る光拡散シートと同様の効果に加えて、次のような効果を得ることができる。すなわち、光拡散シート同士を貼り合わせることにより、複数枚の光拡散シートを個別に取り扱う場合と比べて、光拡散シートが損傷する危険を減らして歩留まりを向上させることができると共に、液晶表示装置の組み立てに要する時間を減らしてスループットを向上させることができる。
【0026】
尚、前述の本開示に係る光拡散シートにおいては、光透過性インクを第2面に印刷することによって、平坦化印刷層を形成したが、これに代えて、印刷以外の方法によって、第2面つまりマット面の凹凸を被覆するように、光透過性樹脂から構成される平坦化層を形成してもよい。
【発明の効果】
【0027】
本開示によると、略逆多角錐状の複数の凹部が設けられた凹部形成面の欠陥の視認性を抑制できる光拡散シート、並びに、当該光拡散シートを用いたバックライトユニット、液晶表示装置、情報機器、及び積層光拡散シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】実施形態に係る液晶表示装置の断面図である。
【
図2】実施形態に係るバックライトユニットの断面図である。
【
図3】実施形態に係るバックライトユニットに用いる光拡散シートの断面構成の第1例を示す図である。
【
図4】実施形態に係るバックライトユニットに用いる光拡散シートの断面構成の第2例を示す図である。
【
図5】実施形態に係るバックライトユニットに用いる光拡散シートの断面構成の第3例を示す図である。
【
図6】実施形態に係る光拡散シートを、逆ピラミッド状の凹部が設けられた面から見た斜視図である。
【
図7】実施形態に係る光拡散シートに設けられた逆ピラミッド状の凹部の平面構成及び断面構成を示す図である。
【
図8】実施形態に係るバックライトユニットにおいて光源の配列方向と光拡散シートの逆ピラミッド状の凹部の配列方向との関係を示す図であって、(a)は、光源の配列を示し、(b)は、逆ピラミッド状の凹部の配列を示す。
【
図9】実施例に係るバックライトユニットの断面図である。
【
図10】他の実施形態に係る積層光拡散シートの断面構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(実施形態)
以下、実施形態に係る光拡散シート、バックライトユニット、液晶表示装置、情報機器、及び積層光拡散シートについて、図面を参照しながら説明する。尚、本開示の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
【0030】
<液晶表示装置>
図1は、本実施形態に係る液晶表示装置の断面構成の一例を示す。
【0031】
図1に示すように、液晶表示装置50は、液晶表示パネル5と、液晶表示パネル5の下面に貼付された第1偏光板6と、液晶表示パネル5の上面に貼付された第2偏光板7と、液晶表示パネル5の背面側に第1偏光板6を介して設けられたバックライトユニット40とを備えている。液晶表示パネル5は、互いに対向するように設けられたTFT基板1及びCF基板2と、TFT基板1とCF基板2との間に設けられた液晶層3とを備える。
【0032】
液晶表示装置50の表示画面50aを正面(
図1の上方)から見た形状は、原則、長方形又は正方形であるが、これに限らず、長方形の角が丸くなった形状、楕円形、円形、台形、又は、自動車のインストルメントパネルの形状等の任意の形状であってもよい。
【0033】
液晶表示装置50では、各画素電極に対応する各サブ画素において、液晶層3に所定の大きさの電圧を印加して液晶層3の配向状態を変える。これにより、バックライトユニット40から第1偏光板6を介して入射した光の透過率が調整される。透過率が調整された光は第2偏光板7を介して出射されて画像が表示される。
【0034】
本実施形態の液晶表示装置50は、種々の情報機器(例えばカーナビゲーション等の車載装置、パーソナルコンピュータ、携帯電話、携帯情報端末、携帯型ゲーム機、コピー機、券売機、現金自動預け払い機等)に組み込まれる表示装置として用いられる。
【0035】
TFT基板1は、例えば、ガラス基板上にマトリクス状に設けられた複数のTFTと、各TFTを覆うように設けられた層間絶縁膜と、層間絶縁膜上にマトリクス状に設けられ且つ複数のTFTにそれぞれ接続された複数の画素電極と、各画素電極を覆うように設けられた配向膜とを備える。CF基板2は、例えば、ガラス基板上に格子状に設けられたブラックマトリクスと、ブラックマトリクスの各格子間にそれぞれ設けられた赤色層、緑色層及び青色層を含むカラーフィルターと、ブラックマトリクス及びカラーフィルターを覆うように設けられた共通電極と、共通電極を覆うように設けられた配向膜とを備える。液晶層3は、電気光学特性を有する液晶分子を含むネマチック液晶材料等により構成される。第1偏光板6及び第2偏光板7は、例えば、一方向の偏光軸を有する偏光子層と、その偏光子層を挟持するように設けられた一対の保護層とを備える。
【0036】
<バックライトユニット>
