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特開2024-116101試料画像を表示するためのコンピュータシステム、顕微鏡システムおよび試料画像を表示するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116101
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】試料画像を表示するためのコンピュータシステム、顕微鏡システムおよび試料画像を表示するための方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/00 20060101AFI20240820BHJP
【FI】
G02B21/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024020407
(22)【出願日】2024-02-14
(31)【優先権主張番号】10 2023 103 635.1
(32)【優先日】2023-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】511079735
【氏名又は名称】ライカ マイクロシステムズ シーエムエス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Leica Microsystems CMS GmbH
【住所又は居所原語表記】Ernst-Leitz-Strasse 17-37, D-35578 Wetzlar, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ガブリエル-ロベルト ディアス
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ペルツァー
【テーマコード(参考)】
2H052
【Fターム(参考)】
2H052AF14
2H052AF25
(57)【要約】      (修正有)
【課題】試料画像を表示するための改良された手法の提案。
【解決手段】1つまたは複数の試料画像362を得るように構成されており、1つの試料画像または複数の試料画像の各試料画像362はそれぞれ、画像化の範囲内で、試料支持体内にまたは試料支持体上に配置された試料から、顕微鏡によって得られており、1つまたは複数の試料画像362に対する空間的なコンテクスト情報を得るまたは生成するように構成されており、空間的なコンテクスト情報は、1つの試料画像または複数の試料画像のうちの少なくとも1つの試料画像362を得るための、画像化についての関連性を有しており、かつ1つの試料画像または複数の試料画像のうちの少なくとも1つの試料画像362が、1つまたは複数の試料画像に対する空間的なコンテクスト情報に基づいてディスプレイ342に示されるようにディスプレイ342を駆動制御する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料画像を表示するためのコンピュータシステム(150)であって、
前記コンピュータシステム(150)は、1つまたは複数の試料画像(262,362,462,562,662)を得るように構成されており、前記1つの試料画像または前記複数の試料画像の各試料画像(262,362,462,562,662,666)はそれぞれ、画像化の範囲内で、試料支持体(130)内にまたは試料支持体(130)上に配置された試料(160)から、顕微鏡(110)によって得られており、
前記コンピュータシステム(150)は、前記1つまたは複数の試料画像(262,362,462,562,662)に対する空間的なコンテクスト情報(710)を得るまたは生成するように構成されており、前記空間的なコンテクスト情報は、前記1つの試料画像または前記複数の試料画像のうちの少なくとも1つの試料画像(262,362,462,562,662,664)を得るための、前記画像化についての関連性を有しており、
前記コンピュータシステム(150)は、前記1つの試料画像または前記複数の試料画像のうちの少なくとも1つの試料画像(262,362,462,562,662,664)が、前記1つまたは複数の試料画像に対する前記空間的なコンテクスト情報に基づいてディスプレイ(142,242,342,442,542,642)に示されるように前記ディスプレイ(142,242,342,442,542,642)を駆動制御するように構成されている、
コンピュータシステム(150)。
【請求項2】
前記コンピュータシステム(150)は、空間的なコンテクスト表示を得るまたは生成するように、かつ、前記ディスプレイ(142,242,342,442,542,642)に前記空間的なコンテクスト表示が示されるように前記ディスプレイ(142,242,342,442,542,642)を駆動制御するようにさらに構成されており、
前記空間的なコンテクスト表示は、以降の前記空間的なコンテクスト表示のうちの少なくとも1つ、すなわち、
・前記試料支持体の画像、
・前記試料支持体の概略的な表示(330,530)、ならびに
・前記1つの試料画像または前記複数の試料画像のうちの少なくとも1つの試料画像よりも大きい、前記1つの試料または前記複数の試料のうちの少なくとも1つの試料のセクションを含んでいる概観画像(666,666’)
のうちの少なくとも1つを含んでいる、
請求項1記載のコンピュータシステム(150)。
【請求項3】
前記コンピュータシステム(150)は、前記1つの試料画像または前記複数の試料画像のうちの少なくとも1つの試料画像が、前記画像化の際の各空間的なコンテクストに関する、各試料の位置に対応する、前記空間的なコンテクスト表示の位置に示されるように、前記空間的なコンテクスト表示に対して相対的に前記ディスプレイ(142,242,342,442,542,642)に前記1つまたは複数の試料画像が示されるように前記ディスプレイ(142,242,342,442,542,642)を駆動制御するようにさらに構成されている、
請求項2記載のコンピュータシステム(150)。
【請求項4】
前記複数の試料画像に対する前記空間的なコンテクスト情報は、前記1つの試料画像または前記複数の試料画像のうちの少なくとも1つの試料画像に対するサイズデータまたはスケーリングデータを含んでおり、
前記コンピュータシステム(150)は、前記サイズデータまたは前記スケーリングデータに基づいて、前記1つの試料画像または前記複数の試料画像のうちの少なくとも1つの試料画像と、前記空間的なコンテクスト表示と、が、同時に前記ディスプレイ(142,242,342,442,542,642)に示されるように前記ディスプレイ(142,242,342,442,542,642)を駆動制御するように構成されている、
請求項2または3記載のコンピュータシステム(150)。
【請求項5】
前記コンピュータシステム(150)は、さらに、
ズーム・ユーザー入力(722)を得るように構成されており、
前記ズーム・ユーザー入力に応じて、また前記ズーム・ユーザー入力に関連して、前記1つの試料画像または前記複数の試料画像のうちの少なくとも1つの試料画像(662)がズームされるように前記ディスプレイ(142,242,342,442,542,642)を駆動制御するように構成されている、
請求項1から4までのいずれか1項記載のコンピュータシステム(150)。
【請求項6】
前記コンピュータシステム(150)は、前記ズーム・ユーザー入力(722)に応じて、また前記ズーム・ユーザー入力(722)に関連して、前記空間的なコンテクスト表示が、前記1つの試料画像または前記複数の試料画像のうちの少なくとも1つの試料画像(462)と同時にかつ同様にズームされるように前記ディスプレイ(142,242,342,442,542,642)を駆動制御するようにさらに構成されている、
請求項2または3記載のコンピュータシステム(150)および請求項5記載のコンピュータシステム(150)。
【請求項7】
前記コンピュータシステム(150)は、
複数の試料画像(662,664)を得るように構成されており、
前記複数の試料画像に対する前記コンテクスト情報に基づいて、前記複数の試料画像が同時に前記ディスプレイ(142,342,542,642)に示されるように前記ディスプレイ(142,342,542,642)を駆動制御するように構成されている、
請求項1から6までのいずれか1項記載のコンピュータシステム(150)。
【請求項8】
前記複数の試料画像は、少なくとも2つの異なる試料支持体上に配置された試料から得られている、
請求項7記載のコンピュータシステム(150)。
【請求項9】
前記空間的なコンテクスト表示は、前記試料支持体の画像だけを含んでいる、または概略的な表示だけを含んでいる、または概観画像だけを含んでいる、
