(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116102
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】ドアハンドル装置
(51)【国際特許分類】
E05B 81/76 20140101AFI20240820BHJP
E05B 85/16 20140101ALI20240820BHJP
E05B 79/06 20140101ALI20240820BHJP
B60J 5/04 20060101ALI20240820BHJP
E05B 49/00 20060101ALN20240820BHJP
【FI】
E05B81/76
E05B85/16 B
E05B85/16 Z
E05B79/06 C
B60J5/04 H
E05B49/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024020430
(22)【出願日】2024-02-14
(31)【優先権主張番号】P 2023021580
(32)【優先日】2023-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】596028103
【氏名又は名称】株式会社鳴海合金製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 正彦
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250FF36
2E250HH01
2E250JJ03
2E250LL01
2E250PP12
2E250SS05
(57)【要約】
【課題】ユーザによる手や指の接触について誤検知を抑制するドアハンドル装置を提供する。
【解決手段】車両のドアの車室外側面に車室外側面との間に空間をおいて取り付けられ、主面100と非主面200とを含むドアハンドル装置1である。非主面は、当該ドアハンドル装置の幅方向内側の最外面を構成し、当該ドアハンドル装置がドアに取り付けられた状態で車室内側に露出する面である。当該ドアハンドル装置1は、外ケース部20と、検出部10と、内ケース部30とを備える。検出部は、非主面への接触を検出する検出部は、作用する荷重に応じた接触情報を出力するように構成されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドアの車室外側面に前記車室外側面との間に空間をおいて取り付けられ、主面(100)と非主面(200)とを含むドアハンドル装置(1、1A)であって、
前記主面は、当該ドアハンドル装置の幅方向外側の最外面を構成し、当該ドアハンドル装置が前記ドアに取り付けられた状態で車室外側に露出する面であり、前記非主面は、当該ドアハンドル装置の幅方向内側の最外面を構成し、当該ドアハンドル装置が前記ドアに取り付けられた状態で車室内側に露出する面であり、
当該ドアハンドル装置は、
前記主面が設けられる外ケース部(20)と、
前記非主面への接触を検出するための検出部(10)と、
前記外ケース部の前記幅方向内側に取り付けられ、前記幅方向内側の最外面に前記非主面が設けられる内ケース部(30)と、
を備え、
前記検出部は、作用する荷重に応じた接触情報を出力するように構成されている、ドアハンドル装置。
【請求項2】
請求項1に記載のドアハンドル装置であって、
前記検出部は、前記非主面への接触に基づいて予め定められた処理を行うための処理装置に、前記接触情報を出力するように構成された、ドアハンドル装置。
【請求項3】
請求項1に記載のドアハンドル装置であって、
前記外ケース部は長手方向に延伸し、
前記内ケース部は、前記外ケース部の長手方向に沿って延伸し、前記外ケース部の長手方向の第1端部及び第2端部のうち前記第1端部側に前記検出部を配置する、ドアハンドル装置。
【請求項4】
請求項3に記載のドアハンドル装置であって、
前記ドアは、前記車両の側面に設けられおり、
前記外ケース部の長手方向の前記第1端部は、当該ドアハンドル装置が前記ドアに取り付けられた状態における前記車両の後方側の端部である、ドアハンドル装置。
【請求項5】
請求項1に記載のドアハンドル装置であって、
前記検出部は、ピエゾ抵抗効果に基づく荷重センサである、ドアハンドル装置。
【請求項6】
請求項1に記載のドアハンドル装置であって、
前記内ケース部は、
前記検出部が配置されたセンサホルダ(11)と、
前記外ケース部の前記幅方向内側に取り付けられ、前記幅方向内側に延びる内部空間(301)を有し、前記内部空間の底面(202)の前記幅方向内側の面を前記非主面として有する内ケース本体(31)と、
前記内ケース本体の前記内部空間に配置され、前記検出部が前記内部空間の底面と対向するように前記センサホルダを格納する格納部(40)と、
を備え、
前記検出部は、前記センサホルダの前記幅方向内側の面に配置される、ドアハンドル装置。
【請求項7】
請求項6に記載のドアハンドル装置であって、
前記内ケース本体は、前記内部空間の底面に、前記検出部と対向する検出対向部を含み、前記検出対向部は、前記非主面に荷重が加えられていない非把持状態において、前記検出部に接触している、ドアハンドル装置。
【請求項8】
請求項7に記載のドアハンドル装置であって、
前記検出対向部は、前記検出部に向かって突出する形状を有する、ドアハンドル装置。
【請求項9】
請求項7に記載のドアハンドル装置であって、
前記格納部は、前記非主面に加わる荷重に応じて弾性変形する弾性部材を更に有し、
前記弾性部材は、前記検出対向部と前記検出部との接触が保たれるように、前記非主面に加わる荷重と弾性力とを平衡させることによって、前記非主面に荷重が加わると前記センサホルダを荷重が加わる向きである幅方向外側に移動させ、前記非主面に加わる荷重が減少すると前記センサホルダを前記荷重が加わる向きとは反対の向きである前記幅方向内側に移動させる、ドアハンドル装置。
【請求項10】
請求項1に記載のドアハンドル装置であって、
前記非主面に作用する荷重に応じて弾性変形する弾性部材を更に有し、
前記弾性部材は、前記非主面に荷重が作用すると、前記非主面の裏面(202)側と前記検出部との接触が保たれる方向に付勢する弾性力を発生させるように構成されている、ドアハンドル装置。
【請求項11】
請求項10に記載のドアハンドル装置(1A)であって、
前記検出部は、幅方向において、前記非主面の裏面と前記弾性部材との間に配置され、
前記弾性部材は、長手方向に延びるU字状の形状を有する金属製の板状部材であり、前記弾性部材の移動を長手方向において規制するための第1規制部、及び、前記弾性部材の移動を当該ドアハンドル装置が前記車両に取り付けられたときの上下方向において規制するための第2規制部のうち少なくとも一方を備える、ドアハンドル装置。
【請求項12】
請求項11に記載のドアハンドル装置であって、
前記第1規制部(510a、510b)は、前記弾性部材の長手方向における少なくとも一方の端部に設けられ、上下方向に延びる形状を有し、
前記内ケース部は、それぞれ切り欠き部が設けられた、長手方向に延びる向かい合う壁部を有し、
前記第1規制部の両端を、それぞれ、前記長手方向に延びる向かい合う壁部に設けられた前記切り欠き部に係止することで、前記弾性部材の長手方向における移動を規制する、ドアハンドル装置。
【請求項13】
請求項11に記載のドアハンドル装置であって、
前記第2規制部(520a、520b)は、幅方向と直交する上下方向に延び、両端がそれぞれ幅方向内側に折り曲げられた形状を有し、
前記内ケース部は、長手方向に延びる向かい合う壁部を有し、
前記第2規制部の折り曲げられた前記端部は、前記長手方向に延びる向かい合う壁部に対する前記弾性部材の上下方向における移動を規制する、ドアハンドル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両のドアの車室外側面に取り付けられるドアハンドル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のドア(すなわち、ドアパネル)の車室外側面に取り付けられるドアハンドル装置において、ユーザの手や指の接触を検知して、ドアロックの解錠又は施錠等を行うという、所謂スマートエントリシステムに関する技術が知られている。スマートエントリシステムは登録商標である。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、ユーザの手や指の接触を検知可能なセンサとして、静電容量型のセンサを用いるという技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、静電容量型のセンサによる静電容量は、例えば、雨や水にぬれたとき等といった、使用状況の変化や、例えば、手袋の有無等といった、使用状態の変化によって、変動することが知られている。使用状況とは、ユーザによる使用状況をいい、使用状態とは、ユーザによる使用状態をいう。このような静電容量型のセンサを用いたスマートエントリシステムでは、使用状況及び使用状態によっては、スマートエントリシステムが適切に作動しないおそれがあった。
