(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116104
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】電気化学反応装置
(51)【国際特許分類】
B01J 19/26 20060101AFI20240820BHJP
B01J 19/08 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
B01J19/26
B01J19/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024020668
(22)【出願日】2024-02-14
(31)【優先権主張番号】10-2023-0020224
(32)【優先日】2023-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】524059537
【氏名又は名称】シーエスピ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CSP Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】57, Masan 6-ro, Jinwi-myeon, Pyeongtaek-si, Gyeonggi-do 17716, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】カン ムンシク
(72)【発明者】
【氏名】キム ヒョンシン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン デホ
(72)【発明者】
【氏名】キム ジンボム
【テーマコード(参考)】
4G075
【Fターム(参考)】
4G075AA03
4G075AA13
4G075AA23
4G075BA10
4G075BD10
4G075CA20
4G075DA02
4G075EB01
4G075EC01
4G075EC13
4G075EC21
4G075FA08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】反応炉の内部で電気化学反応によって生成される生成物の収率を高めることができる電気化学反応装置を提供する。
【解決手段】反応炉100と、第1反応物タンク200に貯蔵された第1反応物を前記反応炉100に供給する第1反応物供給流路210と、第2反応物タンク300に貯蔵された第2反応物を反応炉100に供給する第2反応物供給流路と、反応炉100の内部の混合溶液に電気を加えて混合溶液を反応させて生成物を生成する電極部と、電極部に電源を印加する電源部550と、反応炉100の内部で生成された生成物を生成物タンクに排出する生成物排出流路710と、反応炉100の内部の混合溶液が反応炉100の内部で滞留しないように、混合溶液を反応炉100の外部に排出した後、再び反応炉100の内部に流れて混合溶液を循環させる循環部800と、を備える電気化学反応装置である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応炉と、
第1反応物タンクに貯蔵された第1反応物を前記反応炉に供給する第1反応物供給流路と、
第2反応物タンクに貯蔵された第2反応物を前記反応炉に供給する第2反応物供給流路と、
前記反応炉の内部の混合溶液に電気を加えて前記混合溶液を反応させて生成物を生成する電極部と、
前記電極部に電源を印加する電源部と、
前記反応炉の内部で生成された生成物を生成物タンクに排出する生成物排出流路と、
前記反応炉の内部の混合溶液が前記反応炉の内部で滞留しないように、前記混合溶液を前記反応炉の外部に排出した後、再び前記反応炉の内部に流れて前記混合溶液を循環させる循環部と、を備える電気化学反応装置。
【請求項2】
前記循環部は、
前記反応炉の上部に位置する分岐部と、
前記反応炉の下部と前記分岐部とを連通させる第1循環流路と、
前記分岐部と前記反応炉とを連通させる複数の第2循環流路と、
前記第1循環流路上に設けられ、前記反応炉の内部の混合溶液を前記第1循環流路、前記分岐部および前記複数の第2循環流路の順に循環させて前記反応炉の内部に流す循環ポンプと、を含む請求項1に記載の電気化学反応装置。
【請求項3】
前記反応炉の上面を閉鎖する反応炉蓋と、
前記反応炉蓋の上面と下面を貫通して形成される複数の循環注入口と、をさらに含み、
前記複数の第2循環流路のそれぞれは、前記複数の循環注入口のそれぞれに連通している請求項2に記載の電気化学反応装置。
【請求項4】
前記循環部は、前記反応炉蓋の下部に配置され、前記複数の第2循環流路と連通し、それぞれの下面に前記循環した混合溶液が噴射される複数の噴射口が設けられた複数の噴射ノズルをさらに含む請求項3に記載の電気化学反応装置。
【請求項5】
前記循環部は、前記噴射ノズルの噴射圧力を調整する圧力調整部をさらに含む請求項4に記載の電気化学反応装置。
【請求項6】
前記電極部は、
複数の第1電極と、
前記複数の第1電極と交互に配置される複数の第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極とが互いに接触しないように前記第1電極と前記第2電極との間に介在する複数のワッシャと、を含む請求項1に記載の電気化学反応装置。
【請求項7】
前記反応炉は円形断面を有し、
前記複数の第1電極のうち少なくともいずれかと前記複数の第2電極のうち少なくともいずれかは互いに異なる幅を有し、前記電極部の中央領域の第1電極および第2電極の幅が最も長く、前記電極部の左側および右側に行くほど前記電極部の第1電極および前記第2電極の幅が短くなるように形成される請求項6に記載の電気化学反応装置。
【請求項8】
前記第1電極の上部には上方向に突出する中央突出部が設けられ、
前記第2電極の上部には上方向に突出する前方突出部および後方突出部が設けられ、
前記中央突出部および前記前方突出部および後方突出部が互いに重なり合わないように、前記前方突出部および後方突出部は前記中央突出部が形成されていない領域に形成され、
前記ワッシャは前記中央突出部と前記前方突出部および後方突出部との間に介在され、
前記中央突出部に設けられた中央突出部穴および前記ワッシャに設けられた中央ワッシャ穴には第1締結棒が挿入され、前記前方突出部に設けられた前方突出部穴および前記ワッシャに設けられた前方ワッシャ穴には第2締結棒が挿入され、前記後方突出部に設けられた後方突出部穴および前記ワッシャに設けられた後方ワッシャ穴には第3締結棒が挿入され、前記第1電極の下部に設けられた第1電極下部穴と前記第2電極の下部に設けられた第2電極下部穴には第4締結棒が挿入され、前記ワッシャと前記第1電極および前記第2電極とが互いに締結される請求項6に記載の電気化学反応装置。
【請求項9】
前記電源部は、前記第1締結棒を介して前記第1電極に(+)極を印加し、前記第2締結棒を介して前記第2電極に(-)極を印加する請求項8に記載の電気化学反応装置。
【請求項10】
前記電極部は、
複数の第1電極と、
前記複数の第1電極と交互に配置される複数の第2電極と、
前記第1電極および前記第2電極に電源を印加する電源部と、を含み、前記複数の第1電極と前記複数の第2電極とは、上下方向に相対移動する請求項1に記載の電気化学反応装置。
【請求項11】
前記電極部は、
複数の第1電極と、
前記複数の第1電極と交互に配置される複数の第2電極と、
前記第1電極および前記第2電極に電源を印加する電源部と、を含み、
前記複数の第1電極と前記複数の第2電極とは、前記複数の第1電極および前記複数の第2電極のうち少なくともいずれかが前記反応炉の中心点を軸にして回動されて前記複数の第1電極と前記複数の第2電極とが相対移動する請求項1に記載の電気化学反応装置。
【請求項12】
前記電極部は、
複数の第1電極と、
前記複数の第1電極と交互に配置される複数の第2電極と、を含み、
前記第1電極には複数の電極噴射口が設けられ、前記循環部が前記第1電極に連通し、前記循環部を介して循環した混合溶液が前記複数の電極噴射口を介して前記反応炉の内部に噴射される請求項1に記載の電気化学反応装置。
【請求項13】
前記循環部は、
前記反応炉の上部に位置する分岐部と、
前記反応炉の下部と前記分岐部とを連通させる第1循環流路と、
前記分岐部と前記反応炉とを連通させる複数の第2循環流路と、