図2は、本実施形態に係るバックライトユニットの断面構成の一例を示す。
【0037】
バックライトユニット40は、
図2に示すように、主として、複数の光源42と、複数の光源42の上側に設けられた光拡散シート43とを備える。複数の光源42は、反射シート41上に2次元状に配置されてもよい。複数の光源42は、例えば白色光源や青色光源であってもよい。光拡散シート43は、複数枚配置してもよい。本例では、光拡散シート43は、複数の光源42の上側に配置された2枚の第1光拡散シート43Aと、第1光拡散シート43Aの上側に配置された第2光拡散シート43Bとを含む。各第1光拡散シート43A及び第2光拡散シート43Bは、基材層101と、基材層101に設けられた光拡散層102とを備える。本例では、光拡散層102は光源42の方向に向けて(つまり入光面に)設けられ、光拡散層102には、略逆多錐状、具体的には略逆四角錐状(以下、逆ピラミッド状ということもある)の複数の凹部105が設けられる。一方、出光面となる基材層101の表面はマット面であり、各第1光拡散シート43Aでは当該マット面が露出し、第2光拡散シート43Bでは当該マット面を覆うように平坦化印刷層103が設けられる。
【0038】
第2光拡散シート43Bの上側には、波長選択シート44A及び色変換シート44Bを配置してもよい。波長選択シート44Aは、色変換シート44Bの下側に配置される。波長選択シート44Aは、光源42の発光波長を持つ光を選択的に透過し、その他の波長を持つ光を反射する。色変換シート44Bは、光源42が発した光の色を変換する。
【0039】
色変換シート44Bの上側には、輝度を向上させるために、第1プリズムシート45及び第2プリズムシート46を順次配置してもよい。第2プリズムシート46の上側に、輝度をさらに向上させるために、例えば一方反射型偏光フィルム等の輝度向上シート47をさらに配置してもよい。
【0040】
[反射シート]
反射シート41は、例えば、白色のポリエチレンテレフタレート樹脂製のフィルム、銀蒸着フィルム等により構成される。
【0041】
[光源]
光源42の種類は特に限定されないが、例えばLED素子やレーザー素子等であってもよく、コスト、生産性等の観点からLED素子を用いてもよい。光源42は、平面視した場合に長方形状を有していてもよく、その場合、一辺の長さは10μm以上(好ましくは50μm以上)20mm以下(好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下)であってもよい。光源42としてLEDを用いる場合、複数のLEDチップを一定の間隔をもって反射シート41上に配置してもよい。光源42となるLEDの出光角度特性を調節するために、LEDにレンズを装着してもよい。光源42の配置数も特に限定されないが、複数の光源42を分散配置する場合は、反射シート41上に規則的に配置することが好ましい。規則的に配置するとは、一定の法則性をもって配置することを意味し、例えば、光源42を等間隔で配置する場合が該当する。等間隔で光源42を配置する場合、隣り合う2つの光源42の中心間距離は、0.5mm以上(好ましくは2mm以上)20mm以下であってもよい。
【0042】
[光拡散シート]
光拡散シート43は、光源42から入射される光線を拡散させつつ法線方向側へ集光させる(つまり集光拡散させる)。
図2では、光拡散シート43として、2枚の第1光拡散シート43A及び1枚の第2光拡散シート43Bをバックライトユニット40に設ける場合を例示しているが、光拡散シート43は、1枚の第2光拡散シート43Bのみであってもよいし、又は、少なくとも1枚の第2光拡散シート43Bを含む2枚又は4枚以上のシート構成であってもよい。光拡散シート43を構成するマトリックス樹脂は、光を透過させる材料で構成されていれば、特に限定されないが、例えば、ポリカーボネート、アクリル、ポリスチレン、MS(メチルメタクリレート・スチレン共重合)樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、セルロールアセテート、ポリイミド等であってもよい。光拡散シート43の厚さも、特に限定されないが、例えば、50μm以上3mm以下であってもよい。光拡散シート43の厚さが3mmを超えると、液晶ディスプレイの薄型化の達成が難しくなる一方、光拡散シート43の厚さが50μmを下回ると、十分な光拡散効果を得ることが難しくなる。
図2に示すように、光拡散シート43を複数枚用いる場合、合計厚さが数百μm~数mm程度であってもよい。光拡散シート43は、フィルム状であってもよいし、プレート(板)状であってもよい。光拡散シート43の詳細な構成や製法については後述する。
【0043】
[波長選択シート及び色変換シート]