【0006】
本開示の1つの局面は、使用状況及び使用状態の変化によらずスマートエントリシステムを適切に作動させるためのドアハンドル装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、車両のドアの車室外側面に車室外側面との間に空間をおいて取り付けられ、主面(100)と非主面(200)とを含むドアハンドル装置(1)である。主面は、当該ドアハンドル装置の幅方向外側の最外面を構成し、当該ドアハンドル装置がドアに取り付けられた状態で車室外側に露出する面である。非主面は、当該ドアハンドル装置の幅方向内側の最外面を構成し、当該ドアハンドル装置がドアに取り付けられた状態で車室内側に露出する面である。当該ドアハンドル装置1は、外ケース部(20)と、検出部(10)と、内ケース部(30)とを備える。外ケース部は、主面が設けられる。検出部は、非主面への接触を検出する。内ケース部は、外ケース部の幅方向内側に取り付けられ、外ケース部に取り付けられた状態で幅方向内側の最外面に非主面が設けられる。検出部は、作用する荷重に応じた接触情報を出力するように構成されている。
【0008】
このように構成された本開示のドアハンドル装置は、非主面に作用する荷重に応じた接触情報を出力する検出部を備える。非主面は、ドアハンドル装置がドアに取り付けられた状態で車室内側の最外面として露出する面であり、ドアハンドル装置に手をかけたユーザによって把持され得る面である。このため、例えば雨や水にぬれる等といったユーザの使用状況や手袋の有無等といった使用状態に拘わらず、ドアハンドル装置の非主面への接触を検出することができる。つまり、ドアハンドル装置は、ユーザによる使用状況及び使用状態に拘わらず、スマートエントリシステムを適切に作動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、ドアハンドル装置が適用されるドアを説明する説明図である。
【
図2】
図2は、ドアハンドル装置が適用されるスマートエントリシステムを説明する説明図である。
【
図3】
図3は、ドアに取り付けられたドアハンドル装置の正面図である。
【
図4】
図4は、ドアに取り付けられたドアハンドル装置についての、
図3のIV-IV線における断面図である。
【
図5】
図5は、ドアハンドル装置の分解斜視図である。
【
図6】
図6は、ドアハンドル装置の分解斜視図である。
【
図7】
図7は、ドアハンドル装置の分解斜視図である。
【
図9】
図9Aは、ドアハンドル装置がユーザに把持されていない非把持状態における弾性部材を説明する説明図であり、
図9Bは、ドアハンドル装置がユーザに把持されている把持状態における弾性部材を説明する説明図である。
【
図11】
図11は、第2実施形態のハンドル装置における内ケース部の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を説明する。ここで「一致」とは、厳密な意味での一致に限るものではなく、同様の効果を奏するのであれば厳密に一致でなくてもよい。
【0011】
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
<全体構成>
はじめに、本実施形態のドアハンドル装置1が適用された車両用のドア(以下、ドア9と記載する)について、
図1に基づいて説明する。なお、車両前とは車両の前方向を表し、車両後は車両の後方向を表す。上とは車両における上方向、すなわち、重力方向上を表し、下とは車両にける下方向、すなわち、重力方向下を表す。また、左とは車両の左方向を表し、右とは車両の右方向を表す。ここでいう右、左は、車両の運転席から前方をみたときの右、左に対応している。また、車室外側とは、車室の外に向く側をいい、車室内側とは車室の内に向く側をいう。また、長手方向とは、ドアハンドル装置1の長手方向、すなわち、後述する外ケース部20の長手方向である。
【0012】
本実施形態では、ドアハンドル装置1が、車両の右側のドア9(例えば、右ハンドル車の運転席側のドア9)に適用される例を説明する。なお、本開示のドアハンドル装置1は、運転席側の右側のドア9への適用に限定されるものではなく、例えば、後部席側の右側のドアや、車両の左側のドア等といった、車両の側面に設けられた他のドアに適用されてもよい。車両の側面とは、車両の右端部の面又は左端部の面をいう。
【0013】
ドア9は、車両に設けられた開口(例えば、乗降口)に組付けられる。ドア9の前側の端部である前端部91は、上下方向に延びる回転軸を有するヒンジを介して、乗降口の前側の縁部に取り付けられる。これにより、ドア9は、回転軸周りに回動可能(すなわち、開閉可能)となる。
【0014】
ドアハンドル装置1が適用されるスマートエントリシステム900は、
図2に示すように、車両に搭載される車両システム910と、ユーザに携帯される携帯機920と、を備える。車両システム910は、無線通信装置930と電子制御装置940とドアロック装置950とドアハンドル装置1と、を備える。無線通信装置930は、携帯機920との間で無線通信を行う。電子制御装置940は、ECUであり、駆動制御部941の機能を備える。ECUは、Electronic Control Unitの略である。ドアロック装置950は駆動制御部941からの駆動指示に従って、ドアロックの開錠又は施錠を実行する。
【0015】
ドアハンドル装置1が備える検出部10は、ドアハンドル装置1へのユーザの手や指の接触を検出する。本実施形態では、検出部10は、接触情報を駆動制御部941に出力する。接触情報は、作用する荷重に応じた情報である。接触情報は、例えば、作用する荷重の大きさを示す情報であってもよい。また、接触情報は、作用する荷重に応じた情報であって、所定値以上の荷重が検出されたこと、すなわち、ドアハンドル装置1へのユーザの手や指の接触があったこと、を示す情報であってもよい。接触情報は、アナログ信号として出力されてもよいし、デジタル信号として出力されてもよい。
【0016】
駆動制御部941は、無線通信装置930を介して携帯機2との間で無線通信を行い、車両から所定範囲内に携帯機2が位置するか否かを検出する。駆動制御部941は、車両から所定範囲内に携帯機2が位置することが検出されている間、接触情報に基づいてドアハンドル装置1へのユーザの手や指の接触が検出された場合に、ドアロック装置950に駆動指示を出力する。これにより、ドアロック装置950によって、例えば、ドア9のドアロックの開錠又は施錠といった、予め定められた処理が実行される。
【0017】
<ドアハンドル装置>
ドアハンドル装置1は、
図3、
図4に示すように、ドア9に取り付けられた状態で、ドア9の車室外側の面である車室外側面92に、車室外側面92との間に空間93をおいて取り付けられる。つまり、ドアハンドル装置1は、車室外側面92との間に間隔(すなわち、空間93)をあけて取り付けられる。ユーザは、
図4に示すように、空間93に手Hを差し入れて、ドアハンドル装置1を把持する。本実施形態では、空間93は、
図4に示すように、ドアハンドル装置1と対向する車室外側面92が車室内側に向かって窪む(すなわち、陥没する)形状を有することによって、車室外側面92との間に設けられている。なお、空間93は、ドアハンドル装置1が車室外側面92から車室外側に突出する形状を有することによって車室外側面92との間に設けられてもよい。
【0018】
ドアハンドル装置1は、ドアハンドル装置1の長手方向が車両の前後方向(すなわち、車両の前後方向に平行な方向)に一致するように、ドア9に配置されている。また、ドアハンドル装置1は、ドアハンドル装置1の幅方向が車室の内外方向(すなわち、車室の内外方向に平行な方向)に一致するように、ドア9に配置されている。
【0019】
つまり、本明細書内において、ドアハンドル装置1における長手方向前側とは、ドアハンドル装置1がドア9に取り付けられたときの車両前側に相当する。ドアハンドル装置1における長手方向後側とは、ドアハンドル装置1がドア9に取り付けられたときの車両後側に相当する。ドアハンドル装置1における上側とは、ドアハンドル装置1がドア9に取り付けられたときの上側に相当し、ドアハンドル装置1における下側とは、ドアハンドル装置1がドア9に取り付けられたときの下側に相当する。また、ドアハンドル装置1における幅方向内側とは、ドアハンドル装置1がドア9に取り付けられたときの車室内側に相当する。ドアハンドル装置1における幅方向外側とは、ドアハンドル装置1がドア9に取り付けられたときの車室外側に相当する。
【0020】
ドアハンドル装置1は、
図4に示すように、主面100と非主面200とを含む。主面100は、ドアハンドル装置1の幅方向において、幅方向外側の最外面を構成する面である。且つ、主面100は、ドアハンドル装置1がドア9に取り付けられた状態で、車室外側に露出する面である。非主面200は、ドアハンドル装置1の幅方向において、幅方向内側の最外面を構成する。且つ、非主面200は、ドアハンドル装置1がドア9に取り付けられた状態で、車室内側に露出する面である。最外面とは最も外方に位置する面をいう。非主面200は、ユーザがドア9の開閉のためにドアハンドル装置1を把持する際に、ユーザの手Hが接触し、ユーザによって力が加えられる面である。ここでいうユーザの手Hとは、例えば、所謂親指以外のそれぞれの指(例えば、所謂人差し指~小指)を含む。なお、親指が含まれてもよい。