前記電極部の第1電極および第2電極の上部に位置し、前記第2循環流路と連通し、下面に前記循環した混合溶液が噴射される複数の噴射口が設けられ、上下方向と垂直な方向に長手方向を有する板状に形成された複数の噴射ノズルと、を含む請求項1に記載の電気化学反応装置。
【請求項14】
前記循環部は、
前記反応炉の上部に位置する分岐部と、
前記反応炉の下部と前記分岐部とを連通させる第1循環流路と、
前記分岐部と前記反応炉とを連通させる複数の第2循環流路と、
前記電極部の第1電極と第2電極との間に位置し、前記第2循環流路と連通し、上下方向に長手方向を有する板状に形成され、前記第1電極および前記第2電極の表面に前記循環した混合溶液が噴射されるように、前記第1電極および前記第2電極と対向する両側面に複数の噴射口が設けられた複数の噴射ノズルと、を含む請求項1に記載の電気化学反応装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応炉の内部の混合溶液に電極部を用いた電気化学反応をして生成物を生成する電気化学反応装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気化学反応装置は、反応炉に反応物を入れ、反応物の混合溶液に電気を加えて生成物を生成する装置である。
【0003】
一般に知られている電気化学反応装置としては、フッ素化合物を製造する、ECF(電気化学的フッ素化法、Electro Chemical Fluorination)装置がある。このようなECF装置は、反応炉に反応物と無水フッ化水素液体とを混合した後、電極部を介して電気を加えてフッ素化合物を生成する。
【0004】
電気化学反応装置は、電極部を介して反応炉の混合溶液に電気を加え、生成物は電極部の電極表面に生成される。
【0005】
このように、生成物が電極部の電極表面に生成されるので、生成物の収率は電極部の面積に比例する。
【0006】
従来の電気化学反応装置の場合、反応炉の形状が円筒形になっており、反応炉の内部に広い面積の電極を設けることが困難であり、生成物の収率が低いという問題点がある。
【0007】
また、反応炉の内部に混合溶液を混合させる攪拌機が設けられているので、反応炉の内部に電極部を配置すべき領域に制限があり、生成物の収率を高めにくい問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国登録特許第10-0281587号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記問題を解決するために構想したものであり、反応炉の内部で電気化学反応によって生成される生成物の収率を高めることができる電気化学反応装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一特徴による電気化学反応装置は、反応炉と、第1反応物タンクに貯蔵された第1反応物を前記反応炉に供給する第1反応物供給流路と、第2反応物タンクに貯蔵された第2反応物を前記反応炉に供給する第2反応物供給流路と、前記反応炉の内部の混合溶液に電気を加えて前記混合溶液を反応させて生成物を生成する電極部と、前記電極部に電源を印加する電源部と、前記反応炉の内部で生成された生成物を生成物タンクに排出する生成物排出流路と、前記反応炉の内部の混合溶液が前記反応炉の内部で滞留しないように、前記混合溶液を前記反応炉の外部に排出した後、再び前記反応炉の内部に流れて前記混合溶液を循環させる循環部と、を備える。
【0011】
また、前記循環部は、前記反応炉の上部に位置する分岐部と、前記反応炉の下部と前記分岐部とを連通させる第1循環流路と、前記分岐部と前記反応炉とを連通させる複数の第2循環流路と、前記第1循環流路上に設けられ、前記反応炉の内部の混合溶液を前記第1循環流路、前記分岐部および前記複数の第2循環流路の順に循環させて前記反応炉の内部に流す循環ポンプと、を含む。
【0012】
また、前記反応炉の上面を閉鎖する反応炉蓋と、前記反応炉蓋の上面と下面を貫通して形成される複数の循環注入口と、をさらに含み、前記複数の第2循環流路のそれぞれは、前記複数の循環注入口のそれぞれに連通している。
【0013】
また、前記循環部は、前記反応炉蓋の下部に配置され、前記複数の第2循環流路と連通し、それぞれの下面に前記循環した混合溶液が噴射される複数の噴射口が設けられた複数の噴射ノズルをさらに含む。
【0014】
また、前記循環部は、前記噴射ノズルの噴射圧力を調整する圧力調整部をさらに含む。
【0015】
また、前記電極部は、複数の第1電極と、前記複数の第1電極と交互に配置される複数の第2電極と、前記第1電極と前記第2電極とが互いに接触しないように前記第1電極と前記第2電極との間に介在する複数のワッシャと、を含む。
【0016】
また、前記反応炉は円形断面を有し、前記複数の第1電極のうち少なくともいずれかと前記複数の第2電極のうち少なくともいずれかは互いに異なる幅を有し、前記電極部の中央領域の第1電極および第2電極の幅が最も長く、前記電極部の左側および右側に行くほど前記電極部の第1電極および前記第2電極の幅が短くなるように形成される。
【0017】
また、前記第1電極の上部には上方向に突出する中央突出部が設けられ、前記第2電極の上部には上方向に突出する前方突出部および後方突出部が設けられ、前記中央突出部および前記前方突出部および後方突出部が互いに重なり合わないように、前記前方突出部および後方突出部は前記中央突出部が形成されていない領域に形成され、前記ワッシャは前記中央突出部と前記前方突出部および後方突出部との間に介在され、前記中央突出部に設けられた中央突出部穴および前記ワッシャに設けられた中央ワッシャ穴には第1締結棒が挿入され、前記前方突出部に設けられた前方突出部穴および前記ワッシャに設けられた前方ワッシャ穴には第2締結棒が挿入され、前記後方突出部に設けられた後方突出部穴および前記ワッシャに設けられた後方ワッシャ穴には第3締結棒が挿入され、前記第1電極の下部に設けられた第1電極下部穴と前記第2電極の下部に設けられた第2電極下部穴には第4締結棒が挿入され、前記ワッシャと前記第1電極および前記第2電極とが互いに締結される。
【0018】
また、前記電源部は、前記第1締結棒を介して前記第1電極に(+)極を印加し、前記第2締結棒を介して前記第2電極に(-)極を印加する。
【0019】
また、前記電極部は、複数の第1電極と、前記複数の第1電極と交互に配置される複数の第2電極と、前記第1電極および前記第2電極に電源を印加する電源部と、を含み、前記複数の第1電極と前記複数の第2電極とは、上下方向に相対移動する。
【0020】
また、前記電極部は、複数の第1電極と、前記複数の第1電極と交互に配置される複数の第2電極と、前記第1電極および前記第2電極に電源を印加する電源部と、を含み、前記複数の第1電極と前記複数の第2電極とは、前記複数の第1電極および前記複数の第2電極のうち少なくともいずれかが前記反応炉の中心点を軸にして回動されて前記複数の第1電極と前記複数の第2電極とが相対移動する。
【0021】
また、前記電極部は、複数の第1電極と、前記複数の第1電極と交互に配置される複数の第2電極と、を含み、前記第1電極には複数の電極噴射口が設けられ、前記循環部が前記第1電極に連通し、前記循環部を介して循環した混合溶液が前記複数の電極噴射口を介して前記反応炉の内部に噴射される。
【0022】
また、前記循環部は、前記反応炉の上部に位置する分岐部と、前記反応炉の下部と前記分岐部とを連通させる第1循環流路と、前記分岐部と前記反応炉とを連通させる複数の第2循環流路と、前記電極部の第1電極および第2電極の上部に位置し、前記第2循環流路と連通し、下面に前記循環した混合溶液が噴射される複数の噴射口が設けられ、上下方向と垂直な方向に長手方向を有する板状に形成された複数の噴射ノズルと、を含む。
【0023】
また、前記循環部は、前記反応炉の上部に位置する分岐部と、前記反応炉の下部と前記分岐部とを連通させる第1循環流路と、前記分岐部と前記反応炉とを連通させる複数の第2循環流路と、前記電極部の第1電極と第2電極との間に位置し、前記第2循環流路と連通し、上下方向に長手方向を有する板状に形成され、前記第1電極および前記第2電極の表面に前記循環した混合溶液が噴射されるように、前記第1電極および前記第2電極と対向する両側面に複数の噴射口が設けられた複数の噴射ノズルと、を含む。
【発明の効果】
【0024】