請求項2または3記載のコンピュータシステム(150)および請求項7または8記載のコンピュータシステム(150)。
【請求項10】
前記コンピュータシステム(150)は、
1つの表示・ユーザー入力または複数の異なる表示・ユーザー入力のうちの1つの表示・ユーザー入力(718)を得るように構成されており、
得られた前記表示・ユーザー入力に応じて、また得られた前記表示・ユーザー入力に関連して、前記空間的なコンテクスト表示が前記ディスプレイに示されるように前記ディスプレイ(142,242,342,442,542,642)を駆動制御するように構成されている、
請求項2を引用した、請求項1から9までのいずれか1項記載のコンピュータシステム(150)。
【請求項11】
前記コンピュータシステム(150)は、
得られた前記試料画像のうちのうちの少なくとも1つの試料画像を選択するために、1つの選択・ユーザー入力または複数の異なる選択・ユーザー入力のうちの1つの選択・ユーザー入力(720)を得るように構成されており、
得られた前記選択・ユーザー入力に応じて、また得られた前記選択・ユーザー入力に関連して、少なくとも1つの選択された前記試料画像が前記空間的なコンテクスト情報に基づいて前記ディスプレイに示されるように前記ディスプレイ(142,242,342,442,542,642)を駆動制御するように構成されている、
請求項1から10までのいずれか1項記載のコンピュータシステム(150)。
【請求項12】
前記空間的なコンテクスト情報は、画像における1つまたは複数の試料収容部の位置または前記試料支持体の概略的な表示に対する位置情報(534)をさらに含んでおり、
前記コンピュータシステム(150)は、
位置・ユーザー入力(536)を得るように構成されており、
前記位置・ユーザー入力に応じて、また前記位置・ユーザー入力に関連して、前記ディスプレイに前記位置情報(534)が示されるように前記ディスプレイ(142,242,342,442,542,642)を駆動制御するように構成されている、
請求項1から11までのいずれか1項記載のコンピュータシステム(150)。
【請求項13】
前記コンピュータシステム(150)は、前記ディスプレイ(142,242,342,442,542,642)に前記1つの試料画像または前記複数の試料画像のうちの少なくとも1つの試料画像(262,362,462,562,662,664)が示されるように、かつ同時に、前記ディスプレイの付加的な表示領域において、前記1つの試料画像または前記複数の試料画像のうちの少なくとも1つの試料画像(262,362,462,562,662,664)が、前記1つまたは複数の試料画像に対する前記空間的なコンテクスト情報に基づいて前記ディスプレイ(142,242,342,442,542,642)に示されるように前記ディスプレイを駆動制御するように構成されている、
請求項1から12までのいずれか1項記載のコンピュータシステム(150)。
【請求項14】
前記空間的なコンテクスト情報は、以降の前記空間的なコンテクスト情報のうちの少なくとも1つ、すなわち、
・各前記画像化の際の各試料支持体に対して相対的な前記1つまたは複数の試料の各位置に対する位置情報、
・各前記画像化の際の各試料に対して相対的な前記1つまたは複数の試料画像の各位置に対する位置情報、および
・前記1つの試料または前記複数の試料のうちの少なくとも1つの試料に対するメタデータ、
のうちの少なくとも1つを含んでいる、
請求項1から13までのいずれか1項記載のコンピュータシステム(150)。
【請求項15】
コンピュータシステム(150)であって、
前記コンピュータシステム(150)は、顕微鏡(110)のための制御部を有しており、
前記顕微鏡(110)は、試料ステージ(112)と結像光学系(120)とを有しており、前記試料ステージ(112)は、試料支持体(130)を収容するように構成されており、前記結像光学系(120)は、前記試料支持体が前記試料ステージ上または前記試料ステージ内に収容されている場合に、前記試料支持体(130)上または前記試料支持体(130)内に配置されている1つまたは複数の試料(160)を画像化するように構成されており、
前記コンピュータシステム(150)は、
1つまたは複数の試料画像を得るために、前記1つの試料または前記複数の試料のうちの少なくとも1つの試料を画像化するように前記顕微鏡(110)を駆動制御するように構成されている、
コンピュータシステム(150)。
【請求項16】
顕微鏡システム(100)であって、
前記顕微鏡システム(100)は、顕微鏡(110)、ディスプレイ(142)および請求項15記載のコンピュータシステム(150)を有しており、
前記顕微鏡(110)は、試料ステージ(112)と結像光学系(120)とを有しており、前記試料ステージ(112)は、試料支持体(130)を収容するように構成されており、前記結像光学系(120)は、前記試料支持体(130)が前記試料ステージ(112)上または前記試料ステージ(112)内に収容されている場合に、前記試料支持体(130)上または前記試料支持体(130)内に配置されている1つまたは複数の試料を画像化するように構成されている、
顕微鏡システム(100)。
【請求項17】
試料画像を表示するための方法であって、前記方法は、
1つまたは複数の試料画像(706)を得るステップ(704)であって、前記1つの試料画像または前記複数の試料画像の各試料画像はそれぞれ、画像化の範囲内で、試料支持体(130)内にまたは試料支持体(130)上に配置された試料(160)から、顕微鏡(110)によって得られているステップ(704)と、
前記1つまたは複数の試料画像に対する空間的なコンテクスト情報(710)を得るまたは生成するステップ(708)であって、前記空間的なコンテクスト情報は、前記1つの試料画像または前記複数の試料画像のうちの少なくとも1つの試料画像を得るための前記画像化についての関連性を有しているステップ(708)と、
前記1つまたは複数の試料画像に対する前記空間的なコンテクスト情報に基づいて、前記1つの試料画像または前記複数の試料画像のうちの少なくとも1つの試料画像がディスプレイに示されるように前記ディスプレイ(142,242,342,442,542,642)を駆動制御するステップと、
を含む方法。
【請求項18】
コンピュータプログラムであって、
前記コンピュータプログラムは、コンピュータ上で前記コンピュータプログラムが実行されると、請求項17記載の方法を実施するプログラムコードを有している、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料画像を表示するためのコンピュータシステム、そのようなコンピュータシステムを備える顕微鏡システムおよび試料画像を表示するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生物学および医学等の分野では、試料または標本の画像化および/または観察に顕微鏡が使用され得る。画像化のために複数の試料を提供する1つの手法は、試料の収容のために、例えば96個のくぼみを備えた、いわゆるマルチウェルプレート(またはマイクロタイタープレート)である。しかし、こうした手法または類似の手法で得られた多数の試料画像では、試料画像を表示する際に概観を維持することが往々にして困難であり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
このような背景を前提として、試料画像を表示するための改良された手法が必要とされている。本発明の実施形態によれば、独立請求項の特徴を有する、試料画像を表示するためのコンピュータシステムと、そのようなコンピュータシステムを備える顕微鏡システムと、試料画像を表示するための方法とが提案される。有利な構成は、従属請求項ならびに以降の明細書の対象である。
【0004】
本発明の実施形態は、試料画像を表示するためのコンピュータシステムに関する。コンピュータシステムは、1つまたは複数の試料画像を得るように構成されており、1つの試料画像または複数の試料画像の各試料画像はそれぞれ、画像化の範囲内で、試料支持体内にまたは試料支持体上に、例えばマルチウェルプレート内にまたはマルチウェルプレート上に配置された試料から、顕微鏡によって得られている。コンピュータシステムはさらに、1つまたは複数の試料画像に対する空間的なコンテクスト情報を得るまたは生成するように構成されており、空間的なコンテクスト情報は、1つの試料画像または複数の試料画像のうちの少なくとも1つの試料画像を得るための、画像化(すなわち、例えば検出器を用いた画像化によって試料画像を得る過程)についての関連性を有しており、したがって、空間的なコンテクスト情報は、例えば、撮像時の、試料支持体に対して相対的な試料の位置に関する情報または試料(試料全体)に対して相対的な試料画像化の位置に関する情報(試料画像化が試料の一部分しか画像化しない場合)を含むことができる。さらに、コンピュータシステムは、1つの試料画像または複数の試料画像のうちの少なくとも1つの試料画像が、1つまたは複数の試料画像に対する空間的なコンテクスト情報に基づいてディスプレイに示されるようにディスプレイを駆動制御するように構成されている。すなわち、換言すれば、コンピュータシステムは、ディスプレイに対する相応の駆動制御信号を生成するように、特に出力するように構成されている。