【0021】
ドアハンドル装置1は、
図5に示すように、外ケース部20と、外ケース部20の幅方向内側に取り付けられる内ケース部30と、非主面200への接触を検出するための検出部10と、を備える。検出部10はセンサホルダ11上に配置され、内ケース部30は検出部10が配置されたセンサホルダ11を内部に有する。つまり、検出部10は、非主面200を含む内ケース部30内に収容されている。検出部10は、作用する荷重に応じた接触情報を出力する荷重センサである。
【0022】
<外ケース部>
外ケース部20は、主面100が設けられた部材である。外ケース部20は、長手方向に延伸する形状を有し、ドア9に取り付けられる。
【0023】
外ケース部20は、長手方向に延伸する把持本体部21と、把持本体部21の長手方向の両端部付近から把持本体部21の長手方向に交差する方向(すなわち、幅方向)に延伸する脚部22a及び脚部22bと、を有する。
図5では、長手方向前側に脚部22aが配置され、長手方向後側に脚部22bが配置されている。外ケース部20は、把持本体部21がドア9の車室外側面92から突出するように、また、脚部22a及び脚部22bがドア9の内部に挿入されるように、ドア9に取り付けられる。
【0024】
外ケース部20(すなわち、把持本体部21)は、幅方向内側に開口する収容空間201を有する。外ケース部20は、主面100を含む把持本体部21の幅方向内側の面101を、収容空間201の底面として有する。つまり、収容空間201の底面である面101を含む把持本体部21の幅方向外側の面が、主面100である。
【0025】
外ケース部20は、面101の上下方向の両端部から主面100に交差する方向(すなわち、幅方向)に立設された側壁23a、23bを有する。側壁23a、23bは、外ケース部20の長手方向に沿うように立設されている。収容空間201は、側壁23a、23bに挟まれている空間であり、長手方向に延伸する形状である。側壁23a、23bは、それぞれ、長手方向の両端部側に、第1係止部24a、24b、24c、24dを有する。第1係止部24a、24b、24c、24dは、側壁23a、23bの収容空間201側の壁面である内壁面に設けられている。外ケース部20が有する第1係止部24a、24b、24c、24dは、それぞれ、内ケース部30(すなわち、内ケース本体31)が有する第1被係止部34a、34b、34c、34dと係合可能である。
【0026】
本実施形態では、第1係止部24a~24dの形状は、長手方向に延びる線状の凹部(すなわち、溝)であり、第1被係止部34a~34dの形状は長手方向に延びる線状の凸部である。なお、第1係止部24a~24dが凸部として形成され、第1被係止部34a~34dが凹部として形成されてもよい。また、第1係止部24a~24d及び第1被係止部34a~34dの形状は、長手方向に延びる凹部又は凸部に限定されるものではなく、互いに係合可能な形状であればよい。
【0027】
<内ケース部>
内ケース部30は、外ケース部20が幅方向内側に有する収容空間201内に取り付けられる。取り付けの際、内ケース部30の第1被係止部34a~34dと外ケース部20の第1係止部24a~24dとが互いに係合することによって、内ケース部30は外ケース部20の幅方向内側に固定される。
【0028】
内ケース部30は、
図6及び
図7に示すように、センサホルダ11と、センサホルダ11上に配置された検出部10と、内ケース本体31と、格納部40と、を備える。
<検出部>
検出部10は、
図4に示すように、ドアハンドル装置1とドア9との間に設けられた空間93にユーザの手Hが入り、ユーザによってドアハンドル装置1が把持されたことを検出するためのセンサである。把持には、例えば、ユーザがドア9を開閉する際にドアハンドル装置1を引く動作を含む。ユーザによってドアハンドル装置1が把持される際、非主面200にユーザによる力が作用する。検出部10は、非主面200への接触(すなわち、接触を伴う力の作用)を検出する。
【0029】
本実施形態では、検出部10は、ピエゾ抵抗効果に基づく荷重センサである。つまり、検出部10は、荷重が加わるとピエゾ抵抗に応力が作用して抵抗率が変化することを利用した荷重センサである。但し、検出部10は、ピエゾ抵抗効果に基づく荷重センサに限定されるものではなく、例えば、圧電体に加えられた力を電圧に変換する圧電効果を利用した素子を用いたセンサであってもよい。
【0030】
検出部10は、非主面200への接触に基づいて予め定められた処理を行うための上述の電子制御装置940(例えば、駆動制御部941)に、非主面200に作用する荷重に応じた上述の接触情報を出力する。予め定められた処理とは、例えば、車両のドア9を解錠又は施錠する処理であり得る。検出部10と電子制御装置940とは、信号線によって電気的に接続される。
【0031】
検出部10は、非主面200から伝達される荷重を検出するように、センサホルダ11上に、配置される。つまり、検出部10は、
図6に示すように、荷重を検出するための検出面110が非主面200側に(すなわち、幅方向外側に)向くように、センサホルダ11上に、配置される。
【0032】
センサホルダ11に配置された検出部10は、センサホルダ11が有する第1面111及び第2面112のうちの第1面111に配置される。第1面111は、センサホルダ11が有する長手方向に延伸する面のうち幅方向内側に位置する面であり、第2面112は、センサホルダ11が有する長手方向に延伸する面のうち幅方向外側に位置する面である。センサホルダ11には、検出部10以外の電気電子部品が配置され得る(すなわち、プリント回路基板であり得る)。
【0033】
本実施形態では、センサホルダ11は、樹脂製のリジッド基板である。なお、センサホルダ11は、樹脂製のフレキシブル基板であってもよい。センサホルダ11は、長手方向に延伸する形状を有する。検出部10は、センサホルダ11が有する第1ホルダ端部113及び第2ホルダ端部114のうちの第1ホルダ端部113側に配置される。第1ホルダ端部113は、センサホルダ11において長手方向後側に位置する端部であり、第2ホルダ端部114は、センサホルダ11において長手方向前側に位置する端部である。
【0034】
換言すれば、検出部10は、
図6に示す部位25を第1端部とし部位26を第2端部として、外ケース部20の長手方向の両端部(すなわち、第1端部及び第2端部)のうちの一方である第1端部の側に位置しており、第1端部は長手方向後側に位置する端部である、といえる。
【0035】
<内ケース本体>
内ケース本体31は、樹脂製である。内ケース本体31は、
図7に示すように、幅方向外側に開口する内部空間301を有し、外ケース部20の幅方向内側に取り付けられる。内ケース本体31は、内部空間301の底面である内底面202を含む箇所の幅方向内側の面を、非主面200として有する。つまり、内底面202は非主面200の裏側の面である。
【0036】
内ケース本体31は、内底面202の上下方向の両端部から非主面200に交差する方向(すなわち、幅方向)に立設された側壁33a、33bを有する。側壁33a、33bは、外ケース部20の長手方向に沿うように立設されている。内ケース本体31は、内底面202の長手方向の両端部から非主面200に交差する方向(すなわち、幅方向)に立設された側壁33c、33dを有する。内部空間301は、側壁33a~33dに囲まれている空間であり、長手方向に延伸する形状を有する。
【0037】
側壁33a、33bは、それぞれ、長手方向の両端部付近に、第1被係止部34a、34b、34c、34dを有する。第1被係止部34a、34b、34c、34dは、側壁33a、33bの内部空間301の外側の壁面である外壁面に設けられている。上述のように、第1被係止部34a、34b、34c、34dは、それぞれ、外ケース部20が有する第1係止部24a、24b、24c、24dに、係合可能である。
【0038】
本実施形態では、内ケース本体31は、更に、内部空間301を長手方向において2分割する分割壁35を有する。内ケース本体31は、内部空間301の長手方向後側の空間(以下、後空間302)内に、センサホルダ11を収容する。後空間302は、側壁33dと、分割壁35と、側壁33a、33bのうちの分割壁35よりも長手方向後側の部分と、に囲まれた空間である。内ケース本体31は、後空間302を構成する側壁33d、分割壁35、側壁33a、33bの内壁面に、センサホルダ11を載置可能である段差部36を有する。
【0039】
段差部36は、後空間302に沿って段差が階段状に設けられており、内底面202に近づくに伴って段差部36の外周が小さくなるように形成されている。段差部36は、段差(例えば、段差部36の幅方向最外側の段差や任意の段差等)上に、第1面111が幅方向内側を向くように、センサホルダ11を載置可能である。