波長選択シート44Aは、光源42の発光波長を持つ光(例えば青色の光)を選択的に透過し、その他の波長を持つ光を反射する。色変換シート44Bは、光源42からの光(例えば青色の光)を、任意の色(例えば緑色や赤色)の波長をピーク波長とする光に変換する。色変換シート44Bは、例えば、波長450nmの青色光を、波長540nmの緑色光と波長650nmの赤色光に変換する。この場合、波長450nmの青色光を発する光源42を用いると、色変換シート44Bによって青色光が部分的に緑色光と赤色光に変換されるので、色変換シート44Bを透過した光は白色光になる。色変換シート44Bとしては、例えばQD(量子ドット)シートや蛍光シート等を用いてもよい。色変換シート44Bの下側に波長選択シート44Aが配置されるため、色変換シート44Bにより波長が変化した光は、色変換シート44Bよりも上方にしか進めない。
【0044】
波長選択シート44A及び色変換シート44Bは、光源42と第1プリズムシート45との間の任意の位置に配置可能である。例えば、波長選択シート44A及び色変換シート44Bは、光源42と第1光拡散シート43Aとの間、又は第1光拡散シート43Aと第2光拡散シート43Bとの間に配置してもよい。光源42として白色光源を用いる場合、波長選択シート44A及び色変換シート44Bを配置しなくてもよい。
【0045】
[プリズムシート]
第1プリズムシート45及び第2プリズムシート46は、光拡散シート43の方から入射される光線を法線方向に屈折させる。プリズムシート45、46のそれぞれの出光面には、例えば、横断面が二等辺三角形の複数の溝条が互いに隣り合うように設けられ、隣り合う一対の溝条に挟まれた三角柱部分によってプリズムが構成される。プリズムの頂角は、例えば90°程度である。第1プリズムシート45に形成された各溝条と、第2プリズムシート46に形成された各溝条とは、互いに直交するように配置されてもよい。このようにすると、光拡散シート43の方から入射される光線を第1プリズムシート45によって法線方向に屈折させ、さらに第1プリズムシート45から出射される光線を第2プリズムシート45によって輝度向上シート47の入光面に対して略垂直に進むように屈折させることができる。プリズムシート45、46は、別体で積層されてもよいし、或いは、一体に形成されてもよい。プリズムシート45、46の合計厚さは、例えば、100~400μm程度であってもよい。プリズムシート45、46としては、例えば、PET(polyethylene terephthalate)フィルムにUV硬化型アクリル系樹脂を用いてプリズム形状をつけたものを用いてもよい。
【0046】
[輝度向上シート]
輝度向上シート47は、光がシート内部を通過する際に二重反射と光の屈折率を利用して光線を集約することによって、輝度を上昇させてもよい。或いは、輝度向上シート47は、液晶表示装置50の第1偏光板6を通過しないS波をリサイクルし、第1偏光板6を通過するP波に変換することによって、輝度を上昇させてもよい。プリズムシート45、46によって十分な輝度向上効果が得られる場合、輝度向上シート47を配置しなくてもよい。
【0047】
<光拡散シートの構成>
第1光拡散シート43A及び第2光拡散シート43Bはそれぞれ、
図3及び
図4に示すように、主として、基材層101と、基材層101に設けられた光拡散層102とを備える。各光拡散シート43A及び43Bは、入光面となる第1面(光拡散層102の表面)102aと、出光面となる第2面(基材層101の表面)101aとを有する。光拡散層102には、光を拡散させるために、略逆多錐状、具体的には、略逆四角錐状(逆ピラミッド状)の複数の凹部105が設けられる。各光拡散シート43A及び43Bの第2面101aは、マット面である。マット面は、表面粗さが1μm程度から10μm程度までの微細な粗面である。マット面の凹凸はランダムに設けられていてもよい。尚、本開示において、表面粗さとは、JISB 0601-1994に準拠する算術平均粗さRaを意味する。
【0048】
尚、本例では、各光拡散シート43A及び43Bの第1面102aを入光面とし、第2面101aを出光面としたが、これに代えて、第1面102aを出光面とし、第2面101aを入光面としてもよい。或いは、複数の光拡散シート43は、第1面102aを入光面とし且つ第2面101aを出光面とするシートと、第1面102aを出光面とし且つ第2面101aを入光面とするシートの両方を含んでいてもよい。
【0049】
図3に示すように、第1光拡散シート43Aでは、マット面である第2面101aが露出する。一方、
図4に示すように、第2光拡散シート43Bでは、マット面である第2面101aの凹凸を被覆するように、例えばアクリルウレタン系の光透過性インク106から構成される平坦化印刷層103が設けられる。尚、平坦化印刷層103が設けられる第2光拡散シート43Bの第2面(マット面)101aの表面粗さは、1μm以上6μm以下であることが好ましく、2μm以上5μm以下であることがより好ましく、2.8μm以上4μm以下であることがさらに好ましい。また、第2面(マット面)101aの十点平均粗さRz(JISB 0601-1994準拠)が50μm程度以下であれば、光透過性インク106の印刷により、第2面101aの凹凸を被覆して平坦化できる。また、