【0005】
このようにして、コンピュータシステムのユーザーは、試料画像の撮像後でも、特に試料画像の撮像とは無関係に、試料画像を元来の空間的なコンテクストと結び付け、認識することができる。これによって、示された試料画像、すなわちデータおよび結果をより良好に理解することができる。より大きなコンテクストを、例えば手元にある試料画像の由来を理解するために容易に復元することができる。したがって、例えば、この試料画像が組織の健康な部分であるのか、もしくは病原体(「疾患」)部分であるのか、組織の中心であるのか、もしくは縁部であるのか、またはこの試料画像が由来する脳の領域であるのかを容易に、かつ迅速に判断することができる。
【0006】
本発明の別の実施形態によれば、コンピュータシステムは、空間的なコンテクスト表示を生成するまたは得るように、かつディスプレイに空間的なコンテクスト表示が示されるようにディスプレイを駆動制御するように構成されている。空間的なコンテクスト表示は、例えば空間的なコンテクスト情報に含まれていてもよい。空間的なコンテクスト表示は、以降の空間的なコンテクスト表示のうちの少なくとも1つを含んでおり、すなわち、試料支持体の画像、試料支持体の概略的な表示、ならびに1つの試料画像または複数の試料画像のうちの少なくとも1つの試料画像よりも大きい、1つの試料または複数の試料のうちの少なくとも1つの試料のセクションを含んでいる概観画像のうちの少なくとも1つを含んでいる。概観試料画像は、例えば試料の比較的大きい部分、すなわち、試料外の部分、例えば試料支持体の部分に至るまでの試料全体を含んでいてもよい。これによって、撮像の際のコンテクスト内の試料画像のより容易かつより正確な割り当てが可能になる。
【0007】
本発明の別の実施形態によれば、コンピュータシステムはさらに、1つの試料画像または複数の試料画像のうちの少なくとも1つの試料画像が、画像化の際の各空間的なコンテクストに関する、各試料の位置に対応する、すなわち例えば実際の試料支持体または試料に対応する、空間的なコンテクスト表示の位置に示されるように、空間的なコンテクスト表示に対して相対的にディスプレイに1つまたは複数の試料画像が示されるようにディスプレイを駆動制御するように構成されている。すなわち空間的なコンテクスト表示への試料画像化の空間的な割り当てを、特にコンテクスト情報に基づいて行うことができる。(コンテクスト情報の部分として)これに必要な情報が、例えば概観スキャンの際に決定されていてもよい。これによって、撮像の際のコンテクスト内の試料画像の割り当てが、さらにより容易に、かつより正確になる。したがってユーザーは、例えば、試料画像が試料のどの部分をカバーしているか、または試料支持体のどのウェルに試料が配置されたかを極めて迅速に認識することができる。
【0008】
本発明の別の実施形態によれば、1つの試料画像または複数の試料画像のうちの少なくとも1つの試料画像に対する空間的なコンテクスト情報は、1つまたは複数の試料画像に対するサイズデータまたはスケーリングデータを含んでいる。コンピュータシステムは本明細書では、サイズデータまたはスケーリングデータに基づいて、1つの試料画像または複数の試料画像のうちの少なくとも1つの試料画像と、空間的なコンテクスト表示とが、同時にディスプレイに示されるようにディスプレイを駆動制御するように構成されている。これによって、例えば、試料の概観画像を、同時に試料画像の拡大図と共に表示することが可能になる。
【0009】
本発明の別の実施形態によれば、コンピュータシステムは、例えば、(コンピュータマウスの)マウスホイールの操作によって、またはディスプレイに示されたキーのクリックによるズーム・ユーザー入力を得るように構成されている。さらに、コンピュータシステムは、ズーム・ユーザー入力に応じて、またズーム・ユーザー入力に関連して、1つの試料画像または複数の試料画像のうちの少なくとも1つの試料画像がズームされるようにディスプレイを駆動制御するように構成されており、したがって、例えば、示されるセクションを拡大および/または縮小することができる。これによってユーザーは、例えば必要に応じて、または要望に応じて、試料画像の特定の部分をより正確に観察することができる。
【0010】
本発明の別の実施形態によれば、コンピュータシステムはさらに、ズーム・ユーザー入力に応じて、またズーム・ユーザー入力に関連して、空間的なコンテクスト表示が、1つの試料画像または複数の試料画像のうちの少なくとも1つの試料画像と同時にかつ同様にズームされるようにディスプレイを駆動制御するように構成されている。同様のズームとは、特に、試料画像と空間的なコンテクスト表示とが同じズーム係数またはスケール係数によって変更されることであると理解されたい。これによってユーザーは、例えば必要に応じて、または要望に応じて、試料画像の特定の部分をより正確に観察することができ、他方で、同時に空間的なコンテクストは維持されたままである。
【0011】
本発明の別の実施形態によれば、コンピュータシステムは、複数の試料画像を得て、複数の試料画像に対する空間的なコンテクスト情報に基づいて、複数の試料画像が同時にディスプレイに示されるようにディスプレイを駆動制御するように構成されている。これによって、ユーザーが、より多くの情報を伴って、容易かつより良好に概観を行うことができる。
【0012】
本発明の別の実施形態によれば、複数の試料画像は、少なくとも2つの異なる試料支持体上に配置された試料から得られている。すなわち、試料画像を得るために、複数の試料支持体が、特に異なる時間で、しかも複数の異なる顕微鏡で使用されていてもよい。すなわち、提案された表示様式によって、異なる撮像過程にわたって、情報をユーザーに伝えることができる。
【0013】
本発明の別の実施形態によれば、空間的なコンテクスト表示は、試料支持体の画像だけを含んでいる、または概略的な表示だけを含んでいる、または概観画像だけを含んでいる。すなわち、例えば、1つの(共通の)試料支持体上であるが、例えば異なるウェルにおける2つ以上の試料画像が示される。これによって、撮像過程への試料画像のより迅速かつより容易な割り当てが可能になる。
【0014】
本発明の別の実施形態によれば、コンピュータシステムは、1つの表示・ユーザー入力または複数の異なる表示・ユーザー入力のうちの1つの表示・ユーザー入力を得て、得られた表示・ユーザー入力に応じて、また得られた表示・ユーザー入力に関連して、空間的なコンテクスト表示がディスプレイに示されるようにディスプレイを駆動制御するように構成されている。これによってユーザーは、例えば必要に応じて、または要望に応じて、付加的な空間的なコンテクスト表示を示すことができる。
【0015】
本発明の別の実施形態によれば、コンピュータシステムは、得られた試料画像のうちのうちの少なくとも1つの試料画像を選択するために、1つの選択・ユーザー入力または複数の異なる選択・ユーザー入力のうちの1つの選択・ユーザー入力を得て、得られた選択・ユーザー入力に応じて、また得られた選択・ユーザー入力に関連して、少なくとも1つの選択された試料画像がコンテクスト情報に基づいてディスプレイに示されるようにディスプレイを駆動制御するように構成されている。これによって、ユーザーは例えば、空間的なコンテクスト情報に基づいて、所望の試料画像を選択することができる、また示させることができる。
【0016】
本発明の別の実施形態によれば、空間的なコンテクスト情報はさらに、画像における1つまたは複数の試料収容部の位置または試料支持体の概略的な表示に対する位置情報を含んでいる。試料収容部とは、本願では特に、試料のための収容機構、すなわち例えば、マルチウェルプレートにおけるウェルまたはくぼみであると理解されたい。ここでコンピュータシステムは、位置・ユーザー入力、例えばディスプレイ上の(コンピュータマウスの)マウスポインタ位置を得て、位置・ユーザー入力に応じて、また位置・ユーザー入力に関連して、ディスプレイに位置情報が示されるようにディスプレイを駆動制御するように構成されている。これによって、ユーザーは、例えば、試料画像が撮像された位置の名称を知ることができる。したがってユーザーは、例えばマウスポインタを、試料支持体の画像または概略的な表示において、ウェルの上に動かすことができ、次いでこのウェルの番号または他の位置データが示される。
【0017】