【0040】
内ケース本体31において内部空間301の内底面202を含む箇所の厚みは、ドアハンドル装置1が把持される際に非主面200に作用するユーザの手による荷重を検出部10に伝達可能な程度の厚みであり得る。例えば、厚みは、ドアハンドル装置1が把持される際に非主面200に作用するユーザの手による荷重によって、非主面200が幅方向外側に撓む程度の厚み(すなわち、薄さ)であってもよい。又は、内ケース本体31において内部空間301の内底面202を含む箇所は、荷重によって非主面200が幅方向外側に撓むように、弾性を有する材料によって形成されてもよい。
【0041】
内ケース本体31は、内底面202に、内底面202から幅方向外側に突出する凸部である検出用凸部70を有する。検出用凸部70は、センサホルダ11の第1面111に配置された検出部10に向かって突出する形状を有する。第1面111は、内底面202と対向している。検出用凸部70は、ユーザによって非主面200が把持されていない(すなわち、荷重が加えられていない)非把持状態で、検出部10(すなわち、検出面110)に接触している。
【0042】
本実施形態では、検出用凸部70の幅方向外側における面(すなわち、検出面110と接触する面)の面積は、検出面110の面積よりも大きい。ここでは、荷重センサとしての検出部10の外形の面積を検出面110の面積とする。また、検出用凸部70の長手方向の長さは、検出部10の長手方向の長さよりも長い。これにより、ユーザによって非主面200の任意の箇所に荷重が加えられている状態で、検出用凸部70を介して検出部10に荷重を伝達し易くすることができる。
【0043】
内ケース本体31は、更に、分割壁35及び側壁33dに、ねじ孔38a、38bを有する。ねじ孔38a、38bは、格納部40を内ケース本体31に取り付けるために用いられる。
【0044】
また、内ケース本体31は、分割壁35に2つの切り欠き37a、37bを有し、側壁33cに1つの切り欠き37cを有する。切り欠き37a~37cは、検出部10と電子制御装置940とを接続するための信号線を挿通するために用いられてもよい。
【0045】
<格納部>
格納部40は、
図7に示すように、内部空間301内に配置され、検出部10が内底面202と対向するように、検出部10が配置されたセンサホルダ11を格納する。格納部40は、非主面200に加えられた荷重の増減に応じて、センサホルダ11を幅方向に移動可能に収容する。上述のように、検出用凸部70は、非把持状態で、検出部10(すなわち、検出面110)に接触している。つまり、格納部40に収容されたセンサホルダ11は、検出部10の検出面110と検出用凸部70との接触が保たれるように、非主面200に作用する荷重に応じて非主面200の法線方向である幅方向に沿って移動可能となっている。
【0046】
具体的には、格納部40は、
図8に示すように、格納ケース41と、格納ケース41内に収容される弾性部材51と、を備える。本実施形態では、弾性部材51は板ばねである。但し、弾性部材51は、板ばねに限定されるものではなく、例えば、コイルばね、皿ばね等といった、各種の金属ばねであり得る。弾性部材51は、幅方向外側に向かって荷重が加えられると幅方向外側に向かって縮み、加えられた荷重が取り除かれると幅方向内側に向かって伸びるように、格納ケース41内に配置される。
【0047】
格納ケース41は、樹脂製である。格納ケース41は、幅方向内側に開口する格納空間401を有し、内ケース本体31の幅方向外側に取り付けられる。格納ケース41は、格納空間401の底面である格納底面412を含む箇所の幅方向外側の面を、ケース外面411として有する。ケース外面411は、格納ケース41が内ケース本体31に取り付けられて内ケース部30として組み立てられたときに、非主面200に対して幅方向外側に位置する面である。格納底面412はケース外面411の裏側の面である。
【0048】
格納ケース41は、格納底面412の上下方向の両端部からケース外面411に交差する方向(すなわち、幅方向)に立設された側壁43a、43bを有する。側壁43a、43bは、格納ケース41の長手方向に沿うように立設されている。格納ケース41は、格納底面412の長手方向の両端部からケース外面411に交差する方向(すなわち、幅方向)に立設された側壁43c、43dを有する。格納空間401は、側壁43a~43dに囲まれている空間であり、長手方向に延伸する形状を有する。
【0049】
格納ケース41は、格納底面412に、規制部材45a~45dを有する。規制部材45a~45dは、格納空間401内に収容された弾性部材51の上下方向への移動を規制するための部材である。規制部材45a、45bは、側壁44aの長手方向の両端部から格納底面412に沿って上下方向下側延びる形状を有する。規制部材45c、45dは、側壁44bの長手方向の両端部から格納底面412に沿って上下方向上側延びる形状を有する。格納ケース41は、格納底面412において、上下方向に並ぶ規制部材45aと規制部材45cとの間に隙間402aを有し、上下方向に並ぶ規制部材45bと規制部材45dとの間に隙間402bを有する。
【0050】
弾性部材51は、長手方向における両端部が隙間402a、402b内に載置されることによって、格納ケース41内における上下方向の移動が規制される。格納ケース41に収容された弾性部材51上には、センサホルダ11が、第1面111が幅方向内側に向くように載置される。
【0051】
格納ケース41は、更に、側壁43c及び側壁43dに、格納空間401の外に向かって長手方向に延びるフランジ42a、42bを有する。フランジ42a、42bは、それぞれ、貫通孔420a、420bを有する。貫通孔420a、420bは、格納ケース41が内ケース本体31に取り付けられた際に内ケース本体31のねじ孔38a、38bと対応する位置に、それぞれ設けられている。貫通孔420a、420bは、格納部40を内ケース本体31に取り付けるために用いられる。
【0052】
また、格納ケース41は側壁43cに2つの切り欠き47a、47bを有する。切り欠き47a、47bは、内ケース本体31が有する切り欠き37a~37cと対応する位置に設けられている。つまり、格納ケース41が内ケース本体31に取り付けられた際、切り欠き47a及び切り欠き37aとで構成される挿通孔と、切り欠き47b及び切り欠き37bで構成される挿通孔とが形成される。これらの挿通孔に検出部10と電子制御装置940とを接続するための信号線が挿通されてもよい。
【0053】
<組み立て>
ドアハンドル装置1の組み立てについて、
図6を参照して説明する。はじめに、内ケース部30が組み立てられ、次に内ケース部30が外ケース部20に取り付けられることによって、ドアハンドル装置1が組み立てられる。
【0054】
(a)まず、内ケース部30に含まれる格納部40を組み立てる。具体的には、格納ケース41内に弾性部材51を載置する。
(b)続いて、弾性部材51の幅方向内側に(すなわち、弾性部材51上に)、第1面111が幅方向内側に向くように(すなわち、第2面112と弾性部材51とが接触するように)、センサホルダ11を載置する。換言すれば、弾性部材51上に、第2面112と弾性部材51とが接触するように、センサホルダ11を載置する。
【0055】
(c)次に、センサホルダ11が格納された格納部40を内ケース本体31の内部空間301(すなわち、具体的には後空間302)内に取り付ける。この際、ねじ60a、60bを、それぞれ、幅方向外側から貫通孔420a、420bに挿通させ、ねじ孔38a、38bにねじ止めする。このようにして、内ケース部30が組み立てられる。
【0056】
なお、内ケース部30の組み立て順は上述の順序に限定されるものではない(すなわち、
図7参照)。例えば、まず、内ケース本体31の内部空間301(すなわち、後空間302)にセンサホルダ11が第1面111が幅方向内側に向くように載置され、センサホルダ11の第2面112上に弾性部材51が載置されてもよい。そして、弾性部材51の長手方向の両端部が隙間402a、402bに納まるように、格納部40(すなわち、格納ケース41)が後空間302内に収容され、格納部40(すなわち、格納ケース41)がねじ60a、60bによって、内ケース本体31にねじ止めされてもよい。
【0057】
(d)最後に、内ケース部30を、外ケース部20の収容空間201内に収容し、固定する。この際、外ケース部20の第1係止部24a、24b、24c、24dと、内ケース部30の第1被係止部34a、34b、34c、34dと、を係止させることによって、内ケース部30が外ケース部20に固定される。
【0058】
[1-2.弾性部材による作動]
上述のように組み立てられたドアハンドル装置1における弾性部材による作動を
図9A、9Bを用いて説明する。なお、
図9A、9Bは、ドアハンドル装置1の作動を説明するための模式的な図であり、必ずしも各部品の大小関係や位置関係が正確に反映されているものではない。
【0059】
被把持状態では、