以上のような本発明の電気化学反応装置によれば、次のような効果がある。
【0025】
反応炉の内部に別途の攪拌機がなくても、循環部によって循環される混合溶液の噴射圧で反応炉の内部の混合溶液の流れを発生させることができる。したがって、反応炉の内部に第1電極および第2電極が位置する空間がより多く確保されて生成物の収率を高めることができる。
【0026】
第1電極および第2電極の形状を反応炉の形状に対応するように形成することによって、第1電極および第2電極の広い面積を確保することができ、生成物の収率を高めることができる。
【0027】
第1電極および第2電極を相対移動させることによって、電気化学反応によって発生する第1電極および第2電極間に残存するガスを除去することができる。したがって、ガスによって爆発の発生を未然に防止することができる。
【0028】
電極部の上部に循環溶液が噴射される噴射ノズルが設けられ、連続的に混合溶液を供給するので、生成物の収率が高くなる。
【0029】
第1電極および第2電極の表面方向に混合溶液が噴射されるので、生成物の収率が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図3】本発明の電気化学反応装置の反応炉と循環部を拡大した正面図である。
【
図5】本発明の電気化学反応装置の反応炉の反応炉蓋の平面図である。
【
図6】本発明の電気化学反応装置の流路を概略的に示す概略図である。
【
図7】本発明の電気化学反応装置の電極部を示す平面図である。
【
図9】本発明の電気化学反応装置の第1変形例による電極部が反応炉の内部に設けられていることを示す正面図である。
【
図10】
図9の第1電極および第2電極が相対移動したことを示す正面図である。
【
図11】本発明の電気化学反応装置の第2変形例による電極部が反応炉の内部に設けられたことを示す平面図である。
【
図12】
図11の第1電極および第2電極が相対移動したことを示す正面図である。
【
図13】本発明の電気化学反応装置の第3変形例による電極部が反応炉の内部に設けられたことを示す正面図である。
【
図14】本発明の電気化学反応装置の第4変形例による電極部が反応炉の内部に設けられたことを示す平面図である。
【
図15】本発明の電気化学反応装置の第1変形例による噴射ノズルが反応炉の内部に設けられたことを示す平面図である。
【
図16】本発明の電気化学反応装置の第2変形例による噴射ノズルが反応炉の内部に設けられたことを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。本発明の利点および特徴、並びにそれらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に後述する実施形態を参照することによって明らかになるであろう。しかし、本発明は、ここで説明する実施形態に限定されず、異なる形態で具体化されてもよい。むしろ、ここで紹介される実施形態は開示された内容が徹底的かつ完全になり得るように、そして当業者に本発明の精神が十分に伝えられるようにするために提供され、本発明は特許請求の範囲によって定義されるだけである。明細書全体において、同一の参照符号は同一の構成要素を指す。
【0032】
本明細書で使用される用語は実施形態を説明するためのものであり、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書において、単数形は文脈で特に言及しない限り複数形も含む。明細書で使用される「含む(comprises)」および/または「含み(comprising)」は、言及された構成要素、ステップ、動作および/または素子は1つ以上の他の構成要素、ステップ、動作および/または素子の存在または追加を除外しない。
【0033】
また、好ましい実施形態によるものであるため、説明の順序に従って示される参照符号は、その順序に必ずしも限定されない。
【0034】
また、本明細書に記載の実施形態は、本発明の理想的な例示図である断面図および/または平面図を参照して説明される。図面において、膜および領域の厚さは技術的内容の効果的な説明のために誇張されている。したがって、製造技術および/または許容誤差などによって例示図の形態を変更することができる。したがって、本発明の実施形態は、図示された特定の形態に限定されるのではなく、製造工程に従って生成される形態の変化も含む。したがって、図面に例示されている領域は概略的な属性を有し、図面に例示された領域の形状は、素子の領域の特定の形態を例示するためのものであり、発明の範囲を限定するためのものでない。
【0035】
様々な実施形態を説明するにあたり、実施形態が異なっても同じ機能を実行する構成要素については、便宜上同じ名称および同じ参照符号を付与する。また、既に他の実施形態で説明した構成および作動については便宜上省略する。
【0036】
以下、
図1~
図8を参照して、本発明の電気化学反応装置10について説明する。
【0037】
図1は本発明の電気化学反応装置の正面図、
図2は
図1の側面図、
図3は本発明の電気化学反応装置の反応炉と循環部を拡大した正面図、
図4は
図3の側面図、
図5は本発明の電気化学反応装置の反応炉の反応炉蓋の平面図、
図6は本発明の電気化学反応装置の流路を概略的に示す概略図、
図7は本発明の電気化学反応装置の電極部を示す平面図、
図8は
図7の斜視図である。
【0038】
図1~
図8に示すように、本発明の電気化学反応装置10は、反応炉100と、第1反応物が貯蔵される第1反応物タンク200と、第1反応物タンク200に貯蔵された第1反応物を反応炉100に供給する第1反応物供給流路210と、第2反応物が貯蔵された第2反応物タンク300と、第2反応物タンク300に貯蔵された第2反応物を反応炉100に供給する第2反応物供給流路310と、反応炉100にパージガスを供給するパージガス供給流路400と、反応炉100の内部の混合溶液を電気的に合成してフッ素化合物を生成させる電極部500と、反応炉100で気化する第1反応物または第2反応物を凝縮して回収する凝縮器600と、反応炉100の内部で生成された生成物が貯蔵される生成物タンク700と、反応炉100の内部で生成された生成物を生成物タンク700に排出する生成物排出流路710と、反応炉100の内部の混合溶液が反応炉100の内部で滞留しないように、混合溶液を反応炉100の外部に排出した後、再び反応炉100の内部に流れて混合溶液を循環させる循環部800と、電極部500に電源を印加する電源部550と、を備えて構成することができる。
【0039】
第1反応物タンク200および第2反応物タンク300
以下、第1反応物タンク200および第2反応物タンク300について説明する。
【0040】
第1反応物タンク200には第1反応物が貯蔵される。
【0041】
第1反応物供給流路210は、第1反応物タンク200と反応炉100とを連通させる。詳細には、第1反応物供給流路210の一端は第1反応物タンク200に連通し、他端は反応炉100の反応炉蓋110に設けられた第1反応物供給口111に連通する。この場合、第1反応物供給口111は反応炉蓋110の上下面を貫通して形成される。
【0042】
第1ポンプ(不図示)は第1反応物供給流路210上に設けられる。
【0043】
第1ポンプのポンピングによって第1反応物を反応炉100に容易に流動させるために、第1反応物を第1反応物タンク200の内部に液体化して貯蔵することが好ましい。
【0044】
液体化された第1反応物は、第1ポンプのポンピングによって第1反応物供給流路210に沿って第1反応物タンク200から反応炉100の内部に流れる。
【0045】
液体化された第1反応物は、第1反応物供給口111を介して反応炉100の内部に供給されるので、反応炉100の上部から下方向に供給される。
【0046】
上記とは異なって、第1反応物が液化状態ではなく気体状態である場合、第1反応物供給流路210上に別のポンプを設けなくてもよい。この場合、気体化された第1反応物による第1反応物タンク200の内部の圧力のみで、第1反応物タンク200の内部の第1反応物が第1反応物供給流路210を介して反応炉100の内部に流れることができる。
【0047】
第1反応物タンク200に貯蔵された第1反応物が気体の場合、第1反応物が反応炉100に供給された後、パージガス供給流路400を介してパージガスが反応炉100に流れることができる。その後、反応炉100に設けられた反応炉冷却部130を介して、反応炉100の内部の第1反応物を冷却することによって、第1反応物を液化させる。液化した第1反応物は、電極部500を介して弱い電圧が印加されて水分を除去することができる。