本発明の別の実施形態によれば、コンピュータシステムは、ディスプレイに1つの試料画像または複数の試料画像のうちの少なくとも1つの試料画像が示されるように、かつ同時に、ディスプレイの付加的な表示領域において、例えばいわゆる非モーダルウィンドウにおいて、1つの試料画像または複数の試料画像のうちの少なくとも1つの試料画像が、1つまたは複数の試料画像に対する空間的なコンテクスト情報に基づいてディスプレイに示されるようにディスプレイを駆動制御するように構成されている。これによって、より見やすい表示が可能になる。
【0018】
本発明の別の実施形態によれば、空間的なコンテクスト情報は、以降の空間的なコンテクスト情報のうちの少なくとも1つを含んでおり、すなわち、各画像化の際の各試料支持体に対して相対的な1つまたは複数の試料の各位置に対する位置情報、各画像化の際の各試料に対して相対的な1つまたは複数の試料画像の各位置に対する位置情報、および1つの試料または複数の試料のうちの少なくとも1つの試料に対するメタデータ、例えば撮像時間または試料の種類のうちの少なくとも1つを含んでいる。例えば、撮像時間に基づいて、どの箇所でまたはどの位置で試料画像が撮像されたのか、または試料のどの部分に試料画像が対応しているのかが決定され得る場合には、メタデータが空間的なコンテクストを有していてもよい。これによってユーザーは、例えば、試料画像に関するより包括的な情報を迅速に得ることができる。
【0019】
本発明の別の実施形態によれば、コンピュータシステムは、顕微鏡のための制御部を有している。特に、コンピュータシステムは、顕微鏡のための制御部として構成されていてもよい。このような構成では、顕微鏡は、試料ステージと結像光学系とを有しており、試料ステージは、試料支持体を収容するように構成されており、結像光学系は、試料支持体が試料ステージ上または試料ステージ内に収容されている場合に、試料支持体上または試料支持体内に配置されている1つまたは複数の試料を画像化するように構成されている。ここでコンピュータシステムはさらに、1つまたは複数の試料画像を得るために、1つの試料または複数の試料のうちの少なくとも1つの試料を画像化するように顕微鏡を駆動制御するように構成されている。このようにして、試料画像を、例えば試料画像の撮像も行った、同じコンピュータシステムを使用して示すことができる。
【0020】
本発明の別の実施形態は、本発明の一実施形態による顕微鏡、ディスプレイおよびコンピュータシステムを備える顕微鏡システムに関する。顕微鏡は、試料ステージと結像光学系とを有しており、試料ステージは、試料支持体を収容するように構成されており、結像光学系は、試料支持体が試料ステージ上または試料ステージ内に収容されている場合に、試料支持体上または試料支持体内に配置されている1つまたは複数の試料を画像化するように構成されている。
【0021】
本発明の別の実施形態は、試料画像を表示するための方法に関し、この方法は以降のステップを含んでおり、すなわち、1つまたは複数の試料画像が得られ、1つの試料画像または複数の試料画像の各試料画像はそれぞれ、画像化の範囲内で、試料支持体内にまたは試料支持体上に配置された試料から、顕微鏡によって得られている。さらに、1つまたは複数の試料画像に対する空間的なコンテクスト情報が得られ、または生成され、空間的なコンテクスト情報は、1つの試料画像または複数の試料画像のうちの少なくとも1つの試料画像を得るための画像化についての関連性を有している。さらに、1つまたは複数の試料画像に対する空間的なコンテクスト情報に基づいて、1つの試料画像または複数の試料画像のうちの少なくとも1つの試料画像がディスプレイに示されるようにディスプレイが駆動制御される。
【0022】
顕微鏡システムおよび方法の利点および別の実施形態に関しては、コンピュータシステムに対する上述の説明を参照されたい。この説明はここでも相応に当てはまる。
【0023】
本発明の別の実施形態は、コンピュータプログラムに関し、このコンピュータプログラムは、コンピュータ上でこのコンピュータプログラムが実行されると、本発明の一実施形態による方法を実施するプログラムコードを有している。
【0024】
本明細書で使用されるように、用語「および/または(かつ/または)」は、関連する記載項目のうちの1つまたは複数の項目のあらゆる全ての組み合わせを含んでおり、「/」として略記されることがある。
【0025】
本発明の別の利点および構成は、明細書および添付の図面から明らかになる。
【0026】
上述した特徴および後述する特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、それぞれ記載された組み合わせだけでなく、他の組み合わせでも、または単独でも使用することが可能であることが自明である。
【0027】
本発明を実施形態に即して図に概略的に示し、以降において図を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施形態に即した顕微鏡システムを概略的に示す図である。
図2】本発明の背景を説明するために、ディスプレイを概略的に示す図である。
図3】本発明の実施形態を説明するために、ディスプレイを概略的に示す図である。
図4】本発明の別の実施形態を説明するために、ディスプレイを概略的に示す図である。
図5】本発明の別の実施形態を説明するために、ディスプレイを概略的に示す図である。
図6】本発明の別の実施形態を説明するために、ディスプレイを概略的に示す図である。
図7】本発明の一実施形態による方法のフローを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1には、本発明の実施形態に即した顕微鏡システム100が概略的に表示されている。顕微鏡システム100は、顕微鏡110およびコンピュータシステム150を含んでおり、一実施形態では、マンマシンインタフェース140も含んでいる。コンピュータシステム150は、特に、1つまたは複数のプロセッサと、1つまたは複数のメモリと、を有している。コンピュータシステム150は、一実施形態では、顕微鏡110のための制御部を有している、または顕微鏡110のための制御部として構成されている。マンマシンインタフェース140は、例示的に、ディスプレイ142、キーボード144およびコンピュータマウス146を含んでいる。ディスプレイ、例えばタッチディスプレイを含んでいる、別のタイプのマンマシンインタフェースも使用可能であることを指摘しておく。またディスプレイ142のみが設けられていてもよい。また、マンマシンインタフェースまたはマンマシンインタフェースの一部分を例えば顕微鏡110に組み込むこともできる。
【0030】
顕微鏡110は、試料ステージ112および結像光学系120を有している。試料ステージ112は、試料支持体130を収容するように構成されている。結像光学系120は、例示的に、対物レンズ122および結像センサまたは検出器124を有している。結像光学系120は、試料支持体130が試料ステージ112上または試料ステージ112内に収容されている場合に、例えば、試料支持体130上または試料支持体130内に配置されている、図示の試料160のような、1つまたは複数の試料を画像化するように構成されている。このために検出器124は、対物レンズ122を介して、試料支持体130上の試料の画像を検出することができる。さらに顕微鏡110は、試料支持体130上または試料支持体130内の1つまたは複数の試料を照明するように構成された照明源または照明光学系114を有することができる。
【0031】
一実施形態では、顕微鏡110は、試料支持体130が試料ステージ112内に収容されている場合に、少なくとも1つの側方方向における、試料支持体130に対して相対的な、対物レンズ122の、または結像光学系120の側方運動を可能にするように構成されている。図1に示された例では、試料ステージ112は、x方向における側方運動112xとy方向における側方運動112yとを実行するように構成されており、すなわち、顕微鏡110は、2つの側方方向における、試料ステージ112に対して相対的な、対物レンズ122の側方運動を可能にするように構成されている。このようにすれば、結像光学系120によって、試料支持体130上、例えば試料支持体130の種々異なるウェル内の、種々異なる位置の試料を画像化することができる。
【0032】
一実施形態では、顕微鏡110は、試料支持体130が試料ステージ112内に収容されている場合に、鉛直方向における、試料支持体130に対して相対的な、対物レンズ122の鉛直方向運動を可能にするように構成されている。図1に示されている例では、対物レンズ122または択一的に結像光学系120は、z方向における鉛直方向運動120zを実行するように構成されている。これによって例えば、試料の種々異なる箇所に焦点を合わせることができる。換言すれば、このようにして焦点設定を変更することができる。
【0033】