図9Aに示すように、検出部10(すなわち、検出面110)と検出用凸部70とが接触している。なお、以下でいう検出対向部701は、内底面202のうち、検出部10と対向する部分である。本実施形態では、検出対向部701は、検出用凸部70における幅方向外側の面700に含まれている。被把持状態では、検出部10(すなわち、検出面110)と検出対向部701とが接触している。
【0060】
把持状態では、
図9Bに示すように、センサホルダ11は、非主面200に加わる荷重に基づいて、検出部10(すなわち、検出面110)と検出用凸部70との接触が保たれるように、非主面200に作用する荷重に応じて、幅方向外側に移動する。なお、把持状態においても、検出部10(すなわち、検出面110)と検出対向部701との接触が保たれている。
【0061】
つまり、ドアハンドル装置1が把持されると、弾性部材51は、検出部10の検出面110と検出用凸部70(すなわち、検出対向部701)との接触が保たれるように、非主面200に加わる圧力と弾性力とを平衡させることによって、センサホルダ11を圧力が加わる方向(すなわち、幅方向外側)に移動させる。把持される、とは、非主面200に加わる荷重が増加(すなわち、発生)することをいう。
【0062】
また、ドアハンドル装置1が把持されなくなると、弾性部材51は、検出部10の検出面110と検出用凸部70(すなわち、検出対向部701)との接触が保たれるように、非主面200に加わる圧力と弾性力とを平衡させることによって、非主面200に加わる荷重が減少すると(無くなると)、センサホルダ11は、を圧力が加わる方向とは反対方向(すなわち、幅方向内側)に移動させる。把持されなくなる、とは、非主面200に加わる荷重が減少する(すなわち、無くなる)ことをいう。
【0063】
このように、弾性部材51は、非主面200に作用する荷重に基づいて、検出部10の検出面110と検出用凸部70との接触が保たれるように、非主面200に作用する圧力と弾性力とを平衡させる。弾性部材51は、これによって、非主面200に作用する圧力が増加すると検出面110を圧力が作用する幅方向外側に移動させ、且つ、非主面200に作用する圧力が減少すると検出面110を圧力が作用する向きと反対である幅方向内側に移動させる。
【0064】
つまり、弾性部材51を備えることにより、検出用凸部70によって検出部10(例えば、検出面110)に過剰な荷重がかかることが抑制される。ひいては、検出用凸部70によって検出部10を搭載するセンサホルダ11に過剰な荷重がかかることが抑制される。
【0065】
[1-3.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1_1)ドアハンドル装置1は、車両のドア9の車室外側面92に車室外側面92との間に空間93をおいて取り付けられ、車両のドア9を開閉する際に車室外側から把持され、主面100と非主面200とを含む。主面100は、ドアハンドル装置1の幅方向外側の最外面を構成し、ドアハンドル装置1がドア9に取り付けられた状態で車室外側に露出する面である。非主面200は、ドアハンドル装置1の幅方向内側の最外面を構成し、ドアハンドル装置1がドア9に取り付けられた状態で車室内側に露出する面である。ドアハンドル装置1は、主面100が設けられる外ケース部20と、検出部10と、外ケース部20の幅方向内側に取り付けられ、外ケース部20に取り付けられた状態で幅方向内側の最外面に非主面200が設けられる内ケース部30と、を備える。検出部10は、作用する荷重に応じた接触情報を出力する荷重センサである。
【0066】
つまり、本実施形態のドアハンドル装置1は、非主面200に作用する荷重に応じた接触情報を出力する検出部10を備える。非主面200は、ドアハンドル装置1がドア9に取り付けられた状態で車室内側の最外面として露出する面であり、ドアハンドル装置1に手をかけたユーザによって把持され得る面である。このため、ドアハンドル装置1は、例えば雨や水にぬれる等といったユーザの使用状況や手袋の有無等といったユーザの使用状態に拘わらず、非主面200への接触を検出することができる。つまり、ドアハンドル装置1は、ユーザによる使用状況及び使用状態に拘わらず、スマートエントリシステムを適切に作動させることができる。
【0067】
(1_2)検出部10は、非主面200への接触に基づいて予め定められた処理(例えば、車両のドア9を解錠又は施錠する処理)を行うための電子制御装置940(例えば、駆動制御部941)に、非主面200に作用する荷重に応じた接触情報を出力する。これにより、上述のようにユーザの使用状況や使用状態に拘わらず検出部10によって非主面200への接触を検出することができるので、電子制御装置940が実行する非主面200への接触に基づく上述の予め定められた処理の処理精度を向上させることができる。
【0068】
(1_3)内ケース部30(すなわち、具体的にはセンサホルダ11)は、外ケース部20の長手方向に沿って延伸する。内ケース部30(すなわち、具体的にはセンサホルダ11)は、外ケース部20の長手方向の第1端部及び第2端部のうち第1端部側に10を配置する。つまり、検出部10は、非主面200において外ケース部20の長手方向の両端部である部位25、26(すなわち、第1端部及び第2端部)のうちの一方である部位25(すなわち、第1端部)の側に配置される。
【0069】
ユーザが空間93に手Hを入れてドアハンドル装置1を把持するとき、非主面200により大きな力を加えることができる指は人差し指h1付近であると考えられる。そして、把持の際に、空間93に差し込まれた人差し指h1は、非主面200のうち、ドア9に取り付けられたドアハンドル装置1の長手方向の端部である第1端部(すなわち、部位25)付近に位置すると考えられる。このため、内ケース部30においてユーザの人差し指h1に近くなるように、内ケース部30の第1端部(すなわち、部位25)の側に検出部10を配置することで、非主面200への接触を検出し易くなる。結果として、ドアハンドル装置1は、ユーザによる手や指の接触について検知精度を向上させることができる。
【0070】
(1_4)本実施形態では、ドアハンドル装置1がドア9に取り付けられた状態で、第1端部は、車両後側の端部(すなわち、部位25)である。つまり、検出部10は、非主面200において外ケース部20の長手方向の両端部(すなわち、第1端部及び第2端部)のうちの車両後側の端部(すなわち、本実施形態では第1端部としての部位25)の側に配置される。
【0071】
ドア9に取り付けられたドアハンドル装置1のうち車両の後方側の端部は、ユーザの手H(例えば、人差し指h1付近)によって把持される可能性が高い部分である。この部分を把持することによって、てこの原理により、ヒンジの回転軸まわりにドア9をより少ない力で開け閉めできるからである。検出部10が非主面200において長手方向における車両後方の端部(すなわち、部位25)側に配置されることにより、ユーザが人差し指h1付近でドアハンドル装置1を把持する際の荷重を、検出部10によってより確実に検出することができる。結果として、ドアハンドル装置1は、ユーザによる手や指の接触について検知精度を向上させることができる。
【0072】
(1_5)検出部10は、ピエゾ抵抗効果に基づく荷重センサである。このため、検出部10は、上述の(1)に記載のように、例えば静電容量型のセンサとは異なり、ユーザによる使用状況や使用状態に拘わらず、作用する荷重に応じた接触情報を出力することができる。結果として、ドアハンドル装置1は、ピエゾ抵抗効果に基づく荷重センサを用いることによって、スマートエントリシステムを適切に作動させることができる。
【0073】
(1_6)内ケース部30は、検出部10が配置されたセンサホルダ11と、内ケース本体31と、格納部40と、を備える。内ケース本体31は、外ケース部20の幅方向内側に取り付けられ、外ケース部20に取り付けられた状態で、幅方向内側に延びる(幅方向内側へ凹んだ)内部空間301を有する。内ケース本体31は、内部空間301の内底面202を含む箇所の幅方向内側の面を、非主面200として有する。つまり、内底面202は非主面200の裏側の面である。格納部40は、内部空間301内に配置され、配置された状態で幅方向外側へ凹んだ格納空間401を有し、検出部10(すなわち、検出面110)が内底面202と対向するように、検出部10が配置されたセンサホルダ11を格納する。センサホルダ11に配置された検出部10は、センサホルダ11が有する第1面111及び第2面112のうちの第1面111であって、前記幅方向内側の面に配置される。
【0074】
これにより、検出部10は、第2面112よりも、幅方向内側の最外面としての非主面200に近い第1面111に配置されるので、第2面112に配置される場合よりも、非主面200への荷重を検出し易い。結果として、ユーザによる手や指の接触を、より精度よく検出することができる。
【0075】
(1_7)内ケース本体31は、内部空間301の底面(内底面202)に、検出部10と対向する部分である検出対向部701を含む。検出対向部701は、内底面202の一部である。本実施形態では、検出対向部701は、検出用凸部70における幅方向外側の面700に含まれる。検出対向部701(すなわち、換言すれば、検出用凸部70)は、非把持状態において、検出部10に接触している。非把持状態とは、ドアハンドル装置1が把持されていない状態であって、非主面200に荷重が加えられていない状態である。