【0048】
第2反応物タンク300には第2反応物が貯蔵される。
【0049】
第2反応物供給流路310は、第2反応物タンク300と反応炉100とを連通させる。詳細には、第2反応物供給流路310の一端は第2反応物タンク300に連通し、他端は反応炉100の側面に設けられた第2反応物供給口117に連通する。
【0050】
第2ポンプ320は第2反応物供給流路310上に設けられている。
【0051】
第2ポンプ320のポンピングによって第2反応物が反応炉100に容易に流れるように、第2反応物は第2反応物タンク300の内部に液体化して貯蔵されることが好ましい。
【0052】
液体化された第2反応物は、第2ポンプ320のポンピングによって第2反応物供給流路310に沿って第2反応物タンク300から反応炉100の内部に流れる。
【0053】
液体化された第2反応物は、反応炉100の側面に設けられた第2反応物供給口117を介して反応炉100の内部に供給されるので、反応炉100の一方側から他方側の方向に供給される。
【0054】
上記とは異なって、第2反応物が液化状態ではなく気体状態である場合、第2反応物供給流路310上に別のポンプを設けなくてもよい。この場合、気体化された第2反応物による第2反応物タンク300の内部の圧力のみで、第2反応物タンク300の内部の第2反応物が第2反応物供給流路310を介して反応炉100の内部に流れることができる。
【0055】
第2反応物タンク300に貯蔵された第2反応物が気体の場合、第2反応物が反応炉100に供給された後、パージガス供給流路400を介してパージガスが反応炉100に流れることができる。その後、反応炉100に設けられた反応炉冷却部130を介して、反応炉100の内部の第2反応物を冷却することによって、第2反応物を液化させる。液化した第2反応物は、電極部500を介して弱い電圧が印加されて水分を除去することができる。
【0056】
反応炉100
以下、反応炉100について説明する。
【0057】
反応炉100は、混合溶液が電気的に反応して合成される空間を提供する機能を有する。
【0058】
反応炉100は、第1反応物供給流路210によって第1反応物タンク200と連通する。
【0059】
反応炉100は、第2反応物供給流路310によって第2反応物タンク300と連通する。
【0060】
反応炉100は、凝縮器排出流路610および凝縮器回収流路620によって凝縮器600と連通する。
【0061】
反応炉100の内部の混合溶液は、第1循環流路820、分岐部810および第2循環流路830によって反応炉100の外部に搬出された後、再び反応炉100の内部に流入して循環する。
【0062】
反応炉100の内部には電極部500が設けられている。
【0063】
反応炉100は、生成物排出流路710によって生成物タンク700と連通する。
【0064】
反応炉100の上部には反応炉蓋110が設けられている。
【0065】
反応炉100の上部は反応炉蓋110によって閉鎖される。
【0066】
反応炉蓋110には、第1反応物供給口111、パージガス供給口112、凝縮器排出口113、凝縮器回収口114、複数の循環注入口115が設けられている。
【0067】
第1反応物供給口111、パージガス供給口112、凝縮器排出口113、凝縮器回収口114、複数の循環注入口115は、反応炉蓋110の上下面を貫通することによって形成される。
【0068】
反応炉100の側面には第2反応物供給口117が設けられている。第2反応物供給口117には第2反応物供給流路310が連通する。
【0069】
反応炉100の後面には、反応炉冷却部排出口131および反応炉冷却部回収口132が設けられている。
【0070】
反応炉冷却部排出流路136の一端は反応炉冷却部排出口131と連通し、反応炉冷却部排出流路136の他端は反応炉冷却部130と連通する。
【0071】
反応炉冷却部回収流路137の一端は反応炉冷却部回収口132と連通し、反応炉冷却部回収流路137の他端は反応炉冷却部130と連通する。
【0072】
反応炉冷却部排出流路136には、反応炉冷却部排出流路136を開閉する冷却部バルブ(不図示)が設けられている。冷却部バルブが開放されると、反応炉100の内部の気体状態の第1反応物または第2反応物は、反応炉冷却部排出流路136を介して反応炉冷却部130に流動した後、冷却して液体化される。その後、液体化された第1反応物または第2反応物は、反応炉冷却部回収流路137を介して再び反応炉100に回収される。
【0073】
反応炉100の下部、すなわち、反応炉100の底部には循環部排出口141および生成物排出口151が設けられている。
【0074】
循環部排出口141は、循環部800の第1循環流路820と連通する。
【0075】
生成物排出口151には生成物排出流路710が連通する。したがって、生成物排出口151および生成物排出流路710を介して生成物が生成物タンク700に貯蔵される。
【0076】
反応炉100にはレベルゲージ160が設けられ、レベルゲージ160は反応炉100の内部の混合溶液の量をチェックする機能を有する。
【0077】
パージガス供給流路400および凝縮器600
以下、パージガス供給流路400および凝縮器600について説明する。
【0078】
パージガス供給流路400は、外部パージガス供給源から供給されるパージガスを反応炉100に流す機能を有する。この場合、パージガス供給流路400は、反応炉100の反応炉蓋110の上下面を貫通して形成されて設けられたパージガス供給口112に連通する。
【0079】
凝縮器600は、反応炉100の内部で気化した材料を液化させて回収する機能を有する。
【0080】
反応炉100の内部の第1反応物または第2反応物が気化すると、反応炉蓋110に設けられた凝縮器排出口113と凝縮器排出口113と連通する凝縮器排出流路610を介して気化した第1反応物または気化した第2反応物が凝縮器600の内部に流れる。その後、凝縮器600の冷却部を介して冷却され液化した第1反応物または第2反応物は、凝縮器回収流路620および凝縮器回収口114を介して凝縮器600から反応炉100に回収され、残りの気体として残っている第1反応物または第2反応物は、凝縮器600と連通した凝縮器ガス排出部(不図示)に排出される。
【0081】
循環部800
以下、循環部800について説明する。
【0082】
循環部800は、反応炉100の内部の混合溶液を反応炉100の外部に排出した後、再び反応炉100に流す機能を有する。
【0083】
循環部800は、反応炉100の上部に位置する分岐部810と、反応炉100の下部と分岐部810とを連通させる第1循環流路820と、分岐部810と反応炉100とを連通させる複数の第2循環流路830と、第1循環流路820上に設けられ、反応炉100の内部の混合溶液を第1循環流路820、分岐部810および複数の第2循環流路830の順に循環させて反応炉100の内部に流す循環ポンプ840と、反応炉蓋110の下部に配置され、複数の第2循環流路830と連通し、それぞれの下面に循環した混合溶液が噴射される複数の噴射口851が設けられた複数の噴射ノズル850を含んで構成することができる。
【0084】
分岐部810は、反応炉100の上部に位置し、第1循環流路820を複数の第2循環流路830に分岐させるハブ機能を有する。
【0085】
第1循環流路820は分岐部810の上部に連通する。
【0086】
本発明では、一例として、複数の第2循環流路830が5つで構成されている。この場合、複数の第2循環流路830は、分岐部810の前方、後方、左側、右側、下部それぞれに連通する。
【0087】
第1循環流路820は、一端が反応炉100の下部、すなわち、反応炉100の底部に形成された循環部排出口141に連通し、他端が分岐部810の上部に連通する。
【0088】
複数の第2循環流路830のそれぞれの一端は分岐部810の前方、後方、左側、右側、下部に連通し、複数の第2循環流路830のそれぞれの他端は反応炉蓋110に設けられた複数の循環注入口115をそれぞれに連通する。
【0089】
複数の第2循環流路830の他端のそれぞれは、複数の噴射ノズル850のそれぞれと連通する。
【0090】
複数の循環注入口115は、複数の第2循環流路830の他端のそれぞれと複数の噴射ノズル850のそれぞれとを連通させる。