試料ステージと対物レンズとの間の相対運動が、どのコンポーネントが固定されているか、またどのコンポーネントが可動であるかに無関係に、側方方向および鉛直方向において発生し得ることを指摘しておく。しかし、図1に示されている例は、このような実行に関する典型的な例である。
【0034】
さらに、2つの側方方向x,yと鉛直方向zとが、典型的なデカルト座標系において、かつ側方方向(顕微鏡が立っている面において、例えばステージ上)の典型的な定義において、かつ鉛直方向(焦点合わせが行われる面において、顕微鏡が立っている面に対して垂直な方向において)の典型的な定義において図示されており、相応に使用されることを指摘しておく。しかし、これらの種々の方向が相違しているのであれば、他の方向の定義も可能である。
【0035】
コンピュータシステム150は、上述したように、顕微鏡110を制御するように構成されていてよい、また顕微鏡110を制御するように使用されてよい。さらに、コンピュータシステム150は、ディスプレイ142を駆動制御するように構成されており、特に、後でさらに詳しく説明するように、様々な情報をディスプレイ142に表示するように構成されている。一実施形態では、コンピュータシステム150は、マンマシンインタフェース140の制御のためにも構成されており、すなわち、ディスプレイ142の制御のためだけではなく、マンマシンインタフェース、例えばキーボード144およびコンピュータマウス146からの制御信号の受信のためにも構成されており、これらの制御信号によってコンピュータシステム150は、同様に顕微鏡110を制御することができる。
【0036】
さらに、コンピュータシステム150は、1つまたは複数の試料画像を得るために、1つの試料または複数の試料のうちの少なくとも1つの試料を画像化するように顕微鏡110を駆動制御するように構成されている。特にコンピュータシステム150は本願では、試料ステージ112と結像光学系120もしくは対物レンズ122との間の上述した側方方向および/または鉛直方向の相対運動を実行するようにも構成されていてよい。このようにして、例えば、試料支持体の種々異なる位置の試料、例えばマルチウェルプレートの種々異なるウェルにおける試料の試料画像を生成することができる。これは例えば高解像度の画像であってもよいが、例えば試料の全ての部分または一部分にわたる、場合によっては試料支持体の全ての部分または一部分にわたる、いわゆる概観スキャンが、例えば、より低い解像度で生成されてもよい。ここには、以降でさらにより詳しく説明する空間的なコンテクスト情報が含まれていてもよい、もしくはこのようにして、空間的なコンテクスト情報が得られてもよい。同様にこのようにして、例えば空間的なコンテクスト表示を生成することができ、例えば試料支持体の画像を生成することができる。
【0037】
さらに、コンピュータシステム150は、1つまたは複数の試料画像に対する空間的なコンテクスト情報を得るまたは生成するように構成されており、空間的なコンテクスト情報は、1つの試料画像または複数の試料画像のうちの少なくとも1つの試料画像を得るための画像化についての関連性を有している。さらに、コンピュータシステムは、1つの試料画像または複数の試料画像のうちの少なくとも1つの試料画像が、1つまたは複数の試料画像に対する空間的なコンテクスト情報に基づいて、ディスプレイ142に示されるようにディスプレイ142を駆動制御するように構成されている。一実施形態では、コンピュータシステム150はさらに、空間的なコンテクスト表示がディスプレイ142に示されるようにディスプレイ142を駆動制御するように構成されている。空間的なコンテクスト情報および空間的なコンテクスト表示を、以降の図面に基づいて例示的により詳しく説明する。
【0038】
図2には、本発明の背景を説明するために、ディスプレイ242が概略的に表示されている。ディスプレイ242は、例えば図1のディスプレイ142に対応していてもよい。例えば、図1のコンピュータシステム150のようなコンピュータシステムによるディスプレイ242の駆動制御によって、ディスプレイ242に種々の情報が示され得る。換言すれば、コンピュータシステムは、ディスプレイにユーザーインタフェースを生成するように構成されており、ユーザーインタフェースは、種々の情報を含んでいる。
【0039】
図2の実施形態では、ディスプレイ242に例示的に3つのキーまたは操作面270,272,274が示されている。これらの操作面は、例えば、いわゆるソフト・ボタンであってもよい。例えばユーザーは、図1のコンピュータマウス146等のコンピュータマウスを使用して、操作面270,272,274のうちの1つの操作面の上にマウスポインタを動かし、次いでクリックを実行することができる。これは、例えば、ユーザー入力であり、コンピュータシステムはこのユーザー入力を得ることができる。しかし、操作面270,272,274およびコンピュータマウスではなく、例えば、図1のキーボード144等のキーボード上の特定のキーも相応に定義され得る。ディスプレイ242が例えばタッチディスプレイとして構成されている場合、ユーザー入力を、例えば、操作面270,272,274うちの1つの操作面の接触によって行うことができる。
【0040】
操作面270,272,274に加えて、ディスプレイ242にはさらに、試料画像262が示されている。試料画像262は例えば、次のような試料画像、すなわち、例えば図1および顕微鏡110を参照しながら説明したような、試料支持体内にまたは試料支持体上に配置された試料の顕微鏡を用いた画像化の範囲内で得られた試料画像であってもよい。図2においてディスプレイ242に表示された試料画像262によって、ユーザーは、試料自体に関する情報を得ることができるが、これは、試料画像、すなわちグラフィック表示内にこのような情報が含まれている場合に限る。試料画像262を得るための画像化についての関連性を有している、試料画像に対する別のコンテクスト情報は、図2では見られず、試料画像262の表示のために使用もされていない。
【0041】
図3には、本発明の実施形態を説明するために、ディスプレイ342が概略的に表示されている。図3による実施形態では、ディスプレイ342に、例示的に3つのキーまたは操作面370,372,374が示されている。ディスプレイ342は、図2のディスプレイ242に対応していてもよく、同様に、操作面370,372,374は、図2の操作面270,272,274に対応していてもよい。この点ついて、ならびに相応のユーザー入力については、図2の説明を参照することができる。この説明は図3でも相応に当てはまる。
【0042】
図2とは異なり、ディスプレイ342には、一実施形態において、試料支持体、例えば図1の試料支持体130の概略的な表示330を含んでいる空間的なコンテクスト表示が示されているもしくは表示されている。概略的な表示330に基づいて認識できるように、試料支持体は試料収容部としての複数のウェルを有する、いわゆるマルチウェルプレートである。このようなウェルは参照番号332で示されており、全体として、基本となる試料支持体は例示的に24個のウェルを有している。このような概略的な表示330は、例えばユーザーによって事前にコンピュータシステムに保存されていたものであってもよいし、または例えば上述した概観スキャンに基づいて自動的に生成されたものであってもよい。
【0043】
さらに、一実施形態において、複数の、例示的に6個の試料画像が示されている。この場合、例示的に6個のウェル(もしくはこれらのウェルの概略的な表示の6個のウェル)において、それぞれ1つの試料画像が示されている。これらの6個の試料画像のうちの1つの試料画像に、例示的に参照番号362が付されている。試料画像362は、例えば図2の試料画像262であってもよいが、縮小図である。すなわち換言すれば、ディスプレイ342に複数の試料画像が示され、同時に、試料支持体の概略的な表示330が示されている。さらに、これらの複数の試料画像はディスプレイ342に、試料支持体の概略的な表示330(すなわち空間的なコンテクスト表示)に対して相対的に、次のように示されている。すなわち、試料画像が、画像化の際の各空間的なコンテクストに対する各試料の位置に対応する、試料支持体の概略的な表示330の位置に示されるように示されている。すなわち例示的に6個の試料画像(そのうちの1つが参照番号362で示されている)は、試料画像が基礎とする試料が実際の試料支持体において配置されていた、試料支持体のウェル内に示されている。この場合において、これはまた、6個の異なる試料のことである。一実施形態では、これらの異なる試料画像が、(1つの試料支持体の異なるウェルだけでなく)異なる試料支持体における異なる試料から得られてもよい。
【0044】