【0076】
これにより、非主面200に荷重が加えられていない状態からの変化を、検出対向部701(すなわち、本実施形態では、検出用凸部70)を介して、確実に検出することができる。つまり、ユーザによって非主面200が把持されていない状態から把持される状態に変化したことを、確実に検出することができる。
【0077】
(1_8)検出対向部701は、内部空間301の底面(内底面202)から、(センサホルダ11の第1面111に配置される)検出部10に向かって突出している。上述のように、本実施形態では、検出対向部701は、検出用凸部70の面700の少なくとも一部に相当する。
図9Aに示すように、内ケース本体31の内ケース底部材39は、検出用凸部70と、非凸部71と、を含む。非凸部71とは、内ケース底部材39のうち、検出用凸部70を除いた部分をいう。内ケース底部材39とは、内ケース本体31のうち、後空間302を形成する板状の部分であって、幅方向内側に非主面200を有し幅方向外側に内底面202を有する部分をいう。
【0078】
本実施形態では、検出用凸部70は、非凸部71よりも厚い。すなわち、検出用凸部70の厚さD0>非凸部71の厚さD1である。換言すれば、本実施形態のドアハンドル装置1では、検出用凸部70を有することによって、内ケース本体31の内ケース底部材39の厚さを、非凸部71において、検出用凸部70よりも薄くすることができている。
【0079】
つまり、非主面200に荷重が加わった際に、検出対向部701(すなわち、換言すれば、検出用凸部70)と検出部10との接触を保ちつつ、内ケース本体31の非主面200の部分を幅方向外側に撓みやすくすることができる。これにより、例えば、ユーザが非主面200に手や指を接触させて相対的に大きな力を加えていない場合であっても、非主面200への接触を検出し易くすることができる。
【0080】
また、ドアハンドル装置1では、検出用凸部70を有することによって、内ケース底部材39の厚さを非凸部71において検出用凸部70よりも薄くすることができているので、非凸部71とセンサホルダ11の第1面111との隙間を、検出用凸部70とセンサホルダ11の第1面111との隙間よりも大きくすることができている。これにより、センサホルダ11の第1面111において、相対的に背の高い部品(すなわち、幅方向を長手方向とする部品)の実装性を高めることができる。
【0081】
(1_9)格納部40は、非主面200に加わる荷重に応じて弾性変形する弾性部材51を有する。弾性部材51は、例えば、板ばねであってもよい。弾性部材51は、検出用凸部70と検出部10との接触が保たれるように、非主面200に加わる荷重と弾性力とを平衡させる。弾性部材51は、非主面200に荷重が加わるとセンサホルダ11を荷重が加わる向きである幅方向外側に移動させ、非主面200に加わる荷重が減少するとセンサホルダ11を荷重が加わる向きとは反対の向きである幅方向内側に移動させる。
【0082】
これにより、検出用凸部70と検出部10との接触が保たれるので、非主面200に加えられる荷重を検出部10によって検出し易くできる。また、検出部10に過剰に荷重が加えられることが抑制されるので、検出部10の損傷の可能性を抑制することができる。
【0083】
例えば、
図10に示すように、弾性部材51を備えずセンサホルダ11の端部が格納ケース41に固定されている比較例Eでは、非主面200に加わる荷重は、検出部10(例えば、検出面110)ひいてはセンサホルダ11に直接作用する。換言すれば、検出用凸部70に加わる荷重は、検出部10(例えば、検出面110)ひいてはセンサホルダ11に直接作用する。このため、比較例Eでは、非主面200に加わる荷重によって、(例えば、該荷重が検出部10(例えば、検出面110)及びセンサホルダ11の耐荷重を超えると、)検出部10(例えば、検出面110)及びセンサホルダ11が破損するおそれがある。
【0084】
これに対して、ドアハンドル装置1では、
図9に示すように、弾性部材51を備えることによって、センサホルダ11を荷重が加わる向きに荷重の大きさに応じて移動させることができる。このため、非主面200に加わる荷重によって、つまり、検出用凸部70により加わる荷重によって、検出部10(例えば、検出面110)及びセンサホルダ11の損傷を抑制することができる。つまり、弾性部材51を有することによって、検出用凸部70と検出部10との接触を保ちつつ、且つ、検出部10及びセンサホルダ11の損傷を抑制することができる。
【0085】
[2.第2実施形態]
<第1実施形態との相違点>
第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0086】
上述のように第1実施形態のドアハンドル装置1では、非主面200に作用する荷重に応じて弾性変形する弾性部材51を有する。弾性部材51は、非主面200に荷重が作用すると、非主面200の裏面である内底面202側と検出部10との接触が保たれる方向に付勢する弾性力を発生させるように構成される。内底面202は、非主面200を含む部材である非主面部としての内ケース底部材39の幅方向外側の面であり、非主面200の裏面である。
【0087】
また、第1実施形態のドアハンドル装置1では、
図7、8に示すように、規制部(換言すれば、上下方向規制部)としての規制部材45a~45dが格納ケース41の格納底面412に設けられ、規制部材45a~45dによって弾性部材51の移動が上下方向において規制されていた。また、ドアハンドル装置1では、検出部10が搭載されたセンサホルダ11は、非主面200の裏面である内底面202と、規制部材45a~45dによって上下方向への移動が規制された弾性部材51との間に、配置されていた。
【0088】
これに対し、第2実施形態のドアハンドル装置1Aでは、第1実施形態のドアハンドル装置1の内ケース部30が内ケース部30Aに置換される点で第1実施形態と相違する。
[2―1.構成]
第2実施形態のドアハンドル装置1Aは、
図11、
図12に示すように、内ケース部30Aとして、センサホルダ11と、内ケース本体31Aと、格納部40Aとを備える。格納部40Aは、格納ケース41A及び弾性部材51Aを含む。ドアハンドル装置1Aは、上述の相違点のため、内ケース本体31A、及び格納部40A(すなわち、格納ケース41A及び弾性部材51A)の構成が、ドアハンドル装置1とは異なる。以下では、第1実施形態のドアハンドル装置1と共通の構成については同じ符号を付して説明を省略し、相違点について説明する。
【0089】
格納ケース41Aは、第1実施形態の格納ケース41の格納底面412に設けられていた規制部材45a~45dを有していない。格納ケース41Aは、格納底面412の略中央に幅方向内側に突出する突出部413を有していてもよい。
【0090】
弾性部材51Aは、第1実施形態の弾性部材51と同様に、板ばねであり、略中央に位置する平坦部501と平坦部501に接続する斜辺部502a、502bとを含む、長手方向に延びるU字状の形状を有する金属製の板状部材である。弾性部材51Aは、第1実施形態の弾性部材51とは、斜辺部502a、502bに接続する弾性部材51Aの端部の形状が異なっている。具体的には、弾性部材51Aは、長手方向における少なくとも一方の端部に、直交係止部510を有する。
【0091】
本実施形態では、弾性部材51Aは、長手方向前側の端部に直交係止部510aを有し、長手方向後側の端部に直交係止部510bを有する。なお、弾性部材51Aは、長手方向前側の端部に直交係止部510aのみを有していてもよいし、長手方向後側の端部に直交係止部510bのみを有していてもよい。
【0092】
直交係止部510aは、斜辺部502aに接続し斜辺部502aから上下方向に沿って延びるように設けられた略長方形の板状部材であり、直交係止部510bは、斜辺部502bに接続し斜辺部502bから上下方向に沿って延びるように設けられた略長方形の板状部材である。直交係止部510a、510bは、例えば、棒状(円柱状)、多角柱状、球状等といった、板状以外の任意の形状を有していてもよい。
【0093】
弾性部材51Aは、更に、長手方向における少なくとも一方の端部にストッパ520を有する。本実施形態では、弾性部材51Aは、長手方向前側の端部であって直交係止部510aよりも端(前)側にストッパ520aを有し、長手方向後側の端部であって直交係止部510bよりも端(後)側にストッパ520bを有する。なお、弾性部材51Aは、長手方向前側の端部にストッパ520aのみを有していてもよいし、長手方向後側の端部にストッパ520bのみを有していてもよい。
【0094】
また、ストッパ520a、520bは、それぞれ、直交係止部510a、510bよりも平坦部501寄りに設けられてもよい(つまり、直交係止部510a、510bが、弾性部材51Aの最も端に設けられてもよい。)