【0091】
これとは異なり、複数の第2循環流路830の他端のそれぞれは、複数の噴射ノズル850のそれぞれに直接連通し、複数の第2循環流路830のそれぞれと複数の噴射ノズル850のそれぞれが連通する領域は複数の循環注入口115内に位置してもよい。
【0092】
複数の噴射ノズル850のそれぞれの下面には複数の噴射口851が設けられている。
【0093】
複数の噴射ノズル850は、電極部500の第1電極510および第2電極520の上部に位置する。
【0094】
循環ポンプ840が作動すると、反応炉100の内部の混合溶液が反応炉100の底部の循環部排出口141に排出され、第1循環流路820を介して分岐部810に流れる。
【0095】
分岐部810に流れた混合溶液は、分岐部810によって分岐され、複数の第2循環流路830を介して複数の噴射ノズル850に流れる。
【0096】
複数の噴射ノズル850に流れた循環溶液は、複数の噴射口851を介して反応炉100の内部に噴射される。この場合、噴射された混合溶液は、第1電極510および第2電極520の上部から噴射される。
【0097】
上記のように、循環部800を介して混合溶液が循環して反応炉100の内部に再び噴射されるので、反応炉100の内部の混合溶液は滞留せず、連続的に流動するようになる。したがって、別途の攪拌機がなくても、混合溶液の流れが発生し、これにより混合溶液の電気的反応を容易に行うことができる。
【0098】
圧力調整部(不図示)は、噴射ノズル850の噴射圧力を調整する機能を有する。
【0099】
このような圧力調整部を介して、噴射ノズル850から噴射される混合溶液の圧力を高めることによって、反応炉100の内部の混合溶液の流れの強度を調整することができる。すなわち、混合溶液の滞留によって電気的反応による合成効率が低下した場合、噴射ノズル850から噴射される混合溶液の圧力を高め、反応炉100の内部の混合溶液の流動を大きくすることによって、混合溶液の電気的反応による合成をさらに促進することができる。
【0100】
電極部500
以下、
図1および
図6~
図8を参照して電極部500について説明する。
【0101】
電極部500は反応炉100の内部に設けられる。
【0102】
電極部500は、複数の第1電極510と、複数の第1電極510と交互に配置される複数の第2電極520と、第1電極510と第2電極520とが互いに接触しないように、複数の第1電極510と複数の第2電極520それぞれとの間に介在する複数のワッシャ530を含んで構成することができる。
【0103】
第1電極510には電源部550によって(+)極が印加される。
【0104】
第2電極520には電源部550によって(-)極が印加される。
【0105】
第1電極510と第2電極520は複数個設けられ、第1電極510と第2電極520は互いに交互に配置される。
【0106】
第1電極510と第2電極520は板状の形状を有する。
【0107】
本発明では、第1電極510と第2電極520は、上下方向に長手方向を有し、前後方向に幅を有し、左右方向に厚さを有する。
【0108】
すなわち、第1電極510および第2電極520の上下方向の長さは、第1電極510および第2電極520の左右方向の長さよりも長く形成される。
【0109】
第1電極510の上部には中央突出部511が設けられている。
【0110】
中央突出部511は、第1電極510の中央から上方向に突出する。
【0111】
中央突出部511の幅は、第1電極510の幅より小さく形成される。
【0112】
中央突出部511には2つの中央突出部穴(図面符号未表示)が設けられている。
【0113】
第1電極510の下部には2つの第1電極下部穴(図面符号未表示)が設けられている。
【0114】
第2電極520の上部には前方突出部521および後方突出部522が設けられている。
【0115】
前方突出部521は第2電極520の前方から上方向に突出し、後方突出部522は第2電極520の後方から上方向に突出する。
【0116】
前方突出部521および後方突出部522の幅は第2電極520の幅より小さく形成される。
【0117】
前方突出部521および後方突出部522は、第1電極510の中央突出部511が形成されていない領域に形成される。したがって、中央突出部511、前方突出部521および後方突出部522は互いに重なり合わない。この場合、前方突出部521、後方突出部522および中央突出部511の幅を合わせると、第1電極510の幅または第2電極520の幅と同じである。
【0118】
中央突出部511、前方突出部521、後方突出部522のそれぞれの上下方向の突出長さは同じである。
【0119】
前方突出部521には前方突出部穴(図面符号未表示)が設けられ、後方突出部522には後方突出部穴(図面符号未表示)が設けられている。
【0120】
第2電極520の下部には、2つの第2電極下部穴(図面符号未表示)が設けられている。この場合、第2電極下部穴は第1電極下部穴に対応する位置に形成される。
【0121】
第1電極510と第2電極520は、左右方向に互いに交互に配置される。この場合、第1電極510と第2電極520との間にはワッシャ530が介在する。
【0122】
ワッシャ530は、第1電極510と第2電極520との間に介在して第1電極510と第2電極520が互いに接触しないようにする機能を有する。
【0123】
ワッシャ530は、非導電性材料からなり、第1電極510および第2電極520が接触してショートが発生するのを防止する。
【0124】
ワッシャ530は、第1電極510および第2電極520と同じ幅を有するが、上下方向の長さはより小さく形成される。
【0125】
ワッシャ530は、第1電極510の中央突出部511と第2電極520の前方突出部521および後方突出部522との間に介在する。
【0126】
ワッシャ530は複数個設けられる。
【0127】
ワッシャ530の上下方向の長さは、中央突出部511、前方突出部521および後方突出部522の上下方向の突出長さと同じである。
【0128】
上部のワッシャ530には、2つの中央突出部穴と対応する位置に2つの中央ワッシャ穴(図面符号未表示)と、前方突出部穴と対応する位置に前方ワッシャ穴(図面符号未表示)と、後方突出部穴と対応する位置に後方ワッシャ穴(図面符号未表示)とが設けられている。
【0129】
2つの中央突出部穴および2つの中央ワッシャ穴それぞれには第1締結棒560が挿入され、前方突出部穴および前方ワッシャ穴には第2締結棒570が挿入され、後方突出部穴および後方ワッシャ穴には第3締結棒580が挿入されて上部のワッシャ530と、第1電極510および第2電極520とを互いに締結させる。この場合、第1締結棒560は2個設けられる。
【0130】
第1電極510の2つの第1電極下部穴と第2電極520の2つの第2電極下部穴のそれぞれには、第4締結棒590が挿入され、第1電極510および第2電極520を互いに締結させる。この場合、第4締結棒590は2個設けられる。
【0131】
中央突出部511と前方突出部521および後方突出部522が互いに重なり合わないので、第1締結棒560は第1電極510とワッシャ530のみを結合させる。したがって、電源部550は第1締結棒560に(+)極のみを印加することができる。
【0132】
詳細には、第1締結棒560は反応炉蓋110に設けられた第1電極接続部551に接続され、電源部550は第1電極接続部551に接続され、第1電極接続部551に(+)極を印加する。
【0133】
中央突出部511と前方突出部521および後方突出部522が互いに重なり合わないので、第2締結棒570および第3締結棒580は第2電極520とワッシャ530のみを結合させる。したがって、電源部550は第2締結棒570および第3締結棒580に(-)極のみを印加することができる。
【0134】
詳細には、第2締結棒570および第3締結棒580は反応炉蓋110に設けられた第2電極接続部552に接続され、電源部550は第2電極接続部552に接続され、第2電極接続部552に(-)極を印加する。
【0135】
反応炉100は円形断面を有する。
【0136】
電極部500は、反応炉100の形状に対応する形状を有する。したがって、電極部500の第1電極510および第2電極520は、左右方向の中心線を基準として中央領域が最も長い前後方向の長さ、すなわち最も長い幅を有し、電極部500の左側および右側に行くほど、第1電極510および第2電極520の前後方向の長さ、すなわち幅が徐々に短くなるように形成される。