図5に示すように、平坦化印刷層103には、例えばアクリル系の複数の粒子(以下、ビーズということもある)107が添加されていてもよい。
【0050】
[基材層]
各光拡散シート43A及び43Bの基材層101は、光線を透過させる必要があるので、透明(例えば無色透明)の合成樹脂を主成分として形成される。基材層101の主成分は、特に限定されるものではなく、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリオレフィン、セルロースアセテート、耐候性塩化ビニル等を用いてもよい。尚、「主成分」とは、最も含有量の多い成分をいい、例えば含有量が50質量%以上の成分をいう。基材層101は、拡散剤その他の添加剤を含有してもよいし、或いは、実質的に添加剤を含有しなくてもよい。含有可能な添加剤は、特に限定されないが、例えば、シリカ、酸化チタン、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の無機粒子であってもよいし、例えば、アクリル、アクリルニトリル、シリコーン、ポリスチレン、ポリアミド等の有機粒子であってよい。
【0051】
基材層101の平均厚さの下限としては、10μm程度が好ましく、35μm程度がより好ましく、50μm程度がさらに好ましい。基材層101の平均厚さの上限としては、500μm程度が好ましく、250μm程度がより好ましく、180μm程度がさらに好修正合にカールを発生するおそれがある。逆に、基材層101の平均厚さが前記上限を超えると、液晶表示装置50の輝度が低下するおそれがあると共に、液晶表示装置50の薄型化の要請に沿えないおそれがある。尚、本開示において、「平均厚さ」とは、任意の10点の厚さの平均値をいう。
【0052】
[光拡散層]
各光拡散シート43A及び43Bの光拡散層102は、光線を透過させる必要があるので、透明(例えば無色透明)の合成樹脂を主成分として形成されてもよい。光拡散層102は、例えば、基材層101となる母材樹脂の押出成形の際に基材層101と一体に成形してもよいし、或いは、基材層101の成形後に、紫外線硬化型樹脂を用いて別途成形してもよい。
【0053】
光拡散層102に設けられた略逆四角錐状(逆ピラミッド状)の複数の凹部105は、例えば
図6に示すように、二次元マトリクス状に配列されてもよい。言い換えると、複数の凹部105は、互いに直交する2方向に沿って配列されてもよい。隣り合う凹部105同士は、稜線111によって区画される。稜線111は、凹部105が配列される2方向に沿って延びる。凹部105の配列ピッチは、例えば50μm程度以上500μm程度以下であってもよい。凹部105の中心(逆ピラミッドの頂点)112は、凹部105の最深部である。凹部105の中心(最深部)112は、基材層101の表面(出光面)に達していてもよい。言い換えると、凹部105の深さは、光拡散層102の厚さと等しくて出力もよい。尚、
図6では、簡単のため、凹部105が5×5のマトリクス状に配置された様子を例示しているが、凹部105の実際の配列数ははるかに多い。
【0054】
凹部105の頂角θは、例えば90°程度に設定される。凹部105の頂角θとは、
図7に示すように、光拡散シート43の載置面(水平面)に対して垂直な面(縦断面)で、逆ピラミッドの頂点112を通り且つ頂点112を挟んで向き合う一対の稜線111を垂直に横切るように凹部105を切断したときに現れる断面(
図7の下図)において、凹部105の傾斜面同士がなす角のことである。尚、
図7の上図は、凹部105の平面構成を示す。また、
図7において、「H」は、凹部105の深さ(ピラミッド形状の高さ)を示し、「P」は、凹部105の水平幅(つまり凹部105の配列ピッチ)を示す。凹部105の深さHは、凹部105の配列ピッチPと、凹部105の頂角θとによって定まる。
【0055】
図8の(a)に示すように、複数の光源42が正方配列される場合、光源42の配列方向を基準として、
図8の(b)に示すように、凹部105の配列方向を例えば45°程度傾けてもよい。凹部105が逆ピラミッド状に形成される場合、光源42の配列方向と凹部105の配列方向とを交差させることにより、両配列方向をそろえるよりも輝度均一性を向上させることができる。
【0056】
本実施形態では、逆ピラミッド状(略逆四角錐状)の凹部105を二次元マトリクス状に配列して凹凸形状を設けたが、凹部105は、本発明の作用効果が失われない程度にランダムに配列されてもよい。凹部105を規則的に2次元配列する場合、凹部105同士の間に隙間を設けてもよいし、或いは、設けなくてもよい。凹部105は、略逆四角錐状とは異なる他の略逆多角錐状を有していてもよい。例えば、凹部105の「逆多角錐」形状を、逆四角錐と同様に隙間なく二次元配置することが可能な逆三角錐又は逆六角錐としてもよい。凹部105の「逆多角錐」形状を逆四角錐とする場合、凹部105を設ける際の押出成形や射出成形等の製造工程で用いられる金型(金属ロール)の表面切削作業の精度を向上させることが容易である。
【0057】