ストッパ520aは、斜辺部502aに接続し、斜辺部502aから上下方向に延びるように設けられた板状部材であり、上下方向における両方の端部521(すなわち、上下方向上側の端部521と下側の端部521)がそれぞれ幅方向内側に折り曲げられた形状を有する。同様に、ストッパ520bは、斜辺部502bに接続し、斜辺部502bから上下方向に延びるように設けられた板状部材であり、上下方向における両方の端部521(すなわち、上下方向上側の端部521と下側の端部521)がそれぞれ幅方向内側に折り曲げられた形状を有する。
【0095】
ストッパ520a、520bにおいて両方の端部521を除いた上下方向の長さ(つまり、折り曲げられていない部分の上下方向の長さDs1)は、後述する規制壁部81a、81b、82a、82bによって画定される空間303の上下方向の長さ(つまり、規制壁部81a、81bの上下方向の間隔Dc1)よりも若干短い(Ds1<Dc1)。つまり、長さDs1は、間隔Dc1から所定の許容値を除いた値であってもよい。許容値は小さい値であることが望ましい。ストッパ520a、520bは、例えば、棒状(円柱状)、多角柱状等といった、板状以外の任意の形状を有していてもよい。
【0096】
弾性部材51Aの幅方向における高さDsは、換言すれば、平坦部501からストッパ520a、520bまでの高さDsは、センサホルダ11から空間303の幅方向外側の端までの高さDcと略同じか、それよりも低くてもよい。
【0097】
内ケース本体31Aでは、第1実施形態の内ケース本体31と同様に、段差部36にセンサホルダ11が載置される。但し、内ケース本体31Aは、第1実施形態の内ケース本体31とは異なり、
図11に示すように、図示しない段差部36に載置されたセンサホルダ11の周囲を囲む規制壁部81a、81b、82a、82bが、非主面200の裏面である内底面202から幅方向外側へ向けて立接されている。内底面202は、内部空間301の底面である。つまり、規制壁部81a、81b、82a、82bは、内ケース部30の内部空間301(後空間302)内に設けられており、内底面202を底とする、幅方向内側へ凹んだ空間303を画定するための壁である。空間303内には、後述するように、幅方向内側から外側へ向かって、順に、センサホルダ11、弾性部材51Aが収容される。
【0098】
規制壁部81a、81bは、長手方向に向かい合わせに延びており、ドアハンドル装置1Aが車両に取り付けられた時の上下方向において、規制壁部81aはセンサホルダ11の上側に設けられ、規制壁部81bはセンサホルダ11の下側に設けられている。規制壁部82a、82bは上下方向に向かい合わせに延びており、規制壁部82aはセンサホルダ11の長手方向前側に設けられ、規制壁部82bはセンサホルダ11の長手方向後側に設けられている。
【0099】
長手方向に延びる規制壁部81aは、空間303内に弾性部材51Aが収容されたときに(すなわち、センサホルダ11上に弾性部材51Aが載置されたときに)直交係止部510aの両方の端部511(すなわち、上下方向上側の端部511と下側の端部511)に対応する位置に、それぞれ、切り欠き部83a、83cを有する。同様に、長手方向に延びる規制壁部81bは、センサホルダ11上に弾性部材51Aが載置されたときに直交係止部510bの両方の端部511(すなわち、上下方向上側の端部511と下側の端部511)に対応する位置に、それぞれ、切り欠き部83b、83dを有する。
【0100】
<組み立て>
上述の第1実施形態において、内ケース部30では、
図7に示すように、段差部36に載置されたセンサホルダ11上(幅方向外側)に弾性部材51が配置され、格納ケース41は、弾性部材51の長手方向の両端をそれぞれ隙間402a、402bの間に収めつつ、幅方向外側から内側へ向かって弾性部材51を押さえるように、内ケース本体31にねじ止めされていた。
【0101】
第2実施形態の内ケース部30Aでは、段差部36に載置されたセンサホルダ11の幅方向外側に弾性部材51Aが載置される。つまり、
図11に示すように、弾性部材51Aは、規制壁部81a、81b、82a、82bに囲まれる空間303に収容される。この際、直交係止部510aの両方の端部511が、それぞれ切り欠き部83a、83cに係止され、直交係止部510bの両方の端部511が、それぞれ切り欠き部83b、83dに係止される。
【0102】
また、
図11、
図12に示すように、ストッパ520bは、規制壁部81a及び規制壁部81bの長手方向後側において、両方の端部521(すなわち、上下方向上側の端部521と下側の端部521)が、それぞれ規制壁部81a及び規制壁部81bに対して若干の隙間(許容値に応じた、ごく僅かな隙間)を開けて、位置する。同様に、ストッパ520aは、規制壁部81a及び規制壁部81bの長手方向前側において、両方の端部521(すなわち、上下方向上側の端部521と下側の端部521)が、それぞれ規制壁部81a及び規制壁部81bに対して若干の隙間(許容値に応じた、ごく僅かな隙間)を開けて、位置する。
【0103】
格納ケース41Aは、幅方向外側から内側へ向かって(突出部413によって)弾性部材51Aを押さえるように(すなわち、弾性部材51Aを押さえることでセンサホルダ11の検出部10を検出用凸部70に接触させるように)、内ケース本体31Aにねじ止めされる。ねじ60a、60bによるねじ止めの構成は、第1実施形態と同様である。
【0104】
[2-2.効果]
本実施形態のドアハンドル装置1Aは、上述の(1-1)~(1-9)と同様の効果に加え、更に以下の効果を得ることができる。
【0105】
(2_1)ドアハンドル装置1Aは、非主面200に作用する荷重に応じて弾性変形する弾性部材51Aを有する。弾性部材51Aは、非主面200に荷重が作用すると、非主面200の裏面である内底面202側とセンサホルダ11に搭載された検出部10との接触が保たれる方向に付勢する弾性力を発生させる。これにより、ドアハンドル装置1Aにおいても、(1-9)と同様の効果を得ることができる。
【0106】
ここで、弾性部材51Aは、長手方向に延びるU字状の形状を有する金属製の板状部材であり、弾性部材51Aの移動を長手方向において規制するための第1規制部としての直交係止部510a、510b、及び、弾性部材51Aの移動を当該ドアハンドル装置1Aが車両に取り付けられたときの上下方向において規制するための第2規制部としてのストッパ520a、520bを備える。なお、センサホルダ11は、非主面200の裏面である内底面202と、第1規制部及び第2規制部によって移動が規制された弾性部材51Aとの間に配置される。
【0107】
これにより、弾性部材51Aの移動が上下方向及び長手方向の両方において規制される。このため、弾性部材51Aは、移動が規制されない幅方向に、具体的には、非主面200の裏面である内底面202側と検出部10との接触が保たれる方向に(接触を強化する方向に)付勢する弾性力が発生し易くなる。ドアハンドル装置1Aは、第1規制部及び第2規制部の両方を備え、弾性部材51Aの移動が長手方向及び上下方向の2方向において規制されるので、上述のように付勢する弾性力がより発生し易くなる。
【0108】
結果として、ドアハンドル装置1Aは、検出部10によって非主面200に作用する荷重を検出し易くできると共に検出部10の損傷を抑制できるといった(1-9)と同様の効果を、更に高めることができる。
【0109】
(2_2)内ケース部30Aは、幅方向内側へ凹んだ空間303を画定する長手方向に延びる規制壁部81a、81b及び上下方向に延びる規制壁部82a、82bを有する。直交係止部510a、510bは、弾性部材51Aの長手方向における両端に設けられ、弾性部材51Aの本体(平坦部501と平坦部501に接続する斜辺部502a、502b)から幅方向と直交する上下方向に延びる板状の形状を有する。内ケース部30Aは、長手方向に延びる向かい合う壁部である規制壁部81a、81bを有し、規制壁部81a、81bは、それぞれ対応する位置に、切り欠き部83a及び83cと、切り欠き部83b及び83dとを有する。
【0110】
これにより、空間303にセンサホルダ11を収容しその上(幅方向外側)に弾性部材51Aを収容する際、直交係止部510aの両方の端部511が切り欠き部83a及び83cに係止されるので、空間303内において弾性部材51Aの長手方向における移動を規制することができる。同様に、直交係止部510bの両方の端部511が切り欠き部83b及び83dに係止されるので、空間303内において弾性部材51Aの長手方向における移動を規制することができる。
【0111】
(2_3)ストッパ520a、520bは、幅方向と直交する上下方向に延び、両方の端部521がそれぞれ幅方向内側に折り曲げられた形状を有する。ストッパ520a、520bは、両方の端部521が、それぞれ規制壁部81a及び規制壁部81bに対して若干の隙間(許容値に応じた、ごく僅かな隙間)を開けて、位置する。
【0112】