図3に示された、試料支持体の概略的な表示330に対して相対的な試料画像の表示は、試料画像が空間的なコンテクスト情報に基づいて示されることの例であり、空間的なコンテクスト情報は、試料画像を得るための画像化についての関連性を有しており、この場合には、例示的に、各画像化の際の各試料支持体に対して相対的な試料の各位置についての位置情報を有している。このような空間的なコンテクスト情報は、例えば概観スキャンの範囲において検出されていてよく、この概観スキャンでは、ウェルと共に試料支持体全体(または例えば試料支持体の一部分だけ)がスキャンもしくは画像化されている。このような概観スキャンは、例えば個々の試料の詳細な画像化の前に行われていてもよい。該当する空間的なコンテクスト情報は適切な様式で保存または格納されていてもよい。
【0045】
さらに図3では、例示的に、スイッチング面370が網掛けされて示されていることが見て取れる。これは例えば、スイッチング面370が押されたこと、すなわち例えば表示・ユーザー入力が得られたことを意味し得る。ユーザーが、例えばコンピュータマウスを用いて、スイッチング面370をクリックした可能性がある。このようにして得られた表示・ユーザー入力に応じて、またこのようにして得られた表示・ユーザー入力に関連して、コンピュータシステムはディスプレイを、一実施形態では、1つの試料画像または複数の試料画像のうちの少なくとも1つの試料画像が、空間的なコンテクスト情報に基づいてディスプレイに示され、かつ/または空間的なコンテクスト表示がディスプレイに示されるように駆動制御することができる。
【0046】
例えば、このような表示・ユーザー入力によって、すなわちスイッチング面370上のクリックによって、ディスプレイに示される表示が、図2に示した表示から、図3に示した表示へと変更されてもよい。すなわち、換言すると、ユーザーは、例えば図2に示された表示を見て、相応のスイッチング面をクリックすることができ、ユーザーに、この試料画像ならびに場合によってはさらなる試料画像を有する試料支持体の概略的な表示が示される。したがって、ユーザーは、この試料画像がどこに由来するか、もしくはどの試料に由来するのかを迅速に確認することができる。
【0047】
例えば、相応の空間的なコンテクスト情報および/または試料支持体の概略的な表示330(または別の空間的なコンテクスト表示)が利用可能である場合にのみ、図3に示されているような表示を可能にするスイッチング面370が示される、または選択可能であることが考えられる。
【0048】
同様に、一実施形態において、図3による表示が、図2による表示とは無関係に得られることが想定されていてもよい。したがってユーザーは、例えばディスプレイに示すことが可能であるもしくは示される選択構造に基づいて、例示的に6個の試料画像の選択を行うことができる。
【0049】
ここに示した例では、空間的なコンテクスト表示が、複数の試料画像と共に直接的に、ユーザーインタフェースにおいて、唯一のウィンドウに、すなわち例えば図2に示されているような試料画像を伴う表示の代わりに、示されている。しかし、一実施形態では、空間的なコンテクスト表示を、複数の試料画像と共に、ディスプレイの付加的な表示領域に、いわゆるモーダルウィンドウに示すことができる。この場合には、このことを、図2に示されているような試料画像を表示するために付加的に、特に重畳的に行うこともできる。この場合には例えば、このような付加的な表示領域(ウィンドウ)をシフトさせることができ、したがって、例えば(図2のように)試料画像のより大きな表示の部分を観察することができる。
【0050】
図4には、本発明の別の実施形態を説明するために、ディスプレイ442が概略的に表示されている。図4による実施形態では、ディスプレイ442に、例示的に3つのキーまたは操作面470,472,474が示されている。ディスプレイ442は、図3のディスプレイ342に対応していてもよく、同様に、操作面470,472,474は、図3の操作面370,372,374に対応していてもよい。この点ついて、ならびに相応のユーザー入力については、図2および図3の説明を参照することができる。この説明は図4でも相応に当てはまる。
【0051】
図3とは異なり、ディスプレイ442には、一実施形態において、試料支持体の概略的な表示のウェル432内の試料画像462が格段に大きく表示されており、これだけが、ウェルを有する試料画像である。試料画像462およびウェル432は、例えば、図3に示された、属するウェルにおける試料画像362の拡大図であってもよい。
【0052】
図4に示された図を得るために、ユーザーは、一実施形態では、ズーム・ユーザー入力を行うことができ、コンピュータシステムはこのズーム・ユーザー入力を得る。この目的でユーザーは、例えば、所望の、ズームすべき試料画像または試料画像の所望の個所の上にマウスポインタを動かした後に、例えばマウスホイールを操作することもしくは回転させることができる。このことは、例えば図3に示した表示において実行可能である。次いで、ズーム・ユーザー入力に応じて、またズーム・ユーザー入力に関連して、コンピュータシステムは、試料画像がズームされるように、すなわち例えば拡大されるように、ディスプレイを駆動制御する。この場合、一実施形態では、図4に例示的に示されているように、ズーム・ユーザー入力に応じて、またズーム・ユーザー入力に関連して、空間的なコンテクスト表示が試料画像と同時にかつ同じようにズームされるように、ディスプレイが駆動制御されてよい。
【0053】
再びフェードアウトしてしまったという理由で空間的なコンテクスト表示が表示されていない場合には、例えば相応のスイッチング面、例えば図3によるスイッチング面370または図4によるスイッチング面470を再度操作することによって、試料画像のみをズームすることもできる。ズームには、拡大だけではなく縮小も含まれていてもよいことが自明である。
【0054】
例えば、例えばディスプレイ上の情報を用いて、試料画像に対してズームが可能であるか否か、かつ/またはどの試料画像に対してズームが可能であるかがユーザーに示されることも考えられる。したがって例えば、試料画像が示される場合にのみズームが可能になることが想定されていてもよい。同様に、例えば、複数の試料画像が示される場合に、選択された試料画像に対してズームを可能にするために、例えばメニュー構造における選択またはクリックによって、複数の試料画像のうちの1つを選択することができる、または複数の試料画像のうちの1つを選択しなければならないことが想定されていてもよい。
【0055】
図5には、本発明の別の実施形態を説明するために、ディスプレイ542が概略的に表示されている。図5の実施形態では、ディスプレイ542に例示的に3つのキーまたは操作面570,572,574が示されている。ディスプレイ542は、図3のディスプレイ342に対応していてもよく、同様に、操作面570,572,574は、図3の操作面370,372,374に対応していてもよい。この点ついて、ならびに相応のユーザー入力については、図2および図3の説明を参照することができる。この説明は図5でも相応に当てはまる。
【0056】
図3にも示されているように、ここでは複数のウェル(そのうちの1つのウェルに参照番号532が付けられている)を備えた試料支持体の概略的な表示530が、例示的に6個の試料画像と共に1つの空間的なコンテクスト表示として示されており、6個の試料画像のうちの1つの試料画像に参照番号562が付けられている。この点において、ディスプレイ542上の表示は、図3のディスプレイ342上の表示に対応していてもよい。
【0057】
さらに、一実施形態では、位置情報534がディスプレイ542に示されている。例えば、このために、ユーザーは、位置・ユーザー入力を行うことができ、コンピュータシステムはこの位置・ユーザー入力を得る。例示的に、十字線の形態の位置・ユーザー入力536が示されているが、十字線の代わりに、別の手法も考えられ、例えばマウスポインタのみ、またはその他の形態も考えられる。例えば、ユーザーが十字線の表示を、例えばスイッチング面574をクリックすることによってアクティベートすることができることが想定されていてもよい。例えばコンピュータマウスを操作することによって、ユーザーは、試料支持体の概略的な表示530内の位置を所期のように選択することができ、すなわち位置・ユーザー入力を行うことができ、すなわち、これに応じて、またこれに関連して位置情報534が得られる。位置情報534は、例えば、試料支持体内の該当するウェルが有する番号に関する情報を、例えば列および/または行のデータと共に含むことができる。図示の例では、位置情報534は例えば「列2、行5」というデータを含むことになる。しかし位置情報の代わりに、かつ/または位置情報に加えて、他の情報も示すことができ、これは、例えば、ウェル内にある、またはウェル内にあった試料に対するメタ情報である(いずれにせよ、選択されたウェル内に試料がある場合、もしくは試料があった場合)。この場合、位置情報および/またはメタ情報は特に、空間的なコンテクスト情報でもある。
【0058】