本開示では、通常の形状転写技術により幾何学的に厳密な逆多角錐の凹部を形成することが難しいことを考慮して、「略逆多角錐」との表記を用いるが、「略逆多角錐」は、真正の又は実質的に逆多角錐とみなせる形状を含むものとする。また、「略」とは、近似可能であることを意味し、例えば「略逆四角錐」とは、逆四角錐に近似可能な形状をいう。例えば、頂部が平坦な「逆多角錐台形」についても、本発明の作用効果が失われない程度に頂部面積が小さいものは、「略逆多角錐」に包含されるものとする。また、工業生産上の加工精度に起因する不可避的な形状のばらつきの範囲内で「逆多角錐」から変形した形状も、「略逆多角錐」に包含される。
【0058】
[平坦化印刷層]
本実施形態において、平坦化印刷層103は、第2光拡散シート43Bの第2面101aつまりマット面の凹凸を被覆するように設けられた光透過性インク106から構成される。平坦化印刷層103は、例えば、第2面101aに対して光透過性インク106をベタ印刷することによって形成される。平坦化印刷層103を設けることによって、マット面である第2光拡散シート43Bの第2面101aが露出した場合と比べて、輝度及び輝度均一性が向上する。
【0059】
尚、平坦化印刷層103の表面粗さは、マット面である第2光拡散シート43Bの第2面101aの表面粗さよりも小さければ特に限定されないが、1μm未満であることが好ましく、0.1μm以下であることがより好ましく、0.01μm以下であることがさらに好ましい。
【0060】
また、平坦化印刷層103の厚さは、マット面である第2光拡散シート43Bの第2面101aの凹凸を被覆できれば特に限定されないが、5μm以上であることが好ましく、8μm以上であることがより好ましい。但し、第2光拡散シート43Bの厚さの増大を抑制するために、平坦化印刷層103の厚さは、20μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましい。尚、本開示において、平坦化印刷層103の厚さとは、「平均厚さ」を意味し、平坦化印刷層103を構成する光透過性インク106を平坦面にベタ印刷した場合の厚さに実質的に等しい。
【0061】
平坦化印刷層103を構成する光透過性インク106の材質は、光を透過させることができれば特に限定されないが、例えば、アクリル、ポリエステル、ビニール、ウレタンアクリレート、シリコーン、セルロース、エポキシ、フェノール等であってもよい。光透過性インク106は、液体インクではなく、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂等の材料で構成され且つ光を透過する性質を有する固体インクである。
【0062】
平坦化印刷層103に添加される粒子107(
図5参照)については、光を拡散又は反射することができれば、材質、形状、寸法等は特に限定されない。粒子107の材質は、例えば、アクリル、スチレン、チタン、シリカ、ナイロン、ウレタン等であってもよい。粒子107は、単分散であってもよいし、多分散であってもよい。粒子107は、中空構造を有してもよい。この場合、粒子107は、単中空であってもよいし、多中空であってもよい。
【0063】
粒子107の形状は、例えばアクリルビーズのようなビーズ状であってもよいし、或いは、例えばセルロースナノファイバーのような繊維状であってもよい。第2光拡散シート43Bをロールに巻き取る際に、干渉模様や圧着痕等が平坦化印刷層103に残る問題や、凹部105の形成面(第1面102a)と平坦化印刷層103の表面とが貼り付き、両者をはがす際に傷が生じてしまう問題等の発生を抑制するために、粒子107の平均粒子径を平坦化印刷層103の平均厚さよりも大きくしてもよい。これにより、平坦化印刷層103の表面から粒子107が露出しやすくなり、前述の問題が発生しにくくなる。但し、平坦化印刷層103からの粒子107の脱落を抑制するためには、粒子107の平均粒子径が平坦化印刷層103の平均厚さよりも数μm程度(1~5μm程度)大きいことが好ましい。本開示において、粒子107の平均粒子径とは、粒子107がビーズ状の場合は平均直径、繊維状の場合は平均長さを意味する。
【0064】
平坦化印刷層103における光透過性インク106に対する粒子107の質量比は、前述の問題の発生、つまり、第2光拡散シート43Bの製造時における傷つきや貼り付きの発生を抑制することができれば特に限定されない。但し、輝度や輝度均一性の低下を抑制しつつ、傷つきや貼り付きの発生を抑制するためには、1%以上10%以下であることが好ましく、2%以上8%以下であることがより好ましく、4%以上6%以下であることがさらに好ましい。
【0065】
光透過性インク106に粒子107を添加する場合、例えば熱硬化樹脂やUV硬化樹脂等の光透過性インク106に粒子107を分散させてから印刷し、その後、紫外線や熱風によって光透過性インク106を硬化させてもよい。光透過性インク106の印刷方法は特に限定されず、例えば、アナログ印刷の部類に含まれるスクリーン印刷、グラビア印刷等であってもよいし、デジタル印刷の部類に含まれるインクジェット方式、レーザー方式等であってもよいし、又は、アナログ、デジタルの両印刷方式を組み合わせたハイブリッド印刷等であってもよい。