【0137】
換言すれば、電極部500の第1電極510および第2電極520は、円形断面を有する反応炉100に対応する形状を有するために、第1電極510および第2電極520が互いに異なる幅を有し、電極部500の中央領域の第1電極510および第2電極520の幅が最も長く、電極部500の左側および右側に行くほど第1電極510および第2電極520の幅が短くなるように形成される。
【0138】
この場合、複数の第1電極510のうち一部および複数の第2電極520のうち一部は同じ幅を有することができる。したがって、複数の第1電極510および第2電極520のうちの少なくともいずれかは互いに異なる幅を有する。
【0139】
電極部500の左右方向の中心線を基準として互いに対称な形状を有するように第1電極510および第2電極520の長さが形成されることが好ましい。
【0140】
上記のように、第1電極510および第2電極520の形状が形成されるにつれて、円形断面を有する反応炉100に第1電極510および第2電極520をできるだけ多く配置することができ、これにより、生成物の高い収率が保証される。
【0141】
詳細には、電極部500を介して、反応炉100の内部の混合溶液が電気化学反応によって生成物を生成する際、生成物は第1電極510および第2電極520の表面に生成される。したがって、第1電極510および第2電極520の面積は生成物の収率に比例する。したがって、第1電極510および第2電極520をできるだけ多く配置すると、生成物の収率を高めることができる。
【0142】
電気化学反応装置10の生成物生成過程
以下、本発明の電気化学反応装置10において生成物を生成する過程について詳細に説明する。
【0143】
以下の説明では、一例として、第1反応物は無水フッ化水素(AHF)であり、第2反応物はフッ素化可能な材料であり、パージガスは窒素(N2)であることを基準に説明する。この場合、電気化学反応装置10は、電気化学的にフッ素系化合物を生成するECF(Electro chemical fluorination)装置である。
【0144】
無水フッ化水素(AHF)は第1反応物タンク200に気体状態で貯蔵され、第2反応物は第2反応物タンク300に液体状態で貯蔵される。
【0145】
第1反応物供給流路210のバルブを開放すると、第1反応物タンク200の内部の圧力によって無水フッ化水素(AHF)が反応炉100の内部に供給される。
【0146】
無水フッ化水素(AHF)が反応炉100の内部に流れた後、パージガス供給流路400を介して窒素(N2)が反応炉100の内部に供給されて無水フッ化水素(AHF)の内部の水分を除去する。
【0147】
反応炉100の内部に流れた無水フッ化水素(AHF)は反応炉冷却部排出流路136、反応炉冷却部130および反応炉冷却部回収流路137の順に流動して冷却され、これによって、液化する。
【0148】
その後、電極部500の電源部550が第1電極510および第2電極520に弱い電圧の電源を印加して、無水フッ化水素(AHF)の水分を除去することができる。
【0149】
第2反応物タンク300の内部に貯蔵された液化第2反応物は、第2ポンプ320のポンピングによって第1反応物供給流路210を介して反応炉100の内部に供給される。
【0150】
第2反応物が反応炉100の内部に供給されると、液化した無水フッ化水素(AHF)とともに混合して混合溶液となる。
【0151】
混合溶液を円滑に混合するために、循環部800が作動する。
【0152】
循環ポンプ840の作動によって反応炉100の内部の混合溶液は、第1循環流路820、分岐部810の順に流れた後、複数の第2循環流路830を介して複数の噴射ノズル850に流れる。複数の噴射ノズル850に流れた混合溶液は複数の噴射口851を介して、反応炉100の内部に再循環して噴射され、これによって、反応炉100の内部の混合がより良くなる。
【0153】
電極部500の電源部550が第1電極510および第2電極520のそれぞれに(+)極と(-)極を印加すると、反応炉100の内部で電気化学反応が実行される。
【0154】
電気化学反応によって第1電極510および第2電極520の表面にはフッ素系化合物からなる生成物が生成される。
【0155】
循環部800により、混合溶液が連続的に循環するので、生成物は滞留せず、連続的に生成される。
【0156】
反応炉100の反応熱によって気化した無水フッ化水素(AHF)および/または第2反応物は、凝縮器排出流路610を介して凝縮器600の内部に流入する。その後、凝縮器600で冷却されて液化した無水フッ化水素(AHF)および/または第2反応物は、凝縮器回収流路620を介して再び反応炉100の内部に回収される。
【0157】
反応炉100の内部に生成された生成物は、密度差によって反応炉100の底部に沈み、生成物排出流路710を介して生成物タンク700に流れる。
【0158】
生成物タンク700では、KOH溶液などを用いて生成物内に含まれる無水フッ化水素(AHF)を除去することができる。
【0159】
上記のように、電気化学反応装置10で生成された生成物であるフッ素系化合物は、蒸留塔によって分別蒸留され、半導体、ディスプレイ工程に用いられる三フッ化窒素(NF3)などに加工することができる。
【0160】
第1変形例による電極部500a
以下、
図9および
図10を参照して、本発明の電気化学反応装置の第1変形例による電極部500aについて説明する。
【0161】
図9は、本発明の電気化学反応装置の第1変形例による電極部が反応炉の内部に設けられたことを示す正面図であり、
図10は、
図9の第1電極および第2電極が相対移動したことを示す正面図である。
【0162】
第1変形例による電極部500aは、反応炉100の内部に設けられた複数の第1電極510aと、複数の第1電極510aと交互に配置される複数の第2電極520aと、を含み、複数の第1電極510aおよび複数の第2電極520aは、上下方向に相対移動可能であることを特徴とする。
【0163】
第1電極510aには電源部550によって(+)極が印加される。
【0164】
第2電極520aには電源部550によって(-)極が印加される。
【0165】
第1電極510aと第2電極520aは複数個設けられ、第1電極510aと第2電極520aは互いに交互に配置される。
【0166】
第1電極510aと第2電極520aは板状の形状を有する。
【0167】
第1電極510aと第2電極520aは、上下方向に長手方向を有し、前後方向に幅を有し、左右方向に厚さを有する。
【0168】
すなわち、第1電極510aおよび第2電極520aの上下方向の長さは、第1電極510aおよび第2電極520aの左右方向の長さよりも長く形成される。
【0169】
複数の第1電極510aは第1締結棒560によって締結される。
【0170】
第1締結棒560は複数の第1電極510aの下部を締結させる。
【0171】
複数の第2電極520aは第2締結棒570によって締結される。
【0172】
第2締結棒570は複数の第2電極520aの上部を締結させる。
【0173】
複数の第1電極510aは反応炉100の内部で固定され、複数の第2電極520aは反応炉100の内部から上方向に移動可能である。
【0174】
すなわち、複数の第1電極510aは所定位置に位置し、複数の第2電極520aが上昇して複数の第1電極510aと複数の第2電極520aは上下方向に相対移動可能である。
【0175】
第1締結棒560が複数の第1電極510aの下部を締結し、第2締結棒570が複数の第2電極520aの上部を締結するので、複数の第2電極520aが上昇すると、第1締結棒560によって妨げられない。
【0176】
上記とは異なり、電極部500aは、複数の第1電極510aが固定され、複数の第2電極520aが下降、すなわち下方向に移動することができる。
【0177】
また、複数の第2電極520aが固定され、複数の第1電極510aが上方向または下方向に移動してもよい。
【0178】
上記のように、第1変形例による電極部500aの複数の第1電極510aと複数の第2電極520aとが相対的に移動可能に設けられることにより、次のような効果がある。
【0179】