図6には、本発明の実施形態を説明するために、ディスプレイ642が概略的に表示されている。図6による実施形態では、ディスプレイ642に、例示的に3つのキーまたは操作面670,672,674が示されている。ディスプレイ642は、図2のディスプレイ242に対応していてもよく、同様に、操作面670,672,674は、図2の操作面270,272,274に対応していてもよい。この点ついて、ならびに相応のユーザー入力については、図2の説明を参照することができる。この説明は図6でも相応に当てはまる。
【0059】
図2とは異なり、ディスプレイ642には、一実施形態において、右側に、例示的に2つの試料画像662,664が示されているもしくは表示されている。これらの2つの試料画像662,664は、例えば試料の異なる部分を示している。さらに、同様に右側には、概観画像666を含んでいる空間的なコンテクスト表示が示されているもしくは表示されている。概観画像666は、試料画像662,664よりも大きい、試料のセクションを含んでいる。概観試料画像は、例えば試料の比較的大きい部分、すなわち、試料外の部分、例えば試料支持体の部分に至るまでの試料全体を含んでいてもよい。図示の例では、概観画像666は、(全体的な)試料、ここでは蟻を含んでいる。
【0060】
試料画像662,664および概観画像666に基づいて、試料画像662,664は、該当する箇所における試料の詳細図を可能にするが、概観画像666に対する空間的なコンテクストは存在していない、もしくはここでは認識されないことが見て取れる。
【0061】
さらに、ディスプレイ642に、一実施形態では、概観画像666’(空間的なコンテクスト表示)に対して付加的に、中央に例示的に2つの試料画像662’,664’が示されているもしくは表示されている。画像的な内容に関して、試料画像662’,664’は試料画像662,664に対応し、概観画像666’は概観画像666に対応する。しかし、試料画像662’,664’は、各画像化の際の各試料に対して相対的な試料画像の各位置についての位置情報を含んでいる空間的なコンテクストに基づいて表示されている。ユーザーは、例えば試料(ここでは蟻)のどの箇所もしくは位置で、該当する試料画像662’または664’が生成されたのかを迅速に認識することができる。
【0062】
補足的に、一実施形態において、図6に示されているように、試料画像に対する空間的なコンテクスト情報は、複数の試料画像に対するサイズデータまたはスケーリングデータを含んでいる。試料画像662’,664’の枠は、それぞれ異なる大きさであり、これによって、ユーザーは、相応の試料画像662,664がスケーリングされていること、またはどの程度スケーリングされているのかを認識することができる。
【0063】
すなわち、一実施形態では、試料画像662,664ならびに概観画像666’を、ここではサイズデータまたはスケーリングデータを示す試料画像662’,664’を含めて、ディスプレイ642に示すことができる。概観画像666を示すことができるが、示す必要はない。
【0064】
さらに図6では、例示的に、スイッチング面672が網掛けされて示されていることが見て取れる。これは例えば、スイッチング面672が押されたこと、すなわち例えば表示・ユーザー入力が得られたことを意味し得る。ユーザーが、例えばコンピュータマウスを用いて、スイッチング面672をクリックした可能性がある。このようにして得られた表示・ユーザー入力に応じて、またこのようにして得られた表示・ユーザー入力に関連して、コンピュータシステムはディスプレイを、一実施形態では、1つの試料画像または複数の試料画像のうちの少なくとも1つの試料画像が、サイズデータまたはスケーリングデータを含んでいる空間的なコンテクスト情報に基づいてディスプレイに示され、かつ空間的なコンテクスト表示、例えば概観画像がディスプレイに示されるように駆動制御することができる。
【0065】
例えば、相応の空間的なコンテクスト情報および/または概観画像(または別の空間的なコンテクスト表示)が利用可能である場合にのみ、図6に示されているような表示を可能にするスイッチング面672が示される、または選択可能であることが考えられる。
【0066】
図7には、本発明の一実施形態による方法のフローが概略的に表示されている。このために、種々の実施形態に基づいて上述したようなコンピュータシステムまたは顕微鏡システムを使用することができる。このことは、特に以降のステップを含み得る。
【0067】
任意選択的なステップ700において、例えば始めに、種々の試料を備える試料支持体の概観スキャン702を作成することができる。この概観スキャン702を、コンピュータシステムにおいて得ることができる。さらに、ステップ704において、1つまたは複数の試料の1つまたは複数の試料画像706を得ることができる。このために、試料が、例えば詳細に画像化されてよい。次にステップ708において、空間的なコンテクスト情報710を得るまたは生成することができる。コンテクスト情報710は、ここでは、各試料画像を得るための画像化についての関連性を有している。したがって、例えば試料画像の撮像時に、どの位置に、対物レンズが試料支持体に対して相対的に位置しているのかを書き留めることができる。このために、場合によって概観スキャンを使用することもできる。
【0068】
任意選択的なステップ712において、空間的なコンテクスト表示714が得られる、または生成される。これは例えば、概観スキャンから生成されても、1つまたは複数の試料画像から生成されてもよい。
【0069】
次にステップ716において、1つの試料画像または複数の試料画像のうちの少なくとも1つの試料画像が、1つまたは複数の試料画像に対する空間的なコンテクスト情報に基づいてディスプレイに示されるようにディスプレイが駆動制御される。ここでは任意選択的に、例えば空間的なコンテクスト表示もディスプレイに示されてよい。
【0070】
一実施形態では、1つの表示・ユーザー入力または複数の異なる表示・ユーザー入力のうちの1つの表示・ユーザー入力718を得ることができ、これに応じて、またこれに関連して、空間的なコンテクスト表示がディスプレイに示されるようにディスプレイが駆動制御される。
【0071】
一実施形態では、得られた複数の試料画像のうちの少なくとも1つの試料画像を選択するために1つの選択・ユーザー入力または複数の異なる選択・ユーザー入力のうちの1つの選択・ユーザー入力720を得ることができ、これに応じて、またこれに関連して、少なくとも1つの選択された試料画像が、空間的なコンテクスト情報に基づいてディスプレイに示されるようにディスプレイが駆動制御される。
【0072】
一実施形態では、ズーム・ユーザー入力722を得ることができ、これに応じて、またこれに関連して、1つの試料画像または複数の試料画像のうちの少なくとも1つの試料画像がズームされるようにディスプレイが駆動制御される。
【0073】
いくつかの態様を装置の文脈において説明してきたが、これらの態様が、対応する方法の説明も表していることが明らかであり、ここではブロックまたは装置がステップまたはステップの特徴に対応している。同様に、ステップの文脈において説明された態様は、対応する装置の対応するブロックまたは項目または特徴の説明も表している。
【0074】
いくつかの実施形態は、図1から図7のうちの1つまたは複数の図に関連して説明されたようなシステムを含んでいる顕微鏡に関する。択一的に、顕微鏡は、図1から図7のうちの1つまたは複数の図に関連して説明されたようなシステムの一部であってもよい、または図1から図7のうちの1つまたは複数の図に関連して説明されたようなシステムに接続されていてもよい。図1は本明細書に記載された方法を実施するように構成された顕微鏡システムまたはシステム100の概略図を示している。顕微鏡システム100は、顕微鏡110とコンピュータシステム150とを含んでいる。顕微鏡110は、撮像するように構成されており、かつコンピュータシステム150に接続されている。コンピュータシステム150は、本明細書に記載された方法の少なくとも一部を実施するように構成されている。コンピュータシステム150は、機械学習アルゴリズムを実行するように構成されていてもよい。コンピュータシステム150と顕微鏡110は別個の存在物であってもよいが、1つの共通のハウジング内に一体化されていてもよい。コンピュータシステム150は、顕微鏡110の中央処理システムの一部であってもよく、かつ/またはコンピュータシステム150は、顕微鏡110のセンサ、アクター、カメラまたは照明ユニット等の、顕微鏡110の従属部品の一部であってもよい。
【0075】