【0066】
<光拡散シートの製法>
第2光拡散シート43Bを含む光拡散シート43の製造方法は、特に限定されないが、例えば、以下の製造方法のいずれかを用いて光拡散シート43の製造が可能である。
【0067】
第1の製造方法では、まず、ペレット状の母材樹脂(プラスチック樹脂)を押出成形機によって樹脂フィルム化する。その後、2本の金属ロールのうち一方のロールとして、凸ピラミッド形状を表面に持つロール、他方のロールとして、マット面の反転形状を表面に有するロールを使用し、当該両ロールを樹脂フィルムに圧着して、一面に逆ピラミッド形状(凹部105)、他面にマット面を持つ光拡散シート43を作製する。この製造方法では、基材層101及び光拡散層102は、一体に形成される。その後、第2光拡散シート43Bについては、マット面の上に平坦化印刷層103を形成する。
【0068】
第2の製造方法では、まず、例えばポリエチレンテレフタレートを主成分とする基材層101を用意する。この基材層101を一対の押圧ロール間に送りつつ、一対の押圧ロールの直前で、基材層101の一面に紫外線硬化型樹脂(突起形成用樹脂組成物)を供給する。紫外線硬化型樹脂に接する側の押圧ロールとしては、外周面に複数の略正四角錐状の凸部を有するものを用い、他方のロールとして、マット面の反転形状を表面に有するロールを用いる。紫外線硬化型樹脂が供給された基材層101を一対の押圧ロールで押圧した後、紫外線を照射することによって紫外線硬化型樹脂を硬化させ、複数の略正四角錐状の凸部の反転形状である複数の逆ピラミッド形状(凹部105)を転写し、基材層101の一面上に光拡散層102が設けられ、他面にマット面を持つ光拡散シート43を作製する。この製造方法では、基材層101と光拡散層102とは別体で形成される。その後、第2光拡散シート43Bについては、マット面の上に平坦化印刷層103を形成する。
【0069】
<実施形態の特徴>
本実施形態の第2光拡散シート43Bは、出光面又は入光面となる第1面102aに、略逆多角錐状の複数の凹部105が設けられた光拡散シート43であって、第1面102aの反対側の第2面101aは、マット面であり、当該マット面の凹凸を被覆するように、光透過性インク106から構成される平坦化印刷層103が設けられる。
【0070】
本実施形態の第2光拡散シート43Bによると、略逆多角錐状の凹部105が設けられた第1面102a(凹部形成面)の欠陥の視認性を、第2面101aのマット面形状によって抑制することができる。また、マット面である第2面101aを被覆するように平坦化印刷層103が設けられるため、第2面101aつまりマット面が露出した場合と比べて、輝度及び輝度均一性を向上させることができる。
【0071】
本実施形態の第2光拡散シート43Bにおいて、平坦化印刷層103の厚さは、5μm以上であってもよい。このようにすると、比較的表面粗さが大きいマット面(第2面101a)でも平坦化印刷層103によって平坦化することができる。
【0072】
本実施形態の第2光拡散シート43Bにおいて、平坦化印刷層103に、複数の粒子107が添加されていてもよい。このようにすると、第2光拡散シート43Bの製造時に傷つきや貼り付き等が生じにくくなる。例えば、第2光拡散シート43Bをロールに巻き取る際に、干渉模様や圧着痕等が平坦化印刷層103の表面(印刷面)に残る問題や、凹部105の形成面(第1面102a)と印刷面とが貼り付き、両者をはがす際に傷が生じてしまう問題等の発生を抑制することができる。従って、量産性を向上させることができる。
【0073】
本実施形態の第2光拡散シート43Bにおいて、複数の粒子107の平均粒子径は、平坦化印刷層103の厚さ(平均厚さ)よりも大きくてもよい。このようにすると、第2光拡散シート43Bの製造時に傷つきや貼り付き等がより一層生じにくくなる。
【0074】
本実施形態の第2光拡散シート43Bにおいて、平坦化印刷層103における光透過性インク106に対する粒子107の質量比は、1%以上10%以下であってもよい。このようにすると、輝度や輝度均一性の低下を抑制しつつ、第2光拡散シート43Bの製造時における傷つきや貼り付きの発生を抑制することができる。
【0075】
本実施形態の第2光拡散シート43Bにおいて、複数の凹部105は、略逆四角錐状に形成され、二次元マトリクス状に配列されてもよい。このようにすると、優れた輝度均一性を発揮する第2光拡散シート43Bを高精度で製造することができる。
【0076】
本実施形態の第2光拡散シート43Bにおいて、マット面(第2面101a)の十点平均粗さRz(JIS B 0601-1994準拠)が50μm程度以下であれば、光透過性インク106の印刷により、第2面101aの凹凸を被覆して平坦化できる。
【0077】