上述したように、生成物の収率は第1電極510aと第2電極520aの面積に比例するので、反応炉100の内部には第1電極510aと第2電極520aが密に設けられる。したがって、複数の第1電極510aと複数の第2電極520aとの間の離隔空間は非常に狭く形成される。
【0180】
上記のように、複数の第1電極510aと複数の第2電極520aとの間の離隔空間が狭く形成されるにつれて、複数の第1電極510aと複数の第2電極520aとの間に電気化学反応によって発生したガスが多く残存する。したがって、電極部500aをメンテナンスする場合、このようなガスによって爆発する可能性がある。
【0181】
第1変形例による電極部500aの場合、第1電極510aと複数の第2電極520aが相対的に移動可能に設けられているため、メンテナンス時に複数の第1電極510aと複数の第2電極520aとの間の離隔空間を広げることによって、複数の第1電極510aと複数の第2電極520aとの間に残存するガスが容易に逃げることができる。したがって、メンテナンス時にガスによる爆発の発生を効果的に防止することができる。
【0182】
第2変形例による電極部500b
以下、
図11および
図12を参照して、本発明の電気化学反応装置の第1変形例による電極部500bについて説明する。
【0183】
図11は、本発明の電気化学反応装置の第2変形例による電極部が反応炉の内部に設けられたことを示す平面図であり、
図12は、
図11の第1電極および第2電極が相対移動したことを示す正面図である。
【0184】
第2変形例による電極部500bは、反応炉100の内部に設けられている複数の第1電極510bと、複数の第1電極510bと交互に配置される複数の第2電極520bと、を含み、複数の第1電極510bおよび複数の第2電極520bのうち少なくともいずれかが回動され、複数の第1電極510bおよび複数の第2電極520bが相対移動可能なことを特徴とする。
【0185】
第1電極510bには電源部550によって(+)極が印加される。
【0186】
第2電極520bには電源部550によって(-)極が印加される。
【0187】
第1電極510bと第2電極520bは複数個設けられ、第1電極510bと第2電極520bは互いに交互に配置される。
【0188】
第1電極510bと第2電極520bは曲率を有する半円形状を有する。
【0189】
複数の第1電極510bは反応炉100の内部で固定され、複数の第2電極520bは反応炉100の内部で反応炉100の中心点を軸として回動可能である。
【0190】
上記のように、複数の第2電極520bが回動するにつれて、複数の第1電極510aと複数の第2電極520bとは回動によって相対移動可能に構成される。
【0191】
上記とは異なり、複数の第2電極520aが固定され、複数の第1電極510aが回動されてもよい。
【0192】
また、第1電極510bと第2電極520bとは曲率を有する弧状を有し、前記弧状は半円より大きい夾角または半円より小さい夾角を有することができる。この場合、第1電極510bと第2電極520bとの相対回動時に重なる部分を最小化するために、弧の夾角は270度以下であることが好ましい。
【0193】
第2変形例による電極部500bは、次のような効果がある。
【0194】
複数の第1電極510bと複数の第2電極520bとが回動によって相対的に移動可能に設けられているので、メンテナンス時に残存ガスによる爆発の発生を防止することができる。
【0195】
また、複数の第2電極520bが180度回動すると、複数の第2電極520bの間に複数の第1電極510bが位置しなくなり、複数の第1電極510b間の残存ガスおよび複数の第2電極520b間の残存ガスをより容易に除去することができる。
【0196】
第3変形例による電極部500c
以下、
図13を参照して、本発明の電気化学反応装置の第3変形例による電極部500cについて説明する。
【0197】
図13は、本発明の電気化学反応装置の第3変形例による電極部が反応炉の内部に設けられたことを示す正面図である。
【0198】
第3変形例による電極部500cは、反応炉100の内部に設けられる複数の第1電極510cと、複数の第1電極510cと交互に配置される複数の第2電極520cと、を含み、複数の第1電極510cおよび複数の第2電極520cは、上下方向に相対移動可能であり、複数の第1電極510cには循環部800cと連通する複数の電極噴射口517が設けられていることを特徴とする。
【0199】
第3変形例による電極部500cは、上述した第1変形例による電極部500aと比較して、複数の第1電極510cに電極噴射口517が設けられていることを除いて、残りの構成要素は同じである。したがって、同じ構成要素の説明は省略する。
【0200】
複数の第1電極510cには、反応炉100の内部で反応炉100の内部に排出され、再び反応炉100の内部に循環する混合溶液が噴射される電極噴射口517が設けられてもよい。
【0201】
電極噴射口517は、第1電極510cの長手方向に沿って複数個設けられてもよい。また、電極噴射口517は、第1電極510cの幅方向に沿って複数個設けられてもよい。したがって、電極噴射口517は、行と列を有するマトリックス状に設けられてもよい。
【0202】
第1電極510cの内部は、流体が流動できるように中空に構成されてもよい。すなわち、第1電極510cの内部に第1電極空間515を形成することができる。
【0203】
複数の第1電極510cは第1締結棒560によって締結され、第1締結棒560の内部は流体が流動できるように中空に構成されてもよい。すなわち、第1締結棒560の内部に第1締結棒空間(第1締結棒空間561)を形成することができる。
【0204】
電源部550は、第1締結棒560を介して複数の第1電極510cに(+)極のみを印加することができる。したがって、第1締結棒560は、複数の第1電極510cを互いに締結する機能と、流体が流れる通路機能と、電源を印加する機能とを全部実行できる。
【0205】
循環部800cは、反応炉100の底部に形成された循環部排出口141と連通する第1循環流路820を含んで構成されてもよい。このような第1循環流路820は第1締結棒560と連通する。
【0206】
第1循環流路820上には循環ポンプ840を設けることができる。したがって、循環ポンプ840が作動すると、反応炉100の内部の混合溶液が第1循環流路820に沿って第1締結棒560の第1締結棒空間(第1締結棒空間561)に流れた後、複数の第1電極510cのそれぞれの第1電極空間515に分岐して流れる。その後、複数の電極噴射口517を介して循環した混合溶液が反応炉100の内部に噴射される。
【0207】
反応炉100の内部に噴射される混合溶液は、第2電極520cの表面方向に噴射され、電気化学反応時に、第1電極510cおよび第2電極520cの表面付近で混合溶液の流れを生成するので、より高い収率で生成物を生成することができる。
【0208】
第4変形例による電極部500d
以下、
図14を参照して、本発明の電気化学反応装置の第4変形例による電極部500dについて説明する。
【0209】
図14は、本発明の電気化学反応装置の第4変形例による電極部が反応炉の内部に設けられたことを示す正面図である。
【0210】
第4変形例による電極部500dは、反応炉100の内部に設けられた複数の第1電極510dと、複数の第1電極510dと交互に配置される複数の第2電極520dと、を含み、複数の第1電極510dおよび複数の第2電極520dのうち少なくともいずれかが回動され、複数の第1電極510dおよび複数の第2電極520dが相対移動可能であり、複数の第1電極510dには、循環部800dと連通する複数の電極噴射口517が設けられていることを特徴とする。
【0211】
第4変形例による電極部500dは、上述した第2変形例による電極部500bと比較して、複数の第1電極510dに電極噴射口517が設けられることを除いて、残りの構成要素は同じである。したがって、同じ構成要素の説明は省略する。
【0212】
複数の第1電極510dには、反応炉100の内部で反応炉100の内部に排出され、再び反応炉100の内部に循環する混合溶液が噴射される電極噴射口517が設けられてもよい。
【0213】
電極噴射口517は、第1電極510dの曲率方向に沿って複数個設けられてもよい。また、電極噴射口517は、第1電極510dの幅方向に沿って複数個設けられてもよい。したがって、電極噴射口517は、行と列を有するマトリックス状に設けられてもよい。
【0214】