コンピュータシステム150は、1つまたは複数のプロセッサおよび1つまたは複数のストレージデバイスを備えるローカルコンピュータデバイス(例えば、パーソナルコンピュータ、ラップトップ、タブレットコンピュータまたは携帯電話)であってもよく、または分散コンピュータシステム(例えば、ローカルクライアントおよび/または1つまたは複数のリモートサーバファームおよび/またはデータセンター等の様々な場所に分散されている1つまたは複数のプロセッサおよび1つまたは複数のストレージデバイスを備えるクラウドコンピューティングシステム)であってもよい。コンピュータシステム150は、任意の回路または回路の組み合わせを含んでいてもよい。1つの実施形態では、コンピュータシステム150は、任意の種類のものとすることができる、1つまたは複数のプロセッサを含んでいてもよい。本明細書で使用されるように、プロセッサは、例えば、顕微鏡または顕微鏡部品(例えばカメラ)のマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、複合命令セットコンピューティング(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW)マイクロプロセッサ、グラフィックプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、マルチコアプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または任意の他の種類のプロセッサまたは処理回路等のあらゆる種類の計算回路を意図していてもよいが、これらに限定されない。コンピュータシステム150に含まれ得る他の種類の回路は、カスタム回路、特定用途向け集積回路(ASIC)等であってもよく、例えばこれは、携帯電話、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、双方向無線機および類似の電子システム等の無線装置において使用される1つまたは複数の回路(通信回路等)等である。コンピュータシステム150は、ランダムアクセスメモリ(RAM)の形態のメインメモリ等の特定の用途に適した1つまたは複数の記憶素子を含み得る1つまたは複数のストレージデバイス、1つまたは複数のハードドライブおよび/またはコンパクトディスク(CD)、フラッシュメモリカード、デジタルビデオディスク(DVD)等のリムーバブルメディアを扱う1つまたは複数のドライブ等を含んでいてもよい。コンピュータシステム150はディスプレイ装置、1つまたは複数のスピーカーおよびキーボードおよび/またはマウス、トラックボール、タッチスクリーン、音声認識装置を含み得るコントローラ、またはシステムのユーザーがコンピュータシステム150に情報を入力すること、およびコンピュータシステム150から情報を受け取ることを可能にする任意の他の装置も含んでいてもよい。
【0076】
ステップの一部または全部は、例えば、プロセッサ、マイクロプロセッサ、プログラマブルコンピュータまたは電子回路等のハードウェア装置(またはハードウェア装置を使用すること)によって実行されてもよい。いくつかの実施形態では、極めて重要なステップのいずれか1つまたは複数が、そのような装置によって実行されてもよい。
【0077】
一定の実装要件に応じて、本発明の実施形態は、ハードウェアまたはソフトウェアで実装され得る。この実装は、非一過性の記録媒体によって実行可能であり、非一過性の記録媒体は、各方法を実施するために、プログラマブルコンピュータシステムと協働する(または協働することが可能である)、電子的に読取可能な制御信号が格納されている、デジタル記録媒体等であり、これは例えば、フロッピーディスク、DVD、ブルーレイ、CD、ROM、PROMおよびEPROM、EEPROMまたはFLASHメモリである。したがって、デジタル記録媒体は、コンピュータ読取可能であってもよい。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態は、本明細書に記載のいずれかの方法が実施されるように、プログラマブルコンピュータシステムと協働することができる、電子的に読取可能な制御信号を有するデータ担体を含んでいる。
【0079】
一般的に、本発明の実施形態は、プログラムコードを備えるコンピュータプログラム製品として実装可能であり、このプログラムコードは、コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で実行されるときにいずれかの方法を実施するように作動する。このプログラムコードは、例えば、機械可読担体に格納されていてもよい。
【0080】
別の実施形態は、機械可読担体に格納されている、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためのコンピュータプログラムを含んでいる。
【0081】
したがって、換言すれば、本発明の実施形態は、コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されるときに本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムである。
【0082】
したがって、本発明の別の実施形態は、プロセッサによって実行されるときに本明細書に記載のいずれかの方法を実施するために、格納されているコンピュータプログラムを含んでいる記録媒体(またはデータ担体またはコンピュータ読取可能な媒体)である。データ担体、デジタル記録媒体または被記録媒体は、典型的に、有形である、かつ/または非一過性である。本発明の別の実施形態は、プロセッサと記録媒体を含んでいる、本明細書に記載されたような装置である。
【0083】
したがって、本発明の別の実施形態は、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためのコンピュータプログラムを表すデータストリームまたは信号シーケンスである。データストリームまたは信号シーケンスは例えば、データ通信接続、例えばインターネットを介して転送されるように構成されていてもよい。
【0084】
別の実施形態は、処理手段、例えば、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するように構成または適合されているコンピュータまたはプログラマブルロジックデバイスを含んでいる。
【0085】
別の実施形態は、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するために、インストールされたコンピュータプログラムを有しているコンピュータを含んでいる。
【0086】
本発明の別の実施形態は、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためのコンピュータプログラムを(例えば、電子的にまたは光学的に)受信機に転送するように構成されている装置またはシステムを含んでいる。受信機は、例えば、コンピュータ、モバイル機器、記憶装置等であってもよい。装置またはシステムは、例えば、コンピュータプログラムを受信機に転送するために、ファイルサーバを含んでいてもよい。
【0087】
いくつかの実施形態では、プログラマブルロジックデバイス(例えばフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)が、本明細書に記載された方法の機能の一部または全部を実行するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイは、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためにマイクロプロセッサと協働してもよい。一般的に、有利には、任意のハードウェア装置によって方法が実施される。
【符号の説明】
【0088】
100 顕微鏡システム
110 顕微鏡
112 試料ステージ
112x,112y 側方運動
114 照明光学系
120 結像光学系
120z 鉛直方向運動
122 対物レンズ
124 検出器
130 試料支持体
140 マンマシンインタフェース
142,242,342,442,542,642 ディスプレイ
144 キーボード
146 コンピュータマウス
150 コンピュータシステム
262,362,462,562,662,662’,664,664’ 試料画像
270,272,274,370,372,374,470,472,474,570,572,574,670,672,674 操作面
330,530 試料支持体の概略的な表示
332,432,532 ウェル
534 位置情報
536 位置・ユーザー入力
666,666’ 概観画像
700,704,708,712,716 ステップ
702 概観スキャン
706 試料画像
710 空間的なコンテクスト情報
714 空間的なコンテクスト表示
718 表示・ユーザー入力
720 選択・ユーザー入力
722 ズーム・ユーザー入力
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】