本実施形態のバックライトユニット40は、液晶表示装置50に組み込まれ、複数の光源42から発せられた光を表示画面50aに導く。バックライトユニット40は、表示画面50aと光源42との間に、本実施形態の第2光拡散シート43Bを備える。このため、輝度及び輝度均一性を向上させつつ、第2光拡散シート43Bにおける凹部105の形成面(第1面102a)の欠陥の視認性を抑制することができる。尚、バックライトユニット40において、第1面102aを入光面として第2光拡散シート43Bを配置した方が、欠陥の視認性の抑制効果は大きい。
【0078】
本実施形態のバックライトユニット40において、複数の光源42は、光拡散シート43から見て表示画面50aの反対側に設けられた反射シート41の上に配置されてもよい。このようにすると、光拡散シート43と反射シート41との間での多重反射によって光がさらに拡散されるので、輝度均一性がより一層向上する。
【0079】
本実施形態のバックライトユニット40において、表示画面50aと複数の光源42との間に、第2光拡散シート43Bを含む複数の光拡散シート43が配置されてもよい。このようにすると、複数の光拡散シート43を用いて、輝度均一性をさらに向上させることができる。この場合、第2光拡散シート43Bを最上部に配置した方が、欠陥の視認性の抑制効果は大きい。
【0080】
本実施形態の液晶表示装置50は、本実施形態のバックライトユニット40と、液晶表示パネル5とを備える。このため、輝度及び輝度均一性を向上させつつ、第2光拡散シート43Bにおける凹部105の形成面(第1面102a)の欠陥の視認性を抑制することができる。本実施形態の液晶表示装置50が組み込まれた情報機器(パーソナルコンピュータ、携帯電話等)においても同様の効果を得ることができる。
【0081】
尚、本実施形態においては、バックライトユニット40として、液晶表示装置50の表示画面50aの背面側に複数の光源42を分散配置させた直下型のバックライトユニットを用いている。このため、液晶表示装置50を小型化するためには、光源42と光拡散シート43(
図2に示す例では、光源42に最も近い第1光拡散シート43A)との距離を小さくする必要がある。しかしながら、この距離を小さくすると、例えば、分散配置された光源42同士の間の領域上に位置する部分の表示画面50aの輝度が他の部分よりも小さくなる現象(輝度ムラ)が生じやすくなる。それに対して、本実施形態の第2光拡散シート43Bを用いることは、輝度ムラの抑制に有用である。特に、今後の中小型液晶ディスプレイの薄型化をにらみ、光源42と光拡散シート43(複数の光拡散シート43を用いる場合は、光源42に最も近い光拡散シート43)との距離を10mm以下、好ましくは5mm以下、より好ましくは2mm以下、さらに好ましくは1mm以下、究極的には0mmとした場合に、本実施形態の第2光拡散シート43Bの有用性はより一層顕著になると考えられる。例えば、光源42と光拡散シート43との間の距離が0mm以上1mm以下である場合のように、薄型化のために光源・シート間距離を十分に確保できない場合でも、本実施形態の第2光拡散シート43Bの光拡散性能によって、面内輝度均一性の悪化を抑制できる。
【0082】
<実施例>
以下、実施例及び比較例について説明する。
【0083】
実施例1として、
図9に示すバックライトユニット40の構成において、
図4に示す第2光拡散シート43Bを設けたものを用意した。詳しくは、
図9に示すバックライト構成は、
図2に示すバックライト構成においてプリズムシート45及び46並びに輝度向上シート47を設けずに、色変換シート44Bの上にガラス板48を載せたものである。また、第2光拡散シート43Bの第2面101aであるマット面の凹凸を被覆するように、アクリルウレタン系の光透過性インク106のベタ印刷により、平均厚さ10μmの平坦化印刷層103を設けた。
【0084】
実施例2として、
図9に示すバックライトユニット40の構成において、
図5に示す第2光拡散シート43Bを設けたものを用意した。詳しくは、第2光拡散シート43Bの第2面101aであるマット面の凹凸を被覆するように、複数の粒子107を添加したアクリルウレタン系の光透過性インク106のベタ印刷により、平均厚さ10μmの平坦化印刷層103を設けた。粒子107としては、平均粒子径が12μmのアクリルビーズを用い、光透過性インク106の100質量部に対して5質量部の割合で添加した。
【0085】
比較例として、
図9に示すバックライトユニット40の構成において第2光拡散シート43Bに平坦化印刷層103を設けないものを用意した。
【0086】
実施例1、2、比較例のいずれにおいても、第2光拡散シート43Bを含む光拡散シート43は、ポリカーボネートからなる厚さ110μmの基材層101に、アクリレート系のUV硬化樹脂を用いて、逆ピラミッド形状の複数の凹部105が二次元マトリクス状に配列された光拡散層102を設けたものを用いた。凹部105の頂角、配列ピッチはそれぞれ90°、100μmとした。いずれの光拡散シート43も、光源42の配列方向を基準として、凹部105の配列方向が45°で交差するように配置した。複数の光源42としては、3.5mmピッチ×4.5mmピッチで正方配列された青色LEDアレイを用いた。波長選択シート44Aの厚さは50μm、色変換シート44Bの厚さは60μmとした。