これにより、空間303にセンサホルダ11を収容しその上(幅方向外側)に弾性部材51Aを収容する際、ストッパ520aの折り曲げられた両方の端部521を、それぞれ、長手方向に延びる向かい合う壁部である規制壁部81a、81bに対して若干の隙間(許容値に応じた、ごく僅かな隙間)をあけて位置させることができるので、弾性部材51Aの上下方向における移動を規制することができる(若干の隙間ぶんしか移動しない)。同様に、ストッパ520bの折り曲げられた両方の端部521を、それぞれ、規制壁部81a、81bに対して若干の隙間(許容値に応じた、ごく僅かな隙間)をあけて位置させることができるので、弾性部材51Aの上下方向における移動を規制することができる(若干の隙間ぶんしか移動しない)。
【0113】
<文言の対応関係>
上述の実施形態において、電子制御装置940、駆動制御部941が処理装置に相当し、部位25が第1端部に相当し、部位26が第2端部に相当し、内底面202が内部空間の底面に相当する。直交係止部510a、510bが第1規制部に相当し、ストッパ520a、520bが第2規制部に相当し、規制壁部81a、81bが長手方向に延びる向かい合う壁部に相当する。
【0114】
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0115】
(1)上述の実施形態のドアハンドル装置1は、例えば、車両後方の荷物積み下ろし口(例えば、トランクルームのための開口部等)に設けられたバックドアに適用されてもよい。この場合、例えば、検出部10は、ドアハンドル装置1の長手方向の両端部のうちの少なくとも一方に設けられ得る。
【0116】
(2)上述の実施形態のドアハンドル装置1は、検出用凸部70の幅方向外側における面(すなわち、検出面110と接触する面)の面積が、検出面110の面積と同じか、又は検出面110の面積よりも小さくてもよい。また、検出用凸部70の長手方向の長さは、検出部10の長手方向の長さと同じか、又は検出部10の長手方向の長さよりも短くてもよい。
【0117】
(3)上述の実施形態のドアハンドル装置1では、各図面において検出部10における検出面110は平面として示されているが、本開示における検出面110は平面に限定されるものではない。例えば、検出部10の検出面110は、幅方向内側に向かって突出する凸状の面として形成されていてもよい。
【0118】
(4)上述の実施形態のドアハンドル装置1は、内ケース本体31に検出用凸部70を有していなくてもよい。この場合、内ケース本体31は、非主面200を含む部分(例えば、内ケース底部材39)に弾性を有する材料が用いられてもよい。
【0119】
(5)上述の実施形態のドアハンドル装置1は、格納部40に弾性部材51を有していなくてもよい。
(6)上述の実施形態の弾性部材51Aは、ストッパ520aの折り曲げられた両方の端部521を、弾性変形により折り曲げるようにし、規制壁部81a、81bに対して突っ張らせることで、弾性部材51Aの上下方向における移動を規制してもよい。
【0120】
(7)上述の実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上述の実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上述の実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上述の実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【0121】
[4.本明細書が開示する技術思想]
[項目1]
車両のドアの車室外側面に前記車室外側面との間に空間をおいて取り付けられ、主面(100)と非主面(200)とを含むドアハンドル装置(1、1A)であって、
前記主面は、当該ドアハンドル装置の幅方向外側の最外面を構成し、当該ドアハンドル装置が前記ドアに取り付けられた状態で車室外側に露出する面であり、前記非主面は、当該ドアハンドル装置の幅方向内側の最外面を構成し、当該ドアハンドル装置が前記ドアに取り付けられた状態で車室内側に露出する面であり、
当該ドアハンドル装置は、
前記主面が設けられる外ケース部(20)と、
前記非主面への接触を検出するための検出部(10)と、
前記外ケース部の前記幅方向内側に取り付けられ、前記幅方向内側の最外面に前記非主面が設けられる内ケース部(30)と、
を備え、
前記検出部は、作用する荷重に応じた接触情報を出力するように構成されている、ドアハンドル装置。
【0122】
[項目2]
項目1に記載のドアハンドル装置であって、
前記検出部は、前記非主面への接触に基づいて予め定められた処理を行うための処理装置に、前記接触情報を出力するように構成された、ドアハンドル装置。
【0123】
[項目3]
項目1又は項目2に記載のドアハンドル装置であって、
前記外ケース部は長手方向に延伸し、
前記内ケース部は、前記外ケース部の長手方向に沿って延伸し、前記外ケース部の長手方向の第1端部及び第2端部のうち前記第1端部側に前記検出部を配置する、ドアハンドル装置。
【0124】
[項目4]
項目3に記載のドアハンドル装置であって、
前記ドアは、前記車両の側面に設けられおり、
前記外ケース部の長手方向の前記第1端部は、当該ドアハンドル装置が前記ドアに取り付けられた状態における前記車両の後方側の端部である、ドアハンドル装置。
【0125】
[項目5]
項目1から項目4のいずれか一項に記載のドアハンドル装置であって、
前記検出部は、ピエゾ抵抗効果に基づく荷重センサである、ドアハンドル装置。
【0126】
[項目6]
項目1から項目5のいずれか一項に記載のドアハンドル装置であって、
前記内ケース部は、
前記検出部が配置されたセンサホルダ(11)と、
前記外ケース部の前記幅方向内側に取り付けられ、前記幅方向内側に延びる内部空間(301)を有し、前記内部空間の底面(202)の前記幅方向内側の面を前記非主面として有する内ケース本体(31)と、
前記内ケース本体の前記内部空間に配置され、前記検出部が前記内部空間の底面と対向するように前記センサホルダを格納する格納部(40)と、
を備え、
前記検出部は、前記センサホルダの前記幅方向内側の面に配置される、ドアハンドル装置。
【0127】
[項目7]
項目6に記載のドアハンドル装置であって、
前記内ケース本体は、前記内部空間の底面に、前記検出部と対向する検出対向部を含み、前記検出対向部は、前記非主面に荷重が加えられていない非把持状態において、前記検出部に接触している、ドアハンドル装置。
【0128】
[項目8]
項目7に記載のドアハンドル装置であって、
前記検出対向部は、前記検出部に向かって突出する形状を有する、ドアハンドル装置。
【0129】
[項目9]
項目7又は項目8に記載のドアハンドル装置であって、
前記格納部は、前記非主面に加わる荷重に応じて弾性変形する弾性部材を更に有し、
前記弾性部材は、前記検出対向部と前記検出部との接触が保たれるように、前記非主面に加わる荷重と弾性力とを平衡させることによって、前記非主面に荷重が加わると前記センサホルダを荷重が加わる向きである幅方向外側に移動させ、前記非主面に加わる荷重が減少すると前記センサホルダを前記荷重が加わる向きとは反対の向きである前記幅方向内側に移動させる、ドアハンドル装置。
【0130】
[項目10]
項目1から項目8のいずれか一項に記載のドアハンドル装置であって、
前記非主面に作用する荷重に応じて弾性変形する弾性部材を更に有し、
前記弾性部材は、前記非主面に荷重が作用すると、前記非主面の裏面(202)側と前記検出部との接触が保たれる方向に付勢する弾性力を発生させるように構成されている、ドアハンドル装置。
【0131】
[項目11]
項目10に記載のドアハンドル装置(1A)であって、
前記検出部は、幅方向において、前記非主面の裏面と前記弾性部材との間に配置され、
前記弾性部材は、長手方向に延びるU字状の形状を有する金属製の板状部材であり、前記弾性部材の移動を長手方向において規制するための第1規制部、及び、前記弾性部材の移動を当該ドアハンドル装置が前記車両に取り付けられたときの上下方向において規制するための第2規制部のうち少なくとも一方を備える、ドアハンドル装置。
【0132】
[項目12]
項目11に記載のドアハンドル装置であって、
前記第1規制部(510a、510b)は、前記弾性部材の長手方向における少なくとも一方の端部に設けられ、上下方向に延びる形状を有し、
前記内ケース部は、それぞれ切り欠き部が設けられた、長手方向に延びる向かい合う壁部を有し、
前記第1規制部の両端を、それぞれ、前記長手方向に延びる向かい合う壁部に設けられた前記切り欠き部に係止することで、前記弾性部材の長手方向における移動を規制する、ドアハンドル装置。
【0133】
[項目13]
項目11又は項目12に記載のドアハンドル装置であって、
前記第2規制部(520a、520b)は、幅方向と直交する上下方向に延び、両端がそれぞれ幅方向内側に折り曲げられた形状を有し、
前記内ケース部は、長手方向に延びる向かい合う壁部を有し、
前記第2規制部の折り曲げられた前記端部は、前記長手方向に延びる向かい合う壁部に対する前記弾性部材の上下方向における移動を規制する、ドアハンドル装置。
【符号の説明】
【0134】
1…ドアハンドル装置、9…ドア、10…検出部、20…外ケース部、30…内ケース部、100…主面、200…非主面。