第1電極510dの内部は、流体が流動できるように中空に構成されてもよい。すなわち、第1電極510dの内部には第1電極空間515を形成することができる。
【0215】
複数の第1電極510dは第1締結棒(不図示)によって締結され、第1締結棒の内部は流体が流動できるように中空に構成されてもよい。すなわち、第1締結棒の内部に第1締結棒空間(不図示)を形成することができる。
【0216】
電源部550は、第1締結棒を介して複数の第1電極510dに(+)極のみを印加することができる。したがって、第1締結棒は、複数の第1電極510dを互いに締結する機能と、流体が流れる通路機能と、電源を印加する機能とを全部実行できる。
【0217】
循環部800dは、反応炉100の底部に形成された循環部排出口141と連通する第1循環流路820を含んで構成されてもよい。このような第1循環流路820は第1締結棒と連通する。
【0218】
第1循環流路820上には循環ポンプ840を設けることができる。したがって、循環ポンプ840が作動すると、反応炉100の内部の混合溶液が第1循環流路820に沿って第1締結棒の第1締結棒空間に流れた後、複数の第1電極510dのそれぞれの第1電極空間515に分岐して流れる。その後、複数の電極噴射口517を介して循環した混合溶液が反応炉100の内部に噴射される。
【0219】
反応炉100の内部に噴射される混合溶液は、第2電極520dの表面方向に噴射され、電気化学反応時に、第1電極510dおよび第2電極520dの表面付近で混合溶液の流れを生成するので、より高い収率で生成物を生成することができる。
【0220】
第1変形例による噴射ノズル850a
以下、
図15を参照して、本発明の電気化学反応装置の第1変形例による噴射ノズル850aについて説明する。
【0221】
図15は、本発明の電気化学反応装置の第1変形例による噴射ノズルが反応炉の内部に設けられたことを示す平面図である。
【0222】
循環部800は、反応炉100の底部に設けられた循環部排出口141と連通する第1循環流路820と、第1循環流路820と連通する分岐部810と、分岐部810と噴射ノズル850aとを連通させる第2循環流路830と、第1循環流路820上に設けられた循環ポンプ840と、を含んで構成されてもよい。
【0223】
第1変形例による噴射ノズル850aは、循環部800の第2循環流路830と連通する。
【0224】
噴射ノズル850aは、上下方向と垂直な方向に長さを有するように長く形成され、下面に複数の噴射口851が設けられている。すなわち、噴射ノズル850aは、上下方向と垂直な方向に長手方向を有する板状に形成することができる。
【0225】
例えば、噴射ノズル850aは、前後方向または左右方向に長く形成することができる。
【0226】
また、上下方向がZ軸であり、左右方向がX軸であり、前後方向がY軸である場合、噴射ノズル850aはX-Y平面上に長手方向および幅方向を有する板状に形成することができる。この場合、長方形の形状を有することができる。
【0227】
噴射ノズル850aは複数個設けられ、複数の噴射ノズル850aは第1電極510および第2電極520の上部に位置する。複数の噴射ノズル850aのそれぞれには第2循環流路830が連通する。
【0228】
第1変形例による噴射ノズル850aは、複数の噴射口851を介して、第1電極510および第2電極520の上部で循環した混合溶液を噴射する。
【0229】
複数の噴射ノズル850aは、第1電極510および第2電極520の上部に混合溶液を均等に噴射することによって、反応炉100の内部の混合をさらに促進することができ、これにより、高い収率で生成物を生成することができる。
【0230】
また、噴射ノズル850aは、X-Y平面上に長手方向および幅方向を有する板状に形成され、第1電極510および第2電極520の上部に混合溶液が噴射されない領域がないように混合溶液を噴射することができる。
【0231】
第2変形例による噴射ノズル850b
以下、
図16を参照して、第2変形例による噴射ノズル850bについて説明する。
【0232】
図16は、本発明の電気化学反応装置の第2変形例による噴射ノズルが反応炉の内部に設けられたことを示す平面図である。
【0233】
第2変形例による噴射ノズル850bは循環部800の第2循環流路830と連通する。
【0234】
噴射ノズル850bは、上下方向に長さを有するように長く形成され、第1電極510および第2電極520と対向する両側面に複数の噴射口851が設けられている。すなわち、噴射ノズル850bは、上下方向に長手方向を有する板状に形成され、上下方向と垂直な方向に混合溶液を噴射することができる。この場合、噴射ノズル850bは長方形の形状を有することができる。
【0235】
噴射ノズル850bは複数個設けられ、複数の噴射ノズル850bは第1電極510と第2電極520との間に位置する。
【0236】
複数の噴射ノズル850bのそれぞれには第2循環流路830が連通する。
【0237】
第2変形例による噴射ノズル850bは、複数の噴射口851を介して、第1電極510および第2電極520の表面に混合溶液を噴射する。
【0238】
例えば、第1電極510および第2電極520が左右方向に配列される場合、複数の噴射口851は、第1電極510と対向する噴射ノズル850bの右側面と、第2電極520と対向する噴射ノズル850bの左側面にそれぞれ設けられる。したがって、複数の噴射口851を介して噴射された混合溶液は第1電極510および第2電極520の表面に噴射することができる。
【0239】
第1電極510および第2電極520の表面への混合溶液の噴射をより効果的にするために、噴射ノズル850bは第1電極510および第2電極520と同じ方向、すなわち上下方向に長手方向を有すると同時に、前後方向に幅方向を有することができる。
【0240】
すなわち、噴射ノズル850bの複数の噴射口851が形成された表面は、第1電極510の表面および第2電極520の表面と向かい合うように配置されてもよい。
【0241】
また、噴射ノズル850bは、第1電極510および第2電極520と同じ上下方向の長さおよび/または前後方向の長さ、すなわち幅を有することができる。
【0242】
複数の噴射ノズル850bは、第1電極510および第2電極520の表面に混合溶液を直接噴射することによって、反応炉100の内部の混合をさらに促進させるとともに第1電極510および第2電極520の表面に生成された生成物を迅速に脱着することができる。したがって、より高い収率が保証される。
【0243】
本発明は、図面に示された実施形態を参照して説明したが、これは例示的なものに過ぎず、当技術分野の通常の知識を有する者であれば、それから様々な変形および均等な他の実施形態が可能であることが理解されるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、添付の登録請求範囲の技術的思想によって定められるべきである。
【符号の説明】
【0244】
10 電気化学反応装置、100 反応炉、110 反応炉蓋、111 第1反応物供給口、112 パージガス供給口、113 凝縮器排出口、114 凝縮器回収口、115 循環注入口、117 第2反応物供給口、130 反応炉冷却部、131 反応炉冷却部排出口、132 反応炉冷却部回収口、136 反応炉冷却部排出流路、137 反応炉冷却部回収流路、141 循環部排出口、151 生成物排出口、160 レベルゲージ、200 第1反応物タンク、210 第1反応物供給流路、300 第2反応物タンク、310 第2反応物供給流路、320 第2ポンプ、400 パージガス供給流路、500、500a、500b、500c、500d 電極部、510、510a、510b、510c、510d 第1電極、511 中央突出部、515 第1電極空間、517 電極噴射口、520、520a、520b、520c、520d 第2電極、521 前方突出部、522 後方突出部、530 ワッシャ、550 電源部、551 第1電極接続部、552 第2電極接続部、560 第1締結棒、561 第1締結棒空間、570 第2締結棒、580 第3締結棒、590 第4締結棒、600 凝縮器、610 凝縮器排出流路、620 凝縮器回収流路、700 生成物タンク、710 生成物排出流路、800、800c、800d 循環部、810 分岐部、820 第1循環流路、830 第2循環流路、840 循環ポンプ、850、850a、850b 噴射ノズル、851 噴射口。