【0087】
以上に説明した実施例1、2、比較例のバックライトユニット構成において、シート類の浮きを抑えるために、色変換シート44Bの上に透明ガラス板48を載せた状態で、以下のように輝度及び輝度均一性の評価を実施した。まず、トプコンテクノハウス社製の2次元色彩輝度計SR-5000を用いて、鉛直方向上向き(LEDアレイからガラス板に向かう方向)の輝度(cd・m2)を測定した。次に、得られた二次元輝度分布画像に対して、個々のLEDの発光強度バラツキに対する補正を行い、異物等に起因する輝点・暗点ノイズを抑えるためのフィルタリング処理を行った後、全画素の輝度について平均値及び標準偏差を算出し、「輝度」を「輝度の平均値」、「輝度均一性」を「輝度の平均値/輝度の標準偏差」として求めた。
【0088】
その結果、比較例の輝度が6085cd・m2であったのに対して、実施例1、2の輝度はそれぞれ6173cd・m2、6178cd・m2であった。また、比較例の輝度均一性が21.29であったのに対して、実施例1、2の輝度均一性はそれぞれ21.41、21.86であった。
【0089】
以上の通り、いずれの実施例についても、凹部形成面の欠陥視認性の抑制と量産性の向上とが可能な構成(量産性の向上については実施例2のみ)において輝度及び輝度均一性を向上させることができた。すなわち、第2光拡散シート43Bに平坦化印刷層103を設けることの有効性が確認された。
【0090】
(その他の実施形態)
以上、本開示についての実施形態(実施例を含む。以下同じ。)を説明したが、本開示は前述の実施形態のみに限定されず、開示の範囲内で種々の変更が可能である。すなわち、前述の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0091】
具体的には、
図2又は
図9に示す前述の実施形態のバックライトユニット40において、上側の第1光拡散シート43A及び第2光拡散シート43Bに代えて、
図10に示すように2枚の第2光拡散シート43Bを貼り合わせた積層光拡散シート100を用いてもよい。積層光拡散シート100では、下側の第2光拡散シート43Bの平坦化印刷層103を挟んで2枚の第2光拡散シート43Bが貼り合わされる。例えば、各第2光拡散シート43Bの第2面101aに、UV硬化樹脂を含む光透過性インク106を印刷した後、下側の第2光拡散シート43Bの第2面101aに上側の第2光拡散シート43Aの第1面102aを押し当てた状態で、紫外線によって光透過性インク106を硬化させて、積層光拡散シート100を形成してもよい。尚、積層光拡散シート100において、上側の光拡散シート43Bに代えて、平坦化印刷層103の無い第1光拡散シート43A又はその他の光拡散シートを設けてもよい。また、
図10に示す積層光拡散シート100では、各光拡散シート43Bの第2面101aが出光面になるように貼り合わせたが、これに代えて、各光拡散シート43Bの第2面101aが入光面になるように貼り合わせてもよい。この場合、下側の光拡散シート43Bに代えて、平坦化印刷層103の無い第1光拡散シート43A又はその他の光拡散シートを設けてもよい。以上のように、光拡散シート同士を貼り合わせることにより、複数枚の光拡散シートを個別に取り扱う場合と比べて、光拡散シートが損傷する危険を減らして歩留まりを向上させることができると共に、液晶表示装置の組み立てに要する時間を減らしてスループットを向上させることができる。
【0092】
また、前述の実施形態の第2光拡散シート43Bにおいては、光透過性インク106を第2面101aに印刷することによって、平坦化印刷層103を形成したが、これに代えて、印刷以外の方法によって、第2面101aつまりマット面の凹凸を被覆するように、光透過性樹脂から構成される平坦化層を形成してもよい。例えば、第2光拡散シート43Bの第2面101aであるマット面の凹凸を被覆するように、ロールコーターによって、液体状にした光透過性の紫外線硬化型樹脂を塗布し、その後、当該樹脂に紫外線を照射することによって、光透過性樹脂から構成される平坦化層を設けてもよい。
【符号の説明】
【0093】
1 TFT基板
2 CF基板
3 液晶層
5 液晶表示パネル
6 第1偏光板
7 第2偏光板
40 バックライトユニット
41 反射シート
42 光源
43 光拡散シート
43A 第1光拡散シート
43B 第2光拡散シート
44A 波長選択シート
44B 色変換シート
45 第1プリズムシート
46 第2プリズムシート
47 輝度向上シート
48 ガラス板
50 液晶表示装置
50a 表示画面
100 積層光拡散シート
101 基材層
101a 第2面
102 光拡散層
102a 第1面
103 平坦化印刷層
105 凹部
106 光透過性インク
107 粒子
111 凹部の稜線
112 凹部